男「少し不思議な話をしようか」女「いいよ」
Part14
239 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/13(土) 17:36:58.54 ID:2ecqdph+o
刑事「ちなみに、それ、どんなお話だったんですかね?」
夫「ええ、確か……」
夫「友達と六人グループで修学旅行に行ったんだけど」
夫「実際には、四人しかいなくて」
夫「だから、二人幽霊が混ざってたんじゃないかって、そんな話です」
刑事「幽霊、ですか……」
夫「ええ、だけどそのミキって子だけ、別で」
夫「彼女は、最初、五人グループなのに六人いるって言って」
夫「修学旅行が終わった後に、その事は覚えてないって言ったとか」
夫「そんな話でしたね」
刑事「……なるほど」
240 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/13(土) 17:38:04.97 ID:2ecqdph+o
刑事「それ、実際のところ、どうだったんでしょうかね?」
刑事「と、言うのも、私は幽霊とか信じてない人間ですし」
刑事「幽霊を捜査の対象にするとか有り得ないのでね」
刑事「少し気になるんですが」
夫「わかりせん……。真相は何とも……。ただですね」
刑事「はい」
夫「俺も幽霊とか信じない派なんで」
夫「何か別の理由で幽霊だと勘違いしたんじゃないかって、そういう風には思ったんですよ」
刑事「はい」
241 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/13(土) 17:40:10.90 ID:2ecqdph+o
夫「で、レイカの話を聞くと」
夫「クラス名簿に名前がなかったし、他のクラスメイトもその二人の事を知らないって言ってたらしいんで」
夫「そう考えると、実際、その二人はいなかったって結論になりますよね」
刑事「でしょうね」
夫「なのに、レイカ含めてカコとマリコって子にも、そのいなかったはずの二人の記憶があるって言うなら」
夫「それは、どう考えても変ですよね」
刑事「はい」
242 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/13(土) 17:41:45.86 ID:2ecqdph+o
夫「だから、最初、催眠術とか、そんな事を疑ったんですよ」
刑事「催眠術ですか……」
夫「はい。催眠術とかで、いないはずの二人をいると思わせた、みたいに」
刑事「…………」
夫「……まあ、そんな顔になりますよね。いくらなんでもそれはないだろ、みたいなね」
刑事「ああ、いえ……。失礼……」
夫「いえ、いいんです。レイカもそんな顔をしてましたし……」
夫「それだと、ミキって子にも催眠がかかってる訳だから、その子だけ覚えてないのは変だみたいに言ってましたから」
刑事「……まあ、確かにそうなりますよね」
夫「だけど、そのミキって子が他の三人に催眠術をかけたとしたら、別にその子だけ知らなくてもおかしくはないはずなんで」
夫「一応、辻褄としては合うかなと」
夫「別に本気でそう思った訳じゃないですけど、ただ可能性としてはあるって話をしたんです」
夫「それ以外、考え付かなかったんで」
刑事「はあ……。なるほどね」
刑事「ただ、ですねえ……」
夫「ただ?」
243 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/13(土) 17:42:13.28 ID:2ecqdph+o
刑事「私、以前、別の事件で精神科の医師と話をした事がありまして」
夫「はい」
刑事「それで、知己を得ましてね。まあ、雑談みたいな事も何回かした事ありまして」
夫「……はい」
刑事「それで、催眠術についても話を聞いた事があるんですよ。逆行催眠とか、そういう話はよく聞きますので」
刑事「『ああいうのって、本当にかかるものなんですかね』と」
夫「ええ」
244 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/13(土) 17:42:48.44 ID:2ecqdph+o
夫「それで、どうだったんですか?」
刑事「かかる、という返事をもらいましたね」
夫「…………」
刑事「ただ、絶対的な条件が一つあるそうで」
夫「条件?」
刑事「ええ。催眠にかけるには、『本人の協力』が絶対に必要なんだそうです」
夫「協力……というのは?」
刑事「要は、本人も『催眠にかかる』という意思がないと駄目なんだそうです」
刑事「催眠というのは自己暗示の一種みたいなもので」
刑事「早い話、思い込みなんですね。スポーツ選手がよくやるイメージトレーニングみたいな感じですか」
刑事「例えば、足が動かなくなるという催眠をかけようとしたら」
刑事「かけられる本人も、足が動かなくなるイメージをしなければいけないそうで」
刑事「そうでないと、催眠にはかからないそうなんですよ」
夫「…………」
245 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/13(土) 17:43:41.71 ID:2ecqdph+o
刑事「なので、テレビとか漫画とかでよくあるような」
刑事「無理矢理、催眠をかけるってやつ」
刑事「あれは、絶対に不可能ですし」
刑事「一瞬でかかる催眠とかもないそうですね。長い時間をかけてゆっくりとかけるものだそうです」
刑事「あと、複雑な催眠も不可能だという事なので」
刑事「あるはずのない、しかも細かい記憶を植え付けるのは、無理なんじゃないかと」
刑事「なので、催眠の類いではまずないですね」
夫「……そうですか」
246 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/13(土) 17:44:38.84 ID:2ecqdph+o
夫「だとしたら……」
刑事「はい」
夫「やっぱりあれは、レイカの嘘だったんでしょうかね」
刑事「……そうかもしれませんね」
夫「実は、その時、嘘かどうかも聞いたんですよ」
夫「三人で、そのミキって子にドッキリでも仕掛けたんじゃないかって」
夫「ミキって子は、霊感があるとかいう話だったんで、気が付かない内に幽霊が実はいたって話をしたら、きっと驚くじゃないですか」
刑事「はい。でしょうね。それで、レイカさんの反応はどうでした?」
夫「それが……ムキになって反論されまして。あれは幽霊だったんだって、そう言い張ってました」
夫「だから、逆に怪しく思ってたんですけどね……」
夫「でも、嘘だったとしたら、どうしてあんなムキになったんでしょうね? ネタバラシして、実はそうだったって言えば、笑い話で済む話なのに」
夫「その時、何かあったんでしょうか……?」
刑事「……さあ。どうでしょうね」
247 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/13(土) 17:45:20.97 ID:2ecqdph+o
解・四話
【消えた友達】
終了
248 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/13(土) 17:45:47.73 ID:2ecqdph+o
次回、未定……
全ての解が出揃うまで、あと二話……
249 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/13(土) 17:51:02.99 ID:GbDOquTHo
少なくとも催眠ではない
隠し事があるならそもそも夫に話さない
解になってないがこれは面白くなってきた
250 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/13(土) 17:58:07.58 ID:ZlI8H10q0
確かに、確かに
251 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/13(土) 18:00:03.02 ID:9MGTzEw/O
これが嘘だったってことか
252 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/13(土) 18:12:02.61 ID:ZlI8H10q0
そこは、よく考えいないと。
レイカ本人は嘘だと認識していないのかもしれない。
解離性健忘(part2 194参照)ってやつかも知れない。
ただ、解離性健忘だったとしても、作者がそれを”嘘”と考えれば嘘と言うことになるけど。
レイカ本人は嘘だと認識していない傍証
>女友「そのお菓子が八個入りだったから、二つ余って」
ミキを除く3人で分けたなら同じように二つ余る。
253 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/13(土) 20:23:53.74 ID:oa5X9FtVO
乙
254 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/13(土) 21:50:33.18 ID:zj8L9pT10
4人が6人のうちの二人だか、5人のうちの一人だかを殺した後に、
催眠術で忘れさせて不思議な話として記憶を再構成した…とかそういう話かな?
殺人の記憶を忘れるために、ミキが3人に催眠術をかけた ミキ自身は忘れたフリをした
3人は積極的に忘れたかったので協力関係にもなる
ミキが渡した塩も実は催眠術を強化できる精神作用のある薬だった
殺した二人だか一人だかは同じ学校の人間じゃなかったのか、あるいは記憶を書き換えて別人になったのか
この殺された誰かが後の事件に繋がっているという展開になるのかなー、と思った
…しかし、ここに来て催眠術で記憶操作かよ! 何でもアリが加速していくな…!
ってなるので自分で推理しておきながら、実はこういう話じゃないほうが嬉しい
256 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/13(土) 23:09:12.54 ID:F7eB1WV1O
次話に期待
268 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/14(日) 14:08:49.83 ID:7EE/EuRmo
解・三話
【呪われた部屋】
269 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/14(日) 14:09:26.86 ID:7EE/EuRmo
警察官「それじゃあ、改めて確認するが」
警察官「お前がこれまで殺害した人間は、四人で」
警察官「キシタカコ・アイダマリコ・サノレイカ・イマナカオサムの順番で間違いないんだな」
男「はい。間違いありません」
男「それで、合っています」
警察官「それで、キシタカコ・アイダマリコ・サノレイカに関しては、その血液を抜き取って、血文字でドアに『呪い』と書いた」
警察官「そういう事だな」
男「はい」
270 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/14(日) 14:10:10.63 ID:7EE/EuRmo
警察官「なら、次の質問だが」
男「はい」
警察官「どうして、そんな事をした? 動機は何だ」
男「…………」
男「あいつらは、死んで当然の人間だったんで」
男「復讐です」
警察官「復讐と言ってもだな」
警察官「お前と、被害者三人の女性とは何の繋がりもないだろ」
警察官「唯一、イマナカオサムだけが、お前のバイトしてるところの社員だったけどな」
警察官「あいつと何かあったのか」
男「…………」
警察官「それと、キシタカコ・アイダマリコ・サノレイカの三人については、お前とどんな繋がりがある。どんな理由による復讐だ」
警察官「答えろ」
男「…………」
271 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/14(日) 14:10:44.70 ID:7EE/EuRmo
警察官「だんまりか」
男「…………」
警察官「話したくないのか、話せないのか、どっちだ」
男「…………」
警察官「まあいい。ある程度、既に調べはついてるからな」
警察官「この件は後回しにするとして、まずはイマナカオサムを殺害した件について詳しく聞こうか」
男「…………」
272 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/14(日) 14:11:19.39 ID:7EE/EuRmo
警察官「もう一度聞くが、動機は何だ。どうして、そんな事をした?」
男「…………」
警察官「相変わらず答えないか……。なら、別の事について聞くぞ」
警察官「イマナカオサム殺害の件と、アパートの部屋のドアの件については何か関係してるのか」
警察官「あそこは、元はイマナカが住んでたところだからな。そして、一番最初に『呪い』と書かれたのはイマナカだ」
警察官「何か意味があるとしか思えないんだがな」
警察官「どういった理由でそれをした」
男「…………」
273 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/14(日) 14:12:04.69 ID:7EE/EuRmo
男「別に、簡単な理由です」
警察官「何だ?」
男「あいつは『呪われなきゃいけない人間』だったんで」
男「それに相応しい事をしてやっただけです」
警察官「…………」
男「出来るだけ怯えさせて、苦しませて、それから殺したかったんですよ」
男「なので、血を使ってドアに『呪い』と書きました」
男「拷問した後に、窒息死にさせたのもその為です」
男「簡単な言い方をすれば、ただの嫌がらせですよ」
男「それだけの理由です」
警察官「…………」
274 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/14(日) 14:13:18.10 ID:7EE/EuRmo
警察官「だが、イマナカが引っ越してからも、お前はあの部屋にずっと『呪い』と書き続けたよな」
警察官「それはどうしてだ? おかしいだろ」
警察官「お前の言ってる理由と合わない」
男「それも簡単な理由なんです」
男「単純に、気が付かなかったんですよ。引っ越した事に」
警察官「…………」
男「表札も出てないですし、ずっと監視してた訳じゃないんで」
男「引っ越した事に気が付いたのは、結構、最近なんです」
男「血文字で『呪い』って書く前に、あいつが部屋に出入りするところを確かめようとはしてたんですけど」
男「二回目の時は、それを何故か忘れていて」
男「三回目の時は、気が付いたら全部終わってました。覚えてないのに、ドアには『呪い』という文字がついてたんです」
男「不思議ですよね」
警察官「…………」
275 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/14(日) 14:14:44.62 ID:7EE/EuRmo
男「他にも、色々とミスは多かったですけどね」
男「不運もありましたし」
男「あいつの実家が、防犯態勢が整っている上に、昼も夜も人通りが多い場所で、どうにもやりにくくて」
男「だから、仕方なく、あいつが働いているカラオケ店のバイトになったんですよ。顔見知りになって近付かないと、どうにも殺せなさそうだったんで」
男「そのせいで、今、捕まってますけどね。あれは本当に判断ミスでした」
警察官「…………」
276 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/14(日) 14:15:24.14 ID:7EE/EuRmo
警察官「つまり、話を整理すると」
警察官「お前は、イマナカオサムを殺す為に、顔見知りになったって事で」
警察官「イマナカとは、それまで面識がなかった事になるよな」
男「…………」
警察官「なのに、何でそんなにイマナカを恨んでる?」
警察官「おかしくないか。会った事もないのに」
警察官「普通、順序が逆だろ」
男「…………」
警察官「答えろよ。何で拷問して殺すほど被害者を恨んでたんだ」
警察官「不自然だろうが」
男「…………」
277 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/14(日) 14:16:09.29 ID:7EE/EuRmo
警察官「……なら、もうそれについては、ひとまず置いておく」
男「はい」
警察官「この他にも、お前には聞きたい事がある」
男「何ですか」
警察官「部屋のドアの『呪い』とかいうあの血文字だ。あれ、どうやって書いた」
警察官「普通に書いたら、相当な時間がかかるはずだよな」
警察官「なのに、お前は一回もそれを目撃されてない」
警察官「何か、短時間で書くような方法があったとしか思えないんだがな」
男「……それについては、多分、お巡りさんも想像がついてるんじゃないですか?」
男「別に、そんなに難しい方法じゃないので」
警察官「まあな。だが、確認の為だ。答えろ」
男「……わかりました」
278 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/14(日) 14:17:25.09 ID:7EE/EuRmo
男「まず、ドアの寸法を予め調べました」
警察官「ああ」
男「それで、丁度、十二等分になるような大きさの、プラスチック製の薄い下敷きを二つ用意して」
男「それをカッターで削って、『呪い』という細かい文字をびっしり作りました」
男「二つ用意したのは、ドアノブの部分用に、専用のを作る必要があったからです」
警察官「…………」
男「それで、後は、血が固まらない様にクエン酸を入れた血液を、蓋が出来る容器の中に入れて」
男「長めのハケにその血をつけて、上から塗りつけました」
男「ただ、それだと塗りつけた血が自然と下に垂れていくので」
男「何度か試して、字を最後までくっつけないようにしたりとか調整して、終わった後に、一番、『呪い』と見える様に作りました」
警察官「…………」
男「そんな風に、実際に何度か試していたので、慣れてましたし」
男「単純作業なので、全部終わるまで五分もかからなかったはずです」
男「その後に、布を上からテープで貼って、隠して終わりです」
警察官「……やはり、そういう方法か」
刑事「ちなみに、それ、どんなお話だったんですかね?」
夫「ええ、確か……」
夫「友達と六人グループで修学旅行に行ったんだけど」
夫「実際には、四人しかいなくて」
夫「だから、二人幽霊が混ざってたんじゃないかって、そんな話です」
刑事「幽霊、ですか……」
夫「ええ、だけどそのミキって子だけ、別で」
夫「彼女は、最初、五人グループなのに六人いるって言って」
夫「修学旅行が終わった後に、その事は覚えてないって言ったとか」
夫「そんな話でしたね」
刑事「……なるほど」
240 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/13(土) 17:38:04.97 ID:2ecqdph+o
刑事「それ、実際のところ、どうだったんでしょうかね?」
刑事「と、言うのも、私は幽霊とか信じてない人間ですし」
刑事「幽霊を捜査の対象にするとか有り得ないのでね」
刑事「少し気になるんですが」
夫「わかりせん……。真相は何とも……。ただですね」
刑事「はい」
夫「俺も幽霊とか信じない派なんで」
夫「何か別の理由で幽霊だと勘違いしたんじゃないかって、そういう風には思ったんですよ」
刑事「はい」
241 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/13(土) 17:40:10.90 ID:2ecqdph+o
夫「で、レイカの話を聞くと」
夫「クラス名簿に名前がなかったし、他のクラスメイトもその二人の事を知らないって言ってたらしいんで」
夫「そう考えると、実際、その二人はいなかったって結論になりますよね」
刑事「でしょうね」
夫「なのに、レイカ含めてカコとマリコって子にも、そのいなかったはずの二人の記憶があるって言うなら」
夫「それは、どう考えても変ですよね」
刑事「はい」
242 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/13(土) 17:41:45.86 ID:2ecqdph+o
夫「だから、最初、催眠術とか、そんな事を疑ったんですよ」
刑事「催眠術ですか……」
夫「はい。催眠術とかで、いないはずの二人をいると思わせた、みたいに」
刑事「…………」
夫「……まあ、そんな顔になりますよね。いくらなんでもそれはないだろ、みたいなね」
刑事「ああ、いえ……。失礼……」
夫「いえ、いいんです。レイカもそんな顔をしてましたし……」
夫「それだと、ミキって子にも催眠がかかってる訳だから、その子だけ覚えてないのは変だみたいに言ってましたから」
刑事「……まあ、確かにそうなりますよね」
夫「だけど、そのミキって子が他の三人に催眠術をかけたとしたら、別にその子だけ知らなくてもおかしくはないはずなんで」
夫「一応、辻褄としては合うかなと」
夫「別に本気でそう思った訳じゃないですけど、ただ可能性としてはあるって話をしたんです」
夫「それ以外、考え付かなかったんで」
刑事「はあ……。なるほどね」
刑事「ただ、ですねえ……」
夫「ただ?」
243 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/13(土) 17:42:13.28 ID:2ecqdph+o
刑事「私、以前、別の事件で精神科の医師と話をした事がありまして」
夫「はい」
刑事「それで、知己を得ましてね。まあ、雑談みたいな事も何回かした事ありまして」
夫「……はい」
刑事「それで、催眠術についても話を聞いた事があるんですよ。逆行催眠とか、そういう話はよく聞きますので」
刑事「『ああいうのって、本当にかかるものなんですかね』と」
夫「ええ」
夫「それで、どうだったんですか?」
刑事「かかる、という返事をもらいましたね」
夫「…………」
刑事「ただ、絶対的な条件が一つあるそうで」
夫「条件?」
刑事「ええ。催眠にかけるには、『本人の協力』が絶対に必要なんだそうです」
夫「協力……というのは?」
刑事「要は、本人も『催眠にかかる』という意思がないと駄目なんだそうです」
刑事「催眠というのは自己暗示の一種みたいなもので」
刑事「早い話、思い込みなんですね。スポーツ選手がよくやるイメージトレーニングみたいな感じですか」
刑事「例えば、足が動かなくなるという催眠をかけようとしたら」
刑事「かけられる本人も、足が動かなくなるイメージをしなければいけないそうで」
刑事「そうでないと、催眠にはかからないそうなんですよ」
夫「…………」
245 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/13(土) 17:43:41.71 ID:2ecqdph+o
刑事「なので、テレビとか漫画とかでよくあるような」
刑事「無理矢理、催眠をかけるってやつ」
刑事「あれは、絶対に不可能ですし」
刑事「一瞬でかかる催眠とかもないそうですね。長い時間をかけてゆっくりとかけるものだそうです」
刑事「あと、複雑な催眠も不可能だという事なので」
刑事「あるはずのない、しかも細かい記憶を植え付けるのは、無理なんじゃないかと」
刑事「なので、催眠の類いではまずないですね」
夫「……そうですか」
246 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/13(土) 17:44:38.84 ID:2ecqdph+o
夫「だとしたら……」
刑事「はい」
夫「やっぱりあれは、レイカの嘘だったんでしょうかね」
刑事「……そうかもしれませんね」
夫「実は、その時、嘘かどうかも聞いたんですよ」
夫「三人で、そのミキって子にドッキリでも仕掛けたんじゃないかって」
夫「ミキって子は、霊感があるとかいう話だったんで、気が付かない内に幽霊が実はいたって話をしたら、きっと驚くじゃないですか」
刑事「はい。でしょうね。それで、レイカさんの反応はどうでした?」
夫「それが……ムキになって反論されまして。あれは幽霊だったんだって、そう言い張ってました」
夫「だから、逆に怪しく思ってたんですけどね……」
夫「でも、嘘だったとしたら、どうしてあんなムキになったんでしょうね? ネタバラシして、実はそうだったって言えば、笑い話で済む話なのに」
夫「その時、何かあったんでしょうか……?」
刑事「……さあ。どうでしょうね」
247 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/13(土) 17:45:20.97 ID:2ecqdph+o
解・四話
【消えた友達】
終了
248 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/13(土) 17:45:47.73 ID:2ecqdph+o
次回、未定……
全ての解が出揃うまで、あと二話……
249 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/13(土) 17:51:02.99 ID:GbDOquTHo
少なくとも催眠ではない
隠し事があるならそもそも夫に話さない
解になってないがこれは面白くなってきた
250 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/13(土) 17:58:07.58 ID:ZlI8H10q0
確かに、確かに
251 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/13(土) 18:00:03.02 ID:9MGTzEw/O
これが嘘だったってことか
252 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/13(土) 18:12:02.61 ID:ZlI8H10q0
そこは、よく考えいないと。
レイカ本人は嘘だと認識していないのかもしれない。
解離性健忘(part2 194参照)ってやつかも知れない。
ただ、解離性健忘だったとしても、作者がそれを”嘘”と考えれば嘘と言うことになるけど。
レイカ本人は嘘だと認識していない傍証
>女友「そのお菓子が八個入りだったから、二つ余って」
ミキを除く3人で分けたなら同じように二つ余る。
253 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/13(土) 20:23:53.74 ID:oa5X9FtVO
乙
254 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/13(土) 21:50:33.18 ID:zj8L9pT10
4人が6人のうちの二人だか、5人のうちの一人だかを殺した後に、
催眠術で忘れさせて不思議な話として記憶を再構成した…とかそういう話かな?
殺人の記憶を忘れるために、ミキが3人に催眠術をかけた ミキ自身は忘れたフリをした
3人は積極的に忘れたかったので協力関係にもなる
ミキが渡した塩も実は催眠術を強化できる精神作用のある薬だった
殺した二人だか一人だかは同じ学校の人間じゃなかったのか、あるいは記憶を書き換えて別人になったのか
この殺された誰かが後の事件に繋がっているという展開になるのかなー、と思った
…しかし、ここに来て催眠術で記憶操作かよ! 何でもアリが加速していくな…!
ってなるので自分で推理しておきながら、実はこういう話じゃないほうが嬉しい
256 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/13(土) 23:09:12.54 ID:F7eB1WV1O
次話に期待
268 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/14(日) 14:08:49.83 ID:7EE/EuRmo
解・三話
【呪われた部屋】
269 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/14(日) 14:09:26.86 ID:7EE/EuRmo
警察官「それじゃあ、改めて確認するが」
警察官「お前がこれまで殺害した人間は、四人で」
警察官「キシタカコ・アイダマリコ・サノレイカ・イマナカオサムの順番で間違いないんだな」
男「はい。間違いありません」
男「それで、合っています」
警察官「それで、キシタカコ・アイダマリコ・サノレイカに関しては、その血液を抜き取って、血文字でドアに『呪い』と書いた」
警察官「そういう事だな」
男「はい」
270 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/14(日) 14:10:10.63 ID:7EE/EuRmo
警察官「なら、次の質問だが」
男「はい」
警察官「どうして、そんな事をした? 動機は何だ」
男「…………」
男「あいつらは、死んで当然の人間だったんで」
男「復讐です」
警察官「復讐と言ってもだな」
警察官「お前と、被害者三人の女性とは何の繋がりもないだろ」
警察官「唯一、イマナカオサムだけが、お前のバイトしてるところの社員だったけどな」
警察官「あいつと何かあったのか」
男「…………」
警察官「それと、キシタカコ・アイダマリコ・サノレイカの三人については、お前とどんな繋がりがある。どんな理由による復讐だ」
警察官「答えろ」
男「…………」
警察官「だんまりか」
男「…………」
警察官「話したくないのか、話せないのか、どっちだ」
男「…………」
警察官「まあいい。ある程度、既に調べはついてるからな」
警察官「この件は後回しにするとして、まずはイマナカオサムを殺害した件について詳しく聞こうか」
男「…………」
272 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/14(日) 14:11:19.39 ID:7EE/EuRmo
警察官「もう一度聞くが、動機は何だ。どうして、そんな事をした?」
男「…………」
警察官「相変わらず答えないか……。なら、別の事について聞くぞ」
警察官「イマナカオサム殺害の件と、アパートの部屋のドアの件については何か関係してるのか」
警察官「あそこは、元はイマナカが住んでたところだからな。そして、一番最初に『呪い』と書かれたのはイマナカだ」
警察官「何か意味があるとしか思えないんだがな」
警察官「どういった理由でそれをした」
男「…………」
273 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/14(日) 14:12:04.69 ID:7EE/EuRmo
男「別に、簡単な理由です」
警察官「何だ?」
男「あいつは『呪われなきゃいけない人間』だったんで」
男「それに相応しい事をしてやっただけです」
警察官「…………」
男「出来るだけ怯えさせて、苦しませて、それから殺したかったんですよ」
男「なので、血を使ってドアに『呪い』と書きました」
男「拷問した後に、窒息死にさせたのもその為です」
男「簡単な言い方をすれば、ただの嫌がらせですよ」
男「それだけの理由です」
警察官「…………」
274 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/14(日) 14:13:18.10 ID:7EE/EuRmo
警察官「だが、イマナカが引っ越してからも、お前はあの部屋にずっと『呪い』と書き続けたよな」
警察官「それはどうしてだ? おかしいだろ」
警察官「お前の言ってる理由と合わない」
男「それも簡単な理由なんです」
男「単純に、気が付かなかったんですよ。引っ越した事に」
警察官「…………」
男「表札も出てないですし、ずっと監視してた訳じゃないんで」
男「引っ越した事に気が付いたのは、結構、最近なんです」
男「血文字で『呪い』って書く前に、あいつが部屋に出入りするところを確かめようとはしてたんですけど」
男「二回目の時は、それを何故か忘れていて」
男「三回目の時は、気が付いたら全部終わってました。覚えてないのに、ドアには『呪い』という文字がついてたんです」
男「不思議ですよね」
警察官「…………」
275 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/14(日) 14:14:44.62 ID:7EE/EuRmo
男「他にも、色々とミスは多かったですけどね」
男「不運もありましたし」
男「あいつの実家が、防犯態勢が整っている上に、昼も夜も人通りが多い場所で、どうにもやりにくくて」
男「だから、仕方なく、あいつが働いているカラオケ店のバイトになったんですよ。顔見知りになって近付かないと、どうにも殺せなさそうだったんで」
男「そのせいで、今、捕まってますけどね。あれは本当に判断ミスでした」
警察官「…………」
276 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/14(日) 14:15:24.14 ID:7EE/EuRmo
警察官「つまり、話を整理すると」
警察官「お前は、イマナカオサムを殺す為に、顔見知りになったって事で」
警察官「イマナカとは、それまで面識がなかった事になるよな」
男「…………」
警察官「なのに、何でそんなにイマナカを恨んでる?」
警察官「おかしくないか。会った事もないのに」
警察官「普通、順序が逆だろ」
男「…………」
警察官「答えろよ。何で拷問して殺すほど被害者を恨んでたんだ」
警察官「不自然だろうが」
男「…………」
277 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/14(日) 14:16:09.29 ID:7EE/EuRmo
警察官「……なら、もうそれについては、ひとまず置いておく」
男「はい」
警察官「この他にも、お前には聞きたい事がある」
男「何ですか」
警察官「部屋のドアの『呪い』とかいうあの血文字だ。あれ、どうやって書いた」
警察官「普通に書いたら、相当な時間がかかるはずだよな」
警察官「なのに、お前は一回もそれを目撃されてない」
警察官「何か、短時間で書くような方法があったとしか思えないんだがな」
男「……それについては、多分、お巡りさんも想像がついてるんじゃないですか?」
男「別に、そんなに難しい方法じゃないので」
警察官「まあな。だが、確認の為だ。答えろ」
男「……わかりました」
278 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/14(日) 14:17:25.09 ID:7EE/EuRmo
男「まず、ドアの寸法を予め調べました」
警察官「ああ」
男「それで、丁度、十二等分になるような大きさの、プラスチック製の薄い下敷きを二つ用意して」
男「それをカッターで削って、『呪い』という細かい文字をびっしり作りました」
男「二つ用意したのは、ドアノブの部分用に、専用のを作る必要があったからです」
警察官「…………」
男「それで、後は、血が固まらない様にクエン酸を入れた血液を、蓋が出来る容器の中に入れて」
男「長めのハケにその血をつけて、上から塗りつけました」
男「ただ、それだと塗りつけた血が自然と下に垂れていくので」
男「何度か試して、字を最後までくっつけないようにしたりとか調整して、終わった後に、一番、『呪い』と見える様に作りました」
警察官「…………」
男「そんな風に、実際に何度か試していたので、慣れてましたし」
男「単純作業なので、全部終わるまで五分もかからなかったはずです」
男「その後に、布を上からテープで貼って、隠して終わりです」
警察官「……やはり、そういう方法か」
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