神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」
Part91
607: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/30(日) 21:35:38 ID:K1rUDJU.
神使「箒を持たせて神様の右に出るものはおりませんから」
神様「やっぱり?」
神使「神様の箒捌きは、神宮の庭師の方ですら真似できないと言わしめるほどです」
神様「だよね〜 まぁこの位の広さの参道なら半日やればできちゃうけどね!」
友「半日!? 1人でですか?」
神様「あれ〜 信じてないな? よかろう! 神使くん、箒を」
神使「はい、どうぞ」スッ
神様「その目で刮目せよ、神ちゃんの箒捌きを!!」タッタッタッ
友「・・・単純で良いな」
神使「はい」
608: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/30(日) 23:26:29 ID:K1rUDJU.
─── 参道入り口
サァ サァ
神様「♪夏も近づく八十八夜〜」
じいさん「おんや〜 珍しい。 巫女さんがおる」ヨロヨロ
神様「おはようございます。 絶好の徘徊日和ですね」
じいさん「じじいはそれが仕事じゃからの」
神様「その年でボケないのは毎日の徘徊のおかげという事ですね!」
じいさん「徘徊するのはボケてる証拠じゃがな」
神様「面白い!」ハハハッ
じいさん「じゃろ?」ハハハッ
神様「・・・・・・」
じいさん「・・・・・・」
609: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/30(日) 23:28:05 ID:K1rUDJU.
神様「じいさんはこの村は長いの?」
じいさん「生まれてからず〜とこの村に住んどるな」
神様「じゃぁ、この神社の事って詳しい?」
じいさん「不思議な所じゃよ」
神様「不思議?」
じいさん「入り口の横に池があるじゃろ?」
神様「ん? あ〜 まん丸の小さい池があるね」
じいさん「参道をはさんで反対側にもあるんじゃよ」
神様「そうなの?」トテトテ
じいさん「今は枯れているがのぉ」
神様「本当だ、空っぽ」
じいさん「小宝池と言ってな? 池の水はとても清らかで“宝水”と言われているんじゃ」
神様「宝水・・・ たから!?」
610: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/30(日) 23:30:01 ID:K1rUDJU.
じいさん「両方の池に水が張ったとき、村が豊かになるという言い伝えがあるそうじゃ」
神様「ほぉ〜 村が豊かに」
じいさん「ワシが小さいときに爺様から聞いた話じゃがな」
神様「両方の池に水か・・・」
じいさん「この地区は近くに川もなければ水もでない場所でな。 地下に水脈がなく昔は年中水不足じゃった」
神様「あ〜 それで宝水か・・・ 財宝の事じゃないんだ」
じいさん「水の話をしていたら喉が渇いた。 巫女ちゃんも何か飲むか? その自販機で買ってやるぞ」
神様「コーラを! 赤い缶のやつ」
じいさん「これか」ポチッ
ガコン
じいさん「ほれ、じゃぁな。 可愛い巫女ちゃん」ヨロヨロ
神様「じいさん、トクターペッパーだよこれ・・・」
611: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/30(日) 23:30:43 ID:K1rUDJU.
─── 夕方・社務所前
神様「ふ〜 疲れた」トテトテ
神使「ご苦労様です。 落ち葉は捨ててきました?」
神様「裏庭にまとめて置いてきた」
友「本当にお一人でやってしまったんですね」
神様「おかげで調査の方は出来なかったけど・・・」
神使「それで良いんです」
神様「ん? 友くんの隣にいる子は?」
612: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/30(日) 23:32:31 ID:K1rUDJU.
巫女「初めまして、立派天満宮の巫女と申します」ペコリ
神様「これはこれはご丁寧に。 神宮の内宮巫女のかわゆい神ちゃんと申します」ペコリ
友「神事の巫女舞をと思いまして」
神様「あ〜」
巫女「申し訳ありません、今日は私しか出勤しておらず・・・」
友「でも巫女舞は彼女が一番上手ですから」
巫女「いえ、そんな事は・・・」
神様「楽しみ〜」
巫女「そんな神宮の巫女様にお目にかけられるほどのものでは・・・///」
神使「ご心配なく。 正式な神事とは違いますので、気を楽に」
友「じゃ、早速で悪いんだけどお願い出来る?」
巫女「はい」スタスタ
613: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/30(日) 23:33:22 ID:K1rUDJU.
友「神ちゃんさん、始めてよろしいですか?」
神様「うん。 よろぴこ」
巫女「では、はじめます」
♪〜
神様「・・・・・・」ジー
614: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/30(日) 23:34:28 ID:K1rUDJU.
─── 十分後
♪〜
巫女「以上です」ペコリ
神様「・・・・・・」
神使「神様、どうですか?」
神様「巫女ちゃんって浦安の舞とか出来る?」
巫女「浦安・・・ はい、あまり得意ではありませんが」
神様「さわりだけでも良いから見せてもらってもいい?」
巫女「分かりました」
♪〜
神様「おっけ〜 ありがと」
巫女「?」
615: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/30(日) 23:36:01 ID:K1rUDJU.
神使「もうよろしいんですか? 10秒くらいしか経っていませんよ?」
神様「巫女ちゃん、舞が上手だね」
巫女「お褒め頂きましてありがとうございます」ペコリ
神様「A子ちゃんの百倍は上手だ」
神使「比べる相手の次元が・・・ A子ちゃんは舞で転んでそのままでんぐり返して退場しますからね・・・」
神様「アレは斬新だよね」
友・巫女「・・・・・・」
神様「気になった事があるんだけど聞いてもいい?」
巫女「はい」
神様「この神社の神事の舞の時、動きがぎこちなかった気がするんだけど」
巫女「あっ・・・」
616: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/30(日) 23:37:07 ID:K1rUDJU.
神様「足下を気にし過ぎていた感じかな。 浦安の舞の時はそれを感じなかった」
神使「そうですか? とても美しい舞でしたが」
巫女「いえ・・・ 仰る通りだと思います」
神使「どういうことです?」
巫女「こちらが花摘み神社の舞の教本です」スッ
神様「見てもいい?」
巫女「どうぞ」
神様「・・・なにこれ?」ペラッ
617: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/30(日) 23:38:21 ID:K1rUDJU.
神使「八五左、八七右・・・ 昔の棋譜のようですね」
巫女「はい、仰るとおり棋譜です」
神様「ん?」
巫女「実は、足の置く位置が石畳の決められた場所になっていまして」
神使「石畳?」
巫女「はい。 最初の“八、五、左”というのは正面から八つ目、右手から五つ目の石畳の上に左足を置くという意味なんです」
神様「なるほど・・・ それで足下を気にしながら舞っていたんだ」
友「へぇ〜」
神使「友さん知らなかったんですか?」
友「さすがに巫女舞の事は・・・」
神使「これ、覚えるの大変ですよね」
618: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/30(日) 23:39:18 ID:K1rUDJU.
神様「この舞って、他に何か特殊な事ってある?」
巫女「そうですね・・・ 神事の時は三人で舞うんですが、本当は一人だけのようです」
神様「一人?」
巫女「はい。 ただ一人だけですと少し寂しいので三人に増やしたと聞いております」
神様「・・・・・・」
神使「何か分かりましたか?」
神様「巫女舞に関しては私より知識のある奴はいないと自負しているけど、こんな変な舞は初めてだな」
619: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/30(日) 23:40:41 ID:K1rUDJU.
神使「ちなみに、これは何という舞なのですか?」
巫女「“長閑の舞”と申します」
神様「“のどかのまい”か・・・」
神使「聞いた事ありませんね」
神様「私も初耳だ」
友「お役に立てましたでしょうか?」
神様「最後に一つ巫女ちゃんにお願いがあるんだけど良い?」
巫女「?」
620: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/30(日) 23:42:51 ID:K1rUDJU.
今週は更新できないかも
いっぱい投下したから許してネ
622: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/07/31(月) 08:56:31 ID:hCJUFt1k
乙
今週はないのか
生きるのやめよかな
625: ◆8YCWQhLlF2 :2017/08/07(月) 01:38:02 ID:Tnbkc1KE
─── 夜・社務所
ガラガラ
巫女「お邪魔します」
友「おっ、ご苦労様」
巫女「」ペコリ
友「神ちゃんさんへの教授は終わった?」
巫女「私が知っている事は全て」
神使「あれ? 神様はまだ外ですか?」
巫女「それが・・・ もう少し練習したいと」
友「そりゃ随分と熱心だな」
626: ◆8YCWQhLlF2 :2017/08/07(月) 01:38:56 ID:Tnbkc1KE
神使「巫女舞に関しては神様なりの拘りがあるようですので」
友「へぇ〜」
巫女「凄いんですね」
神使「あ〜 たぶん自分の知らない巫女舞だったので興味津々なだけだと思いますから」
巫女「はぁ・・・」
神使「もっと言えば、自分の知らない巫女舞が存在しているという事が納得いかないのでしょう」
巫女「・・・・・・。 で、でも神ちゃんさまとても綺麗な舞で・・・ あんなに美しく舞える方、初めてお会いしました」
神使「神様は巫女舞に関しては神宮で一番お上手ですから」
巫女「通りで・・・」
友「さて、今日は遅いし巫女ちゃんは上がって良いよ?」
巫女「はい。 それではお先に失礼させて頂きます」ペコリ
627: ◆8YCWQhLlF2 :2017/08/07(月) 01:39:37 ID:Tnbkc1KE
─── 1時間後
ガラガラ
神様「ふへぇ〜 疲れた」トテトテ
神使「あっ、神様。 随分と熱心でしたね」
神様「ひっひっひっ」ニヤッ
神使「?」
神様「覚えてやったぜ!」
神使「覚えたって・・・ あの巫女舞をですか?」
神様「おうよ! 最初から最後までな!」
628: ◆8YCWQhLlF2 :2017/08/07(月) 01:40:22 ID:Tnbkc1KE
神使「あんな数字の羅列、この短時間で良く覚えきれましたね」
神様「まぁ私にかかればこのくらい朝飯前だって事!」
神使「さすが巫女舞に関しては敵無しですね・・・」
神様「私の知らない巫女舞は存在しない! これがこの世の理!」
神使「そうなんですか・・・」
神様「でもさすがに疲れたな」
神使「時間も遅いですし、お休みになりますか?」
神様「そうね・・・ でもその前に」トテトテ
神使「どちらへ?」
629: ◆8YCWQhLlF2 :2017/08/07(月) 01:41:04 ID:Tnbkc1KE
神様「寝る前にお花もりもり摘んでくる」
神使「・・・そうですか」
神様「それはもう、もりもりと!」
神使「分かりました・・・」
神様「信じられないくらい、もりも───」
神使「もう良いです。 あっ、社務所のお手洗いは友さんがお掃除中ですよ」
神様「まじで!? んじゃ外の方に行ってくるわ」トテトテ
神使「暗いので気をつけて下さいね」
神様「へいへい」ガラガラ
630: ◆8YCWQhLlF2 :2017/08/07(月) 01:41:42 ID:Tnbkc1KE
─── 数分後
ガラガラ
友「ふぅ」
神使「あっ友さん、掃除の方は終わったんですか?」
友「あぁ。 ・・・あれ? 神ちゃんさんは?」
神使「お手洗いの方へ」
友「でも、すれ違わなかったけど?」
神使「お掃除中と言ったら外のトイレに行くと」
友「・・・多分、本殿のトイレだよな」
神使「だと思いますが」
631: ◆8YCWQhLlF2 :2017/08/07(月) 01:42:22 ID:Tnbkc1KE
友「どうしよ」
神使「何か問題でも?」
友「あそこ、トイレって言っても一般には解放していないんだよ」
神使「え?」
友「一応本殿扱いだし。 あれでも重要文化財だから」
神使「連れ戻しましょうか?」
友「う〜ん」
神使「出たばかりですからまだ間に合うかと思いますよ?」
友「いや、神に本殿使うなってのも失礼だろ」
神使「まぁ、そうですね・・・」
632: ◆8YCWQhLlF2 :2017/08/07(月) 01:44:35 ID:Tnbkc1KE
─── トイレ本殿
ギー
神様「うわ〜 古! 和式じゃん! しかも蓋付き!?」パカッ
チョロチョロ
神様「ん? 下に小川・・・ 用水路か? この時代に垂れ流し式って平安でもオマルだったぞ・・・」
神様「まぁいいや。 秘技! 袴を脱がずにトイレをする術!」ゴソゴソ
神様「さて、お花をもりもり摘みませう・・・ って、壁に何か書いてある」
633: ◆8YCWQhLlF2 :2017/08/07(月) 01:46:16 ID:Tnbkc1KE
摘んだか
神様「摘んだか・・・ って、何を? あっ、取っ手がある」
神様「はは〜ん、お花を摘んだ後に取っ手を引く。 中にちり紙が入ってるのかな?」ギィ
プシュー
神様「ウギャー! お尻に水が!! まだしてない! まだしてないよ!」ビクッ
プシュー
神様「真水のウォシュレットかよ! 冷てーよ!」ジタバタ
神使「箒を持たせて神様の右に出るものはおりませんから」
神様「やっぱり?」
神使「神様の箒捌きは、神宮の庭師の方ですら真似できないと言わしめるほどです」
神様「だよね〜 まぁこの位の広さの参道なら半日やればできちゃうけどね!」
友「半日!? 1人でですか?」
神様「あれ〜 信じてないな? よかろう! 神使くん、箒を」
神使「はい、どうぞ」スッ
神様「その目で刮目せよ、神ちゃんの箒捌きを!!」タッタッタッ
友「・・・単純で良いな」
神使「はい」
608: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/30(日) 23:26:29 ID:K1rUDJU.
─── 参道入り口
サァ サァ
神様「♪夏も近づく八十八夜〜」
じいさん「おんや〜 珍しい。 巫女さんがおる」ヨロヨロ
神様「おはようございます。 絶好の徘徊日和ですね」
じいさん「じじいはそれが仕事じゃからの」
神様「その年でボケないのは毎日の徘徊のおかげという事ですね!」
じいさん「徘徊するのはボケてる証拠じゃがな」
神様「面白い!」ハハハッ
じいさん「じゃろ?」ハハハッ
神様「・・・・・・」
じいさん「・・・・・・」
609: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/30(日) 23:28:05 ID:K1rUDJU.
神様「じいさんはこの村は長いの?」
じいさん「生まれてからず〜とこの村に住んどるな」
神様「じゃぁ、この神社の事って詳しい?」
じいさん「不思議な所じゃよ」
神様「不思議?」
じいさん「入り口の横に池があるじゃろ?」
神様「ん? あ〜 まん丸の小さい池があるね」
じいさん「参道をはさんで反対側にもあるんじゃよ」
神様「そうなの?」トテトテ
じいさん「今は枯れているがのぉ」
神様「本当だ、空っぽ」
じいさん「小宝池と言ってな? 池の水はとても清らかで“宝水”と言われているんじゃ」
神様「宝水・・・ たから!?」
610: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/30(日) 23:30:01 ID:K1rUDJU.
じいさん「両方の池に水が張ったとき、村が豊かになるという言い伝えがあるそうじゃ」
神様「ほぉ〜 村が豊かに」
じいさん「ワシが小さいときに爺様から聞いた話じゃがな」
神様「両方の池に水か・・・」
じいさん「この地区は近くに川もなければ水もでない場所でな。 地下に水脈がなく昔は年中水不足じゃった」
神様「あ〜 それで宝水か・・・ 財宝の事じゃないんだ」
じいさん「水の話をしていたら喉が渇いた。 巫女ちゃんも何か飲むか? その自販機で買ってやるぞ」
神様「コーラを! 赤い缶のやつ」
じいさん「これか」ポチッ
ガコン
じいさん「ほれ、じゃぁな。 可愛い巫女ちゃん」ヨロヨロ
神様「じいさん、トクターペッパーだよこれ・・・」
611: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/30(日) 23:30:43 ID:K1rUDJU.
─── 夕方・社務所前
神様「ふ〜 疲れた」トテトテ
神使「ご苦労様です。 落ち葉は捨ててきました?」
神様「裏庭にまとめて置いてきた」
友「本当にお一人でやってしまったんですね」
神様「おかげで調査の方は出来なかったけど・・・」
神使「それで良いんです」
神様「ん? 友くんの隣にいる子は?」
巫女「初めまして、立派天満宮の巫女と申します」ペコリ
神様「これはこれはご丁寧に。 神宮の内宮巫女のかわゆい神ちゃんと申します」ペコリ
友「神事の巫女舞をと思いまして」
神様「あ〜」
巫女「申し訳ありません、今日は私しか出勤しておらず・・・」
友「でも巫女舞は彼女が一番上手ですから」
巫女「いえ、そんな事は・・・」
神様「楽しみ〜」
巫女「そんな神宮の巫女様にお目にかけられるほどのものでは・・・///」
神使「ご心配なく。 正式な神事とは違いますので、気を楽に」
友「じゃ、早速で悪いんだけどお願い出来る?」
巫女「はい」スタスタ
613: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/30(日) 23:33:22 ID:K1rUDJU.
友「神ちゃんさん、始めてよろしいですか?」
神様「うん。 よろぴこ」
巫女「では、はじめます」
♪〜
神様「・・・・・・」ジー
614: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/30(日) 23:34:28 ID:K1rUDJU.
─── 十分後
♪〜
巫女「以上です」ペコリ
神様「・・・・・・」
神使「神様、どうですか?」
神様「巫女ちゃんって浦安の舞とか出来る?」
巫女「浦安・・・ はい、あまり得意ではありませんが」
神様「さわりだけでも良いから見せてもらってもいい?」
巫女「分かりました」
♪〜
神様「おっけ〜 ありがと」
巫女「?」
615: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/30(日) 23:36:01 ID:K1rUDJU.
神使「もうよろしいんですか? 10秒くらいしか経っていませんよ?」
神様「巫女ちゃん、舞が上手だね」
巫女「お褒め頂きましてありがとうございます」ペコリ
神様「A子ちゃんの百倍は上手だ」
神使「比べる相手の次元が・・・ A子ちゃんは舞で転んでそのままでんぐり返して退場しますからね・・・」
神様「アレは斬新だよね」
友・巫女「・・・・・・」
神様「気になった事があるんだけど聞いてもいい?」
巫女「はい」
神様「この神社の神事の舞の時、動きがぎこちなかった気がするんだけど」
巫女「あっ・・・」
616: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/30(日) 23:37:07 ID:K1rUDJU.
神様「足下を気にし過ぎていた感じかな。 浦安の舞の時はそれを感じなかった」
神使「そうですか? とても美しい舞でしたが」
巫女「いえ・・・ 仰る通りだと思います」
神使「どういうことです?」
巫女「こちらが花摘み神社の舞の教本です」スッ
神様「見てもいい?」
巫女「どうぞ」
神様「・・・なにこれ?」ペラッ
617: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/30(日) 23:38:21 ID:K1rUDJU.
神使「八五左、八七右・・・ 昔の棋譜のようですね」
巫女「はい、仰るとおり棋譜です」
神様「ん?」
巫女「実は、足の置く位置が石畳の決められた場所になっていまして」
神使「石畳?」
巫女「はい。 最初の“八、五、左”というのは正面から八つ目、右手から五つ目の石畳の上に左足を置くという意味なんです」
神様「なるほど・・・ それで足下を気にしながら舞っていたんだ」
友「へぇ〜」
神使「友さん知らなかったんですか?」
友「さすがに巫女舞の事は・・・」
神使「これ、覚えるの大変ですよね」
618: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/30(日) 23:39:18 ID:K1rUDJU.
神様「この舞って、他に何か特殊な事ってある?」
巫女「そうですね・・・ 神事の時は三人で舞うんですが、本当は一人だけのようです」
神様「一人?」
巫女「はい。 ただ一人だけですと少し寂しいので三人に増やしたと聞いております」
神様「・・・・・・」
神使「何か分かりましたか?」
神様「巫女舞に関しては私より知識のある奴はいないと自負しているけど、こんな変な舞は初めてだな」
619: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/30(日) 23:40:41 ID:K1rUDJU.
神使「ちなみに、これは何という舞なのですか?」
巫女「“長閑の舞”と申します」
神様「“のどかのまい”か・・・」
神使「聞いた事ありませんね」
神様「私も初耳だ」
友「お役に立てましたでしょうか?」
神様「最後に一つ巫女ちゃんにお願いがあるんだけど良い?」
巫女「?」
620: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/30(日) 23:42:51 ID:K1rUDJU.
今週は更新できないかも
いっぱい投下したから許してネ
622: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/07/31(月) 08:56:31 ID:hCJUFt1k
乙
今週はないのか
生きるのやめよかな
625: ◆8YCWQhLlF2 :2017/08/07(月) 01:38:02 ID:Tnbkc1KE
─── 夜・社務所
ガラガラ
巫女「お邪魔します」
友「おっ、ご苦労様」
巫女「」ペコリ
友「神ちゃんさんへの教授は終わった?」
巫女「私が知っている事は全て」
神使「あれ? 神様はまだ外ですか?」
巫女「それが・・・ もう少し練習したいと」
友「そりゃ随分と熱心だな」
626: ◆8YCWQhLlF2 :2017/08/07(月) 01:38:56 ID:Tnbkc1KE
神使「巫女舞に関しては神様なりの拘りがあるようですので」
友「へぇ〜」
巫女「凄いんですね」
神使「あ〜 たぶん自分の知らない巫女舞だったので興味津々なだけだと思いますから」
巫女「はぁ・・・」
神使「もっと言えば、自分の知らない巫女舞が存在しているという事が納得いかないのでしょう」
巫女「・・・・・・。 で、でも神ちゃんさまとても綺麗な舞で・・・ あんなに美しく舞える方、初めてお会いしました」
神使「神様は巫女舞に関しては神宮で一番お上手ですから」
巫女「通りで・・・」
友「さて、今日は遅いし巫女ちゃんは上がって良いよ?」
巫女「はい。 それではお先に失礼させて頂きます」ペコリ
627: ◆8YCWQhLlF2 :2017/08/07(月) 01:39:37 ID:Tnbkc1KE
─── 1時間後
ガラガラ
神様「ふへぇ〜 疲れた」トテトテ
神使「あっ、神様。 随分と熱心でしたね」
神様「ひっひっひっ」ニヤッ
神使「?」
神様「覚えてやったぜ!」
神使「覚えたって・・・ あの巫女舞をですか?」
神様「おうよ! 最初から最後までな!」
628: ◆8YCWQhLlF2 :2017/08/07(月) 01:40:22 ID:Tnbkc1KE
神使「あんな数字の羅列、この短時間で良く覚えきれましたね」
神様「まぁ私にかかればこのくらい朝飯前だって事!」
神使「さすが巫女舞に関しては敵無しですね・・・」
神様「私の知らない巫女舞は存在しない! これがこの世の理!」
神使「そうなんですか・・・」
神様「でもさすがに疲れたな」
神使「時間も遅いですし、お休みになりますか?」
神様「そうね・・・ でもその前に」トテトテ
神使「どちらへ?」
629: ◆8YCWQhLlF2 :2017/08/07(月) 01:41:04 ID:Tnbkc1KE
神様「寝る前にお花もりもり摘んでくる」
神使「・・・そうですか」
神様「それはもう、もりもりと!」
神使「分かりました・・・」
神様「信じられないくらい、もりも───」
神使「もう良いです。 あっ、社務所のお手洗いは友さんがお掃除中ですよ」
神様「まじで!? んじゃ外の方に行ってくるわ」トテトテ
神使「暗いので気をつけて下さいね」
神様「へいへい」ガラガラ
─── 数分後
ガラガラ
友「ふぅ」
神使「あっ友さん、掃除の方は終わったんですか?」
友「あぁ。 ・・・あれ? 神ちゃんさんは?」
神使「お手洗いの方へ」
友「でも、すれ違わなかったけど?」
神使「お掃除中と言ったら外のトイレに行くと」
友「・・・多分、本殿のトイレだよな」
神使「だと思いますが」
631: ◆8YCWQhLlF2 :2017/08/07(月) 01:42:22 ID:Tnbkc1KE
友「どうしよ」
神使「何か問題でも?」
友「あそこ、トイレって言っても一般には解放していないんだよ」
神使「え?」
友「一応本殿扱いだし。 あれでも重要文化財だから」
神使「連れ戻しましょうか?」
友「う〜ん」
神使「出たばかりですからまだ間に合うかと思いますよ?」
友「いや、神に本殿使うなってのも失礼だろ」
神使「まぁ、そうですね・・・」
632: ◆8YCWQhLlF2 :2017/08/07(月) 01:44:35 ID:Tnbkc1KE
─── トイレ本殿
ギー
神様「うわ〜 古! 和式じゃん! しかも蓋付き!?」パカッ
チョロチョロ
神様「ん? 下に小川・・・ 用水路か? この時代に垂れ流し式って平安でもオマルだったぞ・・・」
神様「まぁいいや。 秘技! 袴を脱がずにトイレをする術!」ゴソゴソ
神様「さて、お花をもりもり摘みませう・・・ って、壁に何か書いてある」
633: ◆8YCWQhLlF2 :2017/08/07(月) 01:46:16 ID:Tnbkc1KE
摘んだか
神様「摘んだか・・・ って、何を? あっ、取っ手がある」
神様「はは〜ん、お花を摘んだ後に取っ手を引く。 中にちり紙が入ってるのかな?」ギィ
プシュー
神様「ウギャー! お尻に水が!! まだしてない! まだしてないよ!」ビクッ
プシュー
神様「真水のウォシュレットかよ! 冷てーよ!」ジタバタ
神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」
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