乗客Yx1
戸野 千織(トノ チオリ)
目が覚めたらそこは、走る列車の中だった
451: ◆e.A1wZTEY.:2018/12/8(土) 23:08:38 ID:.NxPsvQjAc
ブリアン「僕は停まった駅で適当に下りて色々食べてるし」
千織「えーそうだったんですか。確かに猫なら、ささっと行ってささっと帰ってこれそうですよね・・・」
車掌「――ついたぞ」
千織「!」
着いた先には、赤色の看板がかかったレストランがあった
中から笑い声と、ジューッと何かを焼く音がきこえる
千織「すごい、いい感じですね!何のお店なんですか?」
車掌「焼肉だ。レドンという、歪世界にのみ生息する食肉用生物を調理している」
452: ◆e.A1wZTEY.:2018/12/8(土) 23:10:18 ID:.NxPsvQjAc
千織「れ、レドン・・・?」
車掌「人間界の焼肉とどのくらい違うのかは知らないが・・・まずくはないと思う。試しに食べてみるといい」
千織「は、はい!楽しみです」
この世界に、人間界の食べ物はない
そのことにはだいぶ慣れつつあり、聞きなれない食料でもあまり気にしないことにしていた
ブリアン「よし、入ろ〜。お腹ペコペコだよ」
453: ◆e.A1wZTEY.:2018/12/8(土) 23:15:40 ID:.NxPsvQjAc
中に入ると、羊型の男に席に案内された
羊男「こちらへお座りください。すぐにお水をお持ちします」
羊男「ご注文の際は、そちらのベルをお鳴らし下さい。では」 ペコリ
千織「・・・すごい。人間界と一緒だ」
車掌「ぼーっとしていないで、食べたいものを決めろ。私はそのへん詳しくないからな」
千織「は、はい!」
メニューの冊子を手に取る
454: ◆e.A1wZTEY.:2018/12/8(土) 23:17:45 ID:.NxPsvQjAc
千織「・・・」
千織(・・・よ、よくわからないけど、写真でおいしそうなもの適当に選んどけばいいよね)
千織「じゃあ、レドンのアグダと、ナイロと、・・・カカンを1皿ずつ」
ブリアン「あとはねー、ガズイのサラダとレッペの厚焼きも」
ブリアン「飲み物はどうする?」
千織「の、飲みやすくて、ジュースみたいのってありますか?」
ブリアン「そうだなー、ホリーニャとか?」
千織「じゃ、じゃあそれにします」
車掌「では、私もそれにする」
ブリアン「おっけー。じゃあ店員よぶよー」 チリリーン
455: ◆e.A1wZTEY.:2019/1/9(水) 17:23:02 ID:M04A3cPyqc
あけましておめでとうございます。
来週から更新再開いたします。
456: 名無しさん@読者の声:2019/1/12(土) 11:05:59 ID:kXjObwftrc
あけましておめでとうございますヽ(=´▽`=)ノ
作者さんにとってよい一年となりますように! 応援してます(*´ω`*)
457: ◆e.A1wZTEY.:2019/1/21(月) 20:20:22 ID:owxdLBffe2
>>456
ありがとうございます!読者さんにとってもよい1年になりますように(´∀`*)
応援して下さってとてもとても嬉しいです!
更新詐欺ですみません、明日か明後日には更新します・・・!!
458: ◆e.A1wZTEY.:2019/1/22(火) 21:35:20 ID:owxdLBffe2
千織「――おいしい!」
焼いたレドンの肉を頬張り、笑顔になる
千織「すごくおいしいですね!牛肉みたいです」
車掌「それなら良かった」
千織「車掌さんは食べないんですか?」
車掌「食べてもいいが・・・食べなくても問題ない。だったら、千織やブリアンが私の分も食べたほうがいいだろう」
千織「何言ってるんですか!食事はみんなで食べるからおいしいんですよ」
459: ◆e.A1wZTEY.:2019/1/22(火) 21:36:43 ID:owxdLBffe2
千織が車掌の皿にも肉を盛り付ける
千織「このタレをつけるんですよ。車掌服にこぼさないようにしてくださいね」
ブリアン「プッ」
車掌「・・・あのな」
車掌「私が精力以外食べたことがないからって、馬鹿にし過ぎだぞ」
千織「え、そうなんですか?てっきり箸とかうまく使えないのかなって」
車掌「フン、その程度できるに決まっている」
460: ◆e.A1wZTEY.:2019/1/22(火) 21:39:50 ID:owxdLBffe2
箸を手に取ると、焼けた肉をつかんだ
ポロッ
肉は箸の隙間から抜け、テーブルにぼとりと落ちた
車掌「・・・」
ブリアン「ブッ、ププププ」
千織「・・・わ、笑っちゃだめですよ!ブリアンさん」
千織「車掌さん!まずは箸の持ち方教えてあげますからね。グーじゃなくて、人差し指と中指を・・・」
車掌「・・・」
461: ◆e.A1wZTEY.:2019/1/22(火) 21:41:59 ID:owxdLBffe2
千織「どうです?お味のほうは」
車掌「・・・うまい、と、思う」
千織「ですよね!」 パアァァ
ブリアン「精力の味と比べてどう感じんの?」
車掌「・・・精力を食べても、空腹を満たす感覚しかない。だから、味というものはあまりよくわからない」
車掌「だが、この肉は・・・飽きがないというか、バリエーションがあって、不思議だ。もっと食べてみたいという気持ちにさせる」
千織「それは間違いなくおいしいってことですよ!」
千織「車掌さん、こんな素敵なお店に連れてきてくれて本当にありがとうございます」 ニッコリ
車掌「・・・別に」
車掌「感謝されるようなことじゃ、ない」
横を向き、わずかに頬が赤くなったのを隠した
462: 名無しさん@読者の声:2019/1/29(火) 19:56:51 ID:kXjObwftrc
支援C
463: ◆e.A1wZTEY.:2019/1/29(火) 22:09:45 ID:owxdLBffe2
>>462
支援ありがとうございます!!
前回分少なくてすみません、更新します
464: ◆e.A1wZTEY.:2019/1/29(火) 22:12:17 ID:owxdLBffe2
タコ男「・・・おい、あれ見ろよ」
イカ男「ん?なんだ?」
タコ男「あそこの席に座ってる男・・・列車の車掌じゃないか?」
イカ男「あそこ・・・?」
イカ男「おお、本当だ。あいつが列車から降りているところ、初めて見たね」
タコ男「かーっ、女なんか連れてやがるぜ。生真面目な性格してるくせに」
465: ◆e.A1wZTEY.:2019/1/29(火) 22:13:50 ID:owxdLBffe2
イカ男「童貞だと思ってたよなー」
タコ男「よく見ると女はかわいい顔してるじゃねえか。一晩貸してもらうかな」
イカ男「さすがにそれはダメなんじゃないのぉ?」
タコ男「なーに言ってんだよ、俺は列車の常連客だぞ?週に2回は乗ってる。あいつはいつも、『お客様』『お客様』ってヘコヘコしてるんだ。逆らうなんてありえないぜ」
イカ男「たしかにー」 ケラケラ
466: ◆e.A1wZTEY.:2019/1/29(火) 22:17:23 ID:owxdLBffe2
ブリアン「ふーっ!まんぷくまんぷく」
千織「満腹ですね〜」
車掌「なら、そろそろ出るか?」
千織「そうですね〜・・・って、あれ?」
千織の視界が、ぐわんと揺れた
車掌「千織?」
千織「あれ・・・わたし、どうしちゃったんでしょ」 フラフラ
467: ◆e.A1wZTEY.:2019/1/29(火) 22:18:26 ID:owxdLBffe2
ブリアン「ちょっと大丈夫?顔赤いよ」
千織「だ、だいじょうぶ・・・です」
車掌「大丈夫じゃないだろう」
車掌が千織の腕をつかむ
ブリアン「・・・もしかして」
ブリアンがはっと何かに気づいたとき――
468: ◆e.A1wZTEY.:2019/1/29(火) 22:19:56 ID:owxdLBffe2
タコ男「よお?車掌さん」
テーブルの横に、タコとイカの怪人が立っていた
車掌「・・・?」
タコ男「俺が誰だかわかるよな?しょっちゅう列車に乗ってるんだから」
イカ男「わかるよねえ?」
車掌「・・・」
車掌「・・・お客様、ですか」
タコ男「お、そうそう、そうだよ。『お客様』だよ」 ニヤニヤ
469: ◆e.A1wZTEY.:2019/1/29(火) 22:21:48 ID:owxdLBffe2
車掌「何か御用ですか。今取り込み中なのですが」
タコ男「実は今夜の夜伽相手を探してるんだが・・・」
車掌「・・・は?」
タコ男「わかるよな?」
イカ男「わかるよねえ?」
車掌「申し訳ありませんがわかりません。そもそも、今は勤務時間外ですので、お客様のご要望にはこたえられません。お引き取りください」
タコ男「なんだと?」
470: ◆e.A1wZTEY.:2019/1/29(火) 22:24:19 ID:owxdLBffe2
タコ男「誰が列車に乗ってるおかげでここの焼肉が食えてると思ってるんだ?んん?」
車掌「・・・」
イカ男「一晩でいいんだよー。そしたら返してあげるからさ、ね?」
車掌「・・・わかりました」
車掌「支払いを済ませて外に出ますので、お待ちください。ここだと店の迷惑になりますから」
イカ男「お」
タコ男「やっとわかったか」 ニヤニヤ
ブリアン「・・・ほんとこういうバカな連中って、絶えないよね」
大きくため息をついて、呟いた
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