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歪世界トレイン
[8] -25 -50 

1:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/4/30(日) 20:25:16 ID:4iSJ1d7xp2

乗客Yx1

戸野 千織(トノ チオリ)

目が覚めたらそこは、走る列車の中だった



129:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/23(火) 13:36:40 ID:spmolqlGjY
>>128
支援ありがとうございます、嬉しいです!!
更新遅れてすみません、がんばります\(^o^)/
130:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/23(火) 13:39:48 ID:spmolqlGjY

―――千織が歪世界にきてから、3日目の朝


「――おり。ちおり」

千織「ん…」

車掌「千織。起きなさい」

千織「んん〜おかあさーん…」

千織「だいじょうぶ、まだあと5ふんねても…まにあうから…」 グーグー

車掌「…」

131:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/23(火) 13:41:26 ID:spmolqlGjY

ブリアン「あら〜かわいい寝顔だね」 ヒョコッ

車掌「…ブリアン。機嫌は直ったのか」

ブリアン「まぁ、僕も車掌とは喧嘩したくないから。でも、この子を人間界に戻すことは反対だよ」

車掌「…」

ブリアン「今まで君は独りだったから、実感ないと思うけど。この子の髪も、顔も、手も足も、全部車掌のものなんだよ?」

ブリアン「全部、車掌の好きなようにしていいんだ」

車掌「変態くさい言い方はやめろ」

132:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/23(火) 13:43:55 ID:spmolqlGjY

車掌「いったい何を企んでいるんだ、お前は」

ブリアン「べつにぃ?僕は車掌のためを思って言ってるだけさ」

車掌「…客が乗ってくる時間だ。行くぞ」 スッ

ブリアン「起こさないの?」

車掌「疲れているのだろう。無理に起こさなくても仕事は回る」 バタン

ブリアン「…独りに慣れすぎなんだよ、車掌は」 ボソ

133:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/24(水) 00:09:35 ID:spmolqlGjY

ガタンゴトン

ガタンゴトン

千織「…」 スヤスヤ

千織「……ん」

千織「…ん…!?」

はっとして目を覚ました

起き上がると、明るい日差しが窓から注ぎ込んできた

千織「…」

千織「…い、いま何時だっ」

134:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/24(水) 00:10:46 ID:spmolqlGjY

スマホをみるが、電池が切れている

だが、既に列車が動いているところをみるに、寝坊したことに間違いないようだ

千織「どど、ど、どうしようっ…」

車掌は怒っているだろうか

急いで起き上がり、寝台車両が出ようとしたが、動きを止めた

千織「…行って、いいのかな…」

ここを出れば、一般車両である

おそらく客(人外)が多く乗車しているはず

千織(む、無理だあぁ〜〜) ヘナヘナ

135:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/24(水) 00:12:36 ID:spmolqlGjY

車掌「…」 ピク

車掌「…起きたか」

列車を運転しながら、つぶやく

ブリアン「こわ。なんでわかるの」

車掌「列車内に存在する精力の動きは全て把握している」

ブリアン「そういやそうだったね」

車掌「とりあえず、貨物と寝台の掃除でもやらせるか。ブリアン」

ブリアン「はいはい、僕が指導しに行けばいーんでしょお」 スタスタ

136:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/24(水) 23:34:08 ID:spmolqlGjY

――――――


ブリアン「――だめだね。まだホコリが残ってる」

千織「えぇ」

ブリアン「ちゃんと隅から隅まで掃くんだよ。やりなおし」

千織「は、はい…」

いそいそと貨物車両の掃除をする

ブリアンは意外と掃除には厳しいようだ

ブリアン「魚人の家があるササノコ駅まであと3時間。それまでに雑巾がけまで終わらせてね」

千織「はい」

137:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/24(水) 23:40:35 ID:spmolqlGjY

車掌「正確には3時間15分だ」

千織「車掌さん」

貨物車両に車掌が入ってきた

車掌「ササノコ駅を終点とした後は、直接魚人の家まで列車を走らせる」

千織「え…」

ブリアン「えぇえ?線路のないところ走るつもり?」

車掌「あぁ」

ブリアン「やめなよ〜。揺れが酷いし精力も消費しちゃう」

138:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/24(水) 23:43:01 ID:spmolqlGjY

車掌「何かあったとき、近くに列車があったほうがいいだろう」

千織「そ、そんなことが可能なんですか」

車掌「可能だ」

千織「そもそも、どうやって魚人の家を見つけるんですか?」

車掌「昨日魚人から回収した携帯機器から、住所はわかった」

千織「な、なるほど…」

139:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/24(水) 23:51:48 ID:spmolqlGjY

千織「あ、あの。私が頼んでおいてあれなんですけど、…私にできることありますか?」

車掌「…」

ブリアン「…」

車掌「…そうだな。おととい会った感じ、君の連れは頭を使わない猿だった。ここでまた暴れられても困るから、きちんとなだめるように」

ブリアン「ブッ」

千織「そっ、それは…!確かに沖くんは、考えるより先に行動しちゃうタイプですけど」 アセアセ

千織「でもそれは、私のことを心配してくれての行動だったので」

140:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/24(水) 23:55:01 ID:spmolqlGjY

車掌「君を守りたいならなおさら、迂闊な行動は逆効果だろう」

千織「う…」

ブリアン「車掌から見たら、人間なんてみんな迂闊な行動しかしないよ」 ケラケラ

ブリアン「千織、そんな男やめて車掌に乗り換えたら?」

千織「はっ…!?」

ブリアン「冷静沈着、頭脳明晰。しかもほら、顔も見てよ、悪くないでしょ」

141:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/24(水) 23:57:13 ID:spmolqlGjY

ヒョイ、と車掌の頭の上にのって帽子をとろうとする

車掌「ブリアン」

千織「も、もしかして誤解してます!? 私、沖くんとそういう関係じゃないです」

車掌「違うのか」

ブリアン「お互いすごい心配しあってるから、そうだと思ったよねぇ」

千織「た、ただの友達です…」 カアァ

142:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/25(木) 21:24:53 ID:spmolqlGjY

――約3時間後

列車は、終点ササノコ駅に到着した

客は皆降り、列車内は車掌とブリアンと千織のみになった

車掌「――さて、行くか」

そう言うと、列車は線路を外れ、ガタゴトと土手を走り始めた

千織「せ、線路がないのにどうやって走ってるんですか」

車掌「線路がないわけではない。一時的に線路を錬成して敷いている」

千織「す、すごいですね…」

143:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/25(木) 21:27:00 ID:spmolqlGjY

およそ10分後

列車は数軒の家が立地する場所に着いた

千織「この中にあの魚人の家が…?」

車掌「おそらく一番奥の家だ」

車掌「密集した住宅地じゃなくてよかったな。騒ぎが大きくならなくて済む」

千織「はい」

車掌「私が降りて様子をみてくる」

千織「わ、わかりました」

144:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/25(木) 21:29:01 ID:spmolqlGjY

車掌「ブリアン。お前は千織のそばにいろ」

ブリアン「はーい」

千織「…」

千織(沖くん、無事でいてね…)

車掌のオレオレ詐欺電話のおかげで、恭太は食べられるのを阻止されたはずだ

魚人の母親が約束を守っていれば、生きているはず

不安になりながら、手を握り締めた

145:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/25(木) 21:32:47 ID:spmolqlGjY

車掌「――…!」

窓から家の中を覗くと、想定外の光景が広がっていた

家の中はテーブルがひっくりかえり、皿が割れ、酷い荒れようだった

車掌「…」 ガチャ

車掌は扉をあけ、家に侵入した

人の気配はない

静まりかえった家のなかをすすむと、

車掌「…!」

魚人母の死体が転がっていた

146:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/25(木) 21:36:59 ID:spmolqlGjY

車掌「…ちっ」

車掌は家の中を歩き回り、恭太の姿を探した

しかし、どこにも見当たらない

車掌(…人間の臭いは残っているが、もうここには気配がない)

最悪の事態が頭によぎる

魚人以外の何者かに、連れ去られた可能性が高い

車掌「いったい誰が…」

この地区の一帯に住んでいるのは魚人だ

他の魚人が希少な獲物である人間を横取りした可能性はあるが――



147:🎏 ◆e.A1wZTEY.:2017/5/25(木) 21:38:44 ID:spmolqlGjY

車掌「…」

再び、死んでいる魚人母をみやった

車掌「…銃?」

魚人母の胸に撃たれた銃傷に気づく

車掌(…魚人が銃をもっているはずがない)

では、いったい誰が

車掌「…」

しばし考えると、車掌は列車へと足を戻した

148:🎏 名無しさん@読者の声:2017/5/25(木) 22:19:25 ID:gF9oOjiWTU
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