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犬娘「魔王になるっ!」

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Part17
198 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/23(土) 01:16:11.64 ID:if/f0pXAO
蘇った緑鎧はひたすら震えている
魔人王「お前の罪は死罪に値する、言え、他に仲間はいるのか?」
緑鎧「い、いるよお、俺たち新星勇者は……、七人 こいつと俺、後五人」
魔人王「勇者?」
魔人王「お前のような雑魚が何人居ても変わらんが、俺の島を汚すのは許せん、全て話せ」
緑鎧「ひいぃ……」
ーー北浜ーー
犬娘たちが浜辺で釣りをしていると、海に何か醜い物が降ってきた
魚娘「犬娘様あっ!」
女拳士「魚人か」
犬戦士「魚人だな」
犬娘「魚人ちゃ〜ん!」
魚娘「魚娘です、美しい魚娘です」
犬娘「うん、美しい?魚娘ちゃん」
魚娘「首を傾げないで!」
女拳士「なんの用だよ、魚逃げるんだよ」
魚娘「こ、これは失礼しました」
魚娘は嫌がらせのようにバタバタ泳いで近付いてきた
女拳士「釣るぞ、むしろ吊るぞ」
魚娘「実はカイオウ国が襲われまして……、たくさんの人が殺されて……」
女拳士「マジか!」
犬娘たちは大きなたらいに水を貯め、そこに魚娘を入れて三人で建設中の城の前の小屋に帰ってきた
術師「勇者が襲ってきた?」
勇者「ここでずっと石作りを手伝っていたが」

199 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/23(土) 01:17:47.63 ID:if/f0pXAO
魚娘「あなたではないんです 人魚メイドちゃんが言うにはなんか緑色の趣味の悪い男と、青い衣の魔女らしく」
勇者「サイセイの新星勇者だ…… 訓練を終えていたのか」
魚娘「カイオウ国は魔人王様が行かれたのでもう完璧に安全なんですが、他の国にも来るかも知れず、姫様が直ちに犬娘様に知らせるように、と」
犬娘「ありがとう、貝殻ちゃんに言っておいて」
魚娘「分かりました 私もお礼が欲しかったけど分かりました」
術師「白石をプレゼント」
魚娘「やめて凍る」
結局魚娘には白石と赤石を一個づつ持たせてチュウザンに送り返した
術師「それより勇者対策をしなくてはならなくなりました」
勇者「身内の不始末だ、俺が何とかしよう」
犬娘「手伝うよ」
メイド剣士「私も警備は慎重にします」
勇者「すまないな」
術師「しかしサイセイが私たちを明確に敵視し始めたなら、それは危険かも分かりませんね」
犬娘「……戦争、……嫌だなあ……」
虎獣人「国が大きくなっていけば敵は増える、歪なプロパガンダに外交だけで勝てるはずもない」
旅人「王様みたいだね〜」
メイド剣士(あんたが言うな)

200 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/23(土) 01:23:32.50 ID:if/f0pXAO
二日ほどして、チュウザンから牧場娘がやってきた
牧場娘「つまり勇者はあと五人いるんだけど、どヘボ弱いから昼寝してても勝てると」
牧場娘「でも一般人殺されたく無かったら来年の夏頃の進軍に気をつけろと」
牧場娘「まあ、雨期の後がヤバいだろうね」
牧場娘「敵を拷問にかけて出した情報だからフェイクの可能性もあるけどね〜」
術師「ありがとうございます」
牧場娘「あと、貝殻ちゃんの両親は無事だけど安全のため、あの子はうちで預かる事になった」
白導師「幼女かと思ったら妖女だった時のがっかり感」
牧場娘「うわ、ウザイのいる 寝てろよ」
術師「牧場娘様の魔法は幻覚系ですか?」
牧場娘「教えるわけないだろ ……あんた眠そうだね、仲間だね」
術師「眠いわけではありませんわ」
牧場娘「一緒に昼寝するなら教える」
白導師「国家機密やろ牧場ちゃん」
牧場娘「うるさいな変態は」
白導師「あ、銀鈴」
牧場娘は誰が見ても分かるくらい取り乱した
白導師「いるわけないだろ、ばーかばーか」
子供か
牧場娘が何やら魔法を放つと白導師は吹き飛んだ
牧場娘「見えない魔法見せちゃったよ しくじったかな」

201 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/23(土) 01:24:52.20 ID:if/f0pXAO
どうやら熱系統の魔法を何らかの方法で見えなくしているようだ
術師(厄介な人物ですわ…… 魔力も底が見えない)
牧場娘「じゃ、これ以上ボロが出ないうちに帰って寝るわ」
術師「ありがとうございました 魔人王様にもよろしくお願いします」
牧場娘「忙しいだろうけどたまには遊びに来いよ、昼寝しようぜ」
術師「疲れやすいのでそうします」
術師はにっこり笑った
牧場娘「ちょーし狂うなあ」
…………
犬娘「お肉食べたいね」
虎娘「魚を釣ってチュウザンの行商人さんに交換してもらうといいよ」
犬娘「行商人さん来てるの?」
女拳士「アタシら給料もらってないから物々交換が基本みたいだけどね」
犬娘「お金かあ」
メイド剣士「うちは人口が少なく綺麗に分業が出来てるので、誰でも豊かに暮らせてますからね」
メイド剣士「でも流通が活発になるならお金はあった方が良いし、術師さんに相談してみようかな?」
女拳士「税収とか難しくないか?」
メイド剣士「はっきり言って住民の九割が無賃労働状態ですからね…… 税金を取るとすれば行商人さんからですか」

202 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/23(土) 01:26:35.60 ID:if/f0pXAO
…………
術師「お金、ですか」
メイド剣士「なんかそんな話になっちゃいまして」
術師「いや、経済を考えるのは国の発展に必要なことです」
術師「とりあえず貿易で得たお金は国庫に入れてますが」
術師「善意で働いてくれている今の住民から税金を取るのは無理ですね そもそもお給料払ってないし」
虎少年「今はお父さんたちが開拓した土地や魔王様たちが買った食料をみんなに振り分けてコントロールしてる感じですしね」
旅人「そもそも人が増えて物流も増えてるのに金銭的な経済は全く回ってないんだよな」
術師「解消するアイデアは有るんですか?」
旅人「二つある」
旅人「新通貨の発行か、君たちの持ってる共通通貨を全員に配分するか、だ」
旅人「でもこれをするとそれからは、お金を貰えなければ働かないって考えが生まれてくるかもな」
旅人「新通貨の場合はそれを増刷すればいいが、そうするとインフレになってしまう」
旅人「既存通貨の場合は君たちが稼いでバラまく分には経済的な問題は少ない」
術師「それだと後者が全面的に良いようですが」
旅人「いや、前者も為替とかのメリットがあるんだが、これは複雑になるから割愛する」


203 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/23(土) 01:28:05.19 ID:if/f0pXAO
旅人「そもそも力有る王の元、自給自足や物々交換で物流が成立している今の状態は好ましい状態ではあるんだ」
旅人「ただこれは土地や物が余りある状態で、皆が犬娘ちゃんを信頼し、支えたいと考えているからこそ成立していると言える」
術師「複雑ですね」
虎少年「僕にはまだよく分かりません……」
メイド剣士「経済って難しい……」
旅人「物々交換の弱点は今年の雨期のように生産性が自然のような不確定な要因で変わって、価値が変わる所」
術師「不足したら取引できる商品の代替が必要になりますね」
旅人「そこで貨幣により損失を賄う必要が出てくるね」
術師「でも国内だと貨幣だけでやりとり出来る物が限られて来ますね」
旅人「そこで今は貿易が必要なんだよね」
旅人「僕の結論として、今この国を動かすのに通貨を入れるのは間違ってる むしろ魔王様やこの町の海外での名声を高めるのがいい手じゃないだろうか」
旅人「外の人がお金を持ち込んで初めて貨幣経済が生まれると言うので良いと思う」
術師「今いる村人は全員公務員になる感じでしょうか」
旅人「そのうちにお給料を払う必要も出て来るし、土地や家でお金を取る必要も出てくるだろうね」

204 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/23(土) 01:28:47.92 ID:if/f0pXAO
虎少年「でも貨幣経済に移れば物流は加速しますよね?」
メイド剣士「物流が加速したら資源は減りますけど」
術師「色々面倒な犯罪も起こるでしょうね 法整備は早めに考えないと」
虎少年「法律とか難しそう」
術師「とりあえず経済をどうするか」
術師「それはまだ未来の話ですわ」
旅人「そうだな、コトー王みたいに長生きな人がいると感覚が狂うが、結局十年二十年と言うのは途轍もない長い時間なんだ」
術師「そう言えば旅人さんが人材派遣費用を物で補っていたのを思い出しました」
術師「あの頃からそういう発想で回してたんですね」
旅人「そのせいで魚が枯渇した面もあるから、誉められた事じゃないよ」
術師「干物みたいな長時間置いておける物で物々交換が安定してできるなら貿易も物々交換でも良いですよね」
旅人「商品経済だね、干物が通貨になるわけだ」
メイド剣士「お茶にしましょうか」
虎少年「やった」
術師「虎くんは魔王様に似てますね 頭脳労働版魔王様」
虎少年「え、そ、そうですか?」
メイド剣士「術師さんって天然のタラシなとこ有りますね」
術師「そんなこと言われたの生まれて初めてですわ」

205 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/23(土) 01:30:38.55 ID:if/f0pXAO
…………
犬娘「このあたり、家がたくさん立ってきたね」
モグラ親方「このへんはサイセイ南からいっぱい移住してきたからなあ」
犬娘「こんなにたくさんの人を、守れるかなあ?」
モグラ親方「あんたらに全部押しつけてるんだ 絶対恨み言なんざ言わせねえよ!」
モグラ子分「魔王様は思いっきり戦ってくだせえ!」
どうやら秋頃の女拳士との打ち合いは、町中の噂になっているようだ
犬娘「あはは」
虎獣人「犬娘ちゃんたちの強さは俺たちはよく知ってる」
虎獣人「負けたなら負けたでしょうがない、思いっきり行け!」
犬娘「うん!」
犬娘「まあ戦争にならないのが一番だけどね……」
虎獣人「そりゃそうだ」
モグラ親方「だな!」
虎娘「犬娘ちゃん」
犬娘「ん?」
虎娘「あたしもっと強くなる、待ってて!」
犬娘「うん!」
ーーコトーーー
係員「すみません魔王様、未だ側近様は動かれません」
魔王「あいつにゃあいつの考えがある」
魔王「まああんまり気にするな」
係員「しかし」
魔王「お前あいつにしつけぇ、って言われなかった?」
係員「うぐっ」
魔王「まあ見てろ、世は全て事も無し、だ」

207 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/23(土) 08:54:41.94 ID:if/f0pXAO
読み返した所レスは飛んでいないようです
何か展開に疑問点があったら言って下さい
次回は一週間以内に更新できれば、と思います
いつも読んで下さりありがとうございます

208 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/08/23(土) 20:05:26.68 ID:G1j0wheho
過去作読んでる

209 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/08/24(日) 01:42:08.64 ID:EgZkHs9IO
Saga
女拳士が同じ相手に二度負けたと言ってますが
黒衣の女と過去に戦った事があるのかな?

210 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/08/24(日) 20:09:23.22 ID:C/On4veXo
前作まで読んできた、質問したいところもあったけど
その後どうなったかなどは後日談や誰かの回想として話の中で読みたいぜ

211 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/28(木) 22:47:53.17 ID:fi/74IKAO
>>208
長いのに有り難う御座います
>>209
次回更新で語ります
>>210
過去作関連のエピソードも考えています
また、もっと真相に迫るお話も考えていますが、このお話では少し触れるレベルの予定です
…………
明日の夜更新出来るように次回更新分考証してます、お楽しみに!

212 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/29(金) 20:00:55.54 ID:OKDZjEgAO
更新します

213 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/29(金) 20:05:02.67 ID:OKDZjEgAO
開拓の最終目的は港を作り、チュウザンー北浜ーコトーの貿易経路を確立することである
術師たちの計画は塩田向こうへの街道整備、東の港構築、チュウザンから直接の輸送用街道の整備、これらに伴い街を広げるという方向である
まず術師たちは塩田の東にある山を開拓することにした
術師「ここまでは遠いのでまず拠点を作っていただけますか?」
虎獣人「了解した」
術師は虎獣人一家とモグラたちに作業指示を出すと、犬娘、女拳士、勇者、メイド剣士を連れて山へと向かう
術師「山砕いちゃってください」
メイド剣士「いきなりなにを言い出すんですか!」
術師「街道整備にはどの道この山を砕き、更に東にある森を開拓し、港を作らないといけません」
術師「ならこのチャンスに皆さんの能力強化も計っちゃおうかと」
犬娘「さすが術師ちゃん、賢い」
メイド剣士「人力で山を砕かせる人は賢くありません」
術師「まあまあ、やってみて下さいな」
メイド剣士「まず山面を覆ってる木はどうしますか?」
術師「メイド剣士さん、全部斬っちゃってください」
メイド剣士「また鬼みたいな事を」

214 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/29(金) 20:09:30.82 ID:OKDZjEgAO
メイド剣士がしぶしぶ目の前の大木に向き直る
足場は悪いが、出来るだけ木の下の方を斬らないと大きな切り株を残すことになる
精神を統一し、深く構えると、一閃
木の半ば辺りまで斬ってしまう
しかし
メイド剣士「この調子だと数日かかりそうです」
術師「あなたはこの開拓の目的が分かってますか?」
術師「木を切り森を開くだけなら獣人の樵さんを連れてきます」
メイド剣士「スキルアップのため、ですよね」
勇者「俺もやってみたいが、どうだろう」
術師「いいですよ、メイドさんの特訓用の木は残しておいて下さいね」
術師の口振りは、端から勇者が成功する、と言わんばかりだ
勇者は剣を構えると、激しい魔力を帯びさせる
勇者「雷神剣!」
勇者が魔法剣を放つと、森の一角が斬れて崩れた
メイド剣士「簡単に……」
術師「一度は見ましたが、恐ろしい技です、伝説の女剣士さんの編み出した技ですからね」
勇者「魔王や破壊神にとどめを刺した女剣士さんは、サイセイの民の憧れだからね」
勇者「まあ今までで俺しか使えなかったんだが」
犬娘「犬勇者様も好き?」
勇者「いや、犬勇者のことは殆ど記録がない」
犬娘「がーん……」

215 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/29(金) 20:13:10.04 ID:OKDZjEgAO
犬の勇者はもちろん今も犬娘の憧れである
しかしサイセイでは、女剣士や魔法使い、僧侶など人間の活躍は記録に残っているが、犬勇者や魔王、ヤマナミの戦いなどは殆ど削除されている
僅かに国立図書館の奥深くに誰も読まないような分厚い数冊の歴史書が残る程度だ
犬娘もショックだが、メイド剣士もショックを受けている
メイド剣士「斬るだけなら誰にも負けないと思ってたのに……」
勇者「いや、確かに破壊力はあるけど魔力を物凄く消耗するから、君みたいに魔力の損失が全く無しでこれだけの斬撃をするのは俺には無理だ」
メイド剣士「魔力……」
メイド剣士「攻撃面は皆さんに任せようかな」
術師「メイドさんの思惑は分かります、私の回復面の負担を減らすために回復を鍛えようと思ってるんですね?」
メイド剣士「はい……」
術師「両方やりなさいな」
メイド剣士「やっぱり鬼だった」
メイド剣士「でも、そうですね……、やらないと」
メイド剣士は剣に魔力を帯びさせる
一般にはオリハルコンは最も魔力伝導性が高い金属である
オリハルコンの仕込み杖はメイド剣士の言いなりになるように、風を纏っていく
メイド剣士「名付けて、真空斬!」