犬娘「魔王になるっ!」
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242 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/29(金) 22:36:38.88 ID:OKDZjEgAO
勇者「いずれは片を付けなくてはならない」
メイド剣士「私たちの本当の敵は、未だに尻尾も掴めない……」
犬娘「女拳士ちゃん、何か知らない?」
術師「そういえば蠱毒の壷で女拳士さんが三人に負けた、その三人目なんですよね?」
女拳士「……負けた話はしたくないんだけど、事情が事情だしな」
鼻の頭を掻きつつ、女拳士はゆっくり語り出した
黒衣の魔女と戦ったのは、蠱毒の壷に入ったばかりの頃、Dランク戦での事だった
黒衣の魔女は当時、黒い石も、闇の衣も持っていなかった
しかし、いくつか強力な魔法を放ってきた
魔法が効かなければ諦めるか、と、女拳士は自分からは攻撃せずに、耐えて見せた
しかし、黒衣の魔女は言った
竜で試すつもりだったが、女拳士は竜に匹敵する魔法防御を持っている、実験する、と
そして黒い閃光を見た後、女拳士の記憶は途絶え黒衣の魔女も姿を消したーー
女拳士「それ以来、誰もアイツを見ていない」
女拳士「Dランク戦は一般公開も無いし、当時は知名度も全くない二人の戦いだったからな」
女拳士「それが三年前」
女拳士「あの後もめちゃ鍛えて、奴にも負けないつもりだったんだが……」
術師「魔法防御が一切通じない闇の魔法……、なんとか対策を練らないと……」
243 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/29(金) 22:38:34.18 ID:OKDZjEgAO
すみません、熱が出てるので今日はここまでにします
明日か明後日、残りの更新をします
お休みなさい
244 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/08/29(金) 23:19:20.22 ID:PaYp+KD3O
熱のある中、更新ありがとうございます。
お大事になさって下さい。
245 :Saga :2014/08/30(土) 01:09:04.06 ID:VAU9ZPMVO
お疲れ様です。
しかし『実験』と言う言葉で
耳と心がざわついてしまう。
246 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/08/30(土) 06:55:49.63 ID:nHVwIvD9o
転送魔法が便利すぎて資源交易ではあまり儲けられなそう
247 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/30(土) 20:41:15.44 ID:iTC6cPLAO
>>244
有り難う御座います
最近微熱が続いてるので、少しずつ更新することにします
>>245
有り難う御座います
>>246
今回貿易の話も少し出てきます
…………
ゆっくり更新します
248 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/30(土) 20:45:46.64 ID:iTC6cPLAO
キタハマの城に帰ると、術師たちは事の顛末を旅人に話した
旅人「ずいぶん分捕ってきたんだね」
術師「大部分カイオウ国に渡しますわ」
旅人「うちもいくらかもらうんだよね?」
術師「三十億ほど……」
旅人「良いんだけど、インフレになりそうだ」
術師「海外との貿易に使うべきですよね?」
旅人「それでも良いんだけど、やっぱり国内でゆっくり使わないと駄目だよ」
メイド剣士「大金って厄介なんですね」
旅人「特にお金が回ってないこの国だとね、ただでさえお金の価値が低いのに更に価値が低くなる」
術師「物が余ると物の価値が下がるんですね」
旅人「うちはどんどん人が増え、物も増え、仕事もあり、普通に好景気なんでこの上に何かするのは難しい」
術師「虎獣人さんにいくらか預けてみるとか」
虎獣人「俺?」
虎獣人「俺は金の使い方分からんぞ」
術師「皆さんが困ったら使ってくれたら良いんです、そんなに大金は渡しませんから」
虎獣人「妻か息子に管理させても……」
術師「構いませんよ」
メイド剣士「色々問題が多いですね……」
旅人「だって国家を運営するんだからな」
249 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/30(土) 20:47:48.62 ID:iTC6cPLAO
旅人「そうだ、皆それぞれ部下を持つといい」
メイド剣士「私みたいな若造が……、部下……?」
旅人「国家を運営するって事はたった十人かそこらでは出来ないよ」
旅人「今居る元サイセイ南住人全員が働かないと駄目だね」
旅人「正式な役所、正式な警察、正式な裁判所、正式な軍隊、そして正式な法律」
旅人「面倒な細かい法律は裁判しながら少しずつ作るとして、まずそれを成立させる法律を作ろう」
術師「色々な国の法律を勉強しなくてはいけませんわね……」
メイド剣士「倒れたら嫌ですよ、面倒臭いから」
術師「久々に辛口ですね」
メイド剣士「なんか精神的に疲れたので」
犬娘「ご飯食べよう!」
術師「そうですわね」
術師は犬娘を見つけると抱きしめた
どうやら術師も疲れているようだ
女拳士「海老とか二枚貝とかアワビとか穫ってきたよ」
術師「良いですね」
旅人「さあ、明日からも難しい仕事がいっぱいだし、ご飯くらいゆっくり食べようか」
犬娘「さんせ〜い!」
術師「そうだ、戦勝記念でみんなでお祭りしましょう」
犬娘「いいね!」
勇者「俺もなんかしないとね、海に行ってくる」
250 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/30(土) 20:50:00.95 ID:iTC6cPLAO
犬娘たちが町中に呼びかけて、お祭りが始まった
しばらく雨期で魚を採れなかった事や、復興作業の疲れもあり、非常に盛り上がった
中には喧嘩もあったが、数分後には肩を組んで酒を飲んでいた
様々な問題の後、町の結束が少し固くなったようだ
術師「国づくりはきっと大丈夫ですわ」
犬娘「そうだね!」
勇者「海鮮美味いよ〜、魔王様〜!」
犬娘「今行く〜!」
メイド剣士「私も行きます〜」
…………
翌日から、五人は一緒に働いてくれそうな人物を集めていく
術師は開発、研究、女拳士は建設、工事、犬娘は外交、政策全般、メイド剣士は内政、財政、勇者は軍事、警察
とりあえずと言うことで仕事を振り分け、それぞれが数人程度を部下につけた
勇者「と、言うことで君たちは騎士団員として、砦を守ったり街を回ったり自警団と協力して街を守ってもらうよ」
虎娘「は〜い!」
熊娘「だ、大丈夫かなあ……」
…………
女拳士「で、私が虎さんの上司ってことになるけど気にしないで良いからね」
虎獣人「いや、その方が気楽になる」
モグラ親方「お堅いトップが来なくて良かったぜ」
モグラ子分「仕事がやりやすいですねぇ」
251 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/30(土) 20:53:02.57 ID:iTC6cPLAO
…………
メイド剣士「仕事は内政なんですが、ヤマナミ出身なのでメイド隊にします」
猫娘「お城で働けるんなら良いよね〜」
狐娘「まだお城は内壁だけですけど」
メイド剣士「勉強も沢山してもらいますよ」
狐娘「頑張ります」
猫娘「勉強はやだなあ」
…………
術師「うちは変わりませんわ」
石使い「……頑張ろう、せんぱい」
虎少年「僕もいますよ」
…………
犬娘「旅人さんが部下になるんだね」
旅人「まあ今まで通り術師さんにも色々やってもらうし、僕はのんびりやるよ〜」
犬娘「誰か他にも人が居ないかな?」
旅人「楽したいよね〜」
犬娘「楽したい〜」
邪な動機で人捜ししている二人の前からは、その空気を感じてか人が逃げていった
そこに何も知らない旅人が来る
灰娘「こ、こんにちは、あの、勇者さんは……」
犬娘「あ、この前の子だ」
犬娘「勇者ちゃんは今お城の前かな?」
旅人「移民かい?」
灰娘「は、はい」
犬娘「私の部下できた」
灰娘「えっ」
可哀想な灰娘は移民直後に最もハードな部署に着かされることになった
252 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/30(土) 20:55:25.67 ID:iTC6cPLAO
犬娘「メイド剣士ちゃ〜ん」
メイド剣士「はい、魔王様……、あら」
犬娘「家族で移民だって!」
メイド剣士「分かりました、狐ちゃん、猫ちゃん、手続きのやり方を説明しますので……」
狐娘「はい!」
猫娘「初めてのお仕事だあ……」
勇者「灰娘、来たんだね」
灰娘「うん……、早速魔王様にお仕事をいただけるみたい……」
勇者「魔王様の仕事……」
勇者「あの子引きこもりなのに外交やらせる気ですか?」
旅人「ショック療法?」
犬娘「修行?」
勇者「鬼だ……」
旅人「まあ今の所どことも関係は良好だし、大して仕事もないから貿易したり行商したりするだけだよ」
勇者「あまり虐めないであげて下さいね」
犬娘「虐めないよ〜!」
勇者(魔王様って素で容赦ないんだよなあ……)
メイド剣士「あ、魔王様、こっちに来て下さい」
メイド剣士「これ、装飾品の剣持って下さい」
犬娘「うん……?」
メイド剣士「では、魔王様に忠誠を誓って下さい」
灰娘「はい……、あの、魔王様に忠誠を誓います」
犬娘「よろしくね!」
メイド剣士「これであなたも晴れてキタハマ国民です、よろしくお願いします」
253 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/30(土) 20:59:09.30 ID:iTC6cPLAO
メイド剣士「あとこの国の生活形態の説明をしますのでこちらに……」
灰娘はメイド剣士に連れられて行った
…………
旅人「さて、じゃあ君に出来ることを聞いておこうか」
灰娘「はい、あの、魔法が少し、使えます」
灰娘「えっと、極大級一通り、と、転送魔法は……、大丈夫です」
旅人「逸材じゃないの、移民しちゃって大丈夫なの?!」
犬娘「あの時戦ってたら苦戦したかも〜」
灰娘「いつも勇者さんと修行していたので、一応」
旅人「まあ転送は有り難いね、早速チュウザンに仕入れに行こう」
灰娘「はい、あの、頑張ります!」
犬娘「私も行商は初めて〜」
旅人は何故か海に来た
旅人「聞いてると思うけど基本は物々交換だから」
旅人「相場は今は有り難い事に魚一対肉五でしてもらえてる」
灰娘「は、はい、覚えました」
旅人(頭の良い子なのかな?)
旅人「で、国で雇ってる魚人さんに魚を受け取って……、魚は大丈夫かな?」
灰娘「はい、えっと、人間以外は」
旅人「へえ」
犬娘「私は?」
灰娘「魔王様はとても可愛らしいので大丈夫です」
254 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/30(土) 21:01:05.43 ID:iTC6cPLAO
旅人(初対面じゃない魔物は大丈夫なのか……、すらすら喋っちゃって)
旅人(カイオウ国との取引は任せられるぞ、これは)
旅人「じゃあ、まずカイオウ国の北を目指そう」
旅人「カイオウ国北は海から遠く、漁獲量が少ないため、チュウザンと同じく魚介類を高価で買い取ってくれる」
旅人「カイオウ国の場合魚とお金で取引してるけど、二百グラムで1から5G、まあ魚種によるんで相場は知っておいて欲しい」
灰娘「は、はい」
旅人「嘘の相場で取引しようとする奴はぶっ飛ばして良いよ」
灰娘「ぶ、ぶっ飛ばすなんて、そんな……」
旅人「魚漁師さん、この箱いっぱいに何種類か魚介類入れてくれる?」
旅人「この魚人さんはカイオウ国の人だから、相場はこの人が良く知ってるよ」
魚漁師「どうも〜!」
旅人(あ、魚人ってハイテンションなんだっけ)
灰娘「よろしくお願いします」
旅人(魚人は大丈夫なのか……)
犬娘「美味しそう〜」
魚漁師「貝とかは良い奴だけど、だいたい三百G分かな〜」
旅人「持てるかい?」
灰娘「あ、その、魔法で……」
旅人「疲れない?」
灰娘「こ、こうやって修行、しましたので」
旅人(疲れる……)
255 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/30(土) 21:03:51.60 ID:iTC6cPLAO
灰娘は箱を魔力で持ち上げて城までの登りの道を歩ききった
犬娘「力持ちだね〜」
灰娘「力じゃないですけどね」
犬娘「魔力持ち?」
旅人「じゃあ転送するから座標を覚えてね〜」
灰娘「は、わ、分かりました」
旅人「じゃあ転送、と」
ーーカイオウ国、北ーー
カイオウ国の北はチュウザンと近く、生態系も山寄りではあるものの、水路は存在し、魚人も住んでいる
職人が多く住む地方でもある
旅人「つまり魚好きな人も多い」
犬娘「私も好き〜!」
灰娘「魔王様は出身はどちらですか?」
犬娘「サイセイ南の森だよ〜」
灰娘「そうなんですか、ご近所さんだったんですね」
旅人(僕ともスラスラ喋ってくれないかなあ……)
灰娘「偏見で人間が酷いことをしてすみません」
犬娘「もう大丈夫だよ!」
灰娘「そうですね、魔王様のご活躍のお陰です」
犬娘「あんまり活躍してないけど」
旅人(仲良くて羨ましいな〜)
旅人「あ、ここだよ、おやっさん」
旅人が紹介したのは魚人の商人だ
魚商人「おう、キタハマさん」
旅人「今度から働いてもらう灰娘ちゃん」
灰娘「よろしくお願いします」
魚商人「お、可愛い娘さんだな」
256 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/30(土) 21:05:43.13 ID:iTC6cPLAO
灰娘「こちらが今回の商品になります」
灰娘は魚介一杯の箱を差し出した
魚商人「おう、ちょっと待ってくれよ」
魚商人「十五キロで二百六十ってとこかな」
灰娘「今回は高級な魚を中心に持ってきました、五百はするはずです」
旅人(おおお、交渉始めやがった!)
旅人(しかもふっかけたな〜)
魚商人「ちょ、それは流石にねえよ、行っても三百……」
灰娘「良く見て下さい、高級な貝類がこれだけ入ってるんですよ?」
灰娘「五百でも酒場に卸せば千にはなるはず」
灰娘「分かりました、直接酒場に卸してきます」
魚商人「わ、分かった、三百五十で!」
灰娘「五百で」
魚商人「三百八十……」
灰娘「分かりました、魚の鮮度が落ちるので他で……」
魚商人「四百、四百だ!」
灰娘「仕方有りませんね、お得意様なので大サービスです」
魚商人「さすが姐さん、ありがてえ!」
旅人(三百の魚を四百で売りやがった……)
犬娘「なんか格好良かったね!」
灰娘「ではチュウザンでお肉買いましょう」
犬娘「やったね!」
旅人「誰だよこの子引きこもりって言ったの」
灰娘「ひ、引きこもってて、すみません」
旅人「引きこもりだね」
勇者「いずれは片を付けなくてはならない」
メイド剣士「私たちの本当の敵は、未だに尻尾も掴めない……」
犬娘「女拳士ちゃん、何か知らない?」
術師「そういえば蠱毒の壷で女拳士さんが三人に負けた、その三人目なんですよね?」
女拳士「……負けた話はしたくないんだけど、事情が事情だしな」
鼻の頭を掻きつつ、女拳士はゆっくり語り出した
黒衣の魔女と戦ったのは、蠱毒の壷に入ったばかりの頃、Dランク戦での事だった
黒衣の魔女は当時、黒い石も、闇の衣も持っていなかった
しかし、いくつか強力な魔法を放ってきた
魔法が効かなければ諦めるか、と、女拳士は自分からは攻撃せずに、耐えて見せた
しかし、黒衣の魔女は言った
竜で試すつもりだったが、女拳士は竜に匹敵する魔法防御を持っている、実験する、と
そして黒い閃光を見た後、女拳士の記憶は途絶え黒衣の魔女も姿を消したーー
女拳士「それ以来、誰もアイツを見ていない」
女拳士「Dランク戦は一般公開も無いし、当時は知名度も全くない二人の戦いだったからな」
女拳士「それが三年前」
女拳士「あの後もめちゃ鍛えて、奴にも負けないつもりだったんだが……」
術師「魔法防御が一切通じない闇の魔法……、なんとか対策を練らないと……」
243 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/29(金) 22:38:34.18 ID:OKDZjEgAO
すみません、熱が出てるので今日はここまでにします
明日か明後日、残りの更新をします
お休みなさい
244 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/08/29(金) 23:19:20.22 ID:PaYp+KD3O
熱のある中、更新ありがとうございます。
お大事になさって下さい。
245 :Saga :2014/08/30(土) 01:09:04.06 ID:VAU9ZPMVO
お疲れ様です。
しかし『実験』と言う言葉で
耳と心がざわついてしまう。
246 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/08/30(土) 06:55:49.63 ID:nHVwIvD9o
転送魔法が便利すぎて資源交易ではあまり儲けられなそう
>>244
有り難う御座います
最近微熱が続いてるので、少しずつ更新することにします
>>245
有り難う御座います
>>246
今回貿易の話も少し出てきます
…………
ゆっくり更新します
248 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/30(土) 20:45:46.64 ID:iTC6cPLAO
キタハマの城に帰ると、術師たちは事の顛末を旅人に話した
旅人「ずいぶん分捕ってきたんだね」
術師「大部分カイオウ国に渡しますわ」
旅人「うちもいくらかもらうんだよね?」
術師「三十億ほど……」
旅人「良いんだけど、インフレになりそうだ」
術師「海外との貿易に使うべきですよね?」
旅人「それでも良いんだけど、やっぱり国内でゆっくり使わないと駄目だよ」
メイド剣士「大金って厄介なんですね」
旅人「特にお金が回ってないこの国だとね、ただでさえお金の価値が低いのに更に価値が低くなる」
術師「物が余ると物の価値が下がるんですね」
旅人「うちはどんどん人が増え、物も増え、仕事もあり、普通に好景気なんでこの上に何かするのは難しい」
術師「虎獣人さんにいくらか預けてみるとか」
虎獣人「俺?」
虎獣人「俺は金の使い方分からんぞ」
術師「皆さんが困ったら使ってくれたら良いんです、そんなに大金は渡しませんから」
虎獣人「妻か息子に管理させても……」
術師「構いませんよ」
メイド剣士「色々問題が多いですね……」
旅人「だって国家を運営するんだからな」
249 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/30(土) 20:47:48.62 ID:iTC6cPLAO
旅人「そうだ、皆それぞれ部下を持つといい」
メイド剣士「私みたいな若造が……、部下……?」
旅人「国家を運営するって事はたった十人かそこらでは出来ないよ」
旅人「今居る元サイセイ南住人全員が働かないと駄目だね」
旅人「正式な役所、正式な警察、正式な裁判所、正式な軍隊、そして正式な法律」
旅人「面倒な細かい法律は裁判しながら少しずつ作るとして、まずそれを成立させる法律を作ろう」
術師「色々な国の法律を勉強しなくてはいけませんわね……」
メイド剣士「倒れたら嫌ですよ、面倒臭いから」
術師「久々に辛口ですね」
メイド剣士「なんか精神的に疲れたので」
犬娘「ご飯食べよう!」
術師「そうですわね」
術師は犬娘を見つけると抱きしめた
どうやら術師も疲れているようだ
女拳士「海老とか二枚貝とかアワビとか穫ってきたよ」
術師「良いですね」
旅人「さあ、明日からも難しい仕事がいっぱいだし、ご飯くらいゆっくり食べようか」
犬娘「さんせ〜い!」
術師「そうだ、戦勝記念でみんなでお祭りしましょう」
犬娘「いいね!」
勇者「俺もなんかしないとね、海に行ってくる」
250 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/30(土) 20:50:00.95 ID:iTC6cPLAO
犬娘たちが町中に呼びかけて、お祭りが始まった
しばらく雨期で魚を採れなかった事や、復興作業の疲れもあり、非常に盛り上がった
中には喧嘩もあったが、数分後には肩を組んで酒を飲んでいた
様々な問題の後、町の結束が少し固くなったようだ
術師「国づくりはきっと大丈夫ですわ」
犬娘「そうだね!」
勇者「海鮮美味いよ〜、魔王様〜!」
犬娘「今行く〜!」
メイド剣士「私も行きます〜」
…………
翌日から、五人は一緒に働いてくれそうな人物を集めていく
術師は開発、研究、女拳士は建設、工事、犬娘は外交、政策全般、メイド剣士は内政、財政、勇者は軍事、警察
とりあえずと言うことで仕事を振り分け、それぞれが数人程度を部下につけた
勇者「と、言うことで君たちは騎士団員として、砦を守ったり街を回ったり自警団と協力して街を守ってもらうよ」
虎娘「は〜い!」
熊娘「だ、大丈夫かなあ……」
…………
女拳士「で、私が虎さんの上司ってことになるけど気にしないで良いからね」
虎獣人「いや、その方が気楽になる」
モグラ親方「お堅いトップが来なくて良かったぜ」
モグラ子分「仕事がやりやすいですねぇ」
251 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/30(土) 20:53:02.57 ID:iTC6cPLAO
…………
メイド剣士「仕事は内政なんですが、ヤマナミ出身なのでメイド隊にします」
猫娘「お城で働けるんなら良いよね〜」
狐娘「まだお城は内壁だけですけど」
メイド剣士「勉強も沢山してもらいますよ」
狐娘「頑張ります」
猫娘「勉強はやだなあ」
…………
術師「うちは変わりませんわ」
石使い「……頑張ろう、せんぱい」
虎少年「僕もいますよ」
…………
犬娘「旅人さんが部下になるんだね」
旅人「まあ今まで通り術師さんにも色々やってもらうし、僕はのんびりやるよ〜」
犬娘「誰か他にも人が居ないかな?」
旅人「楽したいよね〜」
犬娘「楽したい〜」
邪な動機で人捜ししている二人の前からは、その空気を感じてか人が逃げていった
そこに何も知らない旅人が来る
灰娘「こ、こんにちは、あの、勇者さんは……」
犬娘「あ、この前の子だ」
犬娘「勇者ちゃんは今お城の前かな?」
旅人「移民かい?」
灰娘「は、はい」
犬娘「私の部下できた」
灰娘「えっ」
可哀想な灰娘は移民直後に最もハードな部署に着かされることになった
252 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/30(土) 20:55:25.67 ID:iTC6cPLAO
犬娘「メイド剣士ちゃ〜ん」
メイド剣士「はい、魔王様……、あら」
犬娘「家族で移民だって!」
メイド剣士「分かりました、狐ちゃん、猫ちゃん、手続きのやり方を説明しますので……」
狐娘「はい!」
猫娘「初めてのお仕事だあ……」
勇者「灰娘、来たんだね」
灰娘「うん……、早速魔王様にお仕事をいただけるみたい……」
勇者「魔王様の仕事……」
勇者「あの子引きこもりなのに外交やらせる気ですか?」
旅人「ショック療法?」
犬娘「修行?」
勇者「鬼だ……」
旅人「まあ今の所どことも関係は良好だし、大して仕事もないから貿易したり行商したりするだけだよ」
勇者「あまり虐めないであげて下さいね」
犬娘「虐めないよ〜!」
勇者(魔王様って素で容赦ないんだよなあ……)
メイド剣士「あ、魔王様、こっちに来て下さい」
メイド剣士「これ、装飾品の剣持って下さい」
犬娘「うん……?」
メイド剣士「では、魔王様に忠誠を誓って下さい」
灰娘「はい……、あの、魔王様に忠誠を誓います」
犬娘「よろしくね!」
メイド剣士「これであなたも晴れてキタハマ国民です、よろしくお願いします」
253 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/30(土) 20:59:09.30 ID:iTC6cPLAO
メイド剣士「あとこの国の生活形態の説明をしますのでこちらに……」
灰娘はメイド剣士に連れられて行った
…………
旅人「さて、じゃあ君に出来ることを聞いておこうか」
灰娘「はい、あの、魔法が少し、使えます」
灰娘「えっと、極大級一通り、と、転送魔法は……、大丈夫です」
旅人「逸材じゃないの、移民しちゃって大丈夫なの?!」
犬娘「あの時戦ってたら苦戦したかも〜」
灰娘「いつも勇者さんと修行していたので、一応」
旅人「まあ転送は有り難いね、早速チュウザンに仕入れに行こう」
灰娘「はい、あの、頑張ります!」
犬娘「私も行商は初めて〜」
旅人は何故か海に来た
旅人「聞いてると思うけど基本は物々交換だから」
旅人「相場は今は有り難い事に魚一対肉五でしてもらえてる」
灰娘「は、はい、覚えました」
旅人(頭の良い子なのかな?)
旅人「で、国で雇ってる魚人さんに魚を受け取って……、魚は大丈夫かな?」
灰娘「はい、えっと、人間以外は」
旅人「へえ」
犬娘「私は?」
灰娘「魔王様はとても可愛らしいので大丈夫です」
254 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/30(土) 21:01:05.43 ID:iTC6cPLAO
旅人(初対面じゃない魔物は大丈夫なのか……、すらすら喋っちゃって)
旅人(カイオウ国との取引は任せられるぞ、これは)
旅人「じゃあ、まずカイオウ国の北を目指そう」
旅人「カイオウ国北は海から遠く、漁獲量が少ないため、チュウザンと同じく魚介類を高価で買い取ってくれる」
旅人「カイオウ国の場合魚とお金で取引してるけど、二百グラムで1から5G、まあ魚種によるんで相場は知っておいて欲しい」
灰娘「は、はい」
旅人「嘘の相場で取引しようとする奴はぶっ飛ばして良いよ」
灰娘「ぶ、ぶっ飛ばすなんて、そんな……」
旅人「魚漁師さん、この箱いっぱいに何種類か魚介類入れてくれる?」
旅人「この魚人さんはカイオウ国の人だから、相場はこの人が良く知ってるよ」
魚漁師「どうも〜!」
旅人(あ、魚人ってハイテンションなんだっけ)
灰娘「よろしくお願いします」
旅人(魚人は大丈夫なのか……)
犬娘「美味しそう〜」
魚漁師「貝とかは良い奴だけど、だいたい三百G分かな〜」
旅人「持てるかい?」
灰娘「あ、その、魔法で……」
旅人「疲れない?」
灰娘「こ、こうやって修行、しましたので」
旅人(疲れる……)
255 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/30(土) 21:03:51.60 ID:iTC6cPLAO
灰娘は箱を魔力で持ち上げて城までの登りの道を歩ききった
犬娘「力持ちだね〜」
灰娘「力じゃないですけどね」
犬娘「魔力持ち?」
旅人「じゃあ転送するから座標を覚えてね〜」
灰娘「は、わ、分かりました」
旅人「じゃあ転送、と」
ーーカイオウ国、北ーー
カイオウ国の北はチュウザンと近く、生態系も山寄りではあるものの、水路は存在し、魚人も住んでいる
職人が多く住む地方でもある
旅人「つまり魚好きな人も多い」
犬娘「私も好き〜!」
灰娘「魔王様は出身はどちらですか?」
犬娘「サイセイ南の森だよ〜」
灰娘「そうなんですか、ご近所さんだったんですね」
旅人(僕ともスラスラ喋ってくれないかなあ……)
灰娘「偏見で人間が酷いことをしてすみません」
犬娘「もう大丈夫だよ!」
灰娘「そうですね、魔王様のご活躍のお陰です」
犬娘「あんまり活躍してないけど」
旅人(仲良くて羨ましいな〜)
旅人「あ、ここだよ、おやっさん」
旅人が紹介したのは魚人の商人だ
魚商人「おう、キタハマさん」
旅人「今度から働いてもらう灰娘ちゃん」
灰娘「よろしくお願いします」
魚商人「お、可愛い娘さんだな」
256 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/30(土) 21:05:43.13 ID:iTC6cPLAO
灰娘「こちらが今回の商品になります」
灰娘は魚介一杯の箱を差し出した
魚商人「おう、ちょっと待ってくれよ」
魚商人「十五キロで二百六十ってとこかな」
灰娘「今回は高級な魚を中心に持ってきました、五百はするはずです」
旅人(おおお、交渉始めやがった!)
旅人(しかもふっかけたな〜)
魚商人「ちょ、それは流石にねえよ、行っても三百……」
灰娘「良く見て下さい、高級な貝類がこれだけ入ってるんですよ?」
灰娘「五百でも酒場に卸せば千にはなるはず」
灰娘「分かりました、直接酒場に卸してきます」
魚商人「わ、分かった、三百五十で!」
灰娘「五百で」
魚商人「三百八十……」
灰娘「分かりました、魚の鮮度が落ちるので他で……」
魚商人「四百、四百だ!」
灰娘「仕方有りませんね、お得意様なので大サービスです」
魚商人「さすが姐さん、ありがてえ!」
旅人(三百の魚を四百で売りやがった……)
犬娘「なんか格好良かったね!」
灰娘「ではチュウザンでお肉買いましょう」
犬娘「やったね!」
旅人「誰だよこの子引きこもりって言ったの」
灰娘「ひ、引きこもってて、すみません」
旅人「引きこもりだね」
犬娘「魔王になるっ!」
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