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魔法使い「メラしか使えない」

Part1
1 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/06(土) 22:51:25.02 ID:PwdxvtBAO
古くからの伝統である冒険の仲間を募る出会いの酒場の隅で
私はさして希望も抱かずに勇者を待っていた
勇者は元々私の幼馴染みではあるが、だからこそ絶対に彼が自分を選ばないことは確信が持てる
同じく幼馴染みである戦士と武道家は私と違いすでにパーティー入りを決めているはず
……あの二人は嫌いだ
自分の無能力ぶりを散々からかわれ、虐められてきたから……
確かに私は無能だ
それを一番良く知ってるのは勇者
勇者は私を選ばない
そう思っていた
だけど勇者は私の前に来て
勇者「仲間にならないか?」
そう言ってくれた
しかしすぐに後ろの二人が笑いながらそれを止める
戦士「マジかよ、有り得ねえぜそんな無能者!」
武道家「そうそう、こいつって……」
魔法使い「メラしか使えない」

2 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/06(土) 22:53:11.64 ID:PwdxvtBAO
先に言ってやった
何年も何年もよくぞ同じネタで人をバカにできるものだ
私は小さい頃呪いに犯され、何故かメラしか使えない状態になっていた
メラしか使えないならいっそ転職しようかと武道家の家に弟子入りしたりもしたが、力もなくいじめを受けてすぐに辞めた
しかし無駄な時間だった
走り込みばかりやらされていたので多少足は速くなったが
勇者「でも神父様も言ってたけど、呪文はメラしか使えないけど魔力は恐ろしく強力らしいよ?」
勇者「何かのきっかけで目覚めるかも知れないし……」
戦士「メラだけ使えたって魔導師の杖の代わりにしかならねえよ!」
武道家「そうですぜ、おまけにこいつ根性無しだし!」
こちらとしてはこの二人と旅することが有り得ない
それならばいっそ自分一人で呪いを解く旅にでも出る
そうだ、何も勇者と一緒じゃなきゃ旅しちゃいけない法は無いんだ……
ここで私ははっきりと断った
魔法使い「私はあなたたちとは行けません」
勇者はしばらく残念そうにしていたが
勇者「いつかパーティーに入りたくなったら、来てよ」
そう言って去っていった

3 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/06(土) 22:55:24.08 ID:PwdxvtBAO
私は家に帰ると荷物を整えた
早くに両親を無くした私は意地悪な叔父と叔母に養われていた
この家に未練はない
一言だけ礼を言って家を出た
街を出てしばらくは、私は魔物との戦いに慣れるために寄り道をすることにした
魔物の巣くう森に入る
最初のうちは良かった
小さな火の玉を放つ魔法、メラだけでも乗り越えられた
しかし敵が二匹、三匹出てくるだけでもたちまち苦境に陥る
大ネズミが三匹……
私は先制で一匹焼き払ったが、残りの二匹に集中的に殴られ、踏まれた
痛い……
魔法使い「メラ、メラ!」
幸い魔力だけは底がない
神父様には本当か嘘か、人間の限界より強い魔力を持っていると賞賛された
そして私がメラしか使えないのはそのあたりに理由があるのではないか、と、この世界にあるありとあらゆる魔法を教えてくれた、が
しかし不思議とメラしか
メラしか使えなかった
戦いで傷を負った私は、使えそうな薬草などを摘み取り道具屋に売り、一晩の宿代に
このままでは近い将来限界が来る……

4 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/06(土) 22:57:12.62 ID:PwdxvtBAO
ベッドで今日の戦いを思い出していた
私、無意識にメラを二発同時に放っていたような……
そこまで考えて、疲れ切っていた私は眠りに落ちた
………………
???「貴様の魔力はいずれ災禍の種となる」
???「だが貴様を消せばその魔力は誰か他の者に宿ると言われている……」
???「ならばお前に呪いを」
???「その身を檻としてその力を封じるが良い」
………………
……思い出した
あの時確か綺麗なお姉さんが、私に呪いをかけて行ったのだ……
あの人を探し、呪いを解いてもらわねばならない……
手掛かりは少ないが……
昨日の戦いのおさらいも兼ねて、私はここから一番近くの村へと旅立つことにする
早速醜いブヨブヨしたスライムの群が現れた
四匹……いけるか……?
魔法使い「メラ、メラ、メラメラ!」
いきなり四発は無理が有ったようで、一発は不発だったが三匹までは焼き払った
しかしこれならメラしか使えなくとも多少の戦力になるのでは無かろうか……
いや、勇者にはあの気分の悪い二人がつきまとっている……

5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/12/06(土) 22:58:13.41 ID:oF2RWu45o
(良かった。魔翌力が強いからってバーン様みたいにはならなかった・・・)

6 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/06(土) 22:59:15.10 ID:PwdxvtBAO
道々薬草を拾いつつ、歩く
……水を持ってきていなかったことに気付いた
しまったな……
そこからは渇きと戦いながら歩いた
……私のバカ……
喉が焼ける
体が重くなる
とても……苦しい……
途中、水たまりを見つけて飲もうとしたが、お腹を壊しそうなのでやめた
苦しい……
なんとか村に着いた
村人を見つけてただ水を求める
村人「こんな貧しい村じゃ水だって貴重なんだ、ただではやれねえ」
魔法使い「……薬草なら、少し……」
村人「薬草か……、いいだろう」
やっと水にありついて私は村の様子に気付く
酷く荒れ果てている……
魔法使い「魔物が、出るのですか?」
自分でどうにかできるとは思わなかったが、聞いてみた
村人「近くの洞穴に魔物が住み着いていて夜な夜な村を襲う」
村人「畑は荒らされて全く仕事にならん」
村人「魔物の群だけなら木の柵でどうにかなるが……」
魔法使い「……何か?」
村人「デカい牛みたいな魔物が一匹いて、そいつが厄介だ」
それならなんとかなるかも知れない

7 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/06(土) 23:01:39.80 ID:PwdxvtBAO
魔法使い「私が……倒します」
村人「あんたが?」
村人「そんなほっそい体で、女一人で?」
明らかにバカにした様子
村人「まあ、やるって言うなら止めねえよ」
ほれ、と言うと村人は水を入れる皮袋をくれた
魔法使い「あ、ありがとうございます……」
村人「まあ死なない程度に頑張りな」
死ぬつもりは無い
私はできるだけたくさんメラを放てるように特訓を兼ねて魔物を倒すことにした
洞窟までの道のりを守るように魔物の群が襲ってくる
魔法使い「メラ、メラメラ、メラ、メラメラメラ……」
五発……六発まではいけるだろうか?
洞窟の奥までは労せず進めた
しかし……
魔法使い「大きい……」
牛魔物「ゴフッ、ゴフッ……」
見上げるような巨体
恐らく一発や二発のメラでは毛を焼くのが関の山であろうか
巨大な牛の魔物は突然襲いかかって来た
開戦……!
魔法使い「ぐふうっ!」
あ、が……
先制で一撃食らう
防御力の無さは致命的……!

8 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/06(土) 23:03:54.22 ID:PwdxvtBAO
一発で目の前が暗転しそうになるが、踏ん張る
魔法使い「メラ、メラメラメラメラメラメラ……!」
放てるだけ放つしかない
怯んでいてはあっと言う間に命を奪われる…………
魔法使い「メラメラメラメラメラメラメラ……!」
牛魔物「ぐほおおお……!」
五〜七発ずつ、凡そ五十発は放っただろうか、牛の魔物は苦しそうな声を上げ、倒れた
取っておいた薬草を使う
焼けた牛の魔物はとても美味しそうな匂いを放っていた
この先食料の事を考えると、これくらい動物に近い魔物なら食べられた方が良いのでは……?
ちょうどお腹も減っていたので、理性を失ってかぶりついた
……塩が欲しい
海に出たら塩を作って持って歩こう……
口に入れると皮が厚いし多少臭いはキツいが、メラで焼きながらお腹一杯になるまで食べて洞窟を出た
あとはナイフも欲しいな……と口元を拭きつつ思う
物々交換のため、森に入り猪を探す
気付けば夜……
少し持ってきた牛の肉をかじり、焚き火にあたりながら眠った……
メラだって便利だ……
私は魔導師の杖とは違う

9 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/06(土) 23:06:21.94 ID:PwdxvtBAO
次の日の夕方頃になってようやく小さな猪を見つけ、メラで焼く
多少焼き肉になってしまったが仕方有るまい
……重い……
結局もう一晩、野宿
水はあと少し
後で知るのだが、この頃勇者たちは私が倒した牛の魔物の死骸を見つけていたらしい
村に帰ると牛の魔物を倒したのは勇者、と言う事になっていた
村人「ああ、あんた無駄足だったな」
魔法使い「……この猪と引き換えに、ナイフ、あと皮袋をいくつかもらいたいんですが……」
村人「あ、ちょうどいい、勇者様に賄おう」
村人「……しかしこりゃ、魔法で焼いたのか?」
魔法使い「それしかできないから……」
村人「まあいいや、肉なんて久々だしな」
村人「小さいナイフと皮袋……まあ好きなのを持って行きな」
薬草袋は持ち出しがあるし、水袋はもらった
後は塩と食料を入れる分……他にも何か必要になるかも知れないからもう一つ二つ
小さなフライパンももらって再び旅立つ……
牛の魔物を倒したのは、勇者……
あの牛に食らった一撃がどれほど痛かったか思い出すと腹が立つ……
どうせあの二人の差し金だが
しかし肉も食べられたから、構わない

10 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/06(土) 23:09:33.80 ID:PwdxvtBAO
この大陸とは違う大陸に、魔力の強い者だけが住む街があるらしい
そこは魔王が住む大陸でも有るのだが、魔力の強い者になら私の呪いの謎も解けるかも知れない
神父様にも解けない、重篤な呪い……
とりあえず私は魔王の住む大陸へ行く
その大陸に渡るためには船に乗らないといけないか……
まずはその港町を目指すとしよう
少し海に出て、砂場を掘り、そこに貯めた海水にメラを放つ
トレーニング代わりだ
メラ、メラ、メラメラメラメラ……
やがて水が少なくなってきたので海水を足す
メラ、メラメラ、メラメラメラメラ……
ゲシュタルト崩壊を起こして魔法を損ねたりした
やがて塩が固まってくる
上澄みの部分を砕いては袋に詰める
少し舐めてみた
……苦い
塩も十分採れただろう
森に入りいくらか薬草を採り、そのまま港町に向かう
途中で色々魔物と戦うことになったが、なんとかメラだけで乗り越えられた
私にかけられた呪いの効果なのか、その他の呪いは一切効かないのは幸いだった
眠りの呪文も、魔封じの呪文も効かない

11 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/06(土) 23:13:33.71 ID:PwdxvtBAO
……食べられそうな兎の魔物をメラで焼いてナイフで解体し、塩焼きにして食べた
すごくジューシーだ
美味い……
もう一匹狩って保存食にしよう
お腹一杯で幸せな気持ちで目を閉じた
血まみれで多少獣臭くなったかも知れない
今勇者が私を見つけたら、野生のメラ使いが現れた!とか言われるかも知れない
野生のメラ使い……
一人で吹き出して眠る
港町に着いた
人がとても多い……
臭くないかな?
早めに宿を取り、服を買い、お風呂をもらうことにしよう
町を歩き道具屋を探す
薬草や塩を売り、いくらかお金ができた
試しに兎の肉を売ろうとしたが、断られた
もう少しお金が欲しいので仕事をもらうため酒場に行く
途中
絡まれているのか船乗り風の人が、盗賊風の男二人に取り囲まれている
私はよく話しを聞くために近寄った
盗賊「ああ、なんだオメエ?」
いきなり怒鳴りつけられた
魔法使い「荒っぽい……喧嘩は良くないよ?」
盗賊「はん、なんか獣臭えが顔は上玉じゃねえか」
盗賊子分「綺麗に飾ったらどこぞの変態貴族が高く買ってくれそうですぜ!」
盗賊「そう言うわけだ、お前が俺らに着いてきたらコイツはゆるしてやるぜ?」

12 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/06(土) 23:15:18.17 ID:PwdxvtBAO
盗賊は私の腕を掴んできた
私は何か言おうと口を開く
魔法使い「メラ」
つい最近一番よく口にする言葉を放ってしまった
……てへっ
盗賊「ぐああっ……!」
盗賊子分「ああっ、親分!」
盗賊「た、ただのメラだ……こんくらい……」
魔法使い「メラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラ!」
盗賊「はっぎゃあああああぁあぁあぁんっ!!!」
盗賊子分「ああっ、親分!」
……これは食べられそうにないのでこれくらい焼いたらいいだろう……
魔法使い「お金……全部置いていって」
盗賊子分「イエッサァァアーッ!」
盗賊子分は何故か敬礼すると自分の親分の財布を投げて親分を引きずりつつ逃げ出した
魔法使い「自分の財布は出さないで逃げ出した……」
船乗り「あんた……、色々すげえな……」
魔法使い「私は魔王の大陸に渡りたい、仕事はない?」
船乗り「ああ、じゃあ用心棒をやってくれ!」
船乗り風の男はちょうど魔王の大陸に向かう船の船員だったらしい
海の幸食べ放題……
いや、渡りに船だ

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