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旅男「ルビーイーターか……」

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Part7
81 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/10/12(日) 18:15:01.96 ID:+rbMeROAO
…………
帽子「旅男〜、たかりに来たよ〜!」
旅男「お前まだルビー擬き討伐報酬残ってるだろ、かなり」
帽子「積み立てた」
旅男「堅実だな!」
帽子「旅男〜」
旅男(なんかこいつルビー擬き討伐以来甘えてくるな……)
旅男「じゃあなんでも食えよ」
帽子「親父、ステーキ五百グラム!」
旅男「遠慮しろよ!」
茶髪「魚食おうかな」
藍「たらこパスタください」
旅男「ビールとなんかつまみ……、モツ炒めで」
博士「美味そうだな」
旅男「博士も来たのか」
帽子「博士もモツ炒め?」
博士「それとご飯をいただこう」
茶髪「俺海鮮炒めとご飯にする」
女性客「茶髪ちゃん私と食べない?」
茶髪「……」
旅男「照れてんじゃねーよマセ餓鬼」
旅男「ふーっ、ビールが美味いな」
帽子「ボクも飲めたらなあ……」
旅男「慌てるなって、たった六年だ」
帽子「口移しで」
旅男「ぶごふっ!」
帽子「きゃはははっ!」
旅男「からかうなっつの……」
帽子「ロリコンめ」
旅男「貧乳は好きだが餓鬼は嫌いだ」
帽子「だから何故そこは躊躇いがないのか」

82 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/10/12(日) 18:17:15.71 ID:+rbMeROAO
旅男は結局マントの男に言われた事を誰にも話さなかった
茶髪に口止めまでした
旅男達アーティフィシャルヒューマンには一つのコンプレックスがある
自分達には親は無く、人の意志で不自然に、強引に作られた遺伝子の元に生まれてきた、言わば運命まで他人の玩具にされた存在なのだ
それは旅男にしても、それ以外のAHにしても許し難い事ではあるのだ
旅男がそれを許せたのは英雄になれる血を与えられたから故ではない
その血ではなく、その行動の結果、沢山のオールドタイプや仲間達から愛される事を知ったからだ
人は自分と言う点で自分の心の世界を作っている訳じゃなく、自分と他者との繋がりで作っているのだと、旅男は思う
客「旅男、なんか暗いじゃねーか!」
客2「飲め飲め〜!」
旅男「はは、いただきます」
帽子「……」
帽子「なんか、悩んでる?」
旅男「いや、モツ炒め美味いから感動してる」
帽子「聞かない方がいいの?」
旅男「ああ」
帽子「分かった」
帽子は旅男の肩に頭を乗せた
客3「お前ら結婚しないの?」
旅男「まだこいつ十四だぞ?」
女性客「旅男さんがロリコンだったなんてショック!」
旅男「違うから!」

83 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/10/12(日) 18:19:32.26 ID:+rbMeROAO
旅男「俺とこいつは兄妹だからな」
それは旅男にとっては、帽子を運命に翻弄させない為の防衛線だった
帽子「そーそー、関係ないない」
女性客「お似合いなのになー、無敵のAHカップル」
客「まあ色々事情があるんだろ」
客2「まあこんなこと他人が決めることじゃないわな」
そう、他人が決めることじゃない
ましてや生まれた時から他人が決めたなんて以ての外だ
酒場親父「お似合いと言えば博士や藍ちゃんだって旅男にはお似合いじゃねーか、英雄色を好むとも言うだろ」
旅男「別に好まねえよ」
帽子「貧乳は好きなんでしょ?」
旅男「好きだ」
帽子「躊躇えよ」
博士「旅男は私のラボにハーレムを作るつもりなのだ」
客「流石旅男だな!」
旅男「変な流言流すな!」
女性客「人口減少傾向なんだから良いと思うけどなあ、ハーレム」
旅男「勘弁して」
旅男(俺が好きな女はもうこの世にいない……)
旅男(ましてや人工の運命になど従いはしない)
茶髪「ハーレムいいなあ」
旅男「マセ餓鬼がなんか言った」
女性客「茶髪ちゃんも英雄だもんね〜」
茶髪「……」
旅男「照れるなら言うな」

84 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/10/12(日) 18:21:24.21 ID:+rbMeROAO
旅男「さて、目当てのイーターはだいたい狩っちゃって暇になったな」
博士「緊急的な任務がないならまた森を作りに行こう、この間のイーターは森を作ったらしい」
博士「私たちの賞金も確定した」
旅男「最近えらい儲かるな、なんかあるんじゃないか?」
博士「元々の旅男達の実力だよ」
博士「そうだ、マンイーターの脳のプログラムを吸い出しておきたい、まずそれをやるか」
旅男「博士の念願の『イーターイーター』を作るんだな?」
博士「まあまだ初歩の段階だが、基本のプログラムがどうなってるか五例くらいデータを吸い出して欲しい」
旅男「また難題だな」
博士「個人的に報酬を出すよ」
旅男「プログラムを吸い出すってことは頭を撃ち抜かなきゃ良いって事か」
博士「そうなるな」
旅男「それなら比較的楽だな、C地区からD地区の辺りでやるか」
博士「近いし、その辺りで良いだろう」
茶髪「みんなで行くのか?」
帽子「茶髪君や藍ちゃんにも丁度良いミッションじゃない?」
旅男「そうだな、マンイーターの足止めができるならだいたいのイーターに勝てるだろ」

85 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/10/12(日) 18:25:04.38 ID:+rbMeROAO
ーーC・D地区間マンイーター生息域ーー
メンテ明け、旅男達は博士を伴い、更にマンイーター遭遇危険度の高い地域へと移動した
旅男「とりあえず地域殲滅報酬がもらえる十体まではぶっ倒すぞ」
茶髪「分かった」
藍「なんだかすごく久し振りです」
帽子「無理はしちゃ駄目だよ〜?」
博士「先ずは動きを封じてくれよ」
旅男「こいつら次第だな、しくじったら倒すぞ」
博士「安全は最優先事項だ」
帽子「ラジャ」
旅男達が一通り作戦を確認するとマンイーターが現れる
旅男で有ろうが帽子で有ろうが、マンイーターにとっては食料だ
もちろん、捕食できるものなら
空から降ってくる四体のイーターのうち二体は茶髪と藍が脚を撃ち抜く
旅男「上出来だ」
旅男と帽子は残る二体をギリギリで撃ち殺す
博士「先ずは二体だな」
博士はマンイーターの頭に鉄の棒のような物を数本打ち込むと、ノートパソコンのキーボードを鬼のような速度で叩く
博士「完了」
旅男「……あんたも十分化け物だな……」
次のイーターに遭遇するのにしばらく時間がかかった
旅男「この間殲滅したばっかりだからな」
茶髪「あの時はわらわら出てきて怖かったな〜」


86 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/10/12(日) 18:27:46.15 ID:+rbMeROAO
旅男「普通あんなもんだ」
茶髪「マジか」
しばらくして、より強そうな二体のマンイーターが現れる
博士「要討伐対象だな、二体とも報酬二百万以上」
旅男「あれは茶髪達じゃ無理か、帽子、行くぞ」
帽子「おっけ」
旅男と帽子は銃を構えると同時に撃つ
反応した時にはもう遅い
二体の要討伐対象イーターはあっけなく博士の実験材料になった
博士「完了、後一匹頼む」
旅男「よし」
茶髪「本当にすげえな、旅男達は」
藍「同じAHとして誇らしく思います」
旅男「今回は賞金四人で割るからしっかり狩らないと儲からないぞ」
茶髪「うん」
藍「見つけたら狩ります」
博士「二十体くらい狩れば一人三百万は堅いだろ」
旅男「コストがな〜」
博士「メンテナンス無料、な」
旅男「助かるわ」
博士「……ん?」
博士「危険種情報が入った」
博士「ルビー保持型……マンイーターだと……!?」
旅男「何っ!」
帽子「気をつけて!」
茶髪「か、かくれ……」
藍「隠れます!」
藍は茶髪を抱いてビルに隠れた
博士「……後五百メートル……、なんて速さだ!」
博士「来るぞ!」

87 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/10/12(日) 18:30:47.75 ID:+rbMeROAO
目の前に突然巨大なマンイーターが現れる
今まで出会ったどんなイーターよりも速い
旅男が銃を構えるもビルの合間を走るイーターに狙いをつけられない
そうしている間にどんどんと瓦礫を投げつけてくる
明らかに最強クラスの難敵だ
旅男「博士も隠れてろ、帽子、挟み撃ちだ」
帽子「分かった!」
ルビーガンを使った戦いでは挟み撃ちは射線が重なる非常に危険な戦術だ
しかし、相手が悪すぎる
旅男でも苦戦は必至だ
旅男はビルの影からイーターの動きを探っている
イーターは今は大人しくしているようだ
姿を見せると同時に撃つしかないが、対面に帽子が居る事を忘れてはいけない
多少射線を高めにして撃つ
帽子は逆に短剣を構え突っ込んだ
ルビー保持型マンイーターは一瞬の判断で上に跳び、帽子に立ち向かう
その脚を丁度旅男のルビーガンが撃ち抜く
旅男「判断ミスだな、マンイーター!」
帽子は素早く二本の脚の残り一本を叩き斬る
旅男「博士、捕まえたぞ!」
博士「本当か、やるな!」
博士は素早くマンイーターの頭に鉄線を突っ込みノートを叩く
博士「完了、殺れ!」
旅男「おし、……恨むなよ」

88 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/10/12(日) 18:33:04.13 ID:+rbMeROAO
旅男はマンイーターにルビーブレードを深々と突き刺した
博士「……討伐確認、二千万か……、こんな所で大収穫だったな」
帽子「ラッキー!」
旅男「よし、今年はもう仕事しない!」
博士「本当にラッキーだったな」
博士「茶髪と藍で後三体ほどイーターを狩ってこい」
茶髪「分かった」
藍「行きましょう、茶髪さん」
帽子「今回は前回より楽に倒せたね」
旅男「たまたまこのルビー保持型が経験が少なかったのが幸いしたな」
旅男「上に飛べば的でしかないからな」
帽子「熟練のイーターは大きいのに下から攻めてくるからねえ」
旅男「俺もびびった事があるからな」
帽子「おっと、二人をサポートしてくる」
旅男「頼んだ」
博士「しかし思わず良いデータが取れたな、ルビー保持型の情報データなんてまず取れないぞ」
旅男「ルビー保持型の進化過程が解るわけだ」
博士「大きいな、このデータは……」
帽子「ただいま〜、帰ろ!」
茶髪「手強かったけど雑魚のマンイーターにはもう勝てる気がする」
藍「油断は駄目ですよ」
旅男「ふふ、頼もしいじゃないか」

89 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/10/12(日) 18:38:03.48 ID:+rbMeROAO
思わぬ収穫に五人はうきうきとベースであるA地区地下街に帰る
旅男「いやあ、良かったな」
博士「討伐報酬は各二百五十万、旅男と帽子はプラス千二百万、殲滅報酬各二百万、更にルビー保持型のデータ報酬がなんと五千万!」
旅男「五千万!?」
帽子「博士丸儲け!?」
茶髪「ずっちー!」
藍「メンテナンス一年無料で!」
博士「それくらいは良いだろう」
博士「また取材が来るらしいな〜、私はああ言うのは苦手だ」
旅男「帽子に任せろ」
帽子「あ、はい」
旅男「……」
茶髪「旅男が泣いた!」
藍「メンタルは強化されてないんですね」
…………
旅男「さて、今日は美味い酒飲みに地下五階のレストランに行くぞ」
帽子「ん〜、今日はチーズを食べたい気分」
茶髪「なんか変わったもの食べたいな〜」
博士「むふふ……、久し振りに大金が手に入ったな〜」
藍「博士がかつて無いくらい明るいですね」
旅男「五千万丸儲けじゃ俺だって笑いが止まらないよ」
帽子「ほぼボク達の手柄なのにな〜」
博士「分かってる、今日は奢りだ」
旅男「よし、百万の酒空けるか」
博士「ちょっと待て」

90 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/10/12(日) 18:42:33.46 ID:+rbMeROAO
旅男「いいだろ〜、それくらい」
帽子「白トリュフ中心に食べよう」
博士「ちょっ、飲食代で数万〜百万単位はやめて」
茶髪「死ぬほど食べるぞ」
藍「エネルギー剤が必要ないくらい食べましょう」
博士「やめてくれ、研究も金がかかるんだぞ!」
帽子「博士が狼狽えるなんてめったにないよね」
旅男「もっといじめるか」
博士「メンテナンスでわざとミスるぞお前等あ!」
店員「いらっしゃいませ〜」
…………
茶髪「うめぇ、これ」
旅男「地下生活で食べられる最高ランクの食材だろうな、あ、白ワインの良い奴頼む」
帽子「旅男って白ワイン好きだね」
旅男「香りは赤、味は白ってな」
藍「お酒飲みたくなりますね」
旅男「まあ二十歳になってからな」
帽子「香り高い白トリュフのパスタ……、ん〜ま〜い!」
博士「う〜、せめて私も楽しむか」
博士「ん、なんだこの魚美味い」
旅男「金目鯛だ、珍しいだろ」
茶髪「ハム美味い、なんかいい香りする」
旅男「いやあ、今日の飯は大当たりだな」
帽子「酒場でみんなでわいわい食べるのも美味しいけどね〜」
旅男「まあ夜はまた酒場に行くがな」

91 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/10/12(日) 18:45:08.28 ID:+rbMeROAO
博士「ん〜、美味い」
旅男「安い飯でも感動するくらい美味い事あるけど、高い飯はハズレが少ないな」
帽子「ちーずー、んまい!」
藍「そうだ、ここのデザートもすごく有名ですよ」
茶髪「いいな、俺メロンの奴にしよ」
博士「高っ、一品二千超えるのか」
旅男「生ハムくれ」
帽子「ん〜、お肉もお魚も美味しいな〜」
博士「やれやれ、まああのデータを解析すればルビーイーター対策も進むし、イーターの異常進化の理由も掴めるかも知れないからな」
博士「この至福の一時は当然の対価かもな」
旅男「人類が救われる日が来るのか……」
博士「その可能性もある、ぶっちゃけ五千万でも安いかもな」
藍「すごい情報だったんですね」
帽子「考えてみればルビー保持型マンイーターの生け捕りなんて誰にも出来ないもんねえ」
旅男「本当にラッキーだったとしか言えないな」
博士「しかし、君達のその能力が有ってこその奇跡だよ」
博士「私もたまたまその現場に居られて、良かった」
旅男「次は何を狩るかな〜」
茶髪「俺単独でアイアンイーター中型を狩ってみたい」
旅男「やってみるか」