去年のGWでの一人旅のお話
Part4一人旅が好きなはずだった俺だけど、しばらくあの賑やかな中で過ごしたらさすがに少し寂しくなった
もうこのまま帰ろうかとさえ思うほどだった
なんだかんだでやっぱり楽しかったなーと思いながら大間へ向かう
道中、コンビニに寄って、助手席に置いてあった荷物を後部座席で移動させようとしたら何かを発見した
書き置きだった
2人が1枚の紙にお礼の言葉を書いていた
『ありがとう、ほんとに楽しかった。東京に遊びに来ることがあったら連絡ください』
みたいな内容だった
下の方に2人のLINE IDとメールアドレス
もう会えないと思っていたのでちょっと嬉しかったけど、俺は当時LINEを登録してなかったのでとりあえず置いておいた
68 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/28(月) 23:58:13.39 ID:D8AG7rjb0
どの道多分会うことはないだろう
家に帰ったら連絡だけはしようと思って財布の中に畳んでしまっておいた
なんか寂しい気分で大間に向かっていたけど、これがまた遠い
青森に入ってしまえばすぐだろうと思っていたけどとんでもなかった
地図ちゃんと見れば良かった
いや、遠いと感じただけかもしれない
一人でずっと運転していると長く感じるのかもしれないね
これまではそれが普通で当たり前だったけど、今回の出来事でやっぱり数人で旅行するのもいいのかななんて思ったりした
そんなこんなで大間に到着
69 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 00:01:07.39 ID:vUl2AkCi0
ごめん、結構時間かかりそうだからちょっと風呂に入ってくる
多分1時間はかからないと思うけど、もし見てくれてる人がいるならちょっとだけ待っててください
ちなみに書き溜めしてるのはまだ半分もいってない模様
70 :名も無き被検体774号+:2014/04/29(火) 00:02:15.29 ID:FDmoJ9M40
まじか。
まってるぞ。
71 :名も無き被検体774号+:2014/04/29(火) 00:08:09.86 ID:U8K2qVjg0
ワイも楽しみに待ってるで〜
そうだ、青森いこう。
73 :名も無き被検体774号+:2014/04/29(火) 00:28:43.74 ID:NT5l1U2U0
はよー
74 :名も無き被検体774号+:2014/04/29(火) 00:34:58.68 ID:L/bgE/Kf0
面白い、続き気になるー
75 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 00:38:17.59 ID:vUl2AkCi0
はいお待ち!
これから書いてきます
76 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 00:41:23.84 ID:vUl2AkCi0
大間はやはり最北端を大々的にアピールしていて、観光案内所のような施設の横にマグロ一本釣りの石像があった
近くには店が多くあり、海産物をこれでもかと堪能出来る
これはどこの海際の観光地でも似たようなものだけど、石像の周りにはカモメが大量発生している
少し離れた場所にマグロ丼が食べられる有名店があったので、そこで昼飯を食べることにする
店の外には大漁旗が掲げられ、漁師の店をアピールしまくっていた
昼時の少し前なのでそれほど混雑もしておらず、さっと入れた
その直後くらいに人が押し寄せ、どうやら外に行列が出来ているみたいだ
運が良かった
ちなみに三色マグロ丼(大トロ、中トロ、赤身)の値段は確か3500円くらい
いや全くとんでもない
77 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 00:43:09.75 ID:vUl2AkCi0
正直に言うと、実は海産物にはあまり興味がないんだよね
だから実際に本場のお高い大トロを食べても特別美味いとは思わなかった
回転寿司のマグロと何が違うのかさっぱり分からん
でも不味いわけではない
その店の名誉の為に言っておくが、ただ単に俺が味覚オンチなだけだと思われる
店を出ると数十人にも及ぶ行列が完成していて、ほんと運が良かったと改めて思わされる
目的を達成した俺は大間を後にする
ここに来る道中で「仏ヶ浦 ○○km」という看板をいくつも見たので、たぶん名所だということでそこに向かう
何があるのかはさっぱり分からないけど、とりあえず行ってみる
これがいつもの一人旅
正直本当に一人だけの一人旅を文章にすると、とんでもなくつまらないと改めて思い知らされる
78 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 00:45:32.87 ID:vUl2AkCi0
特に何か起きる訳でもなく、会話するのは店の人くらい
今朝までの出来事が異常とも呼べる展開だっただけに、ここからしばらくは正直つまらないかもしれない
そのまま海沿いを仏ヶ浦に向かって車を進める
しばらくすると峠のような道に入り、すぐ下は崖という道をくねくねとひたすら進む
ちょっと怖かった
そんな感じの道がずっと続き、こんなとこに何があんだよ・・・って思い始めた頃に仏ヶ浦に到着
到着したところはどうやら駐車場のようで、そこから徒歩で約15分、山道を下ると仏ヶ浦に辿り着ける
ほぼ登山に近いくらいの山道で、帰り道、つまり登りのことを考えると行きたくなかったけどせっかくだから頑張る
少し湿った地面を進むと横向きの丸太を埋め込んだ階段が現れる
そのまま進むと板で足場を作った道が出てきて、その先には階段があった
その階段に差し掛かったところで、仏ヶ浦の全貌が見えてきた
79 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 00:47:52.19 ID:vUl2AkCi0
とんでもなくでかい岩がいっぱい
それが仏ヶ浦
ただし普通の岩ではなく、岩石が長い時間海蝕されて出来たようだ
これはちょっと俺の言葉のレパートリーからは説明することが出来ないので、興味があったらググッちゃってください
足元が苔でぬるんぬるんして滑りそうだったことははっきりと覚えている
来た道を引き返し、プチ登山のようなものを乗り越えて車で出発
ここから恐山へ向かう
恐山はちょっと楽しみにしてたとこの一つで、何よりも宿坊に泊まるので久々の布団でゆっくり寝れることが待ち遠しかった
来た道は戻らず、少し遠回りになるけど下北半島をぐるっと回って恐山へ行く予定
道中の峠は崖崩れを起こして片側通行になってるところがあったり、ガードレール無しで隣は崖という道もあった
ちょっと怖かった
80 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 00:50:30.24 ID:vUl2AkCi0
恐山に向かう道中で湧き水を発見した
ここも観光名所らしく、看板が置いてあった
恐山冷水と呼ばれ、1杯飲めば10年、2杯飲めば20年、3杯飲めば死ぬまで若返ると言われているらしい
俺はまだ死にたくなかったので、2杯に留めて6歳くらいまで若返っておいた
冷水を過ぎると、窓を閉めた車の中にいても硫黄の匂いが漂ってくる
有名なのかもしれないけど、恐山に温泉があるのは知らなかったことなのでちょっと焦った
山道を走り、林を過ぎると少し広いところに出る
そこには小さな橋があり、橋の傍には「三途の川」と書かれていた
どうやらこの先は地獄らしい
81 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 00:52:44.88 ID:vUl2AkCi0
ようやく地獄・・じゃない、霊場恐山に到着
思ってたよりも広い駐車場に大きな食堂と土産売り場、隣にはアイス
結構カジュアルな観光地だった
参拝料500円程度を払い、門をくぐる
真っ直ぐ本堂まで続く参道の両脇には灯篭が並べられている
見た感じ大きいけどわりと普通の寺って感じ
ただその先がさすがの恐山
本堂から左に抜けると、有名な恐山の景色が現れる
小さな石を積み重ねている、あの景色だ
賽の河原とでもいうんでしょうか
その石の山は至るところに存在し、むしろ道以外の所には全て石の山で敷き詰められてると言っても過言ではない
石の山の周りには小さな地蔵、そして定番の風車
中には「○○家」と書かれた石もあった
あちこちの岩場からは温泉の蒸気のようなものが吹き出していた
結構本格的な墓も存在し、気軽な観光地とはあまり呼べない空気が漂っていた
あ、でもとてもいい観光地です
82 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 00:55:18.84 ID:vUl2AkCi0
先に進むと○○地獄のような看板がいくつもあった
「順路→」みたいな看板もあったが、至るところにありすぎて素直に従っているとよく分からんことになる
砂浜のような場所の手前には、両脇に「希望の鐘」「鎮魂の鐘」と書かれた鐘がある地蔵様があった
これは東日本大震災の際に建てられたもので、追悼の意を表しているとのこと
その先の砂浜は極楽浜と言って、何もない、白い砂浜にキレイな湖だけの景色だ
前方を見れば極楽浜、振り返れば地獄
恐山は天国と地獄が存在する、あの世を表しているかのような場所だった
そのままぐるっと周って参道に帰ってくる
ちなみに参道の両脇には小さな横長の小屋があり、本堂に向かって左に2つ、右に1つ
この小屋は温泉になっていて、参拝者は誰でも入ることが出来る
左の2つの内、1つは男湯、もう1つは女湯、右側は男湯という形で別れている
どうせここで泊まるので、この外湯は後で入ろうということでここはスルー
83 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 00:57:11.27 ID:vUl2AkCi0
一度外に出て車まで荷物を取りに行く
荷物を持って恐山寺務所横の宿坊へ
宿坊と聞いたら古びた建物を勝手に想像していたけど、恐山の宿坊はとんでもなくキレイ
ホテルかと思うほどにしっかりした内装で、寺の中にある宿泊施設とはとても思えない
部屋に案内されると更に驚く
おそらくここは3〜4人くらいがベストな感じの部屋で、とても広い
洗面台もちゃっかり二つ用意されているが、俺は一人だけ
広々としすぎている部屋に一人でいるとなんか色んな意味で切なくなり、夕食までは1時間程時間があったので先に温泉に入ることにする
宿坊の中にも内湯があり、大浴場になっている
2日連続温泉なんていう贅沢を味わいながら、濃い硫黄の温泉に浸かる
浴槽内には湯の花があり、けっこうぬるぬるして座ってるとケツが滑る
何度か後頭部から温泉に沈みそうになるのを堪えながら、たっぷりと温まらせて頂いた
84 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 00:59:40.21 ID:vUl2AkCi0
温泉から出てロビーでくつろいでいたら、すぐ傍で直立式の大きなエアコンが中々の温風を送ってくる
そこで俺は何かを閃き、エアコンに近付く
少し屈むとエアコンの送風口がちょうど俺の頭の位置にくる
そうです、俺はそこで髪を乾かすことにしたのです
ドライヤーと違って腕が疲れないし、熱くないので結構カラカラに乾きそう
何か知らんけど楽しくなって、エアコンに向かって一人で頭をわしゃわしゃしながら髪を乾かしていた
もしかしたら少し「あーー」とか声が出てたかもしれない
すると突然、後ろから女性の声がした
??「何してるんですか?」
85 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 01:01:41.35 ID:vUl2AkCi0
俺「!!!」
??「・・・・・」
俺「あ、えっと・・・髪を・・・ね、乾かして・・・」
俺「・・・・(すげー恥ずかしい」
??「そこでですか?w」
見た感じは年下で、有村架純によく似ていた
今思えばね、当時は存在を知らなかったから、ただただすごい可愛い人だと思った
ということでかすみと呼ぶことにする
どうやら風呂上りで、俺の少しあとに風呂からここに来たみたい
俺「あー・・うん、めっちゃ乾くんですよこれ」
かすみ「ふふっ、じゃあ私もやろうかなw」
隣のエアコンで同じことし始めた
かすみは少し背が低いので、普通に立ってるだけでちょうど送風口が頭の位置にくる
86 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 01:03:41.08 ID:vUl2AkCi0
かすみ「ほんとだ、すごいサラサラになりますねw」
俺「でしょ!(出来れば見られたくなかったけど」
かすみ「今日は一人で来たんですか?」
俺「ですよー」
かすみ「ですよね、ここに来る途中で冷水飲んでるの見ましたw」
俺「!?」
かすみ「私バスで来たんですけど、ちょうどその時に通ったんですよねw」
俺「あー・・・なるほど」
俺「そちらは友達と?」
かすみ「あ、私かすみっていいます」
俺「あ・・・俺(名前)です」
かすみ「私も一人なんですよねw」
俺「へー・・・って何で?一人旅ですか?」
かすみ「そんな感じですw」
俺「一人旅でわざわざ恐山に?」
かすみ「ですね、何かちょっと来てみたかったんですよ」
俺「んーいいとこですよね、想像してたより何かキレイで清清しかったです」
かすみ「そうですよねー。俺さんはどこから来たんですか?」
俺「富山からです」
かすみ「えっ!ほんとですか!?私もですよ!」
俺「!!!」
俺「バスってことは・・電車か何かで?」
かすみ「はい、電車と新幹線で、下北駅からバスです」
俺「はー・・マジですか・・・」
かすみ「偶然ですねw」
かすみ「俺さんは車でずっと?」
俺「ですよー、途中寄り道は結構しましたけどねw」
まさかの同郷だった
そこから寄り道した話やかすみの道中の話をしていたら食事の時間になった
88 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 01:05:38.60 ID:vUl2AkCi0
夕食は席が決められていて、かすみとは別々になった
と言うか20人程いて、どこに座ったのか全然分からなかった
その後は部屋に戻り、すぐ後で住職の説法があるとのことで希望者だけ会場に集まった
住職は中々に面白い人で色々な話をした
恐山にはイタコはいないこと
幽霊は出ないこと
恐山で修行したという霊能力者なんて聞いたことない
温泉の硫黄の成分が強すぎるので、空気中の硫黄で電気製品がすぐ壊れること
やはり話し方が上手なので聞き入ってしまった
想像していた説法とは違い、落語のようなそんな空気だった
89 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 01:07:59.29 ID:vUl2AkCi0
ちなみに恐山にはイタコがいないことについて、覚えてる限りでお伝えしておく
間違って覚えてるところもあるかもしれないので、完全に鵜呑みにはしないで欲しい
厳密に言えば恐山という場所にはイタコはいる
ただし、恐山という枠の中にイタコは存在しない
つまり、イタコは恐山という場所を借りて商売をしているだけ
恐山はその場所を無償で貸し出しているだけ
いくら恐山に問い合わせてもイタコには繋がらないし、居場所も分からない
「イタコさんにお願いがある」という問い合わせが多いこと多いこと、と住職は愚痴ってました
あえて言えば、昔は連絡先くらいは知っていたそうだ
ただ、泥沼の遺産相続問題でイタコにお願いしたお客が、納得いかずに恐山に苦情を言ってきたそうな
そこで板挟みになって以来、恐山としてはイタコとの橋渡しすらしないことにした、と
更に言えばもう一つ、イタコとは相容れない理由が恐山にはあるとのこと
これは後で述べることにする
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