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百物語2014

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Part13
232 :いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw :2014/08/24(日) 02:14:58.45 ID:iVpQyD8K0
【第72話】 チャゴ ◆ePOonrVZq6
『隙間の眼』
(1/3)
これは高校時代に部活の顧問の先生から聞いたお話です。
先生のお母さんの実家は四国にある小さな漁村でした。
母屋の他に、小さな道を挟んで二階建ての古い建物があり、
昔はその建物で民宿を営んでいたそうです。
親戚が帰ってきたときなどは、その元民宿に泊まるというのが決まりになっていました。
さて、そんな先生が中学生だった夏休みのこと。
先生のお母さんが風邪をこじらせて入院してしまい、
夏休みはお母さんの実家に預けられることになりました。
先生のおばあちゃんはそんな先生をとても優しく迎えてくれたそうで、
先生もきれいな海とのんびりした雰囲気の田舎暮らしを楽しみにしてました。
先生が実家に到着した夜のことです。
先生は母屋ではなく例の元民宿に寝泊まりすることになったのですが、
押し入れから布団を引っ張り出して、畳八帖もある広い部屋の真ん中に敷いてみると、
途端に大きな建物にひとりぼっちだということに気がついて怖くなりました。
「テレビと部屋の電気を点けたまま寝よう」
先生は布団のそばにテレビを持ってくると、そのまま布団に入って寝ることにしました。
長旅で疲れていたのでしょう。眠気はすぐにやってきました。

233 :いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw :2014/08/24(日) 02:16:05.50 ID:iVpQyD8K0
(2/3)
どれくらい経ったでしょうか。
ふと、先生が目を覚ますと、点けていたはずのテレビと部屋の電気が消えていました。
「きっとおばあちゃんが消してくれたんだろう」
そう思った先生が寝返りを打ったときです。
布団が入っていた押し入れが少しだけ開いているのです。
「おかしいな。確かに閉めたはずなのに」
ぼんやりする頭の中でそう考えながら先生はその隙間を見ていたそうです。
すると、ぽっと赤い火のような灯りが隙間の中に見えました。
「あれは何だろう?」
先生が眼をこすりながらよく見てみると、
それは人の片眼だったそうです。
その眼はじっと先生を見据えていました。
怖くなった先生は慌てて眼を離そうとしますが身体がいうことをききません。
やがて、その眼はゆっくりゆっくり、まるで怒っている人のように
吊り上がってきたそうです。
「ああ、怖い!」
そう思った先生がやっと布団を被ることができると、
次に気がついた時にはもう朝になっていました。

234 :いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw :2014/08/24(日) 02:17:30.48 ID:iVpQyD8K0
(3/3)
母屋にいたおばあちゃんに先生がその話をしたところ、
おばあちゃんは次のような話をしてくれたそうです。
「ずっとむかし、この漁村にものすごく大きな台風が来たことがあってね。
可哀想に小さな女の子が波にさらわれて、助けようとした母親と一緒に亡くなったんだよ。
その親子はあの民宿に泊まっていたんだけれど、それ以来、妙な話を聞くようになってね。
もう民宿はやってないから最近は聞かなかったけど、お前も見たんだね」
お前も、という言い方が気になった先生は、
「おばあちゃんも見たの?」と訊ねました。
「ああ、見たよ。お前のお母さんもね。実はあの眼をみた女はね、女しか生めなくなるんだよ」
その瞬間、先生は鳥肌が立ったそうです。
おばあちゃんは全部で6人の子を産みましたが、すべて女ばかりだったのです。
この話をしていた先生とは、私が高校を卒業してからしばらく会っていません。
噂ではもう結婚して子どももいるそうですが、
私は怖くて、その子が女の子なのか聞けずにいます。
【了】

236 :仮の人 ◆sFvsmjhswAfh :2014/08/24(日) 02:18:49.91 ID:ixm8gm6D0
【第七十三話】 
『蔵に住む者』
(1/3)
K子さんが子供の時分の話だ。
夏休みになるとH県にある母の田舎で2週間程過ごすのが毎年の慣習となっていて、その年もK子さんは母に連れられ、田舎に帰省することとなった。
しかし、K子さんは不満だった。
年の近い親戚の子たちはみんな男の子であまり一緒に遊べないし、毎年遊んでくれていたお姉さんは今年はアルバイトがあるとかでこちらに帰って来ないらしい。
K子さんは殆どの時間を一人で過ごすこととなった。
はじめは近くを散策したり、一人遊びをしてみたがすぐに飽きた。
持ってきた宿題も終わらせてしまって、さあ、やることがない。
そこでK子さんは思いついた。
K子さんが滞在している祖父母の家には、古い蔵がある。
古い農具などを仕舞っているから危ないと、絶対に入ってはいけないと口をすっぱくして言われていた蔵だ。
そこを冒険しよう!
思いついたら吉と、蔵まで走る。しかし当然のことながら、蔵の扉には鍵が掛けられていた。
暫くガチャガチャやってみたが、古い錠前は意外に丈夫で開けることはできない。
そこで止めていれば良かったのだが、K子さんは諦めきれず、鍵を探すことにした。
次の日。
遊びに行ってきますと家を飛び出したK子さんの手には蔵の鍵が握られていた。
几帳面な祖母がまとめて管理していたおかげで、あっさりと鍵は見つかり、こっそりと拝借してきたのだった。
辺りを見回し、蔵に入り込む。電気がちゃんと生きていてほっとする。
蔵の中には様々なものが溢れていた。ガラクタと骨董品と用具が入り混じっており、それを眺めるだけでもワクワクする。
その日から、蔵はK子さんの秘密基地になった。

237 :仮の人 ◆sFvsmjhswAfh :2014/08/24(日) 02:19:36.50 ID:ixm8gm6D0
(2/3)
蔵に入り浸るようになってから数日後。
K子さんは蔵の奥に大きな屏風を発見して、それをもっと広げて見てみたいと奮闘していた。
1辺が畳1畳分程のあるそれは結構重い。そこで、後ろから押してみたらどうだろうと屏風の裏に回り込んだ。
「あれ、ドアがある」
今まで屏風で隠されており気が付かなかったが、閂の掛けられた木製の黒い扉がそこにはあった。
表面には黄色く変色した紙が貼ってあり、なにやら書かれていたが、当時のK子さんには難しい漢字で読めない。
K子さんは少しだけ躊躇った後、扉を開くことにした。
ぎいぃぃぃぃぃ。
鈍い音を立て、扉が開く。カビ臭い。
暗闇の奥で、何かが動いた。
「……だれ?」
震える声で問いかけると、その問いに応じるように影がゆっくりとこちらに向かってきた。
やがて姿を現したのは、真っ赤な服に身を包んだ、髪の長い女だった。
「……だれ?」
K子さんがもう一度同じことを聞く。
女は答えず、K子さんに向かって腕を伸ばした。K子さんの首に手が掛かる。ーーーー氷の様に冷たい手だった。
女が蛇のような細い目で笑った。
「いやあああああああああああああああ!!!!!!」
K子さんは声の限り叫ぶと、女を突き飛ばして駆けだした。
もつれる足でなんとか蔵の外に飛び出すと、その場でへたり込んで泣き出してしまった。
泣き声を聞きつけ、祖父が駆け寄ってくる。その顔を見てほっとしたK子さんは更に泣いた。


238 :仮の人 ◆sFvsmjhswAfh :2014/08/24(日) 02:20:03.57 ID:ixm8gm6D0
(3/3)
漸く泣き止んだK子さんが何があったかを話すと、祖父は青い顔で、
「そうか、まぁだいたんけぇ」
と呟き、じい様に聞いた話だが、とこんな話をしてくれた。
この蔵がまだ建てられた直後、子供が行方不明になる事件が相次いだ。
犯人は若い女で、この蔵で子供の首を絞めているところを発見され、そのまま蔵の奥に閉じ込めてしまった。
暫く経って見に行くと、飲まず食わずのはずなのに女はまだ生きている。
また閉じ込めて、もう死んだだろうと見に行くが、まだ女は生きている。
それが何度も繰り返され、何年経っても、何十年経っても、女はその時のままの姿で居るそうだ。
そして、もう殆どの人が女を忘れた今でも、暗い蔵の奥に女は閉じ込められたままなのだと。
「大丈夫だぁ。なんでかはわからんが、あいつはあっこから出てこれはせん」
祖父は、ぽんとK子さんの背中を叩くと蔵の中に消えた。奥の扉を閉めに行ったのだろう。
戻って来た祖父がなんでもない顔で蔵の鍵を閉めると、やっとK子さんは安心することができた。
その後蔵の鍵は厳重に保管されることになり、誰も蔵には入れなくなった。
このまま蔵が朽ち果てるまで、そのままにするのだと言う。記憶のまま消えてしまうのが一番良いのだと。
しかし、あれから十数年が過ぎた今も、K子さんは思い出す。
今もあの蔵の中に、あの女はいるのだろうか、と。
【了】

240 :いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw :2014/08/24(日) 02:21:21.35 ID:iVpQyD8K0
【第74話】 まんじゅう ◆PP2Ugyol5s 様
『千葉県S駅』
(1/2)
現在は改装が済み、明るくお洒落な雰囲気の駅ですが、以前は怪しげな話をよく聞きました。
Cさんは地区のPTA会長をしている女性で、S駅を日常的に使用していたそうです。
その日も、いつも通りS駅からU線の地元駅行きの各停電車に乗り、
なんとなく夕暮れの窓の外を眺めていると、ふいに違和感を感じました。
いつもと同じ景色、車内の筈ですが、やけに薄暗い。
乗り込んだ車両の電気が切れたのかと周りを見渡せば
前後の車両の灯りもなく、真っ暗な電車がスピードを上げて進んでいます。
車内を照らすのは、景色とともに流れていく外の頼りない光だけでした。
自分の感じた異変を、他の乗客も感じているのだろうか?
列車は空席が目立ちましたが、十数人は同じ車両に乗っています。
Cさんは自分以外の乗客に目を向けた途端ぞっとしました。
老人・若者・ビシネスマン、全ての乗客が体を折りたたむかのように、深く俯いているのです。
真っ暗な車内、俯いたまま微動だにしない乗客達、重苦しく凍りつくような沈黙に包まれた異様な車内。
CさんがS駅から乗り込んだ際は、間違いなく、何の変哲もない普通の電車だった筈なのに。
Cさんに聞こえるのは自分の荒い吐息だけで、
パニックに陥りそうになる自分を必死に抑え、早く次の駅に着くよう必死に祈りました。
そんな願いと裏腹に電車はいくつかの駅を通り過ぎ、随分時間が過ぎた頃、
ようやくスピードを緩め、ゆっくりホームに止まりました。

241 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E :2014/08/24(日) 02:23:26.10 ID:bIEXoD6G0
(2/2)
一目散に電車から降りたCさんは、
明るいホームにへたへたと座りこんでしまい、声を掛けられた途端飛び上がってしまいました。
青い顔をした初老の女性は、Cさんと同じく酷く動揺しているようで、
「あ、あなたもですか。絶対今のおかしかったですよね…」
彼女も先程の電車に乗り合わせた乗客で、全く同じ体験をしており、更に信じられない事をCさんに言うのです。
「私、S駅からU線に乗ったんですよ。確かに。でもこの駅…O駅ですよね?K線の」
地元民でないと分かり辛いのですが。O駅にCさんが乗ったU線から行くには、最低1回は乗換が必要です。
そもそもS駅からO駅には直通の路線はありません。
何で何で…とオロオロする女性に、
愕然としたCさんはかける言葉もなく、しばらくホームに2人立ちすくんでいたそうです。
【了】

243 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E :2014/08/24(日) 02:26:17.92 ID:bIEXoD6G0
【第75話】 葛◆.zethFtqnU 様
『山登り』
(1/2)
山は身近な異界と言うけれど、確かに山登りをしていると、たまに妙な出来事に遭遇する
「こんにちはー」
向こうからやってきた男性は朗らかに挨拶し、笑顔で会釈してきた。こちらもぺこりと頭を下げる
「この先に行かれるんですか?」
「の、予定です」
「そうですか。この先には『扇岩』ってのがあって、それを目印にして左に曲がるんですが、
 その手前によく似た『偽扇岩』っていうのがあるので間違えないよう気をつけてください」
『偽扇岩』を目印にして左に曲がると遭難してしまいますよ、と男性はちょっと脅かすように声をひそめた
「ありがとうございます。気をつけます」
そう返して互いに会釈し、男性と別れる
数歩進んだところで違和感を覚えてふと後ろを振り返ったが、既に男性の姿は見えなかった
数年経って、また同じ山に挑戦した
頂上から見た景色の雄大さをまた見たいと思ったからだ
同じルートを通って、山を登る
すると以前男性と出会った所で、また同じ男性と遭遇した
その時、以前感じた違和感の理由を理解した
その男性は、いかにも冬山登山といった姿をしていたのだ
自分が登るのは夏山ばかりなので、そこに違和感を覚えたのだ

244 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E :2014/08/24(日) 02:27:40.59 ID:bIEXoD6G0
(2/2)
「こんにちは」
朗らかに挨拶され、ぺこりと会釈される
「……こんにちは」
「この先に行かれるんですか?」
「……の、予定です」
「そうですか。この先には『扇岩』ってのがあって、それを目印にして左に曲がるんですが、
 その手前によく似た『偽扇岩』っていうのがあるので間違えないよう気をつけてください」
ああ、と思った
この男性はきっと、間違えて『偽扇岩』で曲がってしまい、遭難したのだろう
そして後続の者が間違えないように、警告してくれているのだろう
そう思うと切なかった
「あ……りがとう、ございます……気をつけます……」
「いえいえ。では頑張ってくださいね」
互いに会釈し、すれ違う
すぐに振り返ってみたが、男性の姿は既になかった
あれから更に数年が経ったが、男性は今でもきっと、登山者に注意を促しているのだろう
【了】

246 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E :2014/08/24(日) 02:29:58.72 ID:bIEXoD6G0
【第七十六話】 mk◆AUR35tiBol 様
『花火大会の夜』
職場の上司Kさんから聞いた話。
数年前の夏のこと、仲間たちと花火大会を見に旅行した。
海辺で行われるその花火大会は大変な人出だが、Kさんたちはその人混みからちょっと離れて、
近くの小さな山の上に宿をとり、花火はその山の中腹で観賞していた。
ふつう花火って見上げるようになるけど、高いところで見るのでちょうど目の高さに花火が打ち上がるように見えるのだそうだ。
で、花火大会が終わって山の上のホテルに帰るんだけど、山のしたのほうはやっぱり人混みでいっぱいなのだが、
山に登ってくる人はほとんどいなかったそうだ。
そんなわけでひと気のない夜の山道を男友達数人と歩いて登っていたらしい。
街頭もまばらな山道を登りながら、ふと後ろを振り返ると遠くの街頭の下にに白い服を着た人影があるんだって。
まあ花火の帰りの人かな?と思って最初は気にも留めなかったんだけど、後ろに人がいるってわかると気になるもので、
しばらく歩いた後にもう一度振り返ってみるとちょっと近づいてきてる。
仲間の一人が「なあ、後ろにいるやつ近づいてるよな?」と言うなりいよいよ気味が悪くなってきて、もう一度振り返ってみる。
また距離が近くなっていて、その人の様子もかなり見えるようになった。白い服を着た女性だった。
でも歩き方もどうもフラフラしてるし、こんな時間に一人きりで山道にいるのってだいぶ異様だしでかなり気味悪く感じていた。
もう後ろが気になってしょうがない。
もう一度振り返ると、その女が全速力で駆け上がってくるところだった!
いい年した大の大人が全員叫びながら山を登り、振り返りもせず一目散にホテルに駆け込んだ。
で、怖いし、明るい人のいるところにいたいしでロビーでみんなで今あったことについて言い合っていたんだけど、
そいつらしき女はついにホテルには来なかった。
その道の続きってそのホテルか、お城?しかないんだけど、お城は夜やっていないし、
その女も来るとしたらホテルしかないはずなんだけどね。
【了】

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