あらすじ
永遠の命。その鍵となる救い主、カロル。
欲望に目覚めた西の国。狂気は果てしなく蠢く
遂に勃発してしまった戦争
強大な西の国に立ち向かうべく王国、東国、南国は6ヶ国同盟から成る平和協定を破り、3国連合軍を結成する
南国は多大な犠牲を払い、国王ローレンの命と引き換えに西帝国軍の主力を削った
東国は張り巡らされた罠を果敢に打破するも圧倒的な力の前に粉砕される
敵地にて孤軍となった王国軍
総指揮官フィクサーの戦略采配が功を奏し、帝都本拠地の制圧を完了した
一方で吉報を待ち、国内に留まる王国の国王ヒメ
迫り来る侵略の魔の手を退ける為、東国のホビット族と手を結ぶ
彼らによって明かされた最後の真実
アピシナの大樹の成り立ち
かつて癒しの力は破滅を導いた
人もホビットも共通する願い
永遠の命が野心をくすぐる
穢れなき無垢な愛情は火種となって注がれ、混沌とした世界を象徴するように大樹を巡る争いは止まなかった
忘れ去られた無残な過去
300年もの月日を経てなお繰り返される歴史
誰も止めることは叶わない
友情を取るか、安寧を取るか
時を追う毎に取捨選択を強いられる
捨てていいものなど一つもないのに
182: ◆WEmWDvOgzo:2017/7/26(水) 22:07:11 ID:ac/TeR61HE
公爵「私達はね、あなた方のように慈善事業をしている訳ではないのですよ」
宣教師「……」
公爵「私どもは国に財を寄付し、国民の生活を潤し、円満に繁栄を遂げる」
公爵「その働きに応じた利益や地位を求めるのは当然ではございませんか?」
宣教師「…だから裏通りの居住区を取り潰してホビットの皆さんを追いやっても許されると?」
公爵「はい!」ニンマリ
宣教師「……!?」
公爵「あんな者らの居住区などあってもなくても同じでしょう。持つべき者が有効に利用する。それが最も自然です」
宣教師「彼らの生活は考えないのですか?」
公爵「興味がございませんな。元々、外界を縄張りにしていた種族ですから都合が良いのでは?」
宣教師「あなたは自分の生活を他者に奪われても同じ事が言えるのですか…?」
公爵「許せません。ですから我々に抑圧的な政をされる国王陛下に改心していただきたいと存じております」
宣教師「自分勝手な事ばかり…!」
公爵「あなたのような生まれつきの庶民は芋でもかじっていれば地べたでも生きていられるのでしょうが私達はそうはいかないんですよ」
宣教師「な、なんですか!その言い方は…!」
公爵「貴族というのはね、豪華な食事、広大な敷地、贅沢な装飾、心躍る娯楽、沢山の付き人。これがなければ生きていけないんですよ」
宣教師「呆れました…!」
183: ◆WEmWDvOgzo:2017/7/26(水) 22:08:51 ID:ac/TeR61HE
宣教師「クライリーさん、あなたからもなんとか…」
クライリー「ぷふぅ!やっぱ葡萄酒は高級品に限る!」グビッ
宣教師「……!?」
クライリー「俺も最初は信じなかったさ。だがな、半月もこうやって遊んでみろよ。抜け出せなくなるぜ?」ニィィ
宣教師「そんな……あなたは違うと……」
クライリー「あんたもせっかくいい立場にいるんだ。しゃぶりついてみろよ。この味を覚えたら世界が変わるってな!」
宣教師「……!」
公爵「そういうことです」
宣教師「何がどういうことなんですか…!」
公爵「人は誰しも優雅な暮らしを求めてやまない生き物なのですよ」
宣教師「堕落です!そんなの…一時の快楽に溺れているだけではありませんか!」
公爵「えぇ、なんとでもどうぞ」
宣教師「〜〜〜!」ムカムカ
184: ◆WEmWDvOgzo:2017/7/26(水) 22:09:51 ID:ac/TeR61HE
公爵「話は戻りますが、より良い暮らしの為にも私どもは社交場でもっと沢山の人脈……もとい友人を募りたい」
公爵「あなたのような美しく、聡明で、立派な地位を得る方と」
宣教師「あなたのような人となど、とても友人にはなれません!」
公爵「まぁまぁ。偉大なる我らが国王陛下にも共に国の上流に住まう者同士、友好を結びたいのですよ」
公爵「一部の者は貴族としての振る舞いを忘れ、国民だ国王だと建前ばかりのたまいますが…」
公爵「お互いに有益な関係を保つ為にも今一度、現状を見直してみましょうという話ですよ」
公爵「そこで司祭殿にも是非ご協力を賜りたいと」
宣教師「拒否します!」
公爵「……」ピキッ
宣教師「あなた方だけに都合のいい話を聞き入れる道理はありません!民に不平等を押し付けようと言うなら私は断固として戦います!」
公爵「ほぉ…?」イライラ
185: ◆WEmWDvOgzo:2017/7/26(水) 22:17:20 ID:asMbRZfNT2
公爵「少々おだててやれば、ずいぶんな物言いをされますな?」
宣教師「思い通りにならないからといって難癖を付けないでもらえますか?」
公爵「難癖ぇ…?」ビキビキ
宣教師「自制心の欠片もないんですね。あのような発言の後で堂々としていられる訳です」
クライリー「口が過ぎるぜ。司祭さんよ」
宣教師「喋りかけないでください。あなたの声など聴きたくありません」
クライリー「はんっ……」
宣教師「もはや話す事はないでしょう。失礼させていただきます!」スタスタ
公爵「後悔されますよ…」ジロッ
宣教師「しません!さようなら!」ガチャッ
バタンッ!
公爵「…ふぅ。若い方というのは気が短くていけませんな」
クライリー「始末しますか…?」
公爵「いいえ、品のないやり方は好ましくありません」
クライリー「どうされるので?」
公爵「そうですねぇ…。まずは国王陛下のお耳に入れてみましょうか」
クライリー「……?」
公爵「昨夜、司祭殿が私どもの主催する夜会に参加なされた、とでも」ニィィ
186: 名無しさん@読者の声:2017/10/2(月) 08:56:41 ID:TikUHgvq6k
支援、続きまったり待ってます
187: 名無しさん@読者の声:2018/7/1(日) 16:33:07 ID:EAeQA2YNyQ
つC
公爵たちの策略で宣教師ちゃんが今後とうなるのか…きになるなぁ
更新ずっと待ってます
188: 名無しさん@読者の声:2018/7/9(月) 12:13:10 ID:R9nJtCfaWI
もうすぐ一年かぁ…カロルたち〜!カムバーック!
189: 名無しさん@読者の声:2018/10/16(火) 18:22:52 ID:d1XuLDK5rw
支援!
190: 名無しさん@読者の声:2019/3/19(火) 16:07:14 ID:VDzu4f7wLA
待ってます!
つCCCCC
191: ◆WEmWDvOgzo:2019/11/26(火) 23:42:00 ID:Ulgjh/Ikt2
また書きたいけど、もうほとんど覚えてないし待たせすぎて、きっと覚えてる人もいない
申し訳なさすぎる
明らかにこのスレがダメすぎた
やるなら、また書き直さなきゃダメだorz
192: 名無しさん@読者の声:2019/11/27(水) 02:01:34 ID:TBSVoFNPAY
作者さんおかえりなさい!待ってました
大好きな作品だから、何度も読み返してるのでもちろん覚えてますよ
作者さんのペースで大丈夫ですので、またカロルくんの活躍を見させていただきたいです
193: ◆WEmWDvOgzo:2019/11/27(水) 22:41:25 ID:Ulgjh/Ikt2
お待たせしてしまい、本当に申し訳ありませんでした
お優しい言葉にかなりウルッときてます……
何年も放置してしまっていたのに未だに待っていただけていたなんて、とても感激です
お言葉に甘えて、また1から読み返して話やキャラを思い出しながら書きたいと思います
せめて待たせてしまった分、面白いものを書けるよう頑張ります!
194: 名無しさん@読者の声:2020/1/12(日) 13:25:23 ID:pjsmLUApJo
作者さん来てたのか!
ひたすら待ってます!
195: 名無しさん@読者の声:2020/3/16(月) 06:28:12 ID:yQBBVeWzHc
おかえりー
来ないより来たほうがいいなんてあったり前じゃない !?
カロルが決断に時間がかかるなんてわかってるからいちいち言わないっ!
さ。
書いてくれる?(ふんすっ)
196: 遅くなりすぎてすみませんorz ◆WEmWDvOgzo:2020/3/19(木) 22:38:27 ID:9xIGFRrFjE
〜〜〜朝〜〜〜
━━━教会━━━
ワイワイガヤガヤ
ダンッダンッ ダンッダンッ
神父「なんなんだ、この騒ぎは!?」
シスター「それが朝から教会の前に大勢詰めかけていて……」
ダァンッ!
シスター「ひっ!」ビクッ
「おい!この記事はどういうことだぁ!?」
「司祭が夜な夜な城に入り浸って豪遊してると聞いたぞぉ!?」
「しかも王都北の領主、クライリーと別室に消えたとか!」
「貴族を誘惑してカーテンの奥で密かに……なんて汚らわしい!」
「あなたを信じた私達を騙して裏では貴族との遊行に耽っていたんですか!まったくおぞましいお方だ!!」
「司祭を出せ!言い訳の一つもしてみたらどうだ!?」
ギャーギャー ギャーギャー!
神父「ラチがあかないな…。司祭様は?」
シスター「さぁ……まだ帰られていないみたいで」オロオロ
神父「まさか……い、いや!そんな筈はない!あのお方は清廉潔白だ!」
シスター「どうしましょう……?」オロオロ
神父「司祭様の帰りを待つしかないだろう…。きっと納得のいく説明をしてくださる」
シスター「そう……ですよね」
197: ◆WEmWDvOgzo:2020/3/19(木) 22:43:14 ID:9xIGFRrFjE
━━━裏通り(ホビット居住区)━━━
ザワザワ ザワザワ
裏通りのホビット1「ねえ、聞いた!?」
裏通りのホビット2「聞いたも何も……そこかしこ、その話で持ちきりだよ!」
裏通りのホビット3「こないだ城に抗議しに行ってくれたばかりなのに!」
裏通りのホビット4「し、信じないぞ!絶対に嘘だ!」
裏通りのホビット5「司祭様が僕らを騙す筈ないよ!」
新聞屋「号外!号外だよー!なんとホビットの居住区を裏で取り引きしていたのは司祭様だった!!」バサバサッ
商人1「早朝から、あの調子だ!新聞屋め!儲けようとしてやがんな!」
商人2「そりゃ儲かるだろうさ。誰だって買いたがるネタだ。チキショーめ」
商人3「国王様に並んで圧倒的支持を誇る教団の司祭が夜会に繰り出し、乱痴気騒ぎときたもんだ!こんな派手な噂はねぇ!」
商人4「これが事実だった日にゃ大ごとだぞぉ!今のうちに乗っかる算段を立てておかねぇとなぁ!」
商人5「おうよ!この裏通りが貴族御用達の歓楽街になるってんなら商売人にしてみりゃうってつけの狙い目だぁ!」
ギャハハハハハハハハハ!
裏通りのホビット’s「……!」ググッ
198: ◆WEmWDvOgzo:2020/3/19(木) 22:45:30 ID:9xIGFRrFjE
━━━王都北領地、領主邸━━━
ワァーワァーギャーギャー!
記者1「どういう事なのか説明してください!昨夜、城で何があったんですか!?」
記者2「司祭様と一夜を明かしたのは本当なんですか!?」
記者3「国民の税金で夜会が開かれているというのは事実なんですか!?」
憲兵1「下がれ!下がれ!」
憲兵2「通行の妨げになる!全員解散しろ!」
記者4「なら邸内に入らせてください!領主様に直接、取材したいんだ!」
憲兵3「ダメだ!領主との接触は一切禁止する!」
記者5「あ!今のは報道の自由を否定した発言として、しっかり記録させてもらいますよ!」カキカキ
憲兵3「なっ!よ、よせ!」アセアセ
憲兵4「いいから解散しろ!これ以上騒ぎを起こすなら署に連行するぞ!」
記者1「ちっ!この事は真っ先に記事にするからな!」
記者2「出直そう!また改めて発表がある!」
記者3「そう言って抜け駆けする気だろ!記事は鮮度が命だからな!」
記者4「絶対にウチが一番に書くぞ!他の新聞屋に遅れるなよ!」
憲兵1「帰れと言うのが分からないか!」
憲兵2「たく!これだから記者ってのは……」ブツクサ
199: ◆WEmWDvOgzo:2020/3/19(木) 22:50:11 ID:9xIGFRrFjE
━━━王都北領地(領主邸内)━━━
クライリー「なにもこんな厳重警備を敷いてくださらんでもなぁ」
団長「窮屈やもしれぬがご容赦願おう。我々とて予想し得ぬ事態に急遽、駆り出された次第だ」
クライリー「はは!そりゃご苦労なことだ。茶でも入れさせようか?」
団長「お気遣い痛み入る。が、結構だ。警護に集中したい」
クライリー「遠慮はいらないさ。それとも酒がお好みかな?」
団長「もってのほかだ」
クライリー「お堅いなぁ。司祭様は景気よく飲んでたものだが」
団長「」ピクッ
クライリー「そりゃもうたらふくと浴びるように酒を煽って……はは!いやぁいい飲みっぷりだったよ!」
団長「……」
クライリー「おっと!憲兵さんの前じゃまずかったか?」ニィィ
団長「くれぐれも迂闊な発言はなさらぬことだ」
クライリー「?」
団長「新聞屋がよからぬ記事を書き、面白おかしく囃し立てておる。彼らは想像力が豊かだ」
クライリー「別に構わんよ。なんなら取材に応じたっていい」
団長「出回った内容次第では己の首を絞める結果になりかねませぬぞ」
クライリー「ご冗談?書かれて困るのはおたくらだろ?」
団長「なに……?」
200: ◆WEmWDvOgzo:2020/3/19(木) 22:57:44 ID:9xIGFRrFjE
クライリー「身辺警護と謳っちゃいるが実際は情報規制だろ?
関係者を監視しといて余計な事は喋らせねぇ魂胆だ?」
団長「……」
クライリー「図星か。怖いなぁ、政治ってやつは?同じ国に仕える仲間でさえ圧力に掛けやがる」
団長「貴公がどう思おうと構わん。我々は任務をまっとうするまでだ」
クライリー「あきれるな。誤魔化す気もないか」
団長「誤魔化すとは?」ジロッ
クライリー「ジョークだよ。そう怖い顔なさんな?」
団長「……先に話したが我々の許しなく外出する事は許さん。外部との接触もだ。よろしいな?」
クライリー「領主の務めはどうするんだ?」
団長「室内で可能な公務をこなしてもらう。無論、我々も協力は惜しまん」
クライリー「ははぁ?そりゃいい?資料を検閲して外と通じ合うのを避けるお手伝いかい?」
団長「混乱を防ぐ為の一時的措置だ」
クライリー「あぁ、そう。そりゃありがたいな。鬱陶しくて助かりますよ」
団長「引き続き、部下を警護に当たらせる。後は任せたぞ」スタスタ
憲兵5「ハハッ!」ビシッ
クライリー「おいおい、領主の警護から指揮のあんたが離れるのか?」
団長「鬱陶しさがマシになっていいだろう?」ガチャッ
バタンッ
クライリー「(ふん……苦し紛れもいいとこだな。だが、もう遅いさ。公爵は徹底的なお方だ)」ニヤリ
201: ◆WEmWDvOgzo:2020/3/19(木) 23:05:18 ID:9xIGFRrFjE
━━王都議事堂━━━
高官1「この記事は本当なのか……!?」ワナワナ
高官2「どうやら事実らしい。付き合いで招かれた、こちら側の役人も昨夜、この目で見たと……!」
高官3「朝から城内は目撃者の証言で持ちきりだ!むしろ貴族連中が積極的に吹いて回り、そこら中の記者が飛びついてるぞ!」アセアセ
高官4「なぜ司祭殿はあのような夜会に出席したのだ!?」
高官5「分からん!しかし本人が希望したのは間違いないそうだ……!」
高官1「っ……この記事はどこまでが真実だ!?」クシャッ
高官7「さてな……。真偽の見分けもつかん程、証言が一致しているのは確かだ」
高官2「陛下は聞き及んでいるのか?」
高官4「相変わらず自室にこもり、粛々と公務をこなしておられるよ」
高官6「表舞台に姿を見せず幾月か……いったい、いつまでそうしている気なんだ……」
高官7「そんなものっ……我々は知る由もないわ!」ギリッ
高官8「……この場で騒ぎ立てても仕方ない。事実に関わらず収拾を図ろう」
高官1「だがっ……!」
高官8「後になってデマでした、では済まされんだろう」
高官1「事実であれば隠蔽と見なされるぞ!陛下の意に反する!」
高官6「許容の範囲内ではないか?」
高官2「当の陛下も議会を空けたままだしな」
高官1「そ、それはそうだが……」
高官5「司祭はどうしている!?当人から連絡はないのか!?」
高官4「報告は届いてないな。捜させてはいるが……」
高官1「と、とにかく司祭から話を聞いて事実確認をしたらどうだ!?」
高官3「しかし見つからんことにはなぁ……」
高官8「現状、出来ることから優先するべきではないか?」
ワァーワァーギャーギャー!
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