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堕女神「私を、『淫魔』にしてください」

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Part16
361 : ◆1UOAiS.xYWtC :2012/12/25(火) 13:44:30.86 ID:ZtWqhq/Mo
昼食の準備をして、夕飯の準備をしても、その疑念は離れない。
自分は―――人類を救う事ができなかった、「神の出来そこない」なのだから、と。
夕食に出す予定の仔羊肉の下拵えをしていた時、厨房へと踏み入るサキュバスAと、偶然に目が合った。
サキュバスA「……お手伝いできる事はありますでしょうか?」
堕女神「……それでは、前菜の貝の蒸し煮を……お願いします。それと、温野菜を」
サキュバスA「ええ、かしこまりましたわ。……それでは、調理台をお借りいたします」
夜の準備にはやや早く、夕方にやや届かない程度。
メイド達が手伝いにくる時間までは、今少し時間がある。
その間にも勇者は書庫へ籠もりきり、淫魔の国のすべてを、余すところなく吸収しようとしていた。
堕女神「……あの……」
サキュバスA「ん……? 私に、何か?」
堕女神「……不思議、なのですが……」
サキュバスA「何ですの?」
堕女神「…あなたは……いえ、淫魔達は……何故、陛下にあれほどまで惹かれるのですか?」
サキュバスA「私はともかく……淫魔達、というと?」
堕女神「……城下町の、です」

362 : ◆1UOAiS.xYWtC :2012/12/25(火) 13:45:28.01 ID:ZtWqhq/Mo
サキュバスA「あぁ……。それはまぁ、自然ですわよね」
堕女神「……淫魔は、人間の『精』にだけ興味があるのでは?」
サキュバスA「……豚の生きる姿を見て、愛情の湧かない者がおりまして? 屠場を見れば心は痛むでしょう?」
堕女神「………っ」
岩塩を振っている指先が強張り、塩の粒が指先にめり込んだ。
ちくりとした痛みが走るが、覚えた苛立ちの方が勝った。
サキュバスA「…というのは冗談でして。………実の所、淫魔にさえ分からないのです」
背中合わせのまま、サキュバスAはナイフを指揮棒のように虚空に遊ばせながら、あっさりと前言を撤回する。
サキュバスA「……面白い事を考えた者と、会った事がありますわ」
堕女神「……面白い事?」
サキュバスA「淫魔は、元々を辿れば『人間の女』。……でも、人間の精を吸い取り、人間の子を孕む行いは、よくよく考えるとおかしくはありませんか?」
サキュバスA「男性型の魔族と交われば、更に強い子を生す事ができる。魔力も、その能力も。……なのに、何故? 何故……」
サキュバスA「……何故、『弱い』存在である人間の子を宿すのか? と、彼女は言っておりました」

363 : ◆1UOAiS.xYWtC :2012/12/25(火) 13:46:05.28 ID:ZtWqhq/Mo
サキュバスA「……いや。そもそも……昔、人間界にかつてないほど強力な『魔王』が侵攻した時の事」
堕女神「…そういう事も、ありましたね」
サキュバスA「何億騎もの魔界騎士、残忍な獣人族、人間をペットにする魔界貴族。他にもいくつもの魔界の氏族を引き連れて人界に降り立った」
堕女神「確か、あの時は……」
サキュバスA「酷いものでした。……いえ、あの惨状は……人間界が、『魔界』そのものに変じてしまったようで」
語り続ける彼女の手は、止まった。
いや――――微かに、小刻みに、震えていた。
サキュバスA「……淫魔達は、人間界へと下り―――人間達と手を取り合い、『魔王』を倒すための力添えをした」
堕女神「…………」
サキュバスA「…結局、あの戦争で魔界騎士は一騎残らず死に絶えて。男性型淫魔『インキュバス』も、人間に味方した僅か数人を残してほぼ絶滅」
サキュバスA「勿論私達も、無傷とはいかず。……何故命を懸けてまでして人間を守りたかったのか、淫魔達にも、分からないのです」
サキュバスA「でも、最近……ようやく、分かりかけてきたのです」
サキュバスA「……『淫魔』は、『人間』とともにありたい」

364 : ◆1UOAiS.xYWtC :2012/12/25(火) 13:46:55.60 ID:ZtWqhq/Mo
堕女神「……人間から離れたはずなのに、『淫魔』は、また人間を求めていると?」
サキュバスA「『淫魔』は元来、寂しがり屋ですもの」
堕女神「………『淫魔』…」
サキュバスA「ともかく、城下町の者達が陛下に惹かれるのは、当然という事です。人間だという事、それと――――」
堕女神「?」
サキュバスA「………いえ、止めましょう。さぁ、こちらの準備は終わりましたわ」
命じられた下拵えを全て終えた彼女は、調理台から離れる。
サキュバスA「……それでは、私はこれにて。……貴女に、ひとつだけ」
堕女神「……え?」
サキュバスA「…『自分』の声を、聴いてあげなさいな」
それだけ告げて、彼女はその場を去る。
堕女神は、その後ろ姿を見ずに―――彼女の言葉を噛み締めながら、作業を続けた。

365 : ◆1UOAiS.xYWtC :2012/12/25(火) 13:47:23.21 ID:ZtWqhq/Mo
――――――――書庫から出てきた勇者は、凝り固まった首を解しながら廊下を見渡す。
既に日は落ちかけて、薄紫の空が窓の外に広がっていた。
地平の彼方に沈む太陽はその一角のみを赤く染めている。
廊下の燭台にはまだ火が灯されておらず、慣れた城の廊下が、薄暗く寒々しく思えた。
勇者「………あの日も、こんな空の色だったな」
あの決戦を控えた夕暮れの空と、奇妙にも同じ色。
薄紫の空を残して沈みゆく太陽と、その周りにある飛び散った血のような朱。
予言のような空の色は、『七日間』の終わりに見たものと同じだった。
手近な窓からしばらく空を見ていると、溜め息とともに、微笑み。
にわかに視界が滲んだ時、廊下の端から光が迫ってきているのに気付く。
窓辺に向かう勇者の右側の廊下から、順番に、壁面の燭台に勝手に火が灯ってきた。
点灯の時間が、訪れたようだ。
空の彼方に日が沈むのを見届け、未だに紫紺の色が残る空を望みながら、炎で明るく暖かくなった廊下を歩く。
その途上でメイドと会い、彼女から―――晩餐の準備が整った旨を、告げられた。

366 : ◆1UOAiS.xYWtC :2012/12/25(火) 13:48:44.23 ID:ZtWqhq/Mo
晩餐に並んだ食事は、どれもが素晴らしいものだった。
前菜の殻付きの貝の蒸し煮、太刀魚のスープ、温野菜を添えた白身魚。
骨付きの仔羊肉を少量の岩塩のみの味付けで焼き上げたメインディッシュ。
デザートのシャーベットまでを食べ終えて待つと、いつものように、堕女神が食後の茶を淹れる。
堕女神「……ご満足、いただけましたでしょうか?」
勇者「…満足できなかった事なんて無いよ」
堕女神「………身に余る言葉です、陛下」
勇者「大袈裟だな」
堕女神「…………いえ」
勇者「……どうかしたのか?」
堕女神「……食後の一時に、お訊ねする無礼をお許し下さい」
勇者「……何かな」
堕女神「………陛下は。何故……『淫魔の国』に来ようと、思ったのですか」

367 : ◆1UOAiS.xYWtC :2012/12/25(火) 13:49:10.93 ID:ZtWqhq/Mo
堕女神「……何故、あなたは……淫魔の国の王になろうと?」
それは、昨夜の続きに当たる質問だった。
役目を果たした「勇者」が、淫魔の国の「王」になる事を決意した、その理由。
勇者「………そうだな」
目を閉じ、勇者はあの時の事を思い出す。
両断された魔王が、最後の力でもう一つの世界への扉を開いた時の事を。
瓦礫の中で、扉の向こうに願った―――最後にして、最初の気持ちを。
勇者「……俺は、生きたかったんだ」
生への渇望。
「勇者」の任を解かれて「人間」へと戻った時、最初に芽生えた、その感情。
勇者「…そう、俺は生きたかった。……淫魔達と。この国と。……そして何より」
続く言葉の先頭に付け足そうとした言葉を飲み込む。
そして、素直な―――最大の気持ちを、舌に乗せた。
勇者「………堕女神に、逢いたかった」

368 : ◆1UOAiS.xYWtC :2012/12/25(火) 13:49:41.24 ID:ZtWqhq/Mo
心からの気持ちを乗せた言葉は、時として、抑揚無く吐き出される場合がある。
あまりに静かに呟かれた言葉は、少しの時を挟み―――そして、熱した鉄板にバターを乗せたように、一気に溶け流れた。
堕女神「っ……へ、陛下……!?」
唐突な告白に、彼女の喉は追いつかない。
何かを言おうとしても、熱く痺れたかのように、頓狂な声にしかならなかった。
堕女神「……あ………」
心臓の鼓動が高鳴り、際限なく熱が籠もり、熱くなった顔が涙腺を緩ませた。
石膏のように白い肌がぼうっと赤く染まるが、勇者はテーブルに向かっているため、見えない。
見えないが―――勇者は、彼女の様子に気付いていた。
勇者「……俺は。君がいたから―――生きようと思ったんだ」
勇者「君は……俺を、助けてくれたんだ」

369 : ◆1UOAiS.xYWtC :2012/12/25(火) 13:50:09.01 ID:ZtWqhq/Mo
彼女の手は、まるで意識から離れたかのように―――テーブルの上にある、勇者の手へ重なった。
自分でも、何故そうしたのか分からなかった。
――――まるで、自分の中の何かが。
――――長く逢瀬を待った恋人のように。
――――意思を離れ……"彼"の手を、求めたかのように。
堕女神「……あ、れ……?」
――――頬を伝ったのが涙であると、気付けなかった。
――――気付けても、その理由は分からなかった。
涙は、止まらない。
頬から、顎へ。顎から、"彼"の腕へしたたり落ち、シャツの袖に染みを作る。
堕女神「………どう、して……涙が……止ま……ら……」
横隔膜の引きつりも、つられて鼻が詰まる感覚も、無い。
ただ、涙だけが……血と闇に染まった眼を潤し、清流のようにただただ流れる。
そして、彼女の口が。心が。
理由など分からないままに、意思を離れた言葉になる。
その言葉が何故口から出たのか、分からなかった。
堕女神「……おかえり……なさい……」

370 : ◆1UOAiS.xYWtC :2012/12/25(火) 13:51:41.41 ID:ZtWqhq/Mo
二つの魂が気付いた頃には、夜の帳の下りた寝室で、見つめ合っていた。
燭台の光すら差さず、ただ月光のみが窓から覗いている。
堕ちた女神の瞳からは、今なお、大粒の涙が溢れていた。
堕女神「……陛……下……」
彼女の顔が、勇者の胸元へと小鳥のように沈んだ。
その手は未だ握ったまま、同じように胸元へ添えられて。
勇者「………いいんだ」
彼の腕も、堕ちた女神を抱き締める。
――――暖かかった。
――――沁み込み、胸へと届く涙の温もりも。
――――指先から届く、ようやく触れる事ができた、彼女の肌も。
――――何もかもが暖かく、そして……久しぶり、だった。
堕女神「陛下………」
胸元に飛び込んだ小鳥が力無く囀るように、彼女が囁く。
涙は、未だ止まらない。
何処からか湧き出る泉のように。
詰め込まれた幾つもの感情が、その流れに乗せられて、目を伝ってようやく外へと流れている。
堕女神「……私を、『淫魔』にしてください。……あなたと、あなたの国と……ともに、あるために」

371 : ◆1UOAiS.xYWtC :2012/12/25(火) 13:53:05.29 ID:ZtWqhq/Mo
すまない、出ます
それでは、また今夜
日付は多分変わってからになります

372 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/25(火) 13:54:42.88 ID:S2ju9kgdo
泣きそう いってらっしゃいな

377 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/25(火) 19:24:40.94 ID:G6cA9d+A0
うおおおおおおおおおお

381 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/26(水) 00:33:00.10 ID:zG9jjR1Y0
この半年待っていた甲斐が有った!
またこれが読めて本当に嬉しいです。

382 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/26(水) 01:35:10.82 ID:Sd+M/qPEo
堕女神最高!

383 : ◆1UOAiS.xYWtC :2012/12/26(水) 01:47:07.69 ID:NbAuxdhZo
ちょっと推敲したらこんな時間だ
それじゃ、投下します
最後の夜を

384 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/12/26(水) 01:49:43.09 ID:quA2UQLlo
寂しくなるな

385 : ◆1UOAiS.xYWtC :2012/12/26(水) 01:53:35.07 ID:NbAuxdhZo
その言葉に勇者は、暗闇の中で黙って頷き―――ゆっくりと、腕の中の彼女の瞳を見つめる。
顔を上げた彼女の瞳は、月光を浴びて輝く紅玉のようだ。
勇者が彼女の肩を抱く右手の位置を上げ、うなじを摩り、彼女の頭に、髪をかき上げながら添えられる。
さらさらとした黒髪が指の股を通り抜け、清らかな川の流れにも似た、恵みのような感触が伝わった。
顔を近づけると、彼女は、ゆっくりと目を閉じた。
涙の名残が閉じられた瞼の端に溜まり、長い睫毛に雫が纏い、宝石の粒のように輝いていた。
――――彼女が思い起こしたのは、埃を被った、古臭く……それでも澄み渡る、宝石のような記憶。
――――焦がれる恋人達が交わし、結ばれた夫婦が交わし、絆によって生まれた子供達とも交わしていた、あの行い。
唇の先が触れ、彼女は身を震わせる。
それでも、逃れようとする素振りは無い。
堕女神「……ん……っ……」
更に進み―――ふたつの唇が、重なる。
離れていた貝殻が再び閉じるかのように、自然に……ふたつが、「ひとつ」になった。
窓から見つめる月は、七色の衣をまとっていた。
空から流れる涙に映り、現れる七色の弓を、花のように咲かせていた。
夜魔の国に咲き誇る、大輪の月虹が――――「ひとつ」を見つめていた。

386 : ◆1UOAiS.xYWtC :2012/12/26(水) 01:54:07.32 ID:NbAuxdhZo
――――どれだけの時間、そうしていたのか分からない。
――――唇を触れ合せたままの時間が、永遠に感じる。
――――否。……永遠に続いてほしいと、彼女は思っていた。
瞼の端に溜まった涙が流れ落ちる。
唇を離された彼女の目に映ったのは、勇者の顔。
互いに声を発することなく、天蓋付の寝台へと、身を寄せる。
最初に彼女の身体がふんわりとした寝床へ、横たわった。
堕女神「………脱がせて、くださいますか……?」
彼女は言い、自らに纏う黒の行方を、勇者へ委ねる。
頷く事も無く、その指は、白肌を覆う黒衣へと伸ばされる。
胸を覆う部位が下へとずり下ろされ、二つの、大粒の果実のような双丘がまろび出た。
横たわった姿でもなお、目を奪うほどに実っていた。
たぷたぷと、まるで心臓の鼓動を映すかのように揺れる乳房。
まっ白く、その頂にある色づきと突端は、その質量に見合わぬほど小さな蕾のようだった。
尚も彼女を包む喪の黒衣は引き下ろされ、続いて、柔らかそうな腹。
小さな切れ込みのような臍、腰骨、その先へと纏う、黒い下着を境に、更に下りる。
雪のように白く眩しい太腿。
膝、脛、そして指先までも小さく整った、足。
爪先にある夜色の爪は、むしろ―――彼女の美しさを、引き立てるだけのものだった。

387 : ◆1UOAiS.xYWtC :2012/12/26(水) 01:54:40.66 ID:NbAuxdhZo
秘所を隠す下着のみ。
彼女はそれを除く全身に感じる涼しさと、抑え込むような暖かさを感じて―――胸の前で不器用に手を組み、せめて隠そうとした。
堕女神「……殿方に……晒せる、姿でしょうか……?」
迷いを持った瞳が、下から勇者を覗き込む。
答えるように……勇者の唇が、彼女の首筋へ、蛭のように張り付き、吸う。
堕女神「…あっ……ん……!」
首筋から上る快感に悶え、受けた刺激がそのまま声となって声帯を震わせた。
声は彼女自身が思うよりも遥かに甘くかすれて、淫靡な嬌声に化けた。
奇妙な昂揚感が、堕ちた女神を支配する。
純白のシーツの上で、ほぼ裸の状態で―――首筋を嘗められ、吸われ、その間にも指先は頭を撫でている。
月明かりの中に相手を見る度に、今行って……行われている事を認識し、その度に背筋に氷柱から垂れた雫を受けたように、ぞくりと震えた。
―――――今、自分は抱かれている。
―――――男に。
―――――"愛"する者に、全てを委ねている。
認識するたびに下腹の奥に熱が籠もり、その先にある未だに黒に覆われたままの秘所に、甘い疼きを覚えた。
彼女は誤魔化すように、あるいは探るように、何度も、もじもじと脚を艶めかしくくねらせる。

388 : ◆1UOAiS.xYWtC :2012/12/26(水) 01:55:29.13 ID:NbAuxdhZo
堕女神「っ……陛、下……その…」
息を切らせながら、彼女はすぐ側にある勇者の耳へ、囁きかけた。
堕女神「……お体、に……触れさせて……ください……」
勇者「……そうだった」
一度体を起こし、勇者はシャツを脱ぎ去る。
月明かりの下、彼女が見たのは――――細く締まった、戦傷だらけの体躯。
彼女は華奢な体を起こし、ベッドの上に座る勇者に、向かい合う。
そのまま、ゆっくりと膝だけで這い寄り、雲のように白い背を、勇者の胸へと預けた。
ふたつの心臓が、重なる。
勇者は、彼女の薄い背を通して―――鼓動を、感じる。
彼女も、張り出てはいても分厚くは無い勇者の胸板を通して―――同じく、熱さを感じる。
ふたつの命が、重なり合う。
堕女神「……しばらく……このままで……いさせてください」
勇者「……いいよ」

389 : ◆1UOAiS.xYWtC :2012/12/26(水) 01:55:55.22 ID:NbAuxdhZo
しばらく、そのまま―――互いの心を暖め合うように、堕女神を後ろから抱き締める形で、天蓋の下で過ごす。
そして、彼女は……隠していた胸から腕を下ろし、その手をベッドの上に置いた。
堕女神「……どうぞ……お好きに……して、ください。私を……」
彼女の魂が"それ"を許した時、勇者の手が、ゆっくりと……背越しにも見える、柔らかな二つの果実を目指す。
まず、ゆっくりと……下から、持ち上げるように、指先を乳房の下へと滑らせる。
堕女神「んぅっ……!」
ただ、それだけの事で―――彼女の身体は跳ね、くぐもった喘ぎが漏れた。
さらに乳房を下から持ち上げ、ゆっくりと指先を蠢かせる。
見た目だけではなく、内部まで肉がみっちりと詰まったような、重みを感じた。
それでいて張りもあり、張り詰めた風船のように、一分の遊び無く、末端まで瑞々しく詰まっていた。
常人を離れた肉体を持つ勇者でさえ、その手首に疲労を感じる程――――重い。
乳房と、その下の肌との触れ合う部分には僅かに汗をかき、手に張り付くような感触を届ける。
更に、その手を上へとなぞり上げていくと―――触れているだけでも天へと昇るようだった。
堕女神「あっ……は……ぁぁ………!」
汗をかかずとも、その柔い乳房は―――どこまでも、手に貼りつくようにもっちりと柔らかい。
力を込めれば込めるほど指先が埋まり、その度に彼女の身体は強張り、跳ね、そして艶めいた声が漏れ出した。
そして、更に上を目指した手が―――頂にある、重量に見合わぬほど小さく、尖端が僅かに窪んだ、乳首へと触れた。

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