犬娘「魔王になるっ!」
Part26
321 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/12(金) 22:24:30.97 ID:IpGAEcpAO
メイド剣士「変態、死ねばいい」
白導師「銀鈴の真似やめて」
勇者「敵がいつ来るか分からないんだから……」
女拳士「でも賑やかなのは良いな」
勇者「それはそうだけどね」
白導師「とりあえずバカ犬や竜さんや騎士さんたちが見張りしてくれるから、ゆっくり休むんだね」
術師「ハマミナトの街……、とても大きな街です」
勇者「分かるよ、人の生きている空間を焼け野原にしたくないよね」
犬娘「出来るだけ早く、みんなが逃げられるようにしないと」
メイド剣士「派手に攻めましょうか」
白導師「住民の回復は任せといて」
勇者「流石に魔力保たなそうだけど」
白導師「魔力補助の石がある」
術師「あ、それ研究してる所でした」
白導師「あげないよ」
術師「欲しいですわ」
白導師「パンツ」
術師「は?」
白導師「メイドちゃんのパンツ欲しい」
術師「燃え尽きろ」
メイド剣士「斬りますよ?」
白導師「すみません」
白導師「まあレア中のレアだから、流石にあげられないな」
術師「ころしてでもうばいとる」
白導師「こわい」
術師「冗談ですわ」
322 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/12(金) 22:27:10.06 ID:IpGAEcpAO
翌朝
山を降り、ハマミナトにつくのは昼過ぎ、戦闘があれば夜になるだろうか
途中で野営することも考えねばならない
後ろからコトー軍が食料を送ってくれる
キタハマの小さな大軍勢は十分な食事を取ると、いよいよハマミナトに攻め入る事にした
外には不気味なほど敵兵の気配がない
半日進み街が見える所まで来ると、敵の陣営が見えてきた
女拳士「こっちの戦線が伸びるのを狙った感じだな」
竜女「飛竜が輸送しますからそんなに長距離では無いですがね」
白導師「敵陣の向こうに転送で飛んでびっくりさせてやりたい」
術師「戦力をばらけさせるのも味方同士の打ち合いになってしまうのも避けたいですわ」
術師「それより、ここに砦を築きましょう」
メイド剣士「今からですか?」
竜女「考えは分かった、緑竜、木を刈って骨だけの砦を作れ」
石使い「そしてここに鉄石がある、せんぱいの一夜城の出来上がり」
女拳士「便利すぎるだろ、石」
石使い「もう昔とは戦争のスタイルも変わっていると言うこと……」
術師「そろそろ我々の開戦を聞きつけ、もう一つの軍隊が動きますわ」
323 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/12(金) 22:28:40.97 ID:IpGAEcpAO
女拳士「へ?」
女拳士「うちに援軍なんて来るの?」
勇者「いるだろう、とっておきの援軍が」
女拳士「あ」
…………
魔人王「敵の性質が厄介だな」
銀鈴「一般兵に戦わせると、取り込まれる可能性がある……、死ぬよりヤバい」
牧場娘「まあようするに、私らが昼寝の間も惜しんで戦うしかないね」
魔人王「兵たちには後方支援を任せるか」
魔人王「白衣を持て、行くぞ」
牧場娘「久しぶりに魔人王・本気モードが見れるのかい?」
魔人王「ああ、ハマミナトは無くなるかも知れないな……、移民を受け入れる準備は出来ているか?」
銀鈴「みんな抜かりないよう、死ぬほど頑張ってる」
牧場娘「昼寝どころか夜も眠れなかったよ」
牧場娘は大きなあくびをした
これから戦場に向かうとは思えない暢気さだ
牧場娘「ハマミナトの大型船をいくつか買い上げて、キタハマ経由でもカイオウ国経由でも避難民を運べるよ」
牧場娘「昼寝してる間に移民完了さ」
銀鈴「移民に例の闇が使われたら死ぬほどマズい、黒衣が来るかも知れないからうちから鉱山のおじさんも果樹園のおばさんも畑のにいさんもそちらに行ってもらう」
324 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/12(金) 22:30:25.35 ID:IpGAEcpAO
魔人王「総力戦だな」
牧場娘「カイオウ島史上かつてない大戦争だよ」
魔人王「勝つのは人間の軍だ、あいつらもいる」
牧場娘「負けるはずがないね」
銀鈴「伝令をお願い、牧場ちゃん、昼寝無しで」
牧場娘「はいはい、死ぬほど迅速にね」
…………
牧場娘は飛行魔法で砦が完成する前に駆けつけた
牧場娘「うちも全力全軍投入だよ」
術師「ありがとう御座います」
牧場娘「別にあんたらの戦争じゃないだろ」
牧場娘「昼寝を愛する全人類の戦いさ」
術師「勝ったら砂浜にビーチパラソルを出して存分に昼寝しましょう」
牧場娘「話が分かるねえ」
牧場娘「それでだ、例の闇の特性について知ってることがあれば全部教えてくれ」
術師「耳が早いですね、こちらも知らせておきたかった所です」
…………
牧場娘「ふむふむ、周りの物を取り込んで進化する」
牧場娘「倒してもまとまっていく」
牧場娘「こちらに感染はしない、光の衣でダメージを軽減できる」
メイド剣士「そんな所です」
牧場娘「やっぱり持つべき物は心強い同盟国だね!」
牧場娘「しかし、なんか破壊神が弱いのと、その後も闇の軍隊が現れてるのが気持ち悪い」
325 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/12(金) 22:33:04.16 ID:IpGAEcpAO
術師「気持ち悪い?」
牧場娘「技術の進歩があると言ってもねえ……」
牧場娘「伝説に残る大破壊をした破壊神が、そんなに弱いかねえ」
メイド剣士「確かに……」
牧場娘「何体か出た、そいつらは蹴散らした、じゃあ闇はどこに消えた?」
メイド剣士「ちょっと待って下さい、破壊神もどきは砕けば消えていきました」
牧場娘「全部綺麗に消えたとでも?」
術師「本質的な部分は黒衣の魔女の元に逃れているのかも……」
牧場娘「危険だね」
牧場娘「うちの魔人なら勝てると信じてるけど、やっぱり街は無くなるかもね」
術師「……口惜しい」
術師「黒衣の魔女を追い詰めているつもりが、手のひらで遊ばれているような……」
犬娘「でも、引くことは出来ない」
犬娘「必ず、ハマミナトの闇を晴らす!」
牧場娘「キタハマ王さんは立派に王さんやってるね」
牧場娘「未来の昼寝たっぷりできる平和のために、戦うべ!」
…………
黒衣「私の……可愛いペット……たち……」
黒衣「明日は……たっぷりご飯を食べられる……よ……」
黒衣「憧れの……大魔法使い様……の……ように……」
黒衣「最後の……実験を……開……始……する」
326 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/12(金) 22:37:54.72 ID:IpGAEcpAO
今回はここまでです
次回更新も暫く時間をいただきます
長いからやたら伏線かましたりキャラを増やしたりしたので、まとめるのが大変なのでご了承下さい
日本語のミスはいつでもご指摘ください
ではまた来週か再来週
327 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/09/15(月) 09:49:00.47 ID:MPZhySNDo
二日考えたけど気の効いたレスが浮かばなかったので、乙
328 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/16(火) 22:37:46.27 ID:NPhlLmoAO
>>327
ありがとうございます
意外と短くまとまったので一気に更新します
かなりあっさり終わったので、各キャラのショートストーリー集を予定しています
もし気になるキャラがいたら言って下さいね
329 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/16(火) 22:39:39.52 ID:NPhlLmoAO
銀騎士は自陣に広がる不安感を押さえきれなくなっていた
先に送った一万を超える大軍隊がことごとく消え失せたのだ
原因は誰にも分からなかったが、銀騎士だけは知っていた
銀騎士「……やりやがったな……」
銀騎士「悪魔め!!」
しかし、もはや後に引けるはずもない
銀騎士は最後の戦いの時に望んでいた
そこに、黒衣の魔女が現れた
銀騎士「……なんのつもりだ……!」
黒衣「くっくっくっ……、くふっ」
黒衣「あまりに実験が上手く行きすぎて……、笑いが……、止まらない」
黒衣「おっと、勘違い、しない」
銀騎士「……?」
黒衣「兵を殺したのは……、キタハマの魔王たち……」
黒衣「……あなたが恨むべきは……、キタハマの魔王……」
銀騎士にはもう全て分かっていた
初めから自分は利用されていたのだ、この魔女に
キタハマは悪くない事も分かっていた
自分は利用されるしかなかったのだ
弱かったからだ
銀騎士はハマミナトを守るための策は既に打っていた
心に残るは、この魔女に一矢を報いれぬ事……
銀騎士「貴様の実験とは、なんだ?」
330 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/16(火) 22:43:13.50 ID:NPhlLmoAO
黒衣「ん」
黒衣「あはは……、興味……、あるの?」
銀騎士「貴様は何故人の命をなんとも思わんのだ!」
黒衣「人の命?」
黒衣「かみさまのおもちゃ」
黒衣「かみさまのひまつぶし?」
黒衣「私は……、女神になるの……、だから……、それは……、その程度の価値しか……、……私には無い……」
銀騎士「何故お前はそこまで狂った!」
黒衣「……? ……狂ってない……、よ……?」
黒衣「狂って、ない」
黒衣「私は、……女神に……、なるの」
黒衣「……決まって……いる……、ことなのよ」
銀騎士は、なぜこの黒衣の魔女に服従していたのか、悟った
この魔女はあまりに純粋なのだ
純粋故に、およそ小さな事に、激しい苦痛を感じ、純粋故に、容易に負の感情に染まった
そのまま、突き進んでしまったのだ
誰も止める者もなく
途端に銀騎士は、この黒衣の魔女が哀れになってしまった
銀騎士「全てはお前の思う通りなのだろう」
銀騎士「だが、俺は言わせてもらう」
銀騎士「お前は……、間違っている」
331 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/16(火) 22:44:49.82 ID:NPhlLmoAO
黒衣「実験に……、失敗はつきもの」
銀騎士「そう言う事ではない」
黒衣「……割と、興味ある」
銀騎士「取り返しのつかない事が、この世にはあるのだ!」
銀騎士の言葉に、黒衣の魔女は堰を切ったように笑い出した
黒衣「あはっ、あははははは!!」
黒衣「それを知らないのは、お前たちだろう!!」
黒衣「無知で、馬鹿で、配慮もなく、思慮もなく、それが不幸を招く予感も感じない!」
黒衣「全ての者が愚かなのだ! それが真理としても!」
黒衣「誰もそれに抗おうとしない! 神に抵抗しない!」
黒衣「お前たちは馬鹿だ!」
銀騎士は悲しくなった
結局、自分には黒衣の魔女に上回る知恵もないのだ
そして、悲しい間違いをしている彼女を止めることが出来ない
銀騎士「世界は理不尽なものだ……、だから努力するんだろう……」
黒衣「違うね、それは力の無い者の発想」
黒衣「私は……、神になる……!」
銀騎士「無理だ……」
銀騎士は力なく呟くしか、出来なかった
332 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/16(火) 22:48:51.49 ID:NPhlLmoAO
犬娘たちは砦の上に立ち、銀騎士の本隊を眺めていた
これから人間の軍隊を粉砕し、敵国を力で支配する
逡巡はずっとある
闇に犯され、闇に取り込まれたとは言え、犬娘たちは人の軍隊を薙払ってきたのだ
今向かい合うは人の群、少しの間ではあったが、敵も味方も硬直した
殺し合いが、始まる
そこに一手を投げかけた者があった
魔人王「超級爆裂魔法」
銀騎士はただ光る空を見ていた
犬娘たちは唖然とするしかなかった
魔人王には一つの計算があった
闇の力とは人間の負の感情である
ならば、その負の感情を抱かせないことが最善の策
すなわち
魔人王「一撃で蹂躙する!」
魔人王は空の全てを覆うような激しい力の奔流を、そのまま一万の銀騎士本陣に叩きつけた!
銀騎士「これで……、終わりか……?」
銀騎士「……黒衣の魔女よ……、お前の心に巣くう闇を……、晴らせていれば……!」
そんな中、術師が思ったのは自分達に負担を負わせまいとする魔人王の優しさと
あ、あの時魔人王は自分の城を壊したくないから本気を出さなかったんだな、と言うことだった
333 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/16(火) 22:51:11.81 ID:NPhlLmoAO
戦争は終わってしまった
かに、思えた
魔人王「さっさと民を避難させろ!」
牧場娘「みんなやってるわ!」
そう、このタイミングで黒衣の魔女が仕掛けてこない事など、有り得ない
まず、闇は銀騎士に命をもたらした
人として清くあろうとした、人並みに生きた銀騎士の命などではない
銀騎士は、まさに闇の騎士となった
銀騎士「ぎごおおおあああ!」
破壊神に比べれば小さな体躯である
しかし、それが破壊神を上回る力を持って、放電を始めた
銀騎士「ぐがが!」
銀騎士「流れ込んでくる……、黒衣の魔女の悲しみが……」
銀騎士「小さな命を、人はいびり殺したのだ」
銀騎士「生命とは、邪悪である……!」
銀騎士「粛正せねばならない!」
銀騎士は空を暗黒に染め、襲いかかってくる!
犬娘「あんなのどうやって戦うの〜〜!?」
術師「恐れるに足りませんわ」
銀騎士が放った恐るべき闇の雲を、
術師の封印結界が防ぐ!
勇者「完成していたのかっ!」
先の魔人王の力に並ぶ闇の力を術師は防ぎきる!
メイド剣士「変態、死ねばいい」
白導師「銀鈴の真似やめて」
勇者「敵がいつ来るか分からないんだから……」
女拳士「でも賑やかなのは良いな」
勇者「それはそうだけどね」
白導師「とりあえずバカ犬や竜さんや騎士さんたちが見張りしてくれるから、ゆっくり休むんだね」
術師「ハマミナトの街……、とても大きな街です」
勇者「分かるよ、人の生きている空間を焼け野原にしたくないよね」
犬娘「出来るだけ早く、みんなが逃げられるようにしないと」
メイド剣士「派手に攻めましょうか」
白導師「住民の回復は任せといて」
勇者「流石に魔力保たなそうだけど」
白導師「魔力補助の石がある」
術師「あ、それ研究してる所でした」
白導師「あげないよ」
術師「欲しいですわ」
白導師「パンツ」
術師「は?」
白導師「メイドちゃんのパンツ欲しい」
術師「燃え尽きろ」
メイド剣士「斬りますよ?」
白導師「すみません」
白導師「まあレア中のレアだから、流石にあげられないな」
術師「ころしてでもうばいとる」
白導師「こわい」
術師「冗談ですわ」
322 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/12(金) 22:27:10.06 ID:IpGAEcpAO
翌朝
山を降り、ハマミナトにつくのは昼過ぎ、戦闘があれば夜になるだろうか
途中で野営することも考えねばならない
後ろからコトー軍が食料を送ってくれる
キタハマの小さな大軍勢は十分な食事を取ると、いよいよハマミナトに攻め入る事にした
外には不気味なほど敵兵の気配がない
半日進み街が見える所まで来ると、敵の陣営が見えてきた
女拳士「こっちの戦線が伸びるのを狙った感じだな」
竜女「飛竜が輸送しますからそんなに長距離では無いですがね」
白導師「敵陣の向こうに転送で飛んでびっくりさせてやりたい」
術師「戦力をばらけさせるのも味方同士の打ち合いになってしまうのも避けたいですわ」
術師「それより、ここに砦を築きましょう」
メイド剣士「今からですか?」
竜女「考えは分かった、緑竜、木を刈って骨だけの砦を作れ」
石使い「そしてここに鉄石がある、せんぱいの一夜城の出来上がり」
女拳士「便利すぎるだろ、石」
石使い「もう昔とは戦争のスタイルも変わっていると言うこと……」
術師「そろそろ我々の開戦を聞きつけ、もう一つの軍隊が動きますわ」
323 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/12(金) 22:28:40.97 ID:IpGAEcpAO
女拳士「へ?」
女拳士「うちに援軍なんて来るの?」
勇者「いるだろう、とっておきの援軍が」
女拳士「あ」
…………
魔人王「敵の性質が厄介だな」
銀鈴「一般兵に戦わせると、取り込まれる可能性がある……、死ぬよりヤバい」
牧場娘「まあようするに、私らが昼寝の間も惜しんで戦うしかないね」
魔人王「兵たちには後方支援を任せるか」
魔人王「白衣を持て、行くぞ」
牧場娘「久しぶりに魔人王・本気モードが見れるのかい?」
魔人王「ああ、ハマミナトは無くなるかも知れないな……、移民を受け入れる準備は出来ているか?」
銀鈴「みんな抜かりないよう、死ぬほど頑張ってる」
牧場娘「昼寝どころか夜も眠れなかったよ」
牧場娘は大きなあくびをした
これから戦場に向かうとは思えない暢気さだ
牧場娘「ハマミナトの大型船をいくつか買い上げて、キタハマ経由でもカイオウ国経由でも避難民を運べるよ」
牧場娘「昼寝してる間に移民完了さ」
銀鈴「移民に例の闇が使われたら死ぬほどマズい、黒衣が来るかも知れないからうちから鉱山のおじさんも果樹園のおばさんも畑のにいさんもそちらに行ってもらう」
324 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/12(金) 22:30:25.35 ID:IpGAEcpAO
魔人王「総力戦だな」
牧場娘「カイオウ島史上かつてない大戦争だよ」
魔人王「勝つのは人間の軍だ、あいつらもいる」
牧場娘「負けるはずがないね」
銀鈴「伝令をお願い、牧場ちゃん、昼寝無しで」
牧場娘「はいはい、死ぬほど迅速にね」
…………
牧場娘は飛行魔法で砦が完成する前に駆けつけた
牧場娘「うちも全力全軍投入だよ」
術師「ありがとう御座います」
牧場娘「別にあんたらの戦争じゃないだろ」
牧場娘「昼寝を愛する全人類の戦いさ」
術師「勝ったら砂浜にビーチパラソルを出して存分に昼寝しましょう」
牧場娘「話が分かるねえ」
牧場娘「それでだ、例の闇の特性について知ってることがあれば全部教えてくれ」
術師「耳が早いですね、こちらも知らせておきたかった所です」
…………
牧場娘「ふむふむ、周りの物を取り込んで進化する」
牧場娘「倒してもまとまっていく」
牧場娘「こちらに感染はしない、光の衣でダメージを軽減できる」
メイド剣士「そんな所です」
牧場娘「やっぱり持つべき物は心強い同盟国だね!」
牧場娘「しかし、なんか破壊神が弱いのと、その後も闇の軍隊が現れてるのが気持ち悪い」
325 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/12(金) 22:33:04.16 ID:IpGAEcpAO
術師「気持ち悪い?」
牧場娘「技術の進歩があると言ってもねえ……」
牧場娘「伝説に残る大破壊をした破壊神が、そんなに弱いかねえ」
メイド剣士「確かに……」
牧場娘「何体か出た、そいつらは蹴散らした、じゃあ闇はどこに消えた?」
メイド剣士「ちょっと待って下さい、破壊神もどきは砕けば消えていきました」
牧場娘「全部綺麗に消えたとでも?」
術師「本質的な部分は黒衣の魔女の元に逃れているのかも……」
牧場娘「危険だね」
牧場娘「うちの魔人なら勝てると信じてるけど、やっぱり街は無くなるかもね」
術師「……口惜しい」
術師「黒衣の魔女を追い詰めているつもりが、手のひらで遊ばれているような……」
犬娘「でも、引くことは出来ない」
犬娘「必ず、ハマミナトの闇を晴らす!」
牧場娘「キタハマ王さんは立派に王さんやってるね」
牧場娘「未来の昼寝たっぷりできる平和のために、戦うべ!」
…………
黒衣「私の……可愛いペット……たち……」
黒衣「明日は……たっぷりご飯を食べられる……よ……」
黒衣「憧れの……大魔法使い様……の……ように……」
黒衣「最後の……実験を……開……始……する」
今回はここまでです
次回更新も暫く時間をいただきます
長いからやたら伏線かましたりキャラを増やしたりしたので、まとめるのが大変なのでご了承下さい
日本語のミスはいつでもご指摘ください
ではまた来週か再来週
327 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/09/15(月) 09:49:00.47 ID:MPZhySNDo
二日考えたけど気の効いたレスが浮かばなかったので、乙
328 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/16(火) 22:37:46.27 ID:NPhlLmoAO
>>327
ありがとうございます
意外と短くまとまったので一気に更新します
かなりあっさり終わったので、各キャラのショートストーリー集を予定しています
もし気になるキャラがいたら言って下さいね
329 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/16(火) 22:39:39.52 ID:NPhlLmoAO
銀騎士は自陣に広がる不安感を押さえきれなくなっていた
先に送った一万を超える大軍隊がことごとく消え失せたのだ
原因は誰にも分からなかったが、銀騎士だけは知っていた
銀騎士「……やりやがったな……」
銀騎士「悪魔め!!」
しかし、もはや後に引けるはずもない
銀騎士は最後の戦いの時に望んでいた
そこに、黒衣の魔女が現れた
銀騎士「……なんのつもりだ……!」
黒衣「くっくっくっ……、くふっ」
黒衣「あまりに実験が上手く行きすぎて……、笑いが……、止まらない」
黒衣「おっと、勘違い、しない」
銀騎士「……?」
黒衣「兵を殺したのは……、キタハマの魔王たち……」
黒衣「……あなたが恨むべきは……、キタハマの魔王……」
銀騎士にはもう全て分かっていた
初めから自分は利用されていたのだ、この魔女に
キタハマは悪くない事も分かっていた
自分は利用されるしかなかったのだ
弱かったからだ
銀騎士はハマミナトを守るための策は既に打っていた
心に残るは、この魔女に一矢を報いれぬ事……
銀騎士「貴様の実験とは、なんだ?」
330 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/16(火) 22:43:13.50 ID:NPhlLmoAO
黒衣「ん」
黒衣「あはは……、興味……、あるの?」
銀騎士「貴様は何故人の命をなんとも思わんのだ!」
黒衣「人の命?」
黒衣「かみさまのおもちゃ」
黒衣「かみさまのひまつぶし?」
黒衣「私は……、女神になるの……、だから……、それは……、その程度の価値しか……、……私には無い……」
銀騎士「何故お前はそこまで狂った!」
黒衣「……? ……狂ってない……、よ……?」
黒衣「狂って、ない」
黒衣「私は、……女神に……、なるの」
黒衣「……決まって……いる……、ことなのよ」
銀騎士は、なぜこの黒衣の魔女に服従していたのか、悟った
この魔女はあまりに純粋なのだ
純粋故に、およそ小さな事に、激しい苦痛を感じ、純粋故に、容易に負の感情に染まった
そのまま、突き進んでしまったのだ
誰も止める者もなく
途端に銀騎士は、この黒衣の魔女が哀れになってしまった
銀騎士「全てはお前の思う通りなのだろう」
銀騎士「だが、俺は言わせてもらう」
銀騎士「お前は……、間違っている」
331 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/16(火) 22:44:49.82 ID:NPhlLmoAO
黒衣「実験に……、失敗はつきもの」
銀騎士「そう言う事ではない」
黒衣「……割と、興味ある」
銀騎士「取り返しのつかない事が、この世にはあるのだ!」
銀騎士の言葉に、黒衣の魔女は堰を切ったように笑い出した
黒衣「あはっ、あははははは!!」
黒衣「それを知らないのは、お前たちだろう!!」
黒衣「無知で、馬鹿で、配慮もなく、思慮もなく、それが不幸を招く予感も感じない!」
黒衣「全ての者が愚かなのだ! それが真理としても!」
黒衣「誰もそれに抗おうとしない! 神に抵抗しない!」
黒衣「お前たちは馬鹿だ!」
銀騎士は悲しくなった
結局、自分には黒衣の魔女に上回る知恵もないのだ
そして、悲しい間違いをしている彼女を止めることが出来ない
銀騎士「世界は理不尽なものだ……、だから努力するんだろう……」
黒衣「違うね、それは力の無い者の発想」
黒衣「私は……、神になる……!」
銀騎士「無理だ……」
銀騎士は力なく呟くしか、出来なかった
332 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/16(火) 22:48:51.49 ID:NPhlLmoAO
犬娘たちは砦の上に立ち、銀騎士の本隊を眺めていた
これから人間の軍隊を粉砕し、敵国を力で支配する
逡巡はずっとある
闇に犯され、闇に取り込まれたとは言え、犬娘たちは人の軍隊を薙払ってきたのだ
今向かい合うは人の群、少しの間ではあったが、敵も味方も硬直した
殺し合いが、始まる
そこに一手を投げかけた者があった
魔人王「超級爆裂魔法」
銀騎士はただ光る空を見ていた
犬娘たちは唖然とするしかなかった
魔人王には一つの計算があった
闇の力とは人間の負の感情である
ならば、その負の感情を抱かせないことが最善の策
すなわち
魔人王「一撃で蹂躙する!」
魔人王は空の全てを覆うような激しい力の奔流を、そのまま一万の銀騎士本陣に叩きつけた!
銀騎士「これで……、終わりか……?」
銀騎士「……黒衣の魔女よ……、お前の心に巣くう闇を……、晴らせていれば……!」
そんな中、術師が思ったのは自分達に負担を負わせまいとする魔人王の優しさと
あ、あの時魔人王は自分の城を壊したくないから本気を出さなかったんだな、と言うことだった
333 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/09/16(火) 22:51:11.81 ID:NPhlLmoAO
戦争は終わってしまった
かに、思えた
魔人王「さっさと民を避難させろ!」
牧場娘「みんなやってるわ!」
そう、このタイミングで黒衣の魔女が仕掛けてこない事など、有り得ない
まず、闇は銀騎士に命をもたらした
人として清くあろうとした、人並みに生きた銀騎士の命などではない
銀騎士は、まさに闇の騎士となった
銀騎士「ぎごおおおあああ!」
破壊神に比べれば小さな体躯である
しかし、それが破壊神を上回る力を持って、放電を始めた
銀騎士「ぐがが!」
銀騎士「流れ込んでくる……、黒衣の魔女の悲しみが……」
銀騎士「小さな命を、人はいびり殺したのだ」
銀騎士「生命とは、邪悪である……!」
銀騎士「粛正せねばならない!」
銀騎士は空を暗黒に染め、襲いかかってくる!
犬娘「あんなのどうやって戦うの〜〜!?」
術師「恐れるに足りませんわ」
銀騎士が放った恐るべき闇の雲を、
術師の封印結界が防ぐ!
勇者「完成していたのかっ!」
先の魔人王の力に並ぶ闇の力を術師は防ぎきる!