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神娘「我を呼んだか!」男「呼んでません」

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Part30
956: ◆lwQY2qw84A:2013/11/02(土) 10:47:07 ID:Zdj8gtB2
――――
神娘「良かったのか?」
男「なにが」
神娘「墓参りだけで」
男「いいよ…というかどの面下げて会いに行けばいいのか分からんし」
神娘「ま、そこのところは国が何とかしてくれたらしいがな」
男「国が?」
神娘「お前は海難事故に巻き込まれて死んだ事になっていた、それだけだ」
男「なんて無難な、まあ微妙にあたってるけどさ」
神娘「……すまんな」
男「なんか」
神娘「ん?」
男「神様の気持ちが分かった、これは過去に囚われるわ」
神娘「ああ…」

957: ◆lwQY2qw84A:2013/11/02(土) 10:52:23 ID:Zdj8gtB2
男「時間が掛かるかもな、立ち直るのには」
神娘「…待っているよ」
男「ああ」
神娘「お前がそうしたように、私も力を貸すからさ」トンッ
男「…ああ」
神娘「これからどうしようか」
男「取り敢えず今まで通りぼーっとしてもしたいな」
神娘「冬だったからな、今まで」
男「…春ってこんなに綺麗なんだな」
神娘「秋に比べて食べ物はないがな」
男「花より団子じゃないからいいんですわ」
神娘「本当に?」
男「う…本当に」

958: ◆lwQY2qw84A:2013/11/02(土) 10:56:48 ID:Zdj8gtB2
男「一周まわったんだな」
神娘「ああ、夏から始まって秋、冬、そして春」
男「なんか夏って聞くのは懐かしいな」
神娘「こっちとしてもな、しばらくしたら夏になるかもしれん」
男「まあ今は」
神娘「このままでいいな」
男「……」ウトウト
神娘「おい」
男「うん?」
神娘「ここに寝ろ」ポンポン
男「膝じゃん」
神娘「膝枕がしたい」

959: ◆lwQY2qw84A:2013/11/02(土) 10:59:22 ID:Zdj8gtB2
男「……ん」
神娘「どうだ?」
男「…いい」
神娘「そうかそうか」
男「まさに神様のお膝元か…」
神娘「安心するだろう?」
男「そりゃ、勿論」
神娘「ゆっくり寝ろ、今までの分」
男「うんにゃ…おやすみ」
神娘「おやすみ」

960: ◆lwQY2qw84A:2013/11/02(土) 11:04:55 ID:Zdj8gtB2
男(柔らかい)
ヒュゥゥゥ…
男(暖かくて、心地のいい風が吹いている)
ゴォッ
男(春一番の様な突風も…)
ゴオォォォォォォ…
男「ん?」
神娘「へ?」
ドォォォォォォッ
男「なんじゃぁ!?」
神娘「おわぁぁっ!?」


961: ◆lwQY2qw84A:2013/11/02(土) 11:07:48 ID:Zdj8gtB2
ドシャァァァン…
男「……」
神娘「……」
竜女「……」
男「お前かよ!」
龍女「私だ」
神娘「驚いただろうが!」
龍女「そりゃ驚かせることが目的だしな」カラカラ
神娘「全くお前は…」
龍女「その前に我が友よ」
神娘「あん?」
龍女「おはよう」ニッ
神娘「…ああ、おはよう」プイッ

962: ◆lwQY2qw84A:2013/11/02(土) 11:16:51 ID:Zdj8gtB2
龍女「んー…」ジロジロ
神娘「なんだ?」
男「おん?」
龍女「やっと付き合ったかこのアホンダラが」
男「一発でばれたか…」
神娘「やっぱりお前には敵わんな…」
龍女「龍の髭はな、気を察知するのよ」カラカラ
男「なんか悔しい」
龍女「元人間に龍が負けると思うなよ?」
神娘「ぐぬぬ…」

963: ◆lwQY2qw84A:2013/11/02(土) 12:34:48 ID:Zdj8gtB2
龍女「それで、昨日目覚めたそうだな」
男「ああ」
龍女「外へは行って来たか?」
神娘「こいつに付いて行った」
男「墓参りでな」
龍女「ふむ…外はどうだった」
男「んー…なんだろ」
神娘「変わりあったか?」
男「なんか、前より馴染みが深くなったみたいな…」
神娘「ああ確かに、なんとなく過ごしやすくなったな」
龍女「やはり気づくか」
神娘「どう言う事だ?」

964: ◆lwQY2qw84A:2013/11/02(土) 13:51:24 ID:Zdj8gtB2
龍女「あの時、何か不気味な事が起こっている事は誰もが知っている事だった」
男「ああ、あの軍勢の進行があった時か」
龍女「幾ら時間がたっても解決しない問題、そのほかにも本能が危機を察知していた」
神娘「ほうほう」
龍女「相当な鬱憤、不安、そう言ったものが溜まりこんでいた…そこまでは向こうの思う壺だったのだろうな」
男「腹だたしいな」
龍女「だがあの夜を境にそれが一変した、空は元に戻り逆に清々しいまでの風が吹いていた」
男「神様何かやった?」
神娘「なにもやってない」
龍女「そっちの方が思いっきり暴風ぶっ放したから穢れとか色々溜まっていたものが吹っ飛んで行ったんだな」
神娘「やるなお前」
男「それ程でも」

965: ◆lwQY2qw84A:2013/11/02(土) 14:03:31 ID:Zdj8gtB2
男「それで、こっちに色々けしかけてきたのはどうなったんだ?」
神娘「思いっきり返したなら軽くはすまんと思うが」
龍女「壊滅した」
男「えっ」
龍女「翌朝には既に跡形も無く荒廃しておったわ、よっぽど大掛かりにやったのだろうな」
神娘「…ひょっとして、そのぶっとばしたのも全部?」
龍女「多分な、全く良い呪い返しだ!」ケラケラケラ
神娘「人を呪わば穴二つだなまったく」フッ
男「あー…あは、あははは…」ヒクヒクッ

966:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/11/02(土) 15:07:18 ID:xLuu8/vA
(書き込み減らして>>1に頑張らせようもうちょっとイチャラブ見たい)

967: ◆lwQY2qw84A:2013/11/02(土) 15:15:11 ID:Zdj8gtB2
男「えーっと…それとこれとでどう関係が?」
龍女「ああいや、その日の晩から色々と話題になってな」
神娘「そんな話題になるようなことしたかな」
龍女「『夜なのに眩い光が空から降ってきた』とか」
神娘「へっ」
龍女「『今まで感じたことの無い気分だった、震えるほど畏れを感じた』とか」
男「…神様」
龍女「『死にかけていた老人が全員飛び起きて口それぞれに信仰の言葉を口にし始めた』とか」
神娘「それってまさか」
龍女「それだけじゃない、『卒倒しそうな怒気と共に暴風が吹き荒れた』もある」
男「えっ」

968: ◆lwQY2qw84A:2013/11/02(土) 15:23:04 ID:Zdj8gtB2
龍女「いずれにせよ」パシン
神娘「…ナンノコトカナー」
男「ナンノコトダロウネー」
龍女「その日を堺に噴出した様に話題となった言葉がある」
男「……おう」
龍女「『神』…今までは鼻で笑われてたそれを大真面目に学者が語り始めた」
神娘「現金主義だなおい」
龍女「現に大多数が説明不明な事を感じていたのだ、説明不明な力が作用していたと考えるのも当然」
男「ううむ…で」
龍女「数十年にも及ぶ追及に耐えきれず国は遂に吐いた、『神は居る』と遂に認めた」
神娘「今まで認めてなかった癖に」
男「言うな神様」

969: ◆lwQY2qw84A:2013/11/02(土) 15:45:43 ID:Zdj8gtB2
龍女「結果として事は大きく動いた、一国が認めた事で他国も認めねばならくなったからな」
男「良い事なのか?」
神娘「まあ良い事ばかりではないだろうよ、こちらの力を悪用する者も出てくるだろうし」
龍女「今までまやかしだったと思われた研究が発展し、技術によって科学へと昇華された」
神女「調べれば何とかなるものでもないがな」フンッ
男「人間って調べずにはおれないからさ、ほら」
神娘「…まあ、そこは置いておこう」
龍女「うむ、結果として新しい宗教が生まれた」
男「え」
神娘「まあ当然だな」
男「なんでそんな落ちつけるんだよ」
神娘「神だからな」

970: ◆lwQY2qw84A:2013/11/02(土) 15:59:01 ID:Zdj8gtB2
龍女「まあそんな大したものではない、遊びみたいなものだ」
神娘「不敬だなおい」
龍女「本山を○○神宮、祭神をお前に定めた程度だ」
男「んー…なんか複雑だ」
龍女「なにがだ、もう力を失う心配はないのだぞ?」
男「それでも…なんだかな」
神娘「私の身は信徒の物だからな、慣れろ」
男「…それでもさ」
神娘「私の”身”はな?」
男「ああ」
神娘「だが”心”は違う、それは二人の物だ」
男「…おう」
神娘「それでいいだろう?」ニコ
男「…そんな顔されたら駄目って言えないわ…」
神娘「はっはっはぁ」

971: ◆lwQY2qw84A:2013/11/02(土) 16:21:45 ID:Zdj8gtB2
龍女「これで終わりかな、私が言うべき事は」
神娘「助かった」
龍女「いやいや」
神娘「結構重要な事を教えられてな…うむ、持つべきものは友」
龍女「今度餅奢れ」
神娘「男手が居るからな」
男「…分かったよ」
龍女「はっはっは、きなこ頼んだ」
神娘「私はあんこで」
男「磯部…」
神娘「見事に分かれたなおい」

972: ◆lwQY2qw84A:2013/11/02(土) 16:33:02 ID:Zdj8gtB2
龍女「」

973: ◆lwQY2qw84A:2013/11/02(土) 16:45:34 ID:Zdj8gtB2
>>972 ミス
龍女「で、どうするつもりだ?」
神娘「どうって」
龍女「お前らは外に出るつもりはあるのか?」
男「うーむ…」
龍女「出ればそれなりの信仰は集まる…いや”実物”なんだ、凄まじい効果が出るだろうな」
男「どうする?」
神娘「外か…」
男「どっちでもいいんだ、神様次第」
龍女「まあ私はそれに関してとやかく言わんさ」

974:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/11/02(土) 16:50:02 ID:Seu5dhvw
あれこれ男も崇められてんの?

975:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/11/02(土) 17:03:00 ID:Ghwj8.Wo
崇めというか畏れというか


976: ◆lwQY2qw84A:2013/11/02(土) 17:04:30 ID:Zdj8gtB2
――――――
母「ここが○○神宮ね」
子供「わーい!綺麗な花で一杯だー!」
父「こら、ここには神様が居るんだからはしゃいじゃ駄目だよ」
神娘「別に子供がはしゃいだぐらいでとやかく言わんがな」
母「えっ?」
男「あ、すみません…こいつちょっと変人で」ペコリ
神娘「むうっ」
父「あなた達もこの神宮にお参りに?」
男「ええ、まあ」
母「神様が居るんでしょうか…」
神娘「居るぞ、信じれば神は居る」
父「…そんなもんですかね」
神娘「ああ、だから安心して信じろ…そこに神は居るのだから」

977: ◆lwQY2qw84A:2013/11/02(土) 17:28:52 ID:Zdj8gtB2
父「それでは私は神宮を回ってきますね」
母「ほら、行くわよ?」
神娘「気をつけろよ」
子供「……」ジーッ
男「ん?どした?」
子供「ばいばい、かみさま」ダッ
男「へっ?」
神娘「子供は純粋な分勘づくのかもな」
男「…そうかあ」
神娘「こうして人間に紛れるのも久しぶりだな」
男「こっちもだよ」

978: ◆lwQY2qw84A:2013/11/02(土) 17:38:31 ID:Zdj8gtB2
神娘「私が人間だった時も、こうして人に囲まれていたな」
男「もう、無理しなくていいんじゃないかな」
神娘「無理はしてないさ」
男「神らしく生きるとか、神らしく振舞うとかじゃなくて…人の中に居る神でもいいじゃないか」
神娘「…そうかもしれんな」
ヒュゥゥ…
男「…風だ」
神娘「私が起こしたんじゃないぞ」
男「知ってるよ、でも…」
―――「私は…神様であって神様ではない」
男「あれ」
―――「気を付けて」
男「待てよ」
神娘「ん?」

979: ◆lwQY2qw84A:2013/11/02(土) 17:48:13 ID:Zdj8gtB2
――――「これで、私の役目も終わった」
男「神様が過去を認めた時に”神様になりきれなかった神様”は役目を終えた」
――――「彼女の強い罪の意識が私を呼んだんだ」
男「罪の意識が薄れた以上現れることは無い…だったら」
――――「そうだよ、私は神様だから」
男「『あの再び現れたの』は、どの神様だ?」
――――「教えてあげるよ」
男「何のために現れたんだ?神様の強い意識ってなんだったんだ?」
ヒュゥッ ヒュルルゥッ
ヒュゥッ
娘「それはね」

980: ◆lwQY2qw84A:2013/11/02(土) 17:58:03 ID:Zdj8gtB2
娘「現れる筈のなかった私、神様の強く成長してしまった無意識の自我」
―――「私は人を生かす為ではない、人を殺すための神だ」
娘「一度目は過去への贖罪」
―――「戦争を止める為ではない、戦争を続けるための神だ」
娘「そして二度目は…」
―――「私としては、一緒に居られるだけでもいいのだ」
娘「決して混じりあうことの無い存在への恋慕」
―――「…神主」
娘「簡単に言えば私はお手伝いとか後押し役だね、損な役」
娘「大丈夫とか言っておきながら全然大丈夫じゃないんだよね」
娘「みっともなくて、卑屈で」
娘「…まあでも、いいかな」
娘「だってあれは私だもの」

981: ◆lwQY2qw84A:2013/11/02(土) 18:01:19 ID:Zdj8gtB2
ザァァァッ…
娘「花嵐はいつ見ても綺麗、向こうに居る二人は見れないだろうけどね」フッ
ザァ…
娘「さあ、そろそろ行こう」スゥ…
ザッ…
娘「末永く仲良くね」
ザァァァァァァッ
ザァァァァァッ 
ザァァァッ…
ザァッ…

982: ◆lwQY2qw84A:2013/11/02(土) 18:03:38 ID:Zdj8gtB2
男(風が吹いている)
神娘「おい」
男(どこまでも続く空に、風が)
神娘「手を繋ぐぞ、有無は言わせん」
男(願わくばいつまでも吹き続けているように)
神娘「ん?」
男(願わくば―――)
神娘「我を呼んだか?」
男「呼んだよ」
男(君に届く様に)

983: ◆lwQY2qw84A:2013/11/02(土) 18:06:15 ID:Zdj8gtB2
後日談終了
ぎりぎりですねぎりぎり、私の頭がぎりぎりなせいでペース配分ぎりぎりですぎりぎりぎり
二か月もかかった点ももうぎりぎりですわぎりぎり
読んでくれてありがとうございました 人外物流行れこら

984:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/11/02(土) 18:09:27 ID:JGfg/I3.

かわいい神様だったわ
どこまでが人外かわからなかったから無機物喋らせてるわ

985:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/11/02(土) 18:15:10 ID:Seu5dhvw
乙にゃん

986:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/11/02(土) 18:15:32 ID:ztp06lhc
神娘様ペロペロ…ここまで予測変換されるようになってしまった
ともかく乙です

987:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/11/02(土) 18:22:34 ID:0.P/wTtI
すごく面白かった


988:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/11/02(土) 19:19:26 ID:RrgOSinU
改めて乙でした!
漱石かぁ…読んでみようかな

990:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/11/02(土) 19:53:36 ID:hyyKNMzw
すっごく面白かった
素敵な作品をありがとう!

991:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/11/02(土) 20:41:14 ID:0yyZ/3JA
おつ
最高だった

994:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/11/02(土) 21:30:10 ID:Wafcu6o2
乙乙
夢十夜の使い方上手かったわ

997:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/11/02(土) 22:26:53 ID:AxddhAQI
お疲れ様でした
久しぶりに楽しませてもらいました

998:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/11/02(土) 23:29:51 ID:oSSWs9eM


999:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/11/02(土) 23:30:50 ID:3gsvMd2I
面白かった!

1000:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/11/02(土) 23:31:52 ID:OfwuexCc
乙乙

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