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メイド「傭兵王女の冒険」

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Part2
12 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/28(日) 17:24:02.40 ID:MiMjnxNAO
魔導師「恐竜退治と薬草採取…………一度にやる?」
姫「む、出来るのか?」
魔導師「白鳩草は沼に生える……姫も催眠魔法課程で習ったはず」
姫「……ばあやに聞いた気もするのう……」
魔導師「馬鹿姫……姫の教師はうちのおばあちゃんだから間違いなく教えてる」
姫「なんと、お前あのばあやの孫か!」
メイド(もう少し内緒にしてもらいたかったけど、まあ話の合う友達が居た方が良いですね)
魔導師「恐竜の生息地に向かう街道の近くに大きめの沼がある……そこで探そう」
姫「そうするかの」
料理人「じゃあ今日は寝よう、朝早く出れば行き帰り二泊で行けるはず」
姫「こんな地図で良く距離を把握できるな?」
メイド(地図をくるくる回しながら首を傾げる姫様……可愛い)
メイド(可愛い姫様じゃなかったらこんな仕事してませんが)
姫「なんか不穏な眼差しが……」
メイド「気のせいでしょう」
女騎士「では姫様とメイド先輩は一つの部屋で、私達はもう一つの部屋で良いですか?」
メイド(女騎士ちゃんグッジョブ!)
姫「私は魔導師と話がしたいのう……」
メイド(むむっ、思わぬ敵が!)

13 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/28(日) 17:25:41.19 ID:MiMjnxNAO
魔導師「当分旅路で話す機会はある」
姫「そうか」
姫「楽しみは先に取っておくかのう」
料理人「ちなみに好きな物は先に食べた方が太らない」
メイド(余計な事をっ!)
姫「もう面倒くさいからそれで良いのじゃ」
姫「私は風呂に入って寝るぞ」
メイド「そうしましょう、ではお背中をお流しします」
姫「お、おう」
何か物凄い勢いで風呂に押された
……メイドは私がベッドに入ってからしばらくベッドに肘をついて昔語りなどして来た
メイド「そして私が王宮一の魔法剣士と認められた訳ですが」
メイド「王に頼み姫様付きのメイドにしていただいた訳です」
姫「私はもう寝たいのじゃが……」
メイド「これは失礼……ではお休みのキス」
姫「寝ろ!」
全く……
旅先で少し羽目を外しているのか?
可愛がられるのは良いのだが限度があろう
翌朝は日の出の前に起き、準備を始めた

14 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/28(日) 17:26:39.76 ID:MiMjnxNAO
料理人「二日分の食料はあるが」
料理人「どうだろう、恐竜肉を保存食にしたいんだが」
!?
恐竜って食えるのか?!
毒は無いか??
シスター「宗教上肉食は……」
姫「お前鳩食ったじゃろ!」
シスター「ううぅ、だって恐竜……」
料理人「美味いぞ」
メイド「確か氷山で遭難した研究者が氷漬けになっていた恐竜を仕方なく食べたという逸話があるのですが、牛肉のような旨味があったそうですよ」
姫「牛肉……」
シスター「牛肉……」
女騎士「え、いや、何故お二人は食べるつもりになってるんですかっ?!」
魔導師「そう言えばここにモンスター料理についての本が」
魔導師「この本には恐竜肉はドラゴン肉に次ぐ美食、とある」
姫「……腹が減ってきたのじゃ」
シスター「楽しみですね〜」
女騎士「いや、そこは止めて下さいよシスター!!」
メイド「まあ姫様が望むのであれば」
料理人「恐竜肉は一体で二百キロ以上は食べられるはず」
料理人「毎日一人一キロ半食べても相当な量だな」
メイド「保存の問題が有りますが当分肉に困ることはなさそうですね」

15 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/28(日) 17:27:56.29 ID:MiMjnxNAO
料理人「そう言う訳で塩を大量に用意したい」
姫「塩漬け肉にして保存するのじゃな」
料理人「香草やチップは現地調達して……これで生ハムやベーコンも作れる」
姫「うおー、よだれが出てきたのじゃ!」
シスター「美味しそうですぅ」
女騎士「うう……」
メイド「まあ毒じゃないなら良いでしょう」
メイド「当然ビールも用意しますよね?」
うちのパーティーで飲めるのはメイドと料理人、女騎士だけだが
馬車も結構狭いのだが
料理人「樽三つくらいか?」
姫「多い!」
料理人「樽一つなら私一人で二日もあれば空けるが」
姫「底無しか!」
メイド「美味しいおつまみ……」
女騎士「ビール飲めるなら良いですね」
魔導師「大人はこれだから……」
姫「珍しく魔導師と意見が合ったのじゃ」
シスター「私もまだ飲めません」
姫「お前は聖職者じゃろ!」
うん、だがパーティーの半分がやる気になるなら良いか
私達は塩と酒を買い込んでから出掛ける事にした
肉の現地調達……
なんだかワクワクする

16 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/28(日) 17:28:38.85 ID:MiMjnxNAO
メイド(その頃、東の港国ではこのようなやりとりがなされておりました)
メイド(国王陛下が勇者を呼んでいたのです)
国王「よく来た……選ばれし勇者よ」
勇者「は、はあ……」
国王「分かっておる、いきなりで戸惑っておるのじゃろう」
国王「しかし、そなたには旅立ってもらわねば困る!!」
勇者「はいーっ!」
国王「儂のいっっちばん可愛い末娘が!」
国王「何を思ったか傭兵になりたいと旅だったのじゃ!!」
勇者「陛下、落ち着いて下さい」
国王「おお、すまん……」
国王「そなたには儂の末娘を守ってもらいたい」
国王「もし成し得たならばそなたの嫁にやっても良い」
国王「失敗すればミンチにして豚の餌じゃが」
勇者「ふえぇ……」
メイド(勇者殿には断る勇気が無かったようですよ)
メイド(チッ、男のくせに!)
メイド(男しか姫様の為の勇者になれないとか不公平では無いでしょうか?)
メイド(無いでしょうか!)
メイド(実力的には私が一番勇者に向くと思うのです)
メイド(もしこの時点でこんなお話があることを知っていたら私が勇者に変わって……くそっ!)
メイド(……失礼しました)


17 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/28(日) 17:29:51.95 ID:MiMjnxNAO
私達が再び旅立って
翌朝
野宿のせいか、何やら良くない夢を見た気がする
顔も知らない婚約者が来て私は不快に思うのだが
何故かメイドがキレてその婚約者をなますに切り刻み
料理人が美味しい恐竜肉ですよーっ!と妙なテンションで皿に盛り
シスターが美味しそうです〜とか言い出し
女騎士がそれに突っ込み
魔導師が無かったことにしようと焼き払った所で目が覚めた
姫「??」
メイド「どうされましたか姫!」
姫「ぉうわっ!!」
悪夢を見て目が覚めた時に一センチ先に他人の顔が有った事を想像してみて欲しい
私は火球の魔法を三発くらい放った
メイド「す、すみません……」
心臓止まるかと思った
さあ、恐竜狩りだ
アレのせいでちょっと今朝は調子が悪い
目の下に隈が出来てた
魔導師「おはよう、姫様」
姫「おう」
旅立ちの時は一番苦手だった魔導師が一番の癒やしキャラだ
旅は人を成長させるのだな
シスター「今日は肉日和です」
うん、お前のポジションとしては最も間違ったセリフだな
まあ今日が恐竜との遭遇予定日ではあるのだが
お日様も綺麗に顔を出してくれたし

18 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/28(日) 17:30:34.09 ID:MiMjnxNAO
メイド「昨日実に嫌な夢を見まして」
姫「聞きたくないがなんじゃ?」
メイド「姫様がごろつきにピー!されて私がなますに切り刻むと言う……」
姫「なますだけ一致」
メイド「?」
姫「ろくな夢を見んなお前は」
メイドを軽く小突いたら幸せそうな顔をした
あまり深く追求するまい……
さて、恐竜退治の前にまず私達は沼を探す
料理人「沼でナマズかウナギを取るのも良いかな?」
姫「ほうほう、淡水魚か」
料理人「鯉やハゼも美味いぞ」
シスター「楽しみですねぇ」
姫「泥臭いんじゃないかのう?」
魔導師「泥抜きすればいい、沼の魚は栄養価が高い」
姫「そう言うもんかのう?」
料理人「沼エビやザリガニや蟹だっているし、鴨や渡り鳥もいるだろう」
シスター「夢が広がりますねえ」
姫「お前は夢見ちゃいかんがな」
女騎士「貝もいますかね?」
料理人「泥抜きは大変だが、大きな貝が穫れるぞ」
女騎士「それは楽しみですね」
沼と言っても食べ物の宝庫なんだなあ
旅に出るまで沼なんて不毛な毒沼しか無いのかと思ってた

19 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/28(日) 17:33:46.56 ID:MiMjnxNAO
今日はここまでです
今回は複雑なお話にしたのでエタったらすみません
次は明日更新します

20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2014/12/28(日) 17:42:31.30 ID:J0YPCNfAo
面白いけど、地の文は姫視点なのに時々メイドのモノローグ入るのが少しだけ気になるかな
ほんの少しだけだけど

21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2014/12/28(日) 17:46:05.56 ID:J0YPCNfAo
てか、酉とこの軽いノリ的にメラの人?

22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2014/12/28(日) 18:17:29.89 ID:yJL2iLfsO
恐竜肉乙

23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2014/12/28(日) 18:57:11.59 ID:yPUR7VbAO
乙!
モンスター=食料なんだな

29 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/29(月) 17:16:08.93 ID:s1XsXjIAO
ありがとうございます
二重視点は中盤からは少な目にします
今回は大人しめなお話ですみません
モンスターもあんまり食べません
では更新します

30 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/29(月) 17:18:47.29 ID:s1XsXjIAO
恐竜遭遇の前に沼に着く
今回の仕事は薬草採取
私と魔導師は対象の物を知っているので薬草採取、残る四人は釣りだ
餌がミミズだったので触らずに済んで良かったかも
しかし沼は広く、一周するだけでも半日かかる
途中記憶にある薬草を片っ端から採取した
お金になれば良いが
目的の薬草は見つからないまま魔導師と再会
魔導師「見つけたよ、白鳩草」
さすが私の選んだ仲間だ
出会った頃から知ってるが本当に博識だ
姫「お前のお陰で宝石一個ゲットじゃな」
魔導師「う、うん」
私に誉められて魔導師は照れくさそうだ
私はなんだか魔導師を可愛く思った
同じ師に学んだ仲間だし
姫「じゃあ適当に薬草をむしりながら帰るか」
魔導師「じゃあ姫のルートで」
魔導師「多分取りこぼしがあるから」
ムカつくのじゃ
実際白鳩草を二つも発見した
きっちり働かれては文句も言えない
元来たポイントに帰ると
シスター「きゃっほーっ!」
料理人「ブラックバス追加か、シスターさん大活躍だな」

31 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/12/29(月) 17:21:20.09 ID:s1XsXjIAO
シスターも大活躍……
料理人「スッポンも釣ってくれたしお昼は美味いぞ」
本当に?
その日の昼ご飯は実にご馳走だった
ブラックバスの肉をムニエル
美味い
鴨肉のステーキに根菜のソテー
実に美味い
スッポンスープ
これも美味い
天然物は美味いとは聞いたことあるがこれほどとは……
みんな黙々と食べた
旅に疲れた体が癒えるようだった
鯉やナマズを干物にして、貝の泥抜きをしつつ、私達は恐竜を探し始めた
食う
メイド(姫様が肉食動物になってしまいました……)
その日のうちに私達は恐竜に遭遇したが
戦いである
メイド「くっ、流石に宝石一個分の魔物ですね!」
料理人「弱点は足と頭だ!」
魔導師「火球では難しいか……閃光魔法!」
女騎士「なんとか倒しますっ」
シスター「傷を癒やします!」
私は恐竜に突進し、鱗に守られた脚を斬り、火球を撃ちつつ離れた
なんとなく初めての獲物は私がトドメを刺したかった
暴れる恐竜に挑む
噛み付かれ投げ飛ばされ
若干血塗れになっているのが分かる
私は王女なのに
いや
だからこそ
姫「私はひ弱なお姫様じゃない……!」