去年のGWでの一人旅のお話
Part7かすみ「すいません、迷惑掛けて・・・」
俺「ううん、大丈夫、真っ暗だもんねー」
かすみ「こういうとこのトイレちょっと怖いですw」
俺「夜だとね、確かに一人だと不安かもね」
かすみ「ありがとうございました」
そう言ってまた2人で横になる
お互いにすぐに寝てしまったようだ
翌朝もまた、俺は「・・スーッ」と目が覚め、ピクリとも動かずに目が覚めた
お互いに内側を向いて寝ていたようで、目を開けた先にかすみの寝顔が見えた
かわいい
132 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 02:15:56.72 ID:vUl2AkCi0
3人で寝たときのように朝起きてもくっついてることもなく、起こさないようにそっと外に出た
ここには自販機がないので、恒例のコーヒータイムがないのが少し寂しい
すっかり明るくなっていて、夜には見えなかった海が見える
位置的に朝日を見ることは出来なかったけど、日の光が海に反射してキラキラしてる
バタンッ
かすみ「あ、おはようございます・・・わーきれいですね!」
海を眺めているとかすみが起きて出てきた
かすみ「うわー、こういうの、車中泊でもないと見れないですよね」
俺「そうだね、それも醍醐味みたいなもんかなぁ」
かすみ「なんかありがとうございます」
133 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 02:18:06.90 ID:vUl2AkCi0
俺「いやいや、こちらこそ」
かすみ「ううん、来てよかったです、誘ってくれてありがとうございます」
俺「なんかそう言ってもらえると嬉しいよ」
俺「寝るとこなんか車だし、正直迷惑だったかなーって思ってたから」
かすみ「ううん、ほんとに。楽しいです」
俺「それなら良かった、そろそろ行こっか?」
かすみ「あ、もうちょっと見ていっていいですか?」
俺「もちろん、ゆっくりしてこー」
俺は一旦車の中を整理して、海側に車の後ろがくるように動かした
そしてトランクを開けっぱなしにして、車に座るようにして2人で海を眺めた
少し肌寒かったので、お互いに毛布に包まりながら20分近く海を眺めて話していたと思う
134 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 02:19:29.98 ID:vUl2AkCi0
8時前くらいに出発し、途中コンビニに寄って朝食を買う
俺もかすみもおにぎり2つとお茶を買った
車で走りながら食べることにして、とりあえずおにぎりを開封しようと試みる
かすみ「開けましょうか?」
俺「え?あ、ごめん、お願いしていいかな」
かすみ「・・・(ゴソゴソ)はい!どうぞ」
俺「ありがとー」
俺「(お茶お茶・・と」
かすみ「はい!」
かすみがお茶の蓋を開けて持っててくれた
135 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 02:20:51.09 ID:vUl2AkCi0
俺「おぉ・・・ありがと(ゴクゴク」
俺「なんかずっと思ってたけど、すごい気が利くよね」
俺がお茶を置こうとすると、当たり前のようにお茶を受け取ってドリンクホルダーに置くかすみ
かすみ「いえ、なんか・・・お世話になってばっかりなのでこれくらいしないとw」
このことだけで気が利くと言った訳じゃないけど、自然に相手のこと考えて動ける人なんだなって思った
道中、秋田の大森山動物園という所がある
ちょうど開園してすぐくらいの9時頃に到着
ゴールデンウィークとはいえ、まだ朝早いのでお客さんは疎ら
入り口の横に立て看板があり、工事のお知らせと書かれていた
どうやら今年の夏くらいに正面ゲートが新しくなるらしい
たぶんまた来る
中に入ると、人も少なく快適に周ることが出来た
面白かったのが、遊具と動物観察が一緒に出来るようになっている場所があったこと
これは他の動物園ではあまり見たことがなかったので新鮮だった
いつもなら一人で来る動物園や水族館だけど、もし一人で来てたらこの遊具には入り込まなかったと思う
かすみと一緒になんかデート気分でめっちゃ楽しめた
人も少ないから人目も気にすることなくはしゃぎまわった
はしゃぎまわった記憶しかなくて、それ以外はほとんど覚えてない
水族館もそうだけど、そういうこと行くとつい夢中になっちゃうんだよね
だからもしかしたらかすみはつまらなかったかもしれないと後で反省はした
動物園には4時間程滞在し、ライオン、トラ、キリン、ゾウ等メジャーな動物たちを眺めたあとにレストランに行く
その頃には人も増えていて、時間も昼時なのでレストランもなかなかの混みっぷりだった
レストランで食事を済ませて、駐車場に戻ったら14時に近くなっていたと思う
137 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 02:24:10.94 ID:vUl2AkCi0
山形には特に寄ることもなかったので、新潟に突入する
いや何もない訳ではないんだ
寄りたかったところは海沿いにはなく、少し内陸に入らなければならなかった
そこに寄ると俺の連休の都合上ちょっと厳しくなりそうなので今回は諦めた
そのまま新潟の海沿いを走ると、正にすぐ横に海を眺めて走る、日本海夕日ラインというルートに入る
ちょうど夕方に差し掛かっていたところだったので、どこか停まれる所を探した
この道沿いには多くの海岸があり、特に苦労することもなく車を停めることができた
時期が時期なので人は全然いなくて、天気も良かったので日本海に沈む夕日を眺めることが出来た
砂浜の入り口にあたる幅の広い階段・・・というか砂浜とほぼ同じ幅くらいの階段に2人で座り、日が沈むのを待った
138 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 02:25:48.98 ID:vUl2AkCi0
かすみ「すごーい・・・ほんとに綺麗ですね」
俺「そうだねー、俺もこうやってちゃんと夕日見たの初めてかも」
かすみ「なんか・・・ほんとにありがとうございます」
俺「いやいやほんとにこちらこそだって。ついて来てくれてありがとう」
お互いを見ることなく、夕日を眺めながら話していたんだけど、ふとかすみを見ると少し泣いていた
俺「え、どうした・・・?」
かすみ「・・・すいません」
俺「・・・・・」
正直どうしたらいいか分からなくて、なんで泣いてるかも全然分からなくて、なんて声をかければいいか分からなくて
少し思考が停止した
139 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 02:26:57.26 ID:vUl2AkCi0
大学や私生活でいろいろうまくいかず、精神的に疲れていたので遠くに行きたくて一人旅に出たこと
一人旅に出たけど、想像以上に寂しくなってしまったこと
帰りに誘ってくれたこと
最初は俺についていくのが不安だったこと
今は本当に楽しくて、来て良かったと思っていること
ゆっくりだけど、色々なことを話してくれた
俺は黙ってそれを聞いているだけだった
140 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 02:28:14.34 ID:vUl2AkCi0
話し終わるとすっかり日は暮れて夜になっていた
少し寒くなってきたので、2人とも無言のまま車に戻った
かすみ「すいませんでした、なんか・・・」
俺「ううん、大丈夫?」
かすみ「はい、もう大丈夫です!」
俺「んー・・・うまく言えないけどさ・・・」
俺「なんか・・・話してくれてありがと」
かすみ「・・・ううん、こちらこそ、ありがとうございます」
俺「じゃ、行きますか!」
141 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 02:30:26.76 ID:vUl2AkCi0
そう言って車を出した
ここも海沿いの駐車場は多くありそうだったので、特になにも考えずに車を走らせる
かすみ「・・・今日も車に泊まるんですか?」
俺「そうだね、そろそろ停まろっか」
かすみ「疲れてないですか?ずっと車で・・・」
俺「んー、まぁ・・疲れてないと言えば嘘になる・・・かな」
大丈夫って言ってもかすみには何か見透かされてる気がしたので正直に白状する
かすみ「今日はちゃんとしたとこ泊まりませんか?」
俺「うーん、もう時間も遅いし、見つかるかな?」
かすみ「少し街に行ってみません?」
俺「探すだけ探してみよっか」
今思えば、これはかすみが勇気を出して言った一言だったようだ
本来は俺が言うべき言葉だったのかもしれない
142 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 02:32:01.76 ID:vUl2AkCi0
走りながら宿泊施設を探すというのはなかなか難しく、探索は難航する
大きな道を走っていると、左側にホテルのようなものが見えてきた
かすみ「あそこは?」
俺「あ、ホテルかも。行ってみようか」
ここまで何も気付かないのは童貞であるが所以であろうか
本当に全く何も考えていなかった
考えていたことと言えば、もしかしてかすみは車で寝るのが嫌だったから宿泊施設を探してるのかなとか
それもあってとにかく泊まれる所をすぐにでも探したい気持ちだったんだ
駐車場に車を停め、入り口から中に入るとようやく気付く
入って左側に大きな明るい部屋の写真?パネルがあり、右側に受付がある
先輩諸君はもうお気付きだろう
143 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 02:33:24.60 ID:vUl2AkCi0
「あ、ここ・・・ちがうね、戻ろっかw」
かすみ「・・・いいですよ、もう夜遅いし、横になるならどこでも一緒です」
俺「!!?」
俺「いや、でもここって・・・」
ポチッ
かすみ「・・・大丈夫ですよ、俺さんならw」
そう言って先にボタンを押しちゃうかすみ
これはどっちなんだ
どういうことなんだ先輩諸君
俺とならそうなってもいい?俺が手を出すようなことはない?
どっちだ
144 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 02:35:17.59 ID:vUl2AkCi0
受付で鍵を受け取り、部屋に入る
俺は今の状況に付いていけず、平静を装いつつもパニックになりながら部屋のすっごい隅っこに荷物を置く
かすみ「先にお風呂入っていいですか?」
俺「あ、どうぞどうぞ・・・」
そう言ってかすみは荷物を持って風呂に向かった
一方、俺は古畑任三郎さながらに部屋をうろうろして纏まることのない考えをひたすらに巡らせていた
どういうことだ?
どうすればいい?
何でこうなった?
どういうつもりなんだ?
全く結論は出なかったが、少し落ち着いてベッドに腰掛ける
何故か少し震えてきた
145 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 02:37:24.93 ID:vUl2AkCi0
そこでかすみが風呂から上がってきた
下はスウェットで、上はTシャツという形
かすみ「お風呂、広いですよw」
俺「あ、あぁ・・・え?」
かすみ「え?」
俺「あ、じゃ俺も入ろっかな・・・」
俺氏、落ち着いた頭が完全にパニック
何を言ったのかあまり覚えてない
風呂に入るとまた落ち着いてくる
シャワーを頭から被りながら、修行僧の滝行のようにして頭を冷やす
146 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 02:39:14.36 ID:vUl2AkCi0
この状況は何なんだろう
俺が気にしすぎなだけなんだろうか
かすみは普通にただ寝るだけのつもりでここに来たのだろうか
どれだけ考えても答えは出ず、同じ問答を頭の中で繰返す
でも考えていると少し落ち着く
いくつか考えも出たけど、俺が辿り着いた答えはこれだった
(たぶん寝るだけのつもりだな)
(車の中でも隣で寝たし、場所が変わっただけのことだ)
(いつも通りでいいか)
(よし、そうしよう)
半ば強引にこの答えを出し、俺は完全に落ち着いた
ただ寝る場所が変わっただけのこと
そう考えれば随分と気が楽になった
まぁ、今思えばいつもこうやって逃げるように考えているから童貞のままなんだろうな
147 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 02:40:58.86 ID:vUl2AkCi0
風呂から出るとかすみは荷物を整理していた
俺「明日どこか行きたいとこある?」
かすみ「あ、私はもう・・・何があるのか分からないんで、お任せします」
俺「そっか、俺も特に気になるところはないからそのまま帰ろっか」
かすみ「分かりました、じゃ明日が最後ですねー」
俺「うん、ありがと、ほんとに楽しかったよ」
かすみ「ううん、なんか・・・こちらこそ色々ありがとうございました」
そんな感じで話しながら俺はベッドに腰掛け、かすみもベッドの方に来る
俺「じゃ、そろそろ寝よっか」
かすみ「はい」
電気を消して、お互いにベッドに入る
148 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 02:42:36.45 ID:vUl2AkCi0
目を瞑っても頭の中では恐山からの思い出がかけめぐる
さっきかすみが言った、明日が最後って言葉
それが少し心に残っていた
明日が最後か・・・
そう思うと急に不安と言うか寂しさと言うか
もうお別れなんだなって思うとなかなか寝れなかった
ずっと上を向いて寝ようとしてたけど、体勢を変えようと横を向く
するとかすみもこちらを向いていた
かすみもまだ寝ていなくて、お互い向かい合わせになった
149 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 02:44:18.80 ID:vUl2AkCi0
かすみ「ふふっ、なんか寝れないですねw」
俺「んー、なんかねw 明日が最後かって思うと色々思い出しちゃって」
かすみ「うん。すごっく楽しかった」
俺「・・・・・」
かすみ「・・・・・」
やっぱり可愛いな
もう頭の中はかすみとの思い出でいっぱいだった
たった数日だけど、ずっと一緒にいた
人生の中で見れば本当に短い間だけど、すごく充実して、幸せな時間を過ごせた
正直、帰りたくない
そう思ったら、つい言ってしまったんだ
俺「・・・好きなんだよなぁ」
150 :名も無き被検体774号+:2014/04/29(火) 02:45:53.63 ID:7Pn6kej30
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