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女剣士「目指せ!城塞都市!」魔法使い「はじまりのはじまり」

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Part7
117 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/25(土) 09:54:11.63 ID:06tVHGrAO
魔法使い(ヤマナミ王がどこまで看破してくるかは分からないけど、こちらも準備はしてきた。)
ヤマナミ王「最近東の砦からお客さん来なかった?」
メイド長(?!)
魔法使い「最近? タイガンの王子が来たかな。」
メイド長(か、解読せねば!)
メイド長(ヤマナミ東の砦って言えば、最近山賊→四天王→四天王以上の存在と支配者が変わった渦中の砦!)
メイド長(今、兄ちゃんは「魔王来なかった?」って聞いた!)
メイド長(なんじゃそりゃ!)
メイド長(そのクリティカルな兄ちゃんの問いに対し予め質問を知っていたかのように軽くかわす魔法使い!)
メイド長(賢者にも見せてえ〜!)
ヤマナミ王「今タイガン王病で臥せてるんだけど、あの王子はほんとお気楽だね〜。 同い年だけど」
メイド長(いくらお気楽な王子でも親が病に臥せてるのに遊び歩かないよ、と)
魔法使い「竜の秘薬残ってないか聞きに来た。」
メイド長(あら、兄ちゃんカウンター食らっちゃった)
ヤマナミ王「……竜の秘薬便利だよね、僕もいっぱい買わせてもらったよ〜」
メイド長(……僕って、)
メイド長(兄ちゃんが押されてるの初めて見たかも)
メイド長(でもこれは悪い返しじゃない)

118 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/25(土) 09:56:20.83 ID:06tVHGrAO
メイド長(つまり、王族なら探し歩かなくても見つかる、高価な竜の秘薬を買えるのは王侯貴族だけですよ、と)
魔法使い「ありがとう。」ニッコリ
メイド長(暗い女のたまに見せる笑顔は卑怯っすよ)
魔法使い「ちょっとヤマナミ王に質問がある。」
メイド長(?)
ヤマナミ王「他ならぬ魔法使いちゃんだから聞いてみる」
魔法使い「明日世界を滅ぼす者を呼び出せるなら、誰かを殺す?」
メイド長(?)
メイド長「?!」
メイド長「!?!」
ヤマナミ王「」
ヤマナミ王(……なん……だと……?)
その瞬間、ヤマナミ王の頭の中をヤマナミが誇る王立図書館の蔵書数十万冊の情報が駆け抜けた
ヤマナミ王(世界を滅ぼす者……)
ヤマナミ王(破壊神?!)
ヤマナミ王(誰かとは、僕が殺したい誰かとは)
ヤマナミ王(正に東の砦の客人、魔王に他ならぬ!)
ヤマナミ王「魔王を滅ぼせば破壊神が現れると言うことか!」
メイド長「」
魔法使い「そんな質問したかな?」シレッ

119 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/25(土) 09:59:00.14 ID:06tVHGrAO
メイド長(今確信した魔王は目の前にいる)
メイド長「何ぶち込んできてんだこのアマ!!」
魔法使い「照れる。」
メイド長「死ね!」ボグウ
魔法使い「痛い。」
魔法使い「曇りの日でも仲間と一緒なら楽しめる。」
ヤマナミ王「……曇りの日の仲間だと……そうか……」
ヤマナミ王「魔王は四天王を追っていた」
ヤマナミ王「しかし魔王は未だに東の砦に陣を残している」
ヤマナミ王「つまり」
メイド長(兄ちゃんがこんなに焦ってるの始めてみたよぉ〜)
ヤマナミ王「ぐう……」
魔法使い「ありがとう。」
メイド長「いやいや!さすがにわからん!」
魔法使い「ヤマナミ王は全てを悟って認めてくれた。」
魔法使い「初めから信じてくれたらこんなやりとりはしなくて良かったのに、少しがっかり。」
ヤマナミ王「さすがに魔王を認めろと言われたら誰でも逡巡するでしょ」
魔法使い「あと、お願いがある。」ゴニョゴニョ
ヤマナミ王「そりゃ大変だな、だがやっておこう」
メイド長「?」

120 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/25(土) 10:02:19.13 ID:06tVHGrAO
魔法使い「また遊ぼうね。」
ヤマナミ王「僕と遊べるのは魔法使いちゃんだけだからね」
メイド長(結婚は絶対したくないだろうがある意味一番仲が良いよね)
メイド長(女剣士ちゃんが少し不憫だわ)
部屋から出て、即帰還魔法を使おうとする魔法使いをメイド長は呼び止めた
メイド長「あ、魔法使いちゃ〜ん、待って待って」
メイド長「教えときたいことが」
魔法使い「何?」
振り返る魔法使いは少し嫌な顔をする
メイド長「……もう悟られてたりする?」
魔法使い「……わざわざ止めてくれたのはヤマナミ発でウチに何か悪いことが起こっている。」
魔法使い「ここの内情を考えれば大臣あたりが私らに刺客とか送ってる。」
メイド長「なんでそこまでわかるんだよぉ!!」ボグシャ
魔法使い「痛い。」
メイド長「結構必死で調べたんだけどなあ」
魔法使い「私のはただの推測。 ありがとう。」ニコッ
メイド長「惚れてしまうやろー!!」
魔法使い「私は女剣士のもの」
メイド長「やっぱりそのケあったりするんですか?」
魔法使い「……そういうケは、ないね。」
魔法使い「気になる男子はいるよ。」
メイド長「マジで?」
メイド長「ちょとお茶しない?」ワクワク

121 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/25(土) 10:04:24.11 ID:06tVHGrAO
魔法使い「忙しいから、また今度。」
メイド長「ちぇっ」
……ヤマナミでそんなやりとりがあった時
オリファンでは闘技大会開催のための準備が進んでいた
商人「チラシに書く文章は、一番に、」
「魔王を倒せし勇者! 世界最強、女剣士と戦える!!」
盗賊「そそられるね〜!」
僧侶「私も戦ってみたくなった〜」アハハ
女剣士「だから僧侶には勝てないって」
タイガン王子「女剣士ちゃああああん!! 結婚してええええ!!」
ズガシッ
僧侶「あれ? こんなとこに壁画あったかな?」トコトコ
タイガン王子は実際にオリファンを訪れていた
宿屋の壁画になったり、絨毯になったりしながら女剣士に迫っていた
女剣士「あんた親父さん危篤なんだろ!!」
タイガン王子「だって魔法使いちゃんの秘薬でも治らないんだよ〜!」
タイガン王子「魔法使いちゃんならもっとすごい薬作れるかもと思って来たのに」
タイガン王子「魔法使いちゃんいないなら女剣士ちゃん落とすしかないよお〜!!」
盗賊「逮捕していいですか?」ムカムカ


122 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/25(土) 10:07:38.51 ID:06tVHGrAO
商人「とにかく!うちはこの闘技大会に始まるお祭りの準備に忙しいんですよ!」
商人「あんまり邪魔をされると温厚な僕でもキレますからね!」
盗賊(温厚だっけ?)
タイガン王子「すみません」ショボーン
女剣士(こんなお子様がヤマナミ王と同い年……)
女剣士(ひょっとしたらヤマナミ王と自分を比べて劣等感とかあるのかな?)
商人「当日に入る屋台の管理や税金……地方税の調整とか、ヤマナミ法調べなおしたり、ヤマナミ役人さんへの対応、人員整理……、僕が言い出したこととは言え、やることが死ぬほど多いんですよおっ!」
商人「邪魔はしないで下さい!」
タイガン王子「手厳しい……」
…………
魔法使い「ただいま。 あ、馬鹿だ。」
タイガン王子「ひどっ」

123 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/25(土) 10:10:13.21 ID:06tVHGrAO
魔法使い「商人ちゃんみたいな子供が頑張ってるのにアホな大人がいたら誰でも厳しくなる。」
タイガン王子「魔法使いちゃんには勝てないよ〜!」
商人「とにかく、黙って下さい」
タイガン王子「……あい。」
魔法使い「今回はこのお気楽無双ナンパ王が役に立った。」
魔法使い「ヤマナミ王は現状を黙認してくれる。」
女剣士「!」
女剣士「知ってるけどすごいなお前は」
タイガン王子「とりあえず広告をタイガンに貼り出すくらいはやっとくよ」
魔法使い「ありがとう。 助かる。」
女剣士「なぜ今魔法使いに張り合ったのか」
タイガン王子「僕だって役に立つんだよぉ〜!」
女剣士「魔法使い並みに役に立つには寝る時間も食べる時間も働かないと無理」ニッコリ
タイガン王子「殺す気?」
魔法使い「今は私はそれくらいしてるね」
タイガン王子「死ぬ気?」
僧侶「眠らないとそのうち催眠魔法一晩中寝るレベルでかけるから!」
魔法使い「今は少し頑張らせてよ。」
魔法使い「賢者くんは?」
僧侶「今は上でニシハテの国のギルドの長と話してるよ。」
魔法使い「……広報か」

124 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/25(土) 10:13:51.01 ID:06tVHGrAO
女剣士「なんとか言いながらも賢者君はしっかり難しい仕事をこなしてくれてるよ」
魔法使い「賢者くんはちゃんとメイド長ちゃんレベルの賢者だからね。」
魔法使い「……今日はヤマナミ王とやりあったから流石に疲れた。 寝る。」
僧侶「よしっ!」
僧侶「お風呂よし!布団よし!寝る前のホットミルクも用意しますっ!」
僧侶「回復魔法っ! はい、お風呂からつかってっ!」
魔法使い「」
僧侶「サービス満点僧侶の宿屋へようこそっ! ごはんも食べる?」
魔法使い「あはは、かなわないなあ。 食べる。」
女剣士「私も一緒に休もうかなあ」
女剣士「事務仕事ばかり山のように増えて商人くんと分担してるけど、まあ疲れる」
女剣士「だいぶ慣れてきたけどさぁ」
魔法使い「じゃあ久しぶりに僧侶ちゃんと三人で寝よう。」
女剣士「懐かしいな」
商人「僕も休みたいです」
女剣士「よし、今日は休んで、明日からまた頑張ろう」
盗賊「ただいまです」
盗賊「付近のパトロールと大工さんたちにハッパかけてきたよ!」
盗賊「異常はありません!」
女剣士「お疲れ様」
僧侶「回復魔法! 僧侶の宿屋にようこそっ!」

125 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/25(土) 10:15:48.16 ID:06tVHGrAO
魔法使い「僧侶ちゃんを見てると妹を思い出す。」
魔法使い「頑張らなきゃ。」
女剣士「……昔の話なんて、だいぶ疲れてるんだな」
女剣士「肩くらい揉ませろよ」
魔法使い「いい。 レズ疑惑かかってるし。」
女剣士「誰に!?」
魔法使い「メイド長ちゃん。」
女剣士「メイド長も遊びに来たら良いのにな」ピキピキ
魔法使い「殴るんだね。」
魔法使い「ごはんおいしい。」モグモグ
僧侶「大工さんたちも呼んでこようか?」
女剣士「宿舎の方はもうご飯食べてたよ」
僧侶「予め言っておかないと駄目かぁ」
僧侶「ちょっと寂しいかも」
魔法使い「夏が終わる前にキャンプでもしようか。」
タイガン王子「うおっ、何これ、うめぇ!」
商人「静かに食べて下さい」
盗賊「僧侶ちゃん、美味しいよこれ!」
僧侶「まだおかわりあるよ〜!」
犬たち「ワン、ワン!」
魔法使い「まだにぎやかだ。」アハハ
女剣士「ははっ、だな!」

126 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/25(土) 10:18:23.62 ID:06tVHGrAO
魔王「ただいま」
僧侶「回復魔法はサービスです! 僧侶の宿屋にようこそっ!」
魔王「ありがたい」
側近「ラヴリーですなあ」
僧侶「ごはん食べる、お風呂入る?」
魔王「僧侶ちゃんを食べ
側近「それではただのエロガキですぞ!」
女剣士「どう、調査は?」アイアンクロー
魔王「いたたた、駄目だな」ブラーン
魔法使い「ヤマナミ東の砦のあなたの配下は?」
魔王「拠点を守りつつ交代で探している感じだな」
側近「少し良くない知らせがあります」
魔法使い「!」
魔王「魔物がかなり増えている」
側近「レベルもかなりのものです」
魔王「もう一つ言えば、俺の統制が効かない」
女剣士「……何が起こってる?」
魔法使い「……例の魔王の分散した力を受けた雑魚?」
魔王「それもある」
魔法使い「四天王の影響下の魔物もいるのね。」
魔王「間違いない」
魔王「畜生!あの野郎!」ダン
女剣士「焦るな」
魔法使い「封印魔法は研究課程で色々な魔法を生み出してるものの、まだ完成は難しい。」
魔王「封印魔法が完成してから見つかるのがいい、か……しかしな」
魔法使い「しばらくは私も研究に集中する。」

127 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/25(土) 10:19:50.94 ID:06tVHGrAO
女剣士「とりあえず今日はみんなでゆっくり休む日だ」
女剣士「しっかり休んでからまた頑張ってくれ」
魔王「……甘めの紅茶をもらいたい」
側近「確かに疲れましたな」
僧侶「任せてっ!」
魔法使い「私も欲しい、ミルクいらない」
僧侶「はいはーいっ!」
女剣士「私も欲しいから手伝うよ」
女剣士「頭を使うことばかりで疲れた」
魔法使い(……ヤマナミ王がかならず見つけだしてくれる)
タイガン王子「僕も欲しいな〜」

128 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/25(土) 10:21:46.56 ID:06tVHGrAO
魔法使い「……君はなんでここにいるのかな?」
タイガン王子「……」
魔法使い「……病は、嘘?」
タイガン王子「僕は何にも言っちゃいないよ」
魔法使い「竜の秘薬で治らない病と言うのは、殆ど無い」
タイガン王子「君とやりあう気はないよ、僕はヤマナミ王と違って剣を振るしか能がないからね」
魔法使い(察しろってことか)
魔法使い「!」ゾッ
タイガン王子「僕は帰らなくても良いかね?」
魔法使い「そうかもね。」
魔法使い「せっかくヤマナミ王に頼んだ各国での四天王捜索が無駄になったかも知れない。」
タイガン王子「そこまで読んでたのかよ、つか親父四天王かよっ!」
魔法使い(親父四天王……。)プッ
魔法使い「森を探して見つからないのは敵が木の葉になったから、町を探して見つからないのは人に紛れたから。」
魔法使い「しかしこれは……。」
魔法使い「タイガンの人たちを人質に取られた……かな。」
魔法使い(……もうタイガン王も生きてはいないかも……くそっ)

129 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/25(土) 10:24:32.22 ID:06tVHGrAO
タイガン王子「あんたのことだから策は立てられるだろ?」
魔法使い「まず無視する。」
タイガン王子「はあっ?!」
魔法使い「病を装ってると言うことはまだ動かない。」
魔法使い「封印を完成させて乗り込む。」
タイガン王子「魔王を倒したように、か」
魔法使い(明日から魔王にも封印完成に手を貸してもらうか……。)
魔法使い「大会が終わるまでには完成させる。」
タイガン王子「あと二週間か、誤魔化せるかな?」
魔法使い「あんたは闘技大会にシードで参加すればいい。」
タイガン王子「おお、流石!」
魔法使い「……軍略は苦手。」
タイガン王子「?なんで軍略?」
魔法使い「あなたの直属の兵隊さんを精鋭重視で五十人ほど護衛として連れてきて欲しい。」
魔法使い「できる?」
タイガン王子「まだ今なら問題はないか……分かった!」
魔法使い(冒険者が集まる闘技会はかなり有力な人員を増やすチャンス)
魔法使い「急がなくては……。」