神様「科学の神様だ」
Part11
237 : ◆8YCWQhLlF2:2016/01/20(水) 01:18:32 ID:58rM90mM
男「何者?」
店主「オレなんかたいしたことねぇよ。 ちょっと機械いじりが好きなジジイだ」
男「ただのじいさんとは思えないんだけど」
店主「5年前までヨーロッパのCERNという研究所で技術者やっていた」
男「聞いたことある! 世界一の研究所でしょ」
店主「あの装置に出会って衝撃を受けたんだ。 オレがもらい受けたときは粉々だったがな」
店主「絶対これを直してやるって。 まぁ、完成したのは退官した後だったけどな」
238 : ◆8YCWQhLlF2:2016/01/20(水) 01:21:34 ID:58rM90mM
男「そんなに凄い機械なの?」
店主「あれは昔、女神様の技官長だったアインシュタインとフェルミが女神様の指示で作った物なんだ」
男「アインシュタインとフェルミ? 有名な物理学者じゃん」
店主「あの装置は今で言うところの量子テレポーテーションを行うために必要なEPRペアを作り出す物に近いんだが・・・」
男「?」
店主「まぁ、高校生には分からんよな」
男「はい」
239 : ◆8YCWQhLlF2:2016/01/20(水) 01:24:53 ID:58rM90mM
店主「大学で物理学の道へ進んで改めてあの機械を見たとき・・・ 尋常じゃない技術だって事が分かった」
店主「一つ問題をクリアする毎に次の難関が待っていた。それをクリアするとさらに高度な問題が・・・ その繰り返し」
店主「気づいたらCERNにて、退官したら秋葉でガラクタ屋はじめてた」
男「はぁ、最後すごい端折りましたね」
240 : ◆8YCWQhLlF2:2016/01/20(水) 01:25:47 ID:58rM90mM
店主「オレなんかより、女の方がすげぇよ」
男「さっきもそんなこと言ってましたね」
店主「彼女は次あたりノーベル賞もらうんじゃないか?」
男「ノーベル賞?」
店主「量子を使ったコンピュータと通信が専門の天才物理学者だ」
男「そんな風に見えないんですけど・・・」
店主「そりゃ、女神様なんかに比べたら赤子みたいなもんだしな」
241 : ◆8YCWQhLlF2:2016/01/20(水) 01:26:56 ID:58rM90mM
男「もしかして、ここにいた人たちってみんな凄い人なんですか?」
店主「そう言えば元神官や技術者は結構有名な科学者になっているな、俺以外は」ハハッ
男「オレ場違いじゃん」
店主「そんなことはないんじゃないか? 大神官となりゃ将来は大有力株だ」
男「え~ たまたま都合の良い出会いがあっただけですよ」
店主「それも一つの選ばれ方だ。 期待してるよ雑用くん」
男「雑用世界一でも目指すか・・・」
店主「さてと、温まったしそろそろ出るか」ザバー
男「あっ、オレも一緒に出ます」ザバー
242 : ◆8YCWQhLlF2:2016/01/20(水) 01:28:21 ID:58rM90mM
ペタペタ
男「そう言えば、女さんが着替えを用意してくれるって言ってたんですけど」
店主「お~、あるじゃないか。 下着と、これは浴衣か?」ゴソゴソ
男「オレのは、コレか」ゴソゴソ
店主「なんか、すんげー木箱に入ってるな」
パカッ
男「何コレ・・・」
店主「・・・・・・」
243 : ◆8YCWQhLlF2:2016/01/20(水) 01:30:06 ID:58rM90mM
女「良いお湯でした。 あらっ」ホカホカ
男「・・・・・・」
女「良くお似合いですね」
男「なんですか? この服は・・・」
女「私も初めて見ました」
男「え~、初めて見る服をチョイスしたんですか?」
女「大神官の御衣装なんて誰も見ていないですからね」
男「凄く動きづらいんですけど」ゴワゴワ
244 : ◆8YCWQhLlF2:2016/01/20(水) 01:31:36 ID:58rM90mM
女「女神様の御衣装姿のお隣にたたれたらとてもお似合いだと思いますよ?」
男「ボクも女さんや店主さんが着ている浴衣が良いです」
女「大神官様に神官や技術者と同じ物を着させるなんてそんな恐れ多いこと」
男「女さん、楽しんでますよね絶対」
女「明日は必ずそのお姿でいらして下さいね? お浴衣はお部屋に用意してありますので。 ではお休みなさい」スタスタ
男「浴衣あるんじゃん・・・ しかし暑苦しいし、この飾り重いな・・・」ゴワゴワ
246 : ◆8YCWQhLlF2:2016/01/20(水) 22:14:46 ID:58rM90mM
ーーー 研究所・2日目・朝
女「偉い偉い、ちゃんと着てきたんですね」
男「なんかコスプレみたいで凄く恥ずかしいんですけど」
女「似合っているわよ」ニコッ
男「こんな豪華な服を勝手に着て、神様に静電気MAX攻撃くらうかも・・・」
ギィー
女「女神様、大神官様がお見えになりました」
神様「そうか、通してくれ」
女「はい」
247 : ◆8YCWQhLlF2:2016/01/20(水) 22:15:52 ID:58rM90mM
男「神様~ いる~?」
神様「遅い! 30分も遅刻だぞ、昨日あれほ・・・ ど・・・・・・」
男「動きづらい」ゴワゴワ
神様「・・・・・・」
男「あ~ 女さんがこの格好で行けっていうから」
神様「・・・・・・」
248 : ◆8YCWQhLlF2:2016/01/20(水) 22:17:27 ID:58rM90mM
男「神様?」
神様「ん? あぁ・・・そ、そうか・・・ うん」
男「やっぱ、マズいよね。 こんな豪華な服着ちゃ」
神様「いや・・・ まぁ、い・・・ 良いんじゃないか? うん ///」
男「なんで神様が照れてんの? こっちが恥ずかしいよ」
神様「・・・・・・」ポケー
男「神様ってば!」
神様「お? いや、似合っているぞ。 中々凜々しい姿だ」
男「何ソレ、ちょっとこの飾りみたいなヤツ重いから取るね」ンショ
神様「あ~っ、そのままが良いと思うのだが・・・」シュン
249 : ◆8YCWQhLlF2:2016/01/20(水) 22:18:34 ID:58rM90mM
男「それより、幼の件はどう?」
神様「・・・そうであるな。 ん~ その椅子にでも腰掛けてくれ」
男「何か分かった?」ドッコイショ
神様「早朝にシミュレーションの結果が出た」
男「で、結果は?」
神様「結論から言うと幼は仮死状態にある」
男「死んでいるっていうのとは違うの?」
神様「表現が難しいのだが、幼の意識が非常に低い状態にあると言った方が良い」
250 : ◆8YCWQhLlF2:2016/01/20(水) 22:20:17 ID:58rM90mM
神様「幼が仮死状態となった理由は分からない」
神様「しかしこの状態で特殊なアルゴリズムを用いるとアカシックとの接続が可能になるという結果が出た」
男「ごめん、もう少し優しくお願いします・・・」
神様「かなり複雑な状況だ」
男「アホにでも分かるように」
神様「まず幼の件に関しては大きな問題が2つある」
男「ふたつ?」
神様「1つ目は、幼が仮死状態となったこと」
男「うん」
神様「2つ目は、幼が今現在アカシックと接続していると言うこと」
男「そうだね」
251 : ◆8YCWQhLlF2:2016/01/20(水) 22:22:05 ID:58rM90mM
神様「私が学校に行った初日のことは覚えているか?」
男「今月の1日だったけ」
神様「その日の朝方、私は男に近い者達へ記憶追加を行った」
男「神様がうち学校の生徒で、しかもオレの親戚だっていうやつ?」
神様「そうだ、男の周りの約800名に対し記憶追加を実行している」
男「そんなに!?」
神様「その後、記憶齟齬がないか小箱がベリファイを行った」
男「ベリファイ?」
神様「照合処理だ」
男「間違ってないか確認する作業?」
神様「そうだ。 最初の簡易検査では100万単位でエラーが出たため修復と再照合を小箱に任せた」
252 : ◆8YCWQhLlF2:2016/01/20(水) 22:25:20 ID:58rM90mM
男「神様でもエラーなんてあるんだ」
神様「あるぞ? 私の演算などエラーだらけだ。 特にこのときは酷かった」
男「そう・・・ なんだ・・・」
神様「何しろ、この記憶追加作業で私は20年分のエネルギーを一瞬で消費している」
男「そんなに!?」
神様「あぁ。 ツングースカの時でさえ5年分のエネルギーしか使っていないしな」
男「もしかしてツングースカ大爆発? それ、すごく気になる」
神様「そうか? あの時はなぁ・・・ いや、今この話はよそう」
男「そうだね」
神様「で、朝7時にエラー修復が完了し正常終了という結果を小箱から受け取った」
男「結構ギリギリまでやってたんだ」
253 : ◆8YCWQhLlF2:2016/01/20(水) 22:26:13 ID:58rM90mM
神様「しかし、この作業中に問題が発生していた」
男「問題?」
神様「まず、幼に記憶追加がされていたこと」
男「え? それって正常じゃないの?」
神様「幼は男と同じく私と脳波パターンが似ているため記憶操作が非常に効きにくい」
男「あ~ 前にそんなこと言ってたね」
神様「その場合、記憶操作を行うためには一定の条件が必要となる」
男「条件?」
254 : ◆8YCWQhLlF2:2016/01/20(水) 22:27:05 ID:58rM90mM
神様「睡眠状態であること」
男「オレ寝たけど効いてないよ?」
神様「男には元々記憶操作は実行していない」
男「ホワイ?」
神様「記憶操作より手なずけた方が早いだろ?」
男「・・・・・・」
255 : ◆8YCWQhLlF2:2016/01/20(水) 22:28:01 ID:58rM90mM
神様「幼は私が記憶操作を行う際に覚醒・・・ つまり起きていることが確認できた」
男「あいつ、そんな時間まで何してたんだよ・・・」
神様「さぁな。 しかし覚醒状態にあったのは間違いない」
男「つまり、幼に記憶操作することは不可能だったと」
神様「そうだ。 私は幼を記憶追加対象から外している」
男「でも幼は学校で普通に神様と接してたよね」
256 : ◆8YCWQhLlF2:2016/01/20(水) 22:29:00 ID:58rM90mM
神様「小箱のログには幼がベリファイ中に睡眠状態になったため記憶追加を実行したと残っていた」
男「ふ~ん」
神様「そしてもう1個。これは男も違和感を感じたはずだ」
男「・・・もしかして、幼のクラス?」
神様「あぁ、私はそのような改竄指示は出していない」
男「あの時もそんなこと言ってたよね」
神様「ログでは記憶齟齬を少なくするための追加補正とある」
男「・・・追加補正? そんなことしたら余計に他との齟齬が出そうな気がするんだけど」
神様「やはり、あの時きちんと精査するべきであった。 小箱を信用しすぎた私の失態だ」
257 : ◆8YCWQhLlF2:2016/01/20(水) 22:29:56 ID:58rM90mM
神様「先ほど照合情報を再度調べたところ、ベリファイ結果に改竄された痕跡が見つかった」
男「改竄? 一体誰が・・・」
神様「・・・私だ」
男「はい?」
神様「正確には私の・・・ 小箱のバックアップからの改竄痕と判明した」
男「バックアップ!?」
神様「小箱は2つある。1つは男も知っている通り裏手の神殿に据え付けてあるものだ」
男「あぁ」
神様「もう1つ、本体・・・ その・・・ 脳がない状態の小箱がある」
男「思考する部分がない小箱って事?」
神様「そうだ。 小箱が担う高度演算とエラー補正を司る部分は単なるプログラムであるため替えが効く」
男「そうなんだ。 どこにあるの?」
258 : ◆8YCWQhLlF2:2016/01/20(水) 22:30:45 ID:58rM90mM
神様「同じ場所にあるが他の次元に包まれており見ることは出来ない」
男「神様の小箱とは仕様が違うの?」
神様「あぁ、製造元が異なる。 バックアップの方はBSC製だ」
男「BSCって!」
神様「そうだ。 試しに1度繋いだことがあるがとんでもない欠陥品だ!」プンプン
男「あ~・・・」
259 : ◆8YCWQhLlF2:2016/01/20(水) 22:32:03 ID:58rM90mM
男「でも思考できないんなら、バックアップの小箱が改竄命令を出す訳ないよね」
神様「鋭いな・・・ 改竄痕に幼の脳波パターンがわずかであるが確認できた」
男「幼が?」
神様「私と脳波パターンが似すぎているため、全く気がつかなかった・・・」
男「じゃぁ、学校で会った幼はすでに・・・」
神様「あぁ、仮死状態となりアカシックと繋がっていたことになる」
男「一体何が・・・」
260 : ◆8YCWQhLlF2:2016/01/20(水) 22:32:51 ID:58rM90mM
神様「・・・私が記憶追加を行う際に小箱が異常を検知しバックアップが起動している」
男「まぁ、確かに20年分のエネルギー使ってたら異常事態だよね」
神様「その後、バックアップが幼の脳と接続したと思われる」
男「なんでそこで幼に接続しちゃうわけ?」
神様「以前も話したが、幼はアカシック因子も有している」
男「うん」
神様「何かの原因で仮死状態となっていた幼の脳を私と思い接続対象と誤認したのであろう」
男「要するに神様と間違えたって事?」
神様「識別判定がお粗末すぎるな。 さすがBSC製なだけはある」
男「未来の超技術なのに・・・」
261 : ◆8YCWQhLlF2:2016/01/20(水) 22:34:03 ID:58rM90mM
男「バックアップに接続して幼との接続を切るってのは?」
神様「改竄を実行しニセのベリファイを上書きした後、自ら故障信号を出し回線を切断している」
男「あぁ~」
神様「それに幼が仮死状態に戻るだけだ。 原因が分からない今は危険すぎる」
男「そのまま死んじゃうこともあるのか・・・ それはダメだな」
神様「論外だ」
262 : ◆8YCWQhLlF2:2016/01/20(水) 22:35:11 ID:58rM90mM
男「一つ聞いて良い?」
神様「なんだ?」
男「もし、バックアップが幼に接続していなければどうなってた?」
神様「・・・死んでいた可能性も否定できない」
男「って事は、バックアップは幼の命を救ったって事とか」フム
神様「いや、男に危害を加えている。 どんな演算であれ許される結果では無い」
263 : ◆8YCWQhLlF2:2016/01/20(水) 22:36:03 ID:58rM90mM
神様「ただ男よ、これだけは言わせてくれ」
男「?」
神様「幼は悪くない。 絶対に幼は救う。 その時に幼に敵意は向けないで欲しい」
男「何言ってんの?」
神様「お願いだ、私の事はどんなに罵倒しても言い。ただ、幼だけはーーー」
男「神様はオレがそんなことしたり言うようなヤツに見えるの?」
神様「・・・・・・」
男「問題ないよ」
264 : ◆8YCWQhLlF2:2016/01/20(水) 22:36:53 ID:58rM90mM
男「でも、幼は仮死状態で意識はほとんど無いんでしょ? どうやってそんなことを」
神様「そこなのだ、その仕組みがよく分からない」
男「神様でも分からないの?」
神様「いくつか仮説はあるが、直接調べてみないことには判断が難しい」
男「小箱に意識が宿ったとか?」
神様「それはない。 幼の脳から小箱に命令を出しているのは間違いない」
男「でも今の幼にはそこまで考えるほどの意識はないんだよね」
神様「あぁ」
男「何者?」
店主「オレなんかたいしたことねぇよ。 ちょっと機械いじりが好きなジジイだ」
男「ただのじいさんとは思えないんだけど」
店主「5年前までヨーロッパのCERNという研究所で技術者やっていた」
男「聞いたことある! 世界一の研究所でしょ」
店主「あの装置に出会って衝撃を受けたんだ。 オレがもらい受けたときは粉々だったがな」
店主「絶対これを直してやるって。 まぁ、完成したのは退官した後だったけどな」
238 : ◆8YCWQhLlF2:2016/01/20(水) 01:21:34 ID:58rM90mM
男「そんなに凄い機械なの?」
店主「あれは昔、女神様の技官長だったアインシュタインとフェルミが女神様の指示で作った物なんだ」
男「アインシュタインとフェルミ? 有名な物理学者じゃん」
店主「あの装置は今で言うところの量子テレポーテーションを行うために必要なEPRペアを作り出す物に近いんだが・・・」
男「?」
店主「まぁ、高校生には分からんよな」
男「はい」
239 : ◆8YCWQhLlF2:2016/01/20(水) 01:24:53 ID:58rM90mM
店主「大学で物理学の道へ進んで改めてあの機械を見たとき・・・ 尋常じゃない技術だって事が分かった」
店主「一つ問題をクリアする毎に次の難関が待っていた。それをクリアするとさらに高度な問題が・・・ その繰り返し」
店主「気づいたらCERNにて、退官したら秋葉でガラクタ屋はじめてた」
男「はぁ、最後すごい端折りましたね」
240 : ◆8YCWQhLlF2:2016/01/20(水) 01:25:47 ID:58rM90mM
店主「オレなんかより、女の方がすげぇよ」
男「さっきもそんなこと言ってましたね」
店主「彼女は次あたりノーベル賞もらうんじゃないか?」
男「ノーベル賞?」
店主「量子を使ったコンピュータと通信が専門の天才物理学者だ」
男「そんな風に見えないんですけど・・・」
店主「そりゃ、女神様なんかに比べたら赤子みたいなもんだしな」
241 : ◆8YCWQhLlF2:2016/01/20(水) 01:26:56 ID:58rM90mM
男「もしかして、ここにいた人たちってみんな凄い人なんですか?」
店主「そう言えば元神官や技術者は結構有名な科学者になっているな、俺以外は」ハハッ
男「オレ場違いじゃん」
店主「そんなことはないんじゃないか? 大神官となりゃ将来は大有力株だ」
男「え~ たまたま都合の良い出会いがあっただけですよ」
店主「それも一つの選ばれ方だ。 期待してるよ雑用くん」
男「雑用世界一でも目指すか・・・」
店主「さてと、温まったしそろそろ出るか」ザバー
男「あっ、オレも一緒に出ます」ザバー
ペタペタ
男「そう言えば、女さんが着替えを用意してくれるって言ってたんですけど」
店主「お~、あるじゃないか。 下着と、これは浴衣か?」ゴソゴソ
男「オレのは、コレか」ゴソゴソ
店主「なんか、すんげー木箱に入ってるな」
パカッ
男「何コレ・・・」
店主「・・・・・・」
243 : ◆8YCWQhLlF2:2016/01/20(水) 01:30:06 ID:58rM90mM
女「良いお湯でした。 あらっ」ホカホカ
男「・・・・・・」
女「良くお似合いですね」
男「なんですか? この服は・・・」
女「私も初めて見ました」
男「え~、初めて見る服をチョイスしたんですか?」
女「大神官の御衣装なんて誰も見ていないですからね」
男「凄く動きづらいんですけど」ゴワゴワ
244 : ◆8YCWQhLlF2:2016/01/20(水) 01:31:36 ID:58rM90mM
女「女神様の御衣装姿のお隣にたたれたらとてもお似合いだと思いますよ?」
男「ボクも女さんや店主さんが着ている浴衣が良いです」
女「大神官様に神官や技術者と同じ物を着させるなんてそんな恐れ多いこと」
男「女さん、楽しんでますよね絶対」
女「明日は必ずそのお姿でいらして下さいね? お浴衣はお部屋に用意してありますので。 ではお休みなさい」スタスタ
男「浴衣あるんじゃん・・・ しかし暑苦しいし、この飾り重いな・・・」ゴワゴワ
246 : ◆8YCWQhLlF2:2016/01/20(水) 22:14:46 ID:58rM90mM
ーーー 研究所・2日目・朝
女「偉い偉い、ちゃんと着てきたんですね」
男「なんかコスプレみたいで凄く恥ずかしいんですけど」
女「似合っているわよ」ニコッ
男「こんな豪華な服を勝手に着て、神様に静電気MAX攻撃くらうかも・・・」
ギィー
女「女神様、大神官様がお見えになりました」
神様「そうか、通してくれ」
女「はい」
247 : ◆8YCWQhLlF2:2016/01/20(水) 22:15:52 ID:58rM90mM
男「神様~ いる~?」
神様「遅い! 30分も遅刻だぞ、昨日あれほ・・・ ど・・・・・・」
男「動きづらい」ゴワゴワ
神様「・・・・・・」
男「あ~ 女さんがこの格好で行けっていうから」
神様「・・・・・・」
248 : ◆8YCWQhLlF2:2016/01/20(水) 22:17:27 ID:58rM90mM
男「神様?」
神様「ん? あぁ・・・そ、そうか・・・ うん」
男「やっぱ、マズいよね。 こんな豪華な服着ちゃ」
神様「いや・・・ まぁ、い・・・ 良いんじゃないか? うん ///」
男「なんで神様が照れてんの? こっちが恥ずかしいよ」
神様「・・・・・・」ポケー
男「神様ってば!」
神様「お? いや、似合っているぞ。 中々凜々しい姿だ」
男「何ソレ、ちょっとこの飾りみたいなヤツ重いから取るね」ンショ
神様「あ~っ、そのままが良いと思うのだが・・・」シュン
249 : ◆8YCWQhLlF2:2016/01/20(水) 22:18:34 ID:58rM90mM
男「それより、幼の件はどう?」
神様「・・・そうであるな。 ん~ その椅子にでも腰掛けてくれ」
男「何か分かった?」ドッコイショ
神様「早朝にシミュレーションの結果が出た」
男「で、結果は?」
神様「結論から言うと幼は仮死状態にある」
男「死んでいるっていうのとは違うの?」
神様「表現が難しいのだが、幼の意識が非常に低い状態にあると言った方が良い」
250 : ◆8YCWQhLlF2:2016/01/20(水) 22:20:17 ID:58rM90mM
神様「幼が仮死状態となった理由は分からない」
神様「しかしこの状態で特殊なアルゴリズムを用いるとアカシックとの接続が可能になるという結果が出た」
男「ごめん、もう少し優しくお願いします・・・」
神様「かなり複雑な状況だ」
男「アホにでも分かるように」
神様「まず幼の件に関しては大きな問題が2つある」
男「ふたつ?」
神様「1つ目は、幼が仮死状態となったこと」
男「うん」
神様「2つ目は、幼が今現在アカシックと接続していると言うこと」
男「そうだね」
251 : ◆8YCWQhLlF2:2016/01/20(水) 22:22:05 ID:58rM90mM
神様「私が学校に行った初日のことは覚えているか?」
男「今月の1日だったけ」
神様「その日の朝方、私は男に近い者達へ記憶追加を行った」
男「神様がうち学校の生徒で、しかもオレの親戚だっていうやつ?」
神様「そうだ、男の周りの約800名に対し記憶追加を実行している」
男「そんなに!?」
神様「その後、記憶齟齬がないか小箱がベリファイを行った」
男「ベリファイ?」
神様「照合処理だ」
男「間違ってないか確認する作業?」
神様「そうだ。 最初の簡易検査では100万単位でエラーが出たため修復と再照合を小箱に任せた」
252 : ◆8YCWQhLlF2:2016/01/20(水) 22:25:20 ID:58rM90mM
男「神様でもエラーなんてあるんだ」
神様「あるぞ? 私の演算などエラーだらけだ。 特にこのときは酷かった」
男「そう・・・ なんだ・・・」
神様「何しろ、この記憶追加作業で私は20年分のエネルギーを一瞬で消費している」
男「そんなに!?」
神様「あぁ。 ツングースカの時でさえ5年分のエネルギーしか使っていないしな」
男「もしかしてツングースカ大爆発? それ、すごく気になる」
神様「そうか? あの時はなぁ・・・ いや、今この話はよそう」
男「そうだね」
神様「で、朝7時にエラー修復が完了し正常終了という結果を小箱から受け取った」
男「結構ギリギリまでやってたんだ」
253 : ◆8YCWQhLlF2:2016/01/20(水) 22:26:13 ID:58rM90mM
神様「しかし、この作業中に問題が発生していた」
男「問題?」
神様「まず、幼に記憶追加がされていたこと」
男「え? それって正常じゃないの?」
神様「幼は男と同じく私と脳波パターンが似ているため記憶操作が非常に効きにくい」
男「あ~ 前にそんなこと言ってたね」
神様「その場合、記憶操作を行うためには一定の条件が必要となる」
男「条件?」
254 : ◆8YCWQhLlF2:2016/01/20(水) 22:27:05 ID:58rM90mM
神様「睡眠状態であること」
男「オレ寝たけど効いてないよ?」
神様「男には元々記憶操作は実行していない」
男「ホワイ?」
神様「記憶操作より手なずけた方が早いだろ?」
男「・・・・・・」
255 : ◆8YCWQhLlF2:2016/01/20(水) 22:28:01 ID:58rM90mM
神様「幼は私が記憶操作を行う際に覚醒・・・ つまり起きていることが確認できた」
男「あいつ、そんな時間まで何してたんだよ・・・」
神様「さぁな。 しかし覚醒状態にあったのは間違いない」
男「つまり、幼に記憶操作することは不可能だったと」
神様「そうだ。 私は幼を記憶追加対象から外している」
男「でも幼は学校で普通に神様と接してたよね」
256 : ◆8YCWQhLlF2:2016/01/20(水) 22:29:00 ID:58rM90mM
神様「小箱のログには幼がベリファイ中に睡眠状態になったため記憶追加を実行したと残っていた」
男「ふ~ん」
神様「そしてもう1個。これは男も違和感を感じたはずだ」
男「・・・もしかして、幼のクラス?」
神様「あぁ、私はそのような改竄指示は出していない」
男「あの時もそんなこと言ってたよね」
神様「ログでは記憶齟齬を少なくするための追加補正とある」
男「・・・追加補正? そんなことしたら余計に他との齟齬が出そうな気がするんだけど」
神様「やはり、あの時きちんと精査するべきであった。 小箱を信用しすぎた私の失態だ」
257 : ◆8YCWQhLlF2:2016/01/20(水) 22:29:56 ID:58rM90mM
神様「先ほど照合情報を再度調べたところ、ベリファイ結果に改竄された痕跡が見つかった」
男「改竄? 一体誰が・・・」
神様「・・・私だ」
男「はい?」
神様「正確には私の・・・ 小箱のバックアップからの改竄痕と判明した」
男「バックアップ!?」
神様「小箱は2つある。1つは男も知っている通り裏手の神殿に据え付けてあるものだ」
男「あぁ」
神様「もう1つ、本体・・・ その・・・ 脳がない状態の小箱がある」
男「思考する部分がない小箱って事?」
神様「そうだ。 小箱が担う高度演算とエラー補正を司る部分は単なるプログラムであるため替えが効く」
男「そうなんだ。 どこにあるの?」
神様「同じ場所にあるが他の次元に包まれており見ることは出来ない」
男「神様の小箱とは仕様が違うの?」
神様「あぁ、製造元が異なる。 バックアップの方はBSC製だ」
男「BSCって!」
神様「そうだ。 試しに1度繋いだことがあるがとんでもない欠陥品だ!」プンプン
男「あ~・・・」
259 : ◆8YCWQhLlF2:2016/01/20(水) 22:32:03 ID:58rM90mM
男「でも思考できないんなら、バックアップの小箱が改竄命令を出す訳ないよね」
神様「鋭いな・・・ 改竄痕に幼の脳波パターンがわずかであるが確認できた」
男「幼が?」
神様「私と脳波パターンが似すぎているため、全く気がつかなかった・・・」
男「じゃぁ、学校で会った幼はすでに・・・」
神様「あぁ、仮死状態となりアカシックと繋がっていたことになる」
男「一体何が・・・」
260 : ◆8YCWQhLlF2:2016/01/20(水) 22:32:51 ID:58rM90mM
神様「・・・私が記憶追加を行う際に小箱が異常を検知しバックアップが起動している」
男「まぁ、確かに20年分のエネルギー使ってたら異常事態だよね」
神様「その後、バックアップが幼の脳と接続したと思われる」
男「なんでそこで幼に接続しちゃうわけ?」
神様「以前も話したが、幼はアカシック因子も有している」
男「うん」
神様「何かの原因で仮死状態となっていた幼の脳を私と思い接続対象と誤認したのであろう」
男「要するに神様と間違えたって事?」
神様「識別判定がお粗末すぎるな。 さすがBSC製なだけはある」
男「未来の超技術なのに・・・」
261 : ◆8YCWQhLlF2:2016/01/20(水) 22:34:03 ID:58rM90mM
男「バックアップに接続して幼との接続を切るってのは?」
神様「改竄を実行しニセのベリファイを上書きした後、自ら故障信号を出し回線を切断している」
男「あぁ~」
神様「それに幼が仮死状態に戻るだけだ。 原因が分からない今は危険すぎる」
男「そのまま死んじゃうこともあるのか・・・ それはダメだな」
神様「論外だ」
262 : ◆8YCWQhLlF2:2016/01/20(水) 22:35:11 ID:58rM90mM
男「一つ聞いて良い?」
神様「なんだ?」
男「もし、バックアップが幼に接続していなければどうなってた?」
神様「・・・死んでいた可能性も否定できない」
男「って事は、バックアップは幼の命を救ったって事とか」フム
神様「いや、男に危害を加えている。 どんな演算であれ許される結果では無い」
263 : ◆8YCWQhLlF2:2016/01/20(水) 22:36:03 ID:58rM90mM
神様「ただ男よ、これだけは言わせてくれ」
男「?」
神様「幼は悪くない。 絶対に幼は救う。 その時に幼に敵意は向けないで欲しい」
男「何言ってんの?」
神様「お願いだ、私の事はどんなに罵倒しても言い。ただ、幼だけはーーー」
男「神様はオレがそんなことしたり言うようなヤツに見えるの?」
神様「・・・・・・」
男「問題ないよ」
264 : ◆8YCWQhLlF2:2016/01/20(水) 22:36:53 ID:58rM90mM
男「でも、幼は仮死状態で意識はほとんど無いんでしょ? どうやってそんなことを」
神様「そこなのだ、その仕組みがよく分からない」
男「神様でも分からないの?」
神様「いくつか仮説はあるが、直接調べてみないことには判断が難しい」
男「小箱に意識が宿ったとか?」
神様「それはない。 幼の脳から小箱に命令を出しているのは間違いない」
男「でも今の幼にはそこまで考えるほどの意識はないんだよね」
神様「あぁ」
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