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旅男「ルビーイーターか……」

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Part9
103 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/10/12(日) 19:14:39.62 ID:+rbMeROAO
旅男「……味は全く外れがないんだよな、この店」
帽子「チェーン店レベルじゃないよね」
藍「幸せ〜、んふふ!」
帽子「藍ちゃん一口頂戴、青酸ババロア」
旅男「食ったら死ぬぞ」
帽子「死なないよ、ちょっとナッツの香りがするだけだよ」
帽子「……ん、香りと味のギャップが美味しい」
旅男「これしゃりしゃりして美味しい」
帽子「そっちも一口!」
旅男「いいよ、交換な」
帽子「腐った毒々シャーベット美味しい、腐ってない」
旅男「腐ってたら問題だろ!」
旅男「……梨美味いな」
帽子「ハブ毒かは解らないけど後からじんわり酸味が来るよ」
旅男「本当だ、なんか楽しい味だ」
帽子「さ、たっぷり食べたら服を見に行くよ!」
藍「楽しいですね〜」
旅男「俺もたまにはすっきりした格好の服探してみるか」
…………
旅男「服一杯買ったな……」
帽子「今お金に余裕有るしね」
旅男「単純な討伐を一回やっておくかな、アイアンイーターくらい」
帽子「マンイーターは改良プログラム待ちだしね〜」
藍「今度ルビー保持型と出会ったら私も戦いたいなあ」
旅男「儲かるしな」

104 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/10/12(日) 19:18:13.19 ID:+rbMeROAO
旅男「もう少し実戦経験を積むのと、茶髪を守りながら戦う戦術は考えないとな」
帽子「茶髪君は奇襲要員だね〜」
旅男「敵に姿を見せないようにして、藍にサポートさせて、俺と帽子で足止め、かな」
旅男「ルビーイーター以外はだいたい勝てるかな?」
帽子「この前のルビー保持型マンイーターは実戦経験高ければヤバかったかも知れないよ?」
旅男「あのスピードはな、なかなか厳しい物があった」
藍「あんなに大きいのに速いんですね……」
旅男「マンイーターは炭素系筋肉が大きいからな、ウエイトも軽いし、骨格も強いし」
帽子「普通のマンイーターでも苦戦する事があるからね〜」
藍「その上で高出力のルビー保持型では確かに危ないですね」
旅男「しかもマンイーターはこっちを食おうとして攻めてくる訳で」
藍「私達だとアイアンイーターにしておかないと死にますね」
旅男「そうだな、緊急事態じゃなきゃルビー保持型マンイーターからは逃げるのが一番だ」
帽子「五百メートルを十数秒で駆けてくるけどね」
藍「すぐに捕まって食われますね」
旅男「ビルに隠れながら逃げるんだな」

105 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/10/12(日) 19:20:25.23 ID:+rbMeROAO
…………
旅男「って話になったんだが、いいターゲットはいるか?」
博士「いや、ルビー保持型は希少種だからな、ないよ」
旅男「だよな」
博士「ルビーイーターを狩れたら一番いいんだがな」
旅男「アーマー作ってくれないと厳しいな」
博士「逆に言えばアーマーさえあれば行けると」
旅男「五分五分だな、なんとか倒すか逃げ切るか、だ」
旅男「死ぬ可能性が減れば挑みやすいって程度かな」
博士「臆病なのは悪い事じゃないよ」
博士「I地区に大型マンイーターがいるな、賞金もルビー保持型に迫る一千万だ」
博士「この間話したAHイーターだよ」
旅男「それはヤバそうだな」
博士「君なら大丈夫、ただ大型マンイーターを複数体連れていると報告がある、要注意であるのは間違いない」
旅男「大型複数体と同時戦闘は確かに厳しい、それでそこまで進化したんだな」
博士「こちらも絶対帽子と藍が外せないな」
博士「ん〜、実験的にこのプログラムを使ってみようかな?」
旅男「お、まさか……」
博士「それは使ってからのお楽しみだ、つまり次は私も行くよ」
旅男「心強いよ」

106 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/10/12(日) 19:23:33.55 ID:+rbMeROAO
ーーI地区ーー
とても危険なマンイーターが徘徊し、討伐を挑んだ多くのAHが逆に捕食対象になるため、ついにAHイーターなどと呼ばれるようになった
旅男達が訪れるのは間違いなく最高ランクの危険地帯の一つである
しかも今回の任務には茶髪や藍、博士がついてくる
攻撃的には有利であるが、とても危険度の高いミッションである
旅男「I地区は遠いな」
博士「無法者が集まる地域でもある、とても危険な地域であることは理解しておけ」
茶髪「わ、解った」
藍「震えますね……」
帽子「ボクたちだって危ないかも解らないからね……」
旅男「とにかく茶髪、お前はビルに隠れる事だ」
茶髪「おう、銃で援護できたら援護だな」
旅男「一体は倒せよ?」
帽子「十体の内の一体を倒せば殲滅報酬がつくからね〜、美味しいなあ」
藍「私も頑張って一体は倒さないと!」
旅男「無理はするな、相手はAHイーターだからな」
帽子「旅男が食べられちゃったりして」
旅男「俺は貧乳美女以外に食われることはない!」
帽子「ボクが食べられちゃったりして……」
旅男「お前は俺が守る」
帽子「うん」
帽子(嬉しい)

107 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/10/12(日) 19:25:45.45 ID:+rbMeROAO
旅男達は長い砂漠を歩き、途中にある大きな森に寄る
茶髪「あ、ここかあ、蚊がいたらやだな」
藍「ここは……、旅男さんが作った森ですか?」
旅男「そうだ」
博士「あの時は実験的に巨大グリーンメーカーの脚を奪ってからプログラムを打ち込んでみたんだ」
旅男「近くにオアシスが有ったこともあって上手くいったな」
博士「一応蜘蛛の糸は持ってきたぞ」
旅男「グリーンメーカーがいつ出てくるかも分からないからな」
五人は森の中に入っていく
藍「……涼しい……」
茶髪「あ、もう蚊に刺されてる」
旅男「確かに痒いな」
博士「私は虫除けスプレーをふりかけてきたがな」
旅男「ひでえ、俺達にも分けろよ」
帽子「ボクと藍ちゃんで使い切っちゃった」
旅男「き、貴様ら……」
藍「快適ですね……」
博士「あ、ムカデだ」
帽子「きゃああああっ!」
旅男「鬼をもくだすAHがムカデにびびってんじゃねえよ」
藍「虫は嫌です〜!」
茶髪「虫は無視」
旅男「グリグリを食らわせるぞ」
茶髪「ごめんなさい」
博士「そうだぞ、親父発言は私の役割だぞ」
旅男「役割なの!?」


108 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/10/12(日) 19:27:47.98 ID:+rbMeROAO
茶髪「甲虫居ないかな?」
旅男「甲虫までいるかな?」
博士「生き残った森も山岳地帯にはある、蚊もいるし時間が経てばそういった虫も生息範囲を広げてくる可能性はあるだろう」
博士「理想はそういった山岳地帯まで森を広げていく事だ」
博士「猪や鹿や熊のような野生動物も生活圏が広がれば再び繁殖することだろう」
旅男「野生動物をハントしてみたい物だな」
博士「安いノーマルライフル弾で仕留められるしな」
旅男「ライフルで猪ハントって楽しそうだな」
博士「天然物は美味いらしいしな〜、楽しみだ」
藍「でも何年かかるか分かりませんよね……」
博士「十年くらいは最低でかかるかな〜」
旅男「博士のプログラム次第だよ」
博士「だよな」
茶髪「俺も猪ならハントできるかもな〜」
旅男「猪に骨を折られて死ぬ人も居るぞ」
茶髪「猪怖い」
藍「猪にも負けるとは脆弱なオールドタイプめ!」
旅男「お前は何の映画に感化されたんだ?」
藍「旅男さんが好きそうだから戦争物を観まくってました」
旅男「今度観に行くわ」
帽子「ボクとデートしようよ〜」
旅男「分かった分かった」

109 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/10/12(日) 19:29:54.27 ID:+rbMeROAO
帽子「えへへ」
帽子は旅男の腕を必要以上に強く抱き締めた
旅男「貧乳でも気持ちいいもんだな」
帽子「貧乳関係の発言は躊躇わないな貴様」
博士「貧乳では揉みしだけないがな」
旅男「やめろセクハラ親父少女」
茶髪「……」
旅男「ほら、マセ餓鬼が照れてるぞ」
博士「私の胸は揉み放題だぞ」
旅男「やめろセクハラ親父少女」
博士「親父少女ってなんか怖い」
帽子「揉んでみよう」
博士「気持ちいい」
旅男「やめろレズか」
帽子「好きなくせに!」
旅男「貧乳は好きだが!」
帽子「躊躇えよ!」
藍「貧乳なら何でもいいじゃないですか!」
旅男「何目線での発言だよ!」
博士「セクハラしてる間にオアシスに着いたぞ」
旅男「連れのAHがみんなセクハラ少女ってなんなんだよ……」
帽子「旅男のガードが固いからかな?」
旅男「……そりゃ、そうだろ」
帽子「……ごめん」
旅男「謝んな」
博士「……桃ちゃんとは会えなかったな、メンテナンスの前任者からの引き継ぎが二年前だったし」
旅男「AHにしても博士は早熟だよな」
博士「博士号自体は十歳で取った」
旅男「すげえ」
茶髪「すげえ」

110 :いかやき ◆J9pjHtW.ylNB :2014/10/12(日) 19:31:48.98 ID:+rbMeROAO
帽子「ボクも頭脳型AHならな〜」
旅男「俺達も神経系は強化されてるから頭を良くしようと思えば出来るらしいぞ」
帽子「勉強頑張ろ」
博士「いつでも教えるぞ」
藍「このオアシスって魚は居ないのかな〜」
旅男「居たらいいな、天然物の虹鱒を食いたい」
博士「放流してみるか」
旅男「生態系復活も博士の仕事なんだよな」
博士「むしろそれがメインの仕事なんだがな、セクハラじゃなくて」
旅男「セクハラを仕事にするな」
博士「私からセクハラを取ったらお堅い根暗博士じゃないか」
旅男「そうだな、たまに根暗だと思うわ」
博士「どんなところだろう?」
旅男「突然歴史を語り出したり自分の研究を語り出したりするだろう」
博士「あれ、根暗なのか?」
旅男「殆ど独り言じゃないか」
博士「そうか、そうかもな」
博士「これからもやるがな、解説役としては」
旅男「誰に対する解説役だよ」
帽子「揉み揉み」
旅男「いつまでもセクハラしてるんじゃない!」
博士「嫌がって無いがな」
旅男「俺が嫌なんだよ!」
やがて五人は森を抜け、危険地帯、I地区に辿り着いた

114 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/10/18(土) 01:10:11.16 ID:DwPfEm8AO
I地区は殆どのビルが残っている地域だ
そこはかつてはルビーイーターの住処でもあり、凶悪なイーターも数が多い
博士「ここから危険区域だ、警戒を怠るな」
博士は監視ボールの幾つかに指令を出し、周辺の警戒を始めた
旅男「監視ボールの私用って許されてるんだな」
博士「あれは私用に買ったものだよ、悪用したら勿論捕まるが私用は問題無い」
旅男「ふうん……」
帽子「旅男監視したら捕まるかな?」
旅男「なんで監視するんだよ」
帽子「すとーきんぐ」
旅男「そりゃ捕まるわ」
博士「私も君達が討伐に出掛けたらだいたいストーキングさせてるけどな」
旅男「それは有り難いからいいけど」
博士「私生活まで追い掛けたら捕まるだろうな」
旅男「そういった線引きって誰がやってるんだ?」
博士「中央政府の使ってる中央管理コンピューター」
旅男「まあデカいコンピューターでもなけりゃ完全監視なんて無理だよな」
旅男「ん……、それって」
博士「今君が思い付いたことには言及しない方が良いぞ」
博士「無実の罪で捕まりたくなかったらな」
旅男「だが……」
博士「君の後ろに飛んでる監視ボールは私のではないぞ」

115 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/10/18(土) 01:12:07.63 ID:DwPfEm8AO
旅男「ちっ」
帽子「なんの話?」
旅男「気にするな、神様が見てるから悪さは出来ないって話だ」
帽子「……神様」
帽子「って、ええっ!」
旅男「この話はヤバすぎる、もう関わらない方がいいぞ」
帽子「……うん」
藍「完全監視の中では普通にお話も出来ませんね」
旅男「良いじゃねーか、今回も中央政府からばっちり賞金搾り取ろうぜ」
博士「あんまり稼いだらまたインタビューが来そう……」
旅男「インタビュー怖い……」
博士「おっと、危険種情報……、奴だな」
ビルの合間を縫って歩く巨大なマンイーター
およそ八メートル程であろうか、こちらを警戒する様子もなくビルの合間を歩いている
博士「あれは違うみたいだ、もっと奥にAHイーターがいる」
旅男「マンイーターが監視を敷いてるのかよ」
帽子「そんな風に見えるね」
博士「要討伐対象が十体超えてるぞ、壮絶な戦闘になりそうだな……」
藍「あは……、逃げちゃ駄目ですかね?」
旅男「俺が足止めをしていくから皆でとどめを頼む」
藍「やっぱり行くんですね……」
茶髪「頑張って儲けようぜ」
帽子「頼もしいね〜」

116 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/10/18(土) 01:14:50.11 ID:DwPfEm8AO
博士「とりあえず群を外れた一体を蜘蛛の糸で捕らえてくれ」
旅男「分かった」
旅男「楽しみだな、イーターイーター」
博士「イーターイーターに出来たら青いペイントをかけて放つからそいつは倒さないでくれ」
博士「プログラムが上手くいってくれたら人間から犬猫まで守りイーターを捕食する正義のイーター誕生だ」
巨大な要討伐対象マンイーターは数匹で、巡回の真似事をしているように見える
ふと、一体のマンイーターがアイアンイーターを見つけ、追いかけ始めた
マンイーターは久々の餌にありついて嬉しそうに狩ったアイアンイーターを食い散らかしている
そこに突然脚をすくわれて、転ぶ
さっきまで幸せに食事をしていたのに、今や身動きが取れないでもがくしか出来ない
旅男「よし、上手くいった!」
博士「暴れないでくれよ、食事の邪魔をして悪かったな、よしよし」
帽子「あはっ、犬をあやしてるみたいだね」
博士はマンイーターの巨大な頭に長い鉄線を、暴れるのに苦労しながら突き刺していった
そして鬼の速度でプログラムを打ち込む
しかし、やはり初めてのプログラムに手間取っているようだ