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女剣士「目指せ!城塞都市!」魔法使い「はじまりのはじまり」

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Part4
63 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/15(水) 11:00:09.49 ID:M4gVK0cAO
賢者「こういうお方なので突っ込みは厳禁です」
商人「嫌です。 王が死ぬまで突っ込みたいです」
ヤマナミ王「いや、いいよ別に」
商人「ムカついたら殴ってよろしいですか?」
…………
盗賊「また途中で遮って悪いけど商人君ごめんなさい」
商人「キニスンナ」
…………
ヤマナミ王「つまりな、我々は魔王の死を司るシニ国、四十二国をもってしても、たった一人、魔王を倒すことなど出来なかったのだ」
商人「!」
ヤマナミ王「先代勇者が魔王を追いつめるも、子をなし、十六年も戦いを避ける間も、我々は魔王を倒せなかった。 ちなみにそのことで勇者を咎める国は無い。 その資格も無い故な」
ヤマナミ王「……お主、そこな女剣士の戦いを見たことは?」
商人「……二度ほど」
ヤマナミ王「よく、一軍に匹敵と言うが、それは誤りだ」
ヤマナミ王「女剣士が魔王なら、今この瞬間にこの国は、国中の地図の我が国の名に修正液をかけるよりは、容易く消えよう」
商人「……まさか!」
ヤマナミ王「魔王とはそういう存在、魔王を倒すとはそういう事なのだ」
ヤマナミ王「我も眠らずには居れまい」
商人「いや、それは別に関係ない」

64 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/15(水) 11:01:57.29 ID:M4gVK0cAO
ヤマナミ王「……その女剣士が、人類の未来をかけて戦って居るのだぞ?」
ヤマナミ王「協力出来ぬ者は万死に値する」
女剣士「……!」
女剣士「過ぎたお言葉です……」
賢者(こういうことばかり賢いのが賢者とは聞こえが悪いことだが、女剣士殿は……)
商人「?」
ヤマナミ王「……では、……城塞都市の名はオリファンであったか?」
ヤマナミ王「我はここにヤマナミ王の権限を持って、それを許す。 協力も惜しむまい」
メイド長「……これにて面会時間を過ぎました。 お下がり下さい」
女剣士「はっ!」
賢者「ありがとうございました」
大臣「……」

65 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/15(水) 11:03:59.29 ID:M4gVK0cAO
魔法使い「……なるほど、あっと言う間だけど、濃いね。」
女剣士「……次は例の山賊の砦を襲った魔物の不穏な動きについてだが……」
…………
メイド長「まあ王さんの面会時間切れたからってウチがしゃべってまずい話も無いわけで」
女剣士「……相変わらずだな、アンタは」
メイド長「そうそう、相変わらずアンタが国王を見る……」
女剣士「黙ってくれないかな?」ニッコリ
メイド長「ウチは一国の総戦力より弱い自信がある」
メイド長「ウチが現状を総括するなら、ヤマナミ王国は下手するとオリファンの独立まで認める」
女剣士「!! そこまでは!」
メイド長「ウチの私見だが」
女剣士「……むう」
女剣士は幾度かヤマナミ王に接見した経験がある
その幾度かでヤマナミ王を知り、その人格と言うか、圧倒的な判断力に深く敬意を覚えた
しかし、それ以上に圧倒的だったのが、このメイド長である
彼女は賢者と呼ぶべき人物であった
メイド長「たかがメイドのウチが何を言っても戯れ言だからね」
メイド長「判断はテメエでしろと」

66 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/15(水) 11:06:21.36 ID:M4gVK0cAO
メイド長「……最近ヤマナミの東で山賊モドキが砦を築いたんだがね」
メイド長「……数日中に魔物に襲われて、魔物の砦になっちまった」ギャハハ
賢者「おやおや」
女剣士「それは間抜けな山賊だな」クスッ
商人「何かを略奪する間もなかったのでは」アハハ
メイド長「おっ可愛い少年」ニコニコ
商人「こっち見ないでくれますか?」ニッコリ
メイド長「……んでな、ウチのメイド部隊に偵察させたんだが、どうもその魔物共も何かと争っていたらしいんだわ」
女剣士「……?」
賢者「……ずいぶん慌ただしいことですね。 要するに最初の一軍は逃亡した先で山賊の砦を奪った可能性があると」
メイド長「お主賢いな。 賢者と呼んでやろう」
賢者「え……それはありがたいことです」
王とメイド長の思考、権限は、ほぼイコールと言っても良いものであった
彼女が王妹であることもある
メイド長「んで、その逃げた魔物ってのがよくわからんのだが」
メイド長「四天王って知ってる?」

67 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/15(水) 11:07:32.93 ID:M4gVK0cAO
女剣士「!?!」
賢者「……よく言われますね、魔王四天王」
賢者は、冷静に答えつつも、女剣士の反応を見逃さなかった
メイド長「……どうもあの砦に、その四天王がいたっぽいんだわ」
メイド長「…………そこで魔王の軍に詳しそうな女剣士に事情を聞こうかと居場所まで調べてたんだが」
賢者「女剣士殿が答えるまでもありません。 討伐命令を下されるなら我々が討伐致します」
女剣士「!!」
メイド長「……いや、別にいいよ」
メイド長「どうもこちらを襲ってくる気配がない」


68 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/15(水) 11:10:20.45 ID:M4gVK0cAO
メイド長「……んで、魔物同士で争い始めちゃったんだわ」
メイド長「こういう場合の国家としての対応はわかるかね?」
賢者「……静観すべきですね。 場合に置いてはどちらかに武器供与などもあり得ます」
メイド長「……ウチがなんにも言ってないのに魔物の勢力も外交勢力と見ているとは……読む目があると言うべきか。 女剣士と違って」
女剣士「いつでも剣は抜ける」
メイド長「土下座で許していただければ」ズサー
メイド長「……つまりそういうわけなんよ」
メイド長「先にキミらが二回交戦した魔物の群は、そいつかな?」
賢者「……恐らくは」
商人「……つまり山賊を追い散らした四天王の使いの魔物の群が、先に僕らが交戦した二組の魔物ってことですか……?」
メイド長「敵の配置や勢力規模、行動速度は分からないが、概ねそういうことじゃないかな、と」
メイド長「にらんでるっつーか、戦略を考えたらそのあたりに落ち着く」
女剣士「……いや、私はおう……メイド長の言葉が正しいと思ってるから」
賢者「国家を預かるものの知性とは素晴らしいものですね……おっと」
商人「……?」
女剣士「……つまり」

69 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/15(水) 11:11:55.89 ID:M4gVK0cAO
メイド長「砦を支配してる強力な魔物は、ヤマナミに敵対することを避けていたが、より強力な勢力の攻撃を受けたことから、現状を逃れる手を打つ必要に迫られた」
メイド長「南のより高い山脈や東の進軍も難しい山脈と深い森、西のヤマナミに逃げるより、北に逃げることを選ぶと、斥候として弱めの一軍を北に送り込んだが……」
女剣士「全滅した」
賢者「女剣士さんによってあっさり倒されたわけですね」
メイド長「そこで、より強い一軍を斥候に送る必要に迫られた……」
賢者「それをまた女剣士さんに一蹴された、と」
女剣士「……なんか恥ずかしい」
メイド長「ウチはむしろ誇らしいがね」

70 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/15(水) 11:14:27.19 ID:M4gVK0cAO
メイド長「その四天王と思しき魔物の群とそれと戦って打ち勝った魔物がどこから来たのかは分からないが」
メイド長「とりあえず不穏な動きをしている、と」
メイド長「魔物の出現ポイントは君らが絞ってくれたらウチは助かるね」
賢者(たかがメイド、されど王妹、微妙な立場をこの人は上手く使ってくるんだよなあ)
女剣士「早速帰還し仲間に報告します」
メイド長「そうだね、ああ、2日以内に人は送るんで」
賢者(いくらなんでも迅速すぎるけど、普通にやってしまうんだろうなあ……)
…………
魔法使い「なんだ、有る程度はメイドちゃんが予想してたんだ。」
女剣士「いや、しかし出現ポイントまでは予測が立ってないよ。 私たちもなんとなく山脈を越えるより南西の荒れ地から来たのでは、と予測していた」
僧侶「でも四天王って本当に居たんだね」
盗賊・商人「?!」
商人「えっ、皆さん四天王と戦ってないんですか?」
魔法使い「必要がなかったからね……魔王が何を考えていたかは今となっては知る由もない。」

71 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/15(水) 11:19:11.38 ID:M4gVK0cAO
賢者「メイド長様はそれを察してかは深く言及なさいませんでしたが、四天王を残していては……」
魔法使い「世界を救ったとは言い難いかな。」
魔法使い「とりあえず現在において推測が立つのは、狼主が感じたように東から魔物が攻めてきたことと、」
賢者「メイド長様が仰ったようにその一勢力がここより南の砦に居を構えていること」
魔法使い「魔物同士の争いがあったことと、四天王と思しき魔物が南の山脈に居着き、そこから二度斥候を放ってきたこと」
魔法使い「そしてこれはとても大切なことだけれども……」
女剣士「四天王に打ち勝つ魔物がいると言うこと……か」
魔法使い「その通りでございます。」

72 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/15(水) 11:24:47.41 ID:M4gVK0cAO
〜〜翌日〜〜
山賊頭「相談がある」
魔法使い「あ〜ん。」
山賊頭「ぱくっ」
山賊頭「うめえっ!」
山賊頭「……じゃなくて話を聞け!」
魔法使い「ん〜、ちょっとヤマナミ王を真似てみようかな?」
山賊頭「?」
魔法使い「城塞を築くには大工が必要だ。 魔物が居城として選ぶほどの砦を建てる技術を持っているアンタらの力を借りたい。」
山賊頭「!?」
山賊頭「なんでわかった? 頭ん中覗けるのか?」
魔法使い「……まあねえ。」クックック
山賊頭「魔法使いさんパネェ……弟子にしてくだせえ!」
魔法使い「半端なことをするとホルマリンに漬かることになるけど……。」
山賊頭「(こえぇ)あっしはこれでも男だ! 一度言い出した事は曲げねえ!」
魔法使い「ふん、信じよう。 ちょっと建築に詳しい人材が欲しかったのもあるけど。」
…………
魔法使い「ってことで、この山賊どもを大工頭にしようと思う。」
山賊頭改め大工頭「よろしくお願い致しやす!」
女剣士「……良いけど、ずいぶんな変わり身だな」
山賊D改め大工D「姉さんの実力は重々承知してやすんで」
僧侶「怪我したらいつでも治してあげるね!」ニコッ

73 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/15(水) 11:26:24.35 ID:M4gVK0cAO
山賊改め大工共「ウオォ!! 僧侶ちゃあああん!!」ピーピー
魔法使い「げせぬ。」
盗賊「げせます」
魔法使い「げせますって初めて聞いた。」
女剣士「とりあえず士気も高いし服従してくれるなら、オリファン町長の権限で君たちを正式に雇い入れよう」
魔法使い「私のありがたい飯も食わせる。」
山賊改め大工共「イヤァッホー!!」
賢者「根が単純なんでしょうか。 とりあえず目立った悪事を働いた経緯も無いようなのでよろしいでしょうが」
大工共「ありがとうごぜえます!」
魔法使い「建設計画の陣頭指揮は私が取る。 外交はサッパリなので賢者君に任せる。」
賢者「有り難いですが、ご謙遜を。 魔法使いさんなら外交も問題なくこなせるでしょうに」
魔法使い「私に人付き合いが出来るとでも?」
賢者「勘違いでした」
女剣士「なんだか新しい朝が来た感じでワクワクするな」
賢者「好きですよ、この感じ」
魔法使い「確かに悪くない。」
僧侶「どんな町になるかすごく楽しみだね!」
ヤマナミ大工「すみやせ〜ん、ヤマナミからきやした〜」
女剣士「はやっ」
賢者「早いにもほどがあるでしょ」

74 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/15(水) 11:27:49.92 ID:M4gVK0cAO
賢者「メイド長殿が敏腕なのは知ってますが……」
女剣士「私らがヤマナミから離れてすぐ活動しないとこんなに速くは来れないはず」
魔法使い「頭が下がる。 じゃあこちらも迅速に建設計画を発表する。」
商人「おおっ」
盗賊「始まるんだね!」
僧侶「私たちの町作り!」
犬たち「ワン! ワン! ワオ〜ン!」
僧侶「現在、26人と三匹! 街づくり開始!」
第一章 女剣士「目指せ!城塞都市!」魔法使い「はじまりのはじまり」完

75 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/15(水) 11:32:48.96 ID:M4gVK0cAO
とりあえず第一章はここまでです
まだスレが進んでないので、第二章もこちらに書きたいと思います
長編SSは初めて書きますけど、書けば書くほど複雑になっていくので怖いですね
いつも投下するまでに二日くらい悩みます
ご好意で読んで下さる皆さん、本当に有り難う御座います。
ミスがあったら女剣士ばりのツッコミをお願いします。

76 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/15(水) 12:31:02.51 ID:9UNMhJsXo
なやまず投下なさい

77 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/21(火) 00:54:17.17 ID:se91g7ZAO
やっぱり悩んでしまいました
第二章始まります

78 :以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします :2014/01/21(火) 00:54:43.38 ID:5N05yb2g0
乙乙!

79 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/21(火) 00:57:09.41 ID:se91g7ZAO
女剣士「目指せ!城塞都市!第二章!」僧侶「勇者と魔王」
〜〜メイド長の部屋〜〜
賢者「さて、なぜ私を見知らぬふりをしたのか聞いてもよろしいですか?」
メイド長「そりゃ、ウチがあんたを使ってやりたいことがあるからでしょ」
賢者「素直ですね。 でもたぶん……」
メイド長「魔法使いちゃんがいたら思い切れなかったけどねー。 女剣士ちゃんは王族を疑ったりしないだろうから」
メイド長「ところで、君がヤマナミ出身とかバレてないか?」
賢者「それは大丈夫だと思います。 王と顔見知りなのは知られていますから怪しいですが」
賢者「しかし、あの町で密かに動く自信があまりないのですが……」
メイド長「そうね。 とにかくあの魔法使いちゃんが鬼門過ぎる」
メイド長「とりあえず兄ちゃんのためにウチらがやるべきことはやる」
賢者「……私は自信が有りませんよ。 言いましたからね」
メイド長「策を持ってすれば落とせない奴はいない!はず!」
賢者「とりあえず勇者パーティーと肉弾戦は完全に不可能ですから」
メイド長「まあガチでやり合う必要がないんだけどさ」
メイド長「悪い話ってわけじゃないから」
…………
?「全く小細工をしてくれるなあ」

80 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/21(火) 00:59:58.24 ID:se91g7ZAO
?「甘くない相手なのは分かってるけどよ」
??「ですが、本当にマズいのは当面の敵よりあの者たちの方です」
??「回避しつつあの者を封印せしめればよろしいのですが……」
?「それについて策はあるさ。 とりあえずオレにやらせてくれ」
??「ご無理はなさらないように……」
…………
魔法使い「やるべきことは多い。」
狼主「全くだの」
狼主「西は触るな。 北の森の開拓は主に任せよう」
魔法使い「今狼主ちゃんがどっちの姿か分かりづらいよね」
狼主「見りゃわかるダロ」
娘主「とりあえず獣が女になってたら分かるだろ」
魔法使い「なんかシュール」
娘主「確かにな」
魔法使い「今のとこ、北の森さえ抑えられたら西の森には影響を与えることはない。 ただ、開拓が進めば戦いが起こる可能性が高い。」
娘主「腐れ縁じゃし、手伝っても構わんぞ」
魔法使い「狼主ちゃんは世話焼きだねえ、損しかしないでしょ。」
娘主「命が無くならないなら人に尽くすのもわりと狼心をくすぐられるものがあるんじゃよ」
魔法使い「私の女剣士に対する気持ちみたいなものかな」
娘主「それは初耳じゃな」
魔法使い「そう?」

81 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/21(火) 01:02:18.85 ID:se91g7ZAO
犬兄「ワン!」
犬兄(俺たちのオジさんは人間を救った勇者だったそうだ)
犬弟「ワンワン!」
犬弟(僕らと人の絆が深まるのは良いことだね!)
犬兄「ワン!」
犬兄(しかし俺たちはエサをいただくだけ!)
犬兄「ワン!」
犬兄(愛すべき僧侶様、魔法使い様、そして我らがリーダー女剣士様!)
犬たち「ワオン!」
犬たち(なにかあれば助けになりたい!)
犬妹「くう〜ん」
犬妹(でも私たちはオジさんの名前を汚しているかも知れない)
犬兄「ワン!」
犬兄(我らも努力せねばなるまい!)
犬弟「ワオン!」
犬兄(そのためにはオジが学んだと言う狼主様に協力を頼まねばならん!)
犬兄弟「ワオ〜〜ン!!」

82 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/01/21(火) 01:03:21.03 ID:se91g7ZAO
…………
大臣「ヌシらがやることは分かって居るだろうな?」
傭兵「人間を殺せば良いだけだろ? そんなに難しい話じゃねえよ」
傭兵「相手のパーティーは分かってるんだ」
大臣「相手は魔王クラスの相手じゃぞ?」
傭兵「勇者が魔王を倒していなかったら俺たちが倒していたさ」
大臣「そう思うから大金を積んだのじゃ」
大臣「任せたぞ」