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少女「あなた誰?」 宇宙人「えっ宇宙人ですけど」

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Part2
56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 18:30:49.07 ID:uejvk9PhP
宇宙人「さて、排除プランの棄却は残念ではありますが……そうなると次善策ですね」
宇宙人「これを身につけて下さい」
少女「? なにこれ」
宇宙人「携帯型の防犯装置です。今日あなたがいないうちに作っておきました」
少女「……危ないものじゃないの?」
宇宙人「他人に危害を加えるものではありませんので心配しないでください。外部から強制的に他者の自律神経系に作用する微弱な電流を放出します」
少女「??」
宇宙人「その装置から出る電流にはリラックス効果がある、とでも思って下さい」
宇宙人「怒りっぽい人が少しだけ怒りっぽくなくなる程度の影響力ですし、後遺症などの心配も必要ありません」
宇宙人「いじめの根絶はできませんが、緩和効果くらいはあるはずです」
少女「……ありがとう」
宇宙人「……おや。暖かい色と形ですね。喜んでもらえたようで何よりです」

58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 18:37:35.82 ID:uejvk9PhP
***
宇宙人「おかえりなさい」
少女「ただいま! ねぇ聞いて、今日お友達ができたの!」
宇宙人「おやそうなんですか」
少女「うん! きっとあなたがくれたお守りのおかげね」
宇宙人「それはよかったですね。男の子ですか、女の子ですか?」
少女「女の子よ。……男の子は、ちょっと怖いわ」
宇宙人「……」
少女「そういえば、あなたって男の子? それとも女の子?」
宇宙人「私ですか? その分類で言うならば、一応『女の子』ですね」

59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 18:45:20.12 ID:uejvk9PhP
少女「へー」
宇宙人「なんですか?」
少女「てっきりあなたのことだから、『我々には性別などない』って言うのかと」
宇宙人「いえ、そんなことはありません。ただこの性別にはもはや高次の社会的意味合いは薄いでしょうね。種の存続という点に限った生物学的特色に過ぎないものです」
宇宙人「とはいえ、その交配についてもあなたが想像する営みとは食い違っているかもしれません」
少女「こ、こうはいって……」
宇宙人「ああ、すみません。性事情に羞恥を感じる文化をお持ちでしたよね」
少女「別にいいけど……それじゃあ、あなた達の場合どうやって子どもができるの?」
宇宙人「生命情報の直截的な連結と分裂です」
少女「?」

60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 18:45:44.95 ID:pr1lHJe+0
この空気感いいなぁ

62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 18:52:55.21 ID:uejvk9PhP
宇宙人「以前にも言いましたが、我々は半分が生命体で、半分が情報体です」
宇宙人「この『半分』というのは文字通り身体の半分ずつがそうなっているという意味ではありません」
宇宙人「『生命』という事象を科学的に解析することに成功した我々の祖先は、さらに続けてその生命現象を情報体として存続させる技術を確立させたのです」
宇宙人「つまり、我々は『生命と情報体』の二つで出来ているのではなく……正確に言えば『生命としての情報体』なのです」
少女「……」
少女「……あいかわらずよく分からないわ」
宇宙人「たとえば私が子どもを作ろうとしたら、自分の生命情報の一部と他者の生命情報の一部を直截的に繋ぎあわせた後、分離させます」
宇宙人「そうすると新たな生命情報が誕生するわけです。言うなればそれが、私の子どもですね」
少女「はぁ……なんだかすごいのね」
宇宙人「いえ、むしろある意味では原始的とさえ言うべきかもしれませんよ」


63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 18:59:31.39 ID:uejvk9PhP
宇宙人「付言すれば、我々は情報体ですから本来的には身体も必要ありません」
宇宙人「しかし、この情報体というやつも一長一短でして」
宇宙人「同種間での情報伝達・情報蓄積・情報処理といった点では素晴らしい効率性をもつのですが、いかんせん情報体化していない種族とのコミュニケーションをはかるのが不得手なのです」
宇宙人「この点については現在も改良が続いているので、時間が解決してくれる問題だとは思いますが……」
宇宙人「現時点では非情報体の他種族とコミュニケーションをとる場合、『肉人形』を情報伝達の媒体として使うという何とも原始的方法をとっているんです」
少女「肉人形?」
宇宙人「今あなたの目の前にある私の身体のことです」
少女「えっなにそれ」
宇宙人「私にとってこの身体は借り物です。別の身体を用意すればそちらに移ることもできますし、この身体が損傷しても私自身が死ぬことはありません」
宇宙人「とはいえ、我々にも個体ごとの趣味嗜好というものがあります。この肉人形も私の趣味で選びました」
宇宙人「どうでしょう? 人気モデルの女型なんですが……少しくらいは、かわいいと思いませんか?」
少女「えっ」
宇宙人「えっ」

64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 19:00:49.30 ID:0mKYiLsB0
えっ

65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 19:06:18.53 ID:uejvk9PhP
***
少女「ただいま! 今日はお友達と一緒にお昼ごはんを食べたのよ!」
宇宙人「おかえりなさい。それはとてもよかったですね」
宇宙人「感情モニタリングでも、『喜び』や『楽しみ』といった暖かい色や形が続いていましたよ」
少女「うふふ。あなたが来てからなんだか幸せよ」
宇宙人「でもそれだけではなく『緊張』……いえ、『戸惑い』といった感情も継続的に観測されましたが」
少女「あ……」
少女「実はね……男の子に告白されたの」
宇宙人「ほほぅ」
少女「こんなこと初めてだから、どうすればいいか分からなくって……」

66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 19:14:08.82 ID:uejvk9PhP
宇宙人「どうすればって、気に入った相手なら交配すればいいんじゃないですか?」
少女「へっ?」
宇宙人「できればズッコンバッコン励んで頂きたいですね」
宇宙人「彼氏が床上手であることを祈ります。あなたも幸せですし、私も感情採取ができて嬉しいです」
少女「……」
宇宙人「……あ」
少女「だーかーらー」
宇宙人「あっ、ちょっまっ」
少女「そーゆーこと言わないでって言ってるでしょ!」ツンツンツンツンツンツン!!!
宇宙人「あっ! 痛い! 痛いです! うっかりです! うっかりですってば!」

70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 19:21:51.38 ID:uejvk9PhP
少女「あなた、情報体とか何とか偉そうに言ってるけど……けっこうバカ?」
宇宙人「今は生体維持を可能にするだけの最小限のエネルギーしか使ってないので仕方ないんですよ」
少女「ふーん」
宇宙人「そんな疑いの眼差しを向けないでください」
宇宙人「そもそも我々の種族は、個体ごとの嗜好の違いはあっても、情報蓄積や情報処理は共有化できるため、賢さという点での個体差はあってないようなものなんです」
宇宙人「もっとも、知識の均質化は嗜好の方向性さえも限定してしまうので、趣味・嗜好の個体差も些細なものだったりするのですが」
宇宙人「このような個体間の多様性欠如というのも、情報体化のデメリットかもしれませんね」
少女「へぇ~。趣味や嗜好が限定されるって、例えば好きな男の子が被ったりとか大変じゃない?」
宇宙人「いえ、性愛などの感情は退化しています。我々の仲間内でもごく一部の者たちが趣味的に娯しむものでしかありません」
宇宙人「以前にも説明しましたが我々の生殖活動は肉体を必要としませんので、性欲などの低次欲求も退化してしまっているのです」
宇宙人「性欲が退化すれば、愛情も退化するものです。ついでに言えば、食欲や睡眠欲なども退化していますね」

71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 19:28:28.46 ID:uejvk9PhP
少女「そうなんだ……それじゃあ他にどんな欲求が残ったの?」
宇宙人「色々ありますが、大部分は……生存欲と知識欲ですね」
少女「へぇ~不思議。『食べたい』って欲求は消えたのに、『生きたい』なんて基本的な欲求は残ったんだ」
宇宙人「それが生命体としての限界というやつです」
宇宙人「生命体である以上、自己の生命の存続を求めずにはいられない」
宇宙人「生命現象の知的解析に成功してなお、我々は『自らが生命体である』というその事実を乗り越えることはできなかったのです」
少女「ふぅん。でも何だかつまらないわ。あなた女の子よね? それなのに、これまでもこれからも……好きな男の子はいないってこと?」
宇宙人「ええ。しかし別段そのことを不満にも思いません」
宇宙人「自分の子孫を残すのも、情報体コミュニティを存続させるための義務程度に考えています。他の仲間の多くもきっとそうでしょう」

72 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 19:36:01.58 ID:uejvk9PhP
少女「そうなんだ……それじゃあ他にどんな欲求が残ったの?」
宇宙人「色々ありますが、大部分は……生存欲と知識欲ですね」
少女「へぇ~不思議。『食べたい』って欲求は消えたのに、『生きたい』なんて基本的な欲求は残ったんだ」
宇宙人「それが生命体としての限界というやつです」
宇宙人「生命体である以上、自己の生命の存続を求めずにはいられない」
宇宙人「生命現象の知的解析に成功してなお、我々は『自らが生命体である』というその事実を乗り越えることはできなかったのです」
少女「ふぅん。でも何だかつまらないわ。あなた女の子よね?」
少女「それなのに、これまでもこれからも……好きな男の子はいないってこと?」
宇宙人「ええ。しかし別段そのことを不満にも思いません」
宇宙人「自分の子孫を残すのも、情報体コミュニティを存続させるための義務程度に考えています。他の仲間の多くもきっとそうでしょう」

74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 19:43:05.90 ID:uejvk9PhP
宇宙人「ですから、あなたの恋愛相談には乗ってあげられません。すみませんが」
少女「別にあなたにそんなこと期待してないわ」
宇宙人「十分なエネルギーさえあれば、仲間と共有しているデータベースを参照することで適切なアドバイスを引き出すこともできるのですが、残念です」
少女「いいって言ってるでしょ別に」
少女「どっちにしろ……男の子は少し怖いもの。お付き合いはお断りするわ」
宇宙人「そうですか。残念です」
少女「なんであなたが残念がるのよ……って、いいわ答えなくて」
宇宙人「いえ、別に交配のことだけではありません」
宇宙人「恋愛を楽しんでくだされば『喜び』や『楽しみ』などの様々な感情採取が効率的に行えそうなので、残念だと思ったのです」
少女「それは申し訳ないわね。でも、一朝一夕に性格なんて変えられないもの」
宇宙人「ええ、まぁ先を急ぐ旅でもありませんので、気長に待たせて頂きます」

75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 19:50:11.18 ID:uejvk9PhP
***
宇宙人「今日はどうされたんですか」
少女「……」
宇宙人「お父様やお母様と、何かあったので?」
少女「……」
宇宙人「これまでにない『恐怖』の感情が観測されました」
宇宙人「長時間続けばあなたの生命活動に支障を来たしかねない程の強さです」
少女「……」
宇宙人「……」
少女「……」
少女「…………パパ、が」
少女「…………パパが、『一緒にお風呂に入ろう』って」

76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 19:51:21.43 ID:4Jtkmjv20
ごくり・・・

77 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 19:55:26.45 ID:uejvk9PhP
宇宙人「お風呂ですか? 何か問題でも……」
少女「……」
少女「……」
少女「……さ」ジワ…
宇宙人「さ?」
少女「……さ、さわ、られたの」ポロポロ…
宇宙人「……」
少女「……色々な、ところ……さわられた、の……」ポロポロ…
宇宙人「……」

78 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 19:56:36.93 ID:4Jtkmjv20
・・・・・・・

81 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 20:02:59.41 ID:uejvk9PhP
少女「……ぅっ、……うっ……」ポロポロ…
宇宙人「…………やはり、排除しましょう」
少女「……だ、だめだよ。それはだめ……」
宇宙人「……」
少女「天国のパパとママが……許してくれないもん……」グス…
宇宙人「手を下すのは私ですし、あなたの意向によって行うわけでもありません。前にも説明したでしょう? 行為の責任は行為遂行者にあるものです」
宇宙人「もちろんこの原則にも例外はあり得ます」
宇宙人「行為を遂行した者と責任を負う者が必ずしも一対一対応するとは限りませんし、積極的に行為を為さなかったとしても消極的な関与によって責任が生じることもある」
宇宙人「しかし今回の件は、私があなたの意向を無視して勝手に行うことです。私の行為を生じさせた淵源があなたにあったとしても、その行為の責任はあなたにはない」
宇宙人「私があなたを悩ませる存在を排除したとしても、あなた自身がそのことで苦しむ必要はありません」

83 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 20:10:03.60 ID:uejvk9PhP
少女「……」ポロ…
少女「やっぱり、それはだめだよ」グシグシ…
宇宙人「……」
少女「その話を聞いた上で頷いてしまったら、私にも責任があると思うし……」
少女「仮にあなたが私の意思とは無関係にやったとしても、それでも私は責任を感じちゃうよ」
宇宙人「それは……」
少女「理屈じゃないの。……そういうものなの」
宇宙人「……しかしそれではどうすれば」
少女「どうしようもないんだよ。言ったでしょ。……『仕方ない』んだって」
宇宙人「……」

86 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 20:16:40.41 ID:uejvk9PhP
***
少女「……」
少女「……ただいま」
宇宙人「ここ最近、学校では穏やかな感情の色と形が続いていましたが、今日はどうされたんですか」
少女「……」
宇宙人「また以前のような『恐怖』や『悲しみ』の色と形で揺れていました」
少女「……」
少女「友達がね、私のこと……裏切り者だって」
宇宙人「……どういうことですか?」


87 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 20:24:00.14 ID:uejvk9PhP
少女「この前言ってた、私に告白してきた男の子のことで……」
宇宙人「確かお付き合いを断ったのですよね」
少女「……うん」
少女「私の友達がね、その男の子のことが好きだったんだって」
宇宙人「ふむ」
少女「それで、私がその男の子に告白されたことが、友達にばれちゃって」
少女「『裏切り者だ』って」
宇宙人「?? よく分かりませんね」
宇宙人「あなたがその友達の好きな男の子が誰かを知っていて、その上で、友達に断りなく男の子とお付き合いをしたならば、裏切り者となじられるのも無理はないと思いますが」
少女「……」
少女「……『可哀想だからお友達になってあげたのに、私の好きな男の子に告白されるなんて最低』って言われたわ」

88 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 20:31:15.68 ID:uejvk9PhP
宇宙人「……なるほど。なるほど」
少女「わたし……裏切り者なのかな」
宇宙人「……」
宇宙人「……あなたは彼女に対して、その男の子のことで偽りを働いたわけではありません」
宇宙人「しかし、彼女はあなたに期待を裏切られたと感じたのでしょう」
少女「期待、を?」
宇宙人「ええ。僅かな情報からの推測ですが、彼女はあなたを見下していたのです」
少女「……」
宇宙人「彼女はあなたに、『自分よりも可哀想な子』『自分よりも不幸な子』であることを望み、期待していたのです」
宇宙人「しかし、彼女が好意を向ける男の子は、自分にではなく、よりにもよって『自分よりも可哀想な子』であるはずのあなたを選んだ」
宇宙人「そのとき、彼女にとってあなたは『自分よりも可哀想な子』ではなくなってしまった。彼女の期待が裏切られてしまったのです」

91 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 20:38:02.00 ID:uejvk9PhP
少女「……そう」
宇宙人「そのような期待を抱いていた彼女があなたのことを裏切り者だと感じてしまうのは仕方のないことかもしれません」
宇宙人「しかし、だからといってあなたが裏切り者だという評価は、客観的に見て妥当なものだとは言い難い」
少女「……どうして?」
宇宙人「彼女はあなたと友好関係をもつに当たり、『常に自分よりも可哀想な子であれ』という契約を結んだわけではありません」
少女「……」
宇宙人「そしてまた、彼女のあなたに対する『常に自分よりも可哀想な子であってほしい』という期待も、あなたの種族の価値観に鑑みるに、正当な期待であるとは言い難い」
宇宙人「『無闇矢鱈に暴力を振るわないでほしい』という期待や、『私の陰口を叩かないでほしい』といった期待は、あなた方の文化では種族間関係における正当な期待と言えるでしょうが、彼女の期待についてはそうは言えないということです」
少女「……」
宇宙人「……分かりにくければ、はっきりと言いましょう」
宇宙人「あなたは、悪くない」

92 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 20:40:11.83 ID:4Jtkmjv20
おお

93 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 20:46:13.50 ID:uejvk9PhP
少女「でも……彼女を、傷つけたわ」
宇宙人「……」
宇宙人「彼女はあなたに身勝手な期待を抱いた」
宇宙人「そして、その身勝手な期待が叶わないことを嘆いているだけです」
宇宙人「期待も落胆も自分の世界の中で自己完結しているのですから、これは全き自己責任と言えるでしょう」
少女「……」
宇宙人「あなたに責任はない。あなたは悪くないのです」
少女「……」
少女「……『責任』ってね、突然誰かのもとに生まれたり、いつの間にかなくなったりするものじゃないと私は思うの」
宇宙人「え?」

94 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 20:52:54.92 ID:uejvk9PhP
少女「何かをしたから、その行為に応じて自動的に責任が生じるとか、対価として何かをしたら責任が消えるとか……そういうものじゃないと思うわ」
少女「たぶん、責任って、自分のものとして引き受けるものなんじゃないのかな」
宇宙人「引き受ける、ですか」
少女「うん……うまく説明できないんだけど。きっとね……覚悟が、必要なの」
宇宙人「……」
少女「どんな悪い事をしたって、その行為の結果を受け止める覚悟がないなら、それは自分自身に責任を引き受けてないってことなの」
少女「誰かの悪口を言ったって、誰かを殺したって……、その事実から目を背けているなら、そこには『覚悟』が……『責任』がないんじゃないかな。『無責任』なまま……じゃないのかなって」
少女「逆にね、仮にそれが自分に非のないことだとしても……」
少女「そのことを自分自身の問題として受け止めてしまったなら、それはもう、その問題を自分の『責任』として引き受けたってことになるんじゃないかと思うの」
少女「責任って、覚悟の形なんだと思うわ……」
宇宙人「……」

95 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 20:56:02.21 ID:+dFvCvUH0
こんな深い話になると誰が予想しただろうか

96 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 21:00:24.09 ID:uejvk9PhP
宇宙人「あなたが言っているのは『責任』ではなく、『責任感』のことなのでは?」
少女「……」
少女「ううん……違うの。そういうことじゃなくて……」
少女「たとえばね、ある人が悪い事をして、それを他の誰かが『悪いことだ』って指摘して、強制的に罰を与えたとするでしょ」
少女「でもその罰を受けた当人が、自分の行為の結果や、受けた罰について何処吹く風な態度だったら、やっぱりその人は『責任』を果たしていないんだと思う」
宇宙人「……」
少女「周りの人は、その人は『罰を受けた』んだから立派に『責任を果たした』んだって考えるかもしれないけど」
少女「私は……その人は責任を果たしてないと思う」
少女「だってその人は、最初から最後まで、自らが負うべき責任を自分のものとして引き受けていなかったんだもの」
少女「自分の責任なんて無関係に、ただ罰を受けただけに過ぎないわ」
宇宙人「……ふむ」

97 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 21:07:36.17 ID:uejvk9PhP
少女「あなたの言うことも頭では分かってるの。彼女のことで私に非はないんだって」
少女「でも理屈じゃなくて……彼女を傷つけてしまった事実を、私はもう既に自分のものとして引き受けてしまっているの」
少女「自分の意思とは無関係に、彼女の言葉を引き受けてしまっているから……」
少女「だから、私には彼女を裏切ったんだっていう責任が、やっぱりあるんだと思う」
宇宙人「……」
宇宙人「あなたがそう言うなら、これ以上は何も言いません」
宇宙人「しかし、それは辛い生き方ですよ?」
少女「……そう、かな」
宇宙人「あなたの考え方は、自分自身に過失がない場合ですら、本来負う必要のない責任を無理に背負いこむ者の思考です」
宇宙人「それは自身に対して一点の曇りすら看過すまいという狭量な態度であり、また柔軟性のない思考であると言えます」
少女「……」
少女「…………もう、寝るわ」
宇宙人「……はい。おやすみなさい」

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