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メイド「傭兵王女の冒険」

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Part3
32 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/29(月) 17:23:32.59 ID:s1XsXjIAO
姫「うおおおおっっ!!」
傷を負った恐竜の心臓に
鋭く直撃を入れた
私は
遂に初めての獲物を仕留めた……
料理人「まあ心臓を突くと血抜きが上手く行かないんだが」
……そんなこと先に言って欲しい
とにかく
私は我がパーティー最初の獲物に、無事にトドメを刺した
肉で言えば鳩を捕った魔導師に
報酬で言えばやはり白鳩草を取った魔導師に負けてはいるのだが
初めての討伐任務
最初に仕留める事が出来た
魔導師「おめでとう、姫様」
うふっ!
大満足!
姫「ありがとうなのじゃ!」
シスター「お怪我は大丈夫ですか?」
姫「うむ、お前の回復魔法はよく効いたぞ」
メイド「大切な姫様が傷物に……」
その言い方やめい
その後、料理人が短刀で見事に恐竜肉をさばいていった
メイド「ふむ、本当に上質な肉ですね」
女騎士「グロテスクです……」
魔導師「食うって言うのは命をバラバラにして消化するってこと」
魔導師「自然の摂理」
私は思う
魔導師って言うのはみんなこんな風に達観してるのかな?

33 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/29(月) 17:25:16.60 ID:s1XsXjIAO
ともかく
料理人「キノコと川魚のスープ」
料理人「野草とベーコンのサラダ」
料理人「根菜の煮物」
料理人「……メインは恐竜肉のソテー、オレンジのソースを添えて」
姫「……うむ」
姫「スープはサッパリじゃな…………サラダのドレッシングは濃いのう」
姫「煮物は薄味で変わった味付けじゃが好きじゃ」
姫「そして……これがメインの恐竜の肉か……」
姫「ん、塩胡椒に香ばしい溢れる肉汁の旨味…………」
姫「……美味い……」
姫「ん〜〜、美味いっ!!」
シスター「さいこうーっ!」
女騎士「あなた本当にシスター?!」
メイド「ははっ、これは美味しいですね」
姫「苦労したから格別じゃな!」
料理人「はい、ビール」
メイド「イエッス!」
魔導師「んふ」
魔導師「美味しい」
料理人「ふむ」
料理人「この肉だと旨味も強いし、甘いソースよりシンプルな味付けで肉の旨味を味わいたいか……」
料理人「飲む前に塩漬け作っておくか」
メイド「おつまみもお願いしま〜す」
料理人「塩漬け終わったらな!」
女騎士「……しかし解体シーンを見るとちょっと食欲が……」
姫「神経細い奴じゃな」

34 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/29(月) 17:26:52.22 ID:s1XsXjIAO
女騎士「姫様は平気なのですか〜?」
姫「昔厨房に忍び入って鴨や兎の解体を見ていたし」
女騎士「フリーダムですね、姫様」
メイド「前任者の頃から苦労されたようですよ?」
メイド「目を離したら街を飛び出して森のモンスターに襲われそうになってたとか」
姫「ああ、あったのう……妖精探してた時じゃな」
魔導師「馬鹿姫」
姫「うっさい」
街に帰る前に一泊
酔っ払った大人達がいつまでもお喋りしている
私はテントで魔導師と話をする
魔導師「姫の喋り方、おばあちゃんの真似?」
姫「そうじゃ、赤ん坊の頃からばあやに言葉を習ったからこれが普通になってしまったわ」
魔導師「……嫌いじゃない」
姫「そうか」
姫「お前もばあやに習ったのか?」
魔導師「私はあんまり」
魔導師「ただ本が沢山有ったからそれで覚えた」
魔導師「魔法は失敗すると困るからみっちり教えてもらったけど」
姫「もっとすごい魔法も使えるのか?」
魔導師「……」
魔導師「秘密」
姫「ずるいのう……まあいい、寝るか」
魔導師「うん」
その日は料理人と魔導師と三人で寝た

35 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/29(月) 17:29:28.93 ID:s1XsXjIAO
無事に街に帰ると、ギルドに報告
白鳩草の要請は一つだったが、他も買取してもらう
結果として討伐分薬草分を含め、宝石三個分
姫「初収入にしては上等だな」
メイド「ふむふむ……、管理しておきます」
姫「みんなの装備を整えてやりたい所だな」
女騎士「私はこの剣があれば……」
姫「しかし頼りないしのう……肉の解体に戸惑う奴が盗賊を斬れるのかのう……」
女騎士「うぐっ……」
姫「魔法剣なら直接斬らなくても魔法を放てるし」
女騎士「わ、私は仮にも騎士です……悪には容赦しません!」
姫「ほ〜んと〜かの〜」
魔導師「とりあえず保留」
魔導師「それは宝石箱に入れておくと良い」
姫「そうするかのう」
料理人「食材は十分買い入れてある」
姫「いよいよ金の使い道が無い」
メイド「もう少し稼がないと中途半端ですからね」
魔導師「兵を雇うとしても五十人程度?」
姫「戦力もそんなに足りてなくもないし……なんか皆暇人な割に強いし」
メイド(ギクッ)
料理人「で、次はどこに行くんだ?」
姫「思い切って山賊でも壊滅させるかのう」
料理人「ふむ」
料理人「私は二、三日パーティーを離れようと思う」

36 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/29(月) 17:31:32.80 ID:s1XsXjIAO
姫「?」
姫「何故じゃ?」
料理人「城に用が有ってな、少し里帰りだ」
姫「皆で行かないのか?」
料理人「一人の方が身軽だからな」
メイド(ふむ、どうやら)
メイド(姫様が無理矢理山賊砦に押し入る前に偵察するつもりですね)
シスター「じゃあ私も明日はお出かけしようかな〜?」
姫「う〜ん、じゃあ料理人が帰ってくるまでは別行動かの?」
魔導師「そうね」
姫「くれぐれも私の事を城の者に話さんようにな!」
料理人「分かってる」
姫「そう言う訳で、明日は魔導師とお出かけしたいんじゃが」
魔導師「構わない」
姫「やった!」
メイド「私も」
姫「嫌じゃ」
メイド「そ、そんなはっきり……」
メイド(まあこちらもやることは有るのですが)
魔導師「…………」
翌日私は予定通り魔導師と遊びに出掛ける
多少なら自由になるお金もあるし……
お買い物とかしてみたかったし、大っぴらに友達と街を散策出来るなんて!
姫「楽しみじゃ!」
魔導師「あんまり張り切ると転ける」
姫「クールじゃのう」
姫「魔導師と言うのは皆そうなのか?」
魔導師「私だけでしょ?」


37 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/29(月) 17:34:15.72 ID:s1XsXjIAO
姫「ま、まあ深くは聞かんが……」
姫「友達でも話せんことはあるからの」
魔導師「友達?」
姫「同年代の友達は初めてなのじゃ!」
魔導師「そう……」
姫「シスターや他の三人はだいぶお姉さんじゃからな」
魔導師「そうだね」
私達は広場や大通りを回る
ちょっと買い食いしたり、楽しい
魔導師「あまり食べると、太る」
姫「こういう格言がある」
魔導師「?」
姫「ダイエットは明日から!」
魔導師「ぷっ!」
魔導師「馬鹿姫、そんな格言はない」
姫「格言じゃなかったか?」
魔導師「馬鹿姫の格言集に書いておく」
姫「そんな物書くでない!」
二人で大笑いしながら街を歩いた
最後にギルドに寄ってみた
掲示板を魔導師と確認してみる
前に失敗したからな
魔導師「山賊砦に乗り込むって本気なの?」
姫「皆がおれば割となんとかなるじゃろ」
姫「数日雇うくらいなら昨日手に入れた宝石だけでも五百人くらいは雇えるし……」
姫「宿代は金貨二枚じゃから宝石一個あれば二カ月は大丈夫」
魔導師「でも兵数も分からない砦を落とすなんて簡単にできるかな?」
姫「うむ……不安になってきたのじゃ……」

38 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/29(月) 17:36:26.71 ID:s1XsXjIAO
魔導師「山賊砦を一つ落とすと宝石十個だって」
姫「凄いのう……」
魔導師「でも金貨五十枚くらいの任務からこなすべき」
姫「うむ……」
姫「国から兵を借りれんかのー」
魔導師「それなら最初から国がやってると思うけど」
魔導師「今の時代下手に兵を動かせば他の国から攻められる事も考えられるし、山賊も連携してくると思うし」
魔導師「安定して大軍を使えるのなんて東の港国だけ」
姫「そう言えばうちの周りには山賊いないのう?」
魔導師「昔居たけど皆殺しになった」
姫「そ、そうか」
姫「魔導師は歴史にも詳しいんじゃのう」
魔導師「三年前」
魔導師「その山賊討伐任務中に私のお父さんは死んだ……」
姫「!」
姫「すまん!」
私は魔導師に土下座した
魔導師「……人目があるのに、やめて」
姫「うう……すまん」
魔導師「何故泣くの?」
姫「ばあやが死んだのもその頃じゃろ……」
魔導師「!!」
魔導師「関係無い」
でも、魔導師がそんな風なのもそのせいじゃないのか?
私が呑気にお姫様をやっている影で幾つも悲劇を味わって……
魔導師「私も……」
魔導師「私も友達はあなたが初めてよ」

39 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/29(月) 17:38:15.76 ID:s1XsXjIAO
魔導師「だから泣かないで」
魔導師は私を抱き起こした
姫「すまん……」
姫「ありがとう」
魔導師「とりあえずこの仕事をやりましょうか」
魔導師「山賊砦の近くの山だけれど、山頂に魔物が出るみたい」
姫「うむ……小さい仕事じゃな」
姫「なんで誰も受けんのかな?」
魔導師「難易度は高いのに報酬が凄く低い」
魔導師「山頂にわざわざ行く人もいないから重要度も低い」
姫「そんなのをわざわざ受けるのか?」
魔導師「こういう仕事を地道にこなすと名声が上がる」
姫「……なるほどのう」
姫「おねーさん、この仕事をお願いするのじゃ!」
係員「はいは〜い」
魔導師「私を……」
姫「ん?」
魔導師「……何でもない」
姫「どうなることかの」
魔導師「?」
姫「こっちの話じゃ」
……私は何も知らなかった
しかし私は全てを知っている

40 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/29(月) 17:39:53.29 ID:s1XsXjIAO
姫「そう言う訳じゃから料理人が帰ってきたら山賊砦近くの山に向かうぞ」
メイド「辺鄙な所ですね〜」
姫「じゃからこそ名声に繋がると言うもの、のう魔導師」
魔導師「え、そ、そうね」
メイド「なるほど」
姫「魔導師が言ってたまんまなんじゃけど」
魔導師「馬鹿姫」
姫「ええっ?!」
メイド「まあ姫様ですからね」
姫「悪かったのう!」
シスター「なんだかまた大変そうな任務ですねえ」
女騎士「す、少しはお役に立てるでしょうか?」
メイド「まあ役に立たなかったら国に帰らせますが」
メイド「勇者とは自ら危険に飛び込む者ですよ?」
女騎士「……了解です」
次の日は料理人が帰ってこなかったので私は女騎士とトレーニングした
姫「私はまだ本気を出してないが、お主も本気を出してないのう?」
女騎士「ええっ、全力ですっ」
姫「そんな腕で騎士に取り立てられる訳がないじゃろ」
女騎士「うう……しかし……」
姫「本気を出さないと解雇しようかの」
女騎士「そ、それだけは……」
女騎士が力を隠してるのはとっくに知っている
しかしどれくらい強いのか知っておきたかった

41 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/29(月) 17:41:54.92 ID:s1XsXjIAO
姫「今ならメイドも見ておらんぞ」
女騎士「……では……しっかりと剣をお構え下さい」
姫「おう」
私はしっかり女騎士を見据え剣を構えていたが
後ろ?!
辛うじてかわすが
なんじゃその動き?!
なんとかついていくものの、一撃一撃が重い
練習用の木剣が折れてしまいそうだ
私は狙いをすまして女騎士に突きを入れる
突く、突く、突く!
剣をはじかれる
なんとか態勢を立て直すが
姫「くっ!」
喉元に剣を突きつけられた
姫「やるのう」
女騎士「姫様も……まさかついてくると思いませんでした」
姫「まあ私も本気じゃ無かったがの」
女騎士「えっ!」
姫「魔法使ってないしの」
女騎士「あ、そうですね……やはり修行が足りませんね」
姫「まだ本気じゃないのかのう……」
女騎士「い、いえ、まさか」
姫「まあ、そこまで使えたら十分じゃな」
女騎士「は、はい!」
姫「明日は沢山働いてくれよ」
女騎士「はい、わかりました……」
女騎士「あれ?」
女騎士「明日ってちょっとした魔物を倒しに行くんですよね?」
姫「魔物を倒してたら山賊に囲まれるかも知れんぞ?」
女騎士「ま、まさか」