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メイド「傭兵王女の冒険」

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Part7
87 : ◆J9pjHtW.ylNB :2015/01/05(月) 21:15:19.39 ID:/wdWO4NAO
姫「正当な王位継承者がいるのに司祭が王位に着いた」
姫「こりゃ草原姫様になんかあったと分かる」
姫「大方西の蛮族砦辺りに囚われとるんじゃろな」
色黒な騎士「……!」
色黒な騎士「お願い致します、姫様」
色黒な騎士「我らの姫様と聖騎士長を、お救い下さい……!」
姫「やはり草原姫様を人質に取られて良いように使われておるんじゃな?」
姫「よかろう、お前が協力してくれるならな!」
色黒な騎士「もちろんです!」
魔導師「姫、また知恵熱でるよ?」
姫「おう」
姫「おう、じゃなかった、うっさい」
姫「とりあえずこいつらの装備を剥ぎ取って縛るのじゃ!」
勇者「やってまーす!」
姫「……甲斐甲斐しいのう」
こうして魔導師の機転もあって私達は無事に初戦に勝ったが
この後中央砦を攻め、蛮族砦までの道を作る
そのための準備を進めていく
聖騎士の中には農作業を嫌い逃げ出す者もいたが、放っておく
色黒な騎士は人望が厚いようでほとんどの騎士は部隊長である彼に従った

88 : ◆J9pjHtW.ylNB :2015/01/05(月) 21:16:49.27 ID:/wdWO4NAO
姫「ふむ、統率力の高い将じゃな」
魔導師「下働きで消耗させるのは、惜しい」
姫「私の騎士として取り立ててみようか」
勇者「ええっ!」
姫「ああ、お前もおったの」
姫「とりあえず女騎士の下で使ってみるか?」
女騎士「ええっ、私!?」
メイド「まあ良いでしょう」
姫「さて、そろそろ料理人も帰ってくるか」
シスター「美味しいご飯食べたいなあ」
魔導師「東一番砦からお肉を取り寄せた」
シスター「やった」
女騎士「なんだかもう肉食教でも開きそうですよね、シスター」
シスター「邪神に祈るよりは良いかも!」
開くのか
その日夕食前に料理人は帰ってきた
料理人「姫様の読み通り、蛮族砦の一つが異常な警備態勢を敷いている」
料理人「妖精たちに探らせた所、草原姫様らしき人物を見つけた」
姫「うむ、やはりの……まず中央砦を奪いその後草原姫様を助けるか」
姫「その前に」
シスター「お肉ですね!」
メイド「ふっふっふ、お酒も有りますよ!」
女騎士「お酒飲める人も増えましたしね」
姫「よし、今日は少し遅い戦勝祝いといこう!」

89 : ◆J9pjHtW.ylNB :2015/01/05(月) 21:18:32.90 ID:/wdWO4NAO
色黒な騎士「私も良いのですか?」
姫「うむ、今日からお前は女騎士に従ってもらう」
姫「剣を返してやるから、私に忠誠を誓うこと」
色黒な騎士「……分かりました」
色黒な騎士「今この時より我が剣はあなたに捧げます」
姫「うん、よろしく」
食事中今後の戦略を練る
姫「お前には辛いかも知れないが、中央砦を攻め取りたい」
姫「何か知恵は無いか?」
色黒な騎士「魔導師さんの催眠魔法があれば……」
魔導師「ちょっと白鳩草が手に入らないから、無理」
姫「もともとレアアイテムじゃからな」
色黒な騎士「私の部下を逃亡兵に見せかけ砦に行かせ、砦の開城をさせるとか」
メイド「正面から当たるとなると兵数が心許ないですねえ」
料理人「しかしそれが一番妥当な策じゃないかな?」
魔導師「……」
魔導師「砦の間取りが分かれば兵糧に火を放てるかも」
姫「なるほど」
色黒な騎士「それなら分かるかも知れない」
魔導師「あと、事前に中央砦の兵に投降するように誘ってみるとか」
魔導師「流言を使って聖王に反逆させる手もある」
姫「さすがじゃのー」
魔導師「ふふ、姫が勉強不足なだけ」
姫「うっさい」

90 : ◆J9pjHtW.ylNB :2015/01/05(月) 21:20:23.24 ID:/wdWO4NAO
姫「早く助けてやらんと草原姫様が可哀想じゃ」
姫「できるだけ速く動くぞ」
メイド「分かりました」
色黒な騎士「相手にはもう一人の部隊長がいる可能性があります」
色黒な騎士「調略を仕掛けてみましょう」
女騎士「分かりました、お願いします」
魔導師「五日待って焼き討ちをかける」
姫「その間に兵を集めるか」
メイド「大魔法を使うためには混戦を避けないといけません」
メイド「馬防柵などを用いて敵兵の進軍を防ぎましょう」
姫「よし、早速工作を始めよう」
まず私たちは聖騎士たちに逃げ出す兵を装わせ敵砦に情報を流す
私たちが聖王を邪教徒の元締めと見ていること
私たちの国は開拓が進んでいて食料が十分あること
部隊長が既に寝返ったことなどを広めさせる
嘘がない情報のため火が着くのは速かった
予定よりも早く、兵士や騎士たちの脱走が始まった
部隊長への調略も進めた
聖王に大義がないこと
騎士団長を助けるためにその力が必要であることなどを伝え、揺さぶりをかける
色黒な騎士「部隊長クラスになればみんな状況は理解しています」

91 : ◆J9pjHtW.ylNB :2015/01/05(月) 21:21:57.78 ID:/wdWO4NAO
色黒な騎士「すぐに投降してくることは考えづらいが戦況が悪化すれば降伏するのも速いはずです」
魔導師「判断力のある聖騎士の部隊長ならすぐ飲み込める」
魔導師「投降することは裏切りではなく王国の財産たる兵を守ることでもあると」
姫「うむ」
料理人「馬防柵も設置するだけだ」
料理人「聖騎士たちがしっかり働いてくれてるからあっと言う間にできるよ」
姫「うむ、部隊長が味方をしっかりまとめてくれてるお陰じゃな」
色黒な騎士「お褒めに与り光栄です」
姫「さて、では始めようか」
姫「メイドと魔導師は敵砦を焼き討ちじゃ」
姫「残り魔法兵は馬防柵内側で待機」
姫「女騎士たちは壊滅した敵軍を捕らえろ」
勇者「姫様、俺はどうしますか?」
姫「うーん」
姫「とりあえずそこに居れ」
勇者「はいっ!」
すごい笑顔だ
遊撃隊として待機させてるだけなのだが
勇者「姫様は俺が守ります!」
勘違いさせたかも……
まあいいか
使える奴だし


92 : ◆J9pjHtW.ylNB :2015/01/05(月) 21:24:33.25 ID:/wdWO4NAO
砦に火が上がる
工作のために潜り込んだ聖騎士たちは逃げ出すふりをして門をこじ開ける
早急に予定してあった地点まで逃げ出し同士討ちを避ける
仕方なく出陣してきた敵兵たちを私自ら大魔法で焼く
勇者と魔法兵たちもそれに続いた
続々と投降してくる敵兵
入念な準備の結果ではあるが、中央砦の陥落までわずか一日しかかからなかった
残念ながら敵部隊長は兵を国に退く方を選んだが
十分な戦果だろう
私たちは中央砦を手に入れた
料理人「兵の損失も敵味方共に微々たるものだった」
料理人「最高の結果だと思う」
シスター「亡くなった兵隊さんたちは丁重に弔わせて頂きます」
色黒な騎士「感謝します」
女騎士「敗残兵たちは武器を取り上げ野に放ったのですが」
女騎士「ほとんどの兵はうちで働くことを志願してきました」
料理人「砦の復旧を急がせる」
メイド「この後はどうしますか?」
姫「うむ」
姫「恐らくは南西草原と睨み合いになるが……」
姫「少数精鋭で蛮族砦に当たろう」
メイド「……いよいよですね」

93 : ◆J9pjHtW.ylNB :2015/01/05(月) 21:26:38.37 ID:/wdWO4NAO
姫「とりあえず隠密スキルの高い料理人と女騎士と勇者、それに草原姫様の顔を知ってる私で蛮族砦に忍び入ろうかと思う」
姫「残りは砦を守ってくれ」
姫「すぐ帰る」
メイド「お気をつけて、姫様」
メイド「恐らくはこれが最後の戦いになりますね」
姫「そうか」
姫「魔導師」
魔導師「どうしたの?」
姫「砦は任せるぞ」
魔導師「……うん」
魔導師「姫も気をつけて……」
姫「おう」
私たちは夜を待って砦を出た
明け方頃には目的の蛮族砦に辿り着く
随分長いこと草原姫様を待たせてしまった
姫「さて……どう入るかの?」
料理人「兵の少ない裏口がある」
姫「確認済みか」
女騎士「どうしますか?」
勇者「やっちゃいます?」
姫「いや、表の兵二人だけなら……」
私は催眠魔法を放った
姫「白鳩草が無くとも二人眠らせるくらいは問題ない」
勇者「後は扉の向こうの兵ですね」
姫「ちょっと待ってろ、お前ら見てこい」
蝶「は〜い」
蜻蛉「いってきま〜す」
料理人「便利だ」
しばらく待つと妖精たちは帰ってきた
扉の向こうには二人見張りがいるらしい

94 : ◆J9pjHtW.ylNB :2015/01/05(月) 21:28:43.38 ID:/wdWO4NAO
料理人「よし、私が行こう」
姫「気をつけろよ」
料理人は鉤爪のような物がついたロープを砦の壁に掛けると、スルスル登っていく
料理人の姿が見えなくなって少しして、ごきゃっ、と言う嫌な音が二回響いて扉が開いた
中では二つの塊が転がっていた
姫「素手で倒したのか……恐ろしい」
勇者「凄いっすね」
女騎士「料理人さんと喧嘩しないようにしよう……」
妖精たちに先行させ、速やかに敵兵を排除して草原姫の部屋に向かう
姫「おるか、草原の!」
草原姫「うん?」
草原姫「もう朝ぁ?」
姫「脱出するから着替えるのじゃ」
草原姫「え、あれ、なんで東の港の姫様が……?」
姫「とりあえずコート羽織らせるか」
草原姫「あっはっは、久しぶり〜」
姫「のんきじゃな!」
女騎士「無事なようでちょっと安心しました」
草原姫「無事じゃないよ〜、ご飯不味いし〜」
姫「話は後じゃ!」
草原姫を逃がし、私たちは後ろから現れる兵を倒していく
勇者「姫様はお先にお逃げください!」
姫「馬鹿を言え、全員で逃げるぞ!」
勇者「姫様……!」
勇者「命に代えてお守りします!」

95 : ◆J9pjHtW.ylNB :2015/01/05(月) 21:30:53.30 ID:/wdWO4NAO
私たちはなんとか敵の大部隊に気付かれる前に城を出るが
追っ手が迫る
女騎士「私は……騎士だ!」
女騎士が次々に追っ手を片付ける
私と勇者は草原姫を抱えた料理人を守りつつ撤退
その時、うっかり崖から足を滑らせた
姫「うわっ……」
勇者「姫様!」
勇者は思ったより怪力で私を片手で引き上げた
姫「た、助かったわ」
勇者「逃げますよ、姫様!」
姫「う、うん」
姫「ありがとう」
勇者「お役に立てて感激です!」
泣くな
足を捻った私は勇者に運ばれる
夜が明けてあたりが明るくなって来た
姫「ふん……やっぱり男は力があって良いな」
勇者「姫様はすごい軽いですよ」
姫「ばっ、馬鹿者!」
顔が熱くなった
中央砦は聖騎士長の主力部隊に囲まれている恐れがある
急がなければいけない
草原姫「ダブルお姫様抱っこだね〜」
姫「ほんとのんきじゃな!」
昼頃には中央砦が見える所まで帰ってきた
しかし予想通り砦は聖騎士に囲まれている
聖騎士長に草原姫が無事であることを報せなくては……
裏から中央砦に入り、伝令を出す
メイド「お帰りなさいませ、姫様!」

96 : ◆J9pjHtW.ylNB :2015/01/05(月) 21:33:13.49 ID:/wdWO4NAO
しばらくして伝令が届いたようで、聖騎士長は自ら砦の前に出てきた
草原姫「聖騎士長さま〜、お元気ですかぁ〜?」
姫「もうちょっと言い方無いのか」
聖騎士長「姫様、ご無事でしたか!」
草原姫「ごめんね〜、ご迷惑かけました〜」
姫「お前たちの敵は王城に有り!」
姫「邪教徒を殲滅せよ!」
草原姫の無事を確認すると聖騎士長は砦に背を向けた
私の檄を受けて声を上げる
聖騎士長「もはや我が目を曇らせる闇は晴れた、全軍王城に向かえ!」
聖騎士たち「おおおおおっ!!!」
勇者に肩を借り、砦を降りると魔導師が待っていた
魔導師「お疲れ様、姫様」
姫「うん、有り難う!」
…………勝った!
姫「戦勝祝いじゃ!!」
料理人「はいはい、盛大にやるよ!」
シスター「私も手伝います〜!」
集めておいた食料で料理人が大人数で食べられる料理を作っていく
シチューにパエリア、バーベキュー……大量の酒……
兵たちも期待してうずうずしてるのが分かる
私は南西草原との戦の終わりを宣言する
姫「ひとまず戦は終わった!」
姫「今後は南西草原と協力し、傭兵として蛮族と邪教徒を倒していく」