2chまとめサイトモバイル

2chまとめサイトモバイル 掲示板
歪世界トレイン
[8] -25 -50 

1: ◆e.A1wZTEY.:2017/4/30(日) 20:25:16 ID:4iSJ1d7xp2

乗客Yx1

戸野 千織(トノ チオリ)

目が覚めたらそこは、走る列車の中だった



196: ◆e.A1wZTEY.:2017/8/30(水) 10:01:46 ID:UtKpo4NOEg

千織「――ふう!」

キサラギ駅と書かれた駅での荷物の積み下ろしを終え、汗をぬぐう

力仕事にもだいぶ慣れてきた

千織「働くのって悪くないかも」

そう呟き、次の駅に向けて列車に乗り込もうとしたとき――

兎男「ち、千織ちゃん!!」

千織「兎男さん…?」

兎男が走ってきて、千織の手をつかんだ

197: ◆e.A1wZTEY.:2017/8/30(水) 10:04:12 ID:UtKpo4NOEg

千織「ど、どうしたんですか」

兎男「俺が、君を助けてあげる!一緒に逃げよう!!」

千織「え、えぇ!?」

『――まもなく、列車が出発します。まもなく列車が出発します』

アナウンスが入り、列車が音を立て始める

千織「だ、だめです、列車に戻らないと」

兎男「いいから、俺についてきて!!」 バッ

千織「きゃ!?」

兎男は千織を抱き上げると、ホームの外へ走り出した

198: ◆e.A1wZTEY.:2017/11/30(木) 11:22:59 ID:UugzyVWfTQ

車掌「…」 ピク

運転席で、わずかに顔をしかめる

車掌「…ちっ」

千織の気配が列車外へ出たのに気づいた

列車の出発をいったん止め、目を閉じて精力を集中する

車掌「…」

すると、列車の車両から、にょきにょきと巨大な黒い手が出現した

199: ◆e.A1wZTEY.:2017/11/30(木) 11:29:21 ID:UugzyVWfTQ

兎男「――な、なんだありゃあ!?」

千織を抱きかかえながら走る兎男に向かって、黒い手が追いかけてくる

千織「…!!」

兎男「つ、つかまってたまるか!!」

兎男は全力で走り、駅を出て町へ向かう

千織「う、兎男さん、止まってください!」


200: ◆e.A1wZTEY.:2017/11/30(木) 11:31:05 ID:UugzyVWfTQ

千織「これ以上は危ないです、やめてください!」

兎男「やめない!俺は君を助けたいんだ!!」

見ると、黒い手は猛スピードで背後に迫っていた

黒い手が至近距離まで迫り、兎男を掴もうと大きな手をひろげた瞬間――

ザンッッ!!!

「!!」

巨大な刃物で、黒い手が切断された

201: ◆e.A1wZTEY.:2017/11/30(木) 11:33:37 ID:UugzyVWfTQ

車掌「っ!」

自らの手をおさえ、顔をゆがめる

ブリアン「――ちょっと車掌!?何してんのさ!!」

ブリアンが運転室に飛び込んできた

ブリアン「列車は出発しないし、精力の手が列車から出てるし、いったい何が――」

車掌「ブリアン」

ブリアン「え?」

車掌「千織が連れ去られた。いますぐ列車から降りて、千織を追え」

202: ◆e.A1wZTEY.:2017/11/30(木) 11:35:46 ID:UugzyVWfTQ

ブリアン「ええぇえ!?」

車掌「これ以上は手が伸ばせないし、列車業務にも支障が出る」

ブリアン「ま、まじかよぉ」

車掌「早く」

ブリアン「わ、わかったよ。じゃあ、明日折り返してこの駅に戻ってきてよ!」

そういうと、ブリアンは列車の外へ飛び出した


203: 名無しさん@読者の声:2018/2/13(火) 11:06:13 ID:tNKE7DItDk
支援
204: ◆e.A1wZTEY.:2018/2/13(火) 18:15:38 ID:UugzyVWfTQ
>>203
支援ありがとうございます・・・!!
更新滞ってるのに見て下さって本当に嬉しいです、更新します
205: ◆e.A1wZTEY.:2018/2/13(火) 18:17:10 ID:UugzyVWfTQ

千織「…」

切断された黒い手をみて、唖然とする

黒い手は地面に落ちたまま動かない

千織「しゃ、車掌さん…」

兎男「ふぃ〜!助かったぁ!!」

兎男「感謝するよ、兄貴」

兎男が見た先には、さらに一回り大きい体の兎男がいた

手には大きな刀のようなものをもっている

206: ◆e.A1wZTEY.:2018/2/13(火) 18:19:52 ID:UugzyVWfTQ

兎兄貴「まったく、久しぶりに帰ってきたと思ったら、なんの騒ぎだ」

兎男「この子を助けてあげたくってさ」

兎男「千織ちゃん、安心して。ここはキサラギ町っていって、俺の故郷なんだ」

千織「え。えっと…」

兎男「兄貴、この子は列車で囚われてたんだ。かわいそうだろ」

兎兄貴「ほぉーん。列車って…あの無口な車掌がいる列車だろ?」

兎兄貴「てかお前、そんな大層なことして、明日からどこで働くつもりだよ」

207: ◆e.A1wZTEY.:2018/2/13(火) 18:22:21 ID:UugzyVWfTQ

兎男「そ、そんなこと二の次だよ!とにかくこの子を助けたかったんだ」

千織(ど、どうしよう…)

どうやら完全に、誤解されているらしい

はっきり違いますと伝えて、一刻も早く車掌の元へ戻らなければ

千織「あ、あの」

兎兄貴「つーかこの子、人間みたいだなぁ?」

千織「!」 ビクッ

208: ◆e.A1wZTEY.:2018/2/13(火) 18:25:16 ID:UugzyVWfTQ

兎男「そんなわけないじゃないか!見た目はちょっと俺たちと違うけど」

兎兄貴「そうそう。見た目がさぁ、似てないか?この町にいる人間に」

兎男「ま、まぁ確かに…でも、人間の臭いはしないよ?」

千織「…」

千織「…え?」


209: ◆e.A1wZTEY.:2018/2/13(火) 18:28:14 ID:UugzyVWfTQ

聞き間違いでなければ、この町に人間がいると、聞こえた

千織「あっ、あのっ」

兎兄貴「ん?」

千織「いま、人間って…」

兎兄貴「あぁ」

兎兄貴「この町に1人、奴隷として買われた人間がいるのさ。珍しいもんさ」

千織「…!!」

210: ◆e.A1wZTEY.:2018/2/13(火) 18:30:25 ID:UugzyVWfTQ

千織(沖くんだ…!沖くんだ、きっと!!)

千織「あの、その人に会わせてください!お願いします!!」

兎兄貴「あぁん?」

兎男「何で?千織ちゃん食べたいの?」

千織「た、食べたいわけでは…。ほ、ほら、希少価値が高いと聞くので、見てみたいんです」

兎男「まぁ、気持ちはわかるけど…」

兎兄貴「人間を買ったのは、この町でいちばんの大金持ちだ。俺たちが人間に近づけば、盗人と勘違いされちうまうぜ」

千織「そんな…」

211: 名無しさん@読者の声:2018/2/14(水) 10:13:27 ID:b.B/sZevxI
待ってました! ありがとう(>∀<)
212: ◆e.A1wZTEY.:2018/2/14(水) 21:56:23 ID:UugzyVWfTQ
>>211
こちらこそお待ちいただきありがとうございます!(>∀<)
(関係ないですが、本日2月14日は、千織が初めて歪世界トレインに乗った日です)
213: ◆e.A1wZTEY.:2018/2/14(水) 21:57:45 ID:UugzyVWfTQ

必死に考えをめぐらせる

千織(ど、どうしよう。この町で情報を得られたのは大きいけど、車掌さんと離れ離れになってしまった)

千織(車掌さんは列車業務があるから、すぐにはここに来れないはず)

千織(…そ、そもそも、助けに来てくれるのかもわからないけど)

千織(車掌さんが来てくれることを信じて、この町でできる限りのことをしよう)

兎男「千織ちゃん」

千織「は、はいっ」

214: ◆e.A1wZTEY.:2018/2/14(水) 21:58:54 ID:UugzyVWfTQ

兎男「いきなり連れ出したりしてごめんね。でも、俺はどうしても君を助けたかったんだ」

兎男「これからは俺が、千織ちゃんのことを守るから安心してよ」

千織「え、えと、その…」

相変わらず、よくわからない誤解をしている

千織「な、何か勘違いされていませんか?私は別に、助けてもらうような状況では――」

言おうとして、はっと口をつぐむ

215: ◆e.A1wZTEY.:2018/2/14(水) 21:59:59 ID:UugzyVWfTQ

千織(…そうだ。しばらく車掌さんと離れてこの町にいる以上、味方になってくれる人が必要だ)

千織(このまま、兎男さんたちのそばにいたほうが安全かもしれない)

千織「…あ、ありがとうございます。とても頼もしいです」

兎男「そ、そうかい?へへへ」

兎兄貴「なんでい、にやけるねぇ〜」


244.81 KBytes

名前:
sage:


[1] 1- [2] [3]最10

[4]最25 [5]最50 [6]最75

[*]前20 [0]戻る [#]次20

うpろだ
スレ機能】【顔文字