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歪世界トレイン
[8] -25 -50 

1: ◆e.A1wZTEY.:2017/4/30(日) 20:25:16 ID:4iSJ1d7xp2

乗客Yx1

戸野 千織(トノ チオリ)

目が覚めたらそこは、走る列車の中だった



431: ◆e.A1wZTEY.:2018/11/6(火) 20:59:14 ID:dW73PZiuFo

紫苑「君は行方不明になっていた間、死者の世界にいっていたんだよ。その名残で、その世界の臭いが身体についてる。私はそれを辿って君のところにきた」

恭太「ま、待ってくれ。俺が死者の世界に行っていた?そんなこと信じられるわけ・・・」

紫苑「信じる信じないは自由だけど。君は何も覚えていないし、戸野千織に関する有力な情報もない。こんな状況下じゃ、藁にでもすがりたい気持ちじゃないのかい?」

恭太「・・・」

紫苑「君が何も覚えていないのは、その不思議な世界で記憶を消されたからだ。それなら合点がいくだろう?」

432: ◆e.A1wZTEY.:2018/11/6(火) 21:00:26 ID:dW73PZiuFo

恭太「・・・な、何でそんな世界にいく必要があるんだ」

紫苑「必要かどうかというより、迷い込んでしまった、という表現が正しいのかな」

紫苑「人間が自分から行くことはできないはずだからね」

恭太「じゃあ、ちおちゃんは・・・」

紫苑「おそらく、まだ死者の世界にいるだろう」

恭太「!!」


433: ◆e.A1wZTEY.:2018/11/6(火) 21:01:29 ID:dW73PZiuFo

こんな現実離れした話、信じられるはずがない

信じられるはずがないのだが――

警察が話していたどの可能性よりも、真実に近いように感じた

恭太「・・・確かに、俺は今、藁にでもすがりたい気持ちだ。ちおちゃんを助けるためなら、あらゆる手を尽くしたい」

恭太「あんたを信じれば、ちおちゃんを助けられるのか?」

紫苑「・・・そうだな」

434: ◆e.A1wZTEY.:2018/11/6(火) 21:03:10 ID:dW73PZiuFo

紫苑「はっきり言って、助けられる保証はない。が・・・助けられる可能性はある」

紫苑「私はもともと、神隠しと呼ばれる現象の正体を追っていてね」

恭太「神隠し?」

紫苑「人が行方不明になったり、なんの前触れも無く失踪することを、神の仕業としてとらえた言葉だよ」

紫苑「だが私は、神隠しとは人が死者の世界に迷い込んでしまったために起こることだろうと考えている」

恭太「ちおちゃんは神隠しにあったっていうのか」

紫苑「そうさ」

435: ◆e.A1wZTEY.:2018/11/6(火) 21:04:29 ID:dW73PZiuFo

紫苑「矛盾の多い、不可解な行方不明・・・。当初行方不明だった君が記憶をなくしたことも含めると、極めてその可能性が高いと感じたんだ」

恭太「どうやって神隠しから助けるんだ」

紫苑「迷い込む際には必ず2つの世界のあいだに時空的な繋がりができているはずだ。私はその繋がるポイントを探している」

恭太「ポイント・・・」

紫苑「戸野千織が行方不明になった場所だ。警察には何度も説明しているだろうが、改めて私をそこに案内してほしい。記憶が残っている場所まででいい」

436: 名無しさん@読者の声:2018/11/6(火) 23:35:44 ID:vXKJk.211Q
支援
437: 名無しさん@読者の声:2018/11/8(木) 14:52:12 ID:S/fhLd8FCY
支援!
438: 名無しさん@読者の声:2018/11/13(火) 20:13:58 ID:Kg2uN2ua4E
支援〜(*´ω`*)
439: ◆e.A1wZTEY.:2018/11/14(水) 16:39:22 ID:gw58qzRucQ
>>436-438
支援ありがとうございます〜!*\(^o^)/*
たくさん支援頂けて嬉しいびっくりです
今後ともよろしくお願いしますm(_ _)m
今週中には更新しますのでもうしばしお待ちくださいませ
440: ◆e.A1wZTEY.:2018/11/20(火) 01:18:42 ID:dW73PZiuFo

恭太「――ここだ」

通学路の途中にある、直径3メートルほどの小さな池の傍に案内する

恭太「千賀池(せんがいけ)っていうんだ。ここの近くに千織ちゃんが立っているのが見えて、俺は駆け寄っていった・・・そこまでしか、覚えていない」

紫苑「ニュースで言っていた、最後の目撃情報のところだな。池と周辺の川を全部あらったけど何も出てこなかったと聞いた」

恭太「池の深さは1メートルもない。子どもだったら溺れるかもしれないけど、高校生が溺れるような場所じゃない」

441: ◆e.A1wZTEY.:2018/11/20(火) 01:20:58 ID:dW73PZiuFo

紫苑「なるほどね」

恭太「ここを見て何かわかるのか?」

紫苑「そうだね・・・もう少し調べないと、わからないけど」

紫苑「1つわかることがあるよ」

恭太「? なんだ?」

紫苑「猫の霊が見える」


442: ◆e.A1wZTEY.:2018/11/20(火) 01:23:15 ID:dW73PZiuFo

恭太「猫・・・?」

紫苑「この池のまわりで、黒猫の霊が見えるんだ。心当たりはないかい?」

恭太「さぁ・・・俺は知らないな」

紫苑「この池から強い霊気を感じるから、この池が死者の世界と繋がる時空間的ポイントである可能性は高そうだ。と、すると・・・この黒猫は、この場所を守る番人みたいなところかな」

恭太「番人?」

紫苑が、池の右端の何もない空間に向かって、話しかける

紫苑「君は、この場所を守っているのかい?」

443: ◆e.A1wZTEY.:2018/11/20(火) 01:24:22 ID:dW73PZiuFo

恭太「・・・」

紫苑「・・・ほう」

恭太「・・・猫は何て言ってるんだ」

紫苑「小さく首を振った。どうやら、番人というわけではないらしい」

紫苑「君はどうしてそこにいるんだい?」

恭太「・・・」

紫苑「・・・」

紫苑「・・・うーん、さすがに猫と言葉のやりとりはできないね」

444: ◆e.A1wZTEY.:2018/11/20(火) 01:29:37 ID:dW73PZiuFo

恭太「猫はどんな様子なんだ」

紫苑「悲しそうな瞳でこっちを見ているだけだよ。私の言葉は理解しているかもしれないけど、どうしたらいいかわからないって感じだ」

恭太「・・・霊のことはよくわからないけど、やっぱり何か未練があるからここにいるんだろ?」

恭太「それがちおちゃんと関係あるなら知りたいけど、それすらわからないからな・・・」

紫苑「・・・ふむ」

紫苑「私はもう少しこの周辺を調べてみるよ。何かわかったら君に知らせよう」

445: ◆e.A1wZTEY.:2018/11/20(火) 01:31:53 ID:dW73PZiuFo

――数日が過ぎ、千織が歪世界に来て、10日目の朝を迎えた

平常通り、列車は動き、千織も自分の仕事を始めた

荷物の積み下ろしにもだいぶ慣れ、てきぱきと動けるようになった

車掌「――千織」

千織「はい!」

背後から呼ばれ、振り向く

車掌がぎょっとしたような顔をする

千織「? どうかしました?」

446: ◆e.A1wZTEY.:2018/11/20(火) 01:32:58 ID:dW73PZiuFo

車掌「・・・いや、元気だなと・・・」

千織「そうですか?いつも通りですよ!」

ぶんぶんと腕をふる

千織「車掌さんが少しでも精力を節約できるようにお手伝いして、恩を返さなきゃいけませんしね!」

車掌「・・・」

千織「あれ、何か用事があったんじゃないんですか?」

車掌「・・・そうだった」

コホンと咳払いして、気を取り直す

447: ◆e.A1wZTEY.:2018/11/20(火) 01:35:16 ID:dW73PZiuFo

車掌「この世界に来てから、まずいものしか食べていないだろう。今日の業務が終わったら、食事に連れて行ってやる」

千織「えっ・・・本当ですか!?」

千織「食事って、いったいどこで」

車掌「今日の終点のアカダコ駅で町へおりよう。そこそこ栄えている町だから、良い店があるだろう」

千織「私、町におりても大丈夫なんですか?」

車掌「人間の臭いもほとんど消えているし、私の傍にいれば大丈夫だ」

千織「わあぁ・・・!楽しみです!ありがとうございます!!」 キラキラ

448: ◆e.A1wZTEY.:2018/12/5(水) 14:55:56 ID:4O0j5IHbJk
今週中には更新します!
449: ◆e.A1wZTEY.:2018/12/8(土) 22:55:52 ID:.NxPsvQjAc

ブリアン「――ご飯に連れて行ってあげるなんて、珍しいじゃん」

列車を運転する車掌の横で、ブリアンがあくびをする

ブリアン「車掌は精力しか食べたことないのに」

車掌「生物の三大欲求の1つは食欲だろう。たまに良いものを食べたほうがいいのはわかる」

ブリアン「ふーん。ま、ヤエヌクラ草を食べるのも飽きてきたしいいんじゃないの」

ブリアン「で、何の店にするのさ」

車掌「肉だ」

ブリアン「ざっくりしてるねえ」

450: ◆e.A1wZTEY.:2018/12/8(土) 23:03:43 ID:.NxPsvQjAc

――夜、列車が業務を終了すると、2人と1匹はアカダコ町へおりた

夜の町は明かりが灯り、賑わっていた

千織「私、すごくわくわくします」 キラキラ

千織「おいしいごはん食べられるのもありますけど、列車の外に出られる機会あまりないので」

千織「しかも、何かあっても車掌さんが傍にいるし。安心感がやばいです」

ブリアン「めっちゃテンション高いじゃん」

千織「そりゃそうですよ!ブリアンさんもたまにはキャットフード以外を食べたくなるでしょう?」

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