神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」
Part90
578: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/25(火) 04:13:10 ID:x9saOh.6
友「神使・・・ お前、神に向かって随分とキツい発言するな・・・」
神様「友くん! もっと言ったって! この子、私に凄くきつく当たるの!」
神使「神様? 神社で奉職するというのは仕事とは違うんです」
神様「またそんな労働基準法の抜け道みたいな事言いやがって!」
神使「友さんも神様を甘やかさないで下さい。 すぐ調子に乗りますから」
友「・・・・・・」
神様「労働基準法を遵守せよ!」ギャーギャー
友「お、おれ夕飯買ってくるわ・・・」
579: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/07/25(火) 09:26:36 ID:CH8RkMqg
神ちゃん楽しそうだな
俺はこれから日光に行ってくる
580: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/07/26(水) 14:29:02 ID:MLD1rxR2
全くだ
おっと、人手が居るだろう俺も行こう
581: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/26(水) 23:03:47 ID:NBlwRsYE
─── 夜
侵入者A「おい、今日はこの辺でも掘ってみるか?」
侵入者B「そうだな。 じゃぁ早速───」
神様「オラァァーーッ!!」ダダダダダ
侵入者A「やべ、巫女だ!」
侵入者B「逃げろ!」タッタッタッ
神様「穢れなき神聖な場所で何やってんだ!! 呪うぞ! 狐神呼んで陰湿な呪いくらわすぞ!」
友「なぁ、あの方は本当に女神様なのか?」
神使「はい、神宮が誇る穢れなき神聖な女神さまです」
友「穢れなきねぇ・・・」
神様「コラー!! お前も私の財宝を狙っているのか! 猫神呼んで折檻させるぞ!!」ダダダダダ
582: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/26(水) 23:04:54 ID:NBlwRsYE
─── 社務所・深夜
ガラガラ
神様「ふぃ〜 いい汗かいた」
友「・・・・・・お疲れ様でした」
神様「友君さぁ、盗人達の普段の追い返し方が不十分なんじゃない?」
友「そ、そのようですね」ハハハ
神様「まぁ、これでしばらくは邪魔者は来ないだろう」
583: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/26(水) 23:05:44 ID:NBlwRsYE
神使「神様、神宮から花摘み神社の資料がメールで届いてます」
神様「お〜 早いな」
神使「神勅ですから・・・ 神宮の資料室の方達も総出で対応したようです」
神様「どれどれ〜」
友「へぇ、さすが神宮。 見た事ない資料ばっかりだ」
神様「何か変わった事あった?」
神使「そうですね、この神社ですが過去に社名が変更されているようです」
神様「名前が?」
神使「はい、以前は“茶摘み神社”と言われていたようです」
神様「茶摘み? そうなの?」
友「はじめて聞きました」
584: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/26(水) 23:07:00 ID:NBlwRsYE
神様「茶摘みって、トイレ関係ないじゃん!」
神使「私に言われましても・・・」
神様「あっ、お茶飲むとトイレ行きたくなるからってやつ?」
神使「そんな理由で神社名を変更しないと思うのですが・・・」
神様「他に何か埋蔵金のヒントになりそうなものは?」
神使「茶摘み神社時代の資料はもう残っていないようです」
神様「う〜ん、茶摘みか・・・」
友「摘むという部分は変わっていないんですね」
神様「茶摘み・・・ 夏も近づく八十八夜・・・」
神使「え?」
585: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/26(水) 23:07:52 ID:NBlwRsYE
神様「茶摘みだよ。 茶摘みの歌」
神使「歌?」
神様「♪夏も近づく八十八夜〜 野にも山にも若葉が茂る〜」
神使「その歌が何か関係あるんですか?」
友「まさか、茶摘み歌がこの神社と関係があると?」
神様「・・・・・・」
神使「ちょっとこじつけ過ぎではないですか?」
神様「いや、そうとも言い切れないぞ」
神使「どういう事です?」
神様「大抵昔の歌は歌詞をもじって秘密を記すのが常識だ」
神使「どこの常識ですかそれ・・・」
586: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/26(水) 23:09:24 ID:NBlwRsYE
神様「この辺ってお茶の産地なの?」
友「いいえ、聞いた事ございませんね」
神様「八百万の神が祀られているんだったら、お茶の神もこの神社に祀ってあるんじゃない?」
友「あるかも分かりませんが・・・ 今この神社で把握しているのは三つだけです」
神様「三つ?」
友「はい。 今日は遅いですし、明日朝にでもご案内いたします」
神様「もう2時か・・・ 眠いわけだ」フワー
友「朝までは私が見張りを」
神使「いえ、私が見張りをします。 その為にバイトに来たので」
神様「犬ころが犬ころである所以、神使君は番犬なのだよ。 それ以外の何ものでもない」
神使「狛犬です」
神様「へいへい、それじゃおやちゅみ〜」バタン
587: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/26(水) 23:10:09 ID:NBlwRsYE
神使「え!? ここで寝るんですか?」
神様「だって〜 私と神使君はもう離れられない関係だし〜」ポッ
神使「うっ・・・///」
友「?」
神使「あっ、特に深い意味はございませんから。 気にしないで下さい友さん」
友「意味も何も、神付き神使は主神と道中離れちゃいけないからだろ?」
神使「え!? そ、そうでした。 そう言うことです」アセアセ
友「どうしたんだ?」
神様「ウヒヒヒ。 ま、そう言う事にしておきますか」
592: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/29(土) 08:50:46 ID:Z6PQVj1o
─── 翌朝・社務所
チュンチュン
神様「・・・・・・朝?」ボー
神使「あっ、神様起きられます?」
神様「ん」モソモソ
神使「今日は珍しく寝相が良かったですね」
神様「・・・あ? お前膝枕してたの?」
神使「えぇ、まぁ」ポリポリ
593: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/29(土) 08:51:30 ID:Z6PQVj1o
ガラガラ
友「あっ、神ちゃんさんおはようございます」
神様「おはよう」
友「献身的な神使ですな。 頭が下がるよ」
神使「からかわないで下さい」
友「からかってないよ」
神使「・・・・・・///」
友「朝食を買ってきました」
594: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/29(土) 08:52:46 ID:Z6PQVj1o
─── 居間
神様「やっぱりおにぎりはツナマヨだよね」モグモグ
友「良くお分かりで」モグモグ
神使「お二人がツナマヨが好きなのは良いのですが、全部ツナマヨというのは・・・」
友「だから野菜スティックも買ってきただろ?」
神使「はぁ・・・」
神様「食べた食べた。 ごちそうさま」
友「では、昨日お話ししたお祀りしてある3つの石碑にご案内します」
神様「あ〜 ここから近いの? 外暑そうだしあんまり動きたくない」
友「すぐ近くなので大丈夫です」
595: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/29(土) 08:53:41 ID:Z6PQVj1o
─── 社務所前
神様「朝なのに暑いね〜」
神使「ここ数日、良いお天気ですよね」
神様「それじゃ、行きま───」
友「こちらが石碑です」
神様「え? まだ社務所前だよ? 三歩しか動いてないけど」
神使「確かに、石像っぽいのが三つ並んでいますが」
神様「社務所の真ん前って・・・ 昨日は気がつかなかった」
友「原型は分からないほどに風化していますし、かなり小さいものなので」
596: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/29(土) 08:56:10 ID:Z6PQVj1o
神様「これ参道の真っ正面にあるって事は結構重要なものじゃないの?」
神使「普通はこの場所には本殿がありますから、ご神体という事も考えられますよね」
友「確かに・・・ どうして脇にあるトイレが本殿なのかなぁ?」
神様「まぁいいや。 で、この三つは何を祀ってんの?」
友「“水”と“お米”の神と聞いております」
神様「水と米ねぇ〜」
神使「確かに石碑には米印(※)の刻印がありますね。 真ん中のヤツは特に米印も大きいですし」
神様「三つとも米印があるのか・・・」
597: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/29(土) 08:57:15 ID:Z6PQVj1o
神使「中心が米で両隣が水でしょうか? 随分と変わった祀り方ですよね」
友「米を育てるのに水は不可欠だし、日照り続きで米が不作にならないように合祀しているんじゃないのか?」
神様「ん〜」キョロキョロ
神使「神様、どうされました?」
神様「この石碑の前だけ石畳が敷かれてるな。 結構広い」
神使「本当ですね。 綺麗に石が揃っています」
友「祭りの日にこの場所で巫女舞が奉納されるので、そのスペースになっているからだと思います」
神様「ここで巫女舞が・・・」
598: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/29(土) 08:57:57 ID:Z6PQVj1o
神使「そのお祭りはいつ頃なのですか?」
友「確か、5月の第1日曜日だったかな」
神使「・・・八十八夜に近いですね」
神様「やっぱり何かあるなぁ〜」
神使「まさか本当に埋蔵金が?」
神様「ここ掘り返してみる?」
神使「ダメに決まっているじゃないですか。 それに歌が埋蔵金のありかを示しているのであれば他の歌詞も解かないと・・・」
友「失礼ですが、神ちゃんさんの神力で調べたり出来ないのでしょうか?」
神様「・・・・・・」
神使「・・・・・・」
友「?」
599: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/29(土) 08:58:59 ID:Z6PQVj1o
神様「こんな事で神の力を使うなんて事は出来ない。 神力は人の願いを成就するためにあるのだよ」
友「!? し、失礼しました!」フカブカ
神使「・・・・・・」ジーッ
神様「そんな見るなよ。 照れるだろうがっ!!」ゲシッ
神使「痛い!」
友「ん? どうした神使」
神使「いえ、何でもありません」スリスリ
神様「他の歌詞かぁ〜」
神様「♪夏も近づく八十八夜
野にも山にも若葉が茂る
あれに見えるは茶摘みじゃないか
茜(あかね)襷(だすき)に菅(すげ)の笠〜 」
神使「茜(アカネ)、襷(タスキ)、菅(スゲ)という言葉が出てきますね」
600: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/29(土) 09:00:42 ID:Z6PQVj1o
神様「茜・・・ アカネ・・・」
友「アカネは確か染料で使いますよね。 赤い染料」
神使「神社だと巫女さんの緋袴の色ですね」
神様「緋袴・・・ 巫女かぁ〜 そう言えば昔はアカネで袴を緋色に染めたな」
友「あっ! そう言えば、参道の脇にアカネが沢山植えられています」
神様「マジで!?」
友「えぇ、入り口の鳥居からここまでの参道までビッシリと」
神様「アカネの帯か・・・ 茜襷はそれを意味しているな。 後は菅の笠・・・」
神使「スゲはしめ縄で使われたりしますが」
601: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/29(土) 09:01:47 ID:Z6PQVj1o
友「この社も、しめ縄と社務所の屋根がスゲで作られていた気が・・・」
神使「そう言えば、社務所の屋根が笠に見えますよね」
神様「このキノコ型の社務所の屋根は笠を表してるのか!」
友「菅の笠・・・ ですか」
神様「ほぉ〜 繋がったな。 間違いない、茶摘み歌はこの神社の事を歌っている」
神使「でも、肝心の茶摘みの由来が分からないですが」
神様「お茶と、この神社を結ぶ何かがあるはずだ」
友「お茶・・・ う〜ん、思いつかないですね」
神様「財宝が近づいてきている! これで地獄のローンともおさらばだ!!」
神使「・・・・・・」ジトー
神様「うそうそ、皆が幸せになれるの間違い」ハハハッ
神使「全く・・・」ハァ
602: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/07/29(土) 13:37:57 ID:oatEqee2
金に目が眩む神ちゃん
603: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/07/29(土) 14:16:56 ID:biPprM26
時おり見える神ちゃんの乙女フェイスに大層オイスター乙。
604: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/30(日) 21:32:27 ID:K1rUDJU.
神様「それより、神事の時の巫女舞って誰が舞うの?」
友「伝承では村の生娘だったと聞いておりますが、今はうちの巫女達が奉納しています」
神様「ちょっと見てみたいんだけど、お願い出来たりする?」
友「夕方でよろしければ。 ただ巫女も夏休みに入っている者が多く人数が少ないですがよろしいですか?」
神様「うん。 一人だけでも振りが分かれば、他は何となく補完できるから」
友「え?」
神使「神様はこう見えて巫女なので」
友「巫女?」
605: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/30(日) 21:34:06 ID:K1rUDJU.
神使「実は神力ゼロなので神宮では巫女の仕事しかやらせてもらえ───」
神様「セイッ!」ゲシッ
神使「痛っ!」
友「・・・・・・」
神様「私は巫女舞に関しては誰にも負けないほどには造詣が深いのだよ」
友「さすが神宮の女神さま。 見かけによらずやる事は押さえているのですね」フム
神様「・・・・・・」
神使「メモします?」
神様「う〜ん、今のはいらない」
606: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/30(日) 21:34:52 ID:K1rUDJU.
神使「さて、それでは本日の奉務をはじめましょう」
神様「今日は境内を徹底的に調べる感じだな」
神使「神様? お忘れかも知れませんがアルバイトをしに来たのですよ?」
神様「分かってるよ。 掃除しながら調べりゃ良いんだろ」
友「私は普段手つかずの裏庭の草むしりをしてきます」
神使「では、私は建物周りを。 神様は参道のお掃除をお願い出来ますか?」
神様「へいへい。 って、私の範囲広くない?」
友「神使・・・ お前、神に向かって随分とキツい発言するな・・・」
神様「友くん! もっと言ったって! この子、私に凄くきつく当たるの!」
神使「神様? 神社で奉職するというのは仕事とは違うんです」
神様「またそんな労働基準法の抜け道みたいな事言いやがって!」
神使「友さんも神様を甘やかさないで下さい。 すぐ調子に乗りますから」
友「・・・・・・」
神様「労働基準法を遵守せよ!」ギャーギャー
友「お、おれ夕飯買ってくるわ・・・」
579: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/07/25(火) 09:26:36 ID:CH8RkMqg
神ちゃん楽しそうだな
俺はこれから日光に行ってくる
580: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/07/26(水) 14:29:02 ID:MLD1rxR2
全くだ
おっと、人手が居るだろう俺も行こう
581: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/26(水) 23:03:47 ID:NBlwRsYE
─── 夜
侵入者A「おい、今日はこの辺でも掘ってみるか?」
侵入者B「そうだな。 じゃぁ早速───」
神様「オラァァーーッ!!」ダダダダダ
侵入者A「やべ、巫女だ!」
侵入者B「逃げろ!」タッタッタッ
神様「穢れなき神聖な場所で何やってんだ!! 呪うぞ! 狐神呼んで陰湿な呪いくらわすぞ!」
友「なぁ、あの方は本当に女神様なのか?」
神使「はい、神宮が誇る穢れなき神聖な女神さまです」
友「穢れなきねぇ・・・」
神様「コラー!! お前も私の財宝を狙っているのか! 猫神呼んで折檻させるぞ!!」ダダダダダ
582: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/26(水) 23:04:54 ID:NBlwRsYE
─── 社務所・深夜
ガラガラ
神様「ふぃ〜 いい汗かいた」
友「・・・・・・お疲れ様でした」
神様「友君さぁ、盗人達の普段の追い返し方が不十分なんじゃない?」
友「そ、そのようですね」ハハハ
神様「まぁ、これでしばらくは邪魔者は来ないだろう」
神使「神様、神宮から花摘み神社の資料がメールで届いてます」
神様「お〜 早いな」
神使「神勅ですから・・・ 神宮の資料室の方達も総出で対応したようです」
神様「どれどれ〜」
友「へぇ、さすが神宮。 見た事ない資料ばっかりだ」
神様「何か変わった事あった?」
神使「そうですね、この神社ですが過去に社名が変更されているようです」
神様「名前が?」
神使「はい、以前は“茶摘み神社”と言われていたようです」
神様「茶摘み? そうなの?」
友「はじめて聞きました」
584: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/26(水) 23:07:00 ID:NBlwRsYE
神様「茶摘みって、トイレ関係ないじゃん!」
神使「私に言われましても・・・」
神様「あっ、お茶飲むとトイレ行きたくなるからってやつ?」
神使「そんな理由で神社名を変更しないと思うのですが・・・」
神様「他に何か埋蔵金のヒントになりそうなものは?」
神使「茶摘み神社時代の資料はもう残っていないようです」
神様「う〜ん、茶摘みか・・・」
友「摘むという部分は変わっていないんですね」
神様「茶摘み・・・ 夏も近づく八十八夜・・・」
神使「え?」
585: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/26(水) 23:07:52 ID:NBlwRsYE
神様「茶摘みだよ。 茶摘みの歌」
神使「歌?」
神様「♪夏も近づく八十八夜〜 野にも山にも若葉が茂る〜」
神使「その歌が何か関係あるんですか?」
友「まさか、茶摘み歌がこの神社と関係があると?」
神様「・・・・・・」
神使「ちょっとこじつけ過ぎではないですか?」
神様「いや、そうとも言い切れないぞ」
神使「どういう事です?」
神様「大抵昔の歌は歌詞をもじって秘密を記すのが常識だ」
神使「どこの常識ですかそれ・・・」
586: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/26(水) 23:09:24 ID:NBlwRsYE
神様「この辺ってお茶の産地なの?」
友「いいえ、聞いた事ございませんね」
神様「八百万の神が祀られているんだったら、お茶の神もこの神社に祀ってあるんじゃない?」
友「あるかも分かりませんが・・・ 今この神社で把握しているのは三つだけです」
神様「三つ?」
友「はい。 今日は遅いですし、明日朝にでもご案内いたします」
神様「もう2時か・・・ 眠いわけだ」フワー
友「朝までは私が見張りを」
神使「いえ、私が見張りをします。 その為にバイトに来たので」
神様「犬ころが犬ころである所以、神使君は番犬なのだよ。 それ以外の何ものでもない」
神使「狛犬です」
神様「へいへい、それじゃおやちゅみ〜」バタン
587: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/26(水) 23:10:09 ID:NBlwRsYE
神使「え!? ここで寝るんですか?」
神様「だって〜 私と神使君はもう離れられない関係だし〜」ポッ
神使「うっ・・・///」
友「?」
神使「あっ、特に深い意味はございませんから。 気にしないで下さい友さん」
友「意味も何も、神付き神使は主神と道中離れちゃいけないからだろ?」
神使「え!? そ、そうでした。 そう言うことです」アセアセ
友「どうしたんだ?」
神様「ウヒヒヒ。 ま、そう言う事にしておきますか」
592: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/29(土) 08:50:46 ID:Z6PQVj1o
─── 翌朝・社務所
チュンチュン
神様「・・・・・・朝?」ボー
神使「あっ、神様起きられます?」
神様「ん」モソモソ
神使「今日は珍しく寝相が良かったですね」
神様「・・・あ? お前膝枕してたの?」
神使「えぇ、まぁ」ポリポリ
593: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/29(土) 08:51:30 ID:Z6PQVj1o
ガラガラ
友「あっ、神ちゃんさんおはようございます」
神様「おはよう」
友「献身的な神使ですな。 頭が下がるよ」
神使「からかわないで下さい」
友「からかってないよ」
神使「・・・・・・///」
友「朝食を買ってきました」
594: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/29(土) 08:52:46 ID:Z6PQVj1o
─── 居間
神様「やっぱりおにぎりはツナマヨだよね」モグモグ
友「良くお分かりで」モグモグ
神使「お二人がツナマヨが好きなのは良いのですが、全部ツナマヨというのは・・・」
友「だから野菜スティックも買ってきただろ?」
神使「はぁ・・・」
神様「食べた食べた。 ごちそうさま」
友「では、昨日お話ししたお祀りしてある3つの石碑にご案内します」
神様「あ〜 ここから近いの? 外暑そうだしあんまり動きたくない」
友「すぐ近くなので大丈夫です」
595: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/29(土) 08:53:41 ID:Z6PQVj1o
─── 社務所前
神様「朝なのに暑いね〜」
神使「ここ数日、良いお天気ですよね」
神様「それじゃ、行きま───」
友「こちらが石碑です」
神様「え? まだ社務所前だよ? 三歩しか動いてないけど」
神使「確かに、石像っぽいのが三つ並んでいますが」
神様「社務所の真ん前って・・・ 昨日は気がつかなかった」
友「原型は分からないほどに風化していますし、かなり小さいものなので」
596: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/29(土) 08:56:10 ID:Z6PQVj1o
神様「これ参道の真っ正面にあるって事は結構重要なものじゃないの?」
神使「普通はこの場所には本殿がありますから、ご神体という事も考えられますよね」
友「確かに・・・ どうして脇にあるトイレが本殿なのかなぁ?」
神様「まぁいいや。 で、この三つは何を祀ってんの?」
友「“水”と“お米”の神と聞いております」
神様「水と米ねぇ〜」
神使「確かに石碑には米印(※)の刻印がありますね。 真ん中のヤツは特に米印も大きいですし」
神様「三つとも米印があるのか・・・」
597: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/29(土) 08:57:15 ID:Z6PQVj1o
神使「中心が米で両隣が水でしょうか? 随分と変わった祀り方ですよね」
友「米を育てるのに水は不可欠だし、日照り続きで米が不作にならないように合祀しているんじゃないのか?」
神様「ん〜」キョロキョロ
神使「神様、どうされました?」
神様「この石碑の前だけ石畳が敷かれてるな。 結構広い」
神使「本当ですね。 綺麗に石が揃っています」
友「祭りの日にこの場所で巫女舞が奉納されるので、そのスペースになっているからだと思います」
神様「ここで巫女舞が・・・」
598: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/29(土) 08:57:57 ID:Z6PQVj1o
神使「そのお祭りはいつ頃なのですか?」
友「確か、5月の第1日曜日だったかな」
神使「・・・八十八夜に近いですね」
神様「やっぱり何かあるなぁ〜」
神使「まさか本当に埋蔵金が?」
神様「ここ掘り返してみる?」
神使「ダメに決まっているじゃないですか。 それに歌が埋蔵金のありかを示しているのであれば他の歌詞も解かないと・・・」
友「失礼ですが、神ちゃんさんの神力で調べたり出来ないのでしょうか?」
神様「・・・・・・」
神使「・・・・・・」
友「?」
599: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/29(土) 08:58:59 ID:Z6PQVj1o
神様「こんな事で神の力を使うなんて事は出来ない。 神力は人の願いを成就するためにあるのだよ」
友「!? し、失礼しました!」フカブカ
神使「・・・・・・」ジーッ
神様「そんな見るなよ。 照れるだろうがっ!!」ゲシッ
神使「痛い!」
友「ん? どうした神使」
神使「いえ、何でもありません」スリスリ
神様「他の歌詞かぁ〜」
神様「♪夏も近づく八十八夜
野にも山にも若葉が茂る
あれに見えるは茶摘みじゃないか
茜(あかね)襷(だすき)に菅(すげ)の笠〜 」
神使「茜(アカネ)、襷(タスキ)、菅(スゲ)という言葉が出てきますね」
600: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/29(土) 09:00:42 ID:Z6PQVj1o
神様「茜・・・ アカネ・・・」
友「アカネは確か染料で使いますよね。 赤い染料」
神使「神社だと巫女さんの緋袴の色ですね」
神様「緋袴・・・ 巫女かぁ〜 そう言えば昔はアカネで袴を緋色に染めたな」
友「あっ! そう言えば、参道の脇にアカネが沢山植えられています」
神様「マジで!?」
友「えぇ、入り口の鳥居からここまでの参道までビッシリと」
神様「アカネの帯か・・・ 茜襷はそれを意味しているな。 後は菅の笠・・・」
神使「スゲはしめ縄で使われたりしますが」
601: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/29(土) 09:01:47 ID:Z6PQVj1o
友「この社も、しめ縄と社務所の屋根がスゲで作られていた気が・・・」
神使「そう言えば、社務所の屋根が笠に見えますよね」
神様「このキノコ型の社務所の屋根は笠を表してるのか!」
友「菅の笠・・・ ですか」
神様「ほぉ〜 繋がったな。 間違いない、茶摘み歌はこの神社の事を歌っている」
神使「でも、肝心の茶摘みの由来が分からないですが」
神様「お茶と、この神社を結ぶ何かがあるはずだ」
友「お茶・・・ う〜ん、思いつかないですね」
神様「財宝が近づいてきている! これで地獄のローンともおさらばだ!!」
神使「・・・・・・」ジトー
神様「うそうそ、皆が幸せになれるの間違い」ハハハッ
神使「全く・・・」ハァ
金に目が眩む神ちゃん
603: 以下、名無しが深夜にお送りします :2017/07/29(土) 14:16:56 ID:biPprM26
時おり見える神ちゃんの乙女フェイスに大層オイスター乙。
604: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/30(日) 21:32:27 ID:K1rUDJU.
神様「それより、神事の時の巫女舞って誰が舞うの?」
友「伝承では村の生娘だったと聞いておりますが、今はうちの巫女達が奉納しています」
神様「ちょっと見てみたいんだけど、お願い出来たりする?」
友「夕方でよろしければ。 ただ巫女も夏休みに入っている者が多く人数が少ないですがよろしいですか?」
神様「うん。 一人だけでも振りが分かれば、他は何となく補完できるから」
友「え?」
神使「神様はこう見えて巫女なので」
友「巫女?」
605: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/30(日) 21:34:06 ID:K1rUDJU.
神使「実は神力ゼロなので神宮では巫女の仕事しかやらせてもらえ───」
神様「セイッ!」ゲシッ
神使「痛っ!」
友「・・・・・・」
神様「私は巫女舞に関しては誰にも負けないほどには造詣が深いのだよ」
友「さすが神宮の女神さま。 見かけによらずやる事は押さえているのですね」フム
神様「・・・・・・」
神使「メモします?」
神様「う〜ん、今のはいらない」
606: ◆8YCWQhLlF2 :2017/07/30(日) 21:34:52 ID:K1rUDJU.
神使「さて、それでは本日の奉務をはじめましょう」
神様「今日は境内を徹底的に調べる感じだな」
神使「神様? お忘れかも知れませんがアルバイトをしに来たのですよ?」
神様「分かってるよ。 掃除しながら調べりゃ良いんだろ」
友「私は普段手つかずの裏庭の草むしりをしてきます」
神使「では、私は建物周りを。 神様は参道のお掃除をお願い出来ますか?」
神様「へいへい。 って、私の範囲広くない?」
神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」
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