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幽霊「殺されました」

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Part5
117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/08/28(水) 02:18:38.88 ID:GA9IpPR60
77
女「どこにいるのかな…」
武者「―――」
女「あ、守護霊さん」
幽霊「そっちに?」
武者「―――」
女「いた! ねえ、あなた! 大丈夫!?」
少女「……ん」
幽霊「生きてますね」
女「なんで手足の関節ごとに縛ってあるのこれ…」
幽霊「私もやられました。血流止めて壊死させるんですよ」
女「うえ。でも早い段階で見つかって良かった…これほどくべき?」
幽霊「クラッシュ症候群がちょっと怖いですけど…」
女「百十九番の指示を仰いどこうか。よいしょ、肩貸してあげるから…あつっ」
幽霊「ゆかりちゃん!?」
女「なんか体中痛い。事情説明が先か、睡魔が先か」
幽霊「もうちょっと、もうちょっとですから」

118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/08/28(水) 02:19:27.05 ID:GA9IpPR60
78
女「もうゴールするね…?」
幽霊「あかん、これからや。これからや言うとるやろ」
女「……」
幽霊「……」
女「茶番はここまでにしといて」
幽霊「はい」
女「うう、裸足で外は寒いなぁ…」
幽霊「吐く息真っ白ですね」
女「ふふ。生首もって、女の子抱えた寝間着の女なんて怖いだろうなぁ」
幽霊「怖いですねぇ」
女「……でも、終わったんだ」
幽霊「……そうですね」
女「完全に警察の手に渡さないと安心できないけど」
幽霊「それはそうですね」

119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/08/28(水) 02:19:56.15 ID:GA9IpPR60
79
女「これで、舞子ちゃんは自由になれる?」
幽霊「はい。おうちにも帰れますし、どこにでも行けます」
女「そう、よか…った…」
幽霊「ゆかりちゃん!? ゆかりちゃん!」
女「身体が、だるくて……眠いわ…睡魔には勝てなかった…よ…」

120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/08/28(水) 02:21:21.18 ID:GA9IpPR60
80
知らないほうが幸せ。
見えないほうが幸せ。
聞こえないほうが幸せ。

121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/08/28(水) 02:21:55.61 ID:GA9IpPR60
81
本当に?


122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/08/28(水) 02:22:54.29 ID:GA9IpPR60
82
もしかしたら、この考えは間違えているのではないか。
そう思った。
だから、目を開けた。
だから、耳を開いた。

123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/08/28(水) 02:23:24.40 ID:GA9IpPR60
83
それからしばらくすると。
「殺されました」なんて凄いことを言い出す幽霊があたしの横に立っていた。

124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/08/28(水) 02:23:58.95 ID:GA9IpPR60
84
女「あ……」
幽霊「ゆかりちゃん!」
女「見知らぬ天井だわ…」
幽霊「まあまあ大丈夫そうですね」
女「ここは、病院? しかも個室だ。じゃなくて、うまくいったの?」
幽霊「はい。女の子も助け出されて、あの男も捕まりました」
女「よかったぁ……」
幽霊「三日間」
女「ん?」
幽霊「三日間寝ていましたね」
女「…マジ?」
幽霊「マジです」
女「夜勤も日勤も無断欠勤だ…!」
幽霊「分かってくれるでしょうからそう悲観なさらずに…」

125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/08/28(水) 02:24:31.91 ID:GA9IpPR60
85
女「そうだ、あなたの身体はどうなった?」
幽霊「無事に家族と会えました。…お母さんは失神して倒れましたが」
女「そっか…」
幽霊「これから大忙しですね。事情聴取に、マスコミから逃げたり」
女「なにそれ。え? ちょっとまって、どうなってるの?」
幽霊「すっごいニュースになっていますよ。病院とご家族さんが対応してなかったらマスコミここまで雪崩れ込んでいましたもん」
女「なんで!?」
幽霊「カニバリズム男といい、失踪事件といい、生首もって発見されたといい、いいネタですよ」
女「うわああぁぁ、頭が痛い」
幽霊「ご愁傷様ですね…」
女「同じアパートに住んでいながら事件を防げなかったとかでも祭り上げられそう…」
幽霊「知らなかったのは仕方ありません。私も隣の隣の部屋の物音なんか聞こえませんでしたし」
女「うううフォローありがとう」

126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/08/28(水) 02:25:10.90 ID:GA9IpPR60
86
幽霊「でも」
女「ん?」
幽霊「申し訳ありませんでした。私があんなことお願いしたから」
女「いいんだよ。そもそも、舞子ちゃんが現れなくてもああなっていたはずなんだから」
幽霊「でも…」
女「この話はおしまい。あたしは助かった、舞子ちゃんは願いを叶えられた。それでいいじゃない」
幽霊「…ありがとうございます」
女「さて、起きたってこと報告しにいかないとだめかな」
幽霊「動かないでください。あなた、肋骨とかにヒビ入っているみたいなんです」
女「割と重症…!」

127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/08/28(水) 02:25:40.57 ID:GA9IpPR60
87
幽霊「ナースコール押したほうがいいんじゃないですかね」
女「そうだね」
幽霊「あ、ここに」
女「ありがとう。――あ…!」
幽霊「どうしました?」
女「ほら、窓見て。雪が降ってるよ!」
幽霊「わあ…」
女「これ積もるかな。どう思う?」
女「あれ……」
女「舞子ちゃん……?」
武者「探すな」
女「なんかいた! しゃべった!」
武者「……」
女「なんかごめんなさい泣かないでください」

128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/08/28(水) 02:26:17.72 ID:GA9IpPR60
88
武者「…あれは自分から去った。潮時だと思ったんだろう」
女「どうしてです? どうしてあたしから」
武者「我のような守護する立場なら良い。だが、小娘は地縛霊だ」
女「それが、なんの…」
武者「このまま居続けていればいつしか悪霊になる可能性もあったということだ。それを小娘も分かっていたのだろう」
女「だからって、こんないきなり消えなくてもいいのに!」
武者「察してやれ。お前は大人だろう?」
女「……」
武者「別れることは辛い。その感情すらも現世に魂を繋ぎ止めてしまう」
女「舞子ちゃん…」
武者「墓参りに行ってやれ。小娘も喜ぶだろう」
女「はい……」
武者「よっし話せた」
女「何か?」
武者「いや」

129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/08/28(水) 02:28:05.06 ID:GA9IpPR60
次回最終回。
シャワー中に誰かに背中をつつかれたりドアの向こうで気配がしますがみなさまいかがお過ごしでしょうか。

130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/08/28(水) 02:46:39.82 ID:nkJSEsceo
乙でした

136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/08/28(水) 22:57:24.13 ID:HfHh2jXr0
ゴーストバスターズ聴いてくるで!

137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/09/01(日) 16:09:40.55 ID:9JXlzJc7o
中々に犯人が狂ってていい

138 :以下、新鯖からお送りいたします :2013/09/05(木) 01:31:32.74 ID:1c74Ov5A0
89
女「もう春なんだねぇ」
女「あれから仕事辞めて実家に戻ってニート街道まっしぐらですよ」
女「法廷に出るのも疲れたし」
女「…お墓の下と冷凍庫、どっちが寒いんだろう」
女「考えてみると石の中に閉じ込められるんだから怖いよね」
女「でも、そこではゆっくり眠れるのかな」
女「……」
女「マスコミをどうにか振り切って、この前佐野家に行ってきたんだよ」
女「案の定泣かれてね」

139 :以下、新鯖からお送りいたします :2013/09/05(木) 01:32:30.31 ID:1c74Ov5A0
90
女「なんであなたは生き残れたのにあの子はだめだったのって、泣かれた」
女「気持ちはわかるかな」
女「関係のない人間よりか娘に生きてもらいたいもん」
女「あたしだって生きていてほしかった。今までの犠牲者の子たち、みんな」
女「でもさ――あたし、舞子ちゃんが生きていたなら死んでたんだよね」
女「舞子ちゃんが幽霊にならなければ、今頃あたしは……」
女「……」
女「どんな展開ならあたしたちは一緒に生きていられたんだろうね…」

140 :以下、新鯖からお送りいたします :2013/09/05(木) 01:33:26.57 ID:1c74Ov5A0
91
女「まあ、落ち着いた佐野ママに『一緒にあの子を出してくれてありがとう』って言われてさ」
女「お礼を言うのはこっちなのに」
女「…舞子ちゃんがいたからあたしはここにいるのにね」
女「それで、しばらく話して」
女「お墓の場所聞いてそれでここにいるってわけ」
女「あ、幽霊が見えるってことは言ってないよ? さすがにそれはイタイ子だから…」
女「ねえ。今どこにいるの?」
女「千の風になってるのかな。千の舞子ちゃん」
女「それは軽くホラーだわ……」

141 :以下、新鯖からお送りいたします :2013/09/05(木) 01:33:54.16 ID:1c74Ov5A0
92
女「さてと。そろそろ時間だから、行くね」
女「バイバイ」
武者「……」
女「守護霊さんも行きましょうよ」
武者「む…」
女「どうかしたんですか」
武者「小娘は…ここにはいない」
女「いない?」
武者「意味は直に分かるだろうな」
女「何それ怖い」


142 :以下、新鯖からお送りいたします :2013/09/05(木) 01:35:01.64 ID:1c74Ov5A0
93
女「ええと……電車の時間から逆算して…」
女「ん?」
幽霊少女「ううう…」
女「……」
女「あなた。どうしたの?」
幽霊少女「え、え? わたしが見えるの?」
女「はっきりくっきりぼやけて見えるよ」
幽霊少女「どういうこと…」
女「なんでこんなところで泣いているの?」
幽霊少女「この道路が」
女「うん」
幽霊少女「こわいから…わたれない」

143 :以下、新鯖からお送りいたします :2013/09/05(木) 01:35:34.98 ID:1c74Ov5A0
94
武者「…そこに花が供えられているな。比較的新しい」
幽霊少女「!?」
女「なるほど。この子のかな」
幽霊少女「誰ですかこのおじさん!?」
女「守護霊さん。ま、それはさておき」
幽霊少女「さておいちゃうんだ…」
女「怖いならあたしと渡ろう」
幽霊少女「なんで?」
女「傷つきますわーこれは傷つきましたわー」
幽霊少女「ご、ごめんなさい」

144 :以下、新鯖からお送りいたします :2013/09/05(木) 01:36:07.50 ID:1c74Ov5A0
95
女「冗談だよ。この横断歩行、わたらないといけないんでしょ?」
幽霊少女「う、うん。おうちが向こうにあるの」
女「じゃあ帰らなきゃ。あたしと一緒なら怖くない、かもね?」
幽霊少女「帰れるかな?」
女「帰れるよ。ほら行こう」
幽霊少女「う、うん」
女「しっかしトラック多いね。これはもうちょっと道をなんとかしたほうが――」

145 :以下、新鯖からお送りいたします :2013/09/05(木) 01:36:39.43 ID:1c74Ov5A0
96
「ほら、言ってる傍から危ないですよ」

146 :以下、新鯖からお送りいたします :2013/09/05(木) 01:38:15.97 ID:1c74Ov5A0
97
見えないほうが幸せだったかもしれないってずっと思ってた。

147 :以下、新鯖からお送りいたします :2013/09/05(木) 01:38:52.63 ID:1c74Ov5A0
98
女「え――」
「もう…見ているだけでおっかないです」
女「まさか…」
武者「矢張りかえってきたのか」
幽霊少女「?」

148 :以下、新鯖からお送りいたします :2013/09/05(木) 01:39:39.31 ID:1c74Ov5A0
99
でも、見えてよかったと初めて思えた。
見えていてもあたしは楽しかったから。
ありがとう。

149 :以下、新鯖からお送りいたします :2013/09/05(木) 01:40:54.06 ID:1c74Ov5A0
100
幽霊「お久しぶりです。驚きました?」
女「…驚いたよ、もう」

150 :以下、新鯖からお送りいたします :2013/09/05(木) 01:42:23.48 ID:1c74Ov5A0
101
生死をこえた友達というのも、なかなか面白いかもしれませんね。

151 :以下、新鯖からお送りいたします :2013/09/05(木) 01:43:16.74 ID:1c74Ov5A0
幽霊「殺されました」            
                          おわり
おそまつさまでした。
ご都合主義や急展開は申し訳ありません
擬音&地の文無ししばりはやっぱりきつかった…
それでは

152 :以下、新鯖からお送りいたします :2013/09/05(木) 02:01:28.61 ID:jpz4B9m3o

よかった

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