引っ越してきた二つ年下の子
Part2数日後、一年で一番男子がソワソワする日、バレンタインデー。
俺も例に洩れずソワソワしていたが、結局学校では誰からももらうことはなく、
トボトボと家路を急いだ。
家に帰ると、俺の机の上に、綺麗にラッピングされたチョコらしきものが置いてあった。
最初、母親かと思ったが、こんな手の込んだことをするはずない。
「かあさん、これなんだ?」
俺はチョコらしきものを手に居間に行くと、母親に聞いた。
「ああそれ、夕方に香子ちゃんが持ってきてくれたんだよ。」
それだけ聞くと俺は大慌てで部屋に戻った。
香子が?なんで?しばらく会ってもいなかったのに??
60 :1:2009/08/25(火) 11:33:51.04 ID:9k1Z+XoP0
ゆっくりとラッピングをあけると、手作りらしいチョコと供に、
小さなカードが入っていた。
『初めて手作りしました。美味しくなかったらごめんね。香子』
俺は丸いチョコをかじると、ちょっとビターすぎな気もしたが、
十分美味かった。
思えばあの丸型は、サッカーボールだったのかもしれない。
なんか模様みたいな線がついてたし。
63 :1:2009/08/25(火) 11:36:55.04 ID:9k1Z+XoP0
すぐさま電話でもして礼を言えばよかったのだが、照れくさくてそれもできなかった。
きっと、ガキの頃の延長でくれたんだな。それくらいに思った。
しかしまあ、まったくそのまま会うことがなく。
ホワイトデーのお返しなんて気の効いたこともせず。
あっという間に中一は終わり、二年になった。
65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 11:38:11.25 ID:kgfbKzUT0
ここまであるあるwで来てここがない俺が悲しいwwww
68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 11:40:51.92 ID:Kyw6TK+g0
>>65
ワロスw
中二病とはよくいったものである。
クラスの面々は、一年の頃に比べ、よくも悪くも個性が増してきていた。
不良っぽいやつは、よりDQNな格好に。
勉強できるやつは、よりガリ勉スタイルに。
そして、リア充は、よりシャレっ気が増し、モテ男になっていた。
そのどれにも該当しない俺は、
学校ではサッカー部、家では漫画読んだりゲームしたりと、
比較的ノーマル(若干オタ寄り)な中二だった。
72 :1:2009/08/25(火) 11:46:24.34 ID:9k1Z+XoP0
ノーマルであるが故、女子に興味が出るのは当然のことである。
が、サッカーもヘタで至ってフツメンな俺に浮いた話はなく。
サッカー部でモテるのはレギュラーだけだし、
一大イベント修学旅行も、男友達とバカ騒ぎしただけで終わった。
そんな中、二年の冬休み直前。
一番中の良かったサッカー部の友人Sに、彼女が出来た。
そう、小六の時に俺をからかいまくったアイツだ。
74 :1:2009/08/25(火) 11:55:04.08 ID:9k1Z+XoP0
相手は、同じクラスのテニス部の子で、結構可愛かった。
部活の帰りにそれをSから聞いて、俺は心底驚いた。
「マジで?告白したの?」
「あ、それは向こうからw」
そっけなく言うSの余裕が憎たらしい。
それにしても、身近なヤツに彼女が出来たのが初めてだったので、
ショックというかリアルというか、なんとも言えない気持ちになった。
「裏切り者〜〜ッ」
Sをバシバシ叩く俺。
「なんだよ、お前だって仲良い女の子いたじゃん。」
Sが言ってるのは、間違いなく香子のことだ。
76 :1:2009/08/25(火) 11:56:19.09 ID:9k1Z+XoP0
「あれ、どうなったの?」
「いや香子は…ただの、近所の友達だから。」
ウソでもなんでもない。年下の女友達、というだけで、
それ以上は何もないんだ、俺たちは。
「ふーん。……でも、あの子は絶対お前のこと好きだと思ったけどなぁ。」
「………。」
じゃああんなに煽るなよ、とは言えなかった。
それに実際、俺自身が香子に恋愛感情なんてハッキリしたものは無かった。
何しろ、相手はまだ小学生だったし。そういう対象ではない気がした。
ただ、大切な存在ではあったと思う。
それ以上その話は続かず、俺とSは適当に喋って帰った。
77 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 11:57:10.05 ID:deVYXXpd0
おれだってこーちゃんなのに…
78 :1:2009/08/25(火) 11:59:51.09 ID:9k1Z+XoP0
冬休みが終わって、1月が過ぎ、そして2月。
俺は去年のことを思い出しながら、なんとなくまたチョコもらえるかなー、
と思っていた。
相変らず香子と会う機会は少なかったが、
去年のバレンタイン以降、たまに会った時には
談笑できるくらいの感じの仲には戻っていた。
そしてバレンタイン当日。
相変らず学校では全滅だったが、俺はちょっとウキウキしながら家に帰った。
そして、部屋の机の上を見る!
………何も、無かった。
81 :1:2009/08/25(火) 12:04:57.98 ID:9k1Z+XoP0
と、居間から母親が俺を呼ぶ。
「こーすけ、電話!」
Sがチョコを貰った自慢でもしてきたんだろうと思って、
母親から受話器を受け取る。
「もしもし?」
『あ、こーちゃん?香子です。』
途端に、心臓の鼓動が早くなる。
なら先に言えよ、と思って母親を見ると、ニヤニヤしがらこっちを見ていた。
「あ、うん、久しぶり。どーしたの?」
なんか、会話するたびに久しぶりって言ってる気がする。
『今、ちょっと真ん中公園に来れる?』
「ああ、平気だけど。」
『じゃ、来てね、私もすぐ行くから!』
電話は一方的に切られた。
86 :1:2009/08/25(火) 12:10:13.23 ID:9k1Z+XoP0
外に出るとすぐ、団地の真ん中の公園にいる香子が見えた。
「こんばんは。」
香子はまたちょっと背が伸びた気がした。今日は長い髪を下ろしている。
小さい時に比べ、髪のクセが無くなってきているような気がした。
「おう。電話、タイミング良かったな。今帰ったとこなんだ。」
「実はね、家からこーちゃんの部屋に電気が付くのを見てたのw」
なるほど、確かに向いの棟だから、そういうことも出来る。
「これ。」
香子はおずおずと手にした紙袋を差し出した。
中には去年の如く、チョコらしきものがラッピングされて入っている。
「ありがとう。」
今年はちゃんと礼が言えた。
89 :1:2009/08/25(火) 12:13:02.73 ID:9k1Z+XoP0
「去年は手渡しできなくて、ごめんね?」
「い、いや…俺も、礼もなにも出来なくて、悪かった。」
なんか、お互いで謝りあってる。
「今年は、去年よりは上手に出来たつもりだけど…」
「いや、去年のも美味かったよw」
「ホント?良かったww」
一年越しで去年のチョコの感想のやりとりをした。
こんな近くに住んでいるのに。
94 :1:2009/08/25(火) 12:17:07.61 ID:9k1Z+XoP0
「4月から、中学生になるよ。」
「知ってるよww」
「一年だけだけど、また同じ学校に行けるねw」
香子は無邪気にそう言った。
「そうだな、楽しみだな。」
俺も小学生の時より少しは成長していたのか、素直に答えることができた。
「……ねえ、4月から、また前みたいに、一緒に学校行ってくれる?」
「え?」
「たまにでいいから。」
夜の闇のせいではっきりとは分からないが、
香子の頬は、ちょっとだけ赤く染まってる気がした。
97 :1:2009/08/25(火) 12:19:55.49 ID:9k1Z+XoP0
「俺、朝練もあるから、ホントにたまにだぞ?」
「うん!たまにでいい。…ありがとう。」
緊張した表情だった香子はやっと微笑んでくれた。
「じゃ、帰るね!」
「うん。」
勢いがついたのかテンションがあがったのか、
香子はそのまま走って家へと戻っていった。
100 :1:2009/08/25(火) 12:26:20.50 ID:9k1Z+XoP0
中三の春。
俺は、いつもの進級とは違った気分で迎えていた。
香子はセーラー服がよく似合っていた。
俺は朝練があったので、言うほど一緒に登校は出来なかったが、
たまに一緒に行けたときは、学校のことをよく話してくれた。
香子も小一のときとは違い、友達もたくさんいるし、
ブラスバンド部に入って、部活も頑張っていた。
まもなく俺は最後の大会が終わり、サッカー部を引退となった。
結局三年までスタメンに選ばれることはなかったが、
最後の大会は途中出場で試合にも出れたので、満足していた。
101 :1:2009/08/25(火) 12:32:36.51 ID:9k1Z+XoP0
それから受験勉強の日々が始まる。
「勉強、大変?」
「まあね。」
俺が引退した後は、香子と一緒に登校する機会は増えていた。
毎日ではないが、週に二、三くらい。
「受験ってどんな感じなのかな。」
いまいち実感が湧かないという顔をする香子だが、
実は香子はかなり成績が良いので、この地区で一番の
公立進学高である○○高を目指すことになるのは間違いなかった。
そして俺は、ある決心をしていた。
「俺、○○高を目指すよ。」
「ホント?あそこ、難しいんでしょ?」
「うん。でも、やってみる。」
俺の成績は中くらいで、はっきり言って○○高は相当厳しい。
それでも、やってみるつもりでいた。
たった一年、また香子と同じ学校に通うために。
105 :1:2009/08/25(火) 12:36:23.48 ID:9k1Z+XoP0
それから受験までは、まさに勉強漬けの日々だった。
今まで行った事のなかった「塾」というものにも行ったし、
夏休みも何が休みなのかっていうくらい、勉強した。
何か目標があってやるということは、結構重要なことらしい。
冬くらいになると俺の成績は、先生も驚くほど上がっていた。
Sは、そんな俺を見ながら、
「まるで横島クンだな。煩悩パワーだw」
と笑っていた。
ちなみにヤツは、そんな俺より成績が上なのが腹立つ。
107 :1:2009/08/25(火) 12:39:14.92 ID:9k1Z+XoP0
受験勉強で忙しいため、俺と香子はこの一年、
登校中くらいしか話すことはなかった。
が、それでも良かった。俺には、十分力になった。
それにこのときに至ってさえ、俺は香子に対して
恋愛感情は無いんだと思っていた。思い込んでいた。
ただ、また、こうやって一緒に喋れたらいいな。
そう思って、勉強に打ち込んでいた。
春が来て、受験が終わり、
そして、合格発表の日が来た。
受験前後から、香子は受験の類の話を全然しなくなった。
おそらく、気を使ってくれたいたんだろう。
確かに、こっちの精神は異常なほど研ぎ澄まされていたし、
発表まで気が気じゃなかった。
発表の日、俺はSと供に観に行った。
112 :1:2009/08/25(火) 12:45:52.85 ID:9k1Z+XoP0
「あ、あった。」
Sはあっさりと自分の番号を見つけた。
まあ、ヤツの実力なら当然の結果だ。
「じゃあ、俺のも一緒に探してくれよ!番号は…」
「いや、だからあったんだって。俺のも、お前のもw」
はい?
俺は一瞬状況がわからなくなったが、すぐに意識を取り戻す。
「まじかーー!どこだ!」
「だから、あれww」
笑いながらSが指した先に、確かに俺の番号はあった。
「あった!やったーーーー!!!」
「良かったなw」
やたら冷静なSをよそに、俺は大きくバンザイした。
118 :1:2009/08/25(火) 12:51:16.28 ID:9k1Z+XoP0
合格したらすぐに中学に来いと先生に言われていたが、
それよりまずは電話だ。
Sは携帯で家に電話していたが、俺は持ってなかったので
公衆電話から電話をかけた。
しかし、家ではない。香子の家だ。
約束も何もしていなかったが、俺は何故か、
香子が家で待っていてくれてるような気がしたから。
「はい、佐々木です。」
一度きりのコール音の後、電話に出たのはやっぱり香子だった。
「俺、幸介。」
「こーちゃん!…その、どうだった?」
「受かったよ、合格!」
俺は敢えて冷静にかっこつけようと思ったが、
テンションが上がって、どうも駄目だった。
「ホント!?やったね!良かったね!!」
受話器の向こうで、香子のテンションはもっと高かった。
121 :1:2009/08/25(火) 12:58:12.64 ID:9k1Z+XoP0
そして、4月。
俺は、高校生になった。
制服はガクランのままだったが、女子のブレザーが可愛かった。
「こーちゃん、部活どうするの?またサッカー部?」
高校に入ってすぐ、俺と香子は公園で喋っていた。
「うーん、どれにするか悩んでるんだけどな。あ、サッカー部には入らないよ。」
「え、どうして?」
「俺、サッカーのセンスないみたいだしw どうせなら、別のこともやってみたいし。」
ちなみにウチの高校はサッカー部は人数も多く、
中学の時スタメンだったSもなかなかレギュラーになれなかったくらいだ。
「じゃあ、ブラスやろうよw」
「ブラバンかぁ。高校からでも、やれるかな。」
「大丈夫だよ。楽しいよ?」
ニコニコと話す香子につられて、それも悪くないかな、と思えてきた。
「じゃ、やってみようかな。」
「うん、やってみて!」
先に行って待ってるぜ、とは言えなかったが。
122 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 12:58:30.23 ID:wJzIkeocO
この香子ちゃんはどこで買えますか?
124 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/25(火) 13:00:46.00 ID:QIlH57XN0
このギャルゲのタイトル教えて!
126 :1:2009/08/25(火) 13:02:33.64 ID:9k1Z+XoP0
俺はブラスバンド部に入ったが、最初は散々だった。
ほとんどの人が中学から、もしくは小学からやっている部員ばかりで、
譜面も読めなければ音もまともに出ないのは、俺くらいだった。
が、サッカー部と受験勉強で鍛えられた忍耐力で、辞めることはなかった。
そして、なんだかリズム感はいいらしいということで、パーカッション担当になった。
これが意外に楽しく、ドラムセットまで8ビートくらいなら叩けるようになった。
130 :1:2009/08/25(火) 13:06:16.41 ID:9k1Z+XoP0
毎日の楽しい部活と、勉強の忙しさもあって、
俺は香子となかなか会うことが出来なかった。
だが、これは中学のときもそうだったし、仕方ないか、と思っていた。
高一の一年間はあっという間に過ぎた。
この年のバレンタインはお互いの都合が合わず、
結局母親が預かってくれるパターンだった。
だが、俺もお返ししなくてはならないということにようやく気付き、
ホワイトデーにはクッキーを持っていった。
生憎、香子は居なかったが、お母さんに預かってもらった。
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