サシャ「どんな味でも構いません」
Part2
21 : ◆H4iwFNXQsw:2014/01/19(日) 19:43:37 ID:5gTKjbgE
ライナー「状況次第じゃ、お前らが調査兵団に入ることになるかもしれん。一応覚悟は決めておいてくれよ?」
ベルトルト「お前らって……僕とアニ? ライナーが憲兵団に行くのか?」
ライナー「逆になるかもしれねえけどな。……安心しろ、どっちに転がってもお前とアニの兵団は同じにするつもりだ」
ベルトルト「……こういう時に、余計な気は回さないで欲しいんだけど」
ライナー「馬鹿言え、ちゃんと考えてるさ。お前の巨人は逃げて回るには不向きなんだから、いざという時はアニの力に頼ることになるだろ? 逆にアニは、親父さん仕込みの格闘術があるとはいえ人間のままじゃどうしたって非力だ。だから普段は、お前がしっかりとアニを守ってやれ」
ベルトルト「僕が……アニを」
ライナー「お前らなら、どちらの兵団に行こうが上手く立ち回れるだろうがな。俺のことは気にするな、うまくやるさ」
ベルトルト「……それ、いい加減やめないか? 真っ先に危険な役回りを引き受けようとするのは、君の悪い癖だよ」
ライナー「もう習慣みたいなもんだ、今更治らねえよ。本気で心配してくれるなら、なんとか二人で連携して俺の手助けをしてくれ。それと、憲兵団から調査兵団に鞍替えすることになった動機とかも詰めておけよ」
ベルトルト「……わかった。ライナーの指示に従うよ」
22 : ◆H4iwFNXQsw:2014/01/19(日) 19:44:22 ID:5gTKjbgE
ライナー「さて、汗もあらかた拭いたし……説明会の準備でもするかな」ゴソゴソ
ベルトルト「そうだね、そろそろ時間だ。……ところでさ、ライナー」
ライナー「なんだ?」ゴソゴソ
ベルトルト「サシャとまた何かあった?」
ライナー「……」
ベルトルト「ああ、やっぱりね。そうだと思った」ハァ
ライナー「……何故わかった」
ベルトルト「前から思ってたんだけどさ、悩んだら取り敢えず筋肉いじめるってのはやめたほうがいいと思うよ」
ライナー「しかしだな……寝転んだり椅子に座って悩んでるよりかは、ああやって体を動かしてるほうがいくらか健全だと思うんだが」
ベルトルト「健全かもしれないけと解決はしないよね、その方法」
ライナー「いや、わからんぞ。運動しているうちにいい考えが湧いてくるかもしれないだろ」
ベルトルト「じゃあせめて声は出さないでよ。結構うるさいから」
ライナー「……すまん」シュン
23 : ◆H4iwFNXQsw:2014/01/19(日) 19:45:16 ID:5gTKjbgE
ベルトルト「……もしかして、遂に告白でもした?」
ライナー「するわけねえだろ! ……その辺りは弁えてる」
ベルトルト「じゃあされたとか?」
ライナー「……………………」
ベルトルト「図星かー」
ライナー「いや……されたような、されてねえような」モゴモゴ
ベルトルト「煮え切らないね。どっちなんだよ」
ライナー「俺にもわからん。わからんが……恐らく、あいつの中ではしてないことになってるはずだ」
ベルトルト「へえ、じゃあ直接何か言われたわけじゃないんだね。……ああそっか、それが本当か嘘かわからなくて悩んでるの?」
ライナー「いいや違う。……あいつは、本気で俺のことを好いてくれている。それは間違いない」
ベルトルト「君の勘違いって可能性は?」
ライナー「ないな」キッパリ
ベルトルト「ないんだ。……ん? じゃあ何について悩んでるんだ? もしかして、サシャを故郷に連れて行こうとか考えてる?」
24 : ◆H4iwFNXQsw:2014/01/19(日) 19:46:00 ID:5gTKjbgE
ライナー「そんなことはできん。あいつは……サシャは自分の故郷を大切に思っているからな。壁の外から出て暮らそうなんて思わないだろう」
ベルトルト「……そっか、そうなんだ」
ライナー「ああ。ーー だからあいつを故郷に連れて行きたいなら、あいつの故郷ごと壁の外に持っていかなきゃならん」
ベルトルト「そうだね…… ……はい? 今なんて言ったの?」
ライナー「心配するな、作戦はちゃんと俺が考えておいたからな。ベルトルトは言った通りに行動するだけでいい」
ベルトルト「作戦? ……ねえ、作戦って何?」
ライナー「そう構えるな、大したことじゃない。ーー まず、お前がトロスト区の壁をぶっ壊すだろ?」
ベルトルト「気軽に言わないでよ。あれ結構大変なんだから」
ライナー「続けてウォール・ローゼを突破したら、その後すぐにダウパー村まで向かう。着いたらお前が巨人化して、ダウパー村を持ちあげるんだ」
ベルトルト「ちょっと待って」
ライナー「なんだよ、今いいところなんだぞ」
25 : ◆H4iwFNXQsw:2014/01/19(日) 19:46:37 ID:5gTKjbgE
ベルトルト「なんだよじゃないだろ! 花の植え替え作業じゃあるまいし、村ごと持ちあげるなんて無理に決まってるよ! 第一僕屈めないし、巨人化してもその場から動けないから運べないし!」
ライナー「そうなんだよなぁ……それが問題だ」
ベルトルト「それ以外にもたくさん問題がある気がするんだけど……そもそも気軽に言ってくれちゃってるけどさ、その作戦で働くのってほとんど僕じゃないか。ライナーはその間何してるの?」
ライナー「見守っているぞ!」グッ
ベルトルト「……」ジトッ...
ライナー「……冗談だって。睨むなよ」シュン
ベルトルト「僕は真剣に聞こうとしてるのに、君がはぐらかすからだろ」
ライナー「…………いや、だって、なぁ?」
ベルトルト「何」
ライナー「改めて考えてみたら、なんだ、その…………恥ずかしい、っつうか」
ベルトルト「恥ずかしい?」
ライナー「いくら気が置けない仲だからって、こういうことをお前に相談するのは、なぁ……」
ベルトルト「ここまで来たらもう何を言われても驚かないよ。さっきみたいに騒がれるほうがよっぽど迷惑だし、変な話ではぐらかされるほうが余計気になる」
ライナー「……笑うなよ?」
ベルトルト「笑わないよ」
26 : ◆H4iwFNXQsw:2014/01/19(日) 19:47:31 ID:5gTKjbgE
ライナー「……前にも話したよな。俺はあいつの気持ちに応えてやる気はないって」
ベルトルト「言ってたね。それで?」
ライナー「それなのに、今みたいな関係を続けるってのは、どうにも……こう、罪悪感があってだな」
ベルトルト「だからって、今更態度を改めることなんてできないだろ? そっちのほうがよっぽど不自然だよ」
ライナー「そりゃそうなんだが……その」モゴモゴ
ベルトルト「何? 早く言って」
ライナー「あいつがそういうつもりなら、もう気軽に…………き、キスなんか、してやれねえだろ……!?」
ベルトルト「……ああなんだ、そんなことか」
ライナー「なっ……!? そんなことって言うなよ! 俺は真剣に悩んでんだぞ!?」
ベルトルト「だって、それこそ今更じゃないか。君が今までやらかしてきたことを順に思い出してみなよ」
ライナー「俺がやってきたことか、そうだな…………まず、壁を壊しただろ」
ベルトルト「どこまで遡ってるんだ馬鹿か君は!! ……そうじゃなくて、春にしたキスから順番に数えてごらんよ」
ライナー「そう怒るなって、冗談だ。ーー 春からな、春……」ブツブツ...
ベルトルト(……ライナーが考えてる間に行く準備しとこ)ゴソゴソ
27 : ◆H4iwFNXQsw:2014/01/19(日) 19:48:55 ID:5gTKjbgE
ベルトルト「……」ゴソゴソ...
ライナー「……ベルトルト」
ベルトルト「はいはい、何?」
ライナー「とんでもなく最低なクソ野郎ができあがったんだが」
ベルトルト「おめでとう。それは紛れもなく君だよ」
ライナー「もう俺には……何が正しいことなのかわからん……」
ベルトルト「大丈夫だよ、傍から見てたら正しいどころか最初っから間違ってたから」
ライナー「その気もねえのに、ほいほいと何やってんだ昔の俺は……! 無責任にも程があるだろ……!」
ベルトルト「気軽に野良犬に餌なんてやるもんじゃないね」
ライナー「サシャは犬じゃないぞ!!」バンッ!!
ベルトルト「例えだよ、例え。少なくとも最初の君は、そういう感覚でキスしてあげたんじゃないの?」
ライナー「…………否定は、できん」
ベルトルト「まあ、君の心情は置いといてさ。ーー サシャはこれまで通りの関係で、充分満足してると思うけどな。無理に辞める必要もなければ、もちろんこれ以上関係を進めることもない。罪悪感を感じてるのは君だけだ」
28 : ◆H4iwFNXQsw:2014/01/19(日) 19:49:40 ID:5gTKjbgE
ライナー「……少し、身の振り方を考えたほうがいいのかもな」
ベルトルト「考える暇ないけどね。明日の山岳訓練、班が一緒なんでしょ? どうする気?」
ライナー「そうなんだよなああああああどうすりゃいいんだあああああ!!」ゴロゴロゴロゴロ
ベルトルト「床に寝っ転がると汚いよ。……君、今からその調子で大丈夫?」
ライナー「大丈夫なわけねえだろ俺は最初っからいっぱいいっぱいだ!!」
ベルトルト「ストレスではげそうだね、君」
ライナー「……生えてるよな?」
ベルトルト「そんな泣きそうにならないでよ。たぶん大丈夫だから、きっとおそらく」
ライナー「ユミルも一緒だからいいものの……今の俺は平静でいられる自信がないぞ……!」
ベルトルト「テントだと距離が近いよねー」
ライナー「だからやめろってええええええええええ!!」ゴロゴロゴロゴロ
エレン「ただいまー」ガチャッ
ライナー「」スクッ
29 : ◆H4iwFNXQsw:2014/01/19(日) 19:50:31 ID:5gTKjbgE
ベルトルト「あ、おかえりエレン。遅かったね」
エレン「当番があったからな。荷物持ったらすぐ出る…………ん? ライナー、なんで突っ立ってんだ?」
ライナー「……ちょっと、スクワットをしてたんでな」
エレン「ふーん……でもスクワットは膝に悪いって聞いたぞ?」
ライナー「そんなことはないぞ。正しい姿勢でやれば膝を痛めることなく鍛えることができる。今度教えてやろうか?」
エレン「本当か!? じゃあよろしく頼む!!」
ライナー「おう、山岳訓練の後でいいか?」
エレン「ああ、それでいい! ーーそういや訓練の後に休みがあったよな、その日でいいか?」
ライナー「いや、その日は……先に予定が入ってる。悪いな」
エレン「そっか、じゃあ暇な時でいいから声かけてくれよ。俺大体暇だからさ」
ライナー「ああ、お安いご用だ」
エレン「それじゃ、俺ミカサ待たせてるから先に行くな」
30 : ◆H4iwFNXQsw:2014/01/19(日) 19:51:13 ID:5gTKjbgE
ライナー「ミカサか……なあエレン、お前最近ミカサとどうだ?」
エレン「は? ーー どうって、別に何もねえけど」
ライナー「そうか、何もないならいいんだ」
エレン「お、おう…………え? いいのか? それでいいのか?」
ライナー「お前らが幸せになれるように、俺は祈っとくからな……」
エレン「は……? し、幸せ? 何の話だ?」
ベルトルト「エレン、真に受けなくていいよ。ちょっとライナーは壊れてるんだ」
エレン「壊れて……って、具合でも悪いのかよ。変なものでも食ったのか?」
ベルトルト「いいや、違うよ。今のライナーは発情期なんだ。そっとしといてあげてくれる?」
エレン「……よくわかんねえからベルトルトに任せるわ。ーー じゃあまた後でな」ガチャッ バタンッ
31 : ◆H4iwFNXQsw:2014/01/19(日) 19:51:51 ID:5gTKjbgE
ベルトルト(思った以上に重症だな、ライナー……まさかエレンにまでふっかけるとは)チラッ
ベルトルト「……気軽に引き受けてよかったの?」
ライナー「これくらい大した負担じゃない。ーー なあベルトルト、ところでお前はアニに伝えないのか?」
ベルトルト「……は? え、伝えるって何を?」ギクッ
ライナー「あいつのことが好きなんだろ? ……見過ぎだ。俺じゃなくたってわかるくらいな」
ベルトルト「なっ……!? かっ、仮にそうだとしても、告白なんてできるわけないだろ!? 僕は君みたいにおちゃらけてないんだよ!!」アセアセ
ライナー「しかしなぁ、俺はせめて……お前らだけでも幸せになって欲しいんだが」
32 : ◆H4iwFNXQsw:2014/01/19(日) 19:52:48 ID:5gTKjbgE
ベルトルト「僕らだけって……ライナーは?」
ライナー「俺は……もう、満足だ。一緒になることはないとわかっていても、好いてくれる奴がいるだけで充分すぎる」
ベルトルト「ライナー……」
ライナー「だからな、お前らが結婚式を挙げる時は俺に出し物やらせてくれよ?」
ベルトルト「いや結婚式って気が早い……ああ、出し物やりたいんだ」
ライナー「今から練習しておくから楽しみしてろよ。完璧に仕上げとくからな」フフン
ベルトルト「先走りすぎだろ……」
33 : ◆H4iwFNXQsw:2014/01/19(日) 19:53:47 ID:5gTKjbgE
ベルトルト(諦めと恥ずかしさが入り混じって、思考回路が完全におかしくなってる……これ以上話を振られる前に行こう)
ベルトルト「……準備ができたなら早く出ようよ。そろそろ山岳訓練の事前説明会の時間だ」スクッ
ライナー「ああ、もうそんな時間か……いや待った。全体での説明会ってことは、サシャも来るんだよな」ソワソワ
ベルトルト「何言ってるんだ、来るに決まってるだろ。そもそも班も一緒だし、何度か打ち合わせで顔は合わせてるんじゃないの?」
ライナー「いや、顔は合わせちゃいるが……あれから、ろくに話してねえんだ」
ベルトルト「ああそう……はい? なんで?」
ライナー「なんというか……気恥ずかしくて、だな……」モゴモゴ
ベルトルト(面倒くさっ……! ライナー面倒くさっ!!)イラッ
ライナー「……なあベルトルト、俺どんな顔であいつに会ったらいいと思う?」ソワソワ
ベルトルト「思春期か」
ライナー「思春期だよ!! まだ十七だぞ俺は!!」
ベルトルト「あああああああああああああああもう面倒くさい!! ほら行くよ、しっかり立って!!」ガシッ
ライナー「ばっ……! ちょっと待てって! まだ筆記用具持ってねえから!! 襟を引っ張るな!!」ズルズル...
34 : ◆H4iwFNXQsw:2014/01/19(日) 19:56:18 ID:5gTKjbgE
今日はここまでです 次回は水曜前後
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。長らくお待たせして申し訳ありません
ちょいと忙しいのでスローペースになると思いますが、きっちり完結させますので気長に付き合っていただけるとありがたいです
今回は『キスの味』でベルトルトとユミルがしていた会話も入る予定ですのでお楽しみに
35 :以下、名無しが深夜にお送りします:2014/01/19(日) 20:34:52 ID:QKXOAVsg
待ってました!
36 :以下、名無しが深夜にお送りします:2014/01/19(日) 21:36:01 ID:csQNk.JU
乙!待ってた!
37 :以下、名無しが深夜にお送りします:2014/01/19(日) 22:40:14 ID:tzBcx1TY
また読めて嬉しい!
楽しみにしてる乙乙!
38 :以下、名無しが深夜にお送りします:2014/01/19(日) 22:45:12 ID:qBIb8OP.
良作楽しみ。乙。
39 :以下、名無しが深夜にお送りします:2014/01/20(月) 03:58:42 ID:a6z8esk6
悲しいけど楽しいわw
乙!
40 :以下、名無しが深夜にお送りします:2014/01/23(木) 23:46:07 ID:N9PqPzBI
ーー しばらく後 第二会議室
ライナー「席は……駄目だな、あらかた埋まっちまってる」キョロキョロ
ベルトルト「……ライナーがもたもたしてるからだろ」ムスッ...
ライナー「だから悪かったって。謝っただろそれは」
ベルトルト「行きたくない行きたくないってゴネるなんて、子どもか君は……後ろのほうでいいよね」スタスタ...
ライナー「ああ、お前が好きに決めていいぞ」
ベルトルト「ええっと、じゃあ……よし、あそこにしよう」スタスタ...
ライナー(クリスタとユミルは前のほうか。……ん? サシャがいないぞ? 一緒じゃないのか?)チラチラ
ベルトルト「やあ、ここ空いてる? 二人なんだけど」
サシャ「あっ……はい、空いてますよ! どうぞ!」ササッ
ライナー「」
41 :以下、名無しが深夜にお送りします:2014/01/23(木) 23:46:58 ID:N9PqPzBI
アニ「私らに許可なんか取る必要ないよ。勝手に座りな」
ベルトルト「いや、後から他に誰か来るのかと思ってさ。それじゃあ遠慮なくーー」
ライナー「べ、ベルトルト……そこはまずい、他の席に行かないか?」クイクイ
ベルトルト「そんなこと言われたって、後ろはここしか空いてないんだ。我慢してよ」
ライナー「駄目だ」
ベルトルト「なんで」
ライナー「今朝のお前の寝相占いによるとだな、今日お前がその席に座ると、明日の山岳訓練で何か悪いことが起きるらしいんだ。だから移動しようぜ、なっ?」ヒソヒソ
ベルトルト「占いって……ただのこじつけだろ? しかも内容が縁起でもない上にピンポイントすぎるし、どうせ今考えたんじゃないの?」
ライナー「お前の寝相が乱れてたのは事実だぁっ!!」
ベルトルト「知らないよ。あとうるさい」
ライナー「なんでよりにもよってこんな時にこういう席を選ぶんだ……! お前さっき俺の話聞いてただろうが!」ヒソヒソ
ベルトルト「聞いてたけどどうしようもないよ。いいから座ってってば」
ライナー「……俺としては、しばらくあまり関わらない方向でいきたいんだが」
ベルトルト「無理だよ。諦めて」
42 :以下、名無しが深夜にお送りします:2014/01/23(木) 23:47:54 ID:N9PqPzBI
サシャ「……アニ、席変わりたくありません?」
アニ「え? ーーいや、いいよ。私は端でいい」
サシャ「そうですか……」
アニ「何? どうしたのさ、突然」
サシャ「いえ……なんだか、お二人が座りにくそうにしてるので」シュン
アニ「……」チラッ
アニ(こそこそと一体何を揉めてるんだか……体が大きいから悪目立ちしてるし。ユミルやジャンがこっち見てるよ)
アニ(「前に座ると目立って嫌だ」ってサシャが言うから後ろに来たのに、これじゃ意味ないじゃないか……全く、手間のかかる奴らだね)
アニ「あんたたち、突っ立ってないで早く座りなよ。それとも私たちの隣は嫌だっての?」ギロッ
ライナー「あ、ああ……すまん。そういうわけじゃない」イソイソ
ベルトルト「ごめんアニ、今座るよ」イソイソ
ライナー「……」
ベルトルト「……」
ライナー「……お前がサシャの隣に座ってくれ」ボソッ
ベルトルト「……はいはい、わかったよ」ハァ
43 : ◆H4iwFNXQsw:2014/01/23(木) 23:50:01 ID:N9PqPzBI
ベルトルト「じゃあ隣、失礼するね」
サシャ「どうぞどうぞ! ーー ところでお二人とも、今日は随分と遅かったですね。もう教官来ちゃいますよ?」
ベルトルト「ああ、ちょっと色々あってさ。……サシャはアニと来たの?」
サシャ「はい、偶然一緒になりまして」
ライナー「……」コソコソ
アニ(……ライナーはなんでベルトルトの陰に隠れてんだろ。隠れきれてないけど)ジーッ...
サシャ「ベルトルト、ちょっと失礼しますねー……ライナー、こんばんは!」ヒョコッ
ライナー「……」ビクッ
サシャ「こーんーばーんーはー!」
ライナー「……おう」
ベルトルト(『おう』ってなんだ)
アニ(へえ、ライナーが私より口下手になってるのはじめて見たかも……ユミルじゃないけど、こりゃちょっと面白いね)クスッ
44 : ◆H4iwFNXQsw:2014/01/23(木) 23:50:50 ID:N9PqPzBI
ライナー「……」
ベルトルト「……」
アニ「……」
サシャ「……」
ベルトルト(……静かすぎる)
アニ(え、何この気まずい雰囲気)
サシャ「……え、えーっと、今日の……今日の夕食のスープ、おいしかったですよね!」
アニ「……」
ベルトルト「……」
ライナー「……」
ライナー「状況次第じゃ、お前らが調査兵団に入ることになるかもしれん。一応覚悟は決めておいてくれよ?」
ベルトルト「お前らって……僕とアニ? ライナーが憲兵団に行くのか?」
ライナー「逆になるかもしれねえけどな。……安心しろ、どっちに転がってもお前とアニの兵団は同じにするつもりだ」
ベルトルト「……こういう時に、余計な気は回さないで欲しいんだけど」
ライナー「馬鹿言え、ちゃんと考えてるさ。お前の巨人は逃げて回るには不向きなんだから、いざという時はアニの力に頼ることになるだろ? 逆にアニは、親父さん仕込みの格闘術があるとはいえ人間のままじゃどうしたって非力だ。だから普段は、お前がしっかりとアニを守ってやれ」
ベルトルト「僕が……アニを」
ライナー「お前らなら、どちらの兵団に行こうが上手く立ち回れるだろうがな。俺のことは気にするな、うまくやるさ」
ベルトルト「……それ、いい加減やめないか? 真っ先に危険な役回りを引き受けようとするのは、君の悪い癖だよ」
ライナー「もう習慣みたいなもんだ、今更治らねえよ。本気で心配してくれるなら、なんとか二人で連携して俺の手助けをしてくれ。それと、憲兵団から調査兵団に鞍替えすることになった動機とかも詰めておけよ」
ベルトルト「……わかった。ライナーの指示に従うよ」
22 : ◆H4iwFNXQsw:2014/01/19(日) 19:44:22 ID:5gTKjbgE
ライナー「さて、汗もあらかた拭いたし……説明会の準備でもするかな」ゴソゴソ
ベルトルト「そうだね、そろそろ時間だ。……ところでさ、ライナー」
ライナー「なんだ?」ゴソゴソ
ベルトルト「サシャとまた何かあった?」
ライナー「……」
ベルトルト「ああ、やっぱりね。そうだと思った」ハァ
ライナー「……何故わかった」
ベルトルト「前から思ってたんだけどさ、悩んだら取り敢えず筋肉いじめるってのはやめたほうがいいと思うよ」
ライナー「しかしだな……寝転んだり椅子に座って悩んでるよりかは、ああやって体を動かしてるほうがいくらか健全だと思うんだが」
ベルトルト「健全かもしれないけと解決はしないよね、その方法」
ライナー「いや、わからんぞ。運動しているうちにいい考えが湧いてくるかもしれないだろ」
ベルトルト「じゃあせめて声は出さないでよ。結構うるさいから」
ライナー「……すまん」シュン
23 : ◆H4iwFNXQsw:2014/01/19(日) 19:45:16 ID:5gTKjbgE
ベルトルト「……もしかして、遂に告白でもした?」
ライナー「するわけねえだろ! ……その辺りは弁えてる」
ベルトルト「じゃあされたとか?」
ライナー「……………………」
ベルトルト「図星かー」
ライナー「いや……されたような、されてねえような」モゴモゴ
ベルトルト「煮え切らないね。どっちなんだよ」
ライナー「俺にもわからん。わからんが……恐らく、あいつの中ではしてないことになってるはずだ」
ベルトルト「へえ、じゃあ直接何か言われたわけじゃないんだね。……ああそっか、それが本当か嘘かわからなくて悩んでるの?」
ライナー「いいや違う。……あいつは、本気で俺のことを好いてくれている。それは間違いない」
ベルトルト「君の勘違いって可能性は?」
ライナー「ないな」キッパリ
ベルトルト「ないんだ。……ん? じゃあ何について悩んでるんだ? もしかして、サシャを故郷に連れて行こうとか考えてる?」
24 : ◆H4iwFNXQsw:2014/01/19(日) 19:46:00 ID:5gTKjbgE
ライナー「そんなことはできん。あいつは……サシャは自分の故郷を大切に思っているからな。壁の外から出て暮らそうなんて思わないだろう」
ベルトルト「……そっか、そうなんだ」
ライナー「ああ。ーー だからあいつを故郷に連れて行きたいなら、あいつの故郷ごと壁の外に持っていかなきゃならん」
ベルトルト「そうだね…… ……はい? 今なんて言ったの?」
ライナー「心配するな、作戦はちゃんと俺が考えておいたからな。ベルトルトは言った通りに行動するだけでいい」
ベルトルト「作戦? ……ねえ、作戦って何?」
ライナー「そう構えるな、大したことじゃない。ーー まず、お前がトロスト区の壁をぶっ壊すだろ?」
ベルトルト「気軽に言わないでよ。あれ結構大変なんだから」
ライナー「続けてウォール・ローゼを突破したら、その後すぐにダウパー村まで向かう。着いたらお前が巨人化して、ダウパー村を持ちあげるんだ」
ベルトルト「ちょっと待って」
ライナー「なんだよ、今いいところなんだぞ」
25 : ◆H4iwFNXQsw:2014/01/19(日) 19:46:37 ID:5gTKjbgE
ベルトルト「なんだよじゃないだろ! 花の植え替え作業じゃあるまいし、村ごと持ちあげるなんて無理に決まってるよ! 第一僕屈めないし、巨人化してもその場から動けないから運べないし!」
ライナー「そうなんだよなぁ……それが問題だ」
ベルトルト「それ以外にもたくさん問題がある気がするんだけど……そもそも気軽に言ってくれちゃってるけどさ、その作戦で働くのってほとんど僕じゃないか。ライナーはその間何してるの?」
ライナー「見守っているぞ!」グッ
ベルトルト「……」ジトッ...
ライナー「……冗談だって。睨むなよ」シュン
ベルトルト「僕は真剣に聞こうとしてるのに、君がはぐらかすからだろ」
ライナー「…………いや、だって、なぁ?」
ベルトルト「何」
ライナー「改めて考えてみたら、なんだ、その…………恥ずかしい、っつうか」
ベルトルト「恥ずかしい?」
ライナー「いくら気が置けない仲だからって、こういうことをお前に相談するのは、なぁ……」
ベルトルト「ここまで来たらもう何を言われても驚かないよ。さっきみたいに騒がれるほうがよっぽど迷惑だし、変な話ではぐらかされるほうが余計気になる」
ライナー「……笑うなよ?」
ベルトルト「笑わないよ」
ライナー「……前にも話したよな。俺はあいつの気持ちに応えてやる気はないって」
ベルトルト「言ってたね。それで?」
ライナー「それなのに、今みたいな関係を続けるってのは、どうにも……こう、罪悪感があってだな」
ベルトルト「だからって、今更態度を改めることなんてできないだろ? そっちのほうがよっぽど不自然だよ」
ライナー「そりゃそうなんだが……その」モゴモゴ
ベルトルト「何? 早く言って」
ライナー「あいつがそういうつもりなら、もう気軽に…………き、キスなんか、してやれねえだろ……!?」
ベルトルト「……ああなんだ、そんなことか」
ライナー「なっ……!? そんなことって言うなよ! 俺は真剣に悩んでんだぞ!?」
ベルトルト「だって、それこそ今更じゃないか。君が今までやらかしてきたことを順に思い出してみなよ」
ライナー「俺がやってきたことか、そうだな…………まず、壁を壊しただろ」
ベルトルト「どこまで遡ってるんだ馬鹿か君は!! ……そうじゃなくて、春にしたキスから順番に数えてごらんよ」
ライナー「そう怒るなって、冗談だ。ーー 春からな、春……」ブツブツ...
ベルトルト(……ライナーが考えてる間に行く準備しとこ)ゴソゴソ
27 : ◆H4iwFNXQsw:2014/01/19(日) 19:48:55 ID:5gTKjbgE
ベルトルト「……」ゴソゴソ...
ライナー「……ベルトルト」
ベルトルト「はいはい、何?」
ライナー「とんでもなく最低なクソ野郎ができあがったんだが」
ベルトルト「おめでとう。それは紛れもなく君だよ」
ライナー「もう俺には……何が正しいことなのかわからん……」
ベルトルト「大丈夫だよ、傍から見てたら正しいどころか最初っから間違ってたから」
ライナー「その気もねえのに、ほいほいと何やってんだ昔の俺は……! 無責任にも程があるだろ……!」
ベルトルト「気軽に野良犬に餌なんてやるもんじゃないね」
ライナー「サシャは犬じゃないぞ!!」バンッ!!
ベルトルト「例えだよ、例え。少なくとも最初の君は、そういう感覚でキスしてあげたんじゃないの?」
ライナー「…………否定は、できん」
ベルトルト「まあ、君の心情は置いといてさ。ーー サシャはこれまで通りの関係で、充分満足してると思うけどな。無理に辞める必要もなければ、もちろんこれ以上関係を進めることもない。罪悪感を感じてるのは君だけだ」
28 : ◆H4iwFNXQsw:2014/01/19(日) 19:49:40 ID:5gTKjbgE
ライナー「……少し、身の振り方を考えたほうがいいのかもな」
ベルトルト「考える暇ないけどね。明日の山岳訓練、班が一緒なんでしょ? どうする気?」
ライナー「そうなんだよなああああああどうすりゃいいんだあああああ!!」ゴロゴロゴロゴロ
ベルトルト「床に寝っ転がると汚いよ。……君、今からその調子で大丈夫?」
ライナー「大丈夫なわけねえだろ俺は最初っからいっぱいいっぱいだ!!」
ベルトルト「ストレスではげそうだね、君」
ライナー「……生えてるよな?」
ベルトルト「そんな泣きそうにならないでよ。たぶん大丈夫だから、きっとおそらく」
ライナー「ユミルも一緒だからいいものの……今の俺は平静でいられる自信がないぞ……!」
ベルトルト「テントだと距離が近いよねー」
ライナー「だからやめろってええええええええええ!!」ゴロゴロゴロゴロ
エレン「ただいまー」ガチャッ
ライナー「」スクッ
29 : ◆H4iwFNXQsw:2014/01/19(日) 19:50:31 ID:5gTKjbgE
ベルトルト「あ、おかえりエレン。遅かったね」
エレン「当番があったからな。荷物持ったらすぐ出る…………ん? ライナー、なんで突っ立ってんだ?」
ライナー「……ちょっと、スクワットをしてたんでな」
エレン「ふーん……でもスクワットは膝に悪いって聞いたぞ?」
ライナー「そんなことはないぞ。正しい姿勢でやれば膝を痛めることなく鍛えることができる。今度教えてやろうか?」
エレン「本当か!? じゃあよろしく頼む!!」
ライナー「おう、山岳訓練の後でいいか?」
エレン「ああ、それでいい! ーーそういや訓練の後に休みがあったよな、その日でいいか?」
ライナー「いや、その日は……先に予定が入ってる。悪いな」
エレン「そっか、じゃあ暇な時でいいから声かけてくれよ。俺大体暇だからさ」
ライナー「ああ、お安いご用だ」
エレン「それじゃ、俺ミカサ待たせてるから先に行くな」
30 : ◆H4iwFNXQsw:2014/01/19(日) 19:51:13 ID:5gTKjbgE
ライナー「ミカサか……なあエレン、お前最近ミカサとどうだ?」
エレン「は? ーー どうって、別に何もねえけど」
ライナー「そうか、何もないならいいんだ」
エレン「お、おう…………え? いいのか? それでいいのか?」
ライナー「お前らが幸せになれるように、俺は祈っとくからな……」
エレン「は……? し、幸せ? 何の話だ?」
ベルトルト「エレン、真に受けなくていいよ。ちょっとライナーは壊れてるんだ」
エレン「壊れて……って、具合でも悪いのかよ。変なものでも食ったのか?」
ベルトルト「いいや、違うよ。今のライナーは発情期なんだ。そっとしといてあげてくれる?」
エレン「……よくわかんねえからベルトルトに任せるわ。ーー じゃあまた後でな」ガチャッ バタンッ
31 : ◆H4iwFNXQsw:2014/01/19(日) 19:51:51 ID:5gTKjbgE
ベルトルト(思った以上に重症だな、ライナー……まさかエレンにまでふっかけるとは)チラッ
ベルトルト「……気軽に引き受けてよかったの?」
ライナー「これくらい大した負担じゃない。ーー なあベルトルト、ところでお前はアニに伝えないのか?」
ベルトルト「……は? え、伝えるって何を?」ギクッ
ライナー「あいつのことが好きなんだろ? ……見過ぎだ。俺じゃなくたってわかるくらいな」
ベルトルト「なっ……!? かっ、仮にそうだとしても、告白なんてできるわけないだろ!? 僕は君みたいにおちゃらけてないんだよ!!」アセアセ
ライナー「しかしなぁ、俺はせめて……お前らだけでも幸せになって欲しいんだが」
32 : ◆H4iwFNXQsw:2014/01/19(日) 19:52:48 ID:5gTKjbgE
ベルトルト「僕らだけって……ライナーは?」
ライナー「俺は……もう、満足だ。一緒になることはないとわかっていても、好いてくれる奴がいるだけで充分すぎる」
ベルトルト「ライナー……」
ライナー「だからな、お前らが結婚式を挙げる時は俺に出し物やらせてくれよ?」
ベルトルト「いや結婚式って気が早い……ああ、出し物やりたいんだ」
ライナー「今から練習しておくから楽しみしてろよ。完璧に仕上げとくからな」フフン
ベルトルト「先走りすぎだろ……」
33 : ◆H4iwFNXQsw:2014/01/19(日) 19:53:47 ID:5gTKjbgE
ベルトルト(諦めと恥ずかしさが入り混じって、思考回路が完全におかしくなってる……これ以上話を振られる前に行こう)
ベルトルト「……準備ができたなら早く出ようよ。そろそろ山岳訓練の事前説明会の時間だ」スクッ
ライナー「ああ、もうそんな時間か……いや待った。全体での説明会ってことは、サシャも来るんだよな」ソワソワ
ベルトルト「何言ってるんだ、来るに決まってるだろ。そもそも班も一緒だし、何度か打ち合わせで顔は合わせてるんじゃないの?」
ライナー「いや、顔は合わせちゃいるが……あれから、ろくに話してねえんだ」
ベルトルト「ああそう……はい? なんで?」
ライナー「なんというか……気恥ずかしくて、だな……」モゴモゴ
ベルトルト(面倒くさっ……! ライナー面倒くさっ!!)イラッ
ライナー「……なあベルトルト、俺どんな顔であいつに会ったらいいと思う?」ソワソワ
ベルトルト「思春期か」
ライナー「思春期だよ!! まだ十七だぞ俺は!!」
ベルトルト「あああああああああああああああもう面倒くさい!! ほら行くよ、しっかり立って!!」ガシッ
ライナー「ばっ……! ちょっと待てって! まだ筆記用具持ってねえから!! 襟を引っ張るな!!」ズルズル...
34 : ◆H4iwFNXQsw:2014/01/19(日) 19:56:18 ID:5gTKjbgE
今日はここまでです 次回は水曜前後
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。長らくお待たせして申し訳ありません
ちょいと忙しいのでスローペースになると思いますが、きっちり完結させますので気長に付き合っていただけるとありがたいです
今回は『キスの味』でベルトルトとユミルがしていた会話も入る予定ですのでお楽しみに
35 :以下、名無しが深夜にお送りします:2014/01/19(日) 20:34:52 ID:QKXOAVsg
待ってました!
36 :以下、名無しが深夜にお送りします:2014/01/19(日) 21:36:01 ID:csQNk.JU
乙!待ってた!
37 :以下、名無しが深夜にお送りします:2014/01/19(日) 22:40:14 ID:tzBcx1TY
また読めて嬉しい!
楽しみにしてる乙乙!
38 :以下、名無しが深夜にお送りします:2014/01/19(日) 22:45:12 ID:qBIb8OP.
良作楽しみ。乙。
39 :以下、名無しが深夜にお送りします:2014/01/20(月) 03:58:42 ID:a6z8esk6
悲しいけど楽しいわw
乙!
40 :以下、名無しが深夜にお送りします:2014/01/23(木) 23:46:07 ID:N9PqPzBI
ーー しばらく後 第二会議室
ライナー「席は……駄目だな、あらかた埋まっちまってる」キョロキョロ
ベルトルト「……ライナーがもたもたしてるからだろ」ムスッ...
ライナー「だから悪かったって。謝っただろそれは」
ベルトルト「行きたくない行きたくないってゴネるなんて、子どもか君は……後ろのほうでいいよね」スタスタ...
ライナー「ああ、お前が好きに決めていいぞ」
ベルトルト「ええっと、じゃあ……よし、あそこにしよう」スタスタ...
ライナー(クリスタとユミルは前のほうか。……ん? サシャがいないぞ? 一緒じゃないのか?)チラチラ
ベルトルト「やあ、ここ空いてる? 二人なんだけど」
サシャ「あっ……はい、空いてますよ! どうぞ!」ササッ
ライナー「」
アニ「私らに許可なんか取る必要ないよ。勝手に座りな」
ベルトルト「いや、後から他に誰か来るのかと思ってさ。それじゃあ遠慮なくーー」
ライナー「べ、ベルトルト……そこはまずい、他の席に行かないか?」クイクイ
ベルトルト「そんなこと言われたって、後ろはここしか空いてないんだ。我慢してよ」
ライナー「駄目だ」
ベルトルト「なんで」
ライナー「今朝のお前の寝相占いによるとだな、今日お前がその席に座ると、明日の山岳訓練で何か悪いことが起きるらしいんだ。だから移動しようぜ、なっ?」ヒソヒソ
ベルトルト「占いって……ただのこじつけだろ? しかも内容が縁起でもない上にピンポイントすぎるし、どうせ今考えたんじゃないの?」
ライナー「お前の寝相が乱れてたのは事実だぁっ!!」
ベルトルト「知らないよ。あとうるさい」
ライナー「なんでよりにもよってこんな時にこういう席を選ぶんだ……! お前さっき俺の話聞いてただろうが!」ヒソヒソ
ベルトルト「聞いてたけどどうしようもないよ。いいから座ってってば」
ライナー「……俺としては、しばらくあまり関わらない方向でいきたいんだが」
ベルトルト「無理だよ。諦めて」
42 :以下、名無しが深夜にお送りします:2014/01/23(木) 23:47:54 ID:N9PqPzBI
サシャ「……アニ、席変わりたくありません?」
アニ「え? ーーいや、いいよ。私は端でいい」
サシャ「そうですか……」
アニ「何? どうしたのさ、突然」
サシャ「いえ……なんだか、お二人が座りにくそうにしてるので」シュン
アニ「……」チラッ
アニ(こそこそと一体何を揉めてるんだか……体が大きいから悪目立ちしてるし。ユミルやジャンがこっち見てるよ)
アニ(「前に座ると目立って嫌だ」ってサシャが言うから後ろに来たのに、これじゃ意味ないじゃないか……全く、手間のかかる奴らだね)
アニ「あんたたち、突っ立ってないで早く座りなよ。それとも私たちの隣は嫌だっての?」ギロッ
ライナー「あ、ああ……すまん。そういうわけじゃない」イソイソ
ベルトルト「ごめんアニ、今座るよ」イソイソ
ライナー「……」
ベルトルト「……」
ライナー「……お前がサシャの隣に座ってくれ」ボソッ
ベルトルト「……はいはい、わかったよ」ハァ
43 : ◆H4iwFNXQsw:2014/01/23(木) 23:50:01 ID:N9PqPzBI
ベルトルト「じゃあ隣、失礼するね」
サシャ「どうぞどうぞ! ーー ところでお二人とも、今日は随分と遅かったですね。もう教官来ちゃいますよ?」
ベルトルト「ああ、ちょっと色々あってさ。……サシャはアニと来たの?」
サシャ「はい、偶然一緒になりまして」
ライナー「……」コソコソ
アニ(……ライナーはなんでベルトルトの陰に隠れてんだろ。隠れきれてないけど)ジーッ...
サシャ「ベルトルト、ちょっと失礼しますねー……ライナー、こんばんは!」ヒョコッ
ライナー「……」ビクッ
サシャ「こーんーばーんーはー!」
ライナー「……おう」
ベルトルト(『おう』ってなんだ)
アニ(へえ、ライナーが私より口下手になってるのはじめて見たかも……ユミルじゃないけど、こりゃちょっと面白いね)クスッ
44 : ◆H4iwFNXQsw:2014/01/23(木) 23:50:50 ID:N9PqPzBI
ライナー「……」
ベルトルト「……」
アニ「……」
サシャ「……」
ベルトルト(……静かすぎる)
アニ(え、何この気まずい雰囲気)
サシャ「……え、えーっと、今日の……今日の夕食のスープ、おいしかったですよね!」
アニ「……」
ベルトルト「……」
ライナー「……」
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