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百物語2015

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Part12
224 :猫虫(代理投稿) ◆5G/PPtnDVU :2015/08/30(日) 02:56:03.90 ID:slHZZ5U50
【61話】雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM 様
『入ってはいけない小路』
知り合いの話。
彼の実家の山村に「入ってはいけない」と言われていた袋小路があったという。
駄目と禁止されると行きたくなるのが子供心。
という訳で、ある時、従兄弟と二人で足を踏み入れたのだそうだ。
小路の終わりには赤く錆びた鎖が掛けられていて、その先に獣道のような細い道が続いていた。
鎖を跨いで猶も進んでいくと、割りと広い川に突き当たる。
川にはボロボロに朽ちた橋が架けられていて、それを渡った向こう側に廃屋が二軒並んでいた。
気持ち悪くなって引き返したのだが、このことを祖父に話すと酷く怒られた。
「橋は渡ってないだろうな!?」
聞けば、随分と前の大雨で、その橋は流されているのだそうだ。
「お前等、誘われてたんだよ。渡ってたら多分帰ってこれなかったぞ」
そんな馬鹿な、と次の日もこっそり二人で確認しに向かったのだが。
昨日有ったはずの橋はどこにも見当たらず、川が轟々と流れているだけだった。
(終)

226 :わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ :2015/08/30(日) 03:00:01.32 ID:AgCPeYID0
【62話】雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM 様
『違法駐車』
知り合いの話。
まだ学生だった頃のことだ。
彼が違法駐車をして車を離れ、しばらくしてから戻ってくると、
自分の車の下から人間の足が飛び出していた。
周りのアスファルトが赤黒く汚れている。
吃驚して覗き込むと、それは人ではなく、精巧に造られたマネキンだった。
何か重い物に踏まれたのか、頭が半分潰れている。
赤黒い液体も、血ではなくて何かの塗料のようだ。シンナー臭い。
「誰の悪戯だよ、タチが悪いな!?」
そう怒ったものの、違法駐車をしていた自分も決して褒められたものではない。
マネキンを車の下から引っ張り出し、邪魔にならない場所に退けると、
そこを後にした。
おかしなことになったのはそれからだった。
彼が路上駐車をする度、必ずマネキンが車の下に放置されるようになったのだ。
頭が潰れていたり、胴が抉れていたり、腕や脚が千切れていたりと違いはあったが、
毎回同じように事故を模していた。
幾度も隠れて見張ってみたが、その時には悪戯はされない。
油断して車から離れた時に限って、マネキンが出現したという。
すっかり根負けしてしまい、彼は違法な駐車をしないようになった。
以来、不気味なマネキンも現れなくなったという。
(終)

227 :わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ :2015/08/30(日) 03:00:26.36 ID:AgCPeYID0
そしてつい最近の話。
久し振りに、彼と再会する機会があった。
話が弾んでいると、途中でこんなことを言ってくる。
「そういや、あのマネキンストーカーの話を憶えてるか?
 俺の車の下で、事故者の格好させてたって奴」
「憶えているよ」と返すと、続けてこんなことを言う。
「アレがまた出やがった。この前、女房の実家へ里帰りした時だよ。
 一寸の間だけ路上駐車したんだけど、車を実家へ移動させようと戻ってみたら、
 昔のようにマネキンの足が突き出していやがった。
 だあぁー! しつこいよ、一体誰なんだよ、何がしたいんだよ!?」
彼はそう言って頭を掻き毟っていた。
「……まぁ、路上駐車は出来るだけ止めた方が良いね」
私にはそう言うことしか出来なかった。
(終)

229 :猫虫(代理投稿) ◆5G/PPtnDVU :2015/08/30(日) 03:02:59.81 ID:slHZZ5U50
【63話】雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM 様
『髪の毛』
友人の話。
彼は偶に、口の中から長い髪の毛が出てくるのだという。
特に口を開けたりしていないのに、ふと口内に違和感を感じることがある。
そういう時は決まって、口の中に髪の毛が出現しているのだと。
以前、私と一緒にゼミのレポートをまとめていた夜に、いきなり彼が口をモゴモゴし始め、
次いで口から長い髪の毛を引っ張り出した際にはかなり驚いた。
二人とも短髪で、とてもその髪の持ち主には成り得ない。
その時初めて、彼のその特異な体質を聞かされたのだった。
理由は不明で、もう気にしないことにしているのだと、平然と彼は言った。
レポートが完成するまでに、彼は都合十五本の髪の毛を吐き出していた。
「今度から、俺の部屋でレポートはまとめないからね」
そう宣った私に、彼は苦笑を返してきた。
(終)

231 :わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ :2015/08/30(日) 03:07:47.17 ID:AgCPeYID0
【64話】キツネ ◆8yYI5eodys
『ナナツカ様』
(1/4)
昔、親戚の爺さんの家にひと夏の間預けられた時の話。
親戚の爺さん、というのは私の大叔父に当たる人だと後に知りました。
大叔父が住んでいたのは山に囲まれた農村。
山一つ越えると駅や新興住宅地の造成が進んでいましたが、叔父の住むのは寂れた農地。
家が十数件そこらあるか無いかのド田舎でした。
その農村には7人ほどの子供たちがいて、最初はおっかなビックリではありましたがすぐに馴染むことができました。
中でも小学6年の1番年上のお姉ちゃんは面倒見が良く、
よそ者の私と妹に色んな山遊びや川遊びを教えてくれたものです。
その日はちょうど8月の終わりに差し掛かった頃。
ちょうど今日のように朝晩が涼しく感じる時期でございました。
いつものように田んぼ沿いの沢でカニ捕りや水遊びに興じていた時でした。
1人の地元の子が、橋げたに何か引っかかっているのに気付きました。
拾い上げてみると、それは布のようなもの。
小さな子供用の服でございました。


232 :わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ :2015/08/30(日) 03:09:17.18 ID:AgCPeYID0
(2/4)
その服を投げたりしていると、いつの間にでしょうか。
1番年上のお姉ちゃんが集落のお年寄りを連れてきて、その服を指差していました。
しばらくすると集落の大人たちが集まって参ります。
そして口々に、
「流れてきてしまったか」「今年もナナツカ様が気に入らんかった」
「今年は何年目ね?」「…7年目だ」
「どう思う?」「来るやろうな」
そんな事を言っていたのを記憶しています。
私たち子供はすぐに川から上がり、すぐに家に帰るよう言われました。
後に知った話をまとめると、
集落の傍の山には『ナナツカ様』という7基の石の塚が並んでいて、
その塚に毎年、夏の初めに子供用の服を1着お供えする風習があるのだそうで。
『ナナツカ様』が気に入らないと、その服が山から集落の沢へ流れて来る。
その年は7年続けて沢に流れてきた、ということらしいのです。
そしてその日の夕刻。
私たち兄妹は大叔父に連れられて集落の公民館へ。
そこには集落の子供全員、それどころか集落の大人たちも集まっておりました。
大人たちは公民館の庭で火を焚き、子供たちは公民館の中へ追い遣られます。
「朝まで出ちゃいかんぞ」
普段優しい大叔父が怖い声で言ったのが印象的でした。
子供たちはと言うと、強張った顔の大人たちとは対照的でした。
普段は夕方には別れる友達と夜も遊べるーーー
そう思ったのか、大人が公民館の外にいるのをいいことに、テンションMAXではしゃいでおりました。

233 :わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ :2015/08/30(日) 03:11:05.08 ID:AgCPeYID0
(3/4)
夕飯を終える頃には幾分か落ち着いたのか、小さい子たちを中心に眠そうな目。
そんな子たちを年長者のお姉ちゃんと一緒に布団へ運んでいると、
妹がガラス戸の方を見るなり、ギャーっと火のついたように泣き始めました。
瞬く間に鳴き声が小さい子たちに伝染。
そんな子たちを宥めて寝かし付けるうちに、私も眠ってしまっておりました。
翌朝。
公民館の中に年長者のお姉ちゃんが居ません。
周囲を見回すと、ほかの子は静かに眠っておりましたが、お姉ちゃんだけが見当たらない。
外に出ると、大人たちが沢の橋の方に集まっているのが見えました。
慌てて駆けて行くと、すぐに気付いた大人に頭を抱きすくめられ、
「見ちゃいかん!」
と怒鳴られました。
聞こえたのはすすり泣く声。
雰囲気は重く、蝉の声と沢の水音がやけに大きく聞こえたと記憶しております。
そしてポツポツと、
「流されてきたのは○○ん家の長女か」
「服は着ちょらん」
「うわっ!皮まで持っていかれとる」
確か、そんな事を言っておりました。
その後すぐに私は公民館へ連れて行かれました。
沢で亡くなっていたのはやっぱり年長者のお姉ちゃんで、翌々日にはお葬式に参加。
最後のお別れにと、お棺を覗こうとした子が親にビンタされて吹っ飛んだのを見て、
ーーーああ、あのお姉ちゃん大変な目に遭ったんだな、と怖さと寂しさで泣いたのを覚えております。

234 :わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ :2015/08/30(日) 03:12:59.69 ID:AgCPeYID0
(4/4)
後に妹から聞いたのですが、あの公民館での晩のこと。
妹はガラス戸の向こうに見たのだそうでございます。
ガラス戸の向こうには子供が数人、あの年長者のお姉ちゃんを指差していたとか。
その子供たちは一様に真っ赤な目でニイっと笑っていたそうです。
また別の子は、夜中に目を覚ました時。
たくさんの真っ赤な目をした子供達にお姉ちゃんが囲まれ、
じたばたもがきながら引きずられていくのを見てしまったそうでございます。
その後、親戚の集まりで大叔父に会った時に聞いた話なのですが、
酔った大叔父が言うには、昔、戦時中に1度だけ子供の服が流されてきたことがあるそうです。
その時は学童疎開してきた子供の1人が、同じように身ぐるみを剥がれて沢を流れてきたのだそうで。
それから大叔父と疎遠になり十数年。
集落からはどんどん人がいなくなり、とうとう大叔父だけになったと聞いていました。
先日、久々に実家へ大叔父から電話がかかってきて、こう言っていたそうです。
「今年も流れてきた。7年目だ、今後は盆も一切、夏には誰もあそこに近づくな」
そのまま大叔父はすぐに高齢者施設に入所し、集落からは誰もいなってしまったのです。
そうです、ナナツカ様に服を納める人は、誰も。
今年は例の七年目。
ナナツカ様は集落に下りて来るのでしょうか。
それとも誰も居ないのに気付いて、山向こうの住宅地に下りるのでしょうか?
夏も終わりに差し掛かりました。
山沿いの住宅地にお住いの皆様。
どうぞ窓の外には目を向けない方がよろしいかと。
真っ赤な目をした子供達が、笑いながらあなたを指差しているのかもしれませんから。
【完】

236 :猫虫(代理投稿) ◆5G/PPtnDVU :2015/08/30(日) 03:16:31.87 ID:slHZZ5U50
【65話】Big ◆iq3nGde8rU 様
『フィールドアスレチック』
これから話すのは、全部わたし自身が目撃したものです。
最初は、あそこで働き始めて1ケ月目のことです。
ある小学校の5年生が一泊で来てて、
子どもらは東の広場のフィールドアスレチックで遊んでたんですよ。
木とタイヤとロープでできた遊具が10以上あるところで、
遊んでも面白いし、障害物競走にも利用できる。
しかも体力もつきますしね。
わたしは、事故がないように近くで見張ってました。
小さい子どもさんは、ロープがからまってしまうことがときおりあるんです。
でね、見ていたら一人の男の子が、「ヘビ」と呼ばれてる遊具に入ってったんです。
タイヤ15本くらいを並べて、ロープで中空に吊ってあるんです。
そのぐらぐら揺れる中をくぐっていくやつです。
でも、アスレチック遊具の中では、そんなに難易度は高くないんです。
見ていたら、その子は足場にのって上半身をタイヤにくぐらせ、
その格好で止まってしまったんです。揺れるのが怖くて動けないんだと思いました。
で、30秒以上その姿勢のままだったんで、助けに行こうかとしたとき、
もう一方のはしからひょっと男子の子が顔を出したんです。
「え!」と思いました。だってね、中にいるのはその子だけなんですから。
タイヤの列は4mほどの長さがあるんですよ。
顔を出した男の子もね、わたしと同じように「あれ?」という顔をして、
そのまま頭から下に落っこちていったんですが、
胴体がびょーんと長く伸びたように見えたんです。

237 :猫虫(代理投稿) ◆5G/PPtnDVU :2015/08/30(日) 03:19:47.03 ID:slHZZ5U50
で、男の子の頭が地面に着くあたりで、入り口のほうに見えていた
その子の足と腰が、すっとタイヤの中に飲み込まれた・・・
わたしは話が下手なんで、状況を想像できますかね。
男の子が落ちるとき、長く伸びていた胴体がしゅっと縮んだように見えたんです。
そうですね、蛇笛ってありますでしょう。
ピーと鳴らすと伸びるやつ。あれが縮んでいくときのような感じでした。
地面に横たわっている男の子の体は普通に戻ってたんです。
その子は医務室に運んでしばらくしたら目をさましました。
脳震盪が疑われるので、両親を呼んで病院に連れていってもらいましたが、
その子は、アスレチックのタイヤに入ったとたん、大蛇に飲み込まれたような
気がしたって言ってました。蛇みたく伸びてたのはその子のほうなんですけどねえ。
(終)

239 :わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ :2015/08/30(日) 03:23:38.55 ID:AgCPeYID0
【66話】Big ◆iq3nGde8rU 様
『電撃柵』
宿舎のほうと、野外炊飯場は電撃柵に囲まれてるんです。
これは熊用のもので、まだ大きな事故は起きていませんが、
その施設から続く山には熊は普通にいるんです。
私らが山に入って作業するときには、熊よけの鈴をつけますし、
宿舎の建物のすぐ近くで、熊が木につけた縄張りのしるしを見たこともあるんです。
それで、宿舎と炊飯場は食べ物をあつかうでしょう。
ですからね、臭いにつられてこないよう柵で囲ったわけです。
電撃は三千ボルトで、これで熊が死ぬということはありません。
やつらも学習しますしね。だんだん自分から近づかないようになりますから、
今ではね、バチッとなるのは年に数回のもんです。
で、その夜はわたしが宿直だったんです。
郊外にあるので、警備保障が来るまで時間がかかる。
それで宿直制度が残ってるんですが、翌日は休みです。
その日はどこの学校も来てなくて、飲酒等はもちろんできませんが、
気楽なもんでした。でね、夜10時の見回りのときでした。
懐中電灯をつけて宿舎の外を歩いていると、バチバチ音がしたんです。
そっちに回っていくと緑色の光が明滅してるのが見えたんで、
何か動物が柵にひかっかって動けなくなり、
電撃を浴び続けてるんだろうと思ったんです。
建物の東側でしたね。光ってる柵の正面にいくと、
外側で何が起きてるのかはっきり見えました。熊・・・でしたけど、
立ち上がって両腕で何かを抱えてたんです。

240 :わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ :2015/08/30(日) 03:24:13.81 ID:AgCPeYID0
で、それを電撃柵に押しつけている。熊自身も感電してるんだろうけど、
その抱えてるものを通してだから、たいしたことはないんです。
最初、抱えているものは狸だと思いました。それくらいの大きさでしたから。
ところが、バチッと光るたびに、柵に押しつけられたそいつの顔が見えて・・・
体つきは猿に見えましたが、顔に木の面を被っていたんですよ。
つるつるした材質の無表情なお面です。面の目の穴から、
本来の猿の目がのぞいてて、それは白目になってました。
もう電撃で気絶してたんでしょう。熊のほうはわたしが来たのに気がついたようで、
その生き物を抱えたまま後じさりするようにし、生き物を口に咥え直して、
四つんばいに戻って駆け去っていきました。ねえ、変な話でしょう。
あの生き物が猿だとして、誰が何のために面をかぶせたんでしょうか?
(終)

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