女剣士「目指せ!城塞都市!」魔法使い「はじまりのはじまり」
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158 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/30(木) 17:45:37.45 ID:TV5Fn+xAO
魔法使い「メイド長も祭りに来て欲しい。 待ってる。」
メイド長「うちの部隊も連れて行くよ〜、どうせ税金徴収したり色々仕事あるし」
メイド長「尻尾も回収しないとね」
魔法使い「……。」
魔法使い「……色々、お願いね。」
メイド長「?」
メイド長「まあ任せとき!」ニカァ
…………
その翌日、オリファンーー
賢者「魔法使いさん、狼主さんがおいでになってます」
魔法使い「狼主ちゃん?」
魔法使い「分かった、会う。」
賢者「夜にまた魔法使いさんの私室にお邪魔します」
魔法使い「夜這いですか?」
賢者「……まあそうです」クスッ
魔法使い「賢者君が本気っぽい。」
賢者「まあいつまでも足を引っ張れませんから」
魔法使い「そんなことないよ……、とりあえず狼主ちゃんに会う。」
賢者「お待ちを」
…………
娘主「戦争の準備を進めているようなのでわしからも色々教えておこうと思ってな」
159 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/30(木) 17:46:57.33 ID:TV5Fn+xAO
娘主「古代魔族の戦争で使われていた技術がある」
娘主「破壊神サイドの者なら使ってくる可能性があると見るべきじゃろう」
娘主「お主らにも教えておこうと思ってな」
魔法使い「!」
魔法使い「……それはあの犬の強さにも関係している?」
娘主「犬にその技を教えてはいた」
娘主「一つは魔獣闘技……主ら人にも似たような技があると思うが」
娘主「相手にとって痛恨となる一撃を与えるための間合いの取り方や突撃法などを極めたもの……まあこれは獣にしか使えん」
魔法使い「あ〜、なんか心当たりあるわ。」
魔法使い「アイツの攻撃力って明らかに犬の範疇を超えてたもんね。」
娘主「人の場合は振りが大きくなるから半分は外れるらしいのう」
魔法使い「それを獣の四本の脚と反射神経で補うのか……確かにすごい技。」
魔法使い「もう一つは?」
160 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/30(木) 17:49:21.83 ID:TV5Fn+xAO
娘主「こちらは戦略級魔法と呼ばれる物じゃ」
娘主「野戦場では城や洞窟ではとても使えぬ魔法も使える」
娘主「数人の上級魔導師が心を合わせねば使えぬ故に既に廃れてしまったが、かつては単身それを扱う者が居った」
娘主「まあ、わしは使える」
魔法使い「私にも使える?」
娘主「お主と魔王ならできるじゃろ」
娘主「名付けて、『超級魔法』」
…………
娘主「手順は以上じゃが、恐らくは主らでも全魔力の半分は軽く持って行かれるじゃろ」
娘主「くれぐれも使い所を誤るでないぞ」
魔法使い「……狼主ちゃんは何者なの?」
魔法使い「普通に気付かなかった……あなたは何故魔王軍でもなく、勇者の味方でもないのにそれほどの力を……」
娘主「……本来なら隠すべきことじゃが……」
娘主「……女神の寝坊助もこのような事態に出てこぬのだから構わんじゃろ」
161 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/30(木) 17:50:41.88 ID:TV5Fn+xAO
娘主「魔物以外に、普通に獣は沢山居る、それは分かるじゃろ?」
魔法使い「うん」
娘主「わしらもかつてはただの獣であった」
娘主「本来ならばドラゴンも中立的な存在であったが……」
娘主「そもそも……まあそれは余計なことか」
娘主「つまりわしらは中立の立場で女神の使いとして存在しているわけじゃ」
娘主「聖獣と言う奴じゃ、敬うがよいぞ」
魔法使い「いやだ、実験したい、解体したい。」
娘主「やめい」
娘主「でな、あの寝ぼけの女神は色々ほっぽって寝ているからわしらがこうやってバランスを取っておるわけじゃ」
娘主「寝ていると言うのは封印とかそう言うものの比喩的な表現でなく本当にだらだらしておる」
魔法使い「」
娘主「で、だ、光の力や闇の力、破壊神の存在はイレギュラーじゃからわしらにも分からん」
娘主「女神に言わせると『ぶっちゃけ女神もびっくり〜』だそうじゃ」
魔法使い「女神にあったら真っ二つにしていい?」
娘主「会えたらそうするがよい」
162 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/30(木) 17:53:35.05 ID:TV5Fn+xAO
…………
賢者「なんだか話を聞くだけで疲れてしまいました」
魔法使い「そうですね。」
魔法使い「まあとりあえずは戦争のために強力な力を得たことと、逆にそれを敵も使ってくる可能性があること、そこに注意しなくてはいけない。」
魔法使い「それから光の力について女神が関与していないと言うのは恐るべき情報。」
魔法使い「私たちは倒れても、その力は仲間に受け継がれ、闇の力のように破壊神を生まないこと、」
魔法使い「それらから、そもそも光の力が本当に私たちに力を与えているのかも疑問に思うようになった。」
賢者「!」
賢者「……光の力とは、魔王の闇の衣を払う力、とされていますが、確かにそれが人の力を補助している可能性は、可能性に過ぎません」
賢者「今の話によると犬勇者の力もむしろ狼主様のご助力が大きいように思います」
魔法使い「一つ実験を考えている。」
魔法使い「封印をコントロールするための研究過程で光の力らしきものを観測することに成功した。」
賢者「では、それを私も習得しておきます」
賢者(光の力が人に力を与えている可能性が有る限り、魔法使いさんも自分に自信を持てないんでしょうね……)
163 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/30(木) 17:55:43.36 ID:TV5Fn+xAO
賢者「でももしそれが本当なら」
賢者「あの僧侶さんは……」
魔法使い「天才の部類だろうね、あんまり天才とか信じたくないんだけど。」
賢者「魔法使いさんは思いきり努力の人ですもんね」
魔法使い「……なかなか身につかないけどね。」
賢者「私ももっと努力しよう……」
魔法使い「僧侶ちゃんのお父さんも神官だったらしいから英才教育されてたのかも。」
賢者「封印魔法についても知っていましたしね」
賢者「それで私の方の話なのですが……」
賢者「時間を作って封印魔法の研究を覗かせて頂いて、そこで封印装置を見せていただき」
賢者「例の犬につける装置、あれを応用して誰でも使える兵器を作れると思ったんです」
魔法使い「……なるほど。」
魔法使い「それについては任せたい。」
魔法使い「あと、賢者君には、私がいない場合の指揮も任せたい。」
魔法使い「だから基本的に軍師としてだいたいの権限は持っていてもらいたい。」
魔法使い「そのための知識ならたぶん賢者君は身につけているはず。」
賢者「……非常に責任が重い仕事ですが、頑張ります」
164 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/30(木) 17:57:11.64 ID:TV5Fn+xAO
魔法使い「……戦闘を不利にしないためにも伏せておこうと思ったことがあるのだけど、」
魔法使い「これまでの魔王くんの説明や狼主ちゃんの説明……、」
魔法使い「まず、私たちサイドでは光の力が暴走などしないこと、」
魔法使い「魔王の力は散らばったこと、」
魔法使い「闇の衣がなんであるか、」
魔法使い「それらを考え合わせると恐ろしい結論が生まれる」
魔法使い「破壊神は魔王を倒さなくても現れるかも知れない。」
賢者「」
賢者「ちょっ、それは」
魔法使い「もちろん推測に過ぎない、だから女剣士たちには話しては駄目。」
賢者「思いっきり剣が鈍りそうですもんね……」
魔法使い「あの娘はバカ正直だから。」
魔法使い「そもそもなぜ魔王に闇の衣が受け継がれたか……」
魔法使い「これを逆に考えた。 闇の衣があるから魔王なのではないか。」
賢者「闇の衣は闇の力の結晶のようなものですからね」
魔法使い「魔王くんの話では、闇の衣には闇の力を吸収する働きがあるらしい。」
魔法使い「闇の力を持った存在……かつては闇の力は世界に溶け込んでいたんでは無いだろうか……。」
165 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/30(木) 17:58:51.92 ID:TV5Fn+xAO
魔法使い「散らばっている力を集めて」
魔法使い「それをエネルギーとして再分配する存在……」
魔法使い「そうであったものがいつしか、闇の衣と言う魔法だけを受け継ぐ存在になった」
賢者「魔王くんは確か、闇の衣をまとっていると気分がいいと言ってましたね」
賢者「闇の力を吸収することでなんらかの力を得ていたのかも知れませんね」
魔法使い「それなら闇の勢力では無敵だよね。」
魔法使い「だから魔王は魔王に祭り上げられる……」
賢者「闇の衣の技術とは受け継がれるだけで他の者が何人も持つことはできないんでしょうか?」
魔法使い「!」
魔法使い「それは魔王くんに確認してみる。」
166 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/30(木) 17:59:52.46 ID:TV5Fn+xAO
…………
魔王「それはできない」
魔法使い「ほうほう。」
魔王「それができるなら側近のような存在にも教えておけば負けないだろ」
魔法使い「ゾッとする。」
魔王「四天王にも各属性攻撃吸収結界はあるが……」
魔王「そのあたりは……こちらの資料にまとめてるから後で見てくれ」
魔王「まず、闇の力が散らばっているとは言え、身内で半分は抑えてる」
魔王「おっと、紹介しておく、四天王だ」
魔法使い「あ、もう来たの?」
魔王「……水と風だけは、な」
魔王「火は消されていた」
魔法使い「!」
妖精「ども〜! 水の四天王でぇ〜っす!」キャハハ
オカマ「風の四天王よ〜ん!」
魔法使い「帰っていただけますか?」
魔王「サンプルにしても良いぞ」
妖精「ひどっ」
オカマ「ひどっ」
魔法使い「魔力はウチらの半分から八割くらいか。」
魔王「大魔力だろ」
魔王「そもそもお前ら魔王を倒したパーティーだし、レベル高すぎなんだよ」
魔法使い「そう。」
魔法使い「私たちの力が一定なら、成長はしないはず。」
魔法使い「一度は勇者も倒した魔王の使いが今は楽勝……。」
167 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/30(木) 18:01:04.23 ID:TV5Fn+xAO
魔王「それはつまり、力が一定ではないか、そもそもその力が闇に対してのみ有効な力で、お前らになんら力を与えていないか」
魔法使い「後者が有力かな。」
魔王「両方ってのも考えられなくはないか」
魔法使い「もしそうだとして、闇の力が光の力と同じく、成長する力である場合、」
魔法使い「破壊神は君達が倒れなくても現れるかも知れない。」
魔王「その可能性については全く否定できない」
魔王「親父が残した破壊神や闇の衣についての研究とか歴史資料をまとめてみたからもらってくれ」
魔法使い「助かる。」
魔王「だっこしていいぞ」
魔法使い「ん。」ぎゅう
魔王「///」
魔法使い「自分で言っておいて照れるとか、可愛い魔王。」
魔法使い「親父さんはおっぱい大好きだったのに。」
魔王「親父の名誉のためにそれだけは忘れてやってくれ」
168 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/30(木) 18:02:11.71 ID:TV5Fn+xAO
魔王「この資料によるとだな」
魔王「闇の衣は破壊神の闇の力を吸収する」
魔王「そこにはなんらかのパワーがあるのは間違いない」
魔王「光の力の場合は」
魔王「これは恐らくはお前たち固有の力で、成長力の要にはなっている可能性があるな」
魔王「ただ、親父も勇者捕まえて研究するわけにもいかないから、こっちはそんなに詳しく書かれていない」
魔法使い「う〜ん。」
魔法使い「やっぱり実験は必要かな……。」
魔王「続けるぞ」
魔王「そもそも、なぜ我らが闇の衣をまとえ、それを秘術とし、ただ一人魔王となりうるものにだけ伝えられるのか」
魔王「これは本来魔王が、破壊神の力を封じるための神官であったためではないか」
魔王「もともとは我らも人の信仰の対象であったとする記録も残されている」
魔法使い「やっぱり闇の衣をまとう者と破壊神は同時に存在していたのかな。」
魔王「そのように読めるな」
魔王「また、闇の衣は多人数に振り分けることができないが、それについては秘術の制作過程で、『力を一カ所に集める性質』が優先されたためだ」
魔王「そしてこの性格から、魔王は魔族においては最強である」
169 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/30(木) 18:03:34.33 ID:TV5Fn+xAO
魔王「で、」
魔王「最強の魔王はどうなるか」
魔法使い「常に負けてるね。」
魔王「……そうなんだよなあ」
魔王「それだけでも勇者の力と魔王の力は異質な部分を有していると分かる」
魔法使い「……光の力の実験は進めておく。」
魔王「うむ」
魔王「まあそれを元に勇者対策なんかしないから安心しろ」
魔法使い「信用してる。」
魔王「それにしても女神って本当にいたのか」
魔法使い「人を守る存在と伝え聞いてたけどただの引きこもりだった。」
魔王「女神ってなんなの?」
魔法使い「信仰の対象ではあるね」
魔法使い「僧侶ちゃんにはくれぐれも内緒に。」
魔王「純真そうだもんなあ。 嫁にしたい。」
魔法使い「覚悟はできてる?」
魔王「えっ」
魔王「まあ僧侶ちゃんは保護者が無敵すぎるからあきらめる」ボロボロ
魔法使い「本人もほぼ無敵だけど。」
魔王「よく聞くが見た目だけを見るとそれほどには思えんなあ」
魔法使い「まず、物理的な強さはドラゴンを数発で撲殺できる女神のメイスを振り回す程度。」
魔王「それだけで驚異ですが」
170 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/30(木) 18:05:21.03 ID:TV5Fn+xAO
魔法使い「魔力については私の二割り増し」
魔王「……なんか心臓がキュッてなった」
魔法使い「最近光の攻撃魔法を覚えた」
魔王「もうやめて」
魔法使い「即死魔法も使える。」
魔王「ひいっ」
魔法使い「体力は女剣士に迫る」
魔王「タフすぎる……」
魔法使い「回復魔法はほぼ間違いなく人類史上最高」
魔王「どうやっても倒せないな」
魔法使い「倒せないと言えば自動で封印結界を張れるようになってる。」
魔王「攻撃も通らないな」
魔法使い「現在研究中の自動蘇生魔法は絶命しても復活する。」
魔王「誰か助けて!」
魔法使い「まあそれでも魔力が切れたら負けるけど、間違っても1対1で喧嘩は売れないのは分かったと思う。」
魔王「なんか俺なんかが魔王名乗ってすみませんでした」
魔法使い「……だから、僧侶ちゃんだけは守って。」
魔法使い「彼女が人類の要だから。」
171 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/30(木) 18:08:09.59 ID:TV5Fn+xAO
…………
魔法使い「僧侶ちゃん、研究の方はどう?」
僧侶「どうしても封印の中心になるシンボルが弱いの」
僧侶「張り方によって内側は封印結界だけにすればなかなか壊せないのは分かったけど」
僧侶「それもシンボルのポテンシャルを上回る魔力だと壊れる」
僧侶「だから内側からも魔力を吸収する仕組みを考えているんだけど」
僧侶「そうするとシンボルがむき出しになって弱いの」
魔法使い「あちらを立てたらこちらが立たない……か。」
僧侶「この魔力吸収装置は画期的なんだけどね〜」
魔法使い「……天才、か。」
僧侶「?」
魔法使い「なんでもないよ。」ナデナデ
僧侶「んうっ」
魔法使い「結界をカタツムリの構造にしてみたらどうだろう?」
僧侶「あ、なるほど……でも駄目、シンボルが剥き出しになる構造が変わらないといつか壊されちゃう」
魔法使い「だねえ。 これは難解だわ。」
僧侶「例の魔法を攻撃に使う魔法もできたよ」
僧侶「ただ魔力を半分くらい使いそう。」
僧侶「魔力吸収装置は本来全快に八時間かかるところを二時間程度まで短縮できるから」
僧侶「一発分の魔力は予備として、一時間に一回限り」
172 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/30(木) 18:11:25.91 ID:TV5Fn+xAO
魔法使い「まあそれでも十分かなあ?」
僧侶「最初に相手に警戒させたら続けて撃たなくても大丈夫かな?」
魔法使い「そうだねえ。」
僧侶「ん、なんだか魔法使いちゃん疲れてる」
魔法使い「ここが踏ん張りどころだから、気にしない。」
僧侶「魔法使いちゃんは私たちの頭脳なんだからね!」
僧侶「なくなったら代わりは居ないんだからね!」
僧侶「倒れたら……嫌だよ?」
魔法使い「人間食べないと死ぬけどあんまり寝ないってだけではそう簡単に死なない。」
魔法使い「キャッキャウフフしなくても死なない。」
僧侶「死ぬ〜っ私は死ぬ〜っ」ダキツキ
魔法使い「わっほう!美女に抱かれたぜっ!」キャッ
側近「仲がよろしいですなあ」ホノボノ
側近「紅茶を用意しましたので一休みしなされ」
魔法使い「あんた馴染みすぎ。」
僧侶「いただきまぁすっ! あ、ドーナツぅ!」
側近「私が揚げました」
魔法使い「主夫かっ!」
側近「まあそんな感じですよ、側近なんて」
魔法使い「メイド長も祭りに来て欲しい。 待ってる。」
メイド長「うちの部隊も連れて行くよ〜、どうせ税金徴収したり色々仕事あるし」
メイド長「尻尾も回収しないとね」
魔法使い「……。」
魔法使い「……色々、お願いね。」
メイド長「?」
メイド長「まあ任せとき!」ニカァ
…………
その翌日、オリファンーー
賢者「魔法使いさん、狼主さんがおいでになってます」
魔法使い「狼主ちゃん?」
魔法使い「分かった、会う。」
賢者「夜にまた魔法使いさんの私室にお邪魔します」
魔法使い「夜這いですか?」
賢者「……まあそうです」クスッ
魔法使い「賢者君が本気っぽい。」
賢者「まあいつまでも足を引っ張れませんから」
魔法使い「そんなことないよ……、とりあえず狼主ちゃんに会う。」
賢者「お待ちを」
…………
娘主「戦争の準備を進めているようなのでわしからも色々教えておこうと思ってな」
159 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/30(木) 17:46:57.33 ID:TV5Fn+xAO
娘主「古代魔族の戦争で使われていた技術がある」
娘主「破壊神サイドの者なら使ってくる可能性があると見るべきじゃろう」
娘主「お主らにも教えておこうと思ってな」
魔法使い「!」
魔法使い「……それはあの犬の強さにも関係している?」
娘主「犬にその技を教えてはいた」
娘主「一つは魔獣闘技……主ら人にも似たような技があると思うが」
娘主「相手にとって痛恨となる一撃を与えるための間合いの取り方や突撃法などを極めたもの……まあこれは獣にしか使えん」
魔法使い「あ〜、なんか心当たりあるわ。」
魔法使い「アイツの攻撃力って明らかに犬の範疇を超えてたもんね。」
娘主「人の場合は振りが大きくなるから半分は外れるらしいのう」
魔法使い「それを獣の四本の脚と反射神経で補うのか……確かにすごい技。」
魔法使い「もう一つは?」
160 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/30(木) 17:49:21.83 ID:TV5Fn+xAO
娘主「こちらは戦略級魔法と呼ばれる物じゃ」
娘主「野戦場では城や洞窟ではとても使えぬ魔法も使える」
娘主「数人の上級魔導師が心を合わせねば使えぬ故に既に廃れてしまったが、かつては単身それを扱う者が居った」
娘主「まあ、わしは使える」
魔法使い「私にも使える?」
娘主「お主と魔王ならできるじゃろ」
娘主「名付けて、『超級魔法』」
…………
娘主「手順は以上じゃが、恐らくは主らでも全魔力の半分は軽く持って行かれるじゃろ」
娘主「くれぐれも使い所を誤るでないぞ」
魔法使い「……狼主ちゃんは何者なの?」
魔法使い「普通に気付かなかった……あなたは何故魔王軍でもなく、勇者の味方でもないのにそれほどの力を……」
娘主「……本来なら隠すべきことじゃが……」
娘主「……女神の寝坊助もこのような事態に出てこぬのだから構わんじゃろ」
161 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/30(木) 17:50:41.88 ID:TV5Fn+xAO
娘主「魔物以外に、普通に獣は沢山居る、それは分かるじゃろ?」
魔法使い「うん」
娘主「わしらもかつてはただの獣であった」
娘主「本来ならばドラゴンも中立的な存在であったが……」
娘主「そもそも……まあそれは余計なことか」
娘主「つまりわしらは中立の立場で女神の使いとして存在しているわけじゃ」
娘主「聖獣と言う奴じゃ、敬うがよいぞ」
魔法使い「いやだ、実験したい、解体したい。」
娘主「やめい」
娘主「でな、あの寝ぼけの女神は色々ほっぽって寝ているからわしらがこうやってバランスを取っておるわけじゃ」
娘主「寝ていると言うのは封印とかそう言うものの比喩的な表現でなく本当にだらだらしておる」
魔法使い「」
娘主「で、だ、光の力や闇の力、破壊神の存在はイレギュラーじゃからわしらにも分からん」
娘主「女神に言わせると『ぶっちゃけ女神もびっくり〜』だそうじゃ」
魔法使い「女神にあったら真っ二つにしていい?」
娘主「会えたらそうするがよい」
162 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/30(木) 17:53:35.05 ID:TV5Fn+xAO
…………
賢者「なんだか話を聞くだけで疲れてしまいました」
魔法使い「そうですね。」
魔法使い「まあとりあえずは戦争のために強力な力を得たことと、逆にそれを敵も使ってくる可能性があること、そこに注意しなくてはいけない。」
魔法使い「それから光の力について女神が関与していないと言うのは恐るべき情報。」
魔法使い「私たちは倒れても、その力は仲間に受け継がれ、闇の力のように破壊神を生まないこと、」
魔法使い「それらから、そもそも光の力が本当に私たちに力を与えているのかも疑問に思うようになった。」
賢者「!」
賢者「……光の力とは、魔王の闇の衣を払う力、とされていますが、確かにそれが人の力を補助している可能性は、可能性に過ぎません」
賢者「今の話によると犬勇者の力もむしろ狼主様のご助力が大きいように思います」
魔法使い「一つ実験を考えている。」
魔法使い「封印をコントロールするための研究過程で光の力らしきものを観測することに成功した。」
賢者「では、それを私も習得しておきます」
賢者(光の力が人に力を与えている可能性が有る限り、魔法使いさんも自分に自信を持てないんでしょうね……)
賢者「でももしそれが本当なら」
賢者「あの僧侶さんは……」
魔法使い「天才の部類だろうね、あんまり天才とか信じたくないんだけど。」
賢者「魔法使いさんは思いきり努力の人ですもんね」
魔法使い「……なかなか身につかないけどね。」
賢者「私ももっと努力しよう……」
魔法使い「僧侶ちゃんのお父さんも神官だったらしいから英才教育されてたのかも。」
賢者「封印魔法についても知っていましたしね」
賢者「それで私の方の話なのですが……」
賢者「時間を作って封印魔法の研究を覗かせて頂いて、そこで封印装置を見せていただき」
賢者「例の犬につける装置、あれを応用して誰でも使える兵器を作れると思ったんです」
魔法使い「……なるほど。」
魔法使い「それについては任せたい。」
魔法使い「あと、賢者君には、私がいない場合の指揮も任せたい。」
魔法使い「だから基本的に軍師としてだいたいの権限は持っていてもらいたい。」
魔法使い「そのための知識ならたぶん賢者君は身につけているはず。」
賢者「……非常に責任が重い仕事ですが、頑張ります」
164 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/30(木) 17:57:11.64 ID:TV5Fn+xAO
魔法使い「……戦闘を不利にしないためにも伏せておこうと思ったことがあるのだけど、」
魔法使い「これまでの魔王くんの説明や狼主ちゃんの説明……、」
魔法使い「まず、私たちサイドでは光の力が暴走などしないこと、」
魔法使い「魔王の力は散らばったこと、」
魔法使い「闇の衣がなんであるか、」
魔法使い「それらを考え合わせると恐ろしい結論が生まれる」
魔法使い「破壊神は魔王を倒さなくても現れるかも知れない。」
賢者「」
賢者「ちょっ、それは」
魔法使い「もちろん推測に過ぎない、だから女剣士たちには話しては駄目。」
賢者「思いっきり剣が鈍りそうですもんね……」
魔法使い「あの娘はバカ正直だから。」
魔法使い「そもそもなぜ魔王に闇の衣が受け継がれたか……」
魔法使い「これを逆に考えた。 闇の衣があるから魔王なのではないか。」
賢者「闇の衣は闇の力の結晶のようなものですからね」
魔法使い「魔王くんの話では、闇の衣には闇の力を吸収する働きがあるらしい。」
魔法使い「闇の力を持った存在……かつては闇の力は世界に溶け込んでいたんでは無いだろうか……。」
165 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/30(木) 17:58:51.92 ID:TV5Fn+xAO
魔法使い「散らばっている力を集めて」
魔法使い「それをエネルギーとして再分配する存在……」
魔法使い「そうであったものがいつしか、闇の衣と言う魔法だけを受け継ぐ存在になった」
賢者「魔王くんは確か、闇の衣をまとっていると気分がいいと言ってましたね」
賢者「闇の力を吸収することでなんらかの力を得ていたのかも知れませんね」
魔法使い「それなら闇の勢力では無敵だよね。」
魔法使い「だから魔王は魔王に祭り上げられる……」
賢者「闇の衣の技術とは受け継がれるだけで他の者が何人も持つことはできないんでしょうか?」
魔法使い「!」
魔法使い「それは魔王くんに確認してみる。」
166 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/30(木) 17:59:52.46 ID:TV5Fn+xAO
…………
魔王「それはできない」
魔法使い「ほうほう。」
魔王「それができるなら側近のような存在にも教えておけば負けないだろ」
魔法使い「ゾッとする。」
魔王「四天王にも各属性攻撃吸収結界はあるが……」
魔王「そのあたりは……こちらの資料にまとめてるから後で見てくれ」
魔王「まず、闇の力が散らばっているとは言え、身内で半分は抑えてる」
魔王「おっと、紹介しておく、四天王だ」
魔法使い「あ、もう来たの?」
魔王「……水と風だけは、な」
魔王「火は消されていた」
魔法使い「!」
妖精「ども〜! 水の四天王でぇ〜っす!」キャハハ
オカマ「風の四天王よ〜ん!」
魔法使い「帰っていただけますか?」
魔王「サンプルにしても良いぞ」
妖精「ひどっ」
オカマ「ひどっ」
魔法使い「魔力はウチらの半分から八割くらいか。」
魔王「大魔力だろ」
魔王「そもそもお前ら魔王を倒したパーティーだし、レベル高すぎなんだよ」
魔法使い「そう。」
魔法使い「私たちの力が一定なら、成長はしないはず。」
魔法使い「一度は勇者も倒した魔王の使いが今は楽勝……。」
167 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/30(木) 18:01:04.23 ID:TV5Fn+xAO
魔王「それはつまり、力が一定ではないか、そもそもその力が闇に対してのみ有効な力で、お前らになんら力を与えていないか」
魔法使い「後者が有力かな。」
魔王「両方ってのも考えられなくはないか」
魔法使い「もしそうだとして、闇の力が光の力と同じく、成長する力である場合、」
魔法使い「破壊神は君達が倒れなくても現れるかも知れない。」
魔王「その可能性については全く否定できない」
魔王「親父が残した破壊神や闇の衣についての研究とか歴史資料をまとめてみたからもらってくれ」
魔法使い「助かる。」
魔王「だっこしていいぞ」
魔法使い「ん。」ぎゅう
魔王「///」
魔法使い「自分で言っておいて照れるとか、可愛い魔王。」
魔法使い「親父さんはおっぱい大好きだったのに。」
魔王「親父の名誉のためにそれだけは忘れてやってくれ」
168 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/30(木) 18:02:11.71 ID:TV5Fn+xAO
魔王「この資料によるとだな」
魔王「闇の衣は破壊神の闇の力を吸収する」
魔王「そこにはなんらかのパワーがあるのは間違いない」
魔王「光の力の場合は」
魔王「これは恐らくはお前たち固有の力で、成長力の要にはなっている可能性があるな」
魔王「ただ、親父も勇者捕まえて研究するわけにもいかないから、こっちはそんなに詳しく書かれていない」
魔法使い「う〜ん。」
魔法使い「やっぱり実験は必要かな……。」
魔王「続けるぞ」
魔王「そもそも、なぜ我らが闇の衣をまとえ、それを秘術とし、ただ一人魔王となりうるものにだけ伝えられるのか」
魔王「これは本来魔王が、破壊神の力を封じるための神官であったためではないか」
魔王「もともとは我らも人の信仰の対象であったとする記録も残されている」
魔法使い「やっぱり闇の衣をまとう者と破壊神は同時に存在していたのかな。」
魔王「そのように読めるな」
魔王「また、闇の衣は多人数に振り分けることができないが、それについては秘術の制作過程で、『力を一カ所に集める性質』が優先されたためだ」
魔王「そしてこの性格から、魔王は魔族においては最強である」
169 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/30(木) 18:03:34.33 ID:TV5Fn+xAO
魔王「で、」
魔王「最強の魔王はどうなるか」
魔法使い「常に負けてるね。」
魔王「……そうなんだよなあ」
魔王「それだけでも勇者の力と魔王の力は異質な部分を有していると分かる」
魔法使い「……光の力の実験は進めておく。」
魔王「うむ」
魔王「まあそれを元に勇者対策なんかしないから安心しろ」
魔法使い「信用してる。」
魔王「それにしても女神って本当にいたのか」
魔法使い「人を守る存在と伝え聞いてたけどただの引きこもりだった。」
魔王「女神ってなんなの?」
魔法使い「信仰の対象ではあるね」
魔法使い「僧侶ちゃんにはくれぐれも内緒に。」
魔王「純真そうだもんなあ。 嫁にしたい。」
魔法使い「覚悟はできてる?」
魔王「えっ」
魔王「まあ僧侶ちゃんは保護者が無敵すぎるからあきらめる」ボロボロ
魔法使い「本人もほぼ無敵だけど。」
魔王「よく聞くが見た目だけを見るとそれほどには思えんなあ」
魔法使い「まず、物理的な強さはドラゴンを数発で撲殺できる女神のメイスを振り回す程度。」
魔王「それだけで驚異ですが」
170 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/30(木) 18:05:21.03 ID:TV5Fn+xAO
魔法使い「魔力については私の二割り増し」
魔王「……なんか心臓がキュッてなった」
魔法使い「最近光の攻撃魔法を覚えた」
魔王「もうやめて」
魔法使い「即死魔法も使える。」
魔王「ひいっ」
魔法使い「体力は女剣士に迫る」
魔王「タフすぎる……」
魔法使い「回復魔法はほぼ間違いなく人類史上最高」
魔王「どうやっても倒せないな」
魔法使い「倒せないと言えば自動で封印結界を張れるようになってる。」
魔王「攻撃も通らないな」
魔法使い「現在研究中の自動蘇生魔法は絶命しても復活する。」
魔王「誰か助けて!」
魔法使い「まあそれでも魔力が切れたら負けるけど、間違っても1対1で喧嘩は売れないのは分かったと思う。」
魔王「なんか俺なんかが魔王名乗ってすみませんでした」
魔法使い「……だから、僧侶ちゃんだけは守って。」
魔法使い「彼女が人類の要だから。」
171 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/30(木) 18:08:09.59 ID:TV5Fn+xAO
…………
魔法使い「僧侶ちゃん、研究の方はどう?」
僧侶「どうしても封印の中心になるシンボルが弱いの」
僧侶「張り方によって内側は封印結界だけにすればなかなか壊せないのは分かったけど」
僧侶「それもシンボルのポテンシャルを上回る魔力だと壊れる」
僧侶「だから内側からも魔力を吸収する仕組みを考えているんだけど」
僧侶「そうするとシンボルがむき出しになって弱いの」
魔法使い「あちらを立てたらこちらが立たない……か。」
僧侶「この魔力吸収装置は画期的なんだけどね〜」
魔法使い「……天才、か。」
僧侶「?」
魔法使い「なんでもないよ。」ナデナデ
僧侶「んうっ」
魔法使い「結界をカタツムリの構造にしてみたらどうだろう?」
僧侶「あ、なるほど……でも駄目、シンボルが剥き出しになる構造が変わらないといつか壊されちゃう」
魔法使い「だねえ。 これは難解だわ。」
僧侶「例の魔法を攻撃に使う魔法もできたよ」
僧侶「ただ魔力を半分くらい使いそう。」
僧侶「魔力吸収装置は本来全快に八時間かかるところを二時間程度まで短縮できるから」
僧侶「一発分の魔力は予備として、一時間に一回限り」
172 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/30(木) 18:11:25.91 ID:TV5Fn+xAO
魔法使い「まあそれでも十分かなあ?」
僧侶「最初に相手に警戒させたら続けて撃たなくても大丈夫かな?」
魔法使い「そうだねえ。」
僧侶「ん、なんだか魔法使いちゃん疲れてる」
魔法使い「ここが踏ん張りどころだから、気にしない。」
僧侶「魔法使いちゃんは私たちの頭脳なんだからね!」
僧侶「なくなったら代わりは居ないんだからね!」
僧侶「倒れたら……嫌だよ?」
魔法使い「人間食べないと死ぬけどあんまり寝ないってだけではそう簡単に死なない。」
魔法使い「キャッキャウフフしなくても死なない。」
僧侶「死ぬ〜っ私は死ぬ〜っ」ダキツキ
魔法使い「わっほう!美女に抱かれたぜっ!」キャッ
側近「仲がよろしいですなあ」ホノボノ
側近「紅茶を用意しましたので一休みしなされ」
魔法使い「あんた馴染みすぎ。」
僧侶「いただきまぁすっ! あ、ドーナツぅ!」
側近「私が揚げました」
魔法使い「主夫かっ!」
側近「まあそんな感じですよ、側近なんて」
女剣士「目指せ!城塞都市!」魔法使い「はじまりのはじまり」
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