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女「また混浴に来たんですか!!」

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Part14
241 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/09(木) 22:19:25.19 ID:b6F5FBNz0
女「……ぶはぁ!!」
女「はぁ…!はぁ…!何が…」
女「う、うわぁ!!」
危険は去っていなかった。
しかし、それは無力だった。
身体がぐにゃぐにゃになった男性が、男さんの腕から身を乗り出し、折れた割り箸を口に咥えて必死で私に近づこうとしていた。
男さんは左腕に包帯を巻いていた。右腕だけで男性を制し、身体の破壊を続けていた。
ぐ、ぐががが。君の悪い声が男性から漏れていた。
自分が破壊されながらも、それ以上に私の破壊を試みる姿は、知能を失った悲しきロボットのようだった。
男「下手に動くな。100まで数えて浸かってろ」
口調は普段と同じだったが、表情は酷く疲れているようだった。
男さんの肩からは血がポタポタと流れていた。
男性の口からは血がポタポタと流れ落ちていた。
男性はもぞもぞと動いていた。必死でジャージのポケットに手を伸ばそうとしていた。
女「男さん!そいつ、何かポケットにいれてる!!」
私の気づきは、少しだけ遅かった。
男さんはふとももを深々と刺された。
男性は身を乗り出して、私に近づいてきた。
口元に咥えていたわりばしを手に持ち、構えた。
男さんは男性の頭を掴み、物凄い勢いで水中に沈めた。
水上にも聞こえてくるくらいの音で、何度も地面に叩きつけた。
湯はみるみるうちに赤く染まっていった。
私のバスタオルも赤く染まった。
そして、静かになった。

242 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/09(木) 22:30:13.50 ID:b6F5FBNz0
女「…………」
女「し、しんだんですか」
男「死んだんじゃない。俺が殺したんだ」
女「せ、せいとうぼうえいです」
男「あんなに何度も頭をうちつける必要はなかった」
女「だったらどうして」
男「死なない限り、また10年後にでもお前のところに現れると思った。その執念を感じた」
女「そのせいで、あなたともまた10年も会えなくなってしまいます」
男「10年なんて贅沢な時間は残されていない」
女「し、しけいになりませんよ。私が庇いますよ」
男「殺されるんだよ俺は。それも、皮肉なことに、刑期を終える予定の奴にな」
男「医者のあんたの父親にできないようなことといったら、俺には暴力しか残されてないんだ。冥土の置き土産に、暴力を残してやった」
女「怒りますよ」
男「怒ればいい。俺は、幸せになってはいけない人間だしな」
女「男さん」
男「どうした」
女「泣いてるじゃないですか」
男「見えるのか」
女「見えますよ。あなたのおかげで」
男「俺は、涙で何も見えないけどな」

243 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/09(木) 22:39:57.86 ID:b6F5FBNz0
女「男さん」
男「なんだ」
女「夏と花火と温泉っていい組み合わせだと思いません?」
男「そうだな」
女「私と男さんっていい組み合わせだと思いません?」
男「どうだかな」
女「今度、違う場所の混浴にも行ってみません?」
男「どうしたんだ」
女「このまま、また、日常に戻れませんかね」
男「戻ればいいだろ」
女「一緒にですよ」
男「お前は一人だ」
女「男さんは」
男「俺はこの死体と一緒だ」
女「どうするんですか」
男「今からいつものように後処理の仕事をする。客が俺になっただけだ」
女「殺し屋だったんですか」
男「殺したのは過去に一度だけだ。それでずっと刑務所にいた」
女「誰を殺したんですか」
男「命の恩人だ」
女「私の知ってる人ですか」
男「親父さんだ」
女「えっ」
男「親父さんを、殺したんだ」

244 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/09(木) 22:59:01.36 ID:b6F5FBNz0
今日はここまでです。
読んでくれてありがとうございます。
お仕事の都合で、来週に続きを書くことになります。申し訳ない。
お風呂は嫌いなので明日の朝に入ります。おやすみなさい。

245 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/09(木) 23:25:16.68 ID:sxxCs+RHo
良い所で切りやがって!


246 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/10(金) 05:40:47.40 ID:iiAtPWojo
男さぁぁぁぁん!!!

247 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/10(金) 12:22:10.01 ID:o5l8Q8dh0
墓場立ちション系だと思ってたらこんなことに…

248 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/10(金) 13:58:37.18 ID:z7QFzZJS0
続きが……くぉぉぉ……!

249 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/10(金) 15:40:50.85 ID:uXi/Nowp0
このコーヒー苦すぎるんだけどはやく砂糖用意して

250 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/12(日) 18:59:53.22 ID:MqkE3KNv0
仕事はこれ以上にないくらいに順調だった。
飲食店、パチンコ店、裏カジノ、風俗店等へのみかじめ料(守料)の設定、取立。
借金の持ちかけ・取立。
揉め事が起きた時の仲裁・肩入れ。
企業に対する総会屋紛いの脅し・総会屋対策の用心棒の請負。
暴力が関わるあらゆる仕事で、俺は他人の半分の努力で、他人の倍以上の成果をあげることができた。
親父さんのもとでずっと働いてきた年上の男を追い抜き、俺は親父さんの右腕になった。
親父「かわいい息子だ。本当の息子のようだ。お前が俺のもとへ来てくれてよかった」
親父さんは寿司を食べながら満足気に笑った。
親父「ほら、飲め飲め」
男「酒は大丈夫っす」
親父「そうか」
親父さんは左手に持ったビールを、1時間前から親父さんの足元で土下座している男の頭に流した。
床ににおいがうつるのでやめてほしいと思った。

251 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/12(日) 19:14:25.27 ID:MqkE3KNv0
男「また出張ですか」
親父「嫌か。電車なら酔わないんじゃなかったか」
男「嫌じゃないですが」
親父「ついでに羽を伸ばしてこい。九州には上手い食べ物がいっぱいあるぞ」
男「働きますよ」
親父「死なない程度に頼むよ」
男「うさぎと亀の話ってあるじゃないですか。あの話の教訓はなんだと思います?」
親父「俺に人生論を語るつもりか」
男「はい。走るうさぎには誰も勝てないということです」
男「俺はこの世界で頂上に登り詰めますよ」
俺は、自惚れていた。
それは、自分が優れた人間であるとか、他人が劣った人間であるとか、そんな単純な勘違いではなく。
自分は幸せというものについて理解しているという、恐ろしい勘違いだった。
幸せは、制するものだと思っていたのだった。

252 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/12(日) 19:24:15.50 ID:MqkE3KNv0
最近、事務所にいる時間が少なくなっている。
やけに遠くの地に仕事で行かされる。
暴力とはまるで無縁の、倉庫の物品の確認をやらされることもある。
こんな仕事ならわざわざ俺にやらせる必要はないと不満に感じてもいたが。
俺は想像した。
俺の最近の活躍ぶりを、煙たがっている人間は多い。
年上の男の年下の男に対する嫉妬は深い。
自分より仕事のできる年下など絶対に認められない。
これが表の男の世界なら、頭脳や学歴に。
女の世界なら若さや美貌に向かうのかもしれないが。
俺のいる狭い社会では、暴力に価値が置かれる。
そして、俺は1番暴力に恵まれていた。
男「俺の才能が軋轢を生んでいるのかもしれないな」
傲慢も甚だしい独り言をつぶやいていられるほど、俺はまだ愚かでいられた。

253 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/12(日) 19:40:19.94 ID:MqkE3KNv0
親父「久しぶりだな、お前とこうやって湯に浸かるのは」
男「そうですね」
親父「うちには慣れたか」
男「仕事にはなれましたが、親父さんは遥か彼方です」
親父「失礼な馬鹿だな。そもそも土俵がちげぇんだよ」
男「今いる土俵は好きです」
親父「暴力が向いてると思うか」
男「はい」
親父「暴力は好きか」
男「感情は持ち込みません」
親父「嫌いだろ」
男「わかりません」
親父「わからないってことはノーってことなんだよ」

254 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/12(日) 19:41:33.85 ID:MqkE3KNv0
親父「お前、スカウト来てるだろ」
男「来てます」
親父「いくらでもちかけられた」
男「今の二倍ほど」
親父「どうして断った」
男「わかりません」
親父「わかりませんじゃわからないだろ」
男「わからないものはわからないですよね」
親父「裏切ったりしないよな」
男「安心したいなら、今の二倍俺に金を積んでくれればいい」
親父「本気で言ってるのか」
男「冗談でからかったりしませんよ」
親父「随分偉そうになったな」
男「本音で話せるようになるまで働いただけです」
親父「積もう」
男「本当ですか」
親父「その代わり裏切るなよ」
男「はなからそのつもりはありませんよ」
親父「一生誓うか」
男「義理を忘れるわけありません」
親父「なら、お前も刺青入れるか」
男「それは断ってるじゃないですか」
親父「形で示せ。俺も今金で示した」
男「義理を形で示したのが刺青ってことですか」
親父「どうして嫌がるんだよ」
男「今までの自分を失ってしまいそうだから」
親父「まだ自分のことが好きなのか」
男「好き嫌いじゃないですよ」
親父「じゃあなんだ」
男「それは……」
母親という呪縛から、逃れられないでいるから。
ここまでの本音は言えなかった。

255 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/12(日) 19:45:27.61 ID:MqkE3KNv0
男「親父さんは、まだ諦めていませんか」
親父「かつて見た美女との再会か?」
男「はい」
親父「あれは追う夢じゃないからな」
男「じゃあなんですか」
親父「見る夢だ」
男「追う力が今ならあるでしょう」
親父「俺にだって怖いものがあるんだよ」
男「後悔しませんか」
親父「少し黙れ」
男「はい……」
親父「…………」
男「…………」
親父「のぼせてないか」
男「えっ」
親父「よく喋ってるだろ。のぼせてるんじゃないかって」
男「少しだけ。でも大丈夫です」
親父「そうか」
男「はい」
親父「悪かったな。出会った頃は、無理やり長湯に付き合わせちまって。のぼせてたんだろ」
男「い、いいんですよ」
親父「上がりたきゃあがれ」
男「親父さん」
親父「なんだ」
男「不治の病かなんかですか」
親父「馬鹿言え」
男「す、すいません」
親父「温泉入っているうちは健康だ」
男「そうですね」

256 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/12(日) 20:00:01.60 ID:MqkE3KNv0
男「裏の大阪は、噂以上に危険でしたね」
親父「飯はうまかったろ」
男「親父さん、どうして表と裏が生まれてしまうんですかね」
親父「表と裏?」
男「昼間の街と夜の街です。あるいは、犯罪があるかないか。薬と、ギャンブルと、貧困と、性」
男「どうして裏の世界が生まれてしまうんでしょうか」
親父「裏は昔からあったものだろ。それだけで楽しいというものだ。一人の快楽が全体への害を上回ったら取り締まられるんだよ。タバコが許されてるのは税金のおかげだ。パチンコが許されているんだから、今にギャンブルも公に認められるようになる」
男「そうですか……」
親父「お前、しばらくここに住め。そのくだらない考え事もしながら働ける」
男「急ですね」
親父「関西をお前に任せる。そろそろ独り立ちしてもらわないとな」
男「いいんですか」
親父「嬉しいか」
男「暴力だけで解決できますか」
親父「出来ないことの方が多い」
男「大丈夫ですか」
親父「俺に大丈夫を求めるな」
男「…………」
親父「細かいことは今日来た事務所の連中に聞け。それじゃあ、達者でな」

257 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/12(日) 20:12:13.37 ID:MqkE3KNv0
俺はこの夜近くのホテルに泊まりに行く、のではなく、親父さんを尾行した。
仕事を放棄したのはこの日が初めてだった。
翌日の出社には確実に間に合わないが、多少言うことに逆らっても問題はないという自惚れもあった。
親父さんは警戒心の強い人間だったが、俺も仕事で尾行することには慣れていた。
大阪から名古屋、名古屋から都内まで移動し、事務所に一度寄った後、親父さんはボロアパートの中に入っていった。
ここで暮らしているのだろうか。
人前では豪快なお金の使い方をするが、本当はお金に余裕がなかったりするのだろうか。
親父さんの家庭の事情はよく知らない。
息子が欲しかったとよく言っていたが、あれは本心なのだろうか。
踏み入ってはいけない領域な気がしていた。
恐怖を制して一度近寄って表札を見てみると、親父さんの名前ではなかった。
愛人の家だろうか。それとも、親父さんの隠された本名だろうか。それともこの表札も偽名なんだろうか。
しばらく観察していたが、何も変わった出来事は起こらず、その場を離れることにした。
そうだ。
俺には、もう一つ立ち寄らなければならない場所があった。
自分のバッグに詰めてある200万円近くの金を確認したあと、俺は実家に向かった。

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