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キモオタ「我輩がおとぎ話の世界に行くですとwww」ティンカーベル「そう」
Part165


62 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/11/14(月)00:45:38 ID:XQv
アシェンプテル「私はここにきて日が浅いからよくわからないが…君もなかなか大変そうだな」
白ウサギ「そうなんですよぉ…皆さん、根はいい方なんですけどね?なにしろ自己主張の塊みたいな人ばっかりなんで、喧嘩が絶えないんですよー…」
白ウサギ「まぁなんだかんだ大事にはならずに済んでますけど、もっと穏便にしてほしいんですよ。私は」
アシェンプテル「それにしても皆、アリスのことが好きなんだな。あいつの名前が出た途端、争いがピタッと止まった」
白ウサギ「そうですね、この世界に住んでいる人は皆アリスさんの事、大好きですから」
白ウサギ「それにアリスさんは今、大きな目的の為に頑張っています。余計な心配をかけたくはないという気持ちは…皆さん持っているみたいですね」
アシェンプテル「仲間に愛されているんだな、アリスは」
白ウサギ「そうですよ。よその世界じゃアリスさんを恨んだり憎しみの言葉を吐く人もいるみたいですけどね…」
白ウサギ「確かにアリスさんの行為は、他の人にとっては迷惑だと思います。それは否定しません。でもですね、それでも私達にとってアリスさんは…大切な仲間なんです」
白ウサギ「だから私たちはアリスさんを応援します。誰に何と言われようとそれは曲げられません。たとえそれが悪と呼ばれる行為だとしても…私はアリスさんにずっと付きしたがう覚悟できて」
アシェンプテル「いいんじゃないか、今の私は君たちを止めるつもりも咎めるつもりもないから」
白ウサギ「エヘヘッ、でも今のはなんだか恥ずかしいんでアリスさんには内緒ですよー?」

63 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/11/14(月)01:51:06 ID:XQv
アリス「悪いけど、もう聞いちゃったよ。白ウサギ」クスクス コッソリ
白ウサギ「ええぇぇ!アリスさん!?ちょっとこっそりしないでくださいよ、恥ずかしいんですからー!」
アリス「こっそり聞くつもりなんか無かったんだけどね、耳に入ってきたんだ」クスクス
チェシャ猫「よくもそんな嘘を…お前、さっき『白ウサギとアシェンプテルが何か話してるね、面白そうだから盗み聞きしようか』なんて言っていただろう」
アリス「あれ、そうだったかな…?そんなことよりアシェンプテル、口調変えたんだね。そっちのほうが今の君に似合ってるよ」
アシェンプテル「そうか、それならしばらくはこれでいこうかな。もう丁寧な口調を強いられることもないからな」フフッ
チェシャ猫「アリスのやつ当然のようにごまかしやがった…」
帽子屋「あらあらあら〜?アリスちゃんいつの間に戻ってきてたのよぉ〜!待ってたのよ私達〜!掛けてよ一言ぉ〜」クネクネ
三月ウサギ「まったくだぜー、今茶を入れるからちょっとだけ待てよー?」
ハートの女王「まったく…いつまで待たせるつもりだ!さっさと席に就けアリス」
アリス「言われなくたってそうするよ。さてと……みんな少しだけいいかな?早速で悪いんだけど作戦会議を始めようか」

72 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/11/20(日)01:09:46 ID:Snx
不思議の国のアリスの世界 三月ウサギの庭
・・・
アリス「よし、みんな揃っているようだね。それじゃあ作戦会議を始めようか」
白ウサギ「えっと…ちょっといいですかアリスさん?作戦会議はいいんですが……今回は一体何について話をするつもりなんでしょう?」
帽子屋「それ、私も気になるわねぇ〜…だって作戦会議なんて、ぶっちゃけ今更って感じよぉ?無駄じゃなぁい?」ブホホ
アリス「フフッ、帽子屋は会議がお気に召さないのかな?僕はこうして皆とお茶しながらあーだこーだと話すのは大好きなんだけどな」
帽子屋「あらやだ!別にアタシは会議するのが嫌ってわけじゃないのよ?みんなとお茶するのはアタシも大好きよぉ〜!」ブホホ
帽子屋「アタシが言いたいのは会議してる時間あるならドンドン別世界に渡って魔法具かっぱらっちゃった方が速くない?って事よぉ〜」クネクネ
三月ウサギ「まぁ…一理あるな。今の俺達がすべきことは魔法具や魔力の収拾だ。それをとにかくたくさん集めて【アラジンと魔法のランプ】の世界の結界をブチ壊す…ってのがとりあえずの目標だからな」
三月ウサギ「その目標を達成するのに手段なんざ問わねぇんだ。となると強力な魔法具を持って行ってよぉ、多少無理やりでもいいからゴリ押しで強奪した方が早いちゃ早いよな」
帽子屋「そうそう!それが言いたかったのよぉ〜!さすが三月ウサギちゃんは話がわかるわねっ!ブホホ!」
ハートの女王「フンッ、いかにもケダモノが考えそうな単純な策だ。いいや、策と呼べるほど知的なものではないな」
三月ウサギ「んだとオラァ!テメェみたいな七並べクソ弱ババァに言われたかねぇんだよ!」バンッ
ハートの女王「七並べクソ弱ババァ…!?な、なんという無礼な奴!貴様、覚悟はできておろうな!」ダンッ
白ウサギ「お、お二人とも落ち着いてください!なんでそんなに血の気が多いんですか…!」
ハートの女王「チッ……」
アリス「なんだか今日、女王は特に機嫌が悪そうだね。何かあったのかな?」

73 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/11/20(日)01:16:18 ID:Snx
三月ウサギ「聞いてくれよアリスー!実はさっきみんなで七並べしてたんだけどよ、ハートの女王クッソ弱くてさぁー!ほぼ全敗してやんの!笑っちまうよなー!」ゲラゲラ
ハートの女王「ええい黙れ黙れ!あんなものは単なる余興に過ぎん、無効だ無効!」
チェシャ猫「呆れたな…トランプで負けて機嫌を損ねるとか子供じゃあないか。実にくだらない」
ハートの女王「やかましい!チェシャ猫、貴様まで私を愚弄するか…!即刻その首を刎ねてやる!」ギロリ
チェシャ猫「やれるものならやってるといい。もっとも、首が無い者の首を刎ねることができるのなら、だがな?」スゥゥ
ハートの女王「こやつまた透明化を…!卑怯者めが!姿を現せ!」バンッ
アリス「ほらほら、チェシャ猫。女王をおちょくるのはそろそろやめてあげたらどうだい?」フフッ
チェシャ猫「フンッ…いいだろう。こいつをおちょくっていても話が進まんからな」スゥゥ
ハートの女王「女王たる私にその不遜な態度…!いずれ必ず報いを与えてやる、覚悟しておくことだ!」
チェシャ猫「……」フイッ
アリス「フフッ…ボクは女王の気持ちわかるよ。ゲームといえどトランプで負けるのは案外悔しいものだからね。イライラするのも仕方ない」
ハートの女王「…言っておくがな、私は何もトランプで負けたから機嫌を損ねているわけではーー」
アリス「ねぇハートの女王。どうせならそのストレス…思い切りぶつけてみるっていうのはどうだい?」
アリス「例えば、ボク達にとって目障りな敵……雪の女王なんかにさ」クスクス

74 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/11/20(日)01:19:01 ID:Snx
白ウサギ「なっ、何言ってるんですかアリスさんんんん!!ジョークにしては性質が悪いですって!」ワタワタ
アリス「ジョーク?そんなものを言った覚えはないけれど」
白ウサギ「アリスさんだってわかってるはずでしょう!?雪の女王と言えばおとぎ話の世界でも屈指の魔力を誇る魔女なんですよ!?ハートの女王様が挑んだところで一瞬で返り討ちですよ!無駄死にですよ!?」
ハートの女王「……言いたいことはそれだけか?白ウサギ」ギロリ
白ウサギ「あっ、いや違くて…えっと…お美しくてお強い女王様といえど絶対に一筋縄じゃあいきませんよ!?雪の女王を倒すという事はさながら冬を夏に変えるようなーー」
アリス「ふふふっ、それと同じことをチェシャ猫が言っていたよ、なんだい流行っているのかい?それ」クスクス
白ウサギ「なぁに笑ってんですか!だいたいですよ!?ずいぶん前の会議で決めたじゃないですか!雪の女王を相手にするのは必要な魔法具がすべて集まってからにしようって!」
白ウサギ「それほどの準備が必要だって結論になったじゃないですかあの会議で!だからまだ早いです!魔法具を集めきったわけでもないのに雪の女王に挑むなんてーー」
アリス「フフッ、みんなの反応が面白くて黙っていたけどそろそろ勿体ぶるのはおしまいにしようかな」クスクス スッ
コトン
アシェンプテル「なんなんだその小瓶は…?」
帽子屋「なんだか黒い液体っぽいの入ってるわねぇ…あら、もしかしてこれタールかしらぁ?」
アリス「ご名答だよ帽子屋。これは僕がさっき手に入れた魔法具、ホレおばさんのコールタールだ」
アリス「この魔法具を含めて遂に、僕たちは【アラジンと魔法のランプ】の結界を打ち消すために必要なだけの魔力を手にすることができたんだよ」

75 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/11/20(日)01:30:22 ID:Snx
白ウサギ「なんと…そうだったんですね!長い道のりでしたけど遂にこの日が来たんですね!」パァアァア
帽子屋「なんだか感慨深いわねぇ…!ようやくこれで魔法のランプを手に入れる目処が立ったわけねぇ…ブホホ!嬉しくなっちゃうわぁ〜!」
ハートの女王「始めは無理ではないかと思ったものだ。時間はかかったが…これでようやく我々の、そしてアリスやルイスの願いを叶えることができるという訳か」
三月ウサギ「うおぉー!なんかテンション上がってきたぜぇー!ワイン開けようぜワイン!」ウキウキ
アリス「確かに喜ばしいことだけど、盛大なお祝いはすべてが終わってからにしよう。というか…ワインなんか持ってないだろう?君は」クスクス
三月ウサギ「まぁ持ってねぇんだけどさ!でもそれくらい嬉しいってことよ!いやぁ…ようやくかぁ!否が応でもテンション上がるぜー」
アシェンプテル「なんだか皆嬉しそうだな。そんなに喜ばしいことなのか?」
三月ウサギ「そりゃそうだぜー、アリスの目的を達成するには魔法のランプが必要なんだが結界が邪魔だったんだ。それを壊せるだけの力を得たってことは…だ」
三月ウサギ「そりゃもう、ほとんどアリスの願いを叶えることができたって事だ。そりゃみんな喜ぶって」
アリス「そうなんだよアシェンプテル。君は最近ここに来たから知らないだろうけど…」
アリス「僕たちはね、ずっとずっと昔からこの日を待ちわびてきたんだ。魔法のランプを手にするため、結界を破壊するため…さまざまな世界へ移り飛んで強奪や窃盗を繰り返した」
帽子屋「ウフフッ、そして今ようやくその苦労が報われるんだから嬉しくもなるわよねぇ〜」ブホホ
アリス「だがその苦労ももう過去の話。魔法具が揃った今、僕たちは次のステップに進む必要がある」
アリス「それが最後の邪魔者…雪の女王の始末だ」

76 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/11/20(日)01:38:53 ID:Snx
アリス「ボクたちは今までに数々の邪魔者を始末してきた。そして最後に残ったのが雪の女王…彼女を始末せずに先には進めないよ」
帽子屋「確かに雪の女王はなんとかしなくちゃ、私達の障害になりうるものねぇ」
ハートの女王「だが逆にいえば最も警戒すべき相手である雪の女王を倒しさえすれば私達の動きも円滑で目的を果たすこともたやすくなるだろう」
白ウサギ「そうですよね…ランプを手に入れる前に雪の女王は始末しておきたいところですね」
アリス「……と、いうわけだハートの女王。雪の女王の始末、手伝ってくれるかい?」
ハートの女王「いいだろう、ちょうど退屈していたところだ。アリスが女王たるこの私の力を借りたいというのならば…それに応えてやろうではないか!」
ハートの女王「アリスよ、そしてお前達。大船に乗ったつもりでいるがよい!雪の女王を始末するのはこの私…クイーン・オブ・ハーt」キリッ
三月ウサギ「ところでよぉ、アリスは前に【雪の女王】の世界行っただろ?女王にはかなわなくても主人公のゲルダとかカイとか殺しちまえばあの世界も消えて女王も巻き添えで殺せたんじゃね?」
アリス「あの時の目的はあくまで鏡の破片だったからね。まぁ殺せればラッキーとは思っていたけど女王は別世界へ出向いていたからね」
アリス「あの時、【雪の女王】を消したとして女王を殺すことはできなかったのさ。だが…今回は違う」
アリス「女王はきっと、前回のボク達の侵入で防衛を強化している。つまり女王はあの世界にとどまっているはずだ。それなら今度は…世界を消すことで女王も巻き添えで始末できる」
三月ウサギ「おぉー、なるほどな!ようやく理解できたわー」
ハートの女王「というか貴様、私の台詞に被せてくるなど…私を何だと思っているのだ……!」ギロリ
アリス「ほらほら、その怒りは雪の女王にぶつけるために取っておこうよ。今はどんな方法で雪の女王を始末するか相談しよう。他に決めたいこともあるしね」
アリス「キチンと話し合って計画して、そしてボク達の夢をつかみとろうじゃないか」フフッ
・・・

77 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/11/20(日)01:40:47 ID:Snx
雪の女王の世界 深夜 キモオタ達が休む客間
・・・
白鳥「失礼するよキモオタ君!ティンクちゃん!大変な事が起きてしまった…!」バターン!
グーグー グースカピー
親指姫「この非常事態にこいつらはグーグーと…おい貴様ら!寝ている場合ではない、起きろ!」ゲシゲシ
キモオタ「ムニャムニャ…ドゥフフwww遂に我輩の自宅前にマックとケンタッキーとストロベリーコーンズが同時出店ですぞwwwなんというユートピアwww…ムニャムニャ」グーグー
ティンカーベル「スヤスヤ……うへへへっ、遂に私とピーターパンのフィギュアがチョコエッグのオマケになったよーみんな買ってね……スヤスヤ」スースー
親指姫「…寝ても覚めても貴様は食い物の事ばかりか!起きろ愚か者!」ブスリッ
キモオタ「痛ブヒィッ!?な、なんでござるか一体!?…ややっ、白鳥殿と親指姫殿?どうしてここに?」
ティンカーベル「もぉ…うるさいなぁ……あれっ?チョコエッグは……?」ポケー
親指姫「寝ぼけるな羽虫!貴様のフィギュアに需要など無い!さっさと目を覚ませ馬鹿者が!」フンッ
ティンカーベル「は、はぁー!?勝手に部屋に入ってきて人の寝言聞くとか趣味悪いんじゃないですかぁー!」イラァ
キモオタ「ちょ、ティンカーベル殿落ち着くでござる。まだ日も昇らぬうちに我々を訪ねるという事は、何かあったのですな白鳥殿?」
白鳥「そうなんだ、二人ともすぐに支度をしてエントランスに集まってほしい。これは女王からの伝言だよ」
ティンカーベル「えっ、今から!?ねぇ白鳥、一体何が起きてるっていうの?」
白鳥「何者かがこの【雪の女王】の世界に侵入したんだ。それも強い魔力の反応があるらしい、だから侵入者はおそらく…」
キモオタ「アリス殿の一派…である可能性もありますな。すぐに支度をするでござるよ、ティンカーベル殿!」
ティンカーベル「だねっ!わかったよ!」

78 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/11/20(日)01:43:23 ID:Snx
雪の女王の宮殿 エントランス
・・・
キモオタ「女王殿ー!お待たせしてしまって申し訳ない!」ドスドス
ティンカーベル「詳しく聞いてないけど大変なことになってるんだよね?」ピュー
雪の女王「ああ、叩き起してしまってすまないが…緊急事態だ。君達にも侵入者の排除に協力して欲しい」
ティンカーベル「任せて!なんでも手伝うから言ってね!」
キモオタ「そうですぞ!して…侵入者というのはやはりアリス殿の一派でござろうか?」
雪の女王「はっきりとはわからない。そう考えるのが妥当だが、別世界の協力者が訪ねて来ただとか偶然この世界に迷い込んだといった可能性もある。だが…」
雪の女王「妙な胸騒ぎを感じる…この世界が危険にさらされているようなそんな不安が胸を覆っているんだ」
ティンカーベル「まぁわかんないよね…でもさ、とりあえずアリス達が何かしてきたって考えて行動したほうがいいんじゃない?警戒するにこしたことはないもんね」
キモオタ「そうですな。思い過ごしならそれはそれで構わんわけでござるし、ここは侵入者を迎え撃つ方向で動くべきですな」
雪の女王「あぁ、私もそう思って君達を起こしたんだ。だが…この宮殿の近くに魔力は感じない。侵入者は少なくとも今のところこの宮殿を標的にしていないということだ」
キモオタ「アリス殿の一派がこの世界を襲いに来たと仮定すれば一番に狙うは女王殿のはず…しかしこの宮殿が襲撃される様子がないという事は…」
ティンカーベル「女王以外の誰かを襲おうとしてるってことだよね?そう考えると危険なのはこのおとぎ話で重要な役割を持ってる人、例えば……」
スッ
カイ「このおとぎ話【雪の女王】の主人公、ゲルダ。女王と俺以外でまず標的にされるとすりゃあ…間違いなくあいつだろうな」

79 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/11/20(日)01:50:11 ID:Snx
今日はここまでです
強制sage付いちゃったな…仕方ないけど
【ピーターパン】が復活してティンクがチョコエッグのおまけになる日は来るのか!?
次回更新は明日を予定しています!

80 :名無しさん@おーぷん :2016/11/20(日)02:00:01 ID:2s0
おつおつ
久々リアルタイムでみれたわ。いよいよ始まるんやな…

81 :名無しさん@おーぷん :2016/11/20(日)03:13:22 ID:5Gq
乙!
キモオタ出たー!(*´ω`*)
Sageになっちゃったのか…上げとけば良かった…orz

82 :名無しさん@おーぷん :2016/11/20(日)17:06:13 ID:6Y1
支援

83 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/11/21(月)00:34:49 ID:xUS
雪の女王「カイ…。起こしてしまったか、状況が状況だけに君には黙っておくつもりだったんだがな…」
カイ「寝室の前を豚が駆け抜けていったんだ、そりゃあ目ぇ覚めちまうだろ」
キモオタ「ちょwww吾輩のせいだったwww」コポォ
カイ「というかなぁ…ヤベェ状況だってんならなおさら俺に黙ってるのはおかしいだろ。普段は『家族は協力すべき』とか言ってるくせに…なぁ女王?」
雪の女王「…そうだな、すまなかった。君にも声を掛けるべきだった」
カイ「当然だろ。この世界が襲撃されたって事は俺も心臓を握られてるようなもんだからな。他人事じゃねぇんだ」
ティンカーベル「うんうん、それにお友達のゲルダが危ない目にあってるかも知れないっていうのに寝てなんかいられないよね」
カイ「……別にゲルダが殺されようがどうなろうが俺の知ったこっちゃねぇけどな」フイッ
ティンカーベル「はぁー?ちょっと、そんな言い方無いじゃん!ゲルダはカイが心配で旅してんのに!」プンスカ
カイ「それはあいつ自身が決めたことだ。女の一人旅が危険だとわかった上での決断、どんな目に合おうと自己責任だ。たとえそれが俺のためであってもな」
キモオタ「カイ殿…」
カイ「だがよぉ、この世界に関係ねぇ余所者に狙われてるってなら話は別だ」
カイ「女王、俺にできる事だったらなんでもする。だからあいつの覚悟と決断に水を差すような馬鹿共を返り討ちにしてやろうぜ、後悔しちまうほどにな」
雪の女王「あぁ…当然そのつもりだ。相手が誰であろうとこのおとぎ話に、この世界に、この世界の人々に危害を加えるつもりならば……」スッ
パキパキパキ…
雪の女王「相応の歓迎をしてやらなければな」
キモティン「……」ゾクッ

84 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/11/21(月)00:37:10 ID:xUS
ティンカーベル「ね、ねぇキモオタ…今、女王なんかメッチャ怖い感じしなかった…?」ヒソヒソ
キモオタ「た、確かに…ぱっと見普段と変わらない表情でござるけど内心相当怒っているのでは…」ヒソヒソ
ティンカーベル「そりゃそうだよね…アンデルセンが作ってくれた大切なおとぎ話を壊そうとしてる奴が来てんならそりゃ頭にくるよね」ヒソヒソ
キモオタ「普段は優しいアンド親切でござるから忘れてたでござるけど、ヘンゼル殿もグレーテル殿もそして司書殿も口をそろえて言ってましたな……『女王は怒ると怖い』と」ヒソヒソ
ティンカーベル「言ってたね…子供好きの優しいおねぇさんにしか見えないけど、ホントはすごい魔女だもんねぇ…」ヒソヒソ
親指姫「女王様、私は一つ疑問に思う事があります」
雪の女王「なんだい、親指姫?」
親指姫「話を聞いていると…襲撃されたのが主人公のゲルダだと言う方向で話が進んでいます、しかし本当にそうでしょうか?」
親指姫「確かにゲルダが標的にされる可能性は極めて高いです。ですが物語において重要な役割を持つ者は他にも存在します。ですので…決めつけてかかるのは危険ではないでしょうか?」
雪の女王「確かに君の考えも的を射ている。だが…相手がアリスの一派ならば今回の標的は間違いなくゲルダだよ」
親指姫「何故、その確信が持てるのです?」
雪の女王「アリスの目的はこの世界の消滅ではないからだよ、親指姫」
雪の女王「彼女の目的はこの私、雪の女王の殺害…あるいは無力化だ」

85 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/11/21(月)00:42:12 ID:xUS
ティンカーベル「あれ…?でもそれならわざわざ他の誰かを襲うよりも直接女王を襲ったほうが早いんじゃない?アリス的にはさ」
親指姫「馬鹿か貴様は。何故、今この世界が襲撃を受けているのかわからないのか?」
ティンカーベル「馬鹿とはなんだバーカバーカ!それくらいわかるし!今言おうと思ってたし!」
親指姫「それならば言ってみろ。襲撃者がアリスだと仮定して、何故『今』だ?」
ティンカーベル「えっ」
親指姫「アリスにとってキモオタに協力しているうえに強力な魔力を持つ女王様は目障りでしかない。それなのに何故今まで女王様に手を出さなかったのか?」
ティンカーベル「そんなの決まってるじゃん!あれだよ、ほら…キモオタ!説明してやってよそこのチビっ子にさ!」
キモオタ「ちょwwwマル投げされてもwww」
カイ「アリス側にとっても女王は強敵だって事だ。目障りな存在ですぐにでも消したい、だが…確実に倒せる保証が無かった。だから手を出せないでいたんだろ」
雪の女王「だからこそ機会を窺っていたんだ。私が実力を発揮しにくい状況を見計らっていたんだな、何しろ今は私達にとって一番襲撃されたくない時だ」
雪の女王「君達の特訓相手で私も多少疲労を感じている。そして君達が【不思議の国のアリス】に向かう前日の夜中、意識が明日に向いている状態への不意打ち…今ならばこの私も万全な状態とは言えないからな」
ティンカーベル「そーいうことだよ!わかったかチビっこ……って、ちょっとまってよ!それじゃあ私たちが特訓してもらってることも明日が作戦の日だってことも…!」
キモオタ「我々の計画というか作戦がアリス殿には筒抜けだったという事でござるか…!?」
女王「そう考えたほうがいいだろう、偶然にしては…あまりにタイミングが良すぎる」

86 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/11/21(月)00:45:27 ID:xUS
ティンカーベル「なっ、なんで!?なんでアリスにばれちゃってるの!?やばくない!?」ワタワタ
親指姫「今気がついたのか?このタイミングで奇襲があった時点で予想は出来ただろう」
キモオタ「…青い鳥殿のスパイの他にも我々の動きを知る方法があるという事でござろう。悔やんでも仕方ないでござるが我々、少々甘かったようでござる」
カイ「その上、ゲルダを襲う事で女王の退路を断とうとしてるんだろうな」
カイ「直接女王を狙った場合、女王を劣勢に追い込んでも別世界に逃げられる可能性もある。だがゲルダを襲う事で『【雪の女王】の世界の消滅』を匂わせておけばこの世界から逃げるなんてできねぇからな」
キモオタ「ということは女王殿のこの世界に対する思いまでアリス殿は知っていると…!」
白鳥「そうでなくともゲルダさんを…子供を見殺しにするなんてできない性格だってことも筒抜けなんだろうね」
雪の女王「それにこの物語で重要な役割を持つ私達や他の人物と違って、ゲルダには常に出番がある」
雪の女王「例えば私やカイがここで死んだとしてもすぐには世界は消滅しない。私達の物語での出番は終盤だからな、だがゲルダは違う」
雪の女王「ゲルダが死ねばその時点で物語は立ち行かなくなる、消滅するしかない。だからこそゲルダを狙われてしまえば私は彼女を救いつつ自らの身を守り、なおかつこの世界も守らなければいけない」
親指姫「そうか…世界の消滅を匂わせるならゲルダを狙う必要があるという事か」
雪の女王「つまり、この状況は私を確実に殺すためにアリスが仕向けたものといえる。確かに不利な状況だ、あれもこれも守りつつ戦うのは厳しいだろう。とはいえ……」
雪の女王「この世界を差しだすつもりも、この命を投げ出すつもりも私にはありはしないがな」

87 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/11/21(月)00:47:57 ID:xUS
ティンカーベル「っていうことは…ゲルダがやばいじゃん!悠長に状況分析とかしてる場合じゃないんじゃない!?」
キモオタ「確かにそうですな!女王殿、今すぐに皆でゲルダ殿の元に向かうでござるよ!」
雪の女王「ここで焦っては相手の思うつぼだ。危機的状況な時ほど、冷静にならなければならない」
キモオタ「それはそうでござるけど…」
雪の女王「焦って穴だらけの作戦にしがみついてはいけないからな。では今の話を踏まえてみんなには私の言うように動いてもらいたい」
白鳥「お任せください!この白鳥…戦いぶりでもイケメンだという事をお見せしましょう!」
親指姫「女王様の命令ならば信用できます。この世界、女王様やゲルダの命を守るため…なんでも申しつけてください」スッ
雪の女王「頼もしい返事だ。まず私だが、今からゲルダの元へ向かう。有事に備えてゲルダが通るルートは目星をつけてあるから到着までにそう時間はかからないだろう」
雪の女王「親指姫と白鳥は私に同行してくれ。機動力のある白鳥と相手の虚をつける親指姫は私にできない仕事をこなしてくれるだろうから」
白鳥親指姫「わかりました!」「お任せください!」
雪の女王「そしてキモオタとティンカーベル、そしてカイだが…」
ティンカーベル「まかせて!私も女王と一緒に行ってアリス達のことボッコボコにしてあげるから!」フンス
キモオタ「女王殿に比べたら我々の戦力などチョイ足しみたいなもんでござろうがwwwしかし助力いたしますぞwww」
雪の女王「いいや、君達とカイにはこの宮殿に残ってもらう」
キモティン「えっ!?」

88 :◆oBwZbn5S8kKC :2016/11/21(月)00:50:10 ID:xUS
ティンカーベル「なんでなんで!?アリス達がゲルダ狙ってるならみんなで行ったほうがいいじゃん!」
キモオタ「ぶっちゃけ、女王殿の特訓のおかげで我々も足を引っ張らない程度には戦えると思うのでござるが…」
ティンカーベル「そうだよ!戦力は多いにこしたことないって!カイだってそう思うよn」
カイ「わかった。俺は宮殿に残る、侵入者共は女王に任せた」
ティンカーベル「えぇーっ!?ここはゲルダを助けに行くところじゃん!意地張らないでいこうよ!」
カイ「あのなぁ…お前らちったぁ考えろよ。アリス側だって失敗はできねぇ戦いなんだぜ?もしもここまでやっても女王に敵わなかったって場合の策も考えてあるだろ」
キモオタ「確かに…よく考えればゲルダ殿を餌に女王殿をおびき寄せて女王殿と誰かが戦っている間に別の誰かがこの宮殿を襲撃するパターンも考えられますな」
カイ「相手に女王の事が色々と筒抜けになってるって考えた場合よぉ…この宮殿を捨てられないってこともバレてるだろうからな」
ティンカーベル「えーっ?この宮殿ってそんなに大切なもんなの?もし壊されても女王だったらパパッと治せるんじゃないの?」
キモオタ「いや…直せるとか直せないとかの問題ではないのでござろう。この宮殿はただの氷で出来た建造物ではないのでござるから」
ティンカーベル「えっ?なになにどーいうこと?」
キモオタ「この宮殿は女王殿にとっては家族との思い出の詰まった家でござるよ?元々一人で孤独に暮らしていた女王殿のところにカイ殿が来て、ヘンゼル殿グレーテル殿と暮らし、司書殿を加えて…長い間暮らした団欒の場所でござる」
キモオタ「その上、ヘンゼル殿達には…もう帰る場所はここしかないのでござる。女王殿の性格を考えると、そう容易く手放せはしないでござるよ」