犬娘「魔王になるっ!」
Part24
295 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/11(木) 22:48:04.32 ID:VB4pug8AO
この状況では外交官監禁の説を採用し、戦争を仕掛けるしか民をまとめる手段がない
黒衣により、追い詰められているのかも知れない
銀騎士の胸には、既に焦りしか無かった
そこに黒衣の魔女は現れた
黒衣「……心配……、しなくていい……、力を貸す……」
銀騎士「貴様の手は借りん!」
黒衣「無理……、あなたでは……、かてない」
銀騎士「消えろ!」
黒衣「……、まあ、……手を……、貸すけどね……」
黒衣の魔女は何事かを呟くと、消えた
黒衣の魔女の考えている事は分からない
しかし、何かされる前に、攻めるしかない
銀騎士は自分が育てた騎士たちを見ていた
自分が魔人王に勝てるとは思っていない
恐らくは敗北するために
銀騎士は兵達に宣言した
銀騎士「進軍する!」
…………
犬娘たちは仕事に一段落がついたので、村を散策しながら春の気配を探していた
犬娘「もう暖かくなってきたね〜」
メイド剣士「一応カイオウ島は南方の島ですからね」
白導師「まあ雨期前まではまだまだ寒いんだけどね」
メイド剣士「雨期かあ、今回は大丈夫かな?」
犬娘「女拳士ちゃんと勇者ちゃんは?」
296 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/11(木) 22:50:50.52 ID:VB4pug8AO
メイド剣士「二人とも街道整備を手伝ってますよ」
犬娘「街も平和だね〜」
メイド剣士「そりゃこの街は屈強な竜人に勝ち、大木も山も砕く大魔王様が支配してますから」
犬娘「へえ〜」
犬娘「って私だ!」
白導師「いひひ、可愛いね〜」
犬娘「こわいこわい」
白導師は犬娘に襲い掛かろうとした所で気付いた
命の木霊が、激しく震えている事に
…………
少し前ーー
虎娘「敵襲、敵襲〜!」
犬戦士「お前ら、早く門を閉めろ!」
衛兵たちは急いで砦に入り、門を閉めた
火矢が飛んでくるが、獣人たちは容易にそれをかわし、弾き返す
犬戦士は門の前に飛び降り、ハンマーを振り回した
魔人王程では無いが、犬戦士もチュウザンの戦士である
並みの兵は全く相手にならない
一万はいると思える兵が、たった一人の獣人に苦戦する
犬戦士「流石に体力持たないからな、この辺で逃げるか!」
犬戦士が砦に跳び帰ろうとした時
黒い閃光が犬戦士を貫いたーー
…………
白導師「駄目だ、みんな拠点にいやしねえ」
メイド剣士「転送魔法も大きい魔力を消耗します、メッセージは伝えましたから早く犬さんの所に……!」
メイド剣士「飛びます!」
297 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/11(木) 22:52:44.19 ID:VB4pug8AO
犬戦士は倒れたもののまだ息をしていた
虎娘は必死に犬戦士を砦の中に引き入れた
暫くして、白導師たちは駆けつけた
白導師「バカ犬、私の蘇生魔法があるのに簡単に死ねると思うなよ?」
白導師はさっと手をかざすと、術師のそれよりも強力な蘇生魔法を使った
メイド剣士「すごい……」
もはや虫の息だった犬戦士はすぐに起きあがるまで回復した
犬戦士「あれ?」
白導師「ふっふ〜ん」
犬娘「すごいね!」
外では砦を砕こうとする兵達の怒号が響いている
犬娘「私がやっつける!」
白導師「流石にあの数は厳しいと思うけど」
メイド剣士「私も行きます、何かあったら白導師さんと虎ちゃんに任せます」
白導師「おう、死んだらいつかみたいに可愛くラッピングするよ?」
メイド剣士はニヤリと笑う
メイド剣士「お断りです!」
…………
犬娘達が砦の上に立つとそこには異様な光景が広がっていた
兵達は黒い炎を纏い、白目まで燃えるように赤い
敵兵A「うあああ……」
敵兵B「じにだぐ……なああああい……」
敵兵C「がらだが、がらだが……」
メイド剣士「……真空斬!」
298 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/11(木) 22:54:37.08 ID:VB4pug8AO
かつて戦った黒い泡を思い起こす有り様だった
メイド剣士はもはやこの世の物とは思えない敵兵達を見ると、躊躇せず最強の斬撃を放った
敵兵達は鎧ごと真っ二つになって飛んだが、まだ動いていた
そこから更に異変が起こる
敵兵の半身は土や木を取り込み、再び襲いかかってきた!
犬娘「なに、なにこれ〜!」
犬娘「雷牙拳!」
犬娘は力を温存しつつ、敵を殴り飛ばす
犬戦士「気をつけろ、奴が、黒衣の女がいるぞ!」
白導師「ちっ、ちょっと敵を攪乱して帰っといで!」
白導師の号令で、犬娘達は敵を何人か薙ぎ倒してから砦に帰還する
白導師「……」
メイド剣士「ど、どうしましょう?」
白導師「あれも魔法で動いてる以上限界はある」
白導師「だけど大規模すぎる……、恐らくは何らかの魔力補助を使っているはずだ」
白導師「持久戦になると、はっきり分が悪い」
メイド剣士「でもいつまでもここに籠もっているわけには……」
白導師「いや、勇者ちゃんたちを待とう、あと犬娘ちゃんは魔力消費高すぎる」
メイド剣士「ですよね、能力強化をかけて魔法なしで戦った方が良いですよ」
犬娘「そうする」
犬戦士「おい、白、あれあるか?」
299 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/11(木) 22:56:22.80 ID:VB4pug8AO
白導師「こいつらにはネタもバレてるし、いいか」
白導師「みんなこっちおいで、採寸するから」
メイド剣士「?」
犬娘「くすぐったい」
メイド剣士「ちょっ、どこ触ってるんですか!」
白導師「うおお、幼女触り放題……」
メイド剣士「真空斬」
白導師「無駄な魔力使うな!」
足下の石畳が裂け、白導師はガクガク震えながら作業を進める
何やら太い糸で三人の体を包んで行く
そして取り出した光る石をかざした
白導師「これが私の必殺魔法防具、光の衣!」
強い光が三人を包むと、数瞬後三人は白い衣をまとっていた
犬娘「これ、すごい!」
メイド剣士「こんな簡単にマジックアイテム作れるんですか?!」
犬戦士「即席白衣は半日しか保たないからな!」
犬娘「十分だよ!」
メイド剣士「何か一万の敵にも勝てる気がしてきました」
虎娘「危なくなればあたしが助けます!」
白導師「いっといで!」
…………
三人は白衣をまとうと再び敵を蹴散らしていく
更にメイド剣士が全員に能力強化をかける離れ技を使う
押し寄せるハマミナトの邪兵たちをどんどん蹴散らしていく
しかし、邪兵たちはお互いを取り込み、力を増していく
300 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/11(木) 22:58:21.42 ID:VB4pug8AO
犬娘「だんだん強くなるよ!」
メイド剣士「これ、流石に全員が一体になったりしたら……」
犬戦士「ぞっとした!」
三人は少しずつ疲れてもくる
犬戦士「しんどいな、これ!」
メイド剣士「味方に半端な兵を入れても駄目だし……」
そんな中、空から声が響く
緑竜「魔王様、今ご助力致します!」
突如空に巨大な緑の竜が現れた
犬娘「緑竜ちゃんなの?」
緑竜「これが我の真の姿です!」
緑竜は激しく燃えるブレスや、全てが凍てつくようなブレスで敵を薙払っていく
竜女「私も加勢致しましょう!」
竜女もまた、真の姿で現れ、神の杖に匹敵するような閃光のブレスを放った
メイド剣士「流石はドラゴン、大規模破壊の権化ですね!」
犬娘「私も大規模破壊したい〜!」
メイド剣士「魔王様は手加減出来ないんだからやめてください!」
犬戦士「これはかなり楽々だな!」
しかし、一万と言う数はそう生易しくは無かった
やがて結合する敵は、闇を吐き出しはじめる
緑竜「くっ、厄介な!」
緑竜の羽にはいくらか傷が開き、血が雨のように降ってくる
犬娘「緑竜ちゃん、白導師ちゃんに治してもらって!」
緑竜「分かりました!」
302 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/11(木) 23:00:50.74 ID:VB4pug8AO
竜女は目にも止まらない速度で左右に飛び、敵に狙いをつけさせない
犬娘「竜女ちゃん強いよ!」
犬娘の横に、三人の兵が現れる
女騎士長「お待たせいたしました!」
第一兵長「お力添えを!」
第二兵長「ドラゴンよりは弱いけどぉ〜」
犬娘「ありがとう!」
女騎士長は二人に号令をかける
女騎士長「合体魔法、トライアングルレイソード!」
第一兵長「おおっ!」
第二兵長「はあ〜い!」
三人が閃光を放つと三角の光の枠が生まれ、それらの中心に魔力が溜まっていく
女騎士長「はああっ!」
女騎士長の咆哮とともに、強烈な閃光が敵陣を襲う
敵の三分の一はその一撃で吹き飛んだ
犬戦士「世界は広いな、こんな技なかなかないぞ!」
メイド剣士「これぞ超級魔法!」
犬娘「これなら勝てる!」
女騎士長「すみません、今の技一度が限界です!」
メイド剣士「ですよね」
犬娘「後は任せて!」
白導師「深追いは禁物だ、戻れ!」
虎娘「皆、撤退ーっ!」
八人は砦の中に戻り、一旦体を休める事にした
女騎士長「敵はだいぶ怯んでるみたいですね」
犬娘「攻撃来ないね」
第一兵長「女拳士さんたちももうすぐ着くはずです」
303 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/11(木) 23:03:52.70 ID:VB4pug8AO
メイド剣士「押してるのに勝てそうな気がしない……」
第二兵長「異常にタフだよねぇ〜」
メイド剣士「あんな風に人間を弄んで……、黒衣の魔女……」
犬娘「許せないね」
竜女「あのような魔法は百年生きてますが初めて見ました」
緑竜「破壊神の記録には、闇の力の結合についての記述はありますが」
白導師「それは光の力もおんなじだよ、伝説の大僧侶様の記録ではね」
白導師「当時の破壊神戦争では全員の力が共鳴して、それは大規模な魔法力を発現したらしいよ」
勇者「二百年前の記述は世界中に残ってるね」
メイド剣士「勇者さん!」
ようやく戦場に勇者と女拳士が現れた
女拳士「お待たせ!」
戦力は十分に整った
…………
勇者「とりあえず、敵の砦を奪うこと、黒衣の魔女を発見することが最初の目的だな」
女拳士「しかし、厄介な敵だぞ」
白導師「さっきも言ったようにどんどん土も木も取り入れてるから、魔力を奪うか魔力供給の元を絶つ必要がある」
メイド剣士「倒したら少しは敵が引いたことを考えると、最後の一体まで倒しきれば良いのかも」
304 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/11(木) 23:08:19.05 ID:VB4pug8AO
勇者「その間どんどん強くなるんだろ?」
女拳士「やっかいだ」
竜女「私が雑魚全て蹴散らすことはできますが」
犬娘「一対一なら負けないんだけどね〜」
メイド剣士「そもそも最後の一体を倒したら勝ちって保証も無いですし」
勇者「まずは全部やっつけてみようか」
女拳士「やるしかないかね」
白導師「私の回復にも限度があるからね、あと二人も光の衣まとってね」
勇者「有り難い」
女拳士「ただの変態じゃないな」
…………
やがて石使いも訪れ、作戦を練り終わる頃には、再び砦への攻撃が始まっていた
石使い「壁を鉄壁で固める……、みんな頑張って」
女拳士「助かる」
メイド剣士「石使いさんってハマミナトに居ましたよね、黒衣の魔女について何か知りませんか?」
石使い「ハマミナト出身の錬金術師なら……、もう一人のせんぱいの可能性がある……」
メイド剣士「それ、後で詳しく聞かせて下さい」
石使い「うん、これ持って行って」
メイド剣士「白石?」
石使い「戦いにも、使える」
メイド剣士「有り難うございます!」
犬娘「いくよ!」
女拳士「おおっ!」
勇者「分かった!」
勇者「雷神剣、伸!」
305 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/11(木) 23:11:47.62 ID:VB4pug8AO
勇者は長大な雷神剣で遠方の敵まで貫き、倒す
女拳士「うおおおっ!」
女拳士「爆裂拳ーっ!」
女拳士は固まる敵をどんどん砕いていく
メイド剣士「!」
メイド剣士「ある程度砕いた敵からはあの黒い炎が消えて倒せるようです!」
犬娘「勝てるかも!」
勇者「よし、飛ばしていくぞ!」
竜女「私が薙払いましょう!」
竜女は閃光のブレスを放つ!
次々に大規模の爆発が起こる
やがて敵の砦が視界に入る
メイド剣士「白石……、氷剣斬!」
殆ど魔力の消費も無く、多くの敵が凍りつき砕け散る
メイド剣士「これ便利!」
再び白石を剣に当て、魔力を僅かに込める
メイド剣士「氷剣斬!」
メイド剣士「氷剣斬ーんっ!」
女拳士「うはっ、すげえっ!」
犬娘「私もやりたいーっ!」
犬娘は涙目で一体一体敵を打ち砕いていく
勇者「魔王様、ファイト!」
女拳士「逆にあの強さで攻撃を一点に絞れるのがすごい」
犬娘「やってみるしかない!」
犬娘は脚に雷をまとった
犬娘「雷神脚〜っ!」
犬娘「うわあああっ!」
犬娘は一気に跳び、直線上の敵を全て薙払った
メイド剣士「ぶっつけで……、本当天才!」
306 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/11(木) 23:12:57.88 ID:VB4pug8AO
砕いた敵はどんどん固まっていく
倒しても無駄かと思えるほどのしつこさだ
しかし、竜女の閃光や犬娘の雷神脚、大技の連打で敵はどんどんと朽ちていく
やがて、敵の中に巨大な物が出てくる
その巨大な魔物は大量の闇を放ち、ついに竜女を捉える
竜女「くっ、一旦引きます!」
次々に放たれる闇、メイド剣士たちも引くしか無くなる
しかし、なんとか一体を撃破しようと、犬娘が走る!
犬娘「獣王拳!」
巨大な魔物は、一撃で崩れ去る
犬娘「脆いよ、こいつ!」
しかし
次の瞬間、犬娘は闇に貫かれたーー
307 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/11(木) 23:14:17.10 ID:VB4pug8AO
第四章「犬娘、戦争をする」 完
次回ーー
邪悪な閃光に、ついに捉えられる犬娘
そして、ハマミナトの街は闇に飲み込まれる
黒衣の魔女とは何者なのかーー
最終章「犬娘、魔王になる」
闇との戦いは、最後の時へと向かうーー
309 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/09/12(金) 16:45:39.32 ID:WzZdLtrdO
乙、続きが楽しみだ
310 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/12(金) 22:01:41.55 ID:IpGAEcpAO
ちょっとだけですが更新します
>>309
ありがとう御座います
楽しみにしてくれる人がいるのは力になります
この状況では外交官監禁の説を採用し、戦争を仕掛けるしか民をまとめる手段がない
黒衣により、追い詰められているのかも知れない
銀騎士の胸には、既に焦りしか無かった
そこに黒衣の魔女は現れた
黒衣「……心配……、しなくていい……、力を貸す……」
銀騎士「貴様の手は借りん!」
黒衣「無理……、あなたでは……、かてない」
銀騎士「消えろ!」
黒衣「……、まあ、……手を……、貸すけどね……」
黒衣の魔女は何事かを呟くと、消えた
黒衣の魔女の考えている事は分からない
しかし、何かされる前に、攻めるしかない
銀騎士は自分が育てた騎士たちを見ていた
自分が魔人王に勝てるとは思っていない
恐らくは敗北するために
銀騎士は兵達に宣言した
銀騎士「進軍する!」
…………
犬娘たちは仕事に一段落がついたので、村を散策しながら春の気配を探していた
犬娘「もう暖かくなってきたね〜」
メイド剣士「一応カイオウ島は南方の島ですからね」
白導師「まあ雨期前まではまだまだ寒いんだけどね」
メイド剣士「雨期かあ、今回は大丈夫かな?」
犬娘「女拳士ちゃんと勇者ちゃんは?」
296 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/11(木) 22:50:50.52 ID:VB4pug8AO
メイド剣士「二人とも街道整備を手伝ってますよ」
犬娘「街も平和だね〜」
メイド剣士「そりゃこの街は屈強な竜人に勝ち、大木も山も砕く大魔王様が支配してますから」
犬娘「へえ〜」
犬娘「って私だ!」
白導師「いひひ、可愛いね〜」
犬娘「こわいこわい」
白導師は犬娘に襲い掛かろうとした所で気付いた
命の木霊が、激しく震えている事に
…………
少し前ーー
虎娘「敵襲、敵襲〜!」
犬戦士「お前ら、早く門を閉めろ!」
衛兵たちは急いで砦に入り、門を閉めた
火矢が飛んでくるが、獣人たちは容易にそれをかわし、弾き返す
犬戦士は門の前に飛び降り、ハンマーを振り回した
魔人王程では無いが、犬戦士もチュウザンの戦士である
並みの兵は全く相手にならない
一万はいると思える兵が、たった一人の獣人に苦戦する
犬戦士「流石に体力持たないからな、この辺で逃げるか!」
犬戦士が砦に跳び帰ろうとした時
黒い閃光が犬戦士を貫いたーー
…………
白導師「駄目だ、みんな拠点にいやしねえ」
メイド剣士「転送魔法も大きい魔力を消耗します、メッセージは伝えましたから早く犬さんの所に……!」
メイド剣士「飛びます!」
297 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/11(木) 22:52:44.19 ID:VB4pug8AO
犬戦士は倒れたもののまだ息をしていた
虎娘は必死に犬戦士を砦の中に引き入れた
暫くして、白導師たちは駆けつけた
白導師「バカ犬、私の蘇生魔法があるのに簡単に死ねると思うなよ?」
白導師はさっと手をかざすと、術師のそれよりも強力な蘇生魔法を使った
メイド剣士「すごい……」
もはや虫の息だった犬戦士はすぐに起きあがるまで回復した
犬戦士「あれ?」
白導師「ふっふ〜ん」
犬娘「すごいね!」
外では砦を砕こうとする兵達の怒号が響いている
犬娘「私がやっつける!」
白導師「流石にあの数は厳しいと思うけど」
メイド剣士「私も行きます、何かあったら白導師さんと虎ちゃんに任せます」
白導師「おう、死んだらいつかみたいに可愛くラッピングするよ?」
メイド剣士はニヤリと笑う
メイド剣士「お断りです!」
…………
犬娘達が砦の上に立つとそこには異様な光景が広がっていた
兵達は黒い炎を纏い、白目まで燃えるように赤い
敵兵A「うあああ……」
敵兵B「じにだぐ……なああああい……」
敵兵C「がらだが、がらだが……」
メイド剣士「……真空斬!」
298 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/11(木) 22:54:37.08 ID:VB4pug8AO
かつて戦った黒い泡を思い起こす有り様だった
メイド剣士はもはやこの世の物とは思えない敵兵達を見ると、躊躇せず最強の斬撃を放った
敵兵達は鎧ごと真っ二つになって飛んだが、まだ動いていた
そこから更に異変が起こる
敵兵の半身は土や木を取り込み、再び襲いかかってきた!
犬娘「なに、なにこれ〜!」
犬娘「雷牙拳!」
犬娘は力を温存しつつ、敵を殴り飛ばす
犬戦士「気をつけろ、奴が、黒衣の女がいるぞ!」
白導師「ちっ、ちょっと敵を攪乱して帰っといで!」
白導師の号令で、犬娘達は敵を何人か薙ぎ倒してから砦に帰還する
白導師「……」
メイド剣士「ど、どうしましょう?」
白導師「あれも魔法で動いてる以上限界はある」
白導師「だけど大規模すぎる……、恐らくは何らかの魔力補助を使っているはずだ」
白導師「持久戦になると、はっきり分が悪い」
メイド剣士「でもいつまでもここに籠もっているわけには……」
白導師「いや、勇者ちゃんたちを待とう、あと犬娘ちゃんは魔力消費高すぎる」
メイド剣士「ですよね、能力強化をかけて魔法なしで戦った方が良いですよ」
犬娘「そうする」
犬戦士「おい、白、あれあるか?」
299 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/11(木) 22:56:22.80 ID:VB4pug8AO
白導師「こいつらにはネタもバレてるし、いいか」
白導師「みんなこっちおいで、採寸するから」
メイド剣士「?」
犬娘「くすぐったい」
メイド剣士「ちょっ、どこ触ってるんですか!」
白導師「うおお、幼女触り放題……」
メイド剣士「真空斬」
白導師「無駄な魔力使うな!」
足下の石畳が裂け、白導師はガクガク震えながら作業を進める
何やら太い糸で三人の体を包んで行く
そして取り出した光る石をかざした
白導師「これが私の必殺魔法防具、光の衣!」
強い光が三人を包むと、数瞬後三人は白い衣をまとっていた
犬娘「これ、すごい!」
メイド剣士「こんな簡単にマジックアイテム作れるんですか?!」
犬戦士「即席白衣は半日しか保たないからな!」
犬娘「十分だよ!」
メイド剣士「何か一万の敵にも勝てる気がしてきました」
虎娘「危なくなればあたしが助けます!」
白導師「いっといで!」
…………
三人は白衣をまとうと再び敵を蹴散らしていく
更にメイド剣士が全員に能力強化をかける離れ技を使う
押し寄せるハマミナトの邪兵たちをどんどん蹴散らしていく
しかし、邪兵たちはお互いを取り込み、力を増していく
犬娘「だんだん強くなるよ!」
メイド剣士「これ、流石に全員が一体になったりしたら……」
犬戦士「ぞっとした!」
三人は少しずつ疲れてもくる
犬戦士「しんどいな、これ!」
メイド剣士「味方に半端な兵を入れても駄目だし……」
そんな中、空から声が響く
緑竜「魔王様、今ご助力致します!」
突如空に巨大な緑の竜が現れた
犬娘「緑竜ちゃんなの?」
緑竜「これが我の真の姿です!」
緑竜は激しく燃えるブレスや、全てが凍てつくようなブレスで敵を薙払っていく
竜女「私も加勢致しましょう!」
竜女もまた、真の姿で現れ、神の杖に匹敵するような閃光のブレスを放った
メイド剣士「流石はドラゴン、大規模破壊の権化ですね!」
犬娘「私も大規模破壊したい〜!」
メイド剣士「魔王様は手加減出来ないんだからやめてください!」
犬戦士「これはかなり楽々だな!」
しかし、一万と言う数はそう生易しくは無かった
やがて結合する敵は、闇を吐き出しはじめる
緑竜「くっ、厄介な!」
緑竜の羽にはいくらか傷が開き、血が雨のように降ってくる
犬娘「緑竜ちゃん、白導師ちゃんに治してもらって!」
緑竜「分かりました!」
302 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/11(木) 23:00:50.74 ID:VB4pug8AO
竜女は目にも止まらない速度で左右に飛び、敵に狙いをつけさせない
犬娘「竜女ちゃん強いよ!」
犬娘の横に、三人の兵が現れる
女騎士長「お待たせいたしました!」
第一兵長「お力添えを!」
第二兵長「ドラゴンよりは弱いけどぉ〜」
犬娘「ありがとう!」
女騎士長は二人に号令をかける
女騎士長「合体魔法、トライアングルレイソード!」
第一兵長「おおっ!」
第二兵長「はあ〜い!」
三人が閃光を放つと三角の光の枠が生まれ、それらの中心に魔力が溜まっていく
女騎士長「はああっ!」
女騎士長の咆哮とともに、強烈な閃光が敵陣を襲う
敵の三分の一はその一撃で吹き飛んだ
犬戦士「世界は広いな、こんな技なかなかないぞ!」
メイド剣士「これぞ超級魔法!」
犬娘「これなら勝てる!」
女騎士長「すみません、今の技一度が限界です!」
メイド剣士「ですよね」
犬娘「後は任せて!」
白導師「深追いは禁物だ、戻れ!」
虎娘「皆、撤退ーっ!」
八人は砦の中に戻り、一旦体を休める事にした
女騎士長「敵はだいぶ怯んでるみたいですね」
犬娘「攻撃来ないね」
第一兵長「女拳士さんたちももうすぐ着くはずです」
303 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/11(木) 23:03:52.70 ID:VB4pug8AO
メイド剣士「押してるのに勝てそうな気がしない……」
第二兵長「異常にタフだよねぇ〜」
メイド剣士「あんな風に人間を弄んで……、黒衣の魔女……」
犬娘「許せないね」
竜女「あのような魔法は百年生きてますが初めて見ました」
緑竜「破壊神の記録には、闇の力の結合についての記述はありますが」
白導師「それは光の力もおんなじだよ、伝説の大僧侶様の記録ではね」
白導師「当時の破壊神戦争では全員の力が共鳴して、それは大規模な魔法力を発現したらしいよ」
勇者「二百年前の記述は世界中に残ってるね」
メイド剣士「勇者さん!」
ようやく戦場に勇者と女拳士が現れた
女拳士「お待たせ!」
戦力は十分に整った
…………
勇者「とりあえず、敵の砦を奪うこと、黒衣の魔女を発見することが最初の目的だな」
女拳士「しかし、厄介な敵だぞ」
白導師「さっきも言ったようにどんどん土も木も取り入れてるから、魔力を奪うか魔力供給の元を絶つ必要がある」
メイド剣士「倒したら少しは敵が引いたことを考えると、最後の一体まで倒しきれば良いのかも」
304 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/11(木) 23:08:19.05 ID:VB4pug8AO
勇者「その間どんどん強くなるんだろ?」
女拳士「やっかいだ」
竜女「私が雑魚全て蹴散らすことはできますが」
犬娘「一対一なら負けないんだけどね〜」
メイド剣士「そもそも最後の一体を倒したら勝ちって保証も無いですし」
勇者「まずは全部やっつけてみようか」
女拳士「やるしかないかね」
白導師「私の回復にも限度があるからね、あと二人も光の衣まとってね」
勇者「有り難い」
女拳士「ただの変態じゃないな」
…………
やがて石使いも訪れ、作戦を練り終わる頃には、再び砦への攻撃が始まっていた
石使い「壁を鉄壁で固める……、みんな頑張って」
女拳士「助かる」
メイド剣士「石使いさんってハマミナトに居ましたよね、黒衣の魔女について何か知りませんか?」
石使い「ハマミナト出身の錬金術師なら……、もう一人のせんぱいの可能性がある……」
メイド剣士「それ、後で詳しく聞かせて下さい」
石使い「うん、これ持って行って」
メイド剣士「白石?」
石使い「戦いにも、使える」
メイド剣士「有り難うございます!」
犬娘「いくよ!」
女拳士「おおっ!」
勇者「分かった!」
勇者「雷神剣、伸!」
305 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/11(木) 23:11:47.62 ID:VB4pug8AO
勇者は長大な雷神剣で遠方の敵まで貫き、倒す
女拳士「うおおおっ!」
女拳士「爆裂拳ーっ!」
女拳士は固まる敵をどんどん砕いていく
メイド剣士「!」
メイド剣士「ある程度砕いた敵からはあの黒い炎が消えて倒せるようです!」
犬娘「勝てるかも!」
勇者「よし、飛ばしていくぞ!」
竜女「私が薙払いましょう!」
竜女は閃光のブレスを放つ!
次々に大規模の爆発が起こる
やがて敵の砦が視界に入る
メイド剣士「白石……、氷剣斬!」
殆ど魔力の消費も無く、多くの敵が凍りつき砕け散る
メイド剣士「これ便利!」
再び白石を剣に当て、魔力を僅かに込める
メイド剣士「氷剣斬!」
メイド剣士「氷剣斬ーんっ!」
女拳士「うはっ、すげえっ!」
犬娘「私もやりたいーっ!」
犬娘は涙目で一体一体敵を打ち砕いていく
勇者「魔王様、ファイト!」
女拳士「逆にあの強さで攻撃を一点に絞れるのがすごい」
犬娘「やってみるしかない!」
犬娘は脚に雷をまとった
犬娘「雷神脚〜っ!」
犬娘「うわあああっ!」
犬娘は一気に跳び、直線上の敵を全て薙払った
メイド剣士「ぶっつけで……、本当天才!」
306 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/11(木) 23:12:57.88 ID:VB4pug8AO
砕いた敵はどんどん固まっていく
倒しても無駄かと思えるほどのしつこさだ
しかし、竜女の閃光や犬娘の雷神脚、大技の連打で敵はどんどんと朽ちていく
やがて、敵の中に巨大な物が出てくる
その巨大な魔物は大量の闇を放ち、ついに竜女を捉える
竜女「くっ、一旦引きます!」
次々に放たれる闇、メイド剣士たちも引くしか無くなる
しかし、なんとか一体を撃破しようと、犬娘が走る!
犬娘「獣王拳!」
巨大な魔物は、一撃で崩れ去る
犬娘「脆いよ、こいつ!」
しかし
次の瞬間、犬娘は闇に貫かれたーー
307 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/11(木) 23:14:17.10 ID:VB4pug8AO
第四章「犬娘、戦争をする」 完
次回ーー
邪悪な閃光に、ついに捉えられる犬娘
そして、ハマミナトの街は闇に飲み込まれる
黒衣の魔女とは何者なのかーー
最終章「犬娘、魔王になる」
闇との戦いは、最後の時へと向かうーー
309 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/09/12(金) 16:45:39.32 ID:WzZdLtrdO
乙、続きが楽しみだ
310 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/12(金) 22:01:41.55 ID:IpGAEcpAO
ちょっとだけですが更新します
>>309
ありがとう御座います
楽しみにしてくれる人がいるのは力になります
犬娘「魔王になるっ!」
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