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魔法使い「メラしか使えない」

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Part2
13 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/06(土) 23:17:11.04 ID:PwdxvtBAO
私は盗賊の金で服を買い換え、宿に泊まる
翌朝船乗りが宿に迎えに来てくれた
はやく海の幸、じゃなくて船に乗ろう
船乗り「じゃあ先生、船長に紹介しますんで」
先生とかくすぐったい
船長の部屋に案内される
船長「この娘さんが凄腕の魔法使いさんか」
魔法使い「メラしか使えない」
船乗り「ちょっ、メラ十発以上一気に放てます!」
船長「メラ十発……下手な魔法より威力が高そうだな」
魔法使い「燃える物はなるべく置かないで」
船長「船は海賊に備えて火が着きにくくなってる、心配しないでメラを何百発でも放ってくれや」
船長「賃金は……こんなもんでいいか」
宝石が幾つか買える額を提示された
即座に二つ三つ首を縦に振った私
海の幸は食べ放題だし、海は渡れるし、大金をもらえるし、とてもいい仕事だ
いや、まだ海の幸は食べられるか分からないが
船が出る
……酔う
船乗り「せ、先生!」
海に撒き餌をしたので魚や蟹やイカが寄ってきた
……魔物だが
船長「お前ら、魔物だ〜!」
勇者「分かった」
戦士「任せときな!」
武道家「お安いご用だぜ〜!」
同じ船に乗っていたのか、勇者達…………

14 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/06(土) 23:19:14.29 ID:PwdxvtBAO
勇者はこちらに気付いて笑顔で駆け寄ってくる
子犬のようだ
勇者「魔法使い!」
魔法使い「久しぶり……うぷっ!」
思わず勇者を美しいゲロまみれにする所だった
這い上がってきた魔物が甲板を埋め尽くす
魔法使い「メラ、メラメラメラメラメラメラメラうぷっメラメラメラ……おえっ!」
これでは感動の再会がゲロまみれだけど
とりあえず海の幸ゲット……お腹空っぽになったしちょうどいい
船室に帰る
勇者「すごいメララッシュだったね!」
魔法使い「……たいしたこと、ない」
船長「いやあ、金の分は仕事してくれたぜ!」
船乗り「百近い魔物半分以上が焼き料理です」
魔法使い「いただきます」
目の前の海鮮料理を素手で掴みかぶりつく
しっかりした歯触りに潮の香りが口一杯広がって……
魔法使い「美味しい……」
ひたすら食べる
食べる
戦士「……すげえな……」
武道家「さっきまであんなに吐いてたのに……」
勇者「魔法使い、改めて僕のパーティーに入らないか?」
私は不快な二人を見ないように口と手をハンカチで拭いながら、口の中の物を飲み込むと言った

15 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/06(土) 23:22:34.78 ID:PwdxvtBAO
魔法使い「いや」
勇者「どうして?」
勇者は優しいのだが、空気は読めない
昔からだ
魔法使い「愉快な女一人旅、邪魔しないで欲しい……」
勇者「そ、そうなの?」
その不愉快な二人の顔を見ながら旅など、とんでもない!
レアアイテムを勇者が捨てようとしたらそれを捨てるなんてとんでもない!と突っ込むレベルでとんでもない
それに魔王なんてどうでもいい
私は私の呪いを解きたい
それだけだ
船は一週間ほど航海を続ける
多少酔わなくなってきたし
海鮮料理も毎日海から這い上がってきた
良い旅
魔王の大陸の港につき、勇者と船乗り達に別れを告げると街を散策する
あ、戦士と武道家は無視
魔力の強い者達の町の場所を聞く
いくらかアイテムや食料を買い込むと、宿に泊まる
海が見えるお風呂が素晴らしい
船長が気前が良くて良かったな……
朝早くに出る
草原の旅は気楽だった
獲物が見つかり辛いのは困るが
兎の塩焼きが襲ってきたので、食べた
もとい
兎の魔物が襲ってきたので、メラで焼き、ナイフで解体して塩で焼いて食べた
港町で手に入れた胡椒が美味しい

16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/12/06(土) 23:23:58.74 ID:oF2RWu45o
もう半分ぐらい食べる事で頭がいっぱいじゃないかwwwwww

17 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/06(土) 23:25:49.25 ID:PwdxvtBAO
いつか魔法使い美食旅って本でも書いて出版しようかな?
普通の人は草原で野兎を焼いて食べないか
兎以外の食べられそうにない魔物に襲われたが、海での経験も有ってかだいたいは返り討ち
しかし防御力の無さは変わっていない
報酬で買った身かわしの服が無ければきつかっただろう
裁きの杖と言う杖も使い勝手が良い
振りかざすと集団攻撃の魔法が放たれる
メラ以外の魔法が使えたと言う事で、じーん、としてしまう
途中で猪のような獣人、オークが出た
塩で焼けば食べられなくはなかった
オークを食べた人はあまり居ないだろうな
厄介なのはメタル系のモンスターだ
メラで溶けるまで放ちに放つ
倒せなくは無かったが、食べられなかった
お腹空いた
仕方なくパンを食べた
喉が渇く
美味しくない
だいぶ獣に近付いたなあ
何日かかけて町に着く
町は小さいが魔導師が多いようで、何か故郷に帰ってきたような気分だ
道具屋や武器屋も魔法使い専門店ばかり
旅の身じゃなければ住みたいくらいだ
ここでキメラの翼と言う記憶にある街に転送してくれるアイテムを手に入れた


18 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/06(土) 23:28:04.07 ID:PwdxvtBAO
町の中を歩く
情報を集めるために酒場を兼ねた魔法使いギルドの建物を訪れた
まずはキノコのグラタンを頼む
うん、たまには肉以外食べないとね!
美味しくグラタンを食べていると見知らぬおじさんがテーブル対面の椅子に座った
あげないよ……いらないか
そのおじさんは笑って自己紹介した
ギルド長「私はここのギルド長です」
……ギルド長だったのか
ギルド長「旅人は珍しいからね、薬を求めてくる商人くらいで……」
私は獣食べ歩き旅……ではなく呪いを解く旅をしていると話した
旅先でこの話をしたのは初めてだな
ギルド長「呪いか……しかも神官でも解けない……興味深い」
魔法使い「誰か解ける人は居ませんか?」
ギルド長「何人か当たってみよう」
魔法使い「あの、お金はあまり有りませんが……」
ギルド長「こちらは研究になるからギブアンドテイクで良いよ」
有り難い
でも私に何か出来ることは無いだろうか
聞いてみた
ギルド長「少し面倒なミッションがある」
ギルド長「魔法の通じ辛い動く石像が研究対象の神殿で暴れている」
魔法使い「危険ですね……」
ギルド長「断ってくれて構わない」

19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/12/06(土) 23:29:17.79 ID:mn4uLc/ZO
この魔法使い、この世で一番お金が大事とか言い出しそうだな

20 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/06(土) 23:29:58.95 ID:PwdxvtBAO
ギルド長「呪いについてはさっきも言ったように研究価値がある、喜んで調べさせてもらう」
魔法使い「一応行ってみます」
ギルド長「では一人お供をつけよう」
ギルド長はそう言うと席を立った
今のうちにグラタンを頬張る
あつあつうまうま……
サラダや魚のソテーを頼んで食べていると、ギルド長に連れられて私と変わらないくらいの年格好の少女が訪れた
ギルド長「よく食べるな」
ギルド長「こちらの導師、回復魔法にも攻撃魔法にも長けていて賢者にも匹敵する人材だ、連れて行ってくれ」
導師「よ、よろしくお願いします……」
もう半分ケダモノの私と比べて、可愛い
兎の塩焼き好きかな?
導師「神殿までの道、ご案内致します……それにしてもギルド長に聞いたとおり魔王のような魔力の持ち主ですね……」
魔法使い「メラしか使えない」
導師「ほわっ!?」
魔法使い「変わりにメラを一度に二十発放てる」
導師「ほえっ!?」
反応が可愛いなあ
ギルド長「ぜひ見てみたい」
どうやらより深く研究対象にされたようだ

21 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/06(土) 23:32:04.86 ID:PwdxvtBAO
………………
私は物言わぬわら人形に向かい、唱える
魔法使い「メラ」
魔法使い「メラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラ……」
魔法使い「……ラメーッラメラメラ」
わら人形は灰になってしまった
導師「ひゃっほーっ!」
導師はハイになってしまった
ギルド長「こんな凄まじい連続魔法は見たことも聞いたことも有りません……凄まじい素質をお持ちですね」
ギルド長「このいかずちの杖を差し上げましょう、良い物を見せてもらいました」
やった
いかずちの杖はかなりな高級アイテムだ
攻撃力も非常に高い
もう魔法だけで戦わなくても済むんだ
正確にはメラだけ
導師「こんなすごい人と旅ができるんだ……」
ん?
何故か導師が旅の仲間に加わったようだ
神殿までのつもりだったのだが
オーク食べられるかな?
なんとなく詐欺のような気はするが黙って歓迎すると告げて
導師「嬉しいです、お師匠様!」
賢者に匹敵する彼女に師匠はいらないと思うが
まあ心強いし、いっか

22 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/06(土) 23:34:18.92 ID:PwdxvtBAO
こうして女二人旅が始まった
手始めに神殿に向かう
途中で兎を見つけて
魔法使い「食料」
と呟くと導師の顔が引きつった
魔法使い「食料」
もう一度言った
導師の顔は青くなった
魔法使い「メラメラメラ」
兎が上手に焼けた
とりあえず解体して、火を起こし肉を炙る
塩と胡椒を振る
一口かじれば
んーまーいっ!
はいっ
導師に差し出す
導師イヤイヤと首を振る
匂いを嗅がせる
お腹は空いてるはず
仕方なく、導師は兎にかぶりつく
目が星になった
導師「おおお……美味しい?!」
魔法使い「高級食材、兎のジビエ」
導師「もう一匹狩りましょう」
おう
成長したな
やはりサバイバルは人間を育てるようだ
都会的な可愛い導師が野性味溢れる美少女になるのも遠くない
彼女は強力な真空魔法で野兎を狩った
すごい魔力無駄遣い
メラしか使えない私にはうらやましくもある
二人で野兎を三匹平らげた
そのまま草の上で寝る
導師は少し逡巡したが、同じように草の上で寝た
再びギルド長とまみえる頃には獣臭の漂ういい野生児ができているだろうか

23 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/06(土) 23:37:14.51 ID:PwdxvtBAO
一晩明けてようやく神殿に着いた
ボロボロの神殿だが所々古代文字が残っている
確かに研究価値がありそうだ
その神殿の奥、あからさまに不自然な石像があった
導師「あれです、お師匠様!」
魔法使い「分かった、導師は回復のために魔力を温存して回避に専念」
導師「はい!」
魔法使い「メラ」
私は試しに石像にメラを浴びせる
多少は欠けたか
石像はこちらに気付き、襲いかかってきた
身かわしの服のお陰でひらりとかわせる
魔法使い「メラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラメラ……」
メラを二十発一気に片腕に放つと、ずずず……と音を立ててその腕がくずれ落ち、石畳に当たって砕け散った
導師「流石です!」
その調子で私達はなんとかダメージを受けずに石像を倒した
一撃もらえば死んだかも知れないが……
快勝では有ったが、今後こんな敵がたくさん現れるかも知れない……
少し先が不安になった
せめて呪いが解ければ良いけれど……
呪いが解けたら
旅も終わるのかな?
最初は喉は渇くしお腹は空くし、良いことのない旅だったのに
私は少し惜しくなっていた

25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/12/06(土) 23:51:54.95 ID:a/GWpH6To
もしかして魔法使いって勇者きらいなの?

26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) :2014/12/06(土) 23:52:19.59 ID:A0MJ0pwx0
面白い

27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/12/06(土) 23:56:05.34 ID:oF2RWu45o

導師ちゃんキャワワ

28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/12/07(日) 00:02:20.24 ID:mL9yEzjzO
五指爆炎弾を使うのかと思ったらそれ以上だった恐い

29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/12/07(日) 00:04:20.72 ID:E7DhDjHYO
支援

30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/12/07(日) 00:06:47.11 ID:OX2o/qdUo
フレイザードも真っ青になるレベル

33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/12/07(日) 03:09:28.72 ID:21Lu7oD10
>>30
元々半分真っ青じゃねえか!