・ルール
参加希望者は1〜5レスを目処にSSを自由に作成して下さい。お題が欲しい場合は各自で希望して下さい。お題の提案や作品の感想は随時受け付けとします。覆面先生(SS作者)からのアドバイスも絶賛受け付け中とします。
271: ヘタッピ:2014/3/26(水) 00:50:06 ID:EbJA63Jz6E
>>268-269さんご利用ありがとうございます。
カタリ「フム……………」
ヘタッピ「先輩?」
カタリ「いえ、中々の問題作ですね。」
ヘタッピ「はぁ……。それは良い意味ですか。それとも悪い意味でしょうか」
カタリ「そうですね。どちらとも判断つかない所が問題作と言えるでしょうか」
ヘタッピ「はぁ」
カタリ「私とは誰なのか。世界が滅んだ理由は何故なのか。滅びの無い世界とは何なのか。」
カタリ「この疑問の答えとなるようなヒントは文中には明示されていません」
ヘタッピ「ですね」
カタリ「また、主観と客観が入り混じることで、読み手としても戸惑いを感じると思います」
ヘタッピ「では、正直、駄目ということですか」
カタリ「いえ……、いや、そうでもなく、その先にある何かを感じさせる点に惹かれます。例えるなら予言の書のように。言葉遊びの先にある何かが見つかりそうで、見つからない。そんなもどかしさと期待を感じます」
ヘタッピ「はぁ」
カタリ「あるいは私とは神として世界を外から眺め、また人の子として世界に降りたったあの方を指すのかもしれません」
ヘタッピ「あの方ですか」
カタリ「キで始まり、トで終わります」
ヘタッピ「その縛りでボケるのは難しいと思います」
カタリ「……」ニッコリ
ヘタッピ「毎回、駄文による茶々ですみませんが。宜しければまたのご利用をお願いします」
272: ミズキ:2014/3/26(水) 01:13:53 ID:XElXxTvYxQ
なるほどです!感想ありがとうございました!
273: あらざらむ:2014/3/26(水) 19:39:19 ID:T5oBtfpACg
「此処は……」
目を覚ますと何やら霧がかかったような場所に寝ていた。見覚えのない所に頭を捻ると僅かに左半身が痛む。
自分は一体何者なのか、それすら分からない。
仕方なく辺りを散策すると鏡と見紛うばかりの凪いだ透明な湖が現れた。何か見えるかと期待して覗き込むと湖面が輝き出す。
「、眩しっ……」
輝きが収まればそこには懐かしいと感じられる顔が。これは、この人は──
「この湖は人の死の直前の映像を映す」
「え……」
いつの間にか背後に黒い装束を着た人のようなものが立っていた。言うなれば死に神、だろうか。
目深に被ったフードから表情を窺う事は出来ない。それは淡々と言葉を続ける。
「死んだ直後は一時的に記憶を喪失する場合が多い。お前もそうだ」
「だから、か」
漸く思い出した。ずっと一緒にいると約束した事を。約束を破ってしまった事も。僕は……
「後一回だけ、逢えたらなぁ……」
「それは叶わない」
そう言って死に神は少し寂しそうに笑った。
-この世のほかの思ひ出に いまひとたびのあふこともがな
274: ヘタッピ:2014/3/27(木) 00:29:30 ID:ej3cSH2CPo
>>273さん、ご利用ありがとうございます。
カタリ「最後に死神が笑いましたが、どういう意味の笑いだったのでしょうね」
ヘタッピ「同情……でしょうか。それとも元気を出してという励ましの笑顔とかでしょうか」
カタリ「そうですね……。いえ、問いに深い意味はありません。ただ余韻にひたりたかっただけですから」
ヘタッピ「はぁ」
カタリ「完成度は高いですね。特にこれを足したり、引いたりの必要を感じませんでした」
ヘタッピ「左半身の痛みとか、主人公の死因とかの説明がありませんが」
カタリ「その説明を足すのは冗長かもしれません。考える余地がある点に惹かれます」
ヘタッピ「はぁ。難しいですね。」
カタリ「まぁ、個人的な感想です」
カタリ「痛みがあったのは、左半身を下にして長く意識を失っていたという、時間の流れを表す表現かもしれません。」
カタリ「死因については、死の直前に思い人の顔があることから、突発的な死というより、病室で手を取られながら主人公は死んだとするのが普通でしょう」
ヘタッピ「はぁ、つまり」
カタリ「敢えて語ることでもないと」
カタリ「ただの勝手な裏読みです。的外れでしたら、申し訳ないです」
ヘタッピ「では、宜しければ、またのご利用をお願いします」
275: あらざらむ:2014/3/27(木) 00:57:37 ID:8uKbgHD6iE
>>274
感想ありがとうございます!
ちょっと蛇足になりますが初期構想をば
死因について:元々は事故死で考えてました。がヘタッピさんの感想を見て病死の方が自然かなぁ、と
死に神さん:ヘタッピさんの言う通り気休め程度の慰めの為に笑いました
本当は「あらざらむ」の歌を使って文章が書きたかったのですが、いまいち歌を使った意味がなくて個人的には精進せねばなという感じです。
結論として自身の考えが一貫していない故に推敲しても結局綻びが出てしまいますね。
ですが完成度が高いと言って頂けたのはとても嬉しいです!
276: ミズキ:2014/3/29(土) 02:26:04 ID:XElXxTvYxQ
『華無視鳥と木見鳥』
華無視鳥はいつも花を見ようとしない
木見鳥はいつも木を見ている
華無視鳥は木見鳥に向かってこう言った
「いつも木ばっかりみて楽しいの?」と
木見鳥は顔を赤くしながら答えた
「楽しいに決まってるよ////」と
華無視鳥は木見鳥に向かって
「じゃあ君はどんな木が好きなんだい?」と聞いた
木見鳥は「えっと……」と少し考え、ちらちら華無視鳥のことを見ながら
「優しくて……元気な木……かな////」
と顔を赤くしながら答えた。すると華無視鳥は
「ふーん、君は変わってるね。でもおもしろい人だ」
と言い去っていった
華無視鳥は華である木見鳥を無視し続ける
木見鳥は木である華無視鳥を見続ける
この一方通行の恋が実ることは……
たぶん永久的にずっと来ることは無いだろう
実るとしたら……
この世界も少し変わるのかもしれない
277: ミズキ:2014/3/29(土) 02:28:28 ID:XElXxTvYxQ
二度目の投稿です。
このジャンルも書くの楽しいですね
278: ヘタッピ:2014/3/29(土) 10:11:09 ID:1DI4YiQn0c
>>276さん、またのご利用ありがとうございます。
カタリ「絵が欲しいところです。」
ヘタッピ「はぁ」
カタリ「声は聞こえるのに、その場面が見えて来ない。つまりはイメージが今一つ掴めません」
ヘタッピ「そうですか?」
カタリ「ヘタッピ君は掴めているようですね」
ヘタッピ「こんな感じでしょうか」カキカキ
カタリ「なるほど。鳩がセーラー服を着ていますね。頭の上にはタンポポが咲いてます」
カタリ「こちらは華無視鳥君ですか。顔は鷹で、体が丸太で出来ている。こちらも学生服を着てますね」
ヘタッピ「どうでしょう」
カタリ「なるほど。花であり鳥でもある。鳥であり、木でもある。そして二人は人間のように儚い恋の中にある」
ヘタッピ「木見鳥さんの発言は照れ隠しでしょうか」
カタリ「冷たく、余り活動的な描写の無い、鷹丸太君の逆を理想として挙げてますね」
ヘタッピ「鷹丸太君……。そうなると花鳩さんですかね」
カタリ「乗っからなくても良いですよ」コホッ
カタリ「一つの完成された世界を敢えて崩し、読者を混乱させる」
ヘタッピ「なかなかのワルですね」
カタリ「それは言い過ぎです。……面白い手法ですが、そうでないのも読んでみたいと思います」
ヘタッピ「毎々、ふざけた茶々ですみませんが、宜しければ、またのご利用をお願いします」
279: ミズキ:2014/3/29(土) 10:19:10 ID:XElXxTvYxQ
ほぉ〜やっぱりそう捕らえますか……そう捕らえますよね……
私のイメージだと鳥や花、木は人のことですね……
伝わりずれぇよ!!ってところですかねまた練り直しますね
私世界を壊すの好きみたいですな
感想ありがとうございました。
280: ニー廃:2014/4/2(水) 02:09:24 ID:dES5g.QXJ2
「あと10分で本番だ。みんな楽しんでいこう!!」
部長の声が響き、各々反応をする。「おー!!」と叫んだり、微笑んでいたり、そもそも話を聞いていなかったり、あらためて個性豊かなメンバーが揃っているものだと実感しながら、私はひとりため息をついた。
私は未だに信じることができずにいる。今日が最後、このメンバーで演劇ができる最後の日であることを。
「あと10分か…。」
自然と呟いていた。あと10分で幕が上がり本番が始まる。本番の50分間。そこに私たちのすべてがつまっている。たった50分に私たちが演劇に費やしてきた3年間がつまっている。
いろいろなことがあった。部活を、演劇を大嫌いになることもあった。 辞めてやると言い放ってしまったこともあった。それでも私はここにいる。今、本番を待ちみんなとここにいる。
281: ニー廃:2014/4/2(水) 02:36:29 ID:dES5g.QXJ2
「始まってほしくない。」そう思ってしまう自分がいる。 終わってほしくない。この公演が終わったら、みんなと関わらなくなるわけじゃない。終わったからといって、今まで自分たちが積み上げてきたものが変わるわけじゃない。そうだ、何も変わらない。 変わるわけじゃない、ただ区切りとして部活の終わりがくる。それだけなのに…。
「よし、本番5分前だ!円陣組むぞ!!」
また部長の声が響く。その声で私は自分の世界から引き戻された。みんなが部長の元へ集まり、肩を組む。 私も遅れてその輪に加わる。 全員揃ったことを確認し終えた部長が口を開いた。
「みんなわかっていると思うが、今日が最後だ。だが!!俺たちは終わらない。ずっと仲間だ。最後なんてありゃしねぇ。区切りとして、この最後がある。そこんところ勘違いするなよ?今日はとことん楽しんでいこう!!!! いいな? いくぞ? 楽しむぞー!!!!」
いつもと変わらない部長の厨二臭い言葉選びに自然と笑みがこぼれる。それはみんなも同じらしく、それぞれ笑いながら「おー!!!!」と返していた。
さっきまで考え込んでいたことが嘘のように、私の気持ちは前を向いていた。自分が考えていたことと、部長が考えていたことは同じだった。これはただの区切り。私たちに終わりなどない。
「幕お願いしまーす!!」
幕が上がり、舞台が徐々に明るくなっていく。みんなが動き出す。私も一歩を踏み出した。
完
282: ヘタッピ:2014/4/5(土) 10:02:45 ID:tFYmZDgGIE
>>280-281さん、ご利用ありがとうございます。
ヘタッピ「最後の劇が始まる前という、特別な日の1コマです」
カタリ「場面の選択が良いですね。終わりの始まり、終わりからの始まりと、対となる感じが面白いと思います」
ヘタッピ「劇の演目は何だったんでしょうね」
カタリ「そうですね。出会いと別れ、そして旅立ちの物語であれば、主人公の感情が高まったりして、面白いかもしれません。」
ヘタッピ「それは主人公の暴走が見たいということですか」
カタリ「そうですね。シナリオに無いところで泣いてしまったり、それをみんながアドリブでフォローしてくれたり……」
カタリ「アドリブで告白するも断られる。泣き真似をして冗談だと思わせるも、場面が暗転すると目から涙がこぼれる……」
カタリ「と、語り過ぎました。本題に戻りましょう」
ヘタッピ「話の展開は文句なしですよね」
カタリ「そうですね。ただ、主人公の思いと部長の思いが最初から同じではなく、違うと思わせて実は……、の方がしっくり来るかもしれません」
ヘタッピ「はぁ」
カタリ「例によって、個人的な感想です」
ヘタッピ「では、宜しければ、またのご利用をお願い致します」
283: ニー廃:2014/4/6(日) 01:44:14 ID:dB4v3Vv3NM
>>282
感想ありがとうございます!!
自分自身が演劇部員なので先輩方との最後の公演のときの気持ちを書いてみました。
劇の演目は盲点でした…。演目と主人公を繋げると感情の高まりが詳しく書けそうだとわかりました!
部長と主人公の考えを違うと思わせておいて、劇が終わってから同じだったとわかるようにしたらしっくりくる感じがします。
初めて気づいた点が多々ありました。 ありがとうございました!! また利用させていただきます!!
284: 追い詰められると妙なことしだしますよね、それです:2014/4/15(火) 01:37:52 ID:g1I2vdY1So
四丁目の廃ビルの傍は、悪魔だとか天使だとかが集まるスピリチュアルな場所だ。
そんな噂が街でそれとなく囁かれているけれど、大体誰もアホな話だと思って取り合いやしない。だけれど僕は、それがあながちウソじゃないことを知っている。
夕暮れだった。
桜の木が、夕日を背に枝を風に任せて揺らしている。その花びらが僕の足元まで転がり込んできて、滴った絵の具に浸かる。薄桃の花びらがいつしか真っ青に。
花が台無しになったことにすら気付かず、僕は黙々と廃ビルの壁に絵を描く。
天使を描くのは、最早義務の一環だった。僕の仕事は別にあって、平たく言えば営業とかもっと簡単に言えば押し売りみたいなものだったけれど、これはまた別の義務。言ってしまえば、生きて行くうえで必要な作業に近い。
誰が絵を描けなどと言い始めたのかは知らないけれど、大よその僕らは絵の才能には恵まれていたし問題はなかった。誰だって心臓が一体いつから鼓動を刻むよう作られたのかなんて、想像もしないだろう。
それと同じだ。この世界にある時々べらぼうに上手いグラフィティアートは、ひょっとすると僕らの中の誰かの仕業かも知れない。
僕は天使しか描かない。だって僕は天使が好きだ。僕らと違って中途半端でなく、美しい羽に完璧な存在。憧れずにはいられなかった。
不意に、背後からマッチを擦ったような音が聞こえる。火の爆ぜる音だ。僕には振り向かなくても何が起こるかなど、容易に想像できた。
まず、アスファルトの上に花びらが舞い降りる。真紅のバラの花弁だ。それが地面についた瞬間燃え上がり、一瞬で灰になる。
その上に降り立った男はこの世では祝福されない存在、悪魔だ。
「よう、相変わらず仕事サボってんじゃねぇか」
「さすがに僕らの上司も、心肺停止しそうなのに仕事しろとは言わないよ」
「心臓も肺ももう動いてねぇじゃん」
それは物の例えであって、事実じゃない。ムッとした僕は無視を決め込むことにした。しかし残念なことにこのパターンを熟知している悪魔は、僕を逃がさない。営業は大変だねぇ、と他人事のようにせせら笑ってきた。まぁ、彼にとっては他人事で間違いはない。
「うるさいな」
「ノルマ達成しないとどうなんの? 怒られたりすんのか?」
「叱られたりはしないよ。でも、半年ノルマ達成してないと悪魔に落第」
忌々しそうに僕が答えると、悪魔はややショックを受けたようだった。
「落第って言い方はねぇじゃんか」
と、現落第生が不服そうに呟く。天使に憧れる僕からすれば、悪魔は立派な落第生だ。訂正する気など、さっぱりない。
鼻を鳴らして笑ってやった僕を見て、悪魔は可愛くないと文句を漏らす。悪魔に可愛がられたとしても、有難迷惑である。
285: すいませんもうにレス分だけいただきます:2014/4/15(火) 01:39:07 ID:g1I2vdY1So
「逆にノルマ達成すると何が起こるんだよ」
「天使に昇格。ただし、四年連続しなきゃダメ。四年って酷いと思わない? 365日かける4だよ? 途方もない日数だよ、本当に」
絶対無理だと僕は弱音を吐いた。でも、僕らが天使になる方法はこれしかない。深々とため息を吐く僕を見て、悪魔は肩をすくめてみせる。
「四年も一秒も一瞬だったり、永遠だったりする俺からすればわかんねぇ悩みだな」
まぁ、それはごもっとも。僕は頷きもせずに話題を切り上げて、用は何かと尋ねた。永遠に叶いそうにない望みの話など、いつまでもしていたくない。
変わらず絵を描き続ける僕の隣に腰を下ろし、悪魔は近況を尋ねる。街には慣れたかと言う彼の問いに、思わず笑いそうになった。
もうこの街には六年近くいる。慣れたもなにも、生まれ育った街だと言ってしまえそうなくらいだ。時間の感覚が違う所為か、時々悪魔は間が抜けたことを問うた。
「人間の世界はテーマパークだって、ばるざさーるが言ってたぜ」
バルザサールじゃない、バルサザールだ。この悪魔は同僚の名前すら、真面に覚えるつもりがないらしい。
僕は呆れたため息を吐いて間違いを指摘してから、その言葉に皮肉っぽく笑って返す。
「遊園地も三日いればただの公園だ。残念だけどすぐに飽きる。仕事には慣れないけど」
「そりゃあな、死の押し売りなんてなかなかないぜ?」
「すいません、死にませんか? ってね。僕だってこんなことをする日が来るなんて思ってもなかったよ」
「ナイスなお薬を常用していた所為で、そんなこと考える暇もなかった、の間違いだろ」
痛いところを突かれた。僕は舌打ちを打って悪魔の言葉を誤魔化す。そりゃそうかもしれないけれど、こんな未来の一片だって想像したことはなかったんだ。
まさか自分が、見知らぬ他人に死を言い渡すはめになるなんて。
「仕事、で思い出した。お前ちょっと年齢層に偏りがありすぎって、苦情来てるぞ。この、変態め」
「ちょっとくらい楽しみをくれたっていいじゃないか」
「だけど、小さな子どもばっかり標的にしやがって。お前のせいじゃないのか、この国の少子高齢化は」
そりゃ少し責任を押し付けすぎだ。この街の比率が狂っていると言われるのならまだしも、国全体ってことはない。
僕は悪魔に少子高齢化のメカニズムを説明し、別段そこに子供の死亡率は関わっていないことを説明した。問題は長寿と出生率の低下なのだ。
「お前がじいさんばあさんにもちゃんとやればいいんじゃねぇの?」
思わぬ指摘に、うっ、と僕は言葉に詰まる。間抜けには分かるまいと油断していたが、たまにこう鋭いところがある嫌な男だ。大体いつも間抜けだったら、扱いやすいことこの上ないのに。
286: そして終わり、と。ありがとうございました。:2014/4/15(火) 01:41:31 ID:g1I2vdY1So
ともかく、と僕は喉の調子を整え、改まって悪魔に告げた。
「国の問題と僕の仕事ぶりは関係ないよ。それに、ノルマ達成のために今は手当たり次第やらなきゃまずいしさ」
「ノルマ達成しないと天使にゃなれねぇからなぁ」
悪魔はしみじみと、できあがった僕の絵を見上げて呟いた。
跪き、祈りをささげる天使の絵だ。美しい金色の巻き髪と澄んだ青い瞳。彼または彼女の顔が、天使が俯くその視線の先の泉に映っている。
僕も悪魔と並んで絵を眺め、ふと思いついたことを口にする。
「なんで、僕らは絵を描き続けなければ消滅するんだろう」
「芸術は常に悪魔的だからな」
皮肉な話だ。僕は口の先だけで笑って、道具を全てバケツの中に放り込んだ。右腕に下げ、仕事のために混みあい始めた街にと繰り出す。悪魔もまた彼の仕事を始めるようだ。
彼の仕事は気まぐれで、ごく無職に近いものがある。それでも楽しいんだと悪魔は無邪気に笑い、僕は呆れて首を振る。人に悪事を働くよう囁くことが楽しいなんて、本当に彼は根っからの悪魔だ。
風を受けて春を知った。悪魔は季節を知らず、僕の言葉を理解してくれはしなかった。
街の中をさまよい歩きながら、ちょうどこんな日だったと自分が死んだ日を思い出す。
依存していた薬物によって幻覚を見ていて、僕は自分のマンションのベランダから空に飛びだした。光の方へ、走ったつもりだった。
その結果、16階から転落した僕は即死。違法な薬物に手を染め、碌に善行も積んでいなかった僕に神は冷たかったが、僕の作品だけは愛してくれた。おかげで隣を歩く間抜けな悪魔が僕に死を言い渡いし、今の職を得た。
ひょっとすると、生まれたときから僕は死神だったのかもしれない。だって僕は、生きていた間だって絵を描かずにはいられなかったのだから。
「人を殺して天使になるって気分は、どんなだろうね」
「お前が殺してるわけじゃねぇよ。お前は選んでるだけだ」
「違いが今ひとつわかりません」
悪魔は僕をちらっと見やって、ちょっとばかし顔を顰めた。人間より人間じみた表情をする男だ。僕はついつい笑って、息を吐く。
光の方へ走って、辿り着いた世界はほとんど変わりない。ただ、僕は生きておらず、僕を見る人などこの世にはほんの一握りもいない。
「それよかさ、ロリコンが天使になるって倫理的にどうなんだよ。おかしいだろ」
何故か悪魔は憮然として言い放った。悪魔にそんなことを説かれるとは、全く何がなんやら。
そしてふとその矛盾に気が付き、僕は思わず吹き出した。なんだよ、と笑う僕を悪魔は眉を顰めて睨みつける。僕は友人の肩に手を置いて、笑いすぎて滲んだ涙を拭い、こう言ってやった。
「悪魔が倫理を説くなよな」
287: ヘタッピ:2014/4/16(水) 23:01:34 ID:8.iCc7g5ps
>>284-286さん、ご利用ありがとうございます。
ヘタッピ「夕方に悪魔と出逢う。まさに『逢魔が時』ですね」
カタリ「そうですね……。桜が散る夕闇の中、天使の絵を書く元薬物中毒の死人。薔薇を触媒として現れる悪魔。廃ビルに描かれた金色の髪をした青い瞳の天使。天使になることを夢見る死人と悪魔の戯れのような与太話。」
カタリ「話のキーワードを抜き出してみると、薔薇、廃ビル、薬物中毒となかなか異質な感じの設定ですね」
ヘタッピ「まさに悪魔的ですね」
カタリ「そうですね……」ニッコリ
ヘタッピ「すみません」
カタリ「夕方のシーンを選ばれたのでしたら、時間の経過で景色が変化する描写が欲しいところでしたね」
ヘタッピ「例えばどんな感じでしょうか」
カタリ「明かりの無い夜に青い瞳の天使を見たらどう見えるでしょうね」
ヘタッピ「夜だと黒に見えるかもですね」
カタリ「夕陽の中では純真無垢に笑っていた青い瞳の天使が、夜空の下では暗い瞳で影のある笑みを浮かべる。」
ヘタッピ「はぁ……、なんだか主人公の境遇と重なる感じがしますね」
カタリ「といった描写があっても良かったかと思います。あくまでも個人的にですが」
ヘタッピ「では、またのご利用を……」
カタリ「閉めるには早いですよ。ヘタッピ君」
ヘタッピ「他に何か…」
カタリ「この物語には騙し絵の要素があるように思います」
ヘタッピ「と、言いますと」
カタリ「祈りを捧げるときは普通、目を閉じます。ですが、青い目を描いたとあることから天使は目を開けて居たことになります」
ヘタッピ「はぁ」
カタリ「後はそうですね。羅列しますが、悪魔が天使に成るためのシステムを知らないのが変ですね。この世界は落第すると悪魔になるとのことですので。現在、悪魔である悪魔が知らないのは不自然に思います。ロリコンの件も変ですね。子供が好きでしたら、死を与えるより、愛でることを選ぶでしょう。バルサザールが悪魔の友人というのも疑問ですね。バルサザールといえばキリストの生誕を祝った3賢者の一人と言われています。悪魔の友人とはちょっと違いますね」
ヘタッピ「はぁ……、ではこの辺りで」
カタリ「何といっても不自然なのは、天使に成るために死神の真似事が必要というルールでしょう。こうして全てが疑わしいと考えますと、ルールも疑うべきかもしれません。四年のノルマを達成したとして成れるのは天使でなく、悪魔という未来なのかもしれません。哀れですね。いや、むしろ……薬物中毒……幻覚……あるいは」
ヘタッピ「今日はここまでということで。では、またのご利用をお願い致します」
288: 284-286:2014/4/20(日) 09:57:59 ID:g1I2vdY1So
>>287
わざわざ丁寧にありがとうございます!ここまで自分じゃ全く考えてなかったww時間の経過というのは、考えてなかったので勉強になります。ありがとうございました!
289: ◆pYm.eDkX8Q:2014/5/2(金) 18:16:46 ID:SNYFmpReb2
桃色並木は時間を経て濃緑の葉から陰を射し、皆々に太陽の光をと切磋琢磨する下で人々は初夏の涼をとった。揺れる風鈴の音が風と共に身体中に抜ける。
「はじ坊か。」
あぜ道へ出ると、聞き慣れた声が僕の足を止めた。
「おばば、・・・びっくりした。元気そうだね。」
「ひっひっひ、やっぱり大きくなってもはじ坊だがなぁ。ひい孫の顔もみたけそろそろ逝っても良いと思うんだけどなぁ。」
記憶と違わぬその笑みに感じた懐かしさが、帰郷した事実を僕のなかで一層強くさせる。
「ちぃちゃんもべっぴんさんになったで。」
笑みを崩さぬまま、小声で告げられる情報。
それは彼女がまだ此処にいると言うことだ。
『どこにもいかんって、いったが!!!』
幾度も、脳内で繰り返される記憶。
悲しみに溢れた喉を振り絞って叩き付けられた言葉。
『はっちゃん・・・やだよ・・・。』
泣き崩れる彼女が霞む所で終わっている記憶。
まだ僕に、続きを紡ぐ勇気はない。大人になっても、まだ。
「おばば、そう言えば何あれ?」
「あぁ、恋山形駅ちってなぁ・・・ごっついだろ。」
最寄り駅はドのつくピンク色に染められていた。
恋の叶う駅、恋山形駅。昔も今も田舎の無人駅。
もう少し僕が若ければ、彼女との続きをそんな駅にお願いしていたかもしれない。
「おばばー!おにぎり食おうお腹減っ・・・。」
これもまた聞き慣れた声。
ピンク色の駅以外、僕の故郷は何も変わってないらしい。
「は・・・はっ・・・えっ・・・はっちゃん!!!?」
「ただいま、千鶴。」
この感情が恋だと気付いたのは、僕がこの村を出てからだったんだ。
290: ◆pYm.eDkX8Q:2014/5/2(金) 18:18:32 ID:SNYFmpReb2
帰郷したら地元の駅がすごいことになってたので、つらーっと書いてみました。推敲・感想・言葉の使い方、何かありましたら一言お願い致します(・ω・)v
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