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少女「君は爆弾に恋をした」

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Part4
37 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/10/26(日) 18:27:17.01 ID:nePH+j+AO
博士「だがもし見つかったら、逃げろ」
博士「お前たち二人が生き抜けるだけの金はある」
少女「お母さんも一緒に」
男「そ、そうですよ」
博士「私と一緒だと人体実験するぞ?」
脅しか冗談か分からない
まさかいきなり解体はされないだろうけどやりそうな人だ
いやいや、まさか
少女「どうしても逃げられないなら誘拐に来た組織と一緒に爆発する」
男「爆発なんかさせないから……」
博士「……彼女を守ってやってくれ」
男「はい……彼女の方が強いですけど」
博士「ははっ、それはそうだ」
博士「並みの軍隊なら壊滅させられる程度は強くできてる」
……どうやっても彼女を超えるのは不可能だと思った
僕の役目は彼女の邪魔にならないように彼女を心で支えること
そう決めた
彼女たちと別れ、帰り道
今日のデートを思い出して、余韻に浸る
可愛かったなあ、彼女
次の休日に僕たちは山に行くことに決めた
学校で二人きりになるといつも前のデートの話と次のデートの話をしている
山登りの次はどこに行こうかな、なんて気の早い話をしてみたりもした

38 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/10/26(日) 18:29:04.68 ID:nePH+j+AO
女「盛り上がってるね〜」
男「おう」
少女「すごく楽しみだ」
男「ん」
少女「どうした?」
男「女にお返ししないとなって」
少女「そうだな、私たちを付き合わせてくれて、ありがとう」
彼女の真っ直ぐなお礼に、女は真っ赤になった
女との付き合いは中学からだが、こんな風に動揺したのを初めて見た
僕は追い討ちをかけてみた
男「女って誰か好きな人いないの?」
女「いないよ、みんなと遊んでるの楽しいし、恋愛は、私は、どうでも」
どうやら主導権はこちらにあるようだ
何かいいお返しのアイデアはないかな
男「誰もいないなら友と付き合ってみたら?」
女「ファッ!?」
女「じょじょじょじょ……」
女「冗談でしょあんなダメ男!」
うん、友達だけどそう思う
脈無しじゃ仕方ないな
女「あ、あいつがどうしてもって言うなら、か、考えなくも、ないかも……」
おや……?
そう言えば僕らはずっとグループで遊んでいたのに、女が少女と僕につき合うように言ってきたのは妙だ
グループの中にカップルが出来たらどうなるか
つまり女は僕には興味がない事を示し
恋愛に興味がある事を示した

39 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/10/26(日) 18:31:28.48 ID:nePH+j+AO
あのグループの中で僕以外の男は友だけだ
ひょっとしたらずっと女は友が好きだったんじゃないだろうか
だとしたら友の方をその気にさせる必要があるだろう
女は強情なのだ
男「ま、この話は登山の後だな」
僕は女に助け船を出した
確実に女を落とすためには一度こちらが引いて見せるのは効果的だろう
女「そうね、まあこんな話もうしないで欲しいけどね」
動揺は隠せてないよ
女はくるりと背を向けると上機嫌で去っていった
僕らにまた新しい楽しみが出来た
少女「君は策士だったのだな」
男「もっと色々考えないとさ」
男「君を守るためにも……」
少女「ん……」
少女「ありがとう……ありがとうな」
僕は彼女を爆発させたりしない
絶対に
男「僕は君が好きだ」
少女「……ずるいな」
男「ずるいかな?」
少女「私からも言わせて欲しい……」
少女「あなたが好き」
心臓が止まるかと思った
もう一回は、好きと言われていたのに
何故かすごくドキドキした
男「……」
少女「……」
友「はいはいそこまで〜!」
眼鏡「こんにちは、少女ちゃんフリー化連盟です」
なんか来た

40 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/10/26(日) 18:33:36.51 ID:nePH+j+AO
友「公衆の面前でいちゃいちゃするなど二人の罪状はめいはくうううう!」
眼鏡「我々は少女ちゃんをゲットしたいと言う欲求を包み隠しもせず行動するものである!」
友「そこ言っちゃダメええええ!」
バカだった
僕はすかさず頭を回し、友も女も落とせる方法を考えた
まずは軽く
男「友さ、女と付き合ってみない?」
友「ファッ!?」
女とおんなじ反応した
眼鏡「貴様、我らが血盟を裂こうと画策するか!?」
眼鏡が邪魔だ
とりあえず無視するか
男「女の方は脈ありなんだけど、こういうことって男子から言うべきだと思うんだよな」
男「ほら、僕の場合逆だったからさ」
自分が不利になるかも知れない条件を梃子にして相手にダメージを与えていく
友「ででででででででで……」
友「でもあいつ凶悪だし!」
否定はしない
眼鏡「友殿!惑わされてはなりませぬ!これは奴の策略なりますぞ!」
眼鏡邪魔だな
僕はこっそり少女に耳打ちした
奴の眼鏡を奪い追いかけっこだ!

41 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/10/26(日) 18:36:09.56 ID:nePH+j+AO
我ながら黒い
黒いな〜
少女「ラジャ!」
少女は眼鏡からトレードマークを奪い、追いかけっこを始めた
もちろん少女を捕まえるのは不可能だ
少女「ほら、こっちだよ〜」
眼鏡(眼鏡無し)「待って愛しのマイエンジェル!」
眼鏡って眼鏡取ったら可愛いじゃないか
恐らく視界が悪いのだろう、ふらふらと走る眼鏡を見送って
僕は友を落としに行く
男「女は友をずっと待ってるんだぞ」
男「モテたいとか言いながらお前は自分がヘタレだと思わないのか?」
友「ぐふうっ!」
ここでトドメを刺してしまうか
男「女が言ってたぞ」
男「友が好きって言ってくれたら素直になれる、って」
ギリギリ嘘では無いはずだ
友がガタガタ震え始めた
男「お膳立てはしてやる、お前は心を決めるだけだ!」
崖っぷちの友の背中を爽やかに押してやった
友「ししししし……し、仕方ねえな〜〜」
よし、勝った
僕は彼女との登山の後、二人をくっつけることにした
話がまとまった所で彼女が帰ってくる
少女「ただいま」
遙か後ろで眼鏡がぜえぜえと、今にも倒れそうな状態で帰ってきた
悪いな、彼女は僕のものだ


42 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/10/26(日) 18:38:30.09 ID:nePH+j+AO
少女「私の彼はだーくさいどだったのだ」
男「だーくさいどではないよ」
少女「んふふ……」
少女「あなたのお陰で、毎日楽しい」
僕もだよ
僕らはまた、人目もはばからず抱き合ったりした
やがて登山デートの日になった
いい天気だった
僕は彼女といつもの公園で待ち合わせした
少女「いつも私の家の近くで待ち合わせで、悪いな」
男「気にしなくていいよ、ここまで歩く時間も楽しいし」
少女「そうか」
少女「いい天気だな……爆発日和だ」
なんとなく分かる
今回のは冗談だ
男「あはは、もう僕は手を繋いだだけで爆発する自信あるよ!」
少女「爆発したら困るけど、手を繋ぎたい……」
男「ん……」
手を繋いだ
なんで何回繋いでもドキドキするんだろう……
僕たちは近くの駅から電車に乗る
まずは色々食べ物を買い込んだ
二人でお弁当やおやつを選ぶのも、すごく楽しい
発車時刻よりかなり早く、僕らは駅のベンチに座る
体を寄せ合う
温かいって……幸せだ

43 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/10/26(日) 18:40:22.98 ID:nePH+j+AO
電車が着き、彼女と座席に座る
発車までは二人でとりとめもない話をして、笑いあう
発車少し前に一つお菓子を開けてみた
少女「甘いね」
たった一言がなんだか心に染みる
男「お、動き出した」
少女「しゅっぱ〜つ」
男「しゅっぱ〜つ」
あはは、恥ずかしいよりなんだか楽しい!
変わりゆく景色は住宅地、商店街を経て、山の中へ向かう
まず住宅地
少女「高いマンションがいっぱいだな」
男「ああ言うとこ住みたい?」
少女「どうかなあ? 私は色々な所に行ってみたいな」
分かる気がする
二人で、色々な所で暮らしたい
この電車には何度も乗っているのだが、二人で見る景色は全く別の世界だった
商店街
男「あ、あそこ初デートした映画館」
少女「そうなんだ、電車から見るとなんだか違う感じだな!」
男「違う街みたいだよね」
彼女が歌う
少女「もっともっと走って、僕らの思い出を〜、もっと楽しい世界に広げていって〜♪」
少女はゲームなら無敵だ
別にリズム感が無いわけじゃない
今の歌は上手かった
男「……」
少女「あ、ごめん……下手な歌歌って……」

44 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/10/26(日) 18:43:04.28 ID:nePH+j+AO
男「いやいや、上手かった」
少女「ほんとに?」
男「君の歌が下手だったのは曲を覚えてなかったからなんだよ、リズム感は抜群だもん」
少女「そ、そうか」
真っ赤だ、可愛い
僕は彼女と肩を重ねあった
……幸せだな……
男「まだ五つくらい駅があるんだよね」
少女「まだそんなに……」
少女「……爆発しちゃう」
僕もだよ
幸せだな〜
美しい山々の合間に、海が見える
季節が一巡りして夏になれば、彼女の水着も見られるのかな
俄然やる気になってきた
例え敵が世界でも、僕らの世界は守り抜く!
二人を乗せた電車は山並みを縫っていく
いよいよ目的地が近い
僕らはもう一つお菓子を開けた
少女「普通の芋チップだけど、なんだろう」
男「すごく美味しいね、ただの塩味なのに」
少女「うん」
少女「あなたといると、なんで全てが美味しくて綺麗なんだろう……」
男「……」
僕だって同じだよ
目的地に着いた
これから更に山に登るんだな、と思っていると
君は元気に走り出す

45 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/10/26(日) 18:44:58.88 ID:nePH+j+AO
秋の終わりに彩る山々が僕らを迎える
鮮やかに明るい
毎年訪れる季節、毎年違う景色
今だけの景色
足下は砂利道
山奥へ続く道
いくらかの家族連れやカップルの登山客を横目に、僕らは彼女が爆発できる窪地を目指した
風の匂いが心地いい……
温かい彼女の掌
少し寒い山の中で、唯一頼れるもののような気がする
小さな川が流れている
男「魚釣れるかな?」
少女「こういうとこでキャンプして、焼き魚とか食べたら美味しいだろうな……」
男「空気も最高だしね」
ずっと先まで僕らは一緒だ
だから僕はずっと先まで僕らのデートの計画を練ろう
道が少し悪い
君も少し歩きにくそうだ
僕が珍しく君をリードしている
男「気をつけて」
少女「うん」
風が少し冷たくなる
道を間違えたか、標高が高くなったのを感じる
男「爆発するならこの谷間かな?」
少女「そうだね、ちょっとここからだと降りづらそう」
男「まあ今回はもう少し登ってみようか」
少女「うん」
綺麗だ
鮮やかな紅葉
彼女もそれに気付き、二人でずっと下の森を眺めて
深呼吸する