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神娘「我を呼んだか!」男「呼んでません」

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Part25
808: ◆lwQY2qw84A:2013/10/28(月) 01:55:53 ID:KqsuHi5E
いよいよ終わりに近づいているけど 広げた風呂敷に見合うだろうか
そして名前の割にモブの出番は大抵ここまでと言うやっつけ具合

810:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/28(月) 08:44:20 ID:zo7cgcbQ
これは偉そうな人は後でスーツの女にお尻ペンペンされてもいい
それにしてもペンステモンかい……神様やるねぇ

811:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/28(月) 10:51:39 ID:8CbhPvaU
花言葉調べてグッときた
しかし男の紫苑は…この先がとても気になる

813: ◆lwQY2qw84A:2013/10/28(月) 19:51:37 ID:KlEGA6oA
神娘「ああ、おはよう」
男「ふぁ…学校は再開する気配がないしな」
『依然として気象は元に戻らず、体調不良を訴える患者が日に日に増えてきています』
男「こんな調子だしな」
『病院は連日のように対応に追われ、現在どこも満室状態で…』
神娘「…いやらしい手を使うものだ」
男「ああ、これから戦う相手か」
神娘「まだ伝令からは何もないな、だがもうじきだろう」
男「…そうか」
神娘「緊張するか?」
男「そりゃ、するさ」
神娘「神主、いや人の子」
男「ん?」
神娘「映画館に行かんか?」
男「映画館?」

814: ◆lwQY2qw84A:2013/10/28(月) 19:56:09 ID:KlEGA6oA
――――――
キネマ『森の宿』
男「えっらい閑散としてるなおい」
神娘「まあこの状況だ、貸切に近いだろうな」
男「まあ確かに、でもどうして映画館よ?」
神娘「ふふんっ」ギュ
男「腕を掴むな、結構重い」
神娘「まあまあ、今日ぐらいはこのままでいいだろう?」
男「…ん、まあ悪い気はしない」
神娘「それじゃ、いざ参る!」トストス
男「大げさだと思うがな」ザスザス


815: ◆lwQY2qw84A:2013/10/28(月) 20:00:42 ID:KlEGA6oA
神娘「おい、あれがポップコーンだな?」
男「そうだぞ、買うか?」
神娘「一番でかいのがいいな!」
男「食いきれないと思うから却下」
神娘「確かに、そして飽きそうだな」
男「そもそも上映中に何かを食べるのはマナー違反だと思う」
神娘「ではなぜ売っているのだろうと哲学的な質問をしてみる」
男「それは映画館の売り上げにつながるからです」
神娘「成程至極満足な回答」
男「と言う訳でポップコーンは上映前に食いきれるのを頼もう」
神娘「そこまで言っておきながら買ってくれるお前は良い奴だと思うぞ」
男「褒めるな照れる」
神娘「それは私の台詞だ」

816: ◆lwQY2qw84A:2013/10/28(月) 20:04:14 ID:KlEGA6oA
男「キャラメルポップコーンを頼んだわけですが」ボリボリ
神娘「正直ここで帰っても良いと思う」ボリッボリッ
男「それは来た意味ないと思う」ボリュッ
神娘「確かに」ボリッバリッ
男「なにか見るか、ああもうポップコーンが無くなった」
神娘「キャラメルがかかってる場所とかってない場所では残念度が違うな」
男「それは同意する」
神娘「では何を見よう、おすすめはあるか?」
男「知らん」
神娘「だろうな」

817: ◆lwQY2qw84A:2013/10/28(月) 20:36:33 ID:KlEGA6oA
『私は道になりたい』
『アパム!弾!弾持って来い弾!』
『未知との遭遇 ちくわ編』
『鮪のカルパッチョのソテー』
男「これはひどいタイトル」
神娘「最早映画かどうかも定かではないな」
男「せめてまともなのを見たいんだが」
神娘「じゃ、これなんてどうだ」
『野良猫は見た!』
男「動物ものか、いいんじゃないかな」

818: ◆lwQY2qw84A:2013/10/28(月) 20:45:54 ID:KlEGA6oA
******
『あっ、だめぇっ、私には旦那が』
『いいじゃないか…、見ているものと言ったら猫ぐらいだぞ』
『あぁ~っ あれぇ~っ』
男「(…ほのぼのアニマルものだと思ったらどろどろ人妻ものだったでござる)」
神娘「……」
男「(こういう時って気まずいよなぁ…)」チラッ
神娘「眠い」クァーッ
男「なんか予想していた反応と違う!?」
神娘「この程度の修羅場は見慣れている」
男「あ、ああ…流石としか」
神娘「一人の女を巡って三つ巴どころか村中殺し合ったり、一家無理心中だったり」
男「重いし、凄く重いしそれ」
神娘「だろう?」

819: ◆lwQY2qw84A:2013/10/28(月) 20:52:30 ID:KlEGA6oA
神娘「それよりも…今は、な?」チラッ
男「ん?」
神娘「二人きりだぞ」トスッ
男「…そうだな」
神娘「なあ、人の子」
男「うん」
神娘「このままで居られたらいいのにな」
男「神様」
神娘「ん?」
男「なにを今更」
神娘「…くく、そうだな」

820: ◆lwQY2qw84A:2013/10/28(月) 21:00:20 ID:KlEGA6oA
男「なあ神様」
神娘「ん?」
男「神様ってどんな奴が好きなんだ?」
神娘「難しい質問だな…」
男「難しすぎて思いつかないから聞いた」
神娘「…ああそうだ、例え話だが」
男「ん?」
神娘「例えば私が死ぬとするだろ?」
男「嫌なたとえだな」
神娘「そうしたら真珠貝で墓穴を掘って、星のかけを墓標にして…そして待っていてくれる人かな」

821: ◆lwQY2qw84A:2013/10/28(月) 21:02:28 ID:KlEGA6oA
男「待つってどれぐらい?」
神娘「日が昇るだろ?」
男「うん」
神娘「そして沈むだろ?」
男「うん」
神娘「また昇って、沈んで…飽きるほどにそれを繰り返して、太陽が飽きてしまうまでさ」
男「途方もない話だな」
神娘「そうだな、つまりはそう言う事だ」
男「それまで待ち続けたらまた会いに来るのか?」
神娘「さあな」
男「なんだそりゃ」

822: ◆lwQY2qw84A:2013/10/28(月) 21:04:48 ID:KlEGA6oA
神娘「さて、帰るか」
男「ああ、正直この映画には飽きていたんだ」
神娘「決まりきった結末のある映画より、七転八倒の現実の方が面白い」
男「時折嫌になるがな」
神娘「それでも、それだから生きるのはやめられない」
男「神様って生きてるの?」
神娘「死んではいない」
男「なんだ、そんな事か」

823: ◆lwQY2qw84A:2013/10/28(月) 21:08:43 ID:KlEGA6oA
――――
神娘「しかし退屈な映画だったな」
男「題名だけは度肝を抜かれたがね」
神娘「ま、そんなもんだろ…ん」
スチャッ カチャッ…
剣士「どうも」ペコリ
神娘「ほら、少なくとも退屈はしなさそうだ」
男「…そうだな」

812:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/28(月) 12:11:55 ID:cDBuzSFU
やべぇ、すげえ面白い
無理して1スレに収めなくてもいいんだぜ
(まあぶっちゃけ「少しでも長く続い欲しい」という俺の願望なんだがw)

824: ◆lwQY2qw84A:2013/10/28(月) 21:12:10 ID:KlEGA6oA
>>812
終わりが無いのも目安が無いのもスマートではないので
このスレ内ですっぱりと終わらせるつもりです

825:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/28(月) 21:33:27 ID:j3i.C5So
風呂敷広げちゃってちゃんと着地できるのかお兄さん心配だよ

826:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/28(月) 21:40:46 ID:ZqaXKxKM
続編ということで次スレでも…

827: ◆lwQY2qw84A:2013/10/28(月) 21:50:03 ID:KlEGA6oA
―――――
男「どうぞ」コトン
剣士「作戦実行の日時が決まりました、丁度一週間後の丑の刻です」ズズズ
神娘「そちらが仕掛けてから一か月経ってまぁ、迅速な作戦指揮な事で」
剣士「手間取った言い訳と言いますか、理由と共に概要を説明いたします」パサッ
男「この国の地図だな、この線は?」
剣士「古来よりこの国…と言うより各国では風水や気脈等様々な礼術を用いて防衛陣を敷いてきました」
男「それがこの線と…」
剣士「はい、賊は流石に陣が厚い所ではなく薄い所に攻め込んでくるだろうとの予測はできましたが…」
男「まあそうだろうな」

828: ◆lwQY2qw84A:2013/10/28(月) 21:51:23 ID:KlEGA6oA
神娘「いやしかし、綻びが多いな」
剣士「ええ、何せ数百年前のものですから地形の変更とともに綻びが多発しどこに攻め込んでくるのかわからず…」
男「こんだけ時間がかかったと」
剣士「はい、結果としてここの海岸にて大規模な侵攻作戦が始まるだろうと」トントン
神娘「なるほど、予測に時間が掛かりすぎたこと以外は私も同意だ」
男「神様、棘のある言い方は良しなよ」
神娘「…すまん」
剣士「と言う事でここに我々の全精力を結集し迎え撃つと言う事になりました」
男「つまりはごり押しだな」
神娘「だがまあ、一番現実的な手だ」


829: ◆lwQY2qw84A:2013/10/28(月) 21:55:08 ID:KlEGA6oA
男「それで、神様にはどうしてもらいたいの?」
剣士「簡単な話、足止めをお願いしたい」
神娘「足止め?」
剣士「ええ、我々は各個撃破ならばできますがまとめて相手する事は不可能…神様にはそこを何とかしていただきたいのです」
神娘「なるほど、まあ簡潔だが綻びのない作戦だな」
剣士「はい…」
神娘「それがとんでもなく難しいことを除けばだが」
剣士「…無理は承知しております」
神娘「幾ら神主が居るとはいえ私の力にも限りがある、そこは分かっているな?」
神娘「無理にとは言いませんが…この作戦の成否には神様の力添えが必要なんです!」
神娘「…ほぉ」

830: ◆lwQY2qw84A:2013/10/28(月) 21:59:46 ID:KlEGA6oA
ミス 最後から二行目は剣士が言ったです 神様一人芝居駄目よ
剣士「私はこの国が好きなんです!護りたいんです!」
男「(…そうか、こいつも護るべきものを持ってるんだな…)」
剣士「無礼なのはわかっています!でも…でもっ…!」
神娘「良い」
剣士「神様…」
神娘「お前の強い想い、この私がしかと聞き届けた」
男「(…最近神様威厳ましましだな)」
神娘「お前の思いも私が受け止めようぞ、任せるがいい」
剣士「あ…ありがとうございます!」ペコリッ
神娘「いよいよもって負けられなくなったな」
男「…そうだね」

831: ◆lwQY2qw84A:2013/10/28(月) 22:06:34 ID:KlEGA6oA
―――――――――
それから数日後
『ますますもって異常気象は拡大の一途をたどり…』
男「…もうすぐ山場か」
神娘「ああ、私ももう近くに感じているぞ」
男「気味が悪いな」
神娘「早く終わらせたいものだ」
男「無事に、ね」
神娘「勿論だが…」クァァ
男「眠いの?」
神娘「力を蓄えているからな、溜めても困ることは無いだろうし…」
男「布団を敷くからゆっくり寝てよ」
神娘「助かる…」
男「(神様も緊張しているみたいだな…)」

832: ◆lwQY2qw84A:2013/10/28(月) 22:08:29 ID:KlEGA6oA
ゴロッ ゴロゴロゴロ…
男「(最近はあんな雲ばっかりだ、太陽を見なくなっちまった)」
神娘「太陽を隠すと言う事は…国の力を弱める事にもなる」
男「下準備ってわけか」
神娘「向こうは何としてもこちらを落としたいらしいな…そうもいかんが」
男「ああ、だから今はゆっくり休んで」
神娘「…ん…」トッ トッ トッ
男「…寝たか」
ゴロッ ゴロゴロゴロ…
男「……ん?」
ヒタッ ヒタッ
男「(来客?いやこの感覚は…)」
娘「やぁ」スッ
男「やっぱり、君か」
娘「久しぶりだけど忘れてないよね?」

833: ◆lwQY2qw84A:2013/10/28(月) 22:15:29 ID:KlEGA6oA
男「忘れる筈無いけど…もう出てこないんじゃなかったっけか」
娘「あの件に関してはもう私は要らなくなったけど、やっぱり時々出てくるんだよ」
男「まあそれも良いけど…何か用事があったんだろう?」
娘「簡潔に言おう」
男「ああ」
娘「どちらかが死ぬか、どちらも死ぬよ」
男「それまた…えらい殺伐としてるな」
娘「今君たちは…いや私達はひどく曖昧で不安定な場所に居る、それがどう落ちるかは想定できない」
男「…死ぬのか」
娘「ああ間違えても自分が死ぬことで”私”を生かそうと思っちゃ駄目だよ?最悪両方死ぬから」
男「分かっているけど…なんだ、いざ言われると…」
娘「目を背けちゃ駄目だよ」
男「……」
娘「目を背けたら見えない世界があるんだから」
男「…分かった」

834: ◆lwQY2qw84A:2013/10/28(月) 22:18:41 ID:KlEGA6oA
娘「諦めない限り、きっと悪い方にはいかないよ」
男「そうだろうかな」
娘「そうだよ、私は神様だから」
男「そうか、それなら安心だ」
娘「…ああ、あと教えておいた方がいいよね」
男「うん?」
娘「紫苑の花言葉、君が送った言葉の意味を」
男「気になる、けど怖いな」
娘「耳を貸して」
男「ああ」
娘「紫苑の花言葉はね――――――」

835: ◆lwQY2qw84A:2013/10/28(月) 22:23:00 ID:KlEGA6oA
―――――――
そして、決戦の日
その夜の帳が降りる
―――――――
男「…まるで生気が感じられない」
神娘「もう太陽が見えなくなって相当立つからな、国も憔悴しきっている…」
男「絶好のチャンスってわけか」
神娘「ああ、聞こえんか?」
男「…ん」
―――――――――――――ドォーン
―――――ドォォォン
――――――――――ドーォォン
男「…これは」
神娘「化け物どもの太鼓の音だよ、けったいな事だ」
男「…気味が悪いな」ブルッ

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