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神娘「我を呼んだか!」男「呼んでません」

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Part29
920: ◆lwQY2qw84A:2013/11/01(金) 21:30:48 ID:XIAuiqW2
――――――
シンシン シンシン
男「よく分からなかった」
男「なんで神様をそんなに待ち続けなきゃいけないのか」
男「あの時神様を諦められなかったのか」
男「…分かったよ」
男「やっと分かったんだ」
ヒュル…
男「神様が好きだ」
男「それだけだったんだ」
男「自分でも馬鹿らしくなるほどに簡単な話だったんだ…」

921: ◆lwQY2qw84A:2013/11/01(金) 21:35:47 ID:XIAuiqW2
男「思い出せるよ」
男「さり気なく小首を傾げる仕草が好きだった」
男「新しい事がある度に目を輝かせるのが可愛かった」
男「時々寂しそうな顔をするたびに、悲しそうな顔をするたびにこちらまで悲しくなった」
男「護ろうと思った」
男「助けようと思った」
男「それが全部なんだ、慰めたのも、傍に居たのも全部」
男「神様が好きだったからなんだ」

922: ◆lwQY2qw84A:2013/11/01(金) 21:39:10 ID:XIAuiqW2
ヒュルルル…
男「もう迷わない」
男「神様が再び目覚めるまで待ってる」
男「好きだから、待っている」
男「いつか」
男「いつか神様が目覚めるまで」
男「その時にきっと伝えるから」
『貴方の事が好きです』
男「言わなきゃ男じゃないな」

923: ◆lwQY2qw84A:2013/11/01(金) 21:44:09 ID:XIAuiqW2
ザザ…
男「………なんだ?」
男「外の様子がおかしい」
男「風が吹いているのに、雪が舞ってるのに…」
ザザザザァ…
男「…違う」
男「風が暖かいしこれは…雪じゃない」フワッ
男「薄い桃色…どこから来たんだ?」
ブワァァァッ
男「外が!」
男「……神社の周りの木は、この花の木だったのか…」
男「蕾が一斉に花開いたんだな…綺麗だ」

924: ◆lwQY2qw84A:2013/11/01(金) 21:51:34 ID:XIAuiqW2
ザザァ… ザァッ…
男「雪があっという間に溶け始めている…」
男「この季節は一体…」
―――「冬を乗り越した者のみが享受できる季節」
男「…春か、春が来たのか」
男「なんて綺麗なんだ…」ウルッ
男「こうしてはいられない、神様に知らせてこよう」バッ


925: ◆lwQY2qw84A:2013/11/01(金) 22:06:17 ID:XIAuiqW2
男「神様」
神娘「……」
男「春が来たよ」
神娘「……」
男「花が咲いてるんだ」
神娘「……」
男「花見をしようって約束したよね」
神娘「……」
男「今度一緒に行こう、おぶってくから」
神娘「いらん」
男「……え?」
神娘「おぶらせずとも歩けるわ」パチッ
男「……神様?」

926: ◆lwQY2qw84A:2013/11/01(金) 22:16:03 ID:XIAuiqW2
神娘「ああ、私だ」
男「本当に神様?」
神娘「そうだ、私が神だ」
男「本当に…」
神娘「神主」
男「…ああ」
神娘「言いたい事は色々ある、がそれを話し合う時間はもうある」
男「そうだな」
神娘「沢山あるんだ、こうして話せる時間が」
男「そう、だよな…話せるんだよな…神様と」
神娘「話せるんだ、安心しろ、一杯話してやるから」
男「嘘じゃないよな?」
神娘「神は嘘をつかんさ」

927: ◆lwQY2qw84A:2013/11/01(金) 22:16:53 ID:XIAuiqW2
神娘「だから、私の目ざめに相応しい言葉をお前に掛けよう」
男「うん」
神娘「神主…ありがとう」ニッ
男「あ…ぁ…」フラッ
神娘「お前の信仰、想い、確かに受け取った」ギュゥ
男「……ああ」ヒシッ
神娘「…もう少し、このままで居ような」
男「……ああ…!」

928: ◆lwQY2qw84A:2013/11/01(金) 22:23:14 ID:XIAuiqW2
――――――
男「それにしても、この花だったんだな」
神娘「桜と言うんだ、これは山桜と言う種類でな」
男「さくら…満開だな」
神娘「綺麗だろう?」
男「綺麗だ…とっても」
神娘「……お前のおかげだ」
男「そうだな、今回ばかりはそう言わせてもらうぞ」
神娘「ああ、誇っていい」
男「……うん?」
神娘「どうした?」

929: ◆lwQY2qw84A:2013/11/01(金) 22:26:21 ID:XIAuiqW2
男「あそこに百合が咲いている、一輪だけ」
神娘「どこだ?」
男「あそこ、冬にいつも座ってた場所の正面」
神娘「見事な白百合だな」
男「どうしてあそこに」
神娘「……ああ、そうか」
男「知ってるか?」
神娘「真珠貝で穴を掘り、星の破片を墓印に…か」
男「なんだよ」

930: ◆lwQY2qw84A:2013/11/01(金) 22:28:46 ID:XIAuiqW2
神娘「待ったんだな、お前は」
男「そりゃ待ったさ」
神娘「待ち続けたんだな…」ボロボロッ
男「待ってたんだよ、どうして神様が無くのさ」
神娘「泣きたくない だけど こんなにも想われて泣かないなんて出来んよ…」ボロボロ
男「…なんだか知んないが胸を貸そうか」
神娘「頼む」
男「うん」ギュゥ
神娘「…暖かいな」
男「春だからな」

931: ◆lwQY2qw84A:2013/11/01(金) 22:32:29 ID:XIAuiqW2
男「それで、言いたい事があるんだ」
神娘「私が好きなんだろう?お前」
男「聞いていたのかよ」
神娘「なんとなく声が聞こえたんだ」
男「まあ…あれだ、神様はこっちの事どうとも思ってないかもしれないけど…」カリカリ
神娘「好きだ」
男「へ」
神娘「お前が好きだ」
男「ちょっと待て」
神娘「待つものか、こちとらあの戦いがある以前から好いておったわ」
男「なにそれ初耳」
神娘「言ったのは初めてだからな!」
男「そうだけどさ!」

932: ◆lwQY2qw84A:2013/11/01(金) 22:39:49 ID:XIAuiqW2
神娘「お前は私が好きだな?そうだな?」
男「そうだけど!」
神娘「私もお前が好きだ」
男「お、おう」
神娘「よし」
男「よし、じゃないよ!」
神娘「何か問題でもあるか?」
男「無いけど…人間と神様だぜ?」
神娘「…ぷっ」クスクス
男「笑う要素あったのか今!?」
神娘「お前、自分がまだ人間だと思ってるのか?」
男「えっ」

933: ◆lwQY2qw84A:2013/11/01(金) 22:44:54 ID:XIAuiqW2
神娘「お前、ひょっとしなくとも待っている間自分の身体が成長しなかったろう」
男「まあ、髭も生えなかったし不便じゃなかったな」
神娘「やはりな」
男「なにがなんだか分からん」
神娘「神に恋し、神に愛されるのは人間ではない」
男「…ん?」
神娘「譲渡されたとはいえ神の力を使えるお前の身は最早人間ではない、我々と同族…」
男「それって、まさか…」
神娘「お前は、神になったのだよ」

934:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/11/01(金) 22:45:02 ID:DJMMycxw
友は今何歳なんだろうな

935: ◆lwQY2qw84A:2013/11/01(金) 22:51:36 ID:XIAuiqW2
男「…そっかー…」
神娘「驚かんのな」
男「いや、別になんか驚かなくなったし」
神娘「適応するのは良い事だと思うぞ」
男「まーねー…神様とこうしていればもういいや」
神娘「私もだ」
男「…神様」
神娘「うん?」
男「もうちょっと違う呼び方出来ないかな」
神娘「今までのままでいいだろう」
男「気持ち的にさ、なんか違う呼び方したい」

936: ◆lwQY2qw84A:2013/11/01(金) 22:54:06 ID:XIAuiqW2
神娘「まあ確かに、もう”神主”とか”人の子”とかで呼べないな」
男「神主でもいいんだがね」
神娘「それは人のなるものだ、神では神主になれん」
男「そうか…」
神娘「お前でいいか、おまえにすればなんかそれっぽいし」
男「若干暴言っぽいんだが」
神娘「なんか言ったか」
男「なんでも」

937: ◆lwQY2qw84A:2013/11/01(金) 22:58:20 ID:XIAuiqW2
男「うーん…あ」
神娘「ん?」
男「みーちゃん、にしよう」
神娘「かーちゃんじゃなくて?と言うかその可愛い名前辞めろ」
男「母親みたいだから嫌だよみーちゃん」
神娘「やめろ」
男「みーちゃん」
神娘「やめんかこんばかもんがぁ!」ドカァァン
男「ちょ、やめろっ、爆発させるの止めうわぁぁぁぁぁ!」

938: ◆lwQY2qw84A:2013/11/01(金) 23:02:21 ID:XIAuiqW2
―――――
男「大変な目に合った」
神娘「お前が悪い」
男「でも回復が早いから大丈夫」
神娘「簡単には死なんからなんでもできるな」ニンマリ
男「止めて怖いから止めて」
神娘「…まあいい」ストン
男「良かった生き延びた」ストン
神娘「…桜は良いな」
男「隣に神様がいると一層いいな」
神娘「同意だ、これに関してだけは」

939: ◆lwQY2qw84A:2013/11/01(金) 23:07:16 ID:XIAuiqW2
男「なあ神様」
神娘「うん?」
男「この桜の…山桜だっけ?花言葉って何?」
神娘「お前そんなの気にするのか」
男「言われたんだよ」
神娘「何を」
男「花を送るのは気持ちを送る事だって」
神娘「それは同意だが…誰に言われたんだ」
男「いいじゃないか、それより教えてよ」


940: ◆lwQY2qw84A:2013/11/01(金) 23:08:36 ID:XIAuiqW2
神娘「…『優れた美人』『純潔』『精神美』『淡泊』」
男「お、おう…なんかすごい言葉が」
神娘「後は…まあいいか」
男「えっ」
神娘「『桜』の花言葉ではないからな それにまあ、忘れた」
男「嘘つけ」
神娘「嘘じゃない」
男「神様の嘘は分かり易い」
神娘「神は嘘を言わん、神の発言が真実なのだ」
男「それせこいぞ、そして今はこっちも神だぞ」
神娘「くっ」

941: ◆lwQY2qw84A:2013/11/01(金) 23:11:20 ID:XIAuiqW2
――――――
男「これからどうしようか」
神娘「下界に降りてみるか?」
男「そうだな…なんか怖いけど」
神娘「…親も、何もかも置いてきてしまったものな」
男「それだけは、胸が痛いんだ」
神娘「…すまん」
男「こればかりは恨ませてくれ、自分勝手すぎるけど」
神娘「受け入れるさ」
男「どれだけ変わってるだろうな」
神娘「知らん、それをこれから見に行くのだろう」
男「そうだな」
神娘「ああ、そうさ」

942: ◆lwQY2qw84A:2013/11/01(金) 23:15:01 ID:XIAuiqW2
神娘「世界は変わる、永劫に止まる事なく回る」
男「時々ついていけなくて立ち眩みはするけどな」
神娘「その時は私がお前を支えてやろう」
男「なら、君が倒れそうな時は支えてあげるよ」
神娘「…頼むぞ」
男「こっちも、頼んだ」
神娘「行こうか」スッ
男「エスコートは要る?」
神娘「要らん、自分の足で歩けずして何が神だ」
男「へいへい」

943: ◆lwQY2qw84A:2013/11/01(金) 23:21:27 ID:XIAuiqW2
男(階段を下っている)
男(あの時とは逆に、延々と続く階段を下っている)
男(そして、隣には神様が居る)
神娘「楽しみだな」
男「ああ」
神娘「怖くもあるな」
男(怖いけど、乗り越えられる気がする)
神娘「…もうじきだ」
男(光が見えてきた)
神娘「さあ行こう」
男(握った手だけがいやに現実的だ)
神娘「私を、いや――――」
男(そうだ、隣に居る君は)
神娘「我を呼ぶのは、どこの人ぞ?」

944: ◆lwQY2qw84A:2013/11/01(金) 23:24:14 ID:XIAuiqW2
ここまで読んでくれた方土下座して感謝します ひとまずここで終わりになります
後日談をちょこちょこっとだけ書ければと思ってますが完全蛇足です
余計な事をぶつくさ垂れ流すのは苦手なのでこれで

946:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/11/01(金) 23:40:45 ID:z7deOXKQ
乙!
いいものを書いてくれてありがとう
しばらく日常編も無かったし、後日談も欲しいな

947:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/11/01(金) 23:43:33 ID:FkSj6euE
つラナンキュラス
つレースフラワー

948:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/11/01(金) 23:48:15 ID:FHCApoas
乙!激しく乙!
後日談欲しいです

950: ◆lwQY2qw84A:2013/11/02(土) 00:28:48 ID:Z3Dmapb.
たぶん明日1000行くまでぼちぼち書いてます
因みに何年待っていたのかわかった人は握手してください
有名な話なので分かる人はぴんと来るはず

951:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/11/02(土) 00:46:43 ID:ztp06lhc
有名な話か…わかんねーがこれだけはわかる
このSSはいいものだ

952:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/11/02(土) 00:52:43 ID:lrG1QL5w
百年だよね…?
記憶が曖昧でなんとも言えんが夏目漱石の話だったような違ったような…

953:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/11/02(土) 01:15:34 ID:JGfg/I3.
>>952
お前すげえな
ググったら正に夏目だわ

954: ◆lwQY2qw84A:2013/11/02(土) 08:16:14 ID:Zdj8gtB2
>>952 握手
個人的に夢十夜は一夜と三夜がお気に入りです

955:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/11/02(土) 10:29:06 ID:HpwujuHA
百年かあ…
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