2chまとめサイトモバイル

犬娘「魔王になるっ!」

Facebook Twitter LINE はてなブックマーク
Part20
242 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/29(金) 22:36:38.88 ID:OKDZjEgAO
勇者「いずれは片を付けなくてはならない」
メイド剣士「私たちの本当の敵は、未だに尻尾も掴めない……」
犬娘「女拳士ちゃん、何か知らない?」
術師「そういえば蠱毒の壷で女拳士さんが三人に負けた、その三人目なんですよね?」
女拳士「……負けた話はしたくないんだけど、事情が事情だしな」
鼻の頭を掻きつつ、女拳士はゆっくり語り出した
黒衣の魔女と戦ったのは、蠱毒の壷に入ったばかりの頃、Dランク戦での事だった
黒衣の魔女は当時、黒い石も、闇の衣も持っていなかった
しかし、いくつか強力な魔法を放ってきた
魔法が効かなければ諦めるか、と、女拳士は自分からは攻撃せずに、耐えて見せた
しかし、黒衣の魔女は言った
竜で試すつもりだったが、女拳士は竜に匹敵する魔法防御を持っている、実験する、と
そして黒い閃光を見た後、女拳士の記憶は途絶え黒衣の魔女も姿を消したーー
女拳士「それ以来、誰もアイツを見ていない」
女拳士「Dランク戦は一般公開も無いし、当時は知名度も全くない二人の戦いだったからな」
女拳士「それが三年前」
女拳士「あの後もめちゃ鍛えて、奴にも負けないつもりだったんだが……」
術師「魔法防御が一切通じない闇の魔法……、なんとか対策を練らないと……」

243 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/29(金) 22:38:34.18 ID:OKDZjEgAO
すみません、熱が出てるので今日はここまでにします
明日か明後日、残りの更新をします
お休みなさい

244 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/08/29(金) 23:19:20.22 ID:PaYp+KD3O
熱のある中、更新ありがとうございます。
お大事になさって下さい。

245 :Saga :2014/08/30(土) 01:09:04.06 ID:VAU9ZPMVO
お疲れ様です。
しかし『実験』と言う言葉で
耳と心がざわついてしまう。

246 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/08/30(土) 06:55:49.63 ID:nHVwIvD9o
転送魔法が便利すぎて資源交易ではあまり儲けられなそう


247 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/30(土) 20:41:15.44 ID:iTC6cPLAO
>>244
有り難う御座います
最近微熱が続いてるので、少しずつ更新することにします
>>245
有り難う御座います
>>246
今回貿易の話も少し出てきます
…………
ゆっくり更新します

248 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/30(土) 20:45:46.64 ID:iTC6cPLAO
キタハマの城に帰ると、術師たちは事の顛末を旅人に話した
旅人「ずいぶん分捕ってきたんだね」
術師「大部分カイオウ国に渡しますわ」
旅人「うちもいくらかもらうんだよね?」
術師「三十億ほど……」
旅人「良いんだけど、インフレになりそうだ」
術師「海外との貿易に使うべきですよね?」
旅人「それでも良いんだけど、やっぱり国内でゆっくり使わないと駄目だよ」
メイド剣士「大金って厄介なんですね」
旅人「特にお金が回ってないこの国だとね、ただでさえお金の価値が低いのに更に価値が低くなる」
術師「物が余ると物の価値が下がるんですね」
旅人「うちはどんどん人が増え、物も増え、仕事もあり、普通に好景気なんでこの上に何かするのは難しい」
術師「虎獣人さんにいくらか預けてみるとか」
虎獣人「俺?」
虎獣人「俺は金の使い方分からんぞ」
術師「皆さんが困ったら使ってくれたら良いんです、そんなに大金は渡しませんから」
虎獣人「妻か息子に管理させても……」
術師「構いませんよ」
メイド剣士「色々問題が多いですね……」
旅人「だって国家を運営するんだからな」

249 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/30(土) 20:47:48.62 ID:iTC6cPLAO
旅人「そうだ、皆それぞれ部下を持つといい」
メイド剣士「私みたいな若造が……、部下……?」
旅人「国家を運営するって事はたった十人かそこらでは出来ないよ」
旅人「今居る元サイセイ南住人全員が働かないと駄目だね」
旅人「正式な役所、正式な警察、正式な裁判所、正式な軍隊、そして正式な法律」
旅人「面倒な細かい法律は裁判しながら少しずつ作るとして、まずそれを成立させる法律を作ろう」
術師「色々な国の法律を勉強しなくてはいけませんわね……」
メイド剣士「倒れたら嫌ですよ、面倒臭いから」
術師「久々に辛口ですね」
メイド剣士「なんか精神的に疲れたので」
犬娘「ご飯食べよう!」
術師「そうですわね」
術師は犬娘を見つけると抱きしめた
どうやら術師も疲れているようだ
女拳士「海老とか二枚貝とかアワビとか穫ってきたよ」
術師「良いですね」
旅人「さあ、明日からも難しい仕事がいっぱいだし、ご飯くらいゆっくり食べようか」
犬娘「さんせ〜い!」
術師「そうだ、戦勝記念でみんなでお祭りしましょう」
犬娘「いいね!」
勇者「俺もなんかしないとね、海に行ってくる」

250 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/30(土) 20:50:00.95 ID:iTC6cPLAO
犬娘たちが町中に呼びかけて、お祭りが始まった
しばらく雨期で魚を採れなかった事や、復興作業の疲れもあり、非常に盛り上がった
中には喧嘩もあったが、数分後には肩を組んで酒を飲んでいた
様々な問題の後、町の結束が少し固くなったようだ
術師「国づくりはきっと大丈夫ですわ」
犬娘「そうだね!」
勇者「海鮮美味いよ〜、魔王様〜!」
犬娘「今行く〜!」
メイド剣士「私も行きます〜」
…………
翌日から、五人は一緒に働いてくれそうな人物を集めていく
術師は開発、研究、女拳士は建設、工事、犬娘は外交、政策全般、メイド剣士は内政、財政、勇者は軍事、警察
とりあえずと言うことで仕事を振り分け、それぞれが数人程度を部下につけた
勇者「と、言うことで君たちは騎士団員として、砦を守ったり街を回ったり自警団と協力して街を守ってもらうよ」
虎娘「は〜い!」
熊娘「だ、大丈夫かなあ……」
…………
女拳士「で、私が虎さんの上司ってことになるけど気にしないで良いからね」
虎獣人「いや、その方が気楽になる」
モグラ親方「お堅いトップが来なくて良かったぜ」
モグラ子分「仕事がやりやすいですねぇ」

251 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/30(土) 20:53:02.57 ID:iTC6cPLAO
…………
メイド剣士「仕事は内政なんですが、ヤマナミ出身なのでメイド隊にします」
猫娘「お城で働けるんなら良いよね〜」
狐娘「まだお城は内壁だけですけど」
メイド剣士「勉強も沢山してもらいますよ」
狐娘「頑張ります」
猫娘「勉強はやだなあ」
…………
術師「うちは変わりませんわ」
石使い「……頑張ろう、せんぱい」
虎少年「僕もいますよ」
…………
犬娘「旅人さんが部下になるんだね」
旅人「まあ今まで通り術師さんにも色々やってもらうし、僕はのんびりやるよ〜」
犬娘「誰か他にも人が居ないかな?」
旅人「楽したいよね〜」
犬娘「楽したい〜」
邪な動機で人捜ししている二人の前からは、その空気を感じてか人が逃げていった
そこに何も知らない旅人が来る
灰娘「こ、こんにちは、あの、勇者さんは……」
犬娘「あ、この前の子だ」
犬娘「勇者ちゃんは今お城の前かな?」
旅人「移民かい?」
灰娘「は、はい」
犬娘「私の部下できた」
灰娘「えっ」
可哀想な灰娘は移民直後に最もハードな部署に着かされることになった

252 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/30(土) 20:55:25.67 ID:iTC6cPLAO
犬娘「メイド剣士ちゃ〜ん」
メイド剣士「はい、魔王様……、あら」
犬娘「家族で移民だって!」
メイド剣士「分かりました、狐ちゃん、猫ちゃん、手続きのやり方を説明しますので……」
狐娘「はい!」
猫娘「初めてのお仕事だあ……」
勇者「灰娘、来たんだね」
灰娘「うん……、早速魔王様にお仕事をいただけるみたい……」
勇者「魔王様の仕事……」
勇者「あの子引きこもりなのに外交やらせる気ですか?」
旅人「ショック療法?」
犬娘「修行?」
勇者「鬼だ……」
旅人「まあ今の所どことも関係は良好だし、大して仕事もないから貿易したり行商したりするだけだよ」
勇者「あまり虐めないであげて下さいね」
犬娘「虐めないよ〜!」
勇者(魔王様って素で容赦ないんだよなあ……)
メイド剣士「あ、魔王様、こっちに来て下さい」
メイド剣士「これ、装飾品の剣持って下さい」
犬娘「うん……?」
メイド剣士「では、魔王様に忠誠を誓って下さい」
灰娘「はい……、あの、魔王様に忠誠を誓います」
犬娘「よろしくね!」
メイド剣士「これであなたも晴れてキタハマ国民です、よろしくお願いします」

253 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/30(土) 20:59:09.30 ID:iTC6cPLAO
メイド剣士「あとこの国の生活形態の説明をしますのでこちらに……」
灰娘はメイド剣士に連れられて行った
…………
旅人「さて、じゃあ君に出来ることを聞いておこうか」
灰娘「はい、あの、魔法が少し、使えます」
灰娘「えっと、極大級一通り、と、転送魔法は……、大丈夫です」
旅人「逸材じゃないの、移民しちゃって大丈夫なの?!」
犬娘「あの時戦ってたら苦戦したかも〜」
灰娘「いつも勇者さんと修行していたので、一応」
旅人「まあ転送は有り難いね、早速チュウザンに仕入れに行こう」
灰娘「はい、あの、頑張ります!」
犬娘「私も行商は初めて〜」
旅人は何故か海に来た
旅人「聞いてると思うけど基本は物々交換だから」
旅人「相場は今は有り難い事に魚一対肉五でしてもらえてる」
灰娘「は、はい、覚えました」
旅人(頭の良い子なのかな?)
旅人「で、国で雇ってる魚人さんに魚を受け取って……、魚は大丈夫かな?」
灰娘「はい、えっと、人間以外は」
旅人「へえ」
犬娘「私は?」
灰娘「魔王様はとても可愛らしいので大丈夫です」

254 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/30(土) 21:01:05.43 ID:iTC6cPLAO
旅人(初対面じゃない魔物は大丈夫なのか……、すらすら喋っちゃって)
旅人(カイオウ国との取引は任せられるぞ、これは)
旅人「じゃあ、まずカイオウ国の北を目指そう」
旅人「カイオウ国北は海から遠く、漁獲量が少ないため、チュウザンと同じく魚介類を高価で買い取ってくれる」
旅人「カイオウ国の場合魚とお金で取引してるけど、二百グラムで1から5G、まあ魚種によるんで相場は知っておいて欲しい」
灰娘「は、はい」
旅人「嘘の相場で取引しようとする奴はぶっ飛ばして良いよ」
灰娘「ぶ、ぶっ飛ばすなんて、そんな……」
旅人「魚漁師さん、この箱いっぱいに何種類か魚介類入れてくれる?」
旅人「この魚人さんはカイオウ国の人だから、相場はこの人が良く知ってるよ」
魚漁師「どうも〜!」
旅人(あ、魚人ってハイテンションなんだっけ)
灰娘「よろしくお願いします」
旅人(魚人は大丈夫なのか……)
犬娘「美味しそう〜」
魚漁師「貝とかは良い奴だけど、だいたい三百G分かな〜」
旅人「持てるかい?」
灰娘「あ、その、魔法で……」
旅人「疲れない?」
灰娘「こ、こうやって修行、しましたので」
旅人(疲れる……)

255 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/30(土) 21:03:51.60 ID:iTC6cPLAO
灰娘は箱を魔力で持ち上げて城までの登りの道を歩ききった
犬娘「力持ちだね〜」
灰娘「力じゃないですけどね」
犬娘「魔力持ち?」
旅人「じゃあ転送するから座標を覚えてね〜」
灰娘「は、わ、分かりました」
旅人「じゃあ転送、と」
ーーカイオウ国、北ーー
カイオウ国の北はチュウザンと近く、生態系も山寄りではあるものの、水路は存在し、魚人も住んでいる
職人が多く住む地方でもある
旅人「つまり魚好きな人も多い」
犬娘「私も好き〜!」
灰娘「魔王様は出身はどちらですか?」
犬娘「サイセイ南の森だよ〜」
灰娘「そうなんですか、ご近所さんだったんですね」
旅人(僕ともスラスラ喋ってくれないかなあ……)
灰娘「偏見で人間が酷いことをしてすみません」
犬娘「もう大丈夫だよ!」
灰娘「そうですね、魔王様のご活躍のお陰です」
犬娘「あんまり活躍してないけど」
旅人(仲良くて羨ましいな〜)
旅人「あ、ここだよ、おやっさん」
旅人が紹介したのは魚人の商人だ
魚商人「おう、キタハマさん」
旅人「今度から働いてもらう灰娘ちゃん」
灰娘「よろしくお願いします」
魚商人「お、可愛い娘さんだな」

256 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/30(土) 21:05:43.13 ID:iTC6cPLAO
灰娘「こちらが今回の商品になります」
灰娘は魚介一杯の箱を差し出した
魚商人「おう、ちょっと待ってくれよ」
魚商人「十五キロで二百六十ってとこかな」
灰娘「今回は高級な魚を中心に持ってきました、五百はするはずです」
旅人(おおお、交渉始めやがった!)
旅人(しかもふっかけたな〜)
魚商人「ちょ、それは流石にねえよ、行っても三百……」
灰娘「良く見て下さい、高級な貝類がこれだけ入ってるんですよ?」
灰娘「五百でも酒場に卸せば千にはなるはず」
灰娘「分かりました、直接酒場に卸してきます」
魚商人「わ、分かった、三百五十で!」
灰娘「五百で」
魚商人「三百八十……」
灰娘「分かりました、魚の鮮度が落ちるので他で……」
魚商人「四百、四百だ!」
灰娘「仕方有りませんね、お得意様なので大サービスです」
魚商人「さすが姐さん、ありがてえ!」
旅人(三百の魚を四百で売りやがった……)
犬娘「なんか格好良かったね!」
灰娘「ではチュウザンでお肉買いましょう」
犬娘「やったね!」
旅人「誰だよこの子引きこもりって言ったの」
灰娘「ひ、引きこもってて、すみません」
旅人「引きこもりだね」