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神娘「我を呼んだか!」男「呼んでません」

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Part16
513: ◆lwQY2qw84A:2013/10/05(土) 15:14:53 ID:MiJPYV96
―――――
男「暇だ」
先生「えー…諸君はもうじきそれぞれの進路に進むのであって」
友「分かりきってること説明されてもな」
男「ああ」
先生「それには早過ぎと言う事は…」
友「で、お前はどこに行くよ」
男「…大学でも行くかなぁ」
友「俺も」
先生「であるからして…」
男「…暇だな」
友「暇だな」

514: ◆lwQY2qw84A:2013/10/05(土) 15:26:47 ID:MiJPYV96
――――――
友「あー…だりー…」ザッザッ
男「進路決定が?」
友「全部」
男「それ言ったらおしまいだろ」
友「わーってるけどさー…」
男「……」クイッ
友「ん?どした?」
男「年柄年中変わらない気候だ」
友「そりゃぁな、制御されてるしな」
男「季節か」
友「季節?…ああ、先生が言ってたな」

515: ◆lwQY2qw84A:2013/10/05(土) 15:37:42 ID:MiJPYV96
男「”季節、と言う言葉が死語になってから早数世紀が過ぎた”」
友「そうそう、それまでは季節の変わり目に病気する奴が沢山いたらしいぜ?」
男「らしいな」
友「それをなくしていつも一定の快適な気候を作り出したって事らしいな」
男「教科書の通りだとな」
友「お蔭でこっちは仮病もしにくくてさー…困っちゃうよな?」
男「……」
友「おーい?」
男「ん、ああ…そうだな」
友「あーだりー…」ザッザッ
男「(季節か)」

516: ◆lwQY2qw84A:2013/10/05(土) 15:41:31 ID:MiJPYV96
友「んじゃ、俺はここで帰るわ」
男「家はこっちじゃなかったっけ」
友「そうなんだが、塾講のバイト初めてさ」
男「…いつの間に」
友「すまん、最近色々あって会ってなかったしな」
男「でも、授業中よく怒られてるお前が塾講になれるのかよ」
友「ひどっ!お前のせいでもあるんだぞ」
男「すまなんだ」

517: ◆lwQY2qw84A:2013/10/05(土) 15:44:04 ID:MiJPYV96
友「ん、じゃーな」
男「…ん、友よ」
友「あん?」
男「今日は車に気を付けた方がいいぞ」
友「なんだそりゃ」
男「別に、友人としての忠告」
友「…なあ」
男「ん?」
友「なんだかお前、段々変わってきたな」
男「ああ?」


518: ◆lwQY2qw84A:2013/10/05(土) 20:03:01 ID:MiJPYV96
友「なんか、どんどんこの世から離れていっていると言うか…」
男「……」
友「何言ってるんだろうな、じゃあ」
男「…じゃあな」
友「体には気をつけろよー!」タカタカ
男「…変わった、か…」

519: ◆lwQY2qw84A:2013/10/05(土) 20:12:23 ID:MiJPYV96
シャワシャワシャワ…
神娘「……ん」コクン
ザワッ ザザザザ
神娘「………」コクッ
ミーン ミーンミーン
神娘「…あうっ」コクンッ
男「おー…よく寝てる」
神娘「…ほぅっ」ガクッ
男「見てると面白いな」
神娘「……ん、お前か」グシグシ
男「おはよう神様」
神娘「おはよう、神主」

520: ◆lwQY2qw84A:2013/10/05(土) 21:23:53 ID:MiJPYV96
男「座るよ」ドカッ
神娘「もうちょい慎重に座ってくれ…寝起きだ」
男「あ、ごめん」
神娘「ふぁぁ…麦茶でも持ってくるか…」
男「いや、神様は行かなくていいよ」ドッ
神娘「ありがたい」

521: ◆lwQY2qw84A:2013/10/06(日) 00:13:52 ID:kflSxJR6
男「おまたせ」カタン
神娘「ん、ありがとう」
男「いつの間に冷蔵庫なんて持ってきたんだ…」
神娘「神を舐めるなよ?」
男「いや、神とか関係ない気がするんだけど」
神娘「あー…まあ簡単だ」ゴクゴク
男「おう」ゴクッ
神娘「私が半実体化したのと同じ原理を使った、”存在の固定化”」
男「ごめん、やっぱいいや」
神娘「言うと思った」
男「神様って実は頭がいい?」
神娘「小難しい方が説明しやすい」
男「煙に巻きやすいんじゃなくて?」
神娘「頭のいいやつは大体やってることだからな」グビッ

522: ◆lwQY2qw84A:2013/10/06(日) 00:20:04 ID:kflSxJR6
神娘「と言う訳でうちには大抵の家電がある」
男「どこか我が家で見たものと言うのは」
神娘「こないだお前のうちに行ったときに見て来たものだから」
男「ははぁ…どうにでどうも面白みがない」
神娘「別に色々なものを見ればその都度変えられるが」
男「いや、良いや面倒くさい」
神娘「外に出るのはいいけど疲れるんだよ、あれ」
男「力の消費とか」
神娘「そうじゃない、精神力が居る」
男「精神力?」
神娘「幾ら実態に近くなっても本当の実態は”ここ”にあるからな」
男「言ってたな」
神娘「形を向こう側に移すのには色々要るんだよ、大体根性が」
男「ははぁ」

523: ◆lwQY2qw84A:2013/10/06(日) 00:23:08 ID:kflSxJR6
男「大変なんだな、神様も」
神娘「今更か」
男「改めてだよ」
神娘「ふん…」
男「そう言えば、大分力は回復したみたいだね」
神娘「そうだそうだ、不自由しないまでには回復したぞ」
男「最初会った時と比べてまぁ…元気になったな」
神娘「うむ、お前のおかげだ」
男「…おう」

524: ◆lwQY2qw84A:2013/10/06(日) 00:27:17 ID:kflSxJR6
男「今日は夏なんだな」
神娘「やっぱり夏の日差しは気持ちがよいからな」
男「秋は昼寝に向かない」
神娘「木枯らしに当たっているとな…風邪をひかぬ身と言えど背筋が震える」
男「こっちは風邪をひきかねん」
神娘「この間は羽織を持ってきたな、貸してやるが」
男「いいよ、自分の常備する方がいい」
神娘「そうか」
男「まあ、ずっと夏より秋もあった方がいいし」
神娘「それは実感している」
男「神様はずっとここに居るしね」
神娘「うむ」

525: ◆lwQY2qw84A:2013/10/06(日) 00:30:57 ID:kflSxJR6
神娘「秋は良い、美味い物が多いし」
男「神様って物食わないでも生きていけるんじゃなかったっけ」
神娘「この世には点滴、たるものががあるらしいな」
男「把握した、それは辛いわ」
神娘「経験があるのか」
男「中学の頃にな…あれは辛かった」ブルッ
神娘「ようやく物食うのに不自由しないこの嬉しさよ」
男「確かに、秋は焚火の温かさも嬉しいから一概に嫌とは言えない」
神娘「天高く馬肥ゆる秋、だな」
男「なんだな、季節によって楽しみってあるんだな」

526: ◆lwQY2qw84A:2013/10/06(日) 00:38:04 ID:kflSxJR6
神娘「外に出て驚いた、本当に季節と言うものが無いのだな」
男「そうだよ、お蔭で体調不良にはならないけど…」
神娘「つまらんな」
男「こうして夏の日差しや、秋の木枯らしに当たってるとね」
神娘「人は季節によって自らの体を育ててきた、季節をなくすと言うのはつまり体を虚弱にしてゆく…」
男「あー…そう言えばここに始めて来た時風邪ひいたわ、親に心配された」
神娘「あの時はまさか外がそんな事になってると思わずにな、迂闊だった」
男「仕方ないよ、神様の時代には季節が当たり前にあったんだろ?」
神娘「うむ、我々は季節と共に生きて来たといっても過言ではない」
男「それを捨てるという事は…」
神娘「言いたくはないが…愚かになったものだ、人間も」
男「……」
神娘「戦争をしていた頃と何も変わっていない…いや傲慢に学ぼうともしない当たりそれよりも…」
男「…そうだな」

527: ◆lwQY2qw84A:2013/10/06(日) 00:47:30 ID:kflSxJR6
男「冬と、春か」
神娘「もう半分だな、冬と春だ」
男「なんで夏しかなかったこの森に秋が来たんだろう」
神娘「……恐らく」
男「ん?」
神娘「私が、ゆるしたから…ではないだろうか」
男「許した?今まで何か悪い事をしたっけ」ポリポリ
神娘「そうじゃない、一つは私が過去の私を赦したからだ、そして過去の私が今の私を赦したのだ」

528: ◆lwQY2qw84A:2013/10/06(日) 00:50:23 ID:kflSxJR6
神娘「それによるものが一つ、もう一つは…」
男「もう一つは?」
神娘「私がお前を心の底から許した、私の今まで誰も触れたことの無い部分に触れる事を許可した…だろう」
男「…なんか、気恥ずかしいな」
神娘「胸を張れ、お前は神に許された者だ」
男「許された…」
神娘「下を向く事は許さん、それは私を侮蔑する事と同じだ…お前はお前らしく胸を張れ」
男「…分かったよ、神様」ニッ
神娘「それでよい、それでこそ私の神主だ」ニヤッ

529:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/06(日) 00:55:37 ID:SU.1tJjY
不穏な空気が近づいてるっぽいな

530: ◆lwQY2qw84A:2013/10/06(日) 00:58:11 ID:kflSxJR6
男「じゃ、残った季節は」
神娘「解放される条件は分からん、ただ私の心理に影響されるとみて間違いないだろう」
男「しっかし、これ以上何かあるのか?」
神娘「分からん、がそれを今考えてもしょうがない」
男「ま、そうだな」
神娘「いずれ分かるかもしれんし、分からんかもしれん」
男「待ちゃいいな」
神娘「散々待ったのだ、今数十年待とうと短い」
男「流石にスパンが違うな」

531: ◆lwQY2qw84A:2013/10/06(日) 01:04:03 ID:kflSxJR6
男「しかしなぁ」
神娘「ん?」
男「ここに居ると…帰りたくなくなる」
神娘「ここに居たらどうだ?どうせその年なら一人暮らしでも…」
男「親に詮索されたら駄目だよ、それに正式な住居が無いと色々困るし」
神娘「不便なものだな」
男「不便だよ、昔に行ってみたいけど」
神娘「そりゃ無理だ、神の力を持っても過去には帰られない」
男「そうだよな…」
神娘「まあ、私としてはお前がここに毎日通うだけで信仰が溜まるが」
男「積み重ねだな」
神娘「そうだが、ちょい違うな」
男「ん?」

532: ◆lwQY2qw84A:2013/10/06(日) 01:11:48 ID:kflSxJR6
神娘「お前は”初日の参拝”のと”二日目の参拝”の、どちらの方が一日毎の信仰が高いと思う?」
男「そりゃ後者だけど…実感しにくいな」
神娘「では”一ヶ月の参拝”と”一年の参拝”ではどうだ」
男「そりゃ一年参拝し続ける方が信仰が強いな」
神娘「つまりはそう言う事だ」
男「…うむ?」
神娘「参拝を積み重ねるうちにその者が持つ”信仰”はより強固に、より心に根付く」
男「読めて来たぞ」


533: ◆lwQY2qw84A:2013/10/06(日) 01:12:22 ID:kflSxJR6
神娘「お前が今までに捧げた信仰は一定ではない、一日毎により大きく、より深い信仰を私に捧げているのだ」
男「自覚ないけどな」
神娘「私は感じるぞ、お前の私を信じる気持ちを」
男「……そうか?」
神娘「ではどうだ?お前は初対面の物と私、どちらを信じる」
男「勿論神様だ」
神娘「つまりそう言う事だよ、少年」ツンツン
男「やめろよ、なんか恥ずかしい」バッ
神娘「初々しいねぇ」ケタケタ

534: ◆lwQY2qw84A:2013/10/06(日) 01:15:52 ID:kflSxJR6
神娘「積み重ねは大事だよ、どんなことに付けても」
男「今はスピード理解が大事らしいけど」
神娘「それは一時しのぎの知識だ、積み重ねには勝てん」
男「なんか勇気でたぞ」
神娘「まあ効率悪いのと積み重ねたのは違うぞ、そこ取り違えるな」
男「うぐっ」
神娘「甘えるな、自分の行ったことに自分は嘘をつかん」
男「分かったよ…やっぱ神様は言う事が違うな」
神娘「生きた期間が違うのよ、こんななりだが人間でいう婆もいい所だ」
男「でも神様の中では」
神娘「若い方だった」
男「神様ってすげえのな…」
神娘「なにを今更いうか」

535: ◆lwQY2qw84A:2013/10/06(日) 01:20:48 ID:kflSxJR6
男「んじゃ、また明日も来るよ」
神娘「麦茶冷やして待ってるぞ」
男「夏にしておいてくれよ?」ザリッ
神娘「抜かりはないわ」ケタケタ
男「かえっかー…」
―――――――
男「ただいも」
男母「おかいも」
男「飯か、丁度良い時に帰って来た」
男母「ああそうだ、言わなきゃいけないことがね」
男「うん」
男母「引っ越すことにしたの」
男「…は?」

536: ◆lwQY2qw84A:2013/10/06(日) 01:21:20 ID:kflSxJR6
また明日

538:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/06(日) 17:41:58 ID:sRr5khNU
神社で暮らそう

539: ◆lwQY2qw84A:2013/10/06(日) 18:01:34 ID:kflSxJR6
男「…引っ越す?」
男母「お父さんの仕事でね?どうにも単身赴任が長引きそうなのよ」
男「だから向こうに行くって事?」
男母「そうそう」
男「じゃあ、この家は」
男母「売っちゃおうかって、そのお金で向こうに家を買っても良いし…」
男「大学とか…」
男母「別に遠くじゃないから問題ないわよ、ちょっと移動距離が延びるだけで」
男「……」
男母「いいわね?」
男「いや、考えさせてくれ」
男母「うん?何か問題?」
男「(大問題だよ)」

540: ◆lwQY2qw84A:2013/10/06(日) 18:09:36 ID:kflSxJR6
男「(そもそも今まで大学と家が近いからあの森に行けた様なもんだし…)」
男母「今日はカレーよー」
男「ん」
男「(多分、引っ越したらあの森はいけない)」
男母「どしたの?」
男「…なんでもない」
男母「お父さんも久々に顔が見れるって喜んでたわ」
男「(……どうすりゃいいんだ)」

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