犬娘「魔王になるっ!」
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123 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/16(土) 00:01:08.74 ID:YCMgiEvAO
犬娘「は、はやく逃げよう!」
メイド剣士「一応仕事があるんですが」
とりあえず銀鈴に任せて部屋を後にした
ーー待合室ーー
四人は漸く再会すると口々に話し始めた
術師「全く、あの白導師さんは仕事出来そうだったのに」
メイド剣士「出来るのは変態行為だけでした」
女拳士「魔人王様にも悪いことしちゃってさ……」
犬娘「お腹空いた」
メイド剣士「私の剣どこかな?」
術師「兎に角見つけたら一回は神の杖を味わわせてやりますわ」
女拳士「腹減ったな」
メイド剣士「困ったな」
しばらくすると犬戦士が入ってきた
犬戦士「おうっ、お前ら、良い戦いだったな!」
犬娘「こんにちは」
犬戦士「おうっ、同族、最後の技凄かったな、雷牙光刃拳!だっけ?」
犬戦士「両手がびきーんって光ってドゴーって、そんであの魔人王様倒しちゃうんだもんな」
術師「ちゃんと起きて見てみたかったですわ」
女拳士「アタシはちょろっと見たけど、また気絶しちゃった」
メイド剣士「しかし、個人であそこまで強いって恐ろしいですね」
術師「本当に、力で女拳士さんと張り合うのに超級魔法連発してくるし」
124 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/16(土) 00:03:50.81 ID:YCMgiEvAO
犬戦士「化け物だろ、あいつ、まあだから魔人王なんだけどな」
術師「あなた達も加わったらまず勝てませんね」
犬戦士「最強の国じゃなきゃこんな広大な国土守れねーもん、まだつえー兵士とかいっぱいいるぜ、まともに仕事してるから出てこないけど」
術師「では、改めて魔人王様と接見したいんですが」
犬戦士「お、そうだ、お前ら、飯だ!」
犬娘「やった」
女拳士「めちゃ食うけど大丈夫かな?」
メイド剣士「そこは控えましょうよ」
術師「行きましょう」
ーー王城、広間ーー
魔人王「みな、良く戦った、この国はお前たちを歓迎する」
術師「先程は失礼致しました」
魔人王「うむ」
魔人の王が顔を赤くして顔を逸らす
メイド剣士(可愛いですね)
女拳士(もういじめないであげて)
魔人王「今日はよい戦いが出来た記念だ、存分に食い、飲むがいい」
女拳士「やったね!」
犬娘「やったね!」
術師「えと、魔人王様……」
魔人王「仕事の話は後にしよう、今は楽しんでくれ」
術師「分かりました」
メイド剣士「なんだかぎこちないですね、それで交渉出来るんですか?」
術師「仕事は別ですわ」
125 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/16(土) 00:05:56.60 ID:YCMgiEvAO
メイド剣士「そういう所、可愛くないと思います」
術師「久しぶりにゆっくり食事しましょう」
メイド剣士「はーい」
犬戦士「お、この肉うめえ」
犬娘「ほんとだー」
メイド剣士「ああ、お肉美味しいなあ」
女拳士「うん、魚もイケる、白ワインも美味い」
魔人王「久しぶりに楽しい気分だ、白導師と銀鈴も呼んでこい」
執事「はい」
犬娘「あの二人どうなったの?」
メイド剣士「この世には知らない方が良いことがあるんですよ」
やがて二人が入ってきた
白導師は口を開けてぼんやりしていて、銀鈴が手を引いて連れてくる有り様だ
術師「何があったか察するに余りある有り様である」
メイド剣士「そうですね」
犬戦士「覚醒してやれよ」
銀鈴「もうしばらくは」
魔人王「今日の楽しい気分を壊すな」
銀鈴「魔人王様のご意志のままに」
銀鈴は白導師の魔法を解いて、覚醒の魔法をかけた
白導師「はっ、幼女の白いパンツは……」
魔人王「仕事はしっかりやれ、馬鹿者め」
白導師「はっ、これは失礼」
魔人王「後で罰は与える……俺を辱めた分もな」
白導師「ひいっ」
術師「バレて怯えるならやらなきゃいいのに」
126 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/16(土) 00:08:14.71 ID:YCMgiEvAO
メイド剣士「それは私の悪口や魔王様の食事を止めさせるような事なんですよ、たぶん」
術師「被害者なのに寛容ですわね」
メイド剣士「二回蹴っておきました」
女拳士「ナイス」
犬娘「ナイス」
犬戦士「ナイス」
銀鈴「死ぬまで蹴れば良かった」
術師「まあ今日はゆっくりしますわよ、疲れましたし」
メイド剣士「ですね」
犬娘「このイカ美味しい」
メイド剣士「海鮮あるんですね」
銀鈴「輸入物、死ぬほど高価、肉は死ぬほど安い」
術師「うちと貿易できますわね、海鮮もそうですが」
術師「また明日にでも塩をお持ちしますわ」
銀鈴「塩、死ぬほど高騰してる」
術師「チャンスですわね」
犬娘「ご飯美味しいね」
メイド剣士「農業国なんですよね、基本は」
術師「果物も美味しいですわ」
犬戦士「もっと肉食おうぜ」
犬娘「食う〜!」
女拳士「肉が食い放題とか、通いたくなっちゃうなー」
メイド剣士「やっぱりお肉たくさん食べたら魔人王様みたいに強くなるんですか?」
魔人王「全ては大地の恵みだ」
術師「こういった自然の物は独自の方法で魔力を蓄えていたりしますからね」
メイド剣士「たくさん食べよう」
127 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/16(土) 00:10:21.70 ID:YCMgiEvAO
白導師「うん、いける」
銀鈴「最後の晩餐、死ぬと良い」
白導師「いや、生きる!」
犬戦士「食え食え〜」
結局その日は一日中宴会となった
術師「さて、べこちゃんを見てこようかな」
犬娘「私もー!」
術師「そうですわね、たまには一緒に帰りましょうか」
犬娘と術師は一緒に帰還した
べこ「ンモオォ〜」
術師「べこちゃん喜んでますわ」
犬娘「いっぱい食べてねー!」
犬娘は予め干した牧草をべこの前に置いた
術師「牧草濡れてませんか?」
犬娘「あ、そう言えば雨降ったっけ」
術師「一応錬金用のテントに入れておいたんですが、専用のサイロを作った方が良いですかね?」
犬娘「うーん」
術師「……」
術師「魔王様、強くなりましたね」
犬娘「一人じゃ勝てないけどねー」
術師「いえ、たぶん今なら女拳士さんには勝てます」
犬娘「ええーっ、女拳士さん強いよ?」
術師「魔王様には凄い成長力があります」
術師「いつか私もいらなくなるかも知れませんわね」
犬娘「そんなことないよ!」
犬娘「……絶対遠くに行ったら、嫌だ」
犬娘は術師にしがみつくように抱きついた
128 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/16(土) 00:13:13.55 ID:YCMgiEvAO
…………
魔人王「それでは商売の話をしようか」
術師「その前にこちらを」
術師は五つの水神の石を差し出した
術師「こちらはカイオウ国の貝殻姫様からお預かりしたものです」
魔人王「ほう、彼女は健勝だったろ」
普通は健勝かどうか聞くところだがあの貝殻姫が元気じゃない状態は想像しがたいのだろう
魔人王「有り難く頂いておこう」
術師「そして此方が今回お持ちした商品です」
術師は小さな袋に入った塩を差し出した
魔人王「ほう、塩か」
魔人王は早速塩を取り出し、舐めた
魔人王「多少苦いが、いい塩だ」
術師「今作り方を工夫している所ですので、生産はまだ先になるんですが」
魔人王「うむ、出来ればぜひ輸入したい」
銀鈴「取引所に話は通しておく」
術師「それで塩を運ぶ街道の整備のご協力をお願いしたいのですが……」
魔人王「良いだろう」
魔人王「そう言えば北の荒れ地にどうやって住んでるんだ?」
犬娘「テント暮らしです」
メイド剣士「魔王様」
魔人王「ハマミナトで大工を雇えば良いだろうに」
術師「そのあたりはもう少し先になります」
魔人王「ふむ、国作りとは面白そうだな」
129 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/16(土) 00:15:47.60 ID:YCMgiEvAO
銀鈴「魔人王様、子供みたいな目をしてる、面白いこと、死ぬほど好き」
魔人王「たまに見物に行かせてもらおう」
白導師「ふふ、仕方ないね」
メイド剣士「あれ、生きてたんですか」
銀鈴「白導師、死ぬほどしぶとい」
術師「まあ構いませんわ」
犬娘「楽しくなるといいね!」
術師「そうですわね」
犬娘はどこか空元気で、術師の笑顔にも寂しさが見える
メイド剣士「?」
女拳士「何かあったの?」
犬娘「なんにも!」
魔人王「これからどうする?」
術師「カイオウ国に行くつもりですが」
魔人王「遠いぞ、白」
白導師「はい、送っていきます」
術師「え、転送出来るんですか?」
メイド剣士「変態のくせに」
犬娘「変態のくせに」
白導師「ふふ、賛美の声が聞こえるわ」
メイド剣士「性根の上に耳まで腐りましたか」
銀鈴「腐れ落ちて死ねばいい」
白導師「ふふ、我々の業界ではむしろご褒美です」
術師「後で一発(神の杖)食らわせますわよ」
白導師「すみません」
魔人王「何発か殴っておいたから勘弁してやってほしい」
女拳士「あの鬼畜なパンチ力で!?」
白導師「ふふ、二回くらい死にかけた」
130 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/16(土) 00:18:19.73 ID:YCMgiEvAO
白導師「では行きましょうか、皆さん」
術師「はい、では魔人王様、お世話になりました」
魔人王「いや、こちらも迷惑をかけた」
白導師「全く、誰彼構わず喧嘩売って相手は良い迷惑だよ」
メイド剣士「お前が言うなって言えば良いですか?」
犬娘「変なことしたら雷牙光刃拳……」
白導師「たった今心を入れ替えた、心配するな」
魔人王を沈めた一撃を食らってはいくら変人でもただでは済むまい
術師「では今後のことも有りますし、先を急ぎますか」
ーーカイオウ国ーー
貝殻姫の紹介通り、海産物や貴金属が特産品の海洋資源と技術の国である
更に美しい水路が町中に走っている、観光の国でもある
この国の水は魚人たちが泳ぐために、非常に清潔に保たれているため、水が美味しい国でもある
陸に住む者は技術者が多いため、職人気質の国民性だ
その町に五人は訪れた
白導師「さて、少し観光して行こうかな?」
メイド剣士「別行動で?」
白導師「つれないこと言わない、あ、あんたの剣預かってた」
メイド剣士「ああ、良かった、どこに置き忘れたかと」
術師「ではお城に行きますか」
131 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/16(土) 00:23:02.35 ID:YCMgiEvAO
白導師「この国とうちは良好な関係でね、ただここでは海岸線を守るために塩作りがあまり盛んじゃない」
術師「おかげでうちは助かりますけど」
白導師「ただ同じ海際だしあんたらと取引するものは無いんじゃないかな?」
術師「一応あてはありますわ」
白導師「へえ、たいしたもんだね、私にはそんなアイデアは湧かないな」
白導師「後、ここの王様には会えないと思う」
術師「聞いてます」
女拳士「二人とも静かだね……ってスッゴい後ろ歩いてるな」
術師「変態が怖いんでしょう」
白導師「心を入れ替えたってば〜」
言いつつ怪しい手の動きをしている
術師「入れ替えたように見えませんわ」
犬娘「綺麗だね〜水路」
メイド剣士「あまり離れると迷子になりますよ?」
犬娘「うんー」
メイド剣士は犬娘の顔を覗き込んだ
犬娘「どうしたの?」
にっこりと笑う犬娘の顔は少し大人びて見えた
メイド剣士「魔王様はどんどん強くなりますね、それこそ毎日強くなってる」
犬娘「そうかな?」
メイド剣士「私ももっと強くならなくちゃ……」
犬娘「みんな強いのになあ……」
132 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/16(土) 00:27:23.89 ID:YCMgiEvAO
ーーカイオウ国王城ーー
カイオウ国の王と女王は人魚であり、体が半分水に浸かっていないと生活できないために、城内は水面積が陸面積を遥かに上回る
平屋であるため、とても広く、複雑で、迷子になるものもいると言われている
多数の魚人が働く、水棲生物のパラダイスである
貝殻姫「犬娘さまあ〜〜〜!」
何か突っ込んできた
メイド剣士は慌てて犬娘を隠す
貝殻姫「危害は加えませんわ」
メイド剣士「いや、最近怖い目にあいまして」
白導師「まあ、誰がそんなヒドい……」
犬娘が笑顔で拳に雷を纏った
白導師「ひいっ」
白導師は逃げ出した
術師「通路狭いんだから走り回らないで下さいな!」
貝殻姫「落ちたら助けます!」
女拳士「落ちないようにしてくれよ」
貝殻姫「陸の人は良く落ちるんで対策はしようと思ってるんですが」
貝殻姫は困ったように首を傾げる
犬娘「私は泳げるよ!」
貝殻姫「助けさせてください、人工呼吸させてください」
白導師「同族かしら」
術師「いい子なのでヨゴレと一緒にしないでくださいな」
白導師「ひどっ」
133 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/16(土) 00:30:53.57 ID:YCMgiEvAO
魚娘「姫様あ〜〜〜!!」
水の中を恐ろしいスピードで何かが突進してきた
激しい水柱が上がる
みんなびしょ濡れである
術師「最低ですわ」
魚娘「挨拶それですか」
犬娘は水の中に飛び込んだ
犬娘「きゃはははは!」
女拳士「濡れちまったから同じか……」
メイド剣士「やんちゃ過ぎでしょ」
白導師「服が透け透けに……うっ」
変態が喋った
メイド剣士「……少し元気になったみたい……、良かった」
貝殻姫「犬娘様、お母様の所に御案内します」
犬娘「うん」
犬娘は犬掻きで貝殻姫に着いていった
術師「風邪引きますわよ魔王様」
女拳士「最近暑くなってきたけど、まだ夜は寒いしなあ」
メイド剣士「とりあえず何か体を拭くものないかな……」
白導師「舐めとろう」
メイド剣士「斬りますよ」
メイド剣士は仕込み杖をちらりと抜いて見せた
ーーカイオウ国王城、女王の間ーー
人魚女王「は〜〜い、いらっしゃ〜い!」
魚たちのハイテンションの理由はこの人が一つの原因であろう
女王専用のプールでバシャバシャと水柱を上げて歓迎の踊りをしている
犬娘「くしょんっ」
術師「ほら風邪引いた」
犬娘「は、はやく逃げよう!」
メイド剣士「一応仕事があるんですが」
とりあえず銀鈴に任せて部屋を後にした
ーー待合室ーー
四人は漸く再会すると口々に話し始めた
術師「全く、あの白導師さんは仕事出来そうだったのに」
メイド剣士「出来るのは変態行為だけでした」
女拳士「魔人王様にも悪いことしちゃってさ……」
犬娘「お腹空いた」
メイド剣士「私の剣どこかな?」
術師「兎に角見つけたら一回は神の杖を味わわせてやりますわ」
女拳士「腹減ったな」
メイド剣士「困ったな」
しばらくすると犬戦士が入ってきた
犬戦士「おうっ、お前ら、良い戦いだったな!」
犬娘「こんにちは」
犬戦士「おうっ、同族、最後の技凄かったな、雷牙光刃拳!だっけ?」
犬戦士「両手がびきーんって光ってドゴーって、そんであの魔人王様倒しちゃうんだもんな」
術師「ちゃんと起きて見てみたかったですわ」
女拳士「アタシはちょろっと見たけど、また気絶しちゃった」
メイド剣士「しかし、個人であそこまで強いって恐ろしいですね」
術師「本当に、力で女拳士さんと張り合うのに超級魔法連発してくるし」
124 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/16(土) 00:03:50.81 ID:YCMgiEvAO
犬戦士「化け物だろ、あいつ、まあだから魔人王なんだけどな」
術師「あなた達も加わったらまず勝てませんね」
犬戦士「最強の国じゃなきゃこんな広大な国土守れねーもん、まだつえー兵士とかいっぱいいるぜ、まともに仕事してるから出てこないけど」
術師「では、改めて魔人王様と接見したいんですが」
犬戦士「お、そうだ、お前ら、飯だ!」
犬娘「やった」
女拳士「めちゃ食うけど大丈夫かな?」
メイド剣士「そこは控えましょうよ」
術師「行きましょう」
ーー王城、広間ーー
魔人王「みな、良く戦った、この国はお前たちを歓迎する」
術師「先程は失礼致しました」
魔人王「うむ」
魔人の王が顔を赤くして顔を逸らす
メイド剣士(可愛いですね)
女拳士(もういじめないであげて)
魔人王「今日はよい戦いが出来た記念だ、存分に食い、飲むがいい」
女拳士「やったね!」
犬娘「やったね!」
術師「えと、魔人王様……」
魔人王「仕事の話は後にしよう、今は楽しんでくれ」
術師「分かりました」
メイド剣士「なんだかぎこちないですね、それで交渉出来るんですか?」
術師「仕事は別ですわ」
125 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/16(土) 00:05:56.60 ID:YCMgiEvAO
メイド剣士「そういう所、可愛くないと思います」
術師「久しぶりにゆっくり食事しましょう」
メイド剣士「はーい」
犬戦士「お、この肉うめえ」
犬娘「ほんとだー」
メイド剣士「ああ、お肉美味しいなあ」
女拳士「うん、魚もイケる、白ワインも美味い」
魔人王「久しぶりに楽しい気分だ、白導師と銀鈴も呼んでこい」
執事「はい」
犬娘「あの二人どうなったの?」
メイド剣士「この世には知らない方が良いことがあるんですよ」
やがて二人が入ってきた
白導師は口を開けてぼんやりしていて、銀鈴が手を引いて連れてくる有り様だ
術師「何があったか察するに余りある有り様である」
メイド剣士「そうですね」
犬戦士「覚醒してやれよ」
銀鈴「もうしばらくは」
魔人王「今日の楽しい気分を壊すな」
銀鈴「魔人王様のご意志のままに」
銀鈴は白導師の魔法を解いて、覚醒の魔法をかけた
白導師「はっ、幼女の白いパンツは……」
魔人王「仕事はしっかりやれ、馬鹿者め」
白導師「はっ、これは失礼」
魔人王「後で罰は与える……俺を辱めた分もな」
白導師「ひいっ」
術師「バレて怯えるならやらなきゃいいのに」
126 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/16(土) 00:08:14.71 ID:YCMgiEvAO
メイド剣士「それは私の悪口や魔王様の食事を止めさせるような事なんですよ、たぶん」
術師「被害者なのに寛容ですわね」
メイド剣士「二回蹴っておきました」
女拳士「ナイス」
犬娘「ナイス」
犬戦士「ナイス」
銀鈴「死ぬまで蹴れば良かった」
術師「まあ今日はゆっくりしますわよ、疲れましたし」
メイド剣士「ですね」
犬娘「このイカ美味しい」
メイド剣士「海鮮あるんですね」
銀鈴「輸入物、死ぬほど高価、肉は死ぬほど安い」
術師「うちと貿易できますわね、海鮮もそうですが」
術師「また明日にでも塩をお持ちしますわ」
銀鈴「塩、死ぬほど高騰してる」
術師「チャンスですわね」
犬娘「ご飯美味しいね」
メイド剣士「農業国なんですよね、基本は」
術師「果物も美味しいですわ」
犬戦士「もっと肉食おうぜ」
犬娘「食う〜!」
女拳士「肉が食い放題とか、通いたくなっちゃうなー」
メイド剣士「やっぱりお肉たくさん食べたら魔人王様みたいに強くなるんですか?」
魔人王「全ては大地の恵みだ」
術師「こういった自然の物は独自の方法で魔力を蓄えていたりしますからね」
メイド剣士「たくさん食べよう」
127 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/16(土) 00:10:21.70 ID:YCMgiEvAO
白導師「うん、いける」
銀鈴「最後の晩餐、死ぬと良い」
白導師「いや、生きる!」
犬戦士「食え食え〜」
結局その日は一日中宴会となった
術師「さて、べこちゃんを見てこようかな」
犬娘「私もー!」
術師「そうですわね、たまには一緒に帰りましょうか」
犬娘と術師は一緒に帰還した
べこ「ンモオォ〜」
術師「べこちゃん喜んでますわ」
犬娘「いっぱい食べてねー!」
犬娘は予め干した牧草をべこの前に置いた
術師「牧草濡れてませんか?」
犬娘「あ、そう言えば雨降ったっけ」
術師「一応錬金用のテントに入れておいたんですが、専用のサイロを作った方が良いですかね?」
犬娘「うーん」
術師「……」
術師「魔王様、強くなりましたね」
犬娘「一人じゃ勝てないけどねー」
術師「いえ、たぶん今なら女拳士さんには勝てます」
犬娘「ええーっ、女拳士さん強いよ?」
術師「魔王様には凄い成長力があります」
術師「いつか私もいらなくなるかも知れませんわね」
犬娘「そんなことないよ!」
犬娘「……絶対遠くに行ったら、嫌だ」
犬娘は術師にしがみつくように抱きついた
…………
魔人王「それでは商売の話をしようか」
術師「その前にこちらを」
術師は五つの水神の石を差し出した
術師「こちらはカイオウ国の貝殻姫様からお預かりしたものです」
魔人王「ほう、彼女は健勝だったろ」
普通は健勝かどうか聞くところだがあの貝殻姫が元気じゃない状態は想像しがたいのだろう
魔人王「有り難く頂いておこう」
術師「そして此方が今回お持ちした商品です」
術師は小さな袋に入った塩を差し出した
魔人王「ほう、塩か」
魔人王は早速塩を取り出し、舐めた
魔人王「多少苦いが、いい塩だ」
術師「今作り方を工夫している所ですので、生産はまだ先になるんですが」
魔人王「うむ、出来ればぜひ輸入したい」
銀鈴「取引所に話は通しておく」
術師「それで塩を運ぶ街道の整備のご協力をお願いしたいのですが……」
魔人王「良いだろう」
魔人王「そう言えば北の荒れ地にどうやって住んでるんだ?」
犬娘「テント暮らしです」
メイド剣士「魔王様」
魔人王「ハマミナトで大工を雇えば良いだろうに」
術師「そのあたりはもう少し先になります」
魔人王「ふむ、国作りとは面白そうだな」
129 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/16(土) 00:15:47.60 ID:YCMgiEvAO
銀鈴「魔人王様、子供みたいな目をしてる、面白いこと、死ぬほど好き」
魔人王「たまに見物に行かせてもらおう」
白導師「ふふ、仕方ないね」
メイド剣士「あれ、生きてたんですか」
銀鈴「白導師、死ぬほどしぶとい」
術師「まあ構いませんわ」
犬娘「楽しくなるといいね!」
術師「そうですわね」
犬娘はどこか空元気で、術師の笑顔にも寂しさが見える
メイド剣士「?」
女拳士「何かあったの?」
犬娘「なんにも!」
魔人王「これからどうする?」
術師「カイオウ国に行くつもりですが」
魔人王「遠いぞ、白」
白導師「はい、送っていきます」
術師「え、転送出来るんですか?」
メイド剣士「変態のくせに」
犬娘「変態のくせに」
白導師「ふふ、賛美の声が聞こえるわ」
メイド剣士「性根の上に耳まで腐りましたか」
銀鈴「腐れ落ちて死ねばいい」
白導師「ふふ、我々の業界ではむしろご褒美です」
術師「後で一発(神の杖)食らわせますわよ」
白導師「すみません」
魔人王「何発か殴っておいたから勘弁してやってほしい」
女拳士「あの鬼畜なパンチ力で!?」
白導師「ふふ、二回くらい死にかけた」
130 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/16(土) 00:18:19.73 ID:YCMgiEvAO
白導師「では行きましょうか、皆さん」
術師「はい、では魔人王様、お世話になりました」
魔人王「いや、こちらも迷惑をかけた」
白導師「全く、誰彼構わず喧嘩売って相手は良い迷惑だよ」
メイド剣士「お前が言うなって言えば良いですか?」
犬娘「変なことしたら雷牙光刃拳……」
白導師「たった今心を入れ替えた、心配するな」
魔人王を沈めた一撃を食らってはいくら変人でもただでは済むまい
術師「では今後のことも有りますし、先を急ぎますか」
ーーカイオウ国ーー
貝殻姫の紹介通り、海産物や貴金属が特産品の海洋資源と技術の国である
更に美しい水路が町中に走っている、観光の国でもある
この国の水は魚人たちが泳ぐために、非常に清潔に保たれているため、水が美味しい国でもある
陸に住む者は技術者が多いため、職人気質の国民性だ
その町に五人は訪れた
白導師「さて、少し観光して行こうかな?」
メイド剣士「別行動で?」
白導師「つれないこと言わない、あ、あんたの剣預かってた」
メイド剣士「ああ、良かった、どこに置き忘れたかと」
術師「ではお城に行きますか」
131 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/16(土) 00:23:02.35 ID:YCMgiEvAO
白導師「この国とうちは良好な関係でね、ただここでは海岸線を守るために塩作りがあまり盛んじゃない」
術師「おかげでうちは助かりますけど」
白導師「ただ同じ海際だしあんたらと取引するものは無いんじゃないかな?」
術師「一応あてはありますわ」
白導師「へえ、たいしたもんだね、私にはそんなアイデアは湧かないな」
白導師「後、ここの王様には会えないと思う」
術師「聞いてます」
女拳士「二人とも静かだね……ってスッゴい後ろ歩いてるな」
術師「変態が怖いんでしょう」
白導師「心を入れ替えたってば〜」
言いつつ怪しい手の動きをしている
術師「入れ替えたように見えませんわ」
犬娘「綺麗だね〜水路」
メイド剣士「あまり離れると迷子になりますよ?」
犬娘「うんー」
メイド剣士は犬娘の顔を覗き込んだ
犬娘「どうしたの?」
にっこりと笑う犬娘の顔は少し大人びて見えた
メイド剣士「魔王様はどんどん強くなりますね、それこそ毎日強くなってる」
犬娘「そうかな?」
メイド剣士「私ももっと強くならなくちゃ……」
犬娘「みんな強いのになあ……」
132 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/16(土) 00:27:23.89 ID:YCMgiEvAO
ーーカイオウ国王城ーー
カイオウ国の王と女王は人魚であり、体が半分水に浸かっていないと生活できないために、城内は水面積が陸面積を遥かに上回る
平屋であるため、とても広く、複雑で、迷子になるものもいると言われている
多数の魚人が働く、水棲生物のパラダイスである
貝殻姫「犬娘さまあ〜〜〜!」
何か突っ込んできた
メイド剣士は慌てて犬娘を隠す
貝殻姫「危害は加えませんわ」
メイド剣士「いや、最近怖い目にあいまして」
白導師「まあ、誰がそんなヒドい……」
犬娘が笑顔で拳に雷を纏った
白導師「ひいっ」
白導師は逃げ出した
術師「通路狭いんだから走り回らないで下さいな!」
貝殻姫「落ちたら助けます!」
女拳士「落ちないようにしてくれよ」
貝殻姫「陸の人は良く落ちるんで対策はしようと思ってるんですが」
貝殻姫は困ったように首を傾げる
犬娘「私は泳げるよ!」
貝殻姫「助けさせてください、人工呼吸させてください」
白導師「同族かしら」
術師「いい子なのでヨゴレと一緒にしないでくださいな」
白導師「ひどっ」
133 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/08/16(土) 00:30:53.57 ID:YCMgiEvAO
魚娘「姫様あ〜〜〜!!」
水の中を恐ろしいスピードで何かが突進してきた
激しい水柱が上がる
みんなびしょ濡れである
術師「最低ですわ」
魚娘「挨拶それですか」
犬娘は水の中に飛び込んだ
犬娘「きゃはははは!」
女拳士「濡れちまったから同じか……」
メイド剣士「やんちゃ過ぎでしょ」
白導師「服が透け透けに……うっ」
変態が喋った
メイド剣士「……少し元気になったみたい……、良かった」
貝殻姫「犬娘様、お母様の所に御案内します」
犬娘「うん」
犬娘は犬掻きで貝殻姫に着いていった
術師「風邪引きますわよ魔王様」
女拳士「最近暑くなってきたけど、まだ夜は寒いしなあ」
メイド剣士「とりあえず何か体を拭くものないかな……」
白導師「舐めとろう」
メイド剣士「斬りますよ」
メイド剣士は仕込み杖をちらりと抜いて見せた
ーーカイオウ国王城、女王の間ーー
人魚女王「は〜〜い、いらっしゃ〜い!」
魚たちのハイテンションの理由はこの人が一つの原因であろう
女王専用のプールでバシャバシャと水柱を上げて歓迎の踊りをしている
犬娘「くしょんっ」
術師「ほら風邪引いた」
犬娘「魔王になるっ!」
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