旅男「ルビーイーターか……」
Part8
92 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/10/12(日) 18:47:17.95 ID:+rbMeROAO
博士「B地区西に四十万のアイアンイーターが居るな」
旅男「四十万か、微妙な値段だな」
茶髪「俺だと厳しい?」
旅男「それは無い、ただちょっとな、俺達が狩るなら安いんだよ」
茶髪「コストが最低で二十万くらいだもんな」
旅男「まあ射程圏ギリギリで脳を一発で砕けば余裕だ」
茶髪「俺の射撃の腕次第か……」
旅男「オールドタイプはルビー代以外丸儲けだから良いよな」
茶髪「俺一人で行っちゃ駄目か……?」
旅男「……いずれお前一人でやるんだ、経験しておくのは悪くない」
旅男「ただ、マンイーターみたいなイレギュラーが有り得る、気をつけろよ」
茶髪「分かってる」
茶髪「俺は死なねえからな」
旅男「……ん」
茶髪は旅男が仲間を失うのを恐れる事を知っている
旅男は思う
何時までも過去は引きずらない……
それはやっぱり嘘なんじゃないのか、と
…………
帽子「旅男〜」
旅男「おう、今日は藍から逃げ切ったか」
帽子「藍ちゃんは朝からホラーをあさりに行った」
旅男「何故……」
帽子「今日はボクと遊ぼ〜!」
旅男「どこに行く?」
帽子「水族館行く〜」
旅男「地下二階の奴か、行ってみるか」
93 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/10/12(日) 18:49:55.17 ID:+rbMeROAO
ーーA地区B2Fーー
A地区は丁都でも最も人口が多い繁華街の一つである
B2Fはその中でも観光に重点を置いている
旅男達は二人で水族館を訪れた
デートのようだと、二人は意識してしまう
旅男「お〜、美味そうな魚がいっぱいいるな」
帽子「ピラルクって美味いのかな?」
旅男「お、海の掃除屋ホンソメワケベラか」
帽子「ニセクロスジギンポでした」
旅男「鰓を食いちぎるとか凶悪すぎる」
帽子「マンタだ〜」
旅男「こんな地下にどうやってジンベイザメを入れたんだろう……」
帽子「養殖だって」
旅男「すげえな現代技術」
帽子「……ねえ」
旅男「なんだ?」
帽子「旅男はまだ桃姉の事が好き?」
旅男「……」
旅男「ふう……」
旅男は帽子の目を見る
帽子は旅男の目が見られない
旅男「分からん」
旅男「振り切ったつもりだった」
旅男「だが……」
旅男「やっぱりまだ迷っている」
帽子「馬鹿だな旅男は」
帽子「それが普通」
帽子「だって、好きって、そう言う事でしょ?」
帽子「諦める事なんて、どんな理由だって出来ないよ……!」
旅男「……!」
94 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/10/12(日) 18:51:59.96 ID:+rbMeROAO
帽子「ボクもそう」
帽子「ボクも諦められない」
帽子「なんで旅男がボクを受け入れてくれないのか、それは桃姉の事があるからだと思っていた」
帽子「でも違うんだよね、他に何かあるんだ」
旅男「……」
旅男「何故お前は女なんだろうな?」
旅男「最強のAHなら男の方が良かったじゃないか」
旅男「何故だと思う?」
帽子「……?」
旅男「俺達の生まれたラボは、俺が生まれた時歓喜した」
旅男「俺よりバランスの良いAHなんて居ない、AH廃止まで六年以上かかったのにだ」
旅男「お前は……、始めから俺のつがいとして作られたんだ」
旅男「そんな他人が決めた運命に、お前を翻弄されたくない!」
旅男「……それが全てだ」
帽子「……」
帽子「……馬鹿……」
帽子「ボクの気持ちはプログラムされた物なんかじゃ、無い!」
帽子「旅男は何にも解ってないじゃないか!」
旅男「……!」
帽子「ボクはまだ子供だから、他人に遺伝子まで手を加えられ操作されてるって感覚は分からない」
帽子「でも旅男が優しいのも、すごいのも、寂しいのも分かるの!」
95 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/10/12(日) 18:53:45.70 ID:+rbMeROAO
帽子「……ボクは間違ってるかな?」
帽子「ボクは遺伝子に操られてる?」
旅男「……分からない」
旅男「だが、ただのAH同士でもどうなるか解らないんだ」
旅男「死産や母体が死ぬケースも多いと聞く」
旅男「そんなことは……」
帽子「ボクはハンターだよ……」
帽子「死ぬのなんか怖くない」
旅男「馬鹿野郎……」
帽子「でも死なない」
帽子「だって旅男が寂しがるもの……、あははっ」
旅男「……帽子……」
旅男はゆっくりと、帽子を抱き寄せて、キスをした
帽子「……嬉しい」
帽子「このロリコン、あははっ!」
帽子はくるりと後ろを向くと、走り出した
…………
アイアンイーターと対峙する際、最も重要な事は、潰されない事だろう
茶髪はアイアンイーターと十分な距離を取って構えた
アイアンイーターはビルの鉄鋼に夢中だ、今なら一撃で脳みそを弾き飛ばせる
茶髪はゆっくりルビーガンを構えた
…………
博士「茶髪一人でアイアンイーター中型撃破か」
博士「その後奇襲してきたマンイーターに大怪我を負わされなければ百点だったが、返り討ちにしたんだから九十点はやっても良いだろう」
茶髪「痛い」
96 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/10/12(日) 18:57:04.83 ID:+rbMeROAO
旅男「だから気をつけろと言っただろ」
茶髪「痛い」
藍「生きて帰れたんだから良かったですよ」
茶髪「痛い」
帽子「痛いのは分かった」
茶髪「痛い」
茶髪「俺間違ってたわ、オールドタイプにもメンテナンスは必要なんだな」
博士「そりゃ肋骨折ったらな」
博士「ちゃんと治すから心配するな」
茶髪「ありがとう、博士」
博士「十万でいいよ」
茶髪「この前一年無料でいいって言った」
博士「ちっ」
旅男「ふうっ……、まあ無事で良かった、俺はネグラに帰って寝るわ」
帽子「お疲れ様、旅男」
旅男「疲れてねえよ」
旅男「……」
旅男「帽子……、さっきの話は無しにしてくれるか」
帽子「?」
帽子「どう言う意味?」
旅男「俺には……、家族を失うのは辛過ぎる」
帽子「……!」
帽子「……そうだよね……、旅男は……」
帽子「家族をもう、無くしたような物なんだから……」
博士「?」
博士「何の話をしているんだ?」
帽子「何でもない」
帽子(でも旅男……)
帽子(キスも無し、なんて、言わないよね……?)
帽子「大丈夫、まだ時間有るもの、私には」
97 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/10/12(日) 18:59:29.49 ID:+rbMeROAO
…………
旅男達は博士を連れてグリーンメーカーの探索を始めた
B地区は既に先のグリーンメーカーによる広大な森が出来ている
森をかわし、砂漠地帯でグリーンメーカーを探す
博士「グリーンメーカーの生命反応情報が有ったのはこの辺りなんだがな……」
旅男「森が出来たからグリーンメーカーも森で捕食してるんじゃないかな?」
博士「ん〜、その可能性はもちろん考慮してるが、森を広げるには砂漠地帯でグリーンメーカーを捕獲したいんだ」
博士「せっかくサービスした蜘蛛の糸も使わずに終わるのかな……」
帽子「グリーンメーカーって一番最初に作られたナノマシン細胞生物なんだよね?」
帽子「なんでこんなに少ないのかな〜」
博士「グリーンメーカーは寿命が短く、繁殖能力が弱いんだ」
博士「例えば森を作ったグリーンメーカーは死んでしまう」
博士「本当は森を作る能力を得てから交配して欲しいんだがな……」
博士「それにだ、多くのグリーンメーカーはアイアンイーターやマンイーターへ進化してしまう」
博士「これがグリーンメーカーが少ない一番の理由だろう」
98 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/10/12(日) 19:02:12.06 ID:+rbMeROAO
旅男「そもそもグリーンメーカー繁殖に必要な鉄を捕食するアイアンイーターの存在はグリーンメーカーやマンイーターを増やすための機構に見えるよな」
博士「そうだな、……もう人工進化が確定的なのかもな」
旅男「俺なら断定してしまうけどな」
博士「ごく小さな確率ではあるが、自然進化も無い訳じゃない」
博士「宝くじ一万回連続当選するくらいの確率で」
旅男「ねーよ」
博士「でもな、私でもそんな大規模な操作は難しい」
博士「誰かがイーター達の遺伝子を統括してコントロールしてるんだ」
博士「しかしそんな人間居るはずがない」
茶髪「人間じゃなかったら……、神様?」
博士「居ないだろ、少なくとも私は見たこと無い」
旅男「例の宗教……、選民教だと世界そのものが神様らしいけど?」
博士「その点は面白い観点だと思う、自然も人間も神の一部だと言われたら納得してしまう」
博士「なんせそれなら確かに全知全能になるからな、人間が知る事、出来る事は全て神の業になるわけだから」
博士「まあ選民教そのものが全く説得力無いからアレだが」
帽子「カルトだね〜」
99 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/10/12(日) 19:04:18.11 ID:+rbMeROAO
旅男「はあ、さっさとグリーンメーカー出て来ないかね」
博士「昼になったら撤退するか」
藍「ここまで来て無駄足ですか〜?」
旅男「帽子、藍ってたまにキツいよな」
帽子「ヤンデレの素質を感じるね」
旅男「あいつが回復役って何かの冗談みたいだな」
帽子「そう言えばまだ回復のお世話になってないね、ラッキーと言えばラッキーなんだけど」
旅男「回復が必要なほど大怪我したくないな〜」
帽子「完全に同意」
博士「しかし秋なのに暑いな」
旅男「砂漠だからな〜」
帽子「多少の森じゃ気候までは変わらないのかな〜」
博士「雨は増えてるらしいぞ」
帽子「ふうん、それなら自然に森が回復して行くかもね〜」
旅男「それは楽だな」
博士「私の念願でもあるよ」
茶髪「グリーンメーカー出ねえなあ……」
藍「今日は撤退かな〜」
…………
結局グリーンメーカーとの遭遇は出来ず、旅男達は撤退した
無収穫で終わるハントは滅多に無い事だ
博士「グリーンメーカーが多く、かつ砂漠の地域を探しておくよ」
旅男「なかなか難しいな」
藍「ご飯にしましょうか」
茶髪「飯〜」
帽子「今日は何を食べようかな〜」
100 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/10/12(日) 19:06:17.75 ID:+rbMeROAO
旅男「ピザでも食いに行くか」
藍「良いですね〜」
茶髪「ピザ高いからな〜」
帽子「茶髪君もけっこう稼いでるでしょ」
茶髪「あ、そうか、クレジット確認してないけど八百万くらいあるかも」
博士「すごいな、それでオールドタイプって言うのがすごい」
旅男「俺の教育が良い証拠だな」
藍「死ななければいいですよ」
帽子「だよね、絶対死ぬのは嫌だ」
帽子(旅男が泣くもんね)
旅男「ま、こんな仕事だし、死ぬことも覚悟はしないとな」
帽子「そんな調子じゃ死んでも知らないよ?」
旅男「俺も可愛い貧乳オールドタイプと付き合うまでは死ねん」
茶髪「またそれか」
博士「貧乳好きもここまで来ると格好良いな」
藍「格好良くは無いですね」
帽子「…………」
帽子(どう言う事……?)
帽子(オールドタイプって何よ!)
帽子(……何よ……)
旅男「あ〜、やっと帰ってきたな」
博士「空振りするとどっと疲れるな」
茶髪「昼なのに眠い」
藍「暇でしたからね〜」
帽子「次はもっとしっかりした情報が欲しいよね!」
博士「ん、そうだな」
旅男「どうした、カリカリして」
101 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/10/12(日) 19:09:41.81 ID:+rbMeROAO
帽子「殴るよ!?」
旅男「す……、すまん」
博士「どうした、帽子らしくないな」
帽子「……」
帽子「……何でもないよ……」
藍(明らかにおかしいですね)
博士(うむ……、旅男と何かあったな)
藍(そうなんですか?)
博士(帽子は旅男命だからな……)
博士(それは果たして遺伝子なのか、運命なのか……)
藍(?)
旅男「……」
旅男(俺は……、帽子を失いたくない……)
旅男(今は……、こうするしか出来ない……)
博士「次はまたルビー保持型の情報でも取りに行くかな〜」
旅男「無茶言うな、無理だ」
博士「そうか」
博士「じゃあマンイーター改良プログラムをさっさと組んでマンイーター洗脳しに行くか」
旅男「それくらいなら付き合う」
博士「生け捕りだし、そっちの方が大変じゃないか?」
旅男「蜘蛛の糸の使い方は把握したからな、比較的にスピードの遅い普通種のマンイーターなら行ける」
藍「私と茶髪君も上手くやれば稼げますね」
旅男「俺達がサポートすれば大丈夫だろう」
博士「これはいよいよプログラム作りを急がないとな」
帽子「私もしばらく遊ぶからね」
帽子「旅男強制参加だから!」
102 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/10/12(日) 19:12:15.46 ID:+rbMeROAO
旅男「ええっ!」
旅男(やっぱりキスしたのはまずかったな)
旅男(やっぱり遺伝子のせいで流されたのか……?)
旅男(いや、それは酷すぎるか……、俺がしたかったんだ)
帽子「行くの行かないの?」
旅男「強制参加だろ?」
帽子「行くの行かないの!?」
旅男「い、行くよ」
帽子「やった!」
博士「帽子も子供らしい所あるな」
帽子「大人です!」
…………
旅男「暗殺エイリアンチェーン、デンジャラススイーツフェア……」
帽子「美味しそうでしょ」
藍「私も一緒で良いんですか?」
帽子「やっぱりスイーツは女の子と食べないと」
藍「楽しみです」
旅男「デンジャラステトロドトキシンゼリー、シガテラパフェ、ハブ毒カクテル……」
帽子「説明書きが無いと内容が全く解らないね」
旅男「なんでグレープフルーツがテトロドトキシンなんだ?」
帽子「書いてるじゃん、河豚毒のような必殺の美味さ!って」
藍「南洋のフルーツたっぷり、シガテラ毒のような当たり付きパフェ……、ハブ毒のようにじっくり梨の美味さが広がるスイーツカクテル……」
旅男「なんで食欲を削ぐ!」
帽子「まあ一個ずつ全部注文してみよう」
博士「B地区西に四十万のアイアンイーターが居るな」
旅男「四十万か、微妙な値段だな」
茶髪「俺だと厳しい?」
旅男「それは無い、ただちょっとな、俺達が狩るなら安いんだよ」
茶髪「コストが最低で二十万くらいだもんな」
旅男「まあ射程圏ギリギリで脳を一発で砕けば余裕だ」
茶髪「俺の射撃の腕次第か……」
旅男「オールドタイプはルビー代以外丸儲けだから良いよな」
茶髪「俺一人で行っちゃ駄目か……?」
旅男「……いずれお前一人でやるんだ、経験しておくのは悪くない」
旅男「ただ、マンイーターみたいなイレギュラーが有り得る、気をつけろよ」
茶髪「分かってる」
茶髪「俺は死なねえからな」
旅男「……ん」
茶髪は旅男が仲間を失うのを恐れる事を知っている
旅男は思う
何時までも過去は引きずらない……
それはやっぱり嘘なんじゃないのか、と
…………
帽子「旅男〜」
旅男「おう、今日は藍から逃げ切ったか」
帽子「藍ちゃんは朝からホラーをあさりに行った」
旅男「何故……」
帽子「今日はボクと遊ぼ〜!」
旅男「どこに行く?」
帽子「水族館行く〜」
旅男「地下二階の奴か、行ってみるか」
93 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/10/12(日) 18:49:55.17 ID:+rbMeROAO
ーーA地区B2Fーー
A地区は丁都でも最も人口が多い繁華街の一つである
B2Fはその中でも観光に重点を置いている
旅男達は二人で水族館を訪れた
デートのようだと、二人は意識してしまう
旅男「お〜、美味そうな魚がいっぱいいるな」
帽子「ピラルクって美味いのかな?」
旅男「お、海の掃除屋ホンソメワケベラか」
帽子「ニセクロスジギンポでした」
旅男「鰓を食いちぎるとか凶悪すぎる」
帽子「マンタだ〜」
旅男「こんな地下にどうやってジンベイザメを入れたんだろう……」
帽子「養殖だって」
旅男「すげえな現代技術」
帽子「……ねえ」
旅男「なんだ?」
帽子「旅男はまだ桃姉の事が好き?」
旅男「……」
旅男「ふう……」
旅男は帽子の目を見る
帽子は旅男の目が見られない
旅男「分からん」
旅男「振り切ったつもりだった」
旅男「だが……」
旅男「やっぱりまだ迷っている」
帽子「馬鹿だな旅男は」
帽子「それが普通」
帽子「だって、好きって、そう言う事でしょ?」
帽子「諦める事なんて、どんな理由だって出来ないよ……!」
旅男「……!」
94 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/10/12(日) 18:51:59.96 ID:+rbMeROAO
帽子「ボクもそう」
帽子「ボクも諦められない」
帽子「なんで旅男がボクを受け入れてくれないのか、それは桃姉の事があるからだと思っていた」
帽子「でも違うんだよね、他に何かあるんだ」
旅男「……」
旅男「何故お前は女なんだろうな?」
旅男「最強のAHなら男の方が良かったじゃないか」
旅男「何故だと思う?」
帽子「……?」
旅男「俺達の生まれたラボは、俺が生まれた時歓喜した」
旅男「俺よりバランスの良いAHなんて居ない、AH廃止まで六年以上かかったのにだ」
旅男「お前は……、始めから俺のつがいとして作られたんだ」
旅男「そんな他人が決めた運命に、お前を翻弄されたくない!」
旅男「……それが全てだ」
帽子「……」
帽子「……馬鹿……」
帽子「ボクの気持ちはプログラムされた物なんかじゃ、無い!」
帽子「旅男は何にも解ってないじゃないか!」
旅男「……!」
帽子「ボクはまだ子供だから、他人に遺伝子まで手を加えられ操作されてるって感覚は分からない」
帽子「でも旅男が優しいのも、すごいのも、寂しいのも分かるの!」
95 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/10/12(日) 18:53:45.70 ID:+rbMeROAO
帽子「……ボクは間違ってるかな?」
帽子「ボクは遺伝子に操られてる?」
旅男「……分からない」
旅男「だが、ただのAH同士でもどうなるか解らないんだ」
旅男「死産や母体が死ぬケースも多いと聞く」
旅男「そんなことは……」
帽子「ボクはハンターだよ……」
帽子「死ぬのなんか怖くない」
旅男「馬鹿野郎……」
帽子「でも死なない」
帽子「だって旅男が寂しがるもの……、あははっ」
旅男「……帽子……」
旅男はゆっくりと、帽子を抱き寄せて、キスをした
帽子「……嬉しい」
帽子「このロリコン、あははっ!」
帽子はくるりと後ろを向くと、走り出した
…………
アイアンイーターと対峙する際、最も重要な事は、潰されない事だろう
茶髪はアイアンイーターと十分な距離を取って構えた
アイアンイーターはビルの鉄鋼に夢中だ、今なら一撃で脳みそを弾き飛ばせる
茶髪はゆっくりルビーガンを構えた
…………
博士「茶髪一人でアイアンイーター中型撃破か」
博士「その後奇襲してきたマンイーターに大怪我を負わされなければ百点だったが、返り討ちにしたんだから九十点はやっても良いだろう」
茶髪「痛い」
96 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/10/12(日) 18:57:04.83 ID:+rbMeROAO
旅男「だから気をつけろと言っただろ」
茶髪「痛い」
藍「生きて帰れたんだから良かったですよ」
茶髪「痛い」
帽子「痛いのは分かった」
茶髪「痛い」
茶髪「俺間違ってたわ、オールドタイプにもメンテナンスは必要なんだな」
博士「そりゃ肋骨折ったらな」
博士「ちゃんと治すから心配するな」
茶髪「ありがとう、博士」
博士「十万でいいよ」
茶髪「この前一年無料でいいって言った」
博士「ちっ」
旅男「ふうっ……、まあ無事で良かった、俺はネグラに帰って寝るわ」
帽子「お疲れ様、旅男」
旅男「疲れてねえよ」
旅男「……」
旅男「帽子……、さっきの話は無しにしてくれるか」
帽子「?」
帽子「どう言う意味?」
旅男「俺には……、家族を失うのは辛過ぎる」
帽子「……!」
帽子「……そうだよね……、旅男は……」
帽子「家族をもう、無くしたような物なんだから……」
博士「?」
博士「何の話をしているんだ?」
帽子「何でもない」
帽子(でも旅男……)
帽子(キスも無し、なんて、言わないよね……?)
帽子「大丈夫、まだ時間有るもの、私には」
…………
旅男達は博士を連れてグリーンメーカーの探索を始めた
B地区は既に先のグリーンメーカーによる広大な森が出来ている
森をかわし、砂漠地帯でグリーンメーカーを探す
博士「グリーンメーカーの生命反応情報が有ったのはこの辺りなんだがな……」
旅男「森が出来たからグリーンメーカーも森で捕食してるんじゃないかな?」
博士「ん〜、その可能性はもちろん考慮してるが、森を広げるには砂漠地帯でグリーンメーカーを捕獲したいんだ」
博士「せっかくサービスした蜘蛛の糸も使わずに終わるのかな……」
帽子「グリーンメーカーって一番最初に作られたナノマシン細胞生物なんだよね?」
帽子「なんでこんなに少ないのかな〜」
博士「グリーンメーカーは寿命が短く、繁殖能力が弱いんだ」
博士「例えば森を作ったグリーンメーカーは死んでしまう」
博士「本当は森を作る能力を得てから交配して欲しいんだがな……」
博士「それにだ、多くのグリーンメーカーはアイアンイーターやマンイーターへ進化してしまう」
博士「これがグリーンメーカーが少ない一番の理由だろう」
98 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/10/12(日) 19:02:12.06 ID:+rbMeROAO
旅男「そもそもグリーンメーカー繁殖に必要な鉄を捕食するアイアンイーターの存在はグリーンメーカーやマンイーターを増やすための機構に見えるよな」
博士「そうだな、……もう人工進化が確定的なのかもな」
旅男「俺なら断定してしまうけどな」
博士「ごく小さな確率ではあるが、自然進化も無い訳じゃない」
博士「宝くじ一万回連続当選するくらいの確率で」
旅男「ねーよ」
博士「でもな、私でもそんな大規模な操作は難しい」
博士「誰かがイーター達の遺伝子を統括してコントロールしてるんだ」
博士「しかしそんな人間居るはずがない」
茶髪「人間じゃなかったら……、神様?」
博士「居ないだろ、少なくとも私は見たこと無い」
旅男「例の宗教……、選民教だと世界そのものが神様らしいけど?」
博士「その点は面白い観点だと思う、自然も人間も神の一部だと言われたら納得してしまう」
博士「なんせそれなら確かに全知全能になるからな、人間が知る事、出来る事は全て神の業になるわけだから」
博士「まあ選民教そのものが全く説得力無いからアレだが」
帽子「カルトだね〜」
99 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/10/12(日) 19:04:18.11 ID:+rbMeROAO
旅男「はあ、さっさとグリーンメーカー出て来ないかね」
博士「昼になったら撤退するか」
藍「ここまで来て無駄足ですか〜?」
旅男「帽子、藍ってたまにキツいよな」
帽子「ヤンデレの素質を感じるね」
旅男「あいつが回復役って何かの冗談みたいだな」
帽子「そう言えばまだ回復のお世話になってないね、ラッキーと言えばラッキーなんだけど」
旅男「回復が必要なほど大怪我したくないな〜」
帽子「完全に同意」
博士「しかし秋なのに暑いな」
旅男「砂漠だからな〜」
帽子「多少の森じゃ気候までは変わらないのかな〜」
博士「雨は増えてるらしいぞ」
帽子「ふうん、それなら自然に森が回復して行くかもね〜」
旅男「それは楽だな」
博士「私の念願でもあるよ」
茶髪「グリーンメーカー出ねえなあ……」
藍「今日は撤退かな〜」
…………
結局グリーンメーカーとの遭遇は出来ず、旅男達は撤退した
無収穫で終わるハントは滅多に無い事だ
博士「グリーンメーカーが多く、かつ砂漠の地域を探しておくよ」
旅男「なかなか難しいな」
藍「ご飯にしましょうか」
茶髪「飯〜」
帽子「今日は何を食べようかな〜」
100 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/10/12(日) 19:06:17.75 ID:+rbMeROAO
旅男「ピザでも食いに行くか」
藍「良いですね〜」
茶髪「ピザ高いからな〜」
帽子「茶髪君もけっこう稼いでるでしょ」
茶髪「あ、そうか、クレジット確認してないけど八百万くらいあるかも」
博士「すごいな、それでオールドタイプって言うのがすごい」
旅男「俺の教育が良い証拠だな」
藍「死ななければいいですよ」
帽子「だよね、絶対死ぬのは嫌だ」
帽子(旅男が泣くもんね)
旅男「ま、こんな仕事だし、死ぬことも覚悟はしないとな」
帽子「そんな調子じゃ死んでも知らないよ?」
旅男「俺も可愛い貧乳オールドタイプと付き合うまでは死ねん」
茶髪「またそれか」
博士「貧乳好きもここまで来ると格好良いな」
藍「格好良くは無いですね」
帽子「…………」
帽子(どう言う事……?)
帽子(オールドタイプって何よ!)
帽子(……何よ……)
旅男「あ〜、やっと帰ってきたな」
博士「空振りするとどっと疲れるな」
茶髪「昼なのに眠い」
藍「暇でしたからね〜」
帽子「次はもっとしっかりした情報が欲しいよね!」
博士「ん、そうだな」
旅男「どうした、カリカリして」
101 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/10/12(日) 19:09:41.81 ID:+rbMeROAO
帽子「殴るよ!?」
旅男「す……、すまん」
博士「どうした、帽子らしくないな」
帽子「……」
帽子「……何でもないよ……」
藍(明らかにおかしいですね)
博士(うむ……、旅男と何かあったな)
藍(そうなんですか?)
博士(帽子は旅男命だからな……)
博士(それは果たして遺伝子なのか、運命なのか……)
藍(?)
旅男「……」
旅男(俺は……、帽子を失いたくない……)
旅男(今は……、こうするしか出来ない……)
博士「次はまたルビー保持型の情報でも取りに行くかな〜」
旅男「無茶言うな、無理だ」
博士「そうか」
博士「じゃあマンイーター改良プログラムをさっさと組んでマンイーター洗脳しに行くか」
旅男「それくらいなら付き合う」
博士「生け捕りだし、そっちの方が大変じゃないか?」
旅男「蜘蛛の糸の使い方は把握したからな、比較的にスピードの遅い普通種のマンイーターなら行ける」
藍「私と茶髪君も上手くやれば稼げますね」
旅男「俺達がサポートすれば大丈夫だろう」
博士「これはいよいよプログラム作りを急がないとな」
帽子「私もしばらく遊ぶからね」
帽子「旅男強制参加だから!」
102 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/10/12(日) 19:12:15.46 ID:+rbMeROAO
旅男「ええっ!」
旅男(やっぱりキスしたのはまずかったな)
旅男(やっぱり遺伝子のせいで流されたのか……?)
旅男(いや、それは酷すぎるか……、俺がしたかったんだ)
帽子「行くの行かないの?」
旅男「強制参加だろ?」
帽子「行くの行かないの!?」
旅男「い、行くよ」
帽子「やった!」
博士「帽子も子供らしい所あるな」
帽子「大人です!」
…………
旅男「暗殺エイリアンチェーン、デンジャラススイーツフェア……」
帽子「美味しそうでしょ」
藍「私も一緒で良いんですか?」
帽子「やっぱりスイーツは女の子と食べないと」
藍「楽しみです」
旅男「デンジャラステトロドトキシンゼリー、シガテラパフェ、ハブ毒カクテル……」
帽子「説明書きが無いと内容が全く解らないね」
旅男「なんでグレープフルーツがテトロドトキシンなんだ?」
帽子「書いてるじゃん、河豚毒のような必殺の美味さ!って」
藍「南洋のフルーツたっぷり、シガテラ毒のような当たり付きパフェ……、ハブ毒のようにじっくり梨の美味さが広がるスイーツカクテル……」
旅男「なんで食欲を削ぐ!」
帽子「まあ一個ずつ全部注文してみよう」