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歪世界トレイン
[8] -25 -50 

1:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/4/30(日) 20:25:16 ID:4iSJ1d7xp2

乗客Yx1

戸野 千織(トノ チオリ)

目が覚めたらそこは、走る列車の中だった



37:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/4(木) 23:20:48 ID:spmolqlGjY
>>36
ヒエッ、初支援ありがとうございます…!
嬉しいです頑張って毎日更新するのでよろしくお願いします//
38:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/4(木) 23:25:53 ID:spmolqlGjY

恭太「――まいったなぁ」

河川敷に座り、スマホを操作する

恭太「ここ、全然電波とんでねーじゃん。しっかりしろよクソ●トバンク」

千織「私も繋がらないや」

恭太「ていうかさ、何で俺たちこんなとこに来ちゃったんだ?全然覚えてないんだけど」

千織「・・・」

どうやら恭太には、以前の千織と同様、ここに来る直前の記憶がないらしい

千織(今度は、私覚えてる・・・。あの男の子にチョコをあげたら、ここに来てしまった・・・)

恭太「とりあえず、どっかの家に電話借りようか」

と、その時

目の前の河川から、ばしゃんと大きな音がした

39:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/4(木) 23:31:03 ID:spmolqlGjY

???「あー、はらへったな・・・・」

何かが、川の中から這い上がってくる

千織「・・・!」

恭太「な、なんだよあれ・・・」

暗がりではっきりとはみえないが、人の形ではないことはわかる

いや、手足のようなシルエットはみえる

???「・・・」

それは、こちらに気づいたのか、じっと見つめてきた

40:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/4(木) 23:35:21 ID:spmolqlGjY

千織「お、沖くん、」

そでをつかむ。嫌な予感がする

凝視すると、それの姿が把握できた

全長2mほどの大きな魚に、手足が生えている


恭太「―逃げるぞ!!」 ダッ

千織「きゃっ」

危機を察知し、恭太は千織の手をつかみ逆方向へ走り出した

同時に、魚人も無言でダッシュを切り追いかけはじめる

41:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/4(木) 23:40:50 ID:spmolqlGjY

恭太「なっ、なんだよあの化け物っ・・・」

千織「沖くん、列車に戻ろう!」

恭太「もう出発してる!無理だ!」

暗い土手を、無我夢中で走る

あの化け物がどこまで追ってきているのか、確認する余裕もない

魚人「はい、追いついた」

「!?」

突如、背後から肩をつかまれ、千織は地面に尻もちをついた

42:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/4(木) 23:46:20 ID:spmolqlGjY

恭太「ちおちゃん!!」

魚人がニタニタと笑い、千織の首ねっこをつかむ

恭太「てっ、てめぇ!ちおちゃんをはなせ!!」

叫ぶが、ガタガタと足が震えている

魚人「まさか人間を見つけるなんてなぁ・・・。幸運だぜ」

千織「沖くん、逃げて!!」

次の瞬間

ドゴッ!!

恭太「う、」

千織「!!」

恭太は腹に拳を入れられ、バタリと地面に崩れおちた

43:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/5(金) 20:46:40 ID:ufTVIcJVgc

―――――


千織「――ん・・・」

目を覚ますと、そこは薄暗い部屋の中だった

千織「・・・!?」

身体の自由がきかない

手足が縄で拘束され、口にはテープが貼られている

千織「んっ、んっ」

必死にもがくが、一向に縄がほどける気配はない

千織(沖くんは・・・!?)

44:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/5(金) 20:49:32 ID:ufTVIcJVgc

まわりを見回すが、恭太の姿はない

ダンボールがそこら中に積まれている

すると

ギイイイィ・・・

千織「!」

部屋の扉が開いた

45:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/5(金) 20:53:08 ID:ufTVIcJVgc

入ってきたのは、魚人と、

千織(車掌さん・・・!?)

あの、車掌だった

魚人「あ、起きてるじゃねーか」

ニタニタと笑いながら近づき、千織の顎をつかむ

魚人「てめぇは女だからなぁ・・・。高値で売ってやるぜ」

千織「・・・!」

46:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/5(金) 20:56:33 ID:ufTVIcJVgc

魚人「オレの荷物は、これと、これと、この奴隷だ」

2つのダンボール箱と千織を指さす

魚人「ミヤコ駅まで運んでくれ。くれぐれも人間だからって食ってくれるなよ」 ケラケラ

車掌「かしこまりました」 ペコリ

車掌が会釈すると、魚人は部屋を出て行った

千織「んーっ、んーっ」

車掌もそれに続こうとするのを、必死で止める

47:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/5(金) 21:03:20 ID:ufTVIcJVgc

千織「んー!んんーっ!」

車掌「・・・」 ハァ

小さくため息をつき、千織の方へ振り返る

車掌「君を助けることはできない。君はこの貨物車両に積まれた『荷物』だ」

千織「んーっ!んーっ!!」

車掌「これからは、魚人の奴隷として生きていくことだ」

バタン

慈悲もなく、車掌は出て行った

48:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/5(金) 23:53:30 ID:spmolqlGjY

魚人「いやー、にしても、人間なんて珍しいモン見つけるなんて超ついてるわぁ。そう思わねえ?」

列車内をご機嫌で歩く

車掌「そうですね」

魚人「しかも2人だぜ2人!たまに人間が迷い込んでも誰かにとられちまうからなぁ」

車掌「運ぶのは1人だけでよろしいのですか?」

魚人「あぁ、男の方は今晩の夕飯だ。母ちゃんに蒸し餃子にしてもらうんだあ〜楽しみだぜ」

車掌「そうですか」

49:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/6(土) 00:00:11 ID:spmolqlGjY

ゴトン、ゴトン・・・

音を立て、列車が走りはじめる

千織が閉じ込められているのは、最も後続の貨物車両だった

千織(どうすれば・・・)

千織(どうすれば、いいんだろう・・・)

どうやら自分は、どこかで奴隷として売られてしまうらしい

千織(沖くんは、無事なのかな・・・)

そのとき

「にゃ〜〜ご」

千織「!」

1匹の黒猫が、部屋の隅から姿を現した

50:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/6(土) 00:03:26 ID:spmolqlGjY

千織(ね、ねこ・・・?なんでこんな所に・・・)

黒猫は千織に歩み寄ると、ペロリと千織の頬をなめた

千織(かわいい・・・)

千織「んー、んー」

黒猫「にゃー」

千織「んー」

黒猫「助かる方法、教えてあげようか」

千織「!?」 ビクッ

千織(しゃしゃしゃ喋った・・・!?!?)

思わず身をのけぞり、猫から距離をとる

51:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/6(土) 00:08:38 ID:spmolqlGjY

黒猫「なに?知りたくないの?」

千織「・・・!」

ブンブンと首を横に振った

急な出来事に、心臓がバクバクと音を立てている

猫がニヤリと笑った

黒猫「いい?君を助けられるのは、この場においてこの列車の車掌、あいつ一人だけだ」

無意識にうなづく

黒猫「それ以外はどうやったってだめだ。仮にそこの窓から逃げられたとしても、君はまた別の奴に捕まるだろう」

52:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/6(土) 00:13:20 ID:spmolqlGjY

黒猫「だから、君はあいつに必死に頼むんだ。『私を買ってください』って」

千織「・・・!?」

黒猫「生きたかったら、覚悟を見せな」

ベリリ、と千織の口のテープを剥がす

黒猫「まずは、大声だして騒げ。騒ぎまくって、あいつを呼べ。そしたら・・・わかってるね」

千織「ま、待って!」

千織「そ、そんなこと言ったって、『お前は客の荷物だからだめだ』って、さっき言われちゃったし・・・!」

黒猫「グズグズしてるとミヤコ駅に着くよ」

そう言うと、暗闇に消えていった

53:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/6(土) 21:30:15 ID:spmolqlGjY

――人ならざる者たちが座る車内を、手を後ろに組み、歩く


車掌「―お客さま」

タバコをふかしているカエル男の前で止まる

車掌「この列車は、全席禁煙でございます」

蛙男「あぁ?」

車掌「おタバコはおやめください」

蛙男「いいじゃねえか、タバコくらい。こちとらちゃんと乗車券とって乗ってんだ」

車掌「乗車券を持っているからといって、列車内の決まりを破っていい理由にはなりません」

54:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/6(土) 21:33:02 ID:spmolqlGjY

蛙男「てめぇ、車掌の分際で客に文句言うのか」

ギロリと車掌をにらむ

車掌「この列車の規則を守れないのであれば、即刻、降りて頂きます」

蛙男「あんだとぉ!?」

立ち上がり、車掌の胸ぐらをつかんだ

他の乗客たちもざわつき始める

蛙男「俺は今、イライラしてんだ。ストレスたまってんだよ、わかるか?タバコくらい吸わせろや」

55:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/6(土) 21:36:14 ID:spmolqlGjY

車掌「そのような個人の理由は配慮致しかねます」

蛙男「あぁそうかい!じゃあ消せばいいんだな、わかったよ」

そういうと、蛙男は床にタバコを落とし、グリグリと足でふみつけた

蛙男「これで満足だろぉ?んん?」 ニヤニヤ

車掌「・・・」

車掌「次、規則を破ったときは容赦致しませんので、ご理解ください」

そう言い、タバコの吸い殻を拾った、そのとき――


「わーーーーっ!!!!!」


「!?」

56:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/6(土) 21:40:31 ID:spmolqlGjY

突如、大きな声が列車内に響いた

乗客がみなぎょっとする

「わー!!わーー!!わーーー!!!」

ドタドタ、バタン、ガッシャーン!!!

それと同時に、何か物が倒れたり壊れたりするような音がする

どうやら後続の車両からのようだ

車掌「・・・なんなんだ」

小さく舌打ちをして、歩き出した

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