妹「電気つけないでぇっ!!!!」
Part2
98:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/09(火) 01:01:05.90 ID: Kav2TyQH0
妹に訊こうとしたが、本人は毛布に包まってパソコンに夢中。
ノートには、小さくボールペンで“日記”と書かれていた。
少し気になってしまい、軽い気持ちで1ページだけ開いた。
(部屋が暗くてよく読めない…)
ノートに顔を近づけ、文字を読み取ろうとすると――
妹「み、みないでっ!!」
妹は叫んで、僕からノートを取り上げた。
そして、僕を少しにらみつけるとそれを胸に抱きかかえた。
大事そうに、本当に大事そうに。
105:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/09(火) 01:05:13.80 ID: Kav2TyQH0
兄「…ご、ごめん」
妹「……」
毛布に包まったまま横になると、妹はため息を漏らした。
あの日記には、何が書いてあったのだろうか。
確かに人の日記を盗み読もうとした僕が悪かった。
(でも、あんな反応されると気になってしまう…)
.
.
.
110:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/09(火) 01:10:28.90 ID: Kav2TyQH0
妹と普通に会話をする練習を始めて、数十分…あるいは数時間が経った頃。
妹「……」
相変わらず、妹は目の前のパソコンに夢中。
(何が楽しいんだろうな…)
自分はその場で寝転がりながら、妹の姿をみつめた。
肩まで伸びた短いツインテール…。
モニターの光に照らされて、少し茶色がかっている。
(普通に可愛いのにな…)
外に出ていないせいか、肌が白くみえる。
ちゃんと学校行ってれば、彼氏ぐらいできただろうに。
そんなパジャマ姿で引きこもってばかりで…。
113 +1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/09(火) 01:13:20.97 ID: Kav2TyQH0
(…そうだ)
兄「なぁ、明日どっか出かけないか? 一緒に」
妹「……」
兄「どっか行きたい所とかないのか?」
妹「……」
まったくの無反応。
やっぱり駄目か――そう思いかけた時、妹の口が静かに開いた。
妹「…秋葉原」
119:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/09(火) 01:16:03.74 ID: Kav2TyQH0
兄「…え?」
妹「……」
まさか、反応してくれるとは思ってもいなかった。
しかし秋葉原――いわゆるオタクってやつがよく行くアレだろ?
(僕行ったことないぞ…)
けど――
兄「分かった。明日バイト休みだから一緒に行こうか」
妹「……」
妹は小さく頷いた。
139:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/09(火) 01:24:28.98 ID: Kav2TyQH0
次の日の朝、着替えて妹の部屋に向かった。
コンコン――とノックして扉を開く。
妹「……」
妹はぐっすり眠っていた。
兄「ほら、起きろ…。今日行くんだろ?」
妹「…んぅ」
可愛らしい寝顔だな…。
我が妹ながら、そんなことを思ってしまう。
兄「しょうがない…」
妹のわきに手を挟むと、そのまま持ち上げて半身を起こした。
146:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/09(火) 01:30:02.32 ID: Kav2TyQH0
(ん…?)
妹の体は、驚くほど軽かった。
元々小柄だけど、そんなのは関係無しに。
たぶん、食事をちゃんと取っていないせいとか、そういう類の。
妹「おにいちゃん…?」
すると、妹がゆっくりと目を覚ました。
兄「おはよう――って」
妹「えへ…」
突然抱きついてくる妹。
まるで昨日や一昨日とは別人のようだった。
156:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/09(火) 01:34:35.92 ID: Kav2TyQH0
いったい、どうしたんだろう?
(もしかして、まだ寝ぼけてるのかな…)
いつもの雰囲気とは格段に違う妹の顔は、とても幸せそうに微笑んでいた。
僕の胸に顔を押し付け、唇を引き締め、目をうっとりとさせて――
妹「――っ」
そして、それが兄である僕だと判断するやいなや、その場から飛び跳ねて布団に潜り込んでしまった。
妹「……」
兄「ほら、さっさと着替えて行こうか」
164:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/09(火) 01:38:29.48 ID: Kav2TyQH0
朝の妹の反応は、いったい何だったのか。
晴れた空を見上げながら、そんなことを考えていた。
妹「……」
家を出て少し歩いた後、妹はその場でしゃがみ込んでしまう。
兄「どうした?」
妹「…なんでもない」
妹は立ち上がり、歩き始める。
ここからバス停までたどり着くのに数分だが、妹の顔はいかにも辛そうだった。
兄「お、おい…なんだか無理してないか?」
妹「……」
172:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/09(火) 01:42:08.04 ID: Kav2TyQH0
また少し歩いた後、妹はしゃがみ込んでしまった。
(絶対何か無理してるよな、これ…)
兄「体調悪いのか?」
すると、妹は小さく頷いた。
妹「…生理かも」
――生理。
どれくらい辛いのかは男の自分には分からない。
けど、妹をそんなに無理させてまで連れ出そうとは思っていない。
兄「しょうがない、また今度にしようか」
177:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/09(火) 01:45:11.14 ID: Kav2TyQH0
妹「…うん」
そして僕は、妹の前にしゃがみ込み背中を向けた。
兄「ほら」
いわゆる、“おんぶ”ってやつだ。
それをみた妹は、目を細めながら汗を流し…
妹「…いい、だいじょぶ」
兄「ほら、そんな無理すんなって。たまには甘えていいんだぞ」
妹「でも…」
兄「たまには兄の顔を立てさせろ」
すると妹は小さくコクリ――と頷き、背中に乗っかった。
187:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/09(火) 01:50:44.20 ID: Kav2TyQH0
妹を背負って帰りながら、少し経った頃だった。
妹は恥ずかしそうに、僕の背中に顔をうずめたままだ。
兄「…久しぶりだな、こういうの」
妹「…?」
兄「こうやっておまえを担ぎながら家に帰るのってさ。」
妹「…そだね」
聞きそびれそうになるくらいの小さい声。
…果たして、いつぐらいからだったろうか。
こうやって、妹と普通に会話するのは。
子供の頃、よくこうやって妹をおんぶして家に帰っていた。
それが僕らの日常だったのに――
204:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/09(火) 01:55:57.52 ID: Kav2TyQH0
家に到着すると、両親は居なかった。
父は会社を経営し、母はどこへ行ったのかはわからない。
たぶん、どこか遊びに行ってるのかもしれない。
妹を部屋に連れ込み、布団にそっと寝かせた…。
兄「コンビニ行ってくるけど、何か欲しいものあるか?」
妹「…コーラ」
兄「分かった。ちょっくら行ってくる」
.
.
.
214:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/09(火) 02:00:38.99 ID: Kav2TyQH0
コンビニから帰ってくると、妹はぼーっとしていた。
半身を起こし、ただ天井をみつめたまま…。
兄「はい、コーラ」
妹「…ありがと」
それを渡すと、僕は布団の横に座り込んだ。
兄「…なぁ、なんでいつも部屋から出ないんだ?」
優しく声を掛けると、妹は僕の顔をみつめて
妹「…べつに」
そう言った
247:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/09(火) 02:11:39.46 ID: Kav2TyQH0
兄「父さんと母さんのこと、どう思ってる…?」
妹「…こわい」
あたりまえだ。
妹は昔から虐待を受け続けてきて、精神、身体共に病んでいるはずだ。
兄「でもさ…将来どうするつもりだ?」
妹「……」
妹は、ずっと俯いたままだった。
249:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/09(火) 02:13:21.38 ID: Kav2TyQH0
兄「このままじゃいけないって分かってるだろ?」
妹「……」
本当は、こんなこと言いたくなんかない。
でも僕は妹のことを想って、将来のことを思って言っているんだ。
兄「ちゃんと彼氏作ってさ…」
妹「……」
兄「結婚してさ…」
妹「……」
兄「そいつに養ってもらえよ…」
254:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/09(火) 02:15:54.26 ID: Kav2TyQH0
妹「……」
分かってるはずだ。
兄「…父さんや母さんはいつまでも養ってくれないぞ」
そんなこと、この子だって分かっているはず。
兄「…だからバイトとかしてさ…」
――。
妹「…もう、やだ…よ」
妹は、その場で泣き始めてしまった。
261:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/09(火) 02:20:25.46 ID: Kav2TyQH0
妹「そんなの…、言わないっ、で…」
(……)
困った。
少し言い過ぎたのかもしれない。
(でも…これは…)
いつもの泣き方とは、違う。
大粒の涙が頬を伝い、妹は手のひらで拭い続ける。
なんのことはない――ただ、兄に説教をされて泣いているだけだ。
だが、どうして、こんなに悲しそうに涙を流すのか。
269:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/09(火) 02:24:09.57 ID: Kav2TyQH0
兄「わ、わかったから…。もう色々言わないから、な?」
徐々に大きくなっていく妹の泣き声。
まるで子供みたいに、全てを拒絶するとでも言うように。
兄「お、おい…」
ドンッ、ドンッ、ドンッと足のかかとで床を叩きつけ、ついには大声で泣き出してまった。
兄「近所に迷惑だろ…、ほら落ち着けって」
…なんなんだ? これは
初めてみる妹の姿に、思わず寒気のようなものが背中を伝ってくる。
274:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/09(火) 02:27:16.93 ID: Kav2TyQH0
兄「ほら、よしよし…」
まるで子供を泣き止ますように、背中を摩ってやる。
それでも妹の大きな、家全体に響き渡る泣き声は止まることはなかった。
それでも、僕は背中を摩り続けた。
兄「ほら…」
もしかすると、妹は成長していないんじゃないか?
子供の頃から――部屋に引きこもり始めたあの頃から…僕はそんな風に考えてしまう。
妹に訊こうとしたが、本人は毛布に包まってパソコンに夢中。
ノートには、小さくボールペンで“日記”と書かれていた。
少し気になってしまい、軽い気持ちで1ページだけ開いた。
(部屋が暗くてよく読めない…)
ノートに顔を近づけ、文字を読み取ろうとすると――
妹「み、みないでっ!!」
妹は叫んで、僕からノートを取り上げた。
そして、僕を少しにらみつけるとそれを胸に抱きかかえた。
大事そうに、本当に大事そうに。
105:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/09(火) 01:05:13.80 ID: Kav2TyQH0
兄「…ご、ごめん」
妹「……」
毛布に包まったまま横になると、妹はため息を漏らした。
あの日記には、何が書いてあったのだろうか。
確かに人の日記を盗み読もうとした僕が悪かった。
(でも、あんな反応されると気になってしまう…)
.
.
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110:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/09(火) 01:10:28.90 ID: Kav2TyQH0
妹と普通に会話をする練習を始めて、数十分…あるいは数時間が経った頃。
妹「……」
相変わらず、妹は目の前のパソコンに夢中。
(何が楽しいんだろうな…)
自分はその場で寝転がりながら、妹の姿をみつめた。
肩まで伸びた短いツインテール…。
モニターの光に照らされて、少し茶色がかっている。
(普通に可愛いのにな…)
外に出ていないせいか、肌が白くみえる。
ちゃんと学校行ってれば、彼氏ぐらいできただろうに。
そんなパジャマ姿で引きこもってばかりで…。
113 +1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/09(火) 01:13:20.97 ID: Kav2TyQH0
(…そうだ)
兄「なぁ、明日どっか出かけないか? 一緒に」
妹「……」
兄「どっか行きたい所とかないのか?」
妹「……」
まったくの無反応。
やっぱり駄目か――そう思いかけた時、妹の口が静かに開いた。
妹「…秋葉原」
119:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/09(火) 01:16:03.74 ID: Kav2TyQH0
兄「…え?」
妹「……」
まさか、反応してくれるとは思ってもいなかった。
しかし秋葉原――いわゆるオタクってやつがよく行くアレだろ?
(僕行ったことないぞ…)
けど――
兄「分かった。明日バイト休みだから一緒に行こうか」
妹「……」
妹は小さく頷いた。
139:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/09(火) 01:24:28.98 ID: Kav2TyQH0
次の日の朝、着替えて妹の部屋に向かった。
コンコン――とノックして扉を開く。
妹「……」
妹はぐっすり眠っていた。
兄「ほら、起きろ…。今日行くんだろ?」
妹「…んぅ」
可愛らしい寝顔だな…。
我が妹ながら、そんなことを思ってしまう。
兄「しょうがない…」
妹のわきに手を挟むと、そのまま持ち上げて半身を起こした。
(ん…?)
妹の体は、驚くほど軽かった。
元々小柄だけど、そんなのは関係無しに。
たぶん、食事をちゃんと取っていないせいとか、そういう類の。
妹「おにいちゃん…?」
すると、妹がゆっくりと目を覚ました。
兄「おはよう――って」
妹「えへ…」
突然抱きついてくる妹。
まるで昨日や一昨日とは別人のようだった。
156:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/09(火) 01:34:35.92 ID: Kav2TyQH0
いったい、どうしたんだろう?
(もしかして、まだ寝ぼけてるのかな…)
いつもの雰囲気とは格段に違う妹の顔は、とても幸せそうに微笑んでいた。
僕の胸に顔を押し付け、唇を引き締め、目をうっとりとさせて――
妹「――っ」
そして、それが兄である僕だと判断するやいなや、その場から飛び跳ねて布団に潜り込んでしまった。
妹「……」
兄「ほら、さっさと着替えて行こうか」
164:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/09(火) 01:38:29.48 ID: Kav2TyQH0
朝の妹の反応は、いったい何だったのか。
晴れた空を見上げながら、そんなことを考えていた。
妹「……」
家を出て少し歩いた後、妹はその場でしゃがみ込んでしまう。
兄「どうした?」
妹「…なんでもない」
妹は立ち上がり、歩き始める。
ここからバス停までたどり着くのに数分だが、妹の顔はいかにも辛そうだった。
兄「お、おい…なんだか無理してないか?」
妹「……」
172:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/09(火) 01:42:08.04 ID: Kav2TyQH0
また少し歩いた後、妹はしゃがみ込んでしまった。
(絶対何か無理してるよな、これ…)
兄「体調悪いのか?」
すると、妹は小さく頷いた。
妹「…生理かも」
――生理。
どれくらい辛いのかは男の自分には分からない。
けど、妹をそんなに無理させてまで連れ出そうとは思っていない。
兄「しょうがない、また今度にしようか」
177:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/09(火) 01:45:11.14 ID: Kav2TyQH0
妹「…うん」
そして僕は、妹の前にしゃがみ込み背中を向けた。
兄「ほら」
いわゆる、“おんぶ”ってやつだ。
それをみた妹は、目を細めながら汗を流し…
妹「…いい、だいじょぶ」
兄「ほら、そんな無理すんなって。たまには甘えていいんだぞ」
妹「でも…」
兄「たまには兄の顔を立てさせろ」
すると妹は小さくコクリ――と頷き、背中に乗っかった。
187:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/09(火) 01:50:44.20 ID: Kav2TyQH0
妹を背負って帰りながら、少し経った頃だった。
妹は恥ずかしそうに、僕の背中に顔をうずめたままだ。
兄「…久しぶりだな、こういうの」
妹「…?」
兄「こうやっておまえを担ぎながら家に帰るのってさ。」
妹「…そだね」
聞きそびれそうになるくらいの小さい声。
…果たして、いつぐらいからだったろうか。
こうやって、妹と普通に会話するのは。
子供の頃、よくこうやって妹をおんぶして家に帰っていた。
それが僕らの日常だったのに――
204:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/09(火) 01:55:57.52 ID: Kav2TyQH0
家に到着すると、両親は居なかった。
父は会社を経営し、母はどこへ行ったのかはわからない。
たぶん、どこか遊びに行ってるのかもしれない。
妹を部屋に連れ込み、布団にそっと寝かせた…。
兄「コンビニ行ってくるけど、何か欲しいものあるか?」
妹「…コーラ」
兄「分かった。ちょっくら行ってくる」
.
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214:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/09(火) 02:00:38.99 ID: Kav2TyQH0
コンビニから帰ってくると、妹はぼーっとしていた。
半身を起こし、ただ天井をみつめたまま…。
兄「はい、コーラ」
妹「…ありがと」
それを渡すと、僕は布団の横に座り込んだ。
兄「…なぁ、なんでいつも部屋から出ないんだ?」
優しく声を掛けると、妹は僕の顔をみつめて
妹「…べつに」
そう言った
247:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/09(火) 02:11:39.46 ID: Kav2TyQH0
兄「父さんと母さんのこと、どう思ってる…?」
妹「…こわい」
あたりまえだ。
妹は昔から虐待を受け続けてきて、精神、身体共に病んでいるはずだ。
兄「でもさ…将来どうするつもりだ?」
妹「……」
妹は、ずっと俯いたままだった。
249:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/09(火) 02:13:21.38 ID: Kav2TyQH0
兄「このままじゃいけないって分かってるだろ?」
妹「……」
本当は、こんなこと言いたくなんかない。
でも僕は妹のことを想って、将来のことを思って言っているんだ。
兄「ちゃんと彼氏作ってさ…」
妹「……」
兄「結婚してさ…」
妹「……」
兄「そいつに養ってもらえよ…」
254:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/09(火) 02:15:54.26 ID: Kav2TyQH0
妹「……」
分かってるはずだ。
兄「…父さんや母さんはいつまでも養ってくれないぞ」
そんなこと、この子だって分かっているはず。
兄「…だからバイトとかしてさ…」
――。
妹「…もう、やだ…よ」
妹は、その場で泣き始めてしまった。
261:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/09(火) 02:20:25.46 ID: Kav2TyQH0
妹「そんなの…、言わないっ、で…」
(……)
困った。
少し言い過ぎたのかもしれない。
(でも…これは…)
いつもの泣き方とは、違う。
大粒の涙が頬を伝い、妹は手のひらで拭い続ける。
なんのことはない――ただ、兄に説教をされて泣いているだけだ。
だが、どうして、こんなに悲しそうに涙を流すのか。
269:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/09(火) 02:24:09.57 ID: Kav2TyQH0
兄「わ、わかったから…。もう色々言わないから、な?」
徐々に大きくなっていく妹の泣き声。
まるで子供みたいに、全てを拒絶するとでも言うように。
兄「お、おい…」
ドンッ、ドンッ、ドンッと足のかかとで床を叩きつけ、ついには大声で泣き出してまった。
兄「近所に迷惑だろ…、ほら落ち着けって」
…なんなんだ? これは
初めてみる妹の姿に、思わず寒気のようなものが背中を伝ってくる。
274:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/09(火) 02:27:16.93 ID: Kav2TyQH0
兄「ほら、よしよし…」
まるで子供を泣き止ますように、背中を摩ってやる。
それでも妹の大きな、家全体に響き渡る泣き声は止まることはなかった。
それでも、僕は背中を摩り続けた。
兄「ほら…」
もしかすると、妹は成長していないんじゃないか?
子供の頃から――部屋に引きこもり始めたあの頃から…僕はそんな風に考えてしまう。
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