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少女「あなた誰?」 宇宙人「えっ宇宙人ですけど」

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Part3
98 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 21:12:33.45 ID:uejvk9PhP
***
少女「……」
宇宙人「おかえりなさい」
少女「……」
宇宙人「日に日に『恐怖』の色は濃く、形は激しくなっています」
少女「……」
宇宙人「そんなに辛いなら、学校になど行かなければよいのでは?」
少女「……」
少女「……友達が、ほしいの」
宇宙人「……」
少女「……」

100 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 21:18:37.85 ID:uejvk9PhP
少女「ねえ」
宇宙人「何ですか?」
少女「あなたには、お友達、いるの?」
宇宙人「……ふむ」
宇宙人「情報交換を頻繁に行う個体はいますが……それはきっと、あなた方が言うところの『友達』ではないでしょうね」
少女「……そう」
少女「あなたも……友達いないんだ」
宇宙人「……」
少女「ふふ……ふ……」
宇宙人「どうして嬉しそうなんですか?」
少女「……別に」

102 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 21:24:17.91 ID:uejvk9PhP
少女「はぁ……」
宇宙人「……わたしは、あなたの生命の弱まりが心配です」
少女「……」
少女「『感情』の供給源がなくなるのが心配なだけじゃないの」
宇宙人「……」
少女「……ごめんなさい」
宇宙人「……」
少女「ママが呼んでるわ」
宇宙人「はい。いってらっしゃい」
少女「……」

103 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 21:30:19.29 ID:uejvk9PhP
***
宇宙人「学校に行かないのですか?」
少女「……今日は休みなの」
宇宙人「ああ……そうでしたか。何を読んでいるので?」
少女「小説よ。SF小説」
宇宙人「へぇ。小説を読むのがお好きなんですか」
少女「ええ。ここ最近は余り読んでなかったけど、小説に限らず本を読むのは好きなのよ」
宇宙人「なるほどなるほど。年齢のわりに語彙が豊富なわけがわかりました」
少女「本を読んでいるときだけはね……なんだか心が落ち着くの」
少女「想像の世界で活躍する主人公たちに感情移入している間は、嫌なことを忘れられるもの」

104 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 21:36:04.42 ID:uejvk9PhP
宇宙人「いま読んでいるのは、どんなお話なのですか?」
少女「いま読んでるのは……宇宙人と出会った女の子のお話なの」
宇宙人「え?」
少女「ある日突然、一人の女の子のもとに宇宙人がやってくるの」
少女「宇宙人は変な姿形をしているんだけど、なぜだか憎めないヤツで……」
少女「次第にね、女の子と宇宙人は心を通わせて、仲良くなっていくの」
宇宙人「……」
少女「ふふ。まるで、今の私たちみたいでしょう?」
宇宙人「……」
少女「本当に、まるで……まるで、私たちのことを描いたみたいなお話……」
宇宙人「……」


105 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 21:42:10.77 ID:uejvk9PhP
少女「……」
宇宙人「……」
少女「そういえば、あなたはどうしてこの星にやってきたの?」
宇宙人「……」
宇宙人「我々の種族の生体維持には、他の生命体の『感情』が不可欠であることは何度もお話ししたと思いますが」
宇宙人「これは必然的に、生命体、それも高次の知性をもつ生命体の存在が、我々の種族の存亡の鍵になるということです」
少女「あぁ、つまり……」
宇宙人「はい。我々は常に感情エネルギー採集地の開拓を行なっているのです」
宇宙人「私はこの星に現地調査として赴いた開拓員の一人です。私以外にも、何人かの仲間がこの星に降り立っています」
宇宙人「しかし、思いがけない事故で宇宙船の一部機能が壊れてしまったため、こうしてあなたにお世話になっているわけですね」
少女「……なるほど。そういうことだったのね」

108 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 21:48:45.02 ID:uejvk9PhP
宇宙人「あなたは……」
少女「ん?」
宇宙人「私たちが、どのような経緯で出会ったか覚えていますか?」
少女「……」
少女「……え?」
宇宙人「……なぜ、宇宙人の私が、あなたのもとに来たのか。私たちの出会いの記憶が、あなたにはありますか?」
少女「……えっ、え?」
少女「あ……」
宇宙人「……」
少女「……お、覚えてるわ。それはもう、も、もちろん!」
宇宙人「……」
宇宙人「……そうですか。それならばいいのです」

109 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 21:54:14.44 ID:uejvk9PhP
***
少女「……ヒック…………ヒック……」
宇宙人「……どうしたのですか」
少女「……ヒック……もぅやだぁ……」ポロポロ
宇宙人「……」
宇宙人「また、お父様に悪戯をされたのですか?」
少女「……ヒック……グス……………」ポロポロ
宇宙人「……」
少女「……ヒック……」ポロポロ…
宇宙人「……」

113 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 22:08:37.98 ID:uejvk9PhP
***
少女「……」
宇宙人「……」
少女「……」
宇宙人「……」
少女「……」
少女「…………今日、『二度と学校に来るな』って言われたわ」
少女「……何度も、何度も」
宇宙人「……」
少女「……」

119 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 22:18:34.13 ID:uejvk9PhP
***
宇宙人「……血が、出ています」
少女「……」
宇宙人「……」
少女「……ママが投げつけた物が、ぶつかったのよ」
宇宙人「……」
少女「……」
宇宙人「手当てした方がよいと思います。手伝いますよ」
少女「……」
少女「……ありがとう」

123 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 22:25:46.44 ID:uejvk9PhP
***
少女「……」
宇宙人「……」
少女「今日は、友達だったあの娘に叩かれたわ」
宇宙人「……」
少女「靴を隠されて、教科書に落書きをされて、下着を脱がされて教室の前に貼り出されたの」
宇宙人「……」
少女「貼り出された下着の前で膝をつかされて、『ごめんなさい』って言えって、言われたわ」
少女「『生まれてきてごめんなさい』って言えって」
少女「わたし、ごめんなさいって言ったわ。そしたら次は……」
少女「『こんな私が生きていることを許してくれてありがとう』って言えって」
宇宙人「……」
少女「『私たちに感謝しなさい』って言うの……」

124 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 22:33:49.49 ID:uejvk9PhP
***
宇宙人「……」
少女「……」
少女「パパが」
宇宙人「え?」
少女「パパが……最近エスカレートしてるの……」
宇宙人「……」
少女「きっと、もう時間がないと思う……」
少女「取り返しのつかないことが起こってしまうまで、もう、ほとんど時間が残ってないと思うの……」
宇宙人「……」

126 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 22:41:19.86 ID:uejvk9PhP
***
少女「ねぇ……」
宇宙人「なんですか?」
少女「私たちは……どうして、他の誰かをいじめるのかな」
宇宙人「……」
少女「……あなた、物知りだから分かるでしょ?」
少女「どうして弱いものいじめなんて起こるの?」
宇宙人「……」
少女「どうして、みんな、お互いに優しくなれないんだろう」

127 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 22:43:11.03 ID:vwjUX41S0
どうか間違いがおこりませんように

128 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 22:48:19.18 ID:4Jtkmjv20
もう最悪の展開しか思いつかない
どうなるんだ

129 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 22:48:47.95 ID:uejvk9PhP
宇宙人「欲求があるからです」
少女「欲求?」
宇宙人「奪い、殺して、食べる……生命の営みの基本です」
宇宙人「攻撃欲求、征服欲求、生命の根底にはこれらの欲求が横たわっています」
宇宙人「ある程度知性を発達させたあなた方のような種族にもなお、これらの欲求は根強く存在している」
少女「……」
宇宙人「承認されたい、権威を誇りたい……社会性の獲得によってこのような欲求も生じます」
宇宙人「攻撃欲求、征服欲求、示威欲求、あなたのお父様の場合は性的欲求ですが……いずれにせよ、欲求を満たすことで快感が得られます」
少女「……」
宇宙人「あなたのお母様は、あなたを養っている現況に不満をもっておられます」
宇宙人「不満の解消は、これもまた消極的ながら気持ちのよいものです」
少女「……」

130 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 22:49:23.93 ID:H8pzPJsy0
>>1の天才的な手腕により鬱エンドは回避されました
回避されてください

131 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 22:53:33.56 ID:4Jtkmjv20
回避されてください

132 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 22:55:51.17 ID:uejvk9PhP
宇宙人「それらの欲求や欲求不満は、いずれも他者の存在と密接に結びついたものです」
宇宙人「他人との関わりの中で満たされ、解消されることで、快感が得られる類のものだと言えます」
宇宙人「気持ちがよいのです」
宇宙人「いじめは気持ちが良い」
宇宙人「だからなくなりません。気持ちのよいことは誰もがしたいと思うことですから」
少女「……」
宇宙人「あなたは、彼らにとって悦楽の遊具に過ぎません」
宇宙人「……それが、あなたの知りたがっている答えです」
少女「……」
少女「……そう」
宇宙人「……」
少女「……そう、なんだ」

134 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 22:58:48.95 ID:4Jtkmjv20
深いな


135 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 23:00:42.08 ID:uejvk9PhP
***
少女「……」
宇宙人「……」
少女「ねえ」
宇宙人「なんですか?」
少女「私も連れていってくれない?」
宇宙人「連れていってとは……宇宙に、ですか?」
少女「……うん」
宇宙人「無理です」
少女「……」
少女「……どうして?」

136 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 23:05:02.82 ID:H8pzPJsy0
なん・・・だと・・・
連れて行っていろいろあってただいまハッピーエンドだと思ったのに・・・

137 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 23:06:54.72 ID:uejvk9PhP
宇宙人「あなたを連れ出せない理由は色々とありますが、主要なものは二つです」
宇宙人「第一に、私には感情エネルギー採集地を開拓する開拓員としての役目があります」
宇宙人「こうして協力してくれているあなたには感謝していますが、だからといって自分の任務を疎かにすることはできません」
宇宙人「そして、そもそも、現地民をこの星の外に連れ出せるだけの権限は、一開拓員の私にはありません」
少女「……」
宇宙人「第二に、私が利用する宇宙船には、肉体そのままではなく……情報体の形でしか乗船できません」
宇宙人「この肉人形……私の身体も、この星への下船時に構築したものであって、もともとこの姿形のまま宇宙船に乗っていたわけではありません」
宇宙人「つまり宇宙船に搭乗させるにはあなたを情報体化させねばならないわけですが、そもそも異種族の情報体化は、我々の種族の法では禁止されています」
宇宙人「以上より、その提案に頷くことはできません」
少女「……そう」
宇宙人「はい。……申し訳ありませんが、諦めて下さい」

138 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 23:13:08.44 ID:uejvk9PhP
少女「あの小説……」
宇宙人「え?」
少女「あのSF小説の主人公の女の子、ね……」
少女「最後の結末で、宇宙人と共に宇宙に旅立つの」
宇宙人「……」
少女「幸せそうな顔で、弾む足取りで、胸を夢一杯の期待でふくらませて……」
少女「宇宙人と手をとり合って……宇宙にね、飛び立つのよ……」
宇宙人「……」
少女「とても……幸せな結末でしょう?」
少女「……幸せな、……とても幸せな結末なの……」
少女「私もね、この星を飛び出せたら、きっと幸せな未来が待っているんじゃないかって……そう思うの……」
宇宙人「……」

140 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 23:20:08.21 ID:uejvk9PhP
宇宙人「もし……」
少女「え?」
宇宙人「もし、すべてが解決して幸せになれたなら……何をしたいですか?」
少女「……」
少女「そうだね……」
少女「あなたの生まれた星に行ってみたいかな」
宇宙人「……」
少女「って、あなたには生まれ故郷なんてないんだっけ?」
宇宙人「……そうですね」
少女「ふふ……でもいい。決めたの。それを私の夢ってことにするわ」
少女「全部うまくいくようなことがあったら、あなたの生まれ故郷でね、変な姿をした変な宇宙人たちに囲まれて……幸せに暮らすの」
宇宙人「……」

141 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 23:27:00.79 ID:uejvk9PhP
***
宇宙人「今日は、どうされたんですか?」
少女「……」
宇宙人「ひどい顔色ですよ」
少女「……」
宇宙人「……」
少女「……何でもないわ」
宇宙人「……」
少女「……何でもない」
少女「……いつものことだもの」

142 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 23:27:22.74 ID:4Jtkmjv20
・・・

143 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 23:35:23.88 ID:uejvk9PhP
***
少女「……」
宇宙人「……」
少女「最近なんだか身体が重いの……」
宇宙人「あなたの生命力の薄弱化は把握しています」
少女「……ねえ。私を連れて行くことができないなら……優しく殺してくれない?」
宇宙人「え?」
少女「あなた、前に言っていたでしょう。『一切の痕跡を残さず消滅させる』ことができるって」
宇宙人「……ええ」
少女「だったら、私を殺して? 痛みを感じる間もなく、一瞬で……」
宇宙人「……」

144 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 23:36:50.24 ID:+dFvCvUH0
少女ェ...

146 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 23:41:17.77 ID:uDDEM7Ry0
やめろ・・・
やめてくれ・・・

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