犬娘「魔王になるっ!」
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284 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/11(木) 22:26:07.28 ID:VB4pug8AO
勇者「まあ吸血鬼なら蝙蝠とか使って調査できるのかもな」
メイド剣士「それは速そうです」
術師「黒衣の魔女を見つけてもすぐに乗り込めるわけでは無いですが……」
女拳士「狭い室内であれを食らったら堪らないよな……」
勇者「回復しながら戦うとか……」
術師「……」
メイド剣士「無理かなあ」
犬娘「回復追いつかないよね、魔力も限界あるし」
術師「コトー王様の側近様次第ですかね……?」
旅人「今は待つしかないか……」
…………
銀騎士「さて……、どうしたものか」
銀騎士「十分に軍備を整えた所で、コトーからの要請を無下にすることはできん」
銀騎士「いずれ攻める国に協力せねばならんか……」
悩む銀騎士の前の空間が黒く歪む
銀騎士「貴様か」
黒衣「お上手に……、国王……、暗殺」
銀騎士「黙れ魔物め!」
黒衣「私の……、言うまま……、あなたは……、モルモット」
銀騎士「ふざけるな!」
黒衣「まだ……、時ではない……」
黒衣「それだけ」
銀騎士は剣を抜き放ち、黒衣を斬り払う
しかしより深い闇を纏う黒衣の魔女には、微風よりも影響がない
285 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/11(木) 22:27:56.88 ID:VB4pug8AO
黒衣「この国の民……、全員……、くびりころす」
銀騎士「くっ……」
黒衣「ちょっとした……、冗談……、ユーモアは……、大事……」
銀騎士「くそっ、消えろ!」
黒衣「あはははは……」
黒衣の魔女はゆっくりと姿を消した
吸血鬼(見ちまった)
…………
魔王「わざわざ来てもらってすまないな」
術師「一体何事でしょうか?」
術師は魔王にただ一人呼び出されていた
魔王「実はな、密偵の報告でハマミナトの事情が見えてきた」
術師「!」
術師「あの、それなら皆で聞きに来た方が……」
魔王「あいつ等には伝えておく、まあ聞け」
…………
術師「つまり、ハマミナトの民は人質に取られている、と」
魔王「そう言う事だ」
術師「事は緊急を要する、と」
魔王「ああ」
術師「つまり側近様の研究に力を貸せって事ですか?」
魔王「察しが良いな」
魔王「他の誰にやらせるよりお前ができるのが一番だろう」
術師「今研究している物が有るんですけどね……」
魔王「大したものだな」
魔王「しばらくは研究に着かなければならない」
術師「……分かりました」
286 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/11(木) 22:29:49.11 ID:VB4pug8AO
術師「早速研究に入りますので、キタハマの皆によろしくお願いします」
魔王「ああ、ちゃんと報告しておく」
術師「では側近様の研究所の場所を」
魔王「ん、知ってるだろ?」
術師「え?」
…………
術師「できることならもう会いたくありませんでした」
ヒーラー「まあ、ツンデレですね」
術師「純粋な感想ですわ」
ヒーラー「まあお望み通り地獄のトレーニングが待ってますよ」
術師「ですよね」
ヒーラー「あなたの研究ももちろん手伝いますわ」
術師「有り難う御座います」
…………
軍人「……と、言う訳です」
犬娘「術師ちゃん帰ってこないんだ……」
メイド剣士「仕方ないですね」
女拳士「はっきり言って国作りずっと中心になってやってくれてたから、厳しいかも」
旅人「忙しくなるのやだな〜」
石使い「開発は引き継ぎすんでる……」
メイド剣士「いつの間に……」
虎少年「いずれ倒れる覚悟で仕事してたみたいです」
犬娘「……」
勇者「魔王様?」
犬娘「うん」
犬娘「頑張ろう」
勇者「あ、ああ」
287 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/11(木) 22:31:18.00 ID:VB4pug8AO
…………
ヒーラー「ん、あなた珍しい物を持ってますね」
術師「これですか?」
術師は虹色の石を手に持って眺めていた
ヒーラー「命の木霊……、誰を登録してるんですか?」
術師「魔王様を……」
術師「無理をするから守ってあげないと」
ヒーラー「立派な忠誠心ですね」
術師「だってとっても可愛いんですもの」
術師は犬娘の話をするのが嬉しそうだ
ヒーラー「早く魔法を完成させましょう」
術師「はい」
術師「こちらの方はもうすぐ完成です」
ヒーラー「そもそもこれは私が弟子と研究した技術ですからね」
術師「あの人はあなたの弟子だったんですね、納得ですわ」
ヒーラー「どういう意味かな〜?」
…………
白導師「くしゅっ」
女拳士「風邪かい?」
犬娘「変態のくせにくしゃみは可愛いね」
旅人「でも白導師さんが色々皆に口添えしてくれて助かるよ」
メイド剣士「変態のくせに」
白導師「それ以上誉められたら死んじゃう」
メイド剣士「誉めてませんが死んで下さい」
白導師「げへへへへ」
犬娘「……」
犬娘「術師ちゃん、元気かな……」
やがて秋の収穫が終わり、キタハマは冬を迎える
288 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/11(木) 22:34:04.39 ID:VB4pug8AO
魔女娘「なんだか居候みたいで申し訳ない」
犬戦士「気にすんなって、俺も居候だし」
白導師「居候って言うか居たの?って感じだけどね」
犬戦士「俺いつも前線にいるし」
犬娘「いつも有り難う!」
勇者「まあ俺達がこうやって後ろに下がってお茶を飲んでる暇なんてそうそう無かったからな」
犬戦士「竜人のつえー人達が交代で前線にいてくれるようになってずいぶん楽になっちゃったな」
白導師「そっちはいいね、地域管理とかは国防に関わるから人には任せられないわ……、私も余所の人間だけど」
メイド剣士「そうですね」
旅人「まあ僕達は術師ちゃんが帰ってくるまでは忙しいさ」
犬娘「術師ちゃんがいないと何をしていいか分からない……」
メイド剣士「そろそろコトー王様のプロパガンダがまかれるので、軍備に意識を向けないと駄目ですね」
石使い「鉄石……、緊急に二十個作った、防壁用」
メイド剣士「砦と城の外門に取り付けましょう」
メイド剣士「魔王様、みんなで作ったみんなの国を守りましょう」
犬娘「……うん!」
…………
メイド剣士「狐ちゃん猫ちゃん、頑張ってもらうからね」
猫娘「はいな」
狐娘「全力を尽くします」
289 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/11(木) 22:35:36.66 ID:VB4pug8AO
メイド剣士「食料備蓄もそうですが、水源を守らないといけません」
猫娘「チュウザンの方で警備してくれてますけどね〜」
メイド剣士「チュウザン上流から徒歩で四時間も距離があるんで、牧場もそうですが監視しないと駄目ですね」
メイド剣士「あと、港からチュウザンまでの経路はどうしてもチュウザン湖西を回らないと駄目です」
メイド剣士「東には高い山があって、こちらはコースを取れません」
メイド剣士「結果として術師さんが計画していた通り、南に石橋を作り、出水管理します」
メイド剣士「それに伴って西岸には複数の水路を設けます」
メイド剣士「水路を掘るのはモグラさんたちが温泉を掘った時のノウハウがあるので、モグラさんたちに委託します」
メイド剣士「大きい事業をヤマナミ軍とコトー軍が担ってくれているので元々の住民は家屋建設を中心にしてもらいます」
メイド剣士「区画管理には気を使って下さいね」
狐娘「分かりました」
メイド剣士「今回のことでまた知名度が上がって移民も増えていきますから、先手を打って行かないと」
猫娘「虎娘ちゃんと警備要項固めてきます」
290 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/11(木) 22:37:58.34 ID:VB4pug8AO
メイド剣士「猫ちゃん仕事するようになりましたね」
猫娘「私もここの住民だもの」
狐娘「みんなもうこの国が大好きなんですよ」
メイド剣士「そうですね、みんなで守りましょう」
…………
メイド剣士「術師さんには負けていられない……」
メイド剣士「私が魔王様一の側近だもの!」
…………
女拳士「メイドちゃんヤバくない? 仕事しまくってるみたいなんだけど」
旅人「毎日魔力空っぽになるまで転送魔法を使って歩いて帰ってきて半分徹夜で書類仕事」
犬娘「仕事の鬼だ……」
旅人「倒れなきゃ良いけど、あの子まだ十六だろ?」
勇者「俺も内政手伝うか」
犬戦士「俺には無理だな〜」
勇者「犬さんは虎さんを手伝ってあげてよ、滅茶苦茶忙しいらしいよ?」
女拳士「建設関係だけは仕事無くならないね、人口増加に先回りして家を建てて行かないとダメだから、今一番うちの部署が人が多いと思うし」
旅人「人が増えたら管理も大変だよね〜」
勇者「警備を俺が引き受けたらメイドさんたちも楽になるかな?」
犬娘「私もそれなら手伝える」
勇者「じゃあ一緒に行こっか、魔王様」
犬戦士「俺も警備が良いな」
犬娘「三人で行こう!」
291 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/11(木) 22:40:33.84 ID:VB4pug8AO
勇者はメイド剣士から巡回コースの指示を受けると、まずは三人でコースの確認をする
建ったばかりの家々の間を歩くと、住民が肉を並べて売っていたりする
勇者「経済も少し安定してきたのかな?」
犬娘「最近はチュウザンでもお金での取引に変わってきて、お金はどんどん入ってきてるみたい」
犬戦士「みんな頭使って生きてるよな〜」
犬娘「考えないと駄目なこといっぱいだよ〜」
勇者「魔王様もどんどん成長してるよね、精神面が」
犬娘「そうかな?」
勇者「術師さんがいないと凄い寂しいだろうに、一所懸命仕事してるしさ」
犬娘「家族だから、いないと寂しくて、でもそれでいいんだって思って」
犬娘「それは自分が家族を大切にしてる証拠なんだ」
犬娘「って」
勇者「そう言う所が成長したよね」
白導師「胸が成長しない所が良い」
犬娘「変態出現、緊急逮捕!」
勇者「ラジャ」
白導師「いと痛し」
犬戦士「何やってんのお前」
白導師「うるさいよバカ犬」
犬戦士「犯罪者のくせに!」
勇者「きりきり歩け〜」
犬娘「邪魔だから捨てていこう」
勇者「ラジャ」
白導師は川に突き落とされた
白導師「水も滴る良い女……」
292 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/11(木) 22:42:21.45 ID:VB4pug8AO
その後、喧嘩をしてる住人を見つけては木を砕き折って見せたり
はまっている馬車を見つけては押し出したり
護岸工事の現場や街道整備を見て回ったりした後、勇者の転送で帰還し、夜までメイド剣士を手伝う事にした
メイド剣士「お疲れ様でした、魔王様」
犬娘「楽しかったよ〜」
メイド剣士「紅茶を用意しましょう」
勇者「俺がやるよ」
犬戦士「書類……」
犬戦士「やべっ、寝てた」
白導師「バカ犬は外回りしてこいって」
白導師「ふんふん、漁業採取制限解除願い? 制限緩和は継続してる上に人口増えてるんだから下手に解除したら資源無くなるっつの、ボツ」
白導師「あ、下水道開発に関する地質調査願い、モグラにやらせとけ、はい狐ちゃん」
狐娘「やっておきます」
白導師「ふむふむ……」
犬戦士「すげえ……」
メイド剣士「変態なのに仕事できますね」
勇者「どんどん書類が片付いていく……」
白導師「こんな出願系は適当にやっていかないと溜まるばっかりだって……、えーと、森林管理関係の上奏文……、こんなポエム誰が書くのかね? ボツ」
メイド剣士「楽だ」
犬娘「初めて見直した」
293 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/11(木) 22:43:49.92 ID:VB4pug8AO
まるで紙屑を暖炉にくべるようなスピードで書類を処理していく白導師
メイド剣士がやっと休めるほど、仕事が減った
メイド剣士「紅茶美味しい……」
犬娘「甘いもの食べた〜い」
勇者「太るよ……、……牛の出産時期と労働力不足に関する基本方針と労働力派遣要請……、難解だな」
白導師「牛がいつ生むか分かんないんだから待機戦力なんか他に回した方がマシだって、ただ協力要請があったら動ける要員は居た方がいいね」
メイド剣士「くっ……」
犬娘「なんか悔しいね」
猫娘「どんどんこなしちゃいましょう」
狐娘「目安箱作った方がいいかな?」
勇者「今の所みんな積極的に書類申請してくれてるから大丈夫」
白導師「開拓最初期の問題が多発する時期だから仕方ないね」
白導師「ただ、こういう書類になって上がってこない文句に注意しないとね」
メイド剣士「為になるなあ」
白導師「報酬はパンツ一枚で!」
メイド剣士「一枚ならいいかな?」
犬娘「術師ちゃんが言ってたけど魂とパンツは売っちゃ駄目だよ!」
勇者「魂とパンツは等価なのか……」
294 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/11(木) 22:45:49.02 ID:VB4pug8AO
白導師「まあ術師ちゃん帰ってくるまでに仕事減らしておこう……、鶏の飼育頭数管理の報告、はい、メイドちゃん」
メイド剣士「はい」
勇者「ヤマナミ軍とコトー軍、先住民間の結婚に関する諸法整備要求……」
白導師「やっときな、はい、メイドちゃん」
犬戦士「場を支配してる……」
犬娘「楽だ〜」
メイド剣士「覚えないと駄目ですよ」
白導師「こう言うのは勉強はしても考えちゃ駄目なんだよ、実は犬娘ちゃんも向いてるかもよ」
犬娘「やってみる、鳥獣人、魚人の産卵所確保要請、メイド剣士ちゃんお願い、飼料輸入関連の人員要請、はい、おっけー」
メイド剣士「おおっ」
白導師「マジこなせてて笑える」
犬戦士「犬って本当は賢いもんな」
白導師「バカ犬もいるが?」
勇者「犬飼いたいな」
…………
ハマミナトでは戦争の準備が進んでいる
銀騎士はこの戦いに負ければ後がないことは分かっていた
銀騎士(出来るだけ兵を鍛えるしかあるまい……)
銀騎士は一人の兵に手紙を託す
既に死ぬ覚悟をしていた
町の民たちの間では噂が流れている
キタハマに敵対する意志と自分に対する猜疑心が高まっている
勇者「まあ吸血鬼なら蝙蝠とか使って調査できるのかもな」
メイド剣士「それは速そうです」
術師「黒衣の魔女を見つけてもすぐに乗り込めるわけでは無いですが……」
女拳士「狭い室内であれを食らったら堪らないよな……」
勇者「回復しながら戦うとか……」
術師「……」
メイド剣士「無理かなあ」
犬娘「回復追いつかないよね、魔力も限界あるし」
術師「コトー王様の側近様次第ですかね……?」
旅人「今は待つしかないか……」
…………
銀騎士「さて……、どうしたものか」
銀騎士「十分に軍備を整えた所で、コトーからの要請を無下にすることはできん」
銀騎士「いずれ攻める国に協力せねばならんか……」
悩む銀騎士の前の空間が黒く歪む
銀騎士「貴様か」
黒衣「お上手に……、国王……、暗殺」
銀騎士「黙れ魔物め!」
黒衣「私の……、言うまま……、あなたは……、モルモット」
銀騎士「ふざけるな!」
黒衣「まだ……、時ではない……」
黒衣「それだけ」
銀騎士は剣を抜き放ち、黒衣を斬り払う
しかしより深い闇を纏う黒衣の魔女には、微風よりも影響がない
285 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/11(木) 22:27:56.88 ID:VB4pug8AO
黒衣「この国の民……、全員……、くびりころす」
銀騎士「くっ……」
黒衣「ちょっとした……、冗談……、ユーモアは……、大事……」
銀騎士「くそっ、消えろ!」
黒衣「あはははは……」
黒衣の魔女はゆっくりと姿を消した
吸血鬼(見ちまった)
…………
魔王「わざわざ来てもらってすまないな」
術師「一体何事でしょうか?」
術師は魔王にただ一人呼び出されていた
魔王「実はな、密偵の報告でハマミナトの事情が見えてきた」
術師「!」
術師「あの、それなら皆で聞きに来た方が……」
魔王「あいつ等には伝えておく、まあ聞け」
…………
術師「つまり、ハマミナトの民は人質に取られている、と」
魔王「そう言う事だ」
術師「事は緊急を要する、と」
魔王「ああ」
術師「つまり側近様の研究に力を貸せって事ですか?」
魔王「察しが良いな」
魔王「他の誰にやらせるよりお前ができるのが一番だろう」
術師「今研究している物が有るんですけどね……」
魔王「大したものだな」
魔王「しばらくは研究に着かなければならない」
術師「……分かりました」
286 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/11(木) 22:29:49.11 ID:VB4pug8AO
術師「早速研究に入りますので、キタハマの皆によろしくお願いします」
魔王「ああ、ちゃんと報告しておく」
術師「では側近様の研究所の場所を」
魔王「ん、知ってるだろ?」
術師「え?」
…………
術師「できることならもう会いたくありませんでした」
ヒーラー「まあ、ツンデレですね」
術師「純粋な感想ですわ」
ヒーラー「まあお望み通り地獄のトレーニングが待ってますよ」
術師「ですよね」
ヒーラー「あなたの研究ももちろん手伝いますわ」
術師「有り難う御座います」
…………
軍人「……と、言う訳です」
犬娘「術師ちゃん帰ってこないんだ……」
メイド剣士「仕方ないですね」
女拳士「はっきり言って国作りずっと中心になってやってくれてたから、厳しいかも」
旅人「忙しくなるのやだな〜」
石使い「開発は引き継ぎすんでる……」
メイド剣士「いつの間に……」
虎少年「いずれ倒れる覚悟で仕事してたみたいです」
犬娘「……」
勇者「魔王様?」
犬娘「うん」
犬娘「頑張ろう」
勇者「あ、ああ」
287 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/11(木) 22:31:18.00 ID:VB4pug8AO
…………
ヒーラー「ん、あなた珍しい物を持ってますね」
術師「これですか?」
術師は虹色の石を手に持って眺めていた
ヒーラー「命の木霊……、誰を登録してるんですか?」
術師「魔王様を……」
術師「無理をするから守ってあげないと」
ヒーラー「立派な忠誠心ですね」
術師「だってとっても可愛いんですもの」
術師は犬娘の話をするのが嬉しそうだ
ヒーラー「早く魔法を完成させましょう」
術師「はい」
術師「こちらの方はもうすぐ完成です」
ヒーラー「そもそもこれは私が弟子と研究した技術ですからね」
術師「あの人はあなたの弟子だったんですね、納得ですわ」
ヒーラー「どういう意味かな〜?」
…………
白導師「くしゅっ」
女拳士「風邪かい?」
犬娘「変態のくせにくしゃみは可愛いね」
旅人「でも白導師さんが色々皆に口添えしてくれて助かるよ」
メイド剣士「変態のくせに」
白導師「それ以上誉められたら死んじゃう」
メイド剣士「誉めてませんが死んで下さい」
白導師「げへへへへ」
犬娘「……」
犬娘「術師ちゃん、元気かな……」
やがて秋の収穫が終わり、キタハマは冬を迎える
288 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/11(木) 22:34:04.39 ID:VB4pug8AO
魔女娘「なんだか居候みたいで申し訳ない」
犬戦士「気にすんなって、俺も居候だし」
白導師「居候って言うか居たの?って感じだけどね」
犬戦士「俺いつも前線にいるし」
犬娘「いつも有り難う!」
勇者「まあ俺達がこうやって後ろに下がってお茶を飲んでる暇なんてそうそう無かったからな」
犬戦士「竜人のつえー人達が交代で前線にいてくれるようになってずいぶん楽になっちゃったな」
白導師「そっちはいいね、地域管理とかは国防に関わるから人には任せられないわ……、私も余所の人間だけど」
メイド剣士「そうですね」
旅人「まあ僕達は術師ちゃんが帰ってくるまでは忙しいさ」
犬娘「術師ちゃんがいないと何をしていいか分からない……」
メイド剣士「そろそろコトー王様のプロパガンダがまかれるので、軍備に意識を向けないと駄目ですね」
石使い「鉄石……、緊急に二十個作った、防壁用」
メイド剣士「砦と城の外門に取り付けましょう」
メイド剣士「魔王様、みんなで作ったみんなの国を守りましょう」
犬娘「……うん!」
…………
メイド剣士「狐ちゃん猫ちゃん、頑張ってもらうからね」
猫娘「はいな」
狐娘「全力を尽くします」
メイド剣士「食料備蓄もそうですが、水源を守らないといけません」
猫娘「チュウザンの方で警備してくれてますけどね〜」
メイド剣士「チュウザン上流から徒歩で四時間も距離があるんで、牧場もそうですが監視しないと駄目ですね」
メイド剣士「あと、港からチュウザンまでの経路はどうしてもチュウザン湖西を回らないと駄目です」
メイド剣士「東には高い山があって、こちらはコースを取れません」
メイド剣士「結果として術師さんが計画していた通り、南に石橋を作り、出水管理します」
メイド剣士「それに伴って西岸には複数の水路を設けます」
メイド剣士「水路を掘るのはモグラさんたちが温泉を掘った時のノウハウがあるので、モグラさんたちに委託します」
メイド剣士「大きい事業をヤマナミ軍とコトー軍が担ってくれているので元々の住民は家屋建設を中心にしてもらいます」
メイド剣士「区画管理には気を使って下さいね」
狐娘「分かりました」
メイド剣士「今回のことでまた知名度が上がって移民も増えていきますから、先手を打って行かないと」
猫娘「虎娘ちゃんと警備要項固めてきます」
290 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/11(木) 22:37:58.34 ID:VB4pug8AO
メイド剣士「猫ちゃん仕事するようになりましたね」
猫娘「私もここの住民だもの」
狐娘「みんなもうこの国が大好きなんですよ」
メイド剣士「そうですね、みんなで守りましょう」
…………
メイド剣士「術師さんには負けていられない……」
メイド剣士「私が魔王様一の側近だもの!」
…………
女拳士「メイドちゃんヤバくない? 仕事しまくってるみたいなんだけど」
旅人「毎日魔力空っぽになるまで転送魔法を使って歩いて帰ってきて半分徹夜で書類仕事」
犬娘「仕事の鬼だ……」
旅人「倒れなきゃ良いけど、あの子まだ十六だろ?」
勇者「俺も内政手伝うか」
犬戦士「俺には無理だな〜」
勇者「犬さんは虎さんを手伝ってあげてよ、滅茶苦茶忙しいらしいよ?」
女拳士「建設関係だけは仕事無くならないね、人口増加に先回りして家を建てて行かないとダメだから、今一番うちの部署が人が多いと思うし」
旅人「人が増えたら管理も大変だよね〜」
勇者「警備を俺が引き受けたらメイドさんたちも楽になるかな?」
犬娘「私もそれなら手伝える」
勇者「じゃあ一緒に行こっか、魔王様」
犬戦士「俺も警備が良いな」
犬娘「三人で行こう!」
291 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/11(木) 22:40:33.84 ID:VB4pug8AO
勇者はメイド剣士から巡回コースの指示を受けると、まずは三人でコースの確認をする
建ったばかりの家々の間を歩くと、住民が肉を並べて売っていたりする
勇者「経済も少し安定してきたのかな?」
犬娘「最近はチュウザンでもお金での取引に変わってきて、お金はどんどん入ってきてるみたい」
犬戦士「みんな頭使って生きてるよな〜」
犬娘「考えないと駄目なこといっぱいだよ〜」
勇者「魔王様もどんどん成長してるよね、精神面が」
犬娘「そうかな?」
勇者「術師さんがいないと凄い寂しいだろうに、一所懸命仕事してるしさ」
犬娘「家族だから、いないと寂しくて、でもそれでいいんだって思って」
犬娘「それは自分が家族を大切にしてる証拠なんだ」
犬娘「って」
勇者「そう言う所が成長したよね」
白導師「胸が成長しない所が良い」
犬娘「変態出現、緊急逮捕!」
勇者「ラジャ」
白導師「いと痛し」
犬戦士「何やってんのお前」
白導師「うるさいよバカ犬」
犬戦士「犯罪者のくせに!」
勇者「きりきり歩け〜」
犬娘「邪魔だから捨てていこう」
勇者「ラジャ」
白導師は川に突き落とされた
白導師「水も滴る良い女……」
292 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/11(木) 22:42:21.45 ID:VB4pug8AO
その後、喧嘩をしてる住人を見つけては木を砕き折って見せたり
はまっている馬車を見つけては押し出したり
護岸工事の現場や街道整備を見て回ったりした後、勇者の転送で帰還し、夜までメイド剣士を手伝う事にした
メイド剣士「お疲れ様でした、魔王様」
犬娘「楽しかったよ〜」
メイド剣士「紅茶を用意しましょう」
勇者「俺がやるよ」
犬戦士「書類……」
犬戦士「やべっ、寝てた」
白導師「バカ犬は外回りしてこいって」
白導師「ふんふん、漁業採取制限解除願い? 制限緩和は継続してる上に人口増えてるんだから下手に解除したら資源無くなるっつの、ボツ」
白導師「あ、下水道開発に関する地質調査願い、モグラにやらせとけ、はい狐ちゃん」
狐娘「やっておきます」
白導師「ふむふむ……」
犬戦士「すげえ……」
メイド剣士「変態なのに仕事できますね」
勇者「どんどん書類が片付いていく……」
白導師「こんな出願系は適当にやっていかないと溜まるばっかりだって……、えーと、森林管理関係の上奏文……、こんなポエム誰が書くのかね? ボツ」
メイド剣士「楽だ」
犬娘「初めて見直した」
293 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/11(木) 22:43:49.92 ID:VB4pug8AO
まるで紙屑を暖炉にくべるようなスピードで書類を処理していく白導師
メイド剣士がやっと休めるほど、仕事が減った
メイド剣士「紅茶美味しい……」
犬娘「甘いもの食べた〜い」
勇者「太るよ……、……牛の出産時期と労働力不足に関する基本方針と労働力派遣要請……、難解だな」
白導師「牛がいつ生むか分かんないんだから待機戦力なんか他に回した方がマシだって、ただ協力要請があったら動ける要員は居た方がいいね」
メイド剣士「くっ……」
犬娘「なんか悔しいね」
猫娘「どんどんこなしちゃいましょう」
狐娘「目安箱作った方がいいかな?」
勇者「今の所みんな積極的に書類申請してくれてるから大丈夫」
白導師「開拓最初期の問題が多発する時期だから仕方ないね」
白導師「ただ、こういう書類になって上がってこない文句に注意しないとね」
メイド剣士「為になるなあ」
白導師「報酬はパンツ一枚で!」
メイド剣士「一枚ならいいかな?」
犬娘「術師ちゃんが言ってたけど魂とパンツは売っちゃ駄目だよ!」
勇者「魂とパンツは等価なのか……」
294 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/11(木) 22:45:49.02 ID:VB4pug8AO
白導師「まあ術師ちゃん帰ってくるまでに仕事減らしておこう……、鶏の飼育頭数管理の報告、はい、メイドちゃん」
メイド剣士「はい」
勇者「ヤマナミ軍とコトー軍、先住民間の結婚に関する諸法整備要求……」
白導師「やっときな、はい、メイドちゃん」
犬戦士「場を支配してる……」
犬娘「楽だ〜」
メイド剣士「覚えないと駄目ですよ」
白導師「こう言うのは勉強はしても考えちゃ駄目なんだよ、実は犬娘ちゃんも向いてるかもよ」
犬娘「やってみる、鳥獣人、魚人の産卵所確保要請、メイド剣士ちゃんお願い、飼料輸入関連の人員要請、はい、おっけー」
メイド剣士「おおっ」
白導師「マジこなせてて笑える」
犬戦士「犬って本当は賢いもんな」
白導師「バカ犬もいるが?」
勇者「犬飼いたいな」
…………
ハマミナトでは戦争の準備が進んでいる
銀騎士はこの戦いに負ければ後がないことは分かっていた
銀騎士(出来るだけ兵を鍛えるしかあるまい……)
銀騎士は一人の兵に手紙を託す
既に死ぬ覚悟をしていた
町の民たちの間では噂が流れている
キタハマに敵対する意志と自分に対する猜疑心が高まっている
犬娘「魔王になるっ!」
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