料理人と薬学士
Part7
80 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/02/15(土) 22:05:57.79 ID:1Ke1jIMAO
薬学士「……」
南港「……」
薬学士「小さい……」
南港「お主もな」
料理人「そろそろご飯にしよう」
薬学士「やった!」
南港「腹減ったのじゃ」
秋風「……じゃあ学者引っ張ってくるわ」
料理人「頼む」
南港「しかし女ばっかりじゃのう、乳ばっかりじゃのう」
料理人「お前の頭はどうなってるんだ」
そう言えばもう一つ頭痛の種が来るんだった
学者「……おおおおお……」
来た
南港「なんじゃまた乳か」
学者「父でも母でもありゃんせんぜおぜうさん」
学者「お腹と背中がペッタンコ……あ、ペッタンコ」
サクッと
薬学士「はい、ポーション」
南港「何か今ロリが見てはいかんシーン無かったか?」
料理人「気のせい」ペシッ
南港「デコピンは痛いのじゃ〜!」シクシク
…………
南港「んでの、最近は魔王狩りよりヤバい人間の暗殺者が魔晶石狩りをやっておるらしい」
南港「魔王狩りは戦争ばっかりじゃから案外逃げようと思えば逃げられるんじゃ」
料理人「……!」
南港「何やら人間の王が魔王を集めて対魔王狩り戦争を考えておるらしいしの」
81 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/02/15(土) 22:08:29.75 ID:1Ke1jIMAO
料理人「ちょっと一つ」
料理人「逃げられるならなぜ魔王は狩られるの?」
南港「……逃げた先逃げた先、国が滅ぼされたらかなわんからの」
南港「じゃから儂は来る前に逃げる!」
南港「誰も居らんのに攻める阿呆も居るまい」
南港「それにの、結局儂らは爆弾持ちじゃから」
南港「いかやきが食べられなくなるとしても街の者を守りたいじゃろ……」グスン
料理人「……」
南港「まあ魔王なんぞ本当なら居らん方がいいじゃろ……」
料理人「魔王を集めている王と言うのは?」
南港「確か聖都北の国の王じゃったかのう?」
南港「ん? 南じゃった?」
秋風「知らん」
南港「隠居なんぞしとるからじゃ!」
学者「良く喋りますにゃあ」
料理人(学者にうんざりされた!)
薬学士「でもそんな危ない人がいるなら魔晶石を売るのちょっと気が引けちゃうね」
料理人「そうだな」
料理人「魔王狩りに対魔王狩り、それに魔晶石狩りか……」
南港「ヤバかろ?」
南港「ハンバーグ美味いのう」
料理人「ああ、カレーをかけても美味いよ」
南港「なんと! 衛生兵、もっとハンバーグを持てい!」
料理人「誰が衛生兵だ」ペシッ
82 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/02/15(土) 22:09:38.79 ID:1Ke1jIMAO
南港「痛いのじゃ〜!」
薬学士「美味しい美味しい」モグモグ
料理人「ひたすらに食べてる……」
薬学士「カレーかけて」
料理人「はい」
薬学士「美味しいっ!」ニコニコ
料理人(うん、獣度もウザい度も魔王度も何倍も濃くなったな)
秋風「さて、この先どうするかな……」
料理人「とりあえず薬学士の研究を見てやってくれない?」
秋風「構わんが、魔王がいると不味いことも多い」
秋風「解っているんだろうな?」
料理人「……なんとかなるさ」
南港「料理人の癖に大胆じゃのう」
料理人「私の師匠には負けるけどね」
料理人「とにかく戦力が無いと」
料理人(また大切な人を残して去りたくないし……)
料理人「魔法包丁、作ってくれないか?」
薬学士「りょうかいっ!」
薬学士「ハンバーグついかっ!」
料理人「はいはい、カレーついてるよ」フキフキ
薬学士「んっ」
南港「儂も〜」
料理人「子供かっ」フキフキ
秋風「面倒見いいな」
学者「拙者も!」
料理人「それはないな」
学者「ひどすっ」
…………
83 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/02/15(土) 22:11:11.57 ID:1Ke1jIMAO
南港「秋風の〜、一緒に寝るのじゃ〜!」
秋風「仕方ないな、ベッド無いし」
料理人「うちもベッド増やすかなあ」
秋風「お前の家じゃないがな」
薬学士「お師匠さま、料理人ちゃんはうちの子ですっ」
秋風「そもそもこの家だって元は私のだしな」
薬学士「えうっ」
秋風「まあ弟子にくれてやったわけだが」ナデナデ
料理人「気前いいなあ、あ、冷蔵庫下さい」
秋風「いいぞ……作るか」
料理人「自作なんだ……」
秋風「魔晶石使えばだいたい何でも出来るからな」
料理人「便利」
学者「だから高値で取引されるんでさ、旦那」
料理人「旦那ではないね」
薬学士「作ってみようかな」
秋風「おお、そうしろ」
秋風「魔晶石を結晶化する際に特定の精霊化をさせてだな……あれこれ……」
薬学士「ためになります!」
料理人「全然分かんないな」
南港「しかしお主のハンバーグは絶品じゃ!」
料理人「はいはい、また作りますよ」ナデナデ
南港「んふふ」
料理人「気持ち悪い」
南港「ヒドいのじゃ」グスン
学者「では帰りますよ魔王なお二方〜」
秋風「はいはい、薬学士、また明日な」
薬学士「はい!」
84 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/02/15(土) 22:11:50.36 ID:1Ke1jIMAO
料理人「ふう、片付け終わり」
料理人「戦力アップ、か」
料理人「師匠……大楠の魔王……」
料理人「生きていれば……」
料理人「いや、無いな……」
料理人は古い新聞記事を見る
『大楠の国は巨大な破壊神により、中央区を中心に半壊』
『大楠の魔王、死去か』
料理人「……」
薬学士「……」
料理人「うわっ」
薬学士「これ……料理人ちゃんの……?」
料理人「……うん」
薬学士「……今日も一緒に寝よう?」
料理人「……ありがとう、薬学士」
私は家族を捨てた
しかし、旅の果てに新しい家族を得られた
大切な家族が残してくれた技と思いが
明日家族を守る、新しい力をくれる
料理人は、生きていて良かった、と、心からそう思う
85 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/02/15(土) 22:12:46.20 ID:1Ke1jIMAO
第二章、「料理人と魔晶石」 完
次回ーー
新たに増えた南港魔王
迫る危機もまだ遠い中、魔王を交えたにぎやかで平和な二週間が始まる!
そんな中料理人が示した残酷な決断とはーー
新たな魔王が顔を出し、反魔王狩り戦争の濁流が彼女たちを飲み込もうとする
そして現れる突然の平和を乱す来訪者、その名は魔晶石狩り
狙われた料理人の運命はーー
第三章、「料理人と魔王」
薬学士に迫る、選択の時……
86 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/02/15(土) 23:27:53.83 ID:GGHa3h3+0
乙乙。
87 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/03/03(月) 20:42:44.20 ID:Bytyf6UAO
お久しぶりです
保守って必要ですかね?
来週までには更新します
南港はみなみみなと、か、みなと、か読みやすいように読んで下さい
読み返すとかなり酷い……ので、今書いてるのだけでも少し書き直します
もうちょいSSっぽく読みやすくしていきたいと思います
読んでいただいてありがとうございます!
次のお話をいくつも思いつくのになかなかサーバー復活しなくて困りました(汗
では、次回更新をお楽しみにしていただけたら幸いです(土下座
88 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/03/03(月) 23:54:18.39 ID:iN2NGIIu0
乙。
保守については少なくとも一ヶ月間はなくても落ちない。
89 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/03/09(日) 00:09:46.23 ID:iF91AmcAO
>>88
ありがとうございます
1ヶ月はだいぶ長いですね
時間が開いたせいもあって色々調子を崩したので遅くなっちゃってすみません
次の更新も今までより時間がかかると思いますが、気長にお待ち下さい
では、更新します
90 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/03/09(日) 00:11:53.57 ID:iF91AmcAO
第三章「料理人と魔王」
まずはこの大陸の地形を把握しておこう
私たちの居る高山麓の村は、大きな半島の丁度真ん中あたりであり、この半島だけで三つの国がある
一つはここから南、南港の国
もう一つは半島の先端、西浜の国
最後は一番大きく半島の大部分を占める高塔の国
半島を出て、更に東に料理人の故郷、東森地方があり、その南、南港から見て対岸には聖都を中心とした都市群が、北には憎むべき魔王狩りの本拠、北終の国がある
これら魔王のいる地域はその年齢から来る知識や知恵、魔法等の恩恵を受けられるために栄え、そのため魔王は魔王とは名ばかりで、讃えられ、愛されているケースが殆どである
南港「そう言うわけじゃから讃えるが良いぞ」
料理人「なら、まずは知恵を感じさせてくれない?」
南港「ヒドいのじゃ、料理人ご飯!」
ヒドいのは南港の性格だ
料理人「まあ作るけど」
料理人「今朝は野菜スープと炊き込みご飯にしようかな?」
料理人「よし、いよいよ塩漬け肉の出番だね」
南港「美味いのか?」
料理人「まあ食ってみてよ」
薬学士「楽しみっ!」ギュッ
料理人「おはよう」
朝から妖精さんが抱きついてきた
91 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/03/09(日) 00:14:07.48 ID:iF91AmcAO
住人達がぞろぞろ起きてくる
学者「タダでさえ人が増えててややこしいのに地図まで出してきたら混乱してやんだばー」
料理人「何語?」
秋風「酒置いて無いのか?」
料理人「一応未成年の家なんだが」
南港「もう老婆ばかりじゃろ」
料理人(自分で老婆って言った)
料理人「しかしそんな子供な見た目で酒を飲むのは倫理的に……」
南港「意味が分からんのじゃ」
ロリ老婆ってなんだか色々反則だな
料理人「まあ有っても朝から出すわけ無いがな」
秋風「つまらんなあ」
料理人「あんた飲むと泣くし」
秋風「忘れろ」
薬学士「でもこんなに居たらご飯が大変だね」
料理人「うん、食材調達に出かけたいな」
薬学士「すっかりフェードアウトしちゃってる狩人くんも呼ばないとね……」
料理人(可愛い顔で毒吐くなあ……)
学者「なんだか私のポジションもわからんちんでやんす」
料理人(ある程度情報を噛み砕いてくれると助かるけど絶対に言わないでおこう)
秋風「お、このスープ美味いな」
料理人「これが塩漬け肉の力だよ」
学者「旨味が良く出てますにゃー」
薬学士「うん、美味しい!」
南港「おかわりなのじゃ!」
92 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/03/09(日) 00:17:58.93 ID:iF91AmcAO
料理人「まだ人口増えそうだし、ベッド二つくらい増やさないと駄目かな?」
秋風「まあ部屋は多いんだから必要なだけ増やして行けばいい」
南港「このデカい家も秋風の人望あってこそよ」
南港「魔王を褒め称えよ、主に儂!」
料理人「ごはん付いてるよ」
南港「とって」
料理人「誰が魔王?」
薬学士「私も私も!」
料理人「わざと付けない」
学者「拙者は?」
料理人「なあ、年考えなよ?」
学者「しんらつっ」
南港「まあ成人では一番若いがのう」
料理人「見た目子供がいるから二番目に老けてるけど」
秋風「一番老けて見えるのは誰だ?」ニコッ
料理人「すみませんごめんなさい」
…………
そんな訳で、再び料理人は採集に出かけることになった……
薬学士「私は仕事〜」
学者「拙者も」
秋風「私はこいつらを指導する」
料理人「なんだ、手が少ないな」
南港「儂荷物持てん」
料理人「期待はしてないけど付いてきてよ」
南港「他に居らんしのう」
狩人(こんにちはー)
料理人「ん、来たね」
料理人「じゃあお弁当はテーブルに置いておくから」
秋風「ああ、冷蔵庫とオーブン作っておくな」
料理人「うわ、楽しみ!」
93 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/03/09(日) 00:19:41.95 ID:iF91AmcAO
薬学士「あとはベッド注文して包丁も作っておかないとね」
料理人「包丁も楽しみだなあ」
薬学士「頑張るね!」ニコッ
料理人「えへへ」ナデナデ
狩人(おーい)
料理人「あ、忘れてた、はーい」
料理人「じゃあ行ってくる!」
南港「行ってくるのじゃ!」
…………
狩人「今日もキノコ取りに行きますか?」
料理人「うーん、まだオイル漬け残ってたな」
狩人「じゃあ罠から見ていきますね」
料理人「うん後、鳥と魚穫って欲しいかな」
狩人「量も多く必要みたいだし頑張りますね」
南港「待つのじゃ〜」
料理人「あ、獣」
南港「獣では無いのじゃ!」
南港「お主たちに儂の偉大さを見せてやろうと思うてな」
そう言うとちびっ子は後ろに回していた手を前に突き出した
大きな野鳥が重そうにその手にぶら下がっている
料理人「あれ、どうしたのその鳥」
狩人「血抜きしておきますからいただけますか?」
南港「うむ」
南港「これは魔法で穫ったのじゃ……うわ、あやつ鳥の首をはねおった!」ウルウル
南港「わっ、血がいっぱい……!」グシッ
南港「うわあん……!」
料理人「子供か! ……でもやっぱり君も魔法使えるんだな」
94 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/03/09(日) 00:22:20.13 ID:iF91AmcAO
南港「うむ、年を取ると涙もろくなるのじゃ……」グスン
料理人「そう言う涙ではないと思うけど」
南港「んで、儂の魔法はこれじゃ」
南港「重力操作」
南港の魔王が手を広げると周りの木がギシギシと悲鳴を上げはじめる
料理人「うおっ」
南港「5メートル以内の空間にいる任意の対象の質量を魔力が打ち勝っている限り無限に重くできる」
南港「実際は魔力も圧縮してしまうから無限には無理なんじゃが」
南港「これはたぶん儂のオリジナル魔法じゃ」
料理人「ちゃんと魔王なんだな〜、すごいすごい」ナデナデ
南港「えへへっ」
料理人「つい二百才手前だと忘れてしまうけど」
南港「いつまでも若くてうらやましかろう!」
南港「……まあ間違っても魔王なんぞになるもんじゃないがな……」
料理人「……」
料理人「実際辛いよな、不老不死って……」
南港「うむ……、いっぱいお別れがあったのじゃ……」
狩人「……」
料理人「すまない、罠を巡るんだったね」
狩人「はい、行きましょう」
南港「うむっ」
やがて細い獣道から、森の深い所へと三人は入っていく
薬学士「……」
南港「……」
薬学士「小さい……」
南港「お主もな」
料理人「そろそろご飯にしよう」
薬学士「やった!」
南港「腹減ったのじゃ」
秋風「……じゃあ学者引っ張ってくるわ」
料理人「頼む」
南港「しかし女ばっかりじゃのう、乳ばっかりじゃのう」
料理人「お前の頭はどうなってるんだ」
そう言えばもう一つ頭痛の種が来るんだった
学者「……おおおおお……」
来た
南港「なんじゃまた乳か」
学者「父でも母でもありゃんせんぜおぜうさん」
学者「お腹と背中がペッタンコ……あ、ペッタンコ」
サクッと
薬学士「はい、ポーション」
南港「何か今ロリが見てはいかんシーン無かったか?」
料理人「気のせい」ペシッ
南港「デコピンは痛いのじゃ〜!」シクシク
…………
南港「んでの、最近は魔王狩りよりヤバい人間の暗殺者が魔晶石狩りをやっておるらしい」
南港「魔王狩りは戦争ばっかりじゃから案外逃げようと思えば逃げられるんじゃ」
料理人「……!」
南港「何やら人間の王が魔王を集めて対魔王狩り戦争を考えておるらしいしの」
81 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/02/15(土) 22:08:29.75 ID:1Ke1jIMAO
料理人「ちょっと一つ」
料理人「逃げられるならなぜ魔王は狩られるの?」
南港「……逃げた先逃げた先、国が滅ぼされたらかなわんからの」
南港「じゃから儂は来る前に逃げる!」
南港「誰も居らんのに攻める阿呆も居るまい」
南港「それにの、結局儂らは爆弾持ちじゃから」
南港「いかやきが食べられなくなるとしても街の者を守りたいじゃろ……」グスン
料理人「……」
南港「まあ魔王なんぞ本当なら居らん方がいいじゃろ……」
料理人「魔王を集めている王と言うのは?」
南港「確か聖都北の国の王じゃったかのう?」
南港「ん? 南じゃった?」
秋風「知らん」
南港「隠居なんぞしとるからじゃ!」
学者「良く喋りますにゃあ」
料理人(学者にうんざりされた!)
薬学士「でもそんな危ない人がいるなら魔晶石を売るのちょっと気が引けちゃうね」
料理人「そうだな」
料理人「魔王狩りに対魔王狩り、それに魔晶石狩りか……」
南港「ヤバかろ?」
南港「ハンバーグ美味いのう」
料理人「ああ、カレーをかけても美味いよ」
南港「なんと! 衛生兵、もっとハンバーグを持てい!」
料理人「誰が衛生兵だ」ペシッ
82 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/02/15(土) 22:09:38.79 ID:1Ke1jIMAO
南港「痛いのじゃ〜!」
薬学士「美味しい美味しい」モグモグ
料理人「ひたすらに食べてる……」
薬学士「カレーかけて」
料理人「はい」
薬学士「美味しいっ!」ニコニコ
料理人(うん、獣度もウザい度も魔王度も何倍も濃くなったな)
秋風「さて、この先どうするかな……」
料理人「とりあえず薬学士の研究を見てやってくれない?」
秋風「構わんが、魔王がいると不味いことも多い」
秋風「解っているんだろうな?」
料理人「……なんとかなるさ」
南港「料理人の癖に大胆じゃのう」
料理人「私の師匠には負けるけどね」
料理人「とにかく戦力が無いと」
料理人(また大切な人を残して去りたくないし……)
料理人「魔法包丁、作ってくれないか?」
薬学士「りょうかいっ!」
薬学士「ハンバーグついかっ!」
料理人「はいはい、カレーついてるよ」フキフキ
薬学士「んっ」
南港「儂も〜」
料理人「子供かっ」フキフキ
秋風「面倒見いいな」
学者「拙者も!」
料理人「それはないな」
学者「ひどすっ」
…………
83 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/02/15(土) 22:11:11.57 ID:1Ke1jIMAO
南港「秋風の〜、一緒に寝るのじゃ〜!」
秋風「仕方ないな、ベッド無いし」
料理人「うちもベッド増やすかなあ」
秋風「お前の家じゃないがな」
薬学士「お師匠さま、料理人ちゃんはうちの子ですっ」
秋風「そもそもこの家だって元は私のだしな」
薬学士「えうっ」
秋風「まあ弟子にくれてやったわけだが」ナデナデ
料理人「気前いいなあ、あ、冷蔵庫下さい」
秋風「いいぞ……作るか」
料理人「自作なんだ……」
秋風「魔晶石使えばだいたい何でも出来るからな」
料理人「便利」
学者「だから高値で取引されるんでさ、旦那」
料理人「旦那ではないね」
薬学士「作ってみようかな」
秋風「おお、そうしろ」
秋風「魔晶石を結晶化する際に特定の精霊化をさせてだな……あれこれ……」
薬学士「ためになります!」
料理人「全然分かんないな」
南港「しかしお主のハンバーグは絶品じゃ!」
料理人「はいはい、また作りますよ」ナデナデ
南港「んふふ」
料理人「気持ち悪い」
南港「ヒドいのじゃ」グスン
学者「では帰りますよ魔王なお二方〜」
秋風「はいはい、薬学士、また明日な」
薬学士「はい!」
84 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/02/15(土) 22:11:50.36 ID:1Ke1jIMAO
料理人「ふう、片付け終わり」
料理人「戦力アップ、か」
料理人「師匠……大楠の魔王……」
料理人「生きていれば……」
料理人「いや、無いな……」
料理人は古い新聞記事を見る
『大楠の国は巨大な破壊神により、中央区を中心に半壊』
『大楠の魔王、死去か』
料理人「……」
薬学士「……」
料理人「うわっ」
薬学士「これ……料理人ちゃんの……?」
料理人「……うん」
薬学士「……今日も一緒に寝よう?」
料理人「……ありがとう、薬学士」
私は家族を捨てた
しかし、旅の果てに新しい家族を得られた
大切な家族が残してくれた技と思いが
明日家族を守る、新しい力をくれる
料理人は、生きていて良かった、と、心からそう思う
第二章、「料理人と魔晶石」 完
次回ーー
新たに増えた南港魔王
迫る危機もまだ遠い中、魔王を交えたにぎやかで平和な二週間が始まる!
そんな中料理人が示した残酷な決断とはーー
新たな魔王が顔を出し、反魔王狩り戦争の濁流が彼女たちを飲み込もうとする
そして現れる突然の平和を乱す来訪者、その名は魔晶石狩り
狙われた料理人の運命はーー
第三章、「料理人と魔王」
薬学士に迫る、選択の時……
86 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/02/15(土) 23:27:53.83 ID:GGHa3h3+0
乙乙。
87 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/03/03(月) 20:42:44.20 ID:Bytyf6UAO
お久しぶりです
保守って必要ですかね?
来週までには更新します
南港はみなみみなと、か、みなと、か読みやすいように読んで下さい
読み返すとかなり酷い……ので、今書いてるのだけでも少し書き直します
もうちょいSSっぽく読みやすくしていきたいと思います
読んでいただいてありがとうございます!
次のお話をいくつも思いつくのになかなかサーバー復活しなくて困りました(汗
では、次回更新をお楽しみにしていただけたら幸いです(土下座
88 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/03/03(月) 23:54:18.39 ID:iN2NGIIu0
乙。
保守については少なくとも一ヶ月間はなくても落ちない。
89 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/03/09(日) 00:09:46.23 ID:iF91AmcAO
>>88
ありがとうございます
1ヶ月はだいぶ長いですね
時間が開いたせいもあって色々調子を崩したので遅くなっちゃってすみません
次の更新も今までより時間がかかると思いますが、気長にお待ち下さい
では、更新します
90 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/03/09(日) 00:11:53.57 ID:iF91AmcAO
第三章「料理人と魔王」
まずはこの大陸の地形を把握しておこう
私たちの居る高山麓の村は、大きな半島の丁度真ん中あたりであり、この半島だけで三つの国がある
一つはここから南、南港の国
もう一つは半島の先端、西浜の国
最後は一番大きく半島の大部分を占める高塔の国
半島を出て、更に東に料理人の故郷、東森地方があり、その南、南港から見て対岸には聖都を中心とした都市群が、北には憎むべき魔王狩りの本拠、北終の国がある
これら魔王のいる地域はその年齢から来る知識や知恵、魔法等の恩恵を受けられるために栄え、そのため魔王は魔王とは名ばかりで、讃えられ、愛されているケースが殆どである
南港「そう言うわけじゃから讃えるが良いぞ」
料理人「なら、まずは知恵を感じさせてくれない?」
南港「ヒドいのじゃ、料理人ご飯!」
ヒドいのは南港の性格だ
料理人「まあ作るけど」
料理人「今朝は野菜スープと炊き込みご飯にしようかな?」
料理人「よし、いよいよ塩漬け肉の出番だね」
南港「美味いのか?」
料理人「まあ食ってみてよ」
薬学士「楽しみっ!」ギュッ
料理人「おはよう」
朝から妖精さんが抱きついてきた
91 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/03/09(日) 00:14:07.48 ID:iF91AmcAO
住人達がぞろぞろ起きてくる
学者「タダでさえ人が増えててややこしいのに地図まで出してきたら混乱してやんだばー」
料理人「何語?」
秋風「酒置いて無いのか?」
料理人「一応未成年の家なんだが」
南港「もう老婆ばかりじゃろ」
料理人(自分で老婆って言った)
料理人「しかしそんな子供な見た目で酒を飲むのは倫理的に……」
南港「意味が分からんのじゃ」
ロリ老婆ってなんだか色々反則だな
料理人「まあ有っても朝から出すわけ無いがな」
秋風「つまらんなあ」
料理人「あんた飲むと泣くし」
秋風「忘れろ」
薬学士「でもこんなに居たらご飯が大変だね」
料理人「うん、食材調達に出かけたいな」
薬学士「すっかりフェードアウトしちゃってる狩人くんも呼ばないとね……」
料理人(可愛い顔で毒吐くなあ……)
学者「なんだか私のポジションもわからんちんでやんす」
料理人(ある程度情報を噛み砕いてくれると助かるけど絶対に言わないでおこう)
秋風「お、このスープ美味いな」
料理人「これが塩漬け肉の力だよ」
学者「旨味が良く出てますにゃー」
薬学士「うん、美味しい!」
南港「おかわりなのじゃ!」
92 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/03/09(日) 00:17:58.93 ID:iF91AmcAO
料理人「まだ人口増えそうだし、ベッド二つくらい増やさないと駄目かな?」
秋風「まあ部屋は多いんだから必要なだけ増やして行けばいい」
南港「このデカい家も秋風の人望あってこそよ」
南港「魔王を褒め称えよ、主に儂!」
料理人「ごはん付いてるよ」
南港「とって」
料理人「誰が魔王?」
薬学士「私も私も!」
料理人「わざと付けない」
学者「拙者は?」
料理人「なあ、年考えなよ?」
学者「しんらつっ」
南港「まあ成人では一番若いがのう」
料理人「見た目子供がいるから二番目に老けてるけど」
秋風「一番老けて見えるのは誰だ?」ニコッ
料理人「すみませんごめんなさい」
…………
そんな訳で、再び料理人は採集に出かけることになった……
薬学士「私は仕事〜」
学者「拙者も」
秋風「私はこいつらを指導する」
料理人「なんだ、手が少ないな」
南港「儂荷物持てん」
料理人「期待はしてないけど付いてきてよ」
南港「他に居らんしのう」
狩人(こんにちはー)
料理人「ん、来たね」
料理人「じゃあお弁当はテーブルに置いておくから」
秋風「ああ、冷蔵庫とオーブン作っておくな」
料理人「うわ、楽しみ!」
93 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/03/09(日) 00:19:41.95 ID:iF91AmcAO
薬学士「あとはベッド注文して包丁も作っておかないとね」
料理人「包丁も楽しみだなあ」
薬学士「頑張るね!」ニコッ
料理人「えへへ」ナデナデ
狩人(おーい)
料理人「あ、忘れてた、はーい」
料理人「じゃあ行ってくる!」
南港「行ってくるのじゃ!」
…………
狩人「今日もキノコ取りに行きますか?」
料理人「うーん、まだオイル漬け残ってたな」
狩人「じゃあ罠から見ていきますね」
料理人「うん後、鳥と魚穫って欲しいかな」
狩人「量も多く必要みたいだし頑張りますね」
南港「待つのじゃ〜」
料理人「あ、獣」
南港「獣では無いのじゃ!」
南港「お主たちに儂の偉大さを見せてやろうと思うてな」
そう言うとちびっ子は後ろに回していた手を前に突き出した
大きな野鳥が重そうにその手にぶら下がっている
料理人「あれ、どうしたのその鳥」
狩人「血抜きしておきますからいただけますか?」
南港「うむ」
南港「これは魔法で穫ったのじゃ……うわ、あやつ鳥の首をはねおった!」ウルウル
南港「わっ、血がいっぱい……!」グシッ
南港「うわあん……!」
料理人「子供か! ……でもやっぱり君も魔法使えるんだな」
94 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/03/09(日) 00:22:20.13 ID:iF91AmcAO
南港「うむ、年を取ると涙もろくなるのじゃ……」グスン
料理人「そう言う涙ではないと思うけど」
南港「んで、儂の魔法はこれじゃ」
南港「重力操作」
南港の魔王が手を広げると周りの木がギシギシと悲鳴を上げはじめる
料理人「うおっ」
南港「5メートル以内の空間にいる任意の対象の質量を魔力が打ち勝っている限り無限に重くできる」
南港「実際は魔力も圧縮してしまうから無限には無理なんじゃが」
南港「これはたぶん儂のオリジナル魔法じゃ」
料理人「ちゃんと魔王なんだな〜、すごいすごい」ナデナデ
南港「えへへっ」
料理人「つい二百才手前だと忘れてしまうけど」
南港「いつまでも若くてうらやましかろう!」
南港「……まあ間違っても魔王なんぞになるもんじゃないがな……」
料理人「……」
料理人「実際辛いよな、不老不死って……」
南港「うむ……、いっぱいお別れがあったのじゃ……」
狩人「……」
料理人「すまない、罠を巡るんだったね」
狩人「はい、行きましょう」
南港「うむっ」
やがて細い獣道から、森の深い所へと三人は入っていく
料理人と薬学士
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