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去年のGWでの一人旅のお話

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Part5
90 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 01:10:16.46 ID:vUl2AkCi0
次に幽霊は出ないことについて
これについては決して住職の強がりでも何でもない
見たという人は是非私に直接教えて欲しいと言っていた
何年もここにいて、夜中に何度か散歩したこともあるが、人魂一つ見たことがないと
幽霊というものがここに存在するのであれば、是非出てきて欲しい
たまーに聞く恐山での幽霊話なんて、もし仮にそれ目当てで来たお客さんをがっかりさせることになる
出るなら定期的に、最低でも1ヶ月に1・2回程度は出てもらわないと困る、と
そもそも恐山の本尊は地蔵菩薩
弱い霊も救って成仏させるという慈悲深い地蔵菩薩様がいるのに、成仏出来ない霊が彷徨うなどということはあってはならない
そして霊という存在自体、いるかいないかは証明は出来ない・・と言っていたが、これについては何か難しい話になったのでうまく言葉にできない
ちなみにイタコについてだが、弱い霊も成仏させてくれるという地蔵菩薩を本尊におく恐山
対して死んでしまった故人の魂を呼ぶとされるイタコ
成仏させる恐山、霊を現世に呼び戻すイタコ、どう考えてもこの二つが相容れることはないとのこと
他にも沢山話を聞いたけど、何となく覚えてはいても文章にして伝えることが出来ない
気になる人は恐山に泊まっちゃって説法聞いちゃってください

91 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 01:13:43.42 ID:vUl2AkCi0
説法も終わり、自由時間となったので部屋に戻る
ここで外湯の存在を思い出し、浴衣に着替えて外に向かう
外湯のある参道に出ると、少しの明かりを残して見事なまでに真っ暗
日の光が消えた寺というのは少々怖いものがあるが、住職を信じて外湯へ向かう
まずは参道から左側
かなり古い横長の小屋の戸を開けると、のれんも何もなく、いきなりの脱衣所
そして脱衣所と湯船との間に木の壁はあるものの、上部は胸くらいまでしかないので入ってすぐに湯船が見える
シャワーも何もなく湯治湯のような温泉なのでここで身体を洗うことはない
ちなみに湯船は2つあり、小さく、せいぜい4人が限度といった狭さで、既に合わせて3人程入浴中だった
湯船に入ると相変わらずの湯の花
ケツが滑る滑る
ただ狭い湯船なので、背中を壁につけて足を前に投げ出して身体を固定すれば滑ることはない
10分も入るとかなりしんどくなる熱さなので、5分程度で湯船の縁に腰掛け、少し涼む
これを2度程繰返して次に向かうことにする

92 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 01:15:01.34 ID:vUl2AkCi0
外に出ると、温まった身体に夜の冷えた空気がとても気持ちいい
なんと言ってもここは山の中なので空気もキレイ(硫黄臭いけど
続けて参道を横切り、もう一つの外湯へ入る
ここでもほとんど同じような感じだったけど、入ってすぐの脱衣所と湯船の間の壁の造りが違った
こちらは入ってすぐ両脇に脱衣所があり、正面に壁がある
先ほどのよりも少し高いけど、少し伸びれば余裕で湯船が見える
ただ、壁の両側が空いているので、その壁ももはやあってないようなもの
先に入ってるおっちゃんたちに見られながら着替えを済ます形となる
同じように温泉に入り、外に出て散歩する
気持ちいいけど湯ざめしない程度に散歩して戻ろうとすると、もう一つの外湯があることを思い出した
恐山の境内地図に載っていたが、参道沿いではなく、宿坊の裏手にぽつんとあるようだ
何を隠そう、そこは唯一の混浴だった

93 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 01:17:37.16 ID:vUl2AkCi0
正直、混浴は気が進まなかった
万が一鉢合わせたら恥ずかしいじゃないか
もっと言えば、男だけ集まってたら何か情けないじゃないか
混浴自体には興味はなかったけど、せっかく来たんだから全ての外湯には入っておきたかった
今はみんなが自由時間であり、外湯巡りをしている人も多かったので混浴に誰かがいる可能性は大いにある
そこで俺は早朝に混浴の外湯に入ることにして、宿坊に戻った
部屋に入ると俺はすぐに寝た
確か時間は9時くらいだったので、大体4時くらいに起きればちょうどいいだろうと思い、眠りにつく
ちなみに恐山宿坊には朝のお勤めがあり、それは6時から始まる
十分に間に合うので、ゆっくり浸かることを妄想しながらいつの間にか寝てた
布団で寝るのは久々だったしね、ほんとうにゆっくり寝れたと思う

94 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 01:20:34.76 ID:vUl2AkCi0
朝、目が覚めるとちょうど4時を過ぎた頃だった
これまたいい時間に目が覚めたと気分がよくなる
身支度を済ませ、しばらくぼーっとしてから外湯に向かう
5月と言えども、早朝の青森、そして山の中ということもあり結構肌寒かった
やや駆け足で宿坊の裏に回り、混浴の外湯を発見する
寒かったのでさっさと中に入り、5月なのにさみーなぁ・・とか独り言言いながら浴衣を脱いだ
浴衣だから脱ぐのはもう一瞬だよね
で、湯船に入ろうと目を向けると衝撃的な光景が目に入る
誰かいる
しかも女性?
俺「・・・・・・・・」
俺「あっ!すいません、後できます!」
急いで浴衣を着て外に出ようとする
??「いえ!どうぞ。気にしないでください」
俺「!!?」


95 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 01:22:40.18 ID:vUl2AkCi0
俺「いや、ちょっと・・・いいですよ、ゆっくり入っててください」
??「寒そうなんで気にしないでくださいw」
俺「じゃあ・・・すいません、失礼します」
湯船に向かうと、女性の顔がはっきり見えた
かすみでした
かすみ「おはようございます」
俺「おはようございます・・・」
湯船は2つあり、かすみは手前に入っていたので俺は奥の方に入る
俺「・・・・・」
かすみ「・・・・・」
俺「朝、早いんですね」
かすみ「あ、早朝なら誰もいないかなーと思って」
かすみ「せっかくだからこっちも入っておきたかったんですけど、夜だと結構人がいそうで恥ずかしくて」
かすみ「だから朝にしたんですけど、もしかして同じこと考えてましたねw」
俺「全くそのとおり・・・早朝なら誰もいないかなーと思ったけど同じこと考えてましたね」

96 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 01:24:20.62 ID:vUl2AkCi0
薄い白濁湯なのが救いだった
昨日の夕方に話した時と同じように話すことが出来て、なんとか普通に会話することが出来た
本当はダメなのかもしれないけど、2人ともタオルを湯船の中に入れて隠していたし、少し白濁なので目を凝らさなければ中は見えない
かすみ「俺さんはいつまで連休なんですか?」
俺「8日までかなー」
かすみ「へー、なんかちょっと連休ズレてる?んですね」
俺「そうだね、全員で一気に休むわけにはいかないから、少しズラして連休もらうんだよ」
かすみ「なるほど!私は12日くらいまで休むつもりですw」
俺「長いねw てか学生さん?」
かすみ「そうです、大学2年なんですよ」
また大学2年生
なんだろう、大学2年て旅に出たくなるお年頃なのかな?
でもあの2人に比べると落ち着いてると言うか、個人的にはすごく話しやすい印象だった

97 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 01:26:03.33 ID:vUl2AkCi0
俺「じゃ今日はこのまま青森とか観光する予定?」
かすみ「うーん、車だったら色々行けそうですけど、このまま帰ろうかなーと思ってます」
俺「え?でも12日まで休みなんでしょ?」
現在は5月5日
かすみ「そうですけど、うーん・・・」
俺「何かあるの?」
かすみ「いえ、予定とかはないんですけど、行きたいところがここだけだったので、帰ってゆっくりしようかなって」
俺「なるほどー、まぁゆっくり休むのも大事だよねw」
かすみ「俺さんはこのまま帰るんですか?」
俺「そうだね、こっからは帰るだけだけど、来た道戻るのも面白くないから日本海側から色々周って帰ろうかなと」
そんな感じの話をしながら、かすみは暑くなったのか湯船から出ようとしていた

98 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 01:27:45.76 ID:vUl2AkCi0
かすみ「じゃ、私そろそろ出ますね」
俺「うん、色々ありがとう」
かすみ「いえ、こちらこそ楽しかったです」
かすみ「・・・・」
俺「・・・あっ、ごめん」
俺はそのままの形だったので、かすみが湯船から出ようとすると視界に入る
それを気にしてかすみは出れなかったようで、俺は空気的にそこに気が付いてしまった
俺はかすみに背を向けると、かすみは小さく「すいません」と言って着替えを始めたようだ
かすみ「ではお先に行きますね」
俺「うん、俺ももう出るよー」
かすみ「あ、すいません、私出ないと上がれないですよね・・・失礼しますね」
ガラッと音がして、かすみは出て行った

99 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 01:29:16.38 ID:vUl2AkCi0
なんとなく息詰まった空気から開放されて俺は深く溜息をついた
俺も結構のぼせそうな感じだったので、そのまま湯船から出ると身体を拭いて浴衣を着る
外に出ようとガラッと戸を開けると
かすみ「あっ」
俺「!!」
外に出てすぐ横にかすみが待っていた
かすみ「良かったらちょっと散歩しませんか?」
俺「え?あ、ぜひぜひ!行きましょ」
昨日の夜と同じく、俺も正に散歩してから戻ろうと思っていた所だった

100 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 01:31:46.14 ID:vUl2AkCi0
談笑しながら、かすみと早朝の恐山を散歩する
本堂の奥は岩場になっているので、宿坊のサンダルで来ていた俺たちはそこで足止めとなった
本堂にお参りして、ゆっくりと参道を歩いて戻った
かすみ「気持ちいですねー」
俺「うん、朝はやっぱり空気いいね」
チラッと横を見ると、肩より少し長いストレートの黒髪を後ろで束ねたかすみが隣を歩く
浴衣から覗くうなじが綺麗で、ついつい見とれる
宿坊備え付けの巾着袋を両手で持ち、木製のサンダルで歩く姿は、可愛いというより美しいという表現がよく似合っていた
俺「あのさ・・・」

101 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 01:33:32.40 ID:vUl2AkCi0
かすみ「はい?」
俺「もしこのまま帰るんだったら、良かったら一緒に帰らない?・・かなー・・・って」
かすみ「えっ・・・」
なんかついつい言ってしまった
このままここで別れてしまうのがちょっと寂しかったんだ
かすみ「あ・・・でも・・・」
俺「無理にとは言わないけどさ、同じとこに帰るなら一緒にどうかなーと・・・」
かすみ「・・・・・」
俺「・・・あ、でもごめん、泊まるとこ多分車の中になるから・・・だめか、忘れてw」
かすみ「・・・・」
かすみ「俺さんがいいなら・・・」

102 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 01:35:34.69 ID:vUl2AkCi0
俺「!!!」
かすみ「いいですか?一緒に行って」
俺「や、でも泊まるとこが」
かすみ「大丈夫ですよ、そういうのは。さっきもそうですけど、なんか俺さんはそういうとこ大丈夫そうw」
かすみ「それに秋田の方から帰るんですよね?そっちもちょっと行ってみたいです」
どうやらかすみは混浴でのことで少し信頼してくれたらしい
後で聞くことになるけど、一人旅は今回が初めてで、思ったより寂しくなったんだそうだ
だからこのまま帰ろうとした所で誘ってくれてちょっと嬉しかったと
そして2人っきりになっても手を出さないところ、というかはっきり言って奥手な印象を受けたから大丈夫そうだと思ったと
つまり根性無し、所詮は童貞
いやそこまでは言ってないけど、要するに一緒に寝ても大丈夫そうだということだった

103 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 01:36:40.72 ID:vUl2AkCi0
かすみ「よろしくお願いします(ペコッ」
俺「あ、あぁ・・・ほんとに?」
かすみ「はい」
俺「おー・・・よし、じゃ行こう!」
かすみ「何時くらいに出る予定ですか?」
俺「うーん、8時・・・か9時くらいかな?ご飯終わってからもう一回内湯に入ってこようかなって」
かすみ「なるほど、私もそうしますね!じゃあ8時くらいにロビー集合でいいですか?」
俺「そうだね、そうしよっか」
そのままロビーで別れて、お互いの部屋に向かった
お勤め前にかすみと再開し、そこから一緒に行動することになった

105 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 01:38:45.92 ID:vUl2AkCi0
お勤めは本堂内で行い、宿坊から少し外に出て廊下を歩いて中に入った
まぁ・・・普通にお経を聞いただけだったから何も言うことはない
ちなみに私は神も仏も全く信じていないけどこんなとこに来ている
その後は朝食だったが、相変わらず席は決まっているので別々に食事をとる
ちなみに夕食もだけど、精進料理のような感じでちょっと少なめ
朝食を終えて部屋に戻り、荷物を整理してから大浴場へ向かう
身体を洗って部屋に戻るまで、かすみと会うことはなかった
8時を過ぎた頃だったのでロビーに向かうと、かすみはもう座って待っていた
俺「ごめん、待たせたかな?」
かすみ「いえ、ほんとに今来たところなのでバッチリですw」
2人でチェックアウトして、かすみの荷物をトランクへ、そしてかすみは助手席に座る

106 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 01:40:40.59 ID:vUl2AkCi0
平泉での2人は後部座席だったので、助手席に人がいるとなんか緊張する
かすみ「改めて、よろしくお願いします(ペコッ」
俺「うん、こちらこそ」
俺「て言うかそんな敬語じゃなくてもいいよ?」
かすみ「ほんとですか?でも何か慣れないのでたまに敬語出ちゃうかもですw」
俺「無理にタメ口にしろってわけじゃないから、話しやすい方でw」
かすみ「じゃ、基本タメ口で、あんまり気にしないで話すことにしますねw」
そう言ったかすみは早速敬語だった

107 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 01:42:12.22 ID:vUl2AkCi0
とりあえず目的地は秋田の男鹿半島
本州を横断するような形になるので、結構遠い
その途中、青森の弘前で桜が見頃だと聞いて、寄り道をすることにする
だが、思いのほか混みまくっていて車を停めるどころじゃなかった
かすみ「すごい混んでますね」
俺「そうだねー、これは車停められないかなぁ」
かすみ「窓から見えるのだけでも私は充分満足出来ましたけどねw」
俺「んー、しょうがないか、ここで時間使っちゃうと何も出来なくなっちゃうしね」
かすみ「秋田まで行く途中で停まれそうなとこあったら停まりませんか?」
俺「そうしよっか」
結局降りられる場所はなく、ほぼ渋滞のまま桜が咲いているエリアは終わってしまった
近い場所なのにその桜エリアを出るともうその先は葉桜になってしまってるんだね

108 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 01:43:25.46 ID:vUl2AkCi0
目的地の男鹿半島にある入道崎には正午前に到着
車から降りると結構強い風が吹いていた
かすみ「うわーすごい風ですね」
俺「だね、大丈夫?」
かすみさん、めっちゃ髪ばさばさなってる
かすみ「大丈夫ですw ちょっと行ってみませんか?」
俺「なんか灯台あるね」
かすみ「登ってみたいです!」
俺「行ってみよっかw」

109 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 01:44:55.86 ID:vUl2AkCi0
灯台を登るんだけど、螺旋階段でちょっと酔いかける
上に着いて外に出ると、下にいるときよりもすんごい風が吹いてる
高めの柵があるから大丈夫なんだけど、吹っ飛ばされそうなそんな感じ
かすみ「やばいですねw 前向けない・・・」
俺「大丈夫?俺ちょっと風避けなろうか」
かすみ「すいません、ちょっと後ろ隠れさせてくださいw」
そう言って俺の後ろに回りこむ
俺の上着の背中部分に右手を当て、裾の部分を左手で軽く摘むかすみ
かわいい

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