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魔法使い「メラしか使えない」

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Part8
102 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/14(日) 01:29:30.31 ID:cFZqRu7AO
エルフ兵「えっ」
お昼、他に食料も無いのでドラゴンの干し肉を食べさせた
エルフ兵「うう……なんだか元気が出る味でした……」
導師「美味しいよね〜っ」
エルフ兵「ま、まあ確かに」
その後ガメゴンに遭遇
食料が無いので狩る
導師「お師匠様、反射呪文マホカンタをかけられたらどうします?」
魔法使い「物理的にメラで熱した石をぶつける」
女兵士「器用っすね!」
エルフ兵「君たちのリーダーはメラだけで魔王を倒しそうだな」
導師「倒すんじゃないですかね?」
女兵士「あー、倒すんだろうなあ」
エルフ兵「……魔王にメラって……」
ガメゴンの硬い殻を割って肉をさばいた
これは……臭いがキツい……
不思議な旨味があるが、香草などで相当ごまかさないと食べられなかった
次にマンモスの魔物を見付ける
魔法使い「マンモスって美味いのかな……?」
エルフ兵「え、いや、やめませんか?」
導師「お師匠様を止めるには十分な食料が必要です」
女兵士「野生児マックスだからな」
結局マンモスもステーキになった
導師「おお……結構いけます!」
女兵士「ほんとだ……思ったより柔らかい」

103 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/14(日) 01:32:03.35 ID:cFZqRu7AO
エルフ兵「うん……わりと美味い」
これでだいぶ食料問題は解決
魔王領に入って数日、高い山に登る
恐竜がいた!
導師「美味しい食材発見っ!」
女兵士「よっしゃーっ!」
エルフ兵「楽しみだな」
どうやら食の細いエルフ兵もこの道に染まり始めたようだ
エルフ兵「いや、知的好奇心と言うか……」
みんなでたっぷり美味い肉を味わおう
山頂に辿り着くとそこに開いた洞窟に入る
洞窟の中の魔物は水系や氷結系でメラが良く効くのが幸いだ
イエティって食えるかな?
導師「止めておきますね」
残念
そこで私が見つけたのは魚系の魔物
久し振りに魚が食える!
小さいイカの魔物も出てきて
これが美味かった
溢れる肉汁、広がる甘味、旨味、しっかりかつモチモチとした歯ごたえの肉が焼けば香ばしく……
導師「イカの魔物百匹くらい狩ってきます!」
おう、いっといで
山のようなイカを食料袋に詰め込み、階下へ
やっと目的の部屋に着く
エルフ兵「ずいぶん大変な……大変だったかな?」
エルフ兵「大変だったかも知れない道程、ご苦労様でした」
なんだか気を使わせて申し訳ない

104 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/14(日) 01:34:03.59 ID:cFZqRu7AO
眠いので今日はここまでにします
後少しで終わりです
お休みなさい

105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/12/14(日) 01:36:57.48 ID:R6EVep6Zo
おつおつ
ご飯要素低め・・・?

106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/12/14(日) 05:28:21.78 ID:FVEDSSXAO
乙!
魔法使いの魔物の料理本とか出版したら、この世界の魔物は根こそぎ狩られそうだな人間共に……


107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/12/14(日) 08:25:04.99 ID:FfdRH0e4o
安定のグルメ旅
この食欲の感染っぷりのが、よほど呪いだww
乙乙

111 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/14(日) 20:40:36.32 ID:cFZqRu7AO
レスありがとうございます!
思ったよりご飯要素多かったかな?
後半は少ないはず……
更新します

112 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/14(日) 20:44:20.06 ID:cFZqRu7AO
エルフ兵「居るといいけど……」
エルフ兵が部屋に入ると暖かい風が流れ出る
部屋は暖房が効いているようだ
私達の周りには常にメラが漂っているので暖かいが
部屋の中から叫び声がしたので慌てて駆け込む
そこにいたのはエルフ兵とその姉と思しき銀の眼鏡を着けたエルフ……
なんだか不自然に絡まり合っている
眼鏡エルフ「人肌〜うふふ……」
エルフ兵「こ、こんな所に閉じこもっているからおかしくなったか!」
眼鏡エルフ「え〜、ずっとこんな感じでしょ〜、うふふ……すべすべ」
え〜と
魔法使い「メラ」
眼鏡エルフ「あちいっ!?」
眼鏡エルフ「あら、お客様?」
眼鏡エルフ「初対面でいきなり攻撃ってどんだけ無礼なの!?」
エルフ兵「初対面なのに無視して妹に絡んでる方が失礼だ」
帰ろっかな?
女兵士「一応話聞きましょ?」
いいけど
眼鏡エルフ「ん?」
眼鏡エルフ「また、やっかいげな呪い……」
眼鏡エルフ「私に解けって?」
導師「こちらの方がお姉さんです?」
エルフ兵「はい、ちょっと壊れてますが……」
エルフ兵「ここでさるお方に請われてある封印を解こうとしているのです」
魔法使い「ふむ」

113 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/14(日) 20:49:45.46 ID:cFZqRu7AO
眼鏡エルフ「こわれてこわれた……魔王に……天国の扉の封印なんだけどね」
魔王……天国の扉?
エルフ兵「姉さん、それは機密……!」
眼鏡エルフ「いや、構わない」
眼鏡エルフ「どうせあんたら魔王に会うんだから」
薄々分かっていたが、嫌な展開だ
眼鏡エルフ「あんたの呪いをかけたのは」
眼鏡エルフ「どう考えたって魔王」
眼鏡エルフ「私は世界一封印だの呪いに詳しくて」
眼鏡エルフ「二番目は魔王」
眼鏡エルフ「つまり私しか解けない呪いは魔王にしか作れない」
眼鏡エルフ「でね、これ」
眼鏡エルフ「呪いって言うのはかけるより解くのが大変なのよ」
眼鏡エルフ「特殊な機序の呪いはそれを理解して把握してる人にしかほぼ解けないの」
眼鏡エルフ「暗号を知ってたら解読できるけど知らないと読めないようなものね」
眼鏡エルフ「だからそれ、魔王にしか解けないの」
眼鏡エルフ「ま、魔王に会って死んでこいって感じ?」
エルフ兵「死んでこいは酷いだろう」
眼鏡エルフ「でも魔王だぞ?」
魔王……
あの綺麗なお姉さんが……
眼鏡エルフ「魔王が決めて呪いをかけたんだから魔王は解かない、解くには魔王をぶっ殺すしかない」
眼鏡エルフ「ほら死んだ」

114 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/14(日) 20:51:17.47 ID:cFZqRu7AO
確かに
メラで魔王を倒せると導師達は言うが、実際にはそんな簡単にいくはずがない
でも行くしか……ないか
眼鏡エルフ「そうだ、一つ良い物をあげよう」
眼鏡エルフ「天国への扉を開いて完全な死者をも蘇らせる」
眼鏡エルフ「いわゆる、世界樹の葉」
眼鏡エルフ「研究のために一枚だけ有るんだけどね」
眼鏡エルフ「まあ一枚じゃ無駄だろうけど」
とりあえず受け取る
しかし魔王……
…………
決めた
なぜ魔王がわざわざ私にこんな厄介な呪いをかけたのか、聞きに行こう
それで諦められるなら、諦める
そうしよう
女兵士「お師さんがそう決めたなら」
導師「……行きます」
導師「魔王に会いに」
分かっている
もう魔王に会わなければ、私の旅は終わりも始まりもしない所に来ている…………
魔王に…………会いに行く!

115 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/14(日) 20:54:10.26 ID:cFZqRu7AO
魔王に会いに行くとなって、私は急に不安に襲われた
勇者はどうしてるだろう?
魔王と会うためには勇者の力も必要なのではないか
私達は一旦東の国へ帰ることにした
エルフ兵の姉に別れを告げ、導師の脱出の呪文、リレミトで洞窟から出る
キメラの翼を一枚投げると、大変だった旅が嘘のように
私達は東の国へ帰ってきた
東の国は物々しい雰囲気に包まれていた
いったい何が……
お姫様……大丈夫だろうか?
私はその辺の男を捕まえて聞く
何があったのか
男「クーデターだ!」
男「姫様と勇者、騎士団が組んで国王を牢獄に幽閉した!」
ちょっ
大胆にも程がある
大胆にも程があるだろう!
女兵士「すげえ、姫さんやりやがったな!」
導師「流石は我等が野生児同盟の一員……」
いつの間にそんな同盟を……
しかしあの愚王が折れず、温厚だが他人に流される勇者を勇敢になった姫様が説得してこうなった
という流れが分からなくもない
しかし大胆だ
私は何としても二人の話を聞いておきたくなった
城まで駆けていく
速く走れて良かった

116 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/14(日) 20:57:20.68 ID:cFZqRu7AO
城の入り口は騎士が固めていたが、私を見るとすぐに城に入れてくれた
迎えに来たのはお姫様その人
姫「やりました……」
姫「魔法使いさん、私……」
戦争を止めろとは言ったが、まさかここまでするなんて
でも姫様の様子を見ていたら分かった
これは本当に苦渋の決断だったと
私に言えたのは一言
魔法使い「よくやった」
お姫様の頭を抱き寄せた
お姫様は泣いている
愛すべき肉親を牢獄に投げ込んだ悲しみではなく
自分が立ち上がったことを誇りに思って泣いている
私はなんだかとても嬉しくなって貰い泣き
この国を守る為には戦いが必要だったのだ
彼女は重い決断を乗り越えた
そう、強かった
単純に強いと言う事はこんなにも胸を打つ……
私がこの国に帰ってきたのは勇者に助けを求めるため
それは自分の中に残っていた弱さ故だった
だから彼女の強さが胸に染みた
それから私は勇者と会う
最後の時にそこにいて欲しかったから
今の私にある強さ
それをくれたのは
きっとあの始まりの酒場で、声をかけてくれた彼だったから

117 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/14(日) 20:59:04.46 ID:cFZqRu7AO
お姫様が勇者を呼ぶ
おそらくは忙しく走り回っているだろう彼を一時とは言えここから連れ去るのは忍びないが
相手は魔王だから
私は彼にいて欲しい
勇者「ついに……魔王と対峙するのか……」
魔法使い「私の呪いの理由を聞きに行く」
勇者「倒すのか?」
魔法使い「戦うならば」
勇者「一緒にいて、いいのか?」
魔法使い「一緒にいて欲しい」
勇者「保護者みたいな?」
魔法使い「あははっ、そうだね」
魔法使い「巣立ちを見守って欲しい小鳥の気持ちかな」
勇者「ドラゴンも食うのに小鳥?」
魔法使い「確かに!」
やっぱり勇者は私を強くしてくれる
大切な幼馴染み
勇者「僕は魔法使いの事が好きだ」
魔法使い「ほあっ!?」
勇者「そして姫様が好きだ」
魔法使い「う、うん」
勇者「好きなんだ、弱い自分を乗り越え強くなっていく人達が」
勇者「だからぜひ、見守らせて欲しい」
魔法使い「ほんとに……勇者は慈悲深いと言うか……憧れてしまう程に……」
魔法使い「例え倒れるとしても、看取って欲しい」
私の覚悟は決まった

118 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/14(日) 21:01:49.32 ID:cFZqRu7AO
しかし魔王の居城への道は半端ではない険しさ
姫様には許可を得ているが勇者を連れてなお一週間以上の旅
途中ドラゴンがたくさん出てきて最高の肉が食べられたが
いやいや
過酷な高山を越え……
巨人もたくさん出てきたから食ったが
いやいや
魔法使い「敵も増えたし過酷な旅なのに何故か楽しいんだが」
勇者「肉ばっかり食べてるから?」
導師「たくさん歩いてなかったら確実に太りますね」
女兵士「竜肉とか体力完全に回復してくれますし」
エルフ兵「なんだか不思議な心地よさがあるんだな」
分かる
私にとっては憧れだった勇者との旅
私自身が自分の無能さ故の激しいコンプレックスがあって受け入れられなかった
勇者との旅を
今は堂々とできる
気付いた
今このパーティーを率いているのは自分なんだ
その自分が、自信に満ち溢れている
いつかお姫様に言った自分の言葉を思い出す
『巨人の肉も竜の肉も平らげたお姫様が何を怖じ気づくの?』
躊躇してるのは私らしくない
魔王も
平らげてやろうじゃないの!