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魔法使い「メラしか使えない」

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Part9
119 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/14(日) 21:04:28.35 ID:cFZqRu7AO
流石に熾烈を極める魔王城周辺
いくつかの魔物の軍隊を相手取る
大型故、数は少ないが強敵ばかり
超高速
魔法使い「メラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラ……メラメラメラメラメラメラ!!」
数体の魔物を一瞬で葬り去る
エルフ兵「魔法使いさん……なんたる魔力……」
勇者「すごいとしか言えない……!」
導師「届かないな……この魔力」
女兵士「ふはは……私役に立つかな?」
前例通り私の魔力は尽きない
目の前にあるのは焼け野原
後ろには灰の山
導師「うむむ〜っ!」
導師「ベギラゴン、マヒャド、イオナズ〜〜〜ンっ!!」
ドラゴン肉は魔力も回復する
導師も獅子奮迅の大活躍だ
魔王の主力軍が火山に落ちる小石のように心許ない
まるで落ち着いた庭園を散歩するように魔王の城に辿り着いた
魔王が引き笑いをしているのが見える気がする
城の中で遂に最強の側近と相見える
炎の化身……
私の倒すべき敵だ
女兵士の吹雪の一撃や導師のマヒャドは大きなダメージを与えられているようだ
私はメラをとにかく空中停止で無尽蔵に放つ
魔法使い「メラ、メラメラメラメラメラメラメラメラメラメラ……」

120 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/14(日) 21:06:12.42 ID:cFZqRu7AO
炎の魔物はどうして火山で無限に巨大になったり熱くなったりしないのだろう?
答えは簡単、そうなれないから
それは例えば酸素や燃料、魔力を束ねる意思の限界など、何らかの制限があるからだ
ならばそれを打ち壊したら彼らはどうなるだろう
生命が形を保てるのは、リミッターが存在する故である
魔法使い「メラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラ……!」
最初から感じていたが
私の魔力にリミッターなんか存在しない
この力……私が呪いを受け封じられた力とは…………
炎の側近は思っただろう
自分が火に焼かれて死ぬと思わなかった、と
束ねに束ねた炎を一気に撃ち込む
核まで燃え尽き、炎は消えた
…………
ついに来た
……………………
ついに
魔王がそこにいた
薄暗い部屋の中、荘厳な玉座に腰掛け、小さな冠を着けた
赤い髪に冷たい目線で少し気怠そうな、かつて見た美しい顔立ちのままの
魔王が、現れた

121 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/14(日) 21:10:52.87 ID:cFZqRu7AO
魔王「懐かしいな、その魔力」
魔法使い「久し振り」
魔王「やはり私の呪いなど小細工に過ぎなかったかな」
魔王が
なんとなく震えている?
魔法使い「何故私にこんな呪いをかけたか、聞きに来た」
魔王「……ここまで来たお前にはもう分かっているだろう」
魔王「お前のその力は世界の形有ろうとする物全てを破壊する…………破壊神の力」
理解した
魔王
きっとあなたは破滅を防ごうとしたのだろう
魔法使い「あなたは正しかった」
魔法使い「それが知れて、良かった」
魔王「ふふ、泣けることを言うじゃないか」
魔王「知ってるか?」
魔王「魔王とは破壊神を抑え込む最後の砦でもあると言われている」
勇者「破壊神を抑え込む……勇者の仕事のようだな」
魔王「おお、神託を受けた勇者まできたか」
魔王「いよいよあの世が近付いた」
魔法使い「ご冗談を」
魔王は依然強い力を保っている
破壊神を抑え込む?
魔法使い「あなたは平和に暮らしたかったんだね」
魔王「私は、そうだ」
魔王「よって魔法使いよ、私に一つ提案がある」
魔王「世界の半分を渡そう、私の仲間にならないか?」
?!

122 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/14(日) 21:13:29.59 ID:cFZqRu7AO
一瞬、意味が分からなかった
およそ悪らしい悪も行わず、侵略さえ否定しているように見える魔王
その提案は世界を制圧しなければ叶えられない提案
その意図する所とは
そうか…………
この理不尽な状況、すなわち自分を閉じ込める世界のルールを共に破壊してみないかと言ってるんだ……
破壊神の無尽蔵な魔力を持って生まれてしまった私や
魔王として生まれた彼女自身……
天国への扉はそのために準備しているのだろう……
神へ直談判でもするつもりだったのかも知れない
その提案への答えは、もちろんイエスだった
だが、魔王の提案に乗るのではなく、私は私であるために
…………こう、答えた
魔法使い「半分じゃ…………足りない!」
魔王はにいっと口角を上げた
魔王「強欲なる魔法使いよ、ならばここで滅びるが良い!」
戦闘が始まった!

123 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/14(日) 21:16:05.72 ID:cFZqRu7AO
魔王は
果てしなく強かった
最強クラスの呪文を何連打もし
ただ見守りに来た勇者さえ危なかった
私はメラを空中で固めて魔王の呪文を緩和するのが精一杯で……
例え私の魔力が破壊神の物でも、今の私にはメラしか無かった
メラを唱えた
メラ
メラメラ
メラメラメラ
まず空気を焼いたが、力ずくで突破された
いくつも高速でぶつけたが
全て打ち消された
私はいつしかメラで結界を作り
メラを槍に変え
メラを星に変えた
魔王「紛い物で私は倒せんぞ!」
魔王「貴様の呪いを解く唯一の手段」
魔王「それは私を殺すことだ!!」
勇者「……無茶だ…………でも!」
導師「お師匠様〜〜!」
女兵士「まだいけるっすか?」
エルフ兵「あなたはエルフの英雄……負けないで!」
魔法使い「メラ……メラメラメラ……」
魔法使い「メラメラメラメラメラメラメラメラメラ……」
そうだ
最初から私には
魔法使い「メラしか使えない!!」
魔法使い「メラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラ!!」
魔王「ぐっ、おおおおおおおおおっっ!!」


124 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/14(日) 21:17:50.20 ID:cFZqRu7AO
魔王にダメージが通っている
私は既に一回に百発を超えるメラを放っていた
魔法使い「メラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラ……!!」
魔法使い「メラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラ…………メラメラメラメラメラメラメラ!!」
魔法使い「メラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラ!!」
魔王「ぐおおおおおおおおおっ!!」
私の全魔力を
ぶつけるだけだ!
魔王「ぐはっ!!」
ついに、私の放つ魔力は魔王を上回り……
魔王「うおおおおおおおおっっ!!」
魔王は、ゆっくりと膝をつき
そして…………倒れた!
魔法使い「…………!」
魔王が倒れた瞬間
私の中の何かが溢れ出す
神父様に教わったおよそ全ての魔法も使えるようになったのが分かる
私は遂に、私の目的を自分の力で果たしたのだ
私にかけられた呪いは完全に、解けた…………!

125 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/14(日) 21:19:23.01 ID:cFZqRu7AO
私は震え、その場で立ち尽くしていた
魔王を倒したことでひょっとしたら破壊神の力を制御できなくなるのではないか
そんな不安が無かった訳ではない
力の奔流に戸惑いもしたが
だが自分は自分
その自分の意志を信じた
結果今ここにいるのは私自身
仲間達の声がかかる
導師「ついに、魔王を……お師匠様!」
女兵士「やりやがった、流石だぜ!!」
エルフ兵「ふふ……背中に汗をかいた……素晴らしい戦いでした」
勇者「魔法使い」
勇者「君が本物の勇者だな!」
魔法使い「…………!!」
私は遂に目的を成し遂げた
だから私は満足し……
そして次にやることも決まっていた
その時ーーーー

126 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/14(日) 21:21:22.73 ID:cFZqRu7AO
戦士「なんだ、魔王もう死んだのか?」
武道家「ちっ、俺らで手柄を立てて一旗揚げようと思ったのに…………!」
勇者たちが東の城でクーデターを起こした頃、この二人は居場所を無くしてしまったらしい
なんとか自分達が抱いていた、魔王を倒す勇者の仲間と言う妄想に縋ってここまで来たらしかった
私達がほとんどの敵軍を蹴散らした後で……
魔法使い「魔王を倒したいの?」
戦士「はあ?」
武道家「なんだお前、偉そうに」
魔法使い「魔王を倒したいんでしょう?」
戦士「……ああ!」
武道家「んだけど魔王はもう死んだんだろうが!」
私は魔王の小さな冠を拾い、さっきまで魔王が座っていた荘厳な玉座に
ゆっくりと腰掛けた
戦士「!」
武道家「それはてめえ、そう言うことで良いんだな?」
戦士「お前を殺したら俺達が魔王を倒したってことで…………!!」
ああ
それでいいから
魔法使い「そうだ、導師、あれを魔王にあげて」
導師「あれ、あ!」
導師は魔王に世界樹の葉を絞って与えた
魔王は息を吹き返した!

127 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/14(日) 21:23:44.16 ID:cFZqRu7AO
武道家「!?」
戦士「ま、魔王が……」
魔王「……なっ、なぜ……」
魔法使い「よく考えたら世界全部一人で統治とか無理だったわ」
魔法使い「それに」
魔法使い「私が災禍の種にならないよう、これからもよろしく」
魔王「は」
魔王「あっはっはっはっは!!」
魔王「最初からこうするつもりだったのか……」
魔王「お前は……面白い奴だ」
戦士と武道家はいきり立っている
戦士「俺達を無視してんじゃねえ!!」
武道家「無能者のくせに!」
まわりにいる全員がクスクス笑い出した
魔王もエルフ兵も女兵士も、可愛い導師や穏やかな勇者も笑う
戦士「な、なにがおかしい?」
武道家「くっ、お前を倒すだけだろうがっ!」
魔法使い「ああ、さっさと終わらせましょう」
武道家「けけっ、馬鹿め、俺達だって強くなってるんだぜ!」
戦士「手柄はもらったあっ!!」
二人が襲いかかってくる
およそこの世の全ての魔法を知り尽くし
無限に近い破壊神の魔力を持ち
魔王の玉座に座る覚悟を持った私は最初にこう唱えた
魔法使い「メラ」
ーー終わりーー

128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/12/14(日) 21:29:07.94 ID:AhF4jOhmo
お、おぉ?レスしていいふいんき?
おつおつ、すげーワクワクした
しかしなぜずっとsage進行だったのか・・・

129 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/14(日) 21:31:36.71 ID:cFZqRu7AO
かなり速い展開でしたがこれで終わりです
あとおまけが一個あります
武道家と戦士はめでたく灰になりました
まあ勝てないよね
スタートと最後の魔法使いが魔王の玉座に座るシーンだけ考えて始めたんですが総じてご飯要素多かったですね
あれが無かったら鬱々とした展開の末破壊神になった魔法使いが勇者に倒される鬱エンドになったかも
ともあれここまでお付き合いありがとうございました
たっぷりご飯食べて下さい

130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/12/14(日) 21:35:52.91 ID:zUxbbUFrO
乙でした
まさか飯レポなしで締めないよね?

131 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/14(日) 21:36:12.07 ID:cFZqRu7AO
ーーおまけーー
導師達と、後から勇者に連れられてきたお姫様は、魔王城の台所を走り回っている
竜肉でシチューを作ったり恐竜の唐揚げや揚げ魚のあんかけを作ったり
旅の最中はあまり出来なかったパスタやご飯を使った料理
チーズやハム、新鮮な野菜のサラダや炒めもの、デザートも
それはそれは豪華なご馳走を作っていく
戦いが終わった記念に大パーティー
ただ椅子に座って待ってるのも暇だ
ふと、何故メラだけは使えたのか気になったので
魔王に聞く
魔王「そりゃ封印が完全だと逃げ場を無くした魔力が暴走して本当の破滅を招くからな」
魔王「言うならば魔力の逃げ場、水が貯まり続ける皮袋に開けた穴」
魔王「そこから呪いが破綻しないように滅茶苦茶気を使った」
魔王「まあメラならいいか、と、その辺りは適当だったな」
はあ、器用なことで
話が終わった所でパーティーは始まる
「かんぱ〜い!」
……その後、私達は世界を平和に支配し神に会って文句を言うのだが、それはまた別のお話
全てが終わったら私はまた旅に出るだろう
これまでの自由を得るための旅が無駄にならぬように
ーー終わりーー

132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/12/14(日) 21:42:53.14 ID:eENRFLe3O
おつ
やっぱおもしろかったわ

135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/12/14(日) 21:48:29.85 ID:NXRW+eN8o

次も楽しみにしてる

136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/12/14(日) 22:26:03.85 ID:FVEDSSXAO
乙!
面白かった!次も楽しみにしているぜ!